(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】開閉式看板
(51)【国際特許分類】
G09F 7/18 20060101AFI20220601BHJP
G09F 15/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G09F7/18 V
G09F15/00 L
(21)【出願番号】P 2021169684
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2021-11-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510248431
【氏名又は名称】有限会社サイン
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和利
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138933(JP,A)
【文献】特開2006-003811(JP,A)
【文献】特開2018-013730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/18
G09F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定され、前記設置面に対し略垂直に延伸する複数の支柱と、
前記支柱に対して開閉自在に接続される前看板と、
前記支柱と前記前看板に接続され、前記支柱と前記前看板の開状態を支える
ために前記支柱と前記前看板の間に反発する力を生じさせるダンパーを有する支持部材と、を備える開閉式看板。
【請求項2】
前記支持部材は、前記前看板と前記設置面の間に設けられる棒状部材
を有する請求項1記載の開閉式看板。
【請求項3】
前記支柱と前記前看板を固定するための固定部材を備える請求項1記載の開閉式看板。
【請求項4】
前記前看板は、枠部材と、前記枠部材に対して固定される広告板部材と、を備える請求項1記載の開閉式看板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式看板に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者に対する商品若しくは店舗(以下「商品等」という。)の宣伝、又は、必要な情報を提供するため、商品等の内容を記載した広告板を掲載して表示する看板が一般的に用いられている。看板は広場や道路脇等に設置され広告宣伝的効果を発揮する。
【0003】
一般に屋外看板に関する技術としては、例えば下記非特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://www.ogata-print.com/work/239/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献に関する一般的な屋外看板は、単に宣伝広告的機能のみを有し、これ以外の用途として用いることが殆ど無い。看板が他の機能を有することになれば、当該機能を発揮することによる相乗効果と付加価値の増加が期待できる。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み宣伝広告的機能の他に有用な機能を発揮することのできる看板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行ったところ、看板を支柱と分離して開閉式とすることで例えば雨天時においては屋根として活用できることに着目し本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、上記課題を解決する本発明の一観点に係る開閉式看板は、設置面に対して固定される複数の支柱と、支柱に対して開閉自在に接続される前看板と、支柱と前看板の開状態を支える支持部材と、を備えるものである。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけではないが、支持部材は、支柱と前看板を接続するスプリングであることが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、支持部材は、前看板と設置面の間に設けられる棒状部材であることが好ましい。
【0011】
また、本観点において、限定されるわけではないが、支柱と前看板を固定するための固定部材を備えることが好ましい。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、前看板は、枠部材と、枠部材に対して固定される広告板部材と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によって、宣伝広告的機能の他に有用な機能を発揮することのできる看板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る開閉式看板の斜視概略を示す図(閉状態)である。
【
図2】実施形態に係る開閉式看板の斜視概略を示す図(開状態)である。
【
図3】実施形態に係る開閉式看板の側面概略(閉状態)を示す図である。
【
図4】実施形態に係る開閉式看板の側面概略(開状態)を示す図である。
【
図5】実施形態に係る開閉式看板の前看板を省略した場合の斜視概略を示す図である。
【
