(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】パーシャルカラーを用いたタービン排気亀裂の低減
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20220531BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20220531BHJP
F01D 25/30 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
F02C7/00 B
F02C7/00 D
F01D25/00 X
F01D25/30 B
(21)【出願番号】P 2020567781
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(86)【国際出願番号】 US2019035908
(87)【国際公開番号】W WO2019236928
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】マウリヤ,シャシカント
(72)【発明者】
【氏名】ジャイモ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィービー,ライアン デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ,キース エル.
(72)【発明者】
【氏名】コレア,アンドレ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0044046(US,A1)
【文献】特開2010-025006(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0143815(US,A1)
【文献】実公昭50-003852(JP,Y1)
【文献】中国特許出願公開第111852581(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00-15/12;23/00-25/36
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
F01D 1/00-11/24
F04D 1/00-13/16;17/00-19/02;21/00-25/16;29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(1)用の排気装置(10)であって、
ガスタービン(1)の機械軸(9)に沿って軸方向に延在する環状ダクト(12)であって、外側ダクト壁(14)および内側ダクト壁(16)によって半径方向に区切られた、環状ダクト(12)と、
前記環状ダクト(12)内に円周方向に分布された複数のストラット(18)であって、各ストラット(18)が少なくとも前記外側ダクト壁(14)から前記内側ダクト壁(16)まで延在し、各ストラットシールド(20)内にカプセル化された、複数のストラット(18)と、を備え、
前記各ストラットシールド(20)が第1インターフェース(22)に沿って前記外側ダクト壁(14)と係合するとともに、第2インターフェース(24)に沿って前記内側ダクト壁(16)と係合しており、
前記第1および第2インターフェース(22、24)の少なくとも一方が、
前記それぞれのインターフェース(22、24)における前記ストラットシールド(20)の周囲の部分的な長さに沿って延在する少なくとも一つのカラー(26)であって、前記カラー(26)は、半径方向に延在し、前記ストラットシールド(20)と整列される第1セクション(32)と、前記第1セクション(32)に対して斜めに配向され、前記それぞれのダクト壁(14、16)と整列される第2セクション(34)とを含み、前記第1セクション(32)は、第1ジョイント(42)に沿って前記ストラットシールド(20)に取り付けられ、前記第2セクション(34)は、第2ジョイント(44)に沿って前記それぞれのダクト壁(14、16)に取り付けられた、カラー(26)、
を備え、
前記第1セクションおよび第2セクション(32、34)の交差部(40)は、前記それぞれのインターフェース(22、24)に応力を分配するように構成された半径によって規定される滑らかな曲線によって形成され
、
前記ストラットシールド(20)は、前記ストラットシールド(20)の周囲の残りの長さの間、前記それぞれのインターフェース(22、24)において、前記それぞれのダクト壁(14、16)に直接取り付けられる、
排気装置(10)。
【請求項2】
