(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20220601BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 L
(21)【出願番号】P 2017213547
(22)【出願日】2017-11-06
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】三浦 辰弥
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050410(JP,A)
【文献】特開2011-066368(JP,A)
【文献】特開2004-088017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0101633(US,A1)
【文献】特開2004-014785(JP,A)
【文献】特開2009-135205(JP,A)
【文献】特開2004-214462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に搬送ロボットを備えた搬送室と共にEFEMを構成するロードポートであって、
起立姿勢で前記搬送室に併設され且つ第1搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、
複数の前記第1搬送対象物を多段状に収容可能なスロットを有する第1搬送容器を載置可能な載置テーブルと、
前記フレームの前記開口部を開閉可能なロードポートドアと、
外部から搬送されてきた前記
第1搬送容器を前記載置テーブル上に保持する着座保持機構と、
前記ロードポートドアを前記搬送室側に後退したドア開放位置に移動させることにより前記フレームの前記開口部を開状態にするドア開閉機構と、
前記フレームに対して前方に突出する姿勢で配置された前記載置テーブル上で前記
第1搬送容器を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向に移動させる牽引機構と、
前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にした状態において、前記搬送対象物受渡位置にある前記
第1搬送容器内の前記各スロットにおける前記第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構と、
前記着座保持機構、前記牽引機構、前記ドア開閉機構、及び前記マッピング機構の動作を司る制御部とを備え、
前記マッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、前記マッパーを支持し且つ開状態にある前記開口部を通じて前記
第1搬送容器に前記第1搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置に前記マッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、
前記載置テーブルは、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器を載置可能なものであり、
前記制御部は、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器又は前記
第1搬送容器を前記着座保持機構により前記載置テーブル上に保持する着座保持処理と、前記牽引機構によって前記載置テーブル上の前記第2搬送容器又は
第1搬送容器を前記着座位置から前記搬送対象物受渡位置まで移動させる後方牽引処理と、前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にするドア開放処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記マッパーを前記第1マッピング位置に位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記第2搬送容器に前記第2搬送対象物が収容されていることを
、前記第1マッピング処理で用いる前記マッピングセンサと共通の前記マッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置に前記マッパーを位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第2マッピング処理とを実行可能であり、前記第1マッピング処理及び前記第2マッピング処理の何れか一方又は両方を選択的に実行することを特徴とするロードポート。
【請求項2】
前記第1マッピング位置は、前記フレームのうち前記搬送室に対面する後壁面よりも前方に前記マッピングセンサが配置される位置であり、
前記第2マッピング位置は、前記フレームの前記後壁面よりも後方に前記マッピングセンサが配置される位置である請求項1に記載のロードポート。
【請求項3】
前記制御部が、前記着座保持機構によって前記
第1搬送容器又は前記第2搬送容器の何れを保持したかを判別する容器判別部を有し
、
前記容器判別部が前記第2搬送容器を前記着座保持機構によって保持したと判断した場合、前記着座保持処理、前記ドア開放処理、前記後方牽引処理をこの順で実行した後に、前記第1マッピング処理及び前記第2マッピング処理の両方を実行する請求項2に記載のロードポート。
【請求項4】
多段式スロットに複数枚の第1搬送対象物を格納可能な第1搬送容器と搬送室との間で前記第1搬送対象物を受け渡しするために用いられ、前記第1搬送容器の各スロットにおける第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を備えたロードポートにおけるマッピング処理方法であって、
前記ロードポートは、第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに複数格納可能な第2搬送容器との間で前記第2搬送対象物を受け渡し可能に構成されており、
前記マッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、前記マッパーを支持し且つ前記第1搬送容器に前記第1搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置に前記マッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、
前記マッパーを前記第1マッピング位置に位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、前記第2搬送容器に前記第2搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置に前記マッパーを位置付けてマッピング処理を実行する第2マッピング処理の両方を実行し、前記第1搬送容器に前記第2搬送対象物が混載されているか否か、または前記第2搬送容器に前記第1搬送対象物が混載されているか否かを検知することを特徴とするロードポートにおけるマッピング処理方法。
【請求項5】
内部に搬送ロボットを備えた搬送室と共にEFEMを構成するロードポートであって、
起立姿勢で前記搬送室に併設され且つ第1搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、
複数の前記第1搬送対象物を多段状に収容可能なスロットを有する第1搬送容器を載置可能な載置テーブルと、
前記フレームの前記開口部を開閉可能なロードポートドアと、
外部から搬送されてきた前記第1搬送容器を前記載置テーブル上に保持する着座保持機構と、
前記ロードポートドアを前記搬送室側に後退したドア開放位置に移動させることにより前記フレームの前記開口部を開状態にするドア開閉機構と、
前記フレームに対して前方に突出する姿勢で配置された前記載置テーブル上で前記第1搬送容器を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向に移動させる牽引機構と、
前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にした状態において、前記搬送対象物受渡位置にある前記第1搬送容器内の前記各スロットにおける前記第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構と、
前記着座保持機構、前記牽引機構、前記ドア開閉機構、及び前記マッピング機構の動作を司る制御部とを備え、
前記マッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、前記マッパーを支持し且つ開状態にある前記開口部を通じて前記第1搬送容器に前記第1搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置に前記マッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、
前記載置テーブルは、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器を載置可能なものであり、
前記制御部は、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器又は前記第1搬送容器を前記着座保持機構により前記載置テーブル上に保持する着座保持処理と、前記牽引機構によって前記載置テーブル上の前記第2搬送容器又は第1搬送容器を前記着座位置から前記搬送対象物受渡位置まで移動させる後方牽引処理と、前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にするドア開放処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記マッパーを前記第1マッピング位置に位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記第2搬送容器に前記第2搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置に前記マッパーを位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第2マッピング処理とを実行可能であり、前記第1マッピング処理及び前記第2マッピング処理の何れか一方又は両方を選択的に実行するように構成し、