図6】実施形態に係る開閉式看板の他の形態の例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る開閉式看板の開閉を制御する蝶番及びその近傍の部分拡大を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態に記載の具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る開閉式看板(以下「本開閉式看板」という。)1の斜視概略を示す図であって閉状態となっている場合を、
図2はその開状態をそれぞれ示す。また、
図3は閉状態における側面図であり、
図4はその開状態における側面図である。
【0017】
これらの図で示すように、本開閉式看板1は、設置面Gに対して固定される複数の支柱2と、支柱2に対して開閉自在に接続される前看板3と、支柱2と前看板3の開状態を支える支持部材4と、を備えるものである。本開閉式看板1は、閉状態は通常の看板としての使用が可能であり、開状態となると、この部分が屋根となり、雨天時等において雨宿りが可能となり、晴天時には日除けとしての使用が可能となる。
【0018】
本開閉式看板1は、上記の通り設置面Gに対して固定される複数の支柱2を備える。複数の支柱2は本開閉式看板1を支える主要な骨格部材の一つであり、設置面から略垂直方向に延伸するよう配置される。ここで「設置面」とは、典型的には看板を設置するための地面を例示することができるが、コンクリート等によって舗装、補強された地面等も当然に含まれる。また、本開閉式看板1において、複数の支柱2を直線的に並ぶよう配置することで、この直線を含む設置面に対して略垂直な面を看板設置の空間として用いることができる。支柱2の本数及びその太さについては特に限定されるわけではないが、2本以上であることが強度と重量のバランスを確保しやすくすることができる観点から好ましい。一方で、支柱2の本数があまり多すぎると設置の手間やコストが上昇するため、6本以下であることが好ましく、より現実的には4本程度である。なおここで「略垂直」とは、完全なる垂直を含む概念であるが、製造上の誤差を含む概念であり、現実的には80度から100度のプラスマイナス10度程度の誤差を含む概念である(以下「略垂直」という場合において同じである。)。
【0019】
また、本開閉式看板1の支柱2の長さ(設置面からの高さ)は、適宜調整可能であるが、通行人が視認できるとともに、前看板3を屋根として用いることができるようにある程度の高さの範囲になっていることが好ましく、例えば1.5m以上3m以下であることが好ましい。
【0020】
また、本開閉式看板1の支柱2の材質は、本開閉式看板1の効果を得ることができる限りにおいて限定されるわけではないが、金属であることが好ましく、より好ましくはステンレス等の合金鋼である。
【0021】
また、本開閉式看板1の支柱2は、接地面に穴を掘り、支柱2を設置した後、コンクリート等の固定用材料によって固定されていてもよく、例えば支柱2の根元にネジ孔が形成されたフランジを設け、このフランジをネジによって設置面に固定することとしてもよい。
【0022】
また、本開閉式看板1において、支柱2同士を接続するために、設置面に対して略平行な方向に延伸する支柱用梁部材21を設けることが好ましい。支柱用梁部材21を設けることで、複数の支柱2同士を強固に固定するとともに、前看板3等をより安定的に支持することが可能となる。この梁の本数については適宜可能であるが、支柱用梁部材21を設ける場合は、前看板3の配置に対応する位置の上辺及び下辺にそれぞれ1本ずつ、少なくとも2本以上あることが好ましい。なおここで「略平行」とは、完全なる平行を含む概念であるが、製造上の誤差を含む概念であり、現実的には10度から-10度のプラスマイナス10度程度の誤差を含む概念である。(以下「略平行」という場合において同じである。)
【0023】
また、本開閉式看板1は、支柱2に対して開閉自在に接続される前看板3を備える。前看板3は、本開閉式看板1の本質的な広告的機能を発揮することができる部材であり、閉状態においては、通行人がその広告内容を視認することができるよう広告コンテンツが表示される。
【0024】
また、本開閉式看板1において、前看板3は、枠部材31と、枠部材31に対し固定される広告板部材32と、を備えることが好ましい。
【0025】
前看板3における枠部材31は、広告板部材32を支持するとともに、上記の支柱2及び支柱用梁部材21に接続させるために重要な部材である。具体的に枠部材31は、互いに直交する平行な2辺により囲まれる中空の四角形状であることが好ましい。
【0026】
また、前看板3における枠部材31の材質は、本開閉式看板1が開状態すなわち跳ね上げられた状態となった場合でも、広告板部材32を安定的に形状を確保することができる限りにおいて限定されるわけではないが、金属又は樹脂であることが好ましい。樹脂の場合は軽量性を確保することができるといった利点があるが、金属とすることで確実に強度を確保することができるため、金属であることがより好ましい。金属の場合、ステンレス等であれば錆を防止することができる効果があるが、アルミニウムやその合金であれば軽量性も確保することができる観点において好ましい。
【0027】
また、前看板3の枠部材31の互いに直交する2辺により囲まれる領域には、枠部材31の辺のいずれかに略平行に配置される前看板用梁部材33を設けていてもよい。このように梁となる部材を設けることで、枠部材31の補強及び広告板部材32に生じやすい撓みを防ぐことが可能となる。この場合の概略(広告板部材を除いた前看板の概略)について
図5に示しておく。
【0028】
前看板3の枠部材31の大きさは適宜調整可能であり限定されるわけではないが、例えば幅としては、複数の支柱2の間隔とほぼ同じ又はそれ以上であることが好ましい。このようにすることで支柱間の距離を有効活用することが可能となる。
【0029】