前記第1ジョイント(42)は、前記交差部(40)から第1方向に沿って離間しており、前記第2ジョイント(44)は、前記第1方向に非平行である第2方向に沿って前記交差部(40)から離間している、請求項1に記載の排気装置(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのカラー(26)が、
前記それぞれのインターフェース(22、24)における前記ストラットシールド(20)の前縁(28)の周囲に延在する前縁カラー(26A
OD、26A
ID)、および、
前記それぞれのインターフェース(22、24)における前記ストラットシールド(20)の後縁(30)の周囲に延在する後縁カラー(26B
OD、26B
ID)、
の一方または両方を含む、請求項1
または2に記載の排気装置(10)。
【請求項4】
前記第1インターフェース(22)および前記第2インターフェース(24)の両方が、それぞれの前縁カラー(26A
OD、26A
ID)およびそれぞれの後縁カラー(26B
OD、26B
ID)を備える、請求項
3に記載の排気装置(10)。
【請求項5】
前記第1ジョイント(42)及び前記第2ジョイント(44)はそれぞれ溶接接合で構成されていることを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の排気装置(10)。
【請求項6】
前記カラー(26)が、前記それぞれのインターフェース(22、24)における前記ストラットシールド(20)の周囲に沿って、前記カラー(26)の第1端部(52)から第2端部(54)まで部分的に延在し、
前記交差部(40)の半径が、前記第1および第2端部(52、54)との間で連続的に変化する、請求項1から
5のいずれか1項に記載の排気装置(10)。
【請求項7】
前記交差部(40)の最大半径が、前記第1端部および第2端部(52、54)との間の位置に位置する、請求項
6に記載の排気装置(10)。
【請求項8】
前記最大半径が、前記ストラットシールド(20)の前縁(28)または後縁(30)に位置する、請求項
7に記載の排気装置(10)。
【請求項9】
前記交差部(40)の半径の最大値は、
最大半径に対する前記最大半径の位置における前記ストラットシールド(20)のスパン方向高さの比が7~16の範囲内にあり、
および/または、
前記ストラットシールドの材料厚に対する前記最大半径の比が4~10の範囲内にあるように構成される、請求項
7または
8に記載の排気装置(10)。
【請求項10】
前記カラー(26)の前記第1端部(52)における前記交差部(40)の半径および前記第2端部(54)における前記交差部(40)の半径は、前記第1端部(52)に隣接する前記ストラットシールド(20)と前記それぞれのダクト壁(14、16)との間のジョイントの半径と、前記ストラットシールド(20)と前記第2端部(54)に隣接する前記それぞれのダクト壁(14、16)との間のジョイントの半径とをそれぞれ一致させるように構成される、請求項
6から
9のいずれか1項に記載の排気装置(10)。
【請求項11】
前記交差部(40)を形成する滑らかな曲線は、流路に対向する第1の表面(46)上の内半径と、前記第1の表面(46)に対向する第2の表面(48)上の外半径とによって規定される、請求項1から
10のいずれか1項に記載の排気装置(10)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのカラー(26)が、前記第1インターフェース(22)における前記ストラットシールド(20)の後縁(30)の周りに延在し、前記カラー(26)の後端が、下流の排気マニホールドに取り付けるためのボルト穴(58)を備えた半径方向に延在するフランジ(56)を備える、請求項1から
11のいずれか1項に記載の排気装置(10)。
【請求項13】
ガスタービンエンジン(1)の排気装置(10)における亀裂を低減するためにガスタービン(1)を
修理するための方法であって、
前記排気装置(10)が、
前記ガスタービン(1)の機械軸(9)に沿って軸方向に延在する環状ダクト(12)であって、外側ダクト壁(14)及び内側ダクト壁(16)によって半径方向に区切られている、環状ダクト(12)と、
前記環状ダクト(12)内に円周方向に分布する複数のストラット(18)であって、各ストラット(18)は、少なくとも前記外側ダクト壁(14)から前記内側ダクト壁(16)まで延在し、それぞれのストラットシールド(20)内に封入され、各ストラットシールド(20)は、第1インターフェース(22)に沿って前記外側ダクト壁(14)と係合し、第2インターフェース(24)に沿って前記内側ダクト壁(16)と係合する、複数のストラット(18)と、
を備え、