前記第1マッピング位置は、前記フレームのうち前記搬送室に対面する後壁面よりも前方に前記マッピングセンサが配置される位置であり、
前記第2マッピング位置は、前記フレームの前記後壁面よりも後方に前記マッピングセンサが配置される位置であることを特徴とするロードポート。
【請求項6】
内部に搬送ロボットを備えた搬送室と共にEFEMを構成するロードポートであって、
起立姿勢で前記搬送室に併設され且つ第1搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、
複数の前記第1搬送対象物を多段状に収容可能なスロットを有する第1搬送容器を載置可能な載置テーブルと、
前記フレームの前記開口部を開閉可能なロードポートドアと、
外部から搬送されてきた前記第1搬送容器を前記載置テーブル上に保持する着座保持機構と、
前記ロードポートドアを前記搬送室側に後退したドア開放位置に移動させることにより前記フレームの前記開口部を開状態にするドア開閉機構と、
前記フレームに対して前方に突出する姿勢で配置された前記載置テーブル上で前記第1搬送容器を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向に移動させる牽引機構と、
前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にした状態において、前記搬送対象物受渡位置にある前記第1搬送容器内の前記各スロットにおける前記第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構と、
前記着座保持機構、前記牽引機構、前記ドア開閉機構、及び前記マッピング機構の動作を司る制御部とを備え、
前記マッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、前記マッパーを支持し且つ開状態にある前記開口部を通じて前記第1搬送容器に前記第1搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置に前記マッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、
前記載置テーブルは、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器を載置可能なものであり、
前記制御部は、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器又は前記第1搬送容器を前記着座保持機構により前記載置テーブル上に保持する着座保持処理と、前記牽引機構によって前記載置テーブル上の前記第2搬送容器又は第1搬送容器を前記着座位置から前記搬送対象物受渡位置まで移動させる後方牽引処理と、前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にするドア開放処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記マッパーを前記第1マッピング位置に位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記第2搬送容器に前記第2搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置に前記マッパーを位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第2マッピング処理とを実行可能であり、前記第1マッピング処理及び前記第2マッピング処理の何れか一方又は両方を選択的に実行するように構成し、
さらに、前記制御部が、前記着座保持機構によって前記第1搬送容器又は前記第2搬送容器の何れを保持したかを判別する容器判別部を有し、前記容器判別部が前記第2搬送容器を前記着座保持機構によって保持したと判断した場合、前記着座保持処理、前記ドア開放処理、前記後方牽引処理をこの順で実行した後に、前記第1マッピング処理及び前記第2マッピング処理の両方を実行することを特徴とするロードポート。
【請求項7】
内部に搬送ロボットを備えた搬送室と共にEFEMを構成するロードポートであって、
起立姿勢で前記搬送室に併設され且つ第1搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、
複数の前記第1搬送対象物を多段状に収容可能なスロットを有する第1搬送容器を載置可能な載置テーブルと、
前記フレームの前記開口部を開閉可能なロードポートドアと、
外部から搬送されてきた前記第1搬送容器を前記載置テーブル上に保持する着座保持機構と、
前記ロードポートドアを前記搬送室側に後退したドア開放位置に移動させることにより前記フレームの前記開口部を開状態にするドア開閉機構と、
前記フレームに対して前方に突出する姿勢で配置された前記載置テーブル上で前記第1搬送容器を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向に移動させる牽引機構と、
前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にした状態において、前記搬送対象物受渡位置にある前記第1搬送容器内の前記各スロットにおける前記第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構と、
前記着座保持機構、前記牽引機構、前記ドア開閉機構、及び前記マッピング機構の動作を司る制御部とを備え、
前記マッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、前記マッパーを支持し且つ開状態にある前記開口部を通じて前記第1搬送容器に前記第1搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置に前記マッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものであり、
前記載置テーブルは、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器を載置可能なものであり、
前記制御部は、前記第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器又は前記第1搬送容器を前記着座保持機構により前記載置テーブル上に保持する着座保持処理と、前記牽引機構によって前記載置テーブル上の前記第2搬送容器又は前記第1搬送容器を前記着座位置から前記搬送対象物受渡位置まで移動させる後方牽引処理と、前記ドア開閉機構によって前記開口部を開状態にするドア開放処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記マッパーを前記第1マッピング位置に位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、開状態にある前記開口部を通じて前記第2搬送容器に前記第2搬送対象物が収容されていることを前記マッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置に前記マッパーを位置付けて前記マッピング機構によるマッピング処理を実行させる第2マッピング処理とを実行可能であり、
前記搬送対象物受渡位置に位置付けた前記載置テーブル上の前記第1搬送容器内における前記第1搬送対象物の中心位置と、前記搬送対象物受渡位置に位置付けた前記載置テーブル上の前記第2搬送容器内における前記第2搬送対象物の中心位置とが一致するように収容された状態で前記第1マッピング処理及び前記第2マッピング処理の何れか一方又は両方を選択的に実行することを特徴とするロードポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程において、多段式スロットに複数枚のウェーハ等の搬送対象物を収納可能な搬送容器であるFOUPとの間で搬送対象物を受け渡しするために用いられるロードポート、特に、FOUPの各スロットにおける第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を備えたロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体の製造工程においては、歩留まりや品質の向上のため、クリーンルーム内でのウェーハの処理がなされている。近年では、ウェーハの周囲の局所的な空間についてのみ清浄度をより向上させる「ミニエンバイロメント方式」を取り入れ、ウェーハの搬送その他の処理を行う手段が採用されている。ミニエンバイロメント方式では、筐体の内部で略閉止されたウェーハ搬送室(以下、搬送室)の壁面の一部を構成するとともに、高清浄な内部空間にウェーハ等の搬送対象物が収納された搬送容器であるFOUP(Front-Opening Unified Pod)を載置し、FOUPのドアに密着した状態で当該FOUPドアを開閉させる機能を有するロードポートが搬送室に隣接して設けられている。以下では、FOUPドアに係合可能であってFOUPドアを開閉させるロードポートのドアを「ロードポートドア」とする。
【0003】
このようなロードポートは、搬送室との間で搬送対象物の出し入れを行うための装置であり、搬送室とFOUPの間におけるインターフェース部として機能する。そして、FOUPドアに対してロードポートドアを密着させた状態でこれらFOUPドア及びロードポートドアが同時に開けられると、搬送室内に配置された搬送ロボットによって、FOUP内の搬送対象物を搬送室内に取り出したり、搬送対象物を搬送室内からFOUP内に収納できるように構成されている。
【0004】