また、前看板3は、複数の支柱2の間の空間に複数設けられていてもよい。複数設けることでより多くの広告を行うことができるとともに、前看板3を1つで形成した場合に比べて一つ一つの軽量化を図ることができ、より簡便に開閉状態を実現できるといった利点がある。この場合の概略について
図6に示しておく。
【0030】
また、前看板3の枠部材31にはその中空部分に、広告板部材32が固定されている。広告板部材32に絵や文字等の広告内容(広告コンテンツ)を表示することで、通行人に対して広告内容を視認させることが可能となる。
【0031】
また、前看板3の広告板部材32の大きさは適宜調整可能であるが、枠部材31の内部にしっかりと収まる大きさとなっていることが好ましい。
【0032】
また、前看板3の広告板部材32は板状の部材であるがその材質は適宜選択可能であるが、木材、プラスチック、金属等を用いることができる。
【0033】
また、本開閉式看板1の前看板3は、上記の通り、支柱2に対して開閉自在に接続される。これにより、閉状態と開状態を実現でき、閉状態では通常の広告看板としての機能を、開状態では屋根付きのテントとしての機能を発揮することができるようになる。ここで上記の記載からすでに明らかであるが「閉状態」とは、支柱2に対して前看板3が接触した状態をいい、「開状態」とは、支柱2に対して前看板3の広告面が離れた状態をいい、より具体的には支柱2の延伸軸方向に対して、広告板部材32の面が60度以上210度以下の角度範囲となっている状態をいう。
【0034】
また、本開閉式看板1の前看板3と支柱2の接続構造としては、上記の開状態及び閉状態を実現することができる限りにおいて限定されるわけではないが、例えば前看板3の上辺と略平行な方向に沿った少なくとも2枚の羽根板部材51と、この少なくとも2枚の羽根板部材に挿入される軸52とを有するいわゆる蝶番5であることが好ましい。この羽根板部材51のいずれか一方を支柱2に、他方を前看板3に接続することで、支柱2に対して前看板3を吊り下げ固定することが可能となるとともに、蝶番5の軸を中心に前看板3を回転させることが可能となる。接続構造に係る蝶番5及びその近傍の拡大図について
図7に示す。
【0035】
また、本開閉式看板1は、支柱2と前看板3の開状態を支える支持部材4を備える。支持部材4を設けることで、開状態を安定的に維持することが可能となる。
【0036】
まず、本開閉式看板1の支持部材4の構造は適宜選択及び調整が可能であり限定されるわけではないが、支柱2と前看板3を接続するスプリング41であることが好ましい。本開閉式看板1においてスプリング41は、二つの物体の間に配置され、これらの間に反発する力を生じさせることができるものである。スプリングとしては、いわゆるダンパーであることが好ましい。ダンパーとしては、中空の筒部と、この筒部内を摺動するシリンダと、その筒部とシリンダの間に反発力を生じさせる反発部材と、を有している構造を採用できる。このようにすることで、筒部を支柱2又は前看板3に固定し、他方のシリンダを前看板3又は支柱2に固定することで、開状態となった場合に、支柱2と前看板3の間の反発力を生じさせることができるようになる。なおここで反発部材としては、金属バネであってもよいが、中空の筒部内にシリンダに対する反発力を生じさせるためのガスを高圧力で充填させておく構造(いわゆるガススプリング)とすることも好ましい。
【0037】
また、本開閉式看板1では、支柱2と前看板3を固定するための固定部材6を備えることも好ましい。上記のように、支持部材4は開状態において支柱2と前看板3を支えることができるようになっている。一方で、このように構成すると、閉状態にした場合においても支柱2と前看板3が反発して開状態になろうとしてしまうおそれがある。そのため、固定部材6を設けることで、勝手に開いてしまわないようにすることができる。この構造については特に限定されるわけではないが、前看板3の枠部材に設けられる孔と、この孔に挿入するための引掛鍵と、を有する構造としておくことが簡便である。ただし、この機能を有する限りにおいて限定されずこれ以外の構成についても当然可能である。
【0038】
また、本開閉式看板1において、支持部材4は、前看板3と設置面の間に設けられる棒状部材42であることも好ましい。このように棒状部材42を設けることで、より確実に開状態を維持することができるようになる。なおこの棒状部材42は、支柱2及び前看板3から完全に独立した単なる棒状部材であってもよいが、前看板3に回転可能に接続され、開状態の場合はその接続点を中心に回転し、設置面に接触する構造となっていてもよい。
【0039】
以上、本開閉式看板1によって、宣伝広告的機能の他に有用な機能を発揮することができる。より具体的に説明すると、本開閉式看板1は、閉状態において通常の看板としての機能を発揮することができる一方、開状態とした場合、この広告板部材を屋根とすることが可能であり、例えば雨天時においてこの下で雨宿りをすることが可能となる。またイベント時においては、この屋根をテントとして活用し、売店や休憩等のスペースとして活用することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は看板として産業上の利用可能性がある。
【要約】
【課題】本発明は、宣伝広告的機能の他に有用な機能を発揮することのできる看板を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一観点に係る開閉式看板は、設置面に対して固定される複数の支柱と、支柱に対して開閉自在に接続される前看板と、支柱と前看板の開状態を支える支持部材と、を備えるものである。また、本観点において、限定されるわけではないが、支柱と前看板を固定するための固定部材と、枠部材に固定される広告板部材を有する前看板と、を備えるものである。
【選択図】
図1