少なくとも1つのカラー(26)を前記第1インターフェース(22)に取り付けるステップ及び/又は前記第2インターフェース(24)に取り付けるステップであって、取り付け後、前記カラー(26)は、前記それぞれのインターフェース(22、24)における前記ストラットシールド(20)の周囲の部分的長さに沿って延在し、前記カラー(26)は、第1セクション(32)及び前記第1セクション(32)に対して斜めに配向された第2セクション(34)を備える、ステップを有し、
前記カラー(26)を取り付けるステップは、
前記第1セクション(32)を前記ストラットシールド(20)に位置合わせするとともに、前記第2セクション(34)をそれぞれのダクト壁(14、16)に位置合わせするステップと、
前記第1セクション(32)を第1ジョイント(42)に沿って前記ストラットシールド(20)に接合するとともに、前記第2セクション(34)を前記それぞれのダクト壁(14、16)に第2ジョイント(44)に沿って接合するステップと、
を有し、
前記第1及び第2セクション(32、34)の交差部(40)は、前記それぞれのインターフェース(22、24)に応力を分配するように構成された半径によって規定される滑らかな曲線によって形成され
、
前記ストラットシールド(20)は、前記ストラットシールド(20)の周囲の残りの長さの間、前記それぞれのインターフェース(22、24)において、前記それぞれのダクト壁(14、16)に直接取り付けられる、
方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのカラー(26)を取り付ける前に、切り欠き(36)を部分的に前記ストラットシールド(20)上に形成するとともに、部分的に前記それぞれのダクト壁(14、16)上に形成し、前記切り欠き(36)の周囲輪郭が全体として前記カラー(26)の周囲輪郭に対応する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特にガスタービンエンジンの排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンのような軸流ターボ機械は、典型的には、空気を圧縮するための圧縮機セクションと、圧縮空気を燃料と混合し、混合物に点火して熱い作動媒体流体を形成するための燃焼器セクションと、作動媒体流体から動力を取り出すためのタービンセクションと、タービン排気流をチャンネリングするための最終タービンステージの下流に位置する排気装置とを含む。タービン排気装置は、典型的には、環状流路内に円周方向に分布されたストラットのような支持構造体を含む。各ストラットは、外部流路境界および内部流路境界を通って延在し、保護ストラットシールドによって封入される。ストラットシールドは、例えば溶接によって、外部および内部流路境界に接合されてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
簡単に説明すると、本発明の態様は、ガスタービンエンジン排気における亀裂を低減するための装置および方法を対象とする。
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ガスタービン用の排気装置が提供される。排気装置は、ガスタービンの機械軸に沿って軸方向に延在する環状ダクトを備える。環状ダクトは、外側ダクト壁と内側ダクト壁によって半径方向に区切られている。また、排気装置は、環状ダクト内に円周方向に分布された複数のストラットを備える。各ストラットは、少なくとも外側ダクト壁から内側ダクト壁まで延在しており、それぞれのストラットシールドに封入される。各ストラットシールドは、第1インターフェースに沿って外側ダクト壁と係合し、第2インターフェースに沿って内側ダクト壁と係合する。第1インターフェース及び第2インターフェースの少なくとも一方は、それぞれのインターフェースにおけるストラットシールドの周囲の部分的長さに沿って延在する少なくとも1つのカラーを備える。カラーは、半径方向に延在しており、ストラットシールドと整列されている第1セクションと、第1セクションに対して斜めに配向され、それぞれのダクト壁と整列されている第2セクションとを備える。第1セクションは第1ジョイントに沿ってストラットシールドに取り付けられ、第2セクションは第2ジョイントに沿ってそれぞれのダクト壁に取り付けられる。第1セクションと第2セクションとの交点は、それぞれのインターフェースで応力を分配するように構成された半径によって規定される滑らかな曲線によって形成される。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、ガスタービンの排気装置の亀裂を低減するためにガスタービンを整備する方法が提供される。