ロードポートには、FOUP内に設けた多段式スロットにおける搬送対象物の有無や収納姿勢を検出可能なマッピング機構が備えられている。マッピング機構の一例として、先端部にマッピングセンサを備えたマッパーを、ロードポートのフレームよりも搬送室側に後退させマッピング不能位置と、フレームの開口部を通じてマッピング不能位置よりもFOUP内に近付けたマッピング可能位置との間で移動可能に構成したものを挙げることができる。また、マッピング機構は、マッパーを支持するマッピング移動部(マッピングアーム)を備え、マッパーをマッピング可能位置に維持したままマッピングアームを高さ方向に移動させることで、多段式スロットにおける搬送対象物をスロット毎に検知可能に構成されている。なお、マッピングアームの昇降移動は、ロードポートドアの昇降移動と一体または独立に行われる。
【0005】
ところで、半導体製造の中間工程~後工程(例えば、バックラップ処理工程、ウェーハ積層処理工程、ダイシング処理工程等)では、搬送室に隣接して設けられた複数種類の処理室内でそれぞれ適宜の処理が施される。そのため、処理室内には、例えばバックラップ処理前のウェーハや、バックラップ処理後の薄いウェーハがリングフレームに保持された状態で搬送される。
【0006】
ここで、バックラップ処理後の薄ウェーハが保持されるリングフレームは、例えば0.3~0.7mm程度の厚さに設定されたものである。リングフレームに保持されたウェーハは、FOUPとは異なる専用の容器であるフレームカセットに収容された状態で搬送される。
【0007】
上記のような半導体製造の中間工程~後工程では、従来、リングフレームを搬送する専用のロボットや、リングフレームを収納したフレームカセットを搬送する専用のロボットによって中間処理工程以降の薄ウェーハ(リングフレームに保持された薄ウェーハ)が次工程に直接搬送されたり、ロードポートとは別のフレームカセット専用の載置スペースに搬送されていた。また、搬送室に対して処理内容(バックラップ処理工程、ウェーハ積層処理工程、ダイシング処理工程等)が異なる複数種の処理室が設ける半導体製造装置では、ロードポートへのフレームカセットの搬送、搭載は、作業者により行われていた。
【0008】
一方で、ロードポートとの間で搬送容器を受け渡しする機構(例えばOHT;Overhead Hoist Transfer)の搬送効率改善、搬送タクト改善という点に着目した場合、搬送室に対して処理内容が異なる複数種の処理室が設けられる構成において、薄ウェーハを保持するリングフレームをウェーハ搬送ロボットで搬送したり、フレームカセットの載置スペースとしてFOUPの載置スペースであるロードポートを利用することで、フレームカセットとFOUPを共通の装置を用いて取り扱うことが望ましいと考えられる。
【0009】
このような使用形態を想定した場合、中間処理工程以降、例えばバックラップ処理前のウェーハ、つまりリングフレームに保持されていないウェーハや、バックラップ処理後にリングフレームに保持されたウェーハが、ロードポート上のFOUP内またはフレームカセット内に混載して収容されてしまう事態が起こり得ると考えられる。すなわち、FOUPに収納されるべきウェーハが、フレームカセット内に誤投入・誤積載されたり、フレームカセットに収納されるべきリングフレームがFOUP内に誤投入・誤積載される事態が生じる可能性がある。このような事態が生じれば、半導体製造工程のスムーズな進行の妨げになり、製造効率の低下に直結する。
【0010】
特許文献1には、搬送容器の周囲に配置したマッピングセンサを搬送容器の高さ方向に沿って昇降移動することで、搬送容器内のスロット毎にウェーハが収納されているか否かを判定するマッピング処理が開示されている。このようなマッピング処理であっても、搬送容器内にウェーハが収納されているか否かの判定は可能であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1記載の構成では、搬送容器内に異なったサイズのウェーハが混載されている場合に、混載が生じているか否かを区別することはできないと考えられる。加えて、搬送容器の周囲にマッピングセンサを配置することが必須である特許文献1記載の構成は、マッピング機構の大型化を招来して占有面積も大きくなることに加えて、マッピングセンサからの照射光が搬送容器に遮られないように、搬送容器に遮蔽物がないこと、或いは搬送容器が透光性を有する素材から形成されていることが要求されるため、適用可能な搬送容器が限定されるという問題がある。
【0013】
また、異なるサイズのウェーハを処理するロードポートにおいて、マッピング装置を共用できるようにする技術として、検出波の照射軸を左右の水平方向へ向けたマッピングセンサを上下方向に移動するマッピングアームに取り付け、検出波の照射軸を左右の水平方向へ向けた第1の飛び出しセンサをマッピングセンサの移動方向へ離間させてマッピングデバイスに取り付け、さらに、検出波の照射軸をマッピングセンサの上下の移動方向へ向けた第2の飛び出しセンサを設けたマッピング装置も案出されている(特開2015-211164号公報参照)。
【0014】
このようなマッピング装置によれば、マッピングセンサを最も小さい寸法の搬送容器の内部に挿入して、搬送容器内で上下方向に移動させる際に、マッピングセンサと衝突の恐れのある飛び出したウェーハを第1の飛び出しセンサによって検出するとともに、マッピングセンサよりも先行して移動する第1の飛び出しセンサと衝突の恐れのある飛び出したウェーハを第2の飛び出しセンサによって検出することが可能である。
【0015】
しかしながら、このようなマッピング装置は、マッピングセンサ以外に、第1の飛び出しセンサ及び第2の飛び出しセンサが必須であるため、センサの数が増えて構造が複雑になり、コストも増大するという問題がある。
【0016】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、従来のロードポートの構成を大幅に変更することなく、中間工程を経る前後で平面寸法が異なる搬送対象物同士が搬送容器に混載(誤投入・誤積載を含む)されていることを検出することが可能であり、半導体製造における稼働率向上に寄与するロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法を提供することにある。なお、本発明は、中間処理後の搬送対象物の平面寸法がリングフレームの平面寸法に依存する態様に限定されず、中間工程前の搬送対象物と中間工程後の搬送対象物の平面寸法が異なる態様全般に適用可能な技術である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち本発明は、内部に搬送ロボットを備えた搬送室と共にEFEMを構成するロードポートに関するものである。本発明において、ロードポートと搬送室が並ぶ前後方向において、ロードポート側を前方と定義し、搬送室側を後方と定義する。
【0018】
本発明に係るロードポートは、起立姿勢で搬送室に併設され且つ第1搬送対象物が略水平姿勢で通過可能な開口部を有する平板状のフレームと、第1搬送容器たるFOUPを載置可能な載置テーブルと、FOUPが有するFOUPドアと係合可能であり且つフレームの開口部を開閉可能なロードポートドアと、外部から搬送されてきたFOUPを載置テーブル上に保持する着座保持機構と、ロードポートドアを搬送室側に後退したドア開放位置に移動させることによりフレームの開口部を開状態にするドア開閉機構と、フレームに対して前方に突出する姿勢で配置された載置テーブル上でFOUPを着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向に移動させる牽引機構と、ドア開閉機構によって開口部を開状態にした状態において、搬送対象物受渡位置にあるFOUP内の各スロットにおける第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構と、これら各機構(着座保持機構、牽引機構、ドア開閉機構、及びマッピング機構)の動作を司る制御部とを備えている。ここで、本発明における第1搬送対象物としては、ウェーハを挙げることができる。また、搬送対象物が例えばウェーハであれば、搬送対象物を搬送するための搬送室はウェーハ搬送室である。
【0019】
また、本発明における搬送ロボットは、搬送室内に配置されるものであればよく、既知のものを利用することができる。なお、搬送ロボットは、本発明のロードポートの一部を構成しないものであってよいし、本発明のロードポートの一部を構成するものであってもよい。搬送ロボットとしては、複数のアーム要素を連結したリンク機構の先端部にハンドを設け、このハンドによって搬送対象物を把持して搬送容器と搬送室との間で出し入れ可能に構成されたものが知られている。しかしながら、本発明における搬送ロボットはこのタイプに限定されない。
【0020】
本発明におけるマッピング機構は、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、マッパーを支持し且つ開状態にある開口部を通じてFOUPに第1搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置にマッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものである。ここで、本発明におけるマッピング移動部は、ドア開閉機構によりロードポートドアと共に前後方向及び上下方向に動作する第1動作条件と、ドア開閉機構とは独立に動作する第2動作条件の両方を満たすものであってもよいし、または何れか一方を満たすものであってもよい。また、本発明において、マッパーを第1マッピング位置に移動させる構成の具体例としては、マッピング移動部全体が傾動することでマッパーを前方へ傾動させて第1マッピング位置に位置付ける構成や、マッピング移動部全体が前方へスライド移動することでマッパーを前方へ移動させて第1マッピング位置に位置付ける構成を挙げることができる。
【0021】
そして、本発明に係るロードポートは、制御部が、第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器又は第1搬送対象物を着座保持機構により載置テーブル上に保持する着座保持処理と、牽引機構によって載置テーブル上の第2搬送容器又は第1搬送対象物を着座位置から搬送対象物受渡位置まで移動させる後方牽引処理と、ドア開閉機構によって開口部を開状態にするドア開放処理と、開状態にある開口部を通じてマッパーを第1マッピング位置に位置付けてマッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、開状態にある開口部を通じて第2搬送容器に第2搬送対象物が収容されていることを、第1マッピング処理で用いるマッピングセンサと共通のマッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置にマッパーを位置付けてマッピング機構によるマッピング処理を実行させる第2マッピング処理とを実行可能であり、第1マッピング処理及び第2マッピング処理の何れか一方又は両方を選択的に実行することを特徴としている。
【0022】
ここで、「第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物」の一例として、中間工程後において薄ウェーハ及びそれを保持しているリングフレームの組み合わせ、又はリングフレーム単体等を挙げることができるが、これに限定されない。なお、薄ウェーハは、薄ウェーハよりも平面寸法の大きいリングフレームごと搬送されるものであるため、第2搬送対象物の平面寸法を規定するパーツは薄ウェーハではなく、リングフレームである。このようなリングフレームが第2搬送対象物である場合、本発明における「第2搬送対象物を多段式スロットに収容可能な第2搬送容器」は、リングフレームを多段式に収容可能なフレームカセットであるが、第2搬送容器もまたこれに限定されない。
【0023】
このような本発明に係るロードポートによれば、FOUP内の各スロットにおける第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を用いて、第2マッピング処理を実行することにより第2搬送容器内の各スロットにおける第2搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングすることが可能である。
【0024】
そして、第1搬送対象物よりも第2搬送対象物の平面寸法が大きい場合、載置テーブルに載置された第1搬送容器であるFOUP内のスロット毎に第2搬送対象物が収納されているか否かを判定する第2マッピング処理を行い、第2搬送対象物が収納されていることを検知すれば、FOUPに第2搬送対象物が誤投入されていることを把握することができる。また、載置テーブル上に第2搬送容器が載置された場合において、第2マッピング処理によって第2搬送対象物が収納されていないとの情報に関連付けられたスロットに対する第1マッピング処理の検知結果が、第1搬送対象物が収納されているとの検知結果であれば、第2搬送容器に第1搬送対象物が誤投入されていることを把握することができる。
【0025】
このように、本発明に係るロードポートによれば、少なくともマッパー及びマッピング移動部を備えたマッピング機構を利用して、第1マッピング処理の検知結果と、第2マッピング処理の検知結果(検知情報)の両方、または何れか一方に基づいて、平面寸法の異なる搬送対象物が搬送容器内に混載されているか否か特定することが可能である。したがって、本発明に係るロードポートによれば、従来のロードポートの構成を大幅に変更することなく、マッピング機構の大型化及び構造の複雑化を回避して、中間工程以降、平面寸法が異なる搬送対象物を共通のロードポート上に載置されたFOUP(第1搬送容器)または第2搬送容器に収容して取り扱う使用形態を採用した場合であっても、異なる搬送対象物がFOUPまたは第2搬送容器に誤って混載(誤投入・誤積載)されていることを検知することが可能であり、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。
【0026】
なお、第1又は第2搬送容器内に第1又は第2搬送対象物の混載が許容される場合であっても、本発明によればその混載の状態をマッピング処理によって把握することができる。
【0027】
さらに、本発明では、第2マッピング処理実行時にマッパーが位置付けられる第2マッピング位置を、第1マッピング処理実行時にマッパーが位置付けられる第1マッピング位置と異なる位置に設定している。本発明の比較例として、同じマッピング処理位置に位置付けたマッパーのマッピングセンサによって平面寸法の異なる搬送対象物を検知する構成であれば、相互に平面寸法の異なる搬送対象物同士の外縁の一部を合致させる必要がある。そして、平面寸法の異なる搬送対象物同士の外縁の一部を合致させるために、搬送対象物の平面寸法に応じて搬送ロボットによる搬送対象物の搬送距離や搬送位置を変更しなければならず、煩雑な制御が強いられる。一方、本発明のロードポートでは、載置テーブル上における搬送対象物の中心を、第1搬送対象物と第2搬送対象物とで異ならせる必要はなく、搬送ロボットの搬送制御として従来のシンプルな制御を採用することができる。したがって、本発明によれば、搬送ロボットによる搬送対象物の搬送距離や搬送位置を搬送対象物の平面寸法に応じて変更することが要求されず、上述の比較例と比べてシンプルな制御になり、半導体製造における稼働率向上にも寄与する。
【0028】
本発明における「第1マッピング位置」及び「第2マッピング位置」は、第1搬送対象物及び第2搬送対象物の平面寸法に応じて適宜設定することが可能であるが、第1マッピング位置の好適な例として、フレームのうち搬送室に対面する後壁面(搬送室に最も近い壁面)よりも前方にマッピングセンサが配置される位置を挙げることができ、第2マッピング位置の好適な例として、フレームの後壁面よりも後方にマッピングセンサが配置される位置を挙げることができる。そして、本発明では、第1マッピング位置にマッパーを位置付けた状態でマッピング移動部を昇降動作させることにより第1マッピング処理を行うように設定するとともに、第2マッピング位置にマッパーを位置付けた状態でマッピング移動部を昇降動作させることにより第2マッピング処理を行うように設定することが可能である。
【0029】
加えて、本発明に係るロードポートにおいて、制御部が、着座保持機構によってFOUP又は第2搬送容器の何れを保持したかを判別する容器判別部を有するものであれば、容器判別部による判別情報に基づいて、着座保持処理、ドア開放処理、後方牽引処理、第1マッピング処理、第2マッピング処理の順序や、第1マッピング処理と第2マッピング処理を両方行うか、或いは何れか一方のマッピング処理のみを行うか等を予め設定した動作シーケンスに基づいて、各機構の動作を自動制御することが可能である。
【0030】
特に、本発明において、制御部は、着座保持機構によって第2搬送容器を保持したと容器判別部が判断した場合、着座保持処理、ドア開放処理、後方牽引処理をこの順で実行した後に、第1マッピング処理及び第2マッピング処理の両方を実行するものであることが好ましい。これは、第2搬送容器がFOUPよりも前後方向の寸法が大きい場合に、ドア開放処理よりも先に後方牽引処理を行った場合にロードポートドアに第2搬送容器が衝突するという事態を回避するための本発明特有の動作シーケンスである。なお、第1マッピング処理と第2マッピング処理の順番は特に限定されない。なお、前後方向の寸法がFOUPよりも大きい第2搬送容器に収容される第2搬送対象物は、第1搬送対象物よりも大きい平面寸法である。このような第2搬送容器に第1搬送対象物と第2搬送対象物が混載していることを検知するマッピング精度は、第2搬送対象物の有無を判定する第2マッピング処理と、第1搬送対象物の有無を判定する第1マッピング処理の両方を行うことで高めることができる。
【0031】
また、本発明は、多段式スロットに複数枚の第1搬送対象物を格納可能な第1搬送容器と搬送室との間で第1搬送対象物を受け渡しするために用いられ、第1搬送容器の各スロットにおける第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を備えたロードポートにおけるマッピング処理方法に関し、ロードポートとして、第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物を多段式スロットに複数格納可能な第2搬送容器との間で第2搬送対象を受け渡し可能に構成されたものを適用し、マッピング機構として、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、マッパーを支持し且つ第1搬送容器に第1搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置にマッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものを適用し、マッパーを第1マッピング位置に位置付けてマッピング機構によるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、第2搬送容器に第2搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置にマッパーを位置付けてマッピング処理を実行する第2マッピング処理の両方を実行し、第1搬送容器に第2搬送対象物が混載されているか否か、または第2搬送容器に第1搬送対象物が混載されているか否かを検知することを特徴としている。
【0032】
このようなマッピング処理方法であれば、上述のロードポートが奏する種々の作用効果と同様の作用効果を奏し、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。特に、本発明では、第1搬送対象物及び第2搬送対象物が第1搬送容器又は第2搬送容器内にて互いの中心位置を相互に一致するように収容された状態でマッピング処理(第1マッピング処理、第2マッピング処理)を実行することが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、半導体製造工程において、多段式スロットに複数枚のウェーハを格納可能な第1搬送容器との間でウェーハ等の第1搬送対象物を受け渡しするために用いられ、第1搬送容器の各スロットにおける第1搬送対象物の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構を備えたロードポートであって、第1搬送対象物よりも平面寸法が大きい第2搬送対象物を多段式スロットに複数格納可能な第2搬送容器との間で第1搬送対象物を受け渡し可能に構成されており、マッピング機構として、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、マッパーを支持しドア開閉機構によりロードポートドアと共に動作可能であり、且つドア開閉機構とは独立に動作可能であるマッピング移動部とを備えたものを適用し、FOUPに第1搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置にマッパーを位置付けてマッピング処理を実行する第1マッピング処理と、第2搬送容器に第2搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置にマッパーを位置付けてマッピング処理を実行する第2マッピング処理を実行可能であり、第一マッピング処理と第二マッピング処理の一方又は両方を選択的に実行することを特徴としたロードポート及びマッピング処理方法である。