排気装置は、ガスタービンの機械軸に沿って軸方向に延在する環状ダクトを含む。環状ダクトは、外側ダクト壁と内側ダクト壁によって半径方向に区切られている。排気装置は、環状ダクト内に円周方向に分布する複数のストラットも含む。各ストラットは、少なくとも外側ダクト壁から内側ダクト壁まで延在しており、それぞれのストラットシールドに封入される。各ストラットシールドは、第1インターフェースに沿って外側ダクト壁と係合し、第2インターフェースに沿って内側ダクト壁と係合する。この方法は、第1インターフェース及び/又は第2インターフェースに少なくとも1つのカラーを取り付けることを含む。カラーは、取り付け後、カラーがそれぞれのインターフェースでストラットシールドの周囲の部分的長さに沿って延在するように取り付けられる。カラーは、第1セクションと、第1セクションに対してある角度で配向された第2セクションとを備える。カラーを取り付けることは、第1セクションをストラットシールドに位置合わせし、第2セクションをそれぞれのダクト壁に位置合わせすることと、その後、第1ジョイントに沿って第1セクションをストラットシールドに接合し、第2ジョイントに沿って第2のセクションをそれぞれのダクト壁に接合することとを含む。第1セクションと第2セクションとの交点は、それぞれのインターフェースで応力を分配するように構成された半径によって規定される滑らかな曲線によって形成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、図面の助けを借りて、より詳細に示される。図は好ましい構成を示しており、本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】本発明の実施形態を組み込むことができるガスタービンエンジンの概略図である。
【
図2】公知のタイプの排気装置の軸方向正面図である。
【
図3】
図2のセクションIII-IIIに沿った断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による部分カラーを備える排気装置の斜視図である。
【
図5】半径方向外側方向から見た断面平面図であり、外側ダクト壁を有するストラットシールドのインターフェースにおける一対の部分カラーを示す図である。
【
図6】半径方向内方を見た断面平面図であり、内側ダクト壁を有するストラットシールドのインターフェースにおける一対の部分カラーを示す図である。
【
図7】部分カラーの取り付け前に機械加工された切り欠きを有する排気装置の斜視図である。
【
図8】本発明の様々な実施形態による部分カラーの斜視図である。
【
図9】本発明の様々な実施形態による部分カラーの斜視図である。
【
図10】本発明の様々な実施形態による部分カラーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の好ましい実施形態の詳細説明において、本明細書の一部を構成し、限定されるものではなく、例示として本発明を実施できる特定の実施形態が示されている添付の図面を参照する。他の実施形態を利用してもよく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更を行うことができることを理解すべきである。
【0008】
図1を参照すると、ガスタービンエンジン1は、一般に、圧縮機セクション2と、燃焼器セクション4と、タービンセクション8と、排気装置10とを含む。運転中、圧縮機セクション2は周囲空気3を誘導し、これを圧縮する。圧縮機セクション2からの圧縮空気は、燃焼器セクション4内の1つまたは複数の燃焼器に入る。圧縮空気は燃料5と混合され、混合気は燃焼器で燃焼されて高温作動媒体流体6を形成する。高温作動媒体流体6はタービンセクション8に送られ、そこで静止翼形部と回転翼形部の交互の列を通って膨張され、ロータ7を駆動できる動力を発生させるために使用される。タービンセクション8から出た膨張ガスは、最後のタービン段の下流に配置された排気装置10を介してエンジン1から排出される。
【0009】
一例では、
図1及び
図2に示すように、排気装置10はディフューザとして構成することができ、このディフューザは、排気ガスのための流路を画定し、ガスタービンエンジン1の機械軸9に沿って軸方向に延在する発散環状ダクト12を含むことができる。環状ダクト12は、外側流路境界を形成する外側ダクト壁14と、内側流路境界を形成する内側ダクト壁16とによって半径方向に区切られている。発散環状ダクト12は、排気流の速度を低下させ、かくしてタービンセクション8の最終段を横切って膨張する排気ガスの圧力差を増大させる役割を果たすことができる。排気装置10は更に、環状ダクト12内に円周方向に分布されたストラット18のような支持構造体を含む。各ストラット18は、少なくとも外側ダクト壁14から内側ダクト壁16まで延在している。図示の例では、ストラット18は、外側ダクト壁14及び内側ダクト壁16を通って延在している。高い排気流路温度からストラット18を保護するために、各ストラット18は、通常、ストラットシールド20によって囲まれている。ストラットシールド20は、