【0034】
すなわち、本発明は、シンプルな構成のマッピング機構を用いて、第1マッピング処理及び第2マッピング処理を実行可能に構成し、第1マッピング処理と第2マッピング処理の一方又は両方を選択的に実行するという斬新な技術的思想を採用している。このような技術的思想に基づく本発明によれば、マッピング機構の大型化及び構造の複雑化を回避して、共通のロードポート上の第1搬送容器たるFOUPまたは第2搬送容器に、中間処理工程を経る前後で平面寸法が異なる搬送対象物が混載しているか否か検知することが可能であり、半導体製造における稼働率向上に寄与するロードポート、及びロードポートにおけるマッピング処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロードポートを備えたEFEMとその周辺装置の相対位置関係を示す模式的に示す側面図。
【
図2】
図1に示す相対位置関係を簡略化した平面図。
【
図4】同実施形態に係るロードポートを一部省略して示す正面図。
【
図5】載置テーブル上にフレームカセットが載置され且つロードポートドアがドア開放位置にある状態の同実施形態に係るロードポートの側面図。
【
図6】マッパーを第1マッピング位置に位置付けた状態を
図5に対応して示す図。
【
図8】FOUP内のスロットに収容した第1搬送対象物に対するマッピング機構のマッピング処理動作を模式的に示す図。
【
図9】第2搬送容器内のスロットに収容した第2搬送対象物に対するマッピング機構のマッピング処理動作を模式的に示す図。
【
図10】本実施形態におけるロードポートの動作手順を示すフローチャート。
【
図11】本実施形態における第1マッピング処理及び第2マッピング処理の検知状況及びマッピング結果を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0037】
本実施形態に係るロードポート1は、例えば半導体の製造工程において用いられ、
図1及び
図2に示すように、クリーンルーム内において、搬送室2の壁面の一部を構成し、搬送室2とFOUP3等の搬送容器3との間でウェーハW等の搬送対象物の出し入れを行うためのものである。ロードポート1は、EFEM(Equipment Front End Module)の一部を構成し、搬送容器3と搬送室2のインターフェース部分として機能するものである。EFEMで取り扱うウェーハWのサイズはSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格として標準化され、本実施形態では直径300(半径150)mmのウェーハWを適用している。
【0038】
本実施形態におけるFOUP3は、
図1に模式的に示すように、搬出入口31を通じて内部空間3Sを後方にのみ開放可能なFOUP本体32と、搬出入口31を開閉可能なFOUP本体32を備えている。FOUP3は、内部に多段式スロットを設け、各スロットに搬送対象物WであるウェーハWを収容可能に構成され、搬出入口31を介してこれらウェーハWを出し入れ可能に構成された既知のものである。FOUP3内のスロット34にウェーハWを収容した状態を後出の
図8に模式的に示す。FOUP本体32の上向面には、搬送容器3を自動で搬送する装置(例えばOHT:Over Head Transport)等に把持されるフランジ部35を設けている。
【0039】
本実施形態に係るロードポート1は、
図2乃至
図6等に示すように、搬送室2の壁面の一部を構成し、且つ搬送室2の内部空間2Sを開放するための開口部41が形成された板状をなすフレーム4と、フレーム4に対して前方に突出させた略水平姿勢で設けた載置テーブル5と、外部から搬送されてきたFOUP3を載置テーブル5上に保持する着座保持機構6と、載置テーブル5上でFOUP3を着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させる牽引機構7と、フレーム4の開口部41を開閉するロードポートドア8と、ロードポートドア8を搬送室2側に後退したドア開放位置(O)に移動させることによりフレーム4の開口部41を開状態にするドア開閉機構9と、ドア開閉機構9によってフレーム4の開口部41を開状態にした状態において、搬送対象物受渡位置にあるFOUP3内の各スロット34におけるウェーハW(本発明の「第1搬送対象物」に相当)の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mとを備えている。
【0040】
フレーム4は、起立姿勢で配置され、載置テーブル5上に載置したFOUP3の搬出入口と連通し得る大きさの開口部41を有する略矩形板状のものである。
図1にフレーム4の開口部41を模式的に示している。本実施形態のロードポート1は、フレーム4によって搬送室2の壁面の一部を構成している。フレーム4の下端には、キャスタ及び設置脚を有する脚部42を設けている。
【0041】
載置テーブル5は、フレーム4のうち高さ方向中央よりもやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置される水平基台50(支持台)の上部に設けられ、FOUP本体32がフレーム4に対向する向きでFOUP3を載置可能なものである。
図4に示すように、載置テーブル5には、上向きに突出させた複数の突起51を設け、これらの突起51をFOUP3の底面に形成された穴(図示省略)に係合させることで、載置テーブル5上におけるFOUP3の位置決めを図っている。
【0042】
着座保持機構6は、載置テーブル5に設けたロック爪61(
図5参照)を、FOUP3の底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けて固定したロック状態にすることで、FOUP3を載置テーブル5上に保持するものである。また、本実施形態のロードポート1では、被ロック部に対するロック爪61のロック状態を解除することで、FOUP3を載置テーブル5から離間可能な状態にすることができる。
【0043】
牽引機構7は、載置テーブル5上でFOUP3を、FOUP本体32がロードポートドア8から所定距離離間した位置である着座位置と、FOUP本体32をロードポートドア8に密着させる位置である搬送対象物受渡位置との間で前後方向Dに移動させるものである。牽引機構7は、載置テーブル5を前後移動させる図示しないスライドレール等を用いて構成されている。着座保持機構6及び牽引機構7は、載置テーブル5が備える機構として捉えることもできる。
【0044】
なお、
図1では、載置テーブル5上におけるFOUP3の載置状態として、載置テーブル5の上面にFOUP3の底面が接触している状態として簡略化して示している。しかしながら、実際には、載置テーブル5の上面よりも上方に突出している複数の突起51が、FOUP3の底面に形成された有底の穴に係合することでFOUP3を支持しており、載置テーブル5の上面とFOUP3の底面は相互に接触せず、載置テーブル5の上面とFOUP3の底面の間に所定の隙間が形成されるように規定されている。
【0045】
本発明及び本実施形態では、載置テーブル5に載置したFOUP3とフレーム4が並ぶ前後方向D(
図1等参照)において、FOUP3側を前方と定義し、フレーム4側を後方と定義する。
【0046】
ロードポートドア8は、フレーム4の開口部41を密閉する全閉位置(C)と、全閉位置(C)よりも搬送室2側に後退したドア開放位置(O)と、開口部41の開口スペースを後方に全開放させる全開位置(図示省略)との間で移動可能なものである。ロードポートドア8は、FOUP本体32を吸着して保持可能な係合部81を備え(
図4参照)、FOUP本体32との係合状態を維持したままFOUP本体32と一体的に全閉位置(C)、ドア開放位置(O)及び全開位置の間で移動可能に構成されている。本実施形態では、全閉位置(C)、ドア開放位置(O)及び位置付けたロードポートドア8の姿勢を同じ姿勢に設定している。そして、全開位置と全閉位置(C)との間におけるロードポートドア8の移動経路は、全閉位置(C)にあるロードポートドア8をその高さ位置を維持したままドア開放位置(O)まで搬送室2側へ移動させた経路(水平経路)と、ドア開放位置(O)にあるロードポートドア8をその前後位置を維持したまま全開位置まで下方へ移動させた経路(鉛直経路)とからなる。ドア開放位置(O)に位置付けたロードポートドア8が鉛直方向及び水平方向の何れにも移動できるように、ドア開放位置(O)に位置付けたロードポートドア8に保持されるFOUP本体32は、ロードポートドア8と共にフレーム4よりも後方の位置(FOUP本体32から完全に離間し、搬送室2の内部空間2Sに配置される位置)に位置付けられる。
【0047】
このようなロードポートドア8の移動は、ロードポート1に設けたドア開閉機構9によって実現している。ドア開閉機構9は、ロードポートドア8をドア開放位置(O)や全開位置に移動させることによって、開状態にしたフレーム4の開口を介してFOUP3の内部空間を搬送室2に連通させるものである。ドア開閉機構9は、例えばロードポートドア8を支持する支持フレーム80を前後方向Dに移動可能に支持する可動ブロック(図示省略)や、可動ブロックを上下方向Hに移動可能に支持するスライドレール(図示省略)を用いて構成され、アクチュエータ等の駆動源(図示省略)を作動させて、ロードポートドア8を前後方向D及び上下方向Hに移動させるものである。なお、前後移動用のアクチュエータと、上下移動用のアクチュエータとを別々に備えた態様であってもよいが、部品点数の削減という点では、共通のアクチュエータを駆動源としてロードポートドア8の前後移動及び上下移動を行う態様が優れている。
【0048】
本実施形態のロードポートドア8は、FOUPドア32とFOUP本体32との係合状態(ラッチ状態)を解除してFOUPドア32をFOUP本体32から取り外し可能な状態(アンラッチ状態)にする連結切替機構82を備えている(
図4参照)。
【0049】
マッピング機構Mは、
図3、
図5及び
図8等に示すように、FOUP3内に設けた多段式スロット34により高さ方向Hに多段状に収納された搬送対象物Wの有無を検出可能なマッピングセンサM1(送信器M11、受信器M12)を先端部に有するマッパーM2と、マッパーM2を支持するマッピングアームM3(本発明の「マッピング移動部」に相当)とを備え、FOUP3内における搬送対象物Wの有無や収納姿勢を検出可能なものである。
図8に、FOUP3内においてスロット34に載置されているウェーハW(第1搬送対象物)の収容状態を模式的に示す。
【0050】
マッパーM2は、
図8に示すように、マッピングアームM3の所定箇所から前方に突出する形態で幅方向に所定距離隔てて左右一対に並設され、先端部にマッピングセンサM1を取り付けたものである。マッピングセンサM1は、信号であるビーム(線光)を発する送信器M11(発光センサ)と、送信器M11から発せられた信号を受信する受信器M12(受光センサ)とから構成される。なお、マッピングセンサM1を送信器と、送信器から発せられた線光を送信器に向かって反射する反射部とによって構成することも可能である。この場合、送信機は、受信器としての機能も有する。
図8に示すように、光軸MLを左右の水平方向へ向けたマッピングセンサM1(M11、M12)がマッピング処理時に検知対象である搬送対象物Wに干渉しないように、マッピングセンサM1(M11、M12)同士の左右のスパンを搬送対象物Wの平面寸法に応じて適宜の値に設定している。
【0051】
マッピングアームM3は、前後方向DにおけるマッパーM2の位置を、
図8(ii)に示す位置、すなわち、開状態にある開口部41を通じてFOUP3にウェーハWが収容されていることをマッピングセンサM1で検知可能な第1マッピング位置(P1)と、
図8(i)に示す位置、すなわち、FOUP3にウェーハWが収容されていることをマッピングセンサM1で検知不能なウェーハマッピング不能位置(P2)との間で移動させるものである。本実施形態のマッピングアームM3は、
図3に示すように、上枠部M31と、上枠部M31の両端からそれぞれ下方に延在する左右一対の側枠部M32と、両側枠部M32の下端部間に設けた下枠部M33とを一体又は一体的に有する枠状をなし、これら上枠部M31、両側枠部M32及び下枠部M33によって囲まれた前後方向Dに開口するマッピングアームM3の内部空間MSに、ロードポートドア8自体、さらにはロードポートドア8の周辺パーツを搬送室2側から被覆するドアカバー83を収容できるように構成している。
【0052】
本実施形態では、マッピングアームM3の上枠部M31にマッパーM2を前方に突出させた姿勢で支持している。したがって、マッパーM2の先端部に設けたマッピングセンサM1は、マッピングアームM3よりも前方に突出した位置に配置される。本実施形態のロードポート1は、ドア開閉機構9を構成するパーツにマッピングアームM3の下枠部M33を取り付けている。具体的には、ロードポートドア8を支持する支持フレーム80に下枠部M33を取り付けている。したがって、ドア開閉機構9によるロードポートドア8の昇降作動に伴ってマッピングアームM3も一体に作動する。その結果、マッピング機構M全体がロードポートドア8と同じ方向に昇降移動する。なお、本実施形態では、マッピング機構Mとドア8とが一体に作動する構成を採用したが、マッピング機構Mに専用の昇降機構(マッピング機構Mのみを単独で昇降させる機構)を設けることで、ドア8に対してマッピング機構Mが独立して昇降する構成としても良い。
【0053】
本実施形態のマッピング機構Mは、マッピングアームM3とドア開閉機構9との取付部における枢支点を中心にマッピングアームM3全体を傾動させる傾動機構M4を備えている。傾動機構M4は、
図3、
図5及び
図6に示すように、下枠部M33に連結した傾動クランクM41と、長手方向と一致する軸方向をロードポート1の幅方向に一致させた姿勢で配置され、且つ傾動クランクM41及びドア支持フレーム80を相互に連結する連結軸M42(枢支点に相当)と、フレーム4に形成したスリット状の挿通孔を前後方向Dに貫通する姿勢で配置されて前後方向Dに進退動作可能な進退可動部M43と、傾動クランクM41の下端部を進退可動部M43の後端部に枢着する枢支軸M44とを備えている。
【0054】
このような傾動機構M4は、
図5等に示すマッパーM2をウェーハマッピング不能位置(P2)に位置付けた状態において、図示しない駆動源により進退可動部M43を後方(搬送室2側)へ移動させることで、傾動クランクM41の下端部を後方へ押して傾動クランクM41全体を枢支軸M44回りに回転(傾動)させる。これにより、傾動クランクM41は、上端部を前方(FOUP3側)に移動させる方向に回動し、傾動クランクM41に連結しているマッピングアームM3が、傾動クランクM41と同一方向へ傾動する。その結果、マッピングアームM3のうち両側枠部M32の上端部側領域及び上枠部M31全体が、開口部41を通じてフレーム4の最後面4Bよりも前方の空間(FOUP3側の空間)に突出する。以上により、マッパーM2は、
図6に示すように、開口部41を通じてフレーム4の最後面4Bよりも前方の空間にマッピングセンサM1を突出させた第1マッピング位置(P1)に位置付けられる。なお、傾動機構M4は、マッパーM2を第1マッピング位置(P1)に位置付けた状態において、進退可動部M43を前方(FOUP3側)へ移動させることで、マッパーM2をウェーハマッピング不能位置(P2)に位置付けることができる。
【0055】
マッピング機構Mは、マッパーM2の前後方向における位置を第1マッピング位置(P1)やウェーハマッピング不能位置(P2)に維持したまま上述のドア開閉機構9の昇降移動と一体に昇降可能に構成されている。このように、本実施形態におけるマッピングアームM3は、ドア開閉機構9によりロードポートドア8と共に前後方向及び上下方向に動作するものであり、且つドア開閉機構9とは独立に傾動機構M4によって動作するものである。
【0056】
本実施形態のロードポート1は、載置テーブル5に設けられFOUP3の底面側から当該FOUP3内に窒素ガスや不活性ガス又はドライエア等の適宜選択された気体である環境ガス(パージガスとも称され、本実施形態では主に窒素ガスやドライエアを用いている)を注入し、FOUP3内の気体雰囲気を環境ガスに置換可能なボトムパージ部を備えることができる。ボトムパージ部は、載置テーブル5上の所定箇所に複数設けた図示しないノズルを主体としてなり、複数のノズルを、所定の環境ガスを注入するボトムパージ注入用ノズルや、FOUP3内の気体雰囲気を排出するボトムパージ排出用ノズルとして機能させている。これら複数のノズルは、FOUP3の底部に設けた注入口及び排出口(ともに図示省略)に嵌合した状態で連結可能なものである。注入口を介してボトムパージ注入用ノズルからFOUP3の内部空間2Sに環境ガスを供給し、排出口を介してボトムパージ排出用ノズルからFOUP3の内部空間2Sの気体雰囲気(この気体雰囲気は、パージ処理実行開始から所定時間までは空気や空気以外の清浄度が低い環境ガスであり、当該所定時間経過後はFOUP3の内部空間2Sに充填された清浄度の高い環境ガスである)を排出することで、パージ処理を行うことが可能である。
【0057】
このようなロードポート1は、内部に搬送ロボット21を備えた搬送室2と共にEFEMを構成する。本実施形態では、
図2に示すように、搬送室2の前面(前壁面)2Fにロードポート1を複数(例えば3台)並べて配置している。EFEMの作動は、ロードポート1のコントローラ(
図2に示す制御部1C)や、EFEM全体のコントローラ(
図1に示す制御部C)によって制御される。
【0058】
搬送室2の内部空間2Sには、ウェーハW等の搬送対象物をロードポート1上のFOUP3と処理室Rとの間で搬送可能な搬送ロボット21が設けられている。搬送ロボット21は、
図1及び
図2に示すように、例えば複数のリンク要素を相互に水平旋回可能に連結し、先端部に搬送対象物把持部211(ハンド)を設けたアーム212と、アーム212の基端部を構成するアームベースを旋回可能に支持し且つ搬送室2の幅方向(ロードポート1の並列方向)に走行する走行部とを備えたものである。搬送ロボット21は、アーム長が最小になる折畳状態と、アーム長が折畳状態時よりも長くなる伸長状態との間で形状が変わるリンク構造(多関節構造)を有する。アーム212の先端に、個別に制御可能な複数のハンド211を高さ方向に多段状に設けた搬送ロボット21を適用することができる。
【0059】
搬送室2は、ロードポート1及び処理室Rが接続されることによって、内部空間2Sが略密閉された状態となるように構成している。搬送室2の内部空間2Sには、上方から下方に向かう気流であるダウンフローを形成している。したがって、搬送室2の内部空間2SにウェーハWの表面を汚染するパーティクルが存在した場合であっても、ダウンフローによってパーティクルを下方に押し下げ、搬送中のウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
図1には、ダウンフローを形成している搬送室2内の気体の流れを矢印で模式的に示している。搬送室2の側面や搬送室2の内部空間2Sにバッファステーション、アライナ等の適宜のステーションを配置したEFEMを構成することも可能である。
【0060】
本実施形態では、搬送室2のうちロードポート1を配置した壁面2F(前壁面)に対向する壁面2B(後壁面)に、処理室R(半導体処理装置)を幅方向に複数(図示例では3室)並べて配置し、各処理室R内でそれぞれ異なる適宜の処理が施されるように構成している。半導体製造工程の中間工程や後工程で行う処理例として、バックラップ処理工程、ウェーハ積層処理工程、ダイシング処理工程等を挙げることができる。なお、処理室Rの作動は、処理室Rのコントローラ(