図3の断面図に示すように、前縁28と後縁30とを有する空気力学的形状であってもよい。
図2を参照すると、ストラットシールド20は、外側ダクト壁14と内側ダクト壁16との間のストラット18の半径方向範囲をカプセル化する。各ストラットシールド20は、外側インターフェース22に沿って外側ダクト壁14と係合し、内側インターフェース24に沿って内側ダクト壁16と係合する。インターフェース22、24は、典型的には、溶接継手によって形成される。
【0010】
タービン排気中のストラットシールドは、現場での長時間運転後、しばしば亀裂発生を示すことが観察されている。これらの亀裂は、特に外部インターフェース22及び内部インターフェース24における溶接継手において、それぞれ高応力領域で形成される傾向がある。特に、本発明者らは、亀裂が主にストラットシールド20の前縁28および後縁30においてインターフェース22、24で始まることを認識した。亀裂は、これらの領域の高い熱勾配、溶接品質の悪さ、および高い振動に起因すると考えられる。上記の要因は、単独で、または組み合わせて作用して、排気亀裂の条件を作り出すことができる。技術分野における排気亀裂は、通常、技術分野における溶接補修によって対処されてきた。しかしながら、このプロセスは時間と費用がかかる可能性があり、修理された領域は、エンジンの運転が再開されると時には再亀裂することがある。
【0011】
図4-10に図示した本発明の実施形態は、これらの領域の亀裂を低減するために、インターフェース22、24のいずれかに取り付け可能な荷重分散カラー26に向けられる。カラー26は、ジョイント(典型的には溶接ジョイント)を高度に応力を受けた位置から遠ざけ、広く滑らかな半径を提供して、これらの領域の応力をより良好に分散させるように設計されている。提案された設計の明確な特徴は、カラー26がそれぞれのインターフェース22、24においてストラットシールド20の全周に沿って延在せず、その周囲の部分的な長さに沿ってのみ提供されることである。部分的カラー設計は、全荷重カラー設計(すなわち、カラーがストラットシールドの全周に沿って延在するもの)と比較した場合、材料除去、溶接収縮および残留応力からの排気歪みの低減可能性を確実にすることができる。また、部分カラー設計は、全荷重カラー設計と比較した場合、隣接するハードウェアとの表面公差偏差による溶接継手の不一致のより低いリスクを保証することができる。少なくとも上記の理由により、ここに図示するように、部分カラー26をフィールドサービス中に現場に容易に設置することができる。
【0012】
一実施形態では、部分カラー26は、最も高い応力を有する位置、例えば、前縁28および/またはストラットシールド20の後縁30に、インターフェース22、24のいずれかまたは両方に設けられてもよい。それにより、前縁28及び/又は後縁30内の応力は、ストラットシールド20及びそれぞれのダクト壁14、16の他の位置に再分配され、これにより、これらの領域で現在目撃されている亀裂リスクに直接対処し、これを除去することができる。さらに、前縁28及び後縁30での流路断面の等価強度は、これらの位置での溶接材料比率の減少により増大することがある。流路断面の等価強度とは、不均質性(強度弱化要素)を考慮した流路断面の正味強度を指し、例えば溶接シーム熱影響部、気孔率、または他の欠陥による。本発明の実施形態は、従来の設計手法と比較して溶接領域の割合が少ないため、特にジョイントにおけるストラットシールドの前縁および/または後縁において不均質性の程度を制限しようとするものであり、この場合、ストラットシールドは、前縁および後縁において溶接部によって直接ダクト壁に接合される。
【0013】
図4-6は、提案された部分カラー設計を採用する例示的実施形態を示す。図示された実施形態では、各ストラットシールド20は、それぞれのダクト壁14、16との各インターフェース22、24における一対のカラー26を含む4つのカラー26と関連している。特に
図5及び