図1に示す制御部RC)によって制御される。ここで、処理室R全体のコントローラ(制御部RC)や、EFEM全体のコントローラ(制御部C)は、ロードポート1の制御部1Cの上位コントローラである。
【0061】
各処理室Rの内部空間MS、搬送室2の内部空間2S及び各ロードポート1上に載置されるFOUP3の内部空間2Sは高清浄度に維持される。一方、ロードポート1を配置した空間、換言すれば処理室外、EFEM外は比較的低清浄度となる。なお、
図1及び
図2は、ロードポート1及び搬送室2の相対位置関係、及びこれらロードポート1及び搬送室2を備えたEFEMと、処理室Rとの相対位置関係を模式的に示した図である。
【0062】
本実施形態では、搬送室2に隣接して設けられた複数種類の処理室R内でそれぞれ適宜の処理が施される。したがって、搬送室2に隣接して設けられるロードポート1を介して処理室R内には、バックラップ処理前のウェーハWや、バックラップ処理後にリングフレームFに保持された薄ウェーハW1などが搬送される。ここで、バックラップ処理後の薄ウェーハW1(バックラップ処理前よりも薄く加工されたウェーハW1)を保持するリングフレームFは、ある程度の素子構造が形成され、バックラップ処理等により例えば0.3~0.7mm程度の厚さに設定されたものである。なお、バックラップ処理前後でウェーハWと薄ウェーハW1の平面寸法は変化してない。
図7(i)に第1搬送対象物であるウェーハWを示し、同図(ii)に薄ウェーハW1を保持していないリングフレームFを示し、同図(iii)に薄ウェーハW1を保持したリングフレームFを示す。
【0063】
リングフレームFは、ウェーハWよりも一回り大きい平面寸法を有するリング本体F1と、リング本体F1全体に貼り付けたフィルムF2とからなり、フィルムF2上にバックラップ処理後の薄ウェーハW1を貼着保持可能なものである。このようなリングフレームFに保持された薄ウェーハW1は、専用の搬送容器3であるフレームカセットCにリングフレームFごと収容された状態で搬送される。フレームカセットCには多段式のスロットC1が設けられ、各スロットC1にリングフレームFを載置可能に構成している。
図9に、フレームカセットCのスロットC1にリングフレームFを載置した状態を模式的に示す。
【0064】
本実施形態では、ロードポート1との間で搬送容器3を受け渡しする搬送容器自動搬送装置(OHT)の搬送効率改善、搬送タクト改善という点に着目し、搬送室2に対して処理内容が異なる複数種の処理室Rが設けられる構成において、バックラップ処理後の薄ウェーハW1を保持するリングフレームFを搬送ロボット21で搬送したり、フレームカセットCの載置スペースとしてFOUP3の載置スペースであるロードポート1を利用して、フレームカセットCとFOUP3を並行して使用可能に構成している。すなわち、ロードポート1をインターフェースとして、ロードポート1上に載置したフレームカセットCと搬送ロボット21との間でリングフレームFごと搬送可能に構成している。ここで、薄ウェーハW1を保持した状態のリングフレームFが本発明の「第2搬送対象物」に相当し、フレームカセットCが本発明の「第2搬送容器」に相当する。
【0065】
本実施形態のロードポート1では、ウェーハWとは平面寸法が異なるリングフレームFを多段状に収容するフレームカセットCを載置テーブル5に載置することができ、さらに、着座保持機構6によってフレームカセットCを載置テーブル5上に保持し、載置テーブル5上のフレームカセットCを牽引機構7によって着座位置と搬送対象物受渡位置との間で前後方向に移動可能に構成している。載置テーブル5上にFOUP3が載置されている場合の着座位置、搬送対象物受渡位置は、載置テーブル5上にフレームカセットCが載置されている場合の着座位置、搬送対象物受渡位置とそれぞれ同じである。つまり、載置牽引機構7による牽引処理時の載置テーブル5の移動量は、載置テーブル5上にFOUP3が載置されている場合と、載置テーブル5上にフレームカセットCが載置されている場合で同じ移動量である。
【0066】
本実施形態では、載置テーブル5上に保持する搬送容器3(FOUP3、フレームカセットC)のワーク中心(ウェーハWの中心、リングフレームFの中心)を相互に一致させている。したがって、載置テーブル5上のFOUP3を牽引機構7によって着座位置から搬送対象物受渡位置まで移動させた時点におけるFOUP3内のウェーハWの中心と、載置テーブル5上のフレームカセットCを牽引機構7によって着座位置から搬送対象物受渡位置まで移動させた時点におけるフレームカセットC内のリングフレームFの中心は一致している。これにより、搬送ロボット21によってワーク(ウェーハW、リングフレームF)を搬送容器3(FOUP3、フレームカセットC)に対して出し入れする際に、搬送ロボット21はワークセンタで合わせるだけでよく、異なる搬送容器3ごとのティーチングが不要になり、搬送ロボット21の制御が簡易になる。
【0067】
また、本実施形態では、フレーム4の開口部41を、リングフレームFが略水平姿勢で通過可能な開口サイズに設定している。
【0068】
ところで、バックラップ処理後の薄ウェーハW1を保持するリングフレームFをウェーハW搬送ロボット21で搬送したり、フレームカセットCの載置スペースとしてFOUP3の載置スペースであるロードポート1を利用して、共通のロードポート1にフレームカセットCとFOUP3を並行して使用可能に構成した場合、載置テーブル5上のフレームカセットCに、バックラップ処理前のウェーハWが、バックラップ処理後の薄ウェーハW1を保持するリングフレームFと混載したり、載置テーブル5上のFOUP3に、バックラップ処理後の薄ウェーハW1を保持するリングフレームFが、バックラップ処理前のウェーハWと混載する事態が起こり得ると考えられる。
【0069】
そこで、本実施形態に係るロードポート1では、載置テーブル5上の搬送容器3(FOUP3、フレームカセットC)内に搬送対象物W(バックラップ処理前のウェーハW、バックラップ処理後の薄ウェーハW1を保持するリングフレームF)が混載しているか否かをマッピング機構Mによるマッピング処理によって判別できるように構成している。
【0070】
本実施形態では、搬送対象物受渡位置に位置付けた載置テーブル5上の搬送対象物W(ウェーハW、リングフレームF)の中心を一致させているため、平面寸法が異なる搬送対象物W(ウェーハW、リングフレームF)のエンド位置とエンド位置は相互に一致せず、前後方向Dにおいて差が生じる。本実施形態では、この前後方向Dにおいて搬送対象物W(ウェーハW、リングフレームF)の位置に差が生じることを利用して、載置テーブル5上の搬送容器3(FOUP3、フレームカセットC)内に平面寸法の異なる搬送対象物(バックラップ処理前のウェーハW、バックラップ処理後の薄ウェーハW1を保持するリングフレームF)が混載しているか否かをマッピング機構Mによるマッピング処理によって判別できるように構成している。
【0071】
本実施形態の制御部1Cは、着座保持機構6によってFOUP3又はフレームカセットCの何れを載置テーブル5上に保持したかを判別する容器判別部1Caを有する。容器判別部1Caとして、載置テーブル5にフレームカセットCが載置された場合にのみ検知信号を発信するように構成したものを適用している。具体的には、反射型センサによる検知処理によって、載置テーブル5にフレームカセットCを保持したか否かを判別できるように構成している。
【0072】
そして、本実施形態に係るロードポート1は、制御部1Cが、開状態にある開口部41を通じてマッパーM2を第1マッピング位置(P1)に位置付けてマッピング機構Mによるマッピング処理を実行させる第1マッピング処理と、開状態にある開口部41を通じてフレームカセットCにリングフレームFが収容されていることをマッピングセンサM1で検知可能な第2マッピング位置(P2)にマッパーM2を位置付けてマッピング機構Mによるマッピング処理を実行させる第2マッピング処理とを実行可能であり、第1マッピング処理及び第2マッピング処理の何れか一方又は両方を選択的に実行することを特徴としている。本実施形態では、前後方向Dにおいて第2マッピング位置(P2)をウェーハマッピング不能位置(P2)と同じ位置に設定している。第1マッピング処理は、マッパーM2を第1マッピング位置(P1)に位置付けた状態でマッピングアームM3を昇降動作させることにより、搬送容器内のスロット毎(FOUP内のスロット34毎、フレームカセットC内のスロットC1毎)に搬送対象物に関する情報を取得する処理であり、第2マッピング処理は、マッパーM2を第2マッピング位置(P2)に位置付けた状態でマッピングアームM3を昇降動作させることにより、搬送容器3内のスロット34毎に搬送対象物Wに関する情報を取得する処理である。
【0073】
ここで、マッピングセンサM1は、信号であるビーム(線光)を発して、その信号を受信するか否かで搬送対象物Wの有無を検知するものであり、ビームの軌跡(線光ライン)を検出ラインMLと捉えることができる。すなわち、マッパーM2を第1マッピング位置(P1)に位置付けた状態で行う第1マッピング処理時の検出ラインMLは、FOUP3に収容されているウェーハWを横切るラインであり(
図7(ii)参照)、マッパーM2を第2マッピング位置(P2)に位置付けた状態で行う第2マッピング処理時の検出ラインMLは、フレームカセットCに収容されているリングフレームFを横切るラインである(
図8(i)参照)。特に、本実施形態では、フレームカセットCがウェーハWよりも大きい平面寸法であることに着目しマッパーM2を第2マッピング位置(P2)に位置付けた状態で行う第2マッピング処理時の検出ラインMLが、FOUP3に収容されているウェーハWを横切らないラインに設定している。このようなマッパーM2の第1マッピング位置(P1)及び第2マッピング位置(P2)は、搬送対象物W(ウェーハW、リングフレームF)の中心WC、FCまたは搬送容器3(FOUP3、フレームカセットC)の中心から検出ラインMLまでの前後方向Dに沿った距離に応じて設定することができる。
【0074】