図6に示すように、ストラットシールド20の外側インターフェース22及び外側ダクト壁14は、ストラットシールド20の前縁28の周囲に延在する前縁カラー26AODと、ストラットシールド20の後縁30の周囲に延在する後縁カラー26BODとを備える。さらに、ストラットシールド20と内側ダクト壁16の内側インターフェース24は、ストラットシールド20の前縁28の周囲に延在する前縁カラー26AIDと、ストラットシールド20の後縁30の周囲に延在する後縁カラー26BIDとを備える。他の実施形態(図示せず)では、カラー26は、上記の位置のいずれか1つまたは複数、または亀裂が発生しやすい他の任意の位置に設けられてもよい。
【0014】
図8および
図9は、本発明の態様による部分カラー26の例示的実施形態を示す。特に、
図8は、外部インターフェース22においてストラットシールド20の後縁30に取り付け可能な後縁カラー26BODを描いているが、
図9は、内部インターフェース24においてストラットシールド20の後縁30に取り付け可能な後縁カラー26BIDを描いている。カラー26BOD及び26BIDは、それぞれインターフェース22及び24におけるストラットシールド20の後縁30の輪郭に合致するように成形されてもよい。図面に詳細には図示されていないが、
図4-6に示されている前縁カラー26AOD及び26AIDは、原理的に同様に構成され、それぞれインターフェース22及び24におけるストラットシールド20の前縁28の輪郭に一致するように適合されていてもよい。
【0015】
図8及び
図9を参照すると、各カラー26は、半径方向に延在しており、ストラットシールド20と整列するように構成された第1セクション32と、第1セクション32に対して斜めに配向され、それぞれのダクト壁14、16と整列するように構成された第2セクション34とを備える。第1セクション32と第2セクション34との間の角度は、それぞれのインターフェース22、24におけるストラットシールド20とダクト壁14、16との間の角度に対応することができる。例えば、第1セクション32とセクション34との間の角度は、必ずしも90°に等しいとは限らないが、ダクト壁14、16の円錐形状のため、約90°とすることができる。外側インターフェース22に取り付けられたカラー26の場合、第1セクション32は、
図8に示すように、第2セクション34から半径方向内側に延在する。内部インターフェース24に取り付けられたカラー26の場合、第1セクション32は、
図9に示すように、第2セクション34から半径方向外側に延在する。各カラー26の第1セクション32は、第1の縁部62を有し、これは、第1ジョイント42(
図4参照)に沿って、ストラットシールド20に接合され得る。各カラー26の第2セクション34は、第2エッジ64を有し、第2ジョイント44(
図4参照)に沿ってそれぞれのダクト壁14、16に接合することができる。一実施態様において、ジョイント42及び44は、溶接ジョイントを含む。
【0016】
各カラー26の第1セクション32および第2セクション34は、交差部40で交わる。交差部40は、それぞれのインターフェース22、24に応力を分配するように構成された半径によって規定される滑らかな曲線によって形成される。例示的な実施形態様において、第1ジョイント42(縁部62に沿って)は、第1の方向に沿って交差部40から離間しており、第2ジョイント44(縁部64に沿って)は、第1の方向に非平行な第2の方向に沿って、交差部40から離間している。図示のカラー設計は、従って、溶接継手を、より低い応力を有する領域まで、先に高応力を受けた領域から遠ざけ、広く、滑らかな半径を提供して、これらの領域内の応力をより良好に分布させる。上述したように、各カラー26は、それぞれのインターフェース22、24において、ストラットシールド20の周囲の部分的な長さに沿ってのみ延在している。
図4-6を参照すると、ストラットシールド20は、例えば溶接によって、それぞれのインターフェース22、24におけるストラットシールド20の周囲の残りの長さのために、それぞれのダクト壁14、16に直接取り付けられてもよい。
【0017】
各カラー26は、
図8及び
図9に示すように、第1端部52からカラー26の第2端部54まで、ストラットシールド20の周囲に沿って部分的に延在している。一実施形態では、本明細書に例示されているように、交差部40の半径は、第1端部52と第2端部54との間で連続的に変化する。特に、交差部40の最大半径は、第1端部52と第2端部54との間の位置に位置することができる。後縁カラー26BOD及び26BID (それぞれ
図8及び
図9参照)については、最大半径は、ストラットシールド20の後縁30の位置に配置することができる。同様に、前縁カラー26AODおよび26AID (具体的には図示せず)については、最大半径は、ストラットシールド20の前縁28の位置に位置されてもよい。
【0018】
各カラー26の半径及び最大半径の変動は、応力が最も高い領域から応力を分配するように個々に構成することができる。例えば、個々のカラー26の最大半径は、他の要因の中でも、カラー26の位置(例えば、前縁または後縁、内側または外側のインターフェース)、ストラットシールド20のスパン方向の高さ、およびストラットシールド20の材料の厚さに依存し得る。一実施形態では、カラー26の最大半径は、最大半径と最大半径の位置におけるストラットシールド20のスパン方向高さの比が7~16の範囲にあるように構成されてもよい。独立して又は加えて、カラー26の最大半径は、ストラットシールドの材料厚に対する最大半径の比が4~10の範囲にあるように構成することができる。発散ダクト形状において、ストラットシールドのスパン方向の高さは、典型的には、前縁から後縁に向かって増加することに留意されたい。ストラットシールドの材料厚は、ほとんどの場合、実質的に一定であると仮定することができる。更に、各カラー26の半径は、既存の隣接するハードウェアに対して望ましくは調整されて、特定の領域における応力を更に減少させるのを助けることができる。したがって、一実施形態では、第1端部52における半径およびカラー26の第2端部54における半径は、第1端部52に隣接するストラットシールド20とそれぞれのダクト壁14、16との間のジョイントの半径、およびカラー26の第2端部54に隣接するストラットシールド20とそれぞれのダクト壁14、16との間のジョイントの半径にそれぞれ一致するように構成される。
【0019】
本実施形態では、
図8および
図9に示すように、交差部40を形成する滑らかな曲線は、流路に対向する第1の表面46上の内側半径と、第1の表面46に対向する第2の表面48上の外側半径とによって画定される。この場合、「半径の変動」、「最大半径」等のフレーズにおいて、本明細書で使用される用語「半径」は、内側半径、又は外側半径、又はその両方を指すことができる。
【0020】
さらなる実施形態では、後縁カラー、特に外側インターフェース24に位置する後縁カラー26BODの後端は、
図10に示すように、半径方向に延在するフランジ56として構成することができる。フランジ56には、下流のタービン排気マニホールドのケーシングにダクト12を取り付けるためのボルト穴58を設けることができる。
【0021】
本発明のさらなる態様は、タービン排気装置の亀裂を低減する方法を対象とすることができる。提案した方法は、例えば、ガスタービンエンジンの現場点検の一部として採用することができる。
【0022】
第一段階では、
図7に示すように、例えば、ストラットシールド20とそれぞれのダクト壁14、16を機械加工することによって、1つまたは複数の切り欠き36を形成することができる。切り欠き36は、カラー26が続いて取り付けられることが意図されている位置に形成することができる。ストラットシールド20及びそれぞれのダクト壁14、16の機械加工は、切欠き36の周囲輪郭が切欠き36の位置に取り付けられるべきそれぞれのカラー26の周囲輪郭に全体として対応するように行うことができる。図示の実施形態では、切り欠き36は、各ストラットシールド20の内側インターフェース24と同様に、外側インターフェース22における前縁28及び後縁30に形成される。各ストラットシールド20は、この場合、4つの切り欠き36に関連する。その後の工程は、各カラー26の第1セクション32をストラットシールド20と整列させ、カラー26の第2セクション34をそれぞれのダクト壁14、16と整列させることによって、カラー26を切り欠き36内に位置決めすることを含む。次いで、カラー26の第1セクション32が第1ジョイント42に沿ってストラットシールド20に接合され、カラー26の第2セクション34が第2ジョイント44に沿ってそれぞれのダクト壁14、16に接合される。図示の実施形態では、前記接合は、溶接によって実施されてもよい。排気装置10の合成構成を
図4に示す。
【0023】
上述の実施形態は、最終タービン段のすぐ下流に配置されたタービン排気シリンダに関する。本発明の態様は、タービン排気シリンダの下流に配置されたタービン排気マニホールドのような支持ストラットを含むタービン排気装置内の他の領域に適用することができることが理解されよう。
【0024】
具体的な実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な変更および代替を開発することができるであろうことは理解されるであろう。従って、開示される特定の構成は、単に例示的であって、発明の範囲に限定されるものではなく、特許請求の範囲の全幅、及びその任意の等価物に限定されるものであることを意味する。