第1マッピング処理時において、送信器M11から受信器M12に向かって信号を発することで送信器M11と受信器M12との間に形成されている信号経路は、ウェーハWの存在しているところでは遮られ、ウェーハWの存在していないところでは遮られずに受信器M12に達する。これにより、高さ方向Hに並んで収納されているウェーハWの有無や収納姿勢を順次検出することができる。こうして、FOUP3内の全てのスロット34またはフレームカセットC内の全てのスロットC1に関して、ウェーハWの有無や収納姿勢に関する情報(搬送対象物検出情報)を得ることができる。
【0075】
第2マッピング処理時において、送信器M11から受信器M12に向かって信号を発することで送信器M11と受信器M12との間に形成されている信号経路は、リングフレームFの存在しているところでは遮られ、リングフレームFの存在していないところでは遮られずに受信器M12に達する。これにより、高さ方向Hに並んで収納されているリングフレームFの有無や収納姿勢を順次検出することができる。こうして、FOUP3内の全てのスロット34またはフレームカセットC内の全てのスロット34に関して、リングフレームFの有無や収納姿勢に関する情報(搬送対象物検出情報)を得ることができる。
【0076】
本実施形態に係るロードポート1は、制御部1Cから各部、各機構に駆動指令を与えることで所定の動作を実行する。制御部1Cは、記憶部と、ROMと、RAMと、I/Oポートと、CPUと、外部の表示装置(不図示)等との間でのデータの入出力を行う入出力インタフェース(IF)と、これらを相互に接続して各部の間で情報を伝達するバスとを備えた構成を有する。
【0077】
記憶部には、このロードポート1で実行される処理の種類に応じて、制御手順(動作シーケンス)が記憶されている。つまり、この記憶部には、所定の動作プログラムが格納されている。本実施形態におけるプログラムは、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体(ハードディスク等)に実行可能なプログラムとして格納されているものである。
【0078】
ROMは、ハードディスク、EEPROM、フラッシュメモリなどから構成され、CPUの動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。RAMは、CPUのワークエリアなどとして機能する。I/Oポートは、例えば、CPUが出力する制御信号を各部、各機構へ出力したり、センサからの情報をCPUに供給する。
【0079】
CPUは、制御部1Cの中枢を構成し、ROMに記憶された動作プログラムを実行する。CPUは、記憶部に記憶されているプログラムに沿ってロードポート1の動作を制御する。
【0080】
次に、本実施形態に係るロードポート1の使用方法(特にマッピング処理方法)及び作用について、動作フローを示す
図10等を参照しながら説明する。
【0081】
先ず、搬送室2のうちロードポート1を配置した共通の壁面3Aに沿って延伸する直線上の搬送ライン(動線)で作動するOHT等の搬送容器自動搬送装置によりFOUP3またはフレームカセットCの何れか一方がロードポート1の上方まで搬送され、載置テーブル5上に載置されると、本実施形態に係るロードポート1では、制御部1Cが、着座保持機構6により載置テーブル5上に保持する着座保持処理St1を実行する(
図10参照)。本実施形態における着座保持処理St1の具体的な処理は、載置テーブル5上のロック爪61をFOUP3の底面またはフレームカセットCの底面に設けた被ロック部(図示省略)に引っ掛けてロック状態にする処理である。これにより、FOUP3またはフレームカセットCを載置テーブル5上の所定の着座位置に載置して固定することができる。FOUP3が載置テーブル5上に載置された場合、載置テーブル5に設けた位置決め用突起51がFOUP3の位置決め用凹部に嵌まる。
【0082】
本実施形態では、制御部1Cが、着座保持機構6によってFOUP3又はフレームカセットCの何れを保持したかを容器判別部1Caの出力信号に基づいて判別する(容器判別処理St2)。本実施形態の容器判別処理St2は、容器判別部1Caにより載置テーブル5上の搬送容器がフレームカセットCであるか否かを判別する処理である。そして、本実施形態のロードポート1は、載置テーブル5上にFOUP3を保持した場合と、載置テーブル5上にフレームカセットCを保持した場合で動作シーケンスを異ならせている。
【0083】
なお、本実施形態では、搬送室2の幅方向に3台並べて配置したロードポート1の載置テーブル5にそれぞれFOUP3またはフレームカセットCを載置することが可能であり、載置テーブル5上に搬送容器(FOUP3、フレームカセットC)所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサ(図示省略)により搬送容器(FOUP3、フレームカセットC)が載置テーブル5上の着座位置に載置されたことを検出するように構成することもできる。
【0084】
本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、載置テーブル5上にFOUP3を保持したと判別した場合(容器判別処理St2;No)には以下の処理手順を経る。上述の着座保持処理St1に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、牽引機構7により載置テーブル5を着座位置から搬送対象物受渡位置までフレーム4に向かって後退させる(後方牽引処理St3)。この後方牽引処理St3により、予め全閉位置(C)で待機させているロードポートドア8にFOUPドア32を連結(ドッキング)して密着状態で保持することができる。本実施形態では、上述のロードポートドア8に設けた係合部81を用いて当該ロードポートドア8にFOUPドア32を連結して密着状態で保持するように構成している。
【0085】
本実施形態のロードポート1では、載置テーブル5上の着座位置にFOUP3が載置された時点で、制御部1Cが、載置テーブル5に設けた例えば加圧センサをFOUP3の底面部が押圧したことを検出し、これをきっかけに、制御部1Cが、載置テーブル5に設けたボトムパージ注入用ノズル及びボトムパージ排出用ノズルを載置テーブル5の上面よりも上方へ進出させる駆動命令(信号)を与える。その結果、これら各ノズル(ボトムパージ注入用ノズル、ボトムパージ排出用ノズル)をFOUP3の注入口と排出口にそれぞれ連結し、パージ処理を実行可能な状態になる。
【0086】
そして、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが駆動命令を発して、FOUP3の内部空間2Sに対してパージ処理St4を実行する。このパージ処理St4は、注入口を介してボトムパージ注入用ノズルからFOUP3の内部空間2Sに所定の環境ガスを供給し、それまでFOUP3の内部空間2Sに滞留していた気体を、排出口を介してボトムパージ排出用ノズルから排出する処理である。このパージ処理St4によって、FOUP3の内部空間2Sを環境ガスで満たして、FOUP3内の水分濃度及び酸素濃度をそれぞれ所定値以下にまで短時間で低下させてFOUP3内における搬送対象物Wの周囲環境を低湿度環境及び低酸素環境にすることができる。
【0087】
なお、載置テーブル5上に載置されるよりも前の時点で予めパージ処理が施されているFOUP3を適用することが可能であり、このようなFOUP3に対してパージ処理St4を実行してもよいし、パージ処理St4を実行しないという選択も可能である。
【0088】
引き続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、連結切替機構82により、FOUPドア32とFOUP本体32との係合状態を解除してFOUPドア32をFOUP本体32から取り外し可能なアンラッチ状態にする処理(アンラッチ処理St5)を行う。
【0089】
アンラッチ処理St5に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置(C)からドア開放位置(O)まで後方へ移動させて、フレーム4の開口部41を開状態にする処理(ドア開放処理St6)を実行する。具体的には、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置(C)からドア開放位置(O)まで上述の水平経路に沿って所定距離移動させる。この際、ロードポートドア8は、係合部81によってFOUPドア32を一体的に保持したまま移動する。したがって、ドア開放処理St6により、FOUP3の搬出入口31もフレーム4の開口部41と同様に開状態になる。
【0090】
次いで、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、マッピング機構Mにより第2マッピング処理St7を行う。マッピング機構MのマッパーM2は、ドア開放処理St6の実行直後においてウェーハマッピング不能位置(P2)に位置付けられている(
図8(i)参照)。本実施形態では、マッパーM2の第2マッピング位置(P2)をウェーハマッピング不能位置(P2)と同じ位置に設定し、ドア開放処理St6直後におけるマッピングセンサM1の高さ位置を、FOUP3内における最上段のスロット34よりも少し上側の位置に設定している。このマッピングセンサM1の高さ位置を「第2マッピング開始高さ位置」とする。このような本実施形態のロードポート1によれば、ドア開放処理St6直後に第2マッピング処理St7を行うことが可能である。なお、本実施形態のロードポート1は、第2マッピング処理St7を実行するよりも前の時点でドア開放処理St6を実行しているため、フレーム4の開口部41及びFOUP3の搬出入口31は開状態にある。
【0091】
そして、本実施形態のロードポート1では、ドア開閉機構9によりロードポートドア8をドア開放位置(O)から全開位置に向かって下方へ移動させると、マッピング機構M全体も下方へ移動する。これにより、マッパーM2は、前後位置を第2マッピング位置(P2)に維持したまま第2マッピング開始高さ位置から最下段のスロット34よりも低い位置(第2マッピング終了高さ位置)まで移動する。制御部1Cは、以上の手順を経て、マッピングセンサM1同士の間に形成されている信号経路が遮られるか否かを検出し、スロット34ごとにリングフレームFの有無や収納姿勢に関する情報(搬送対象物検出情報)を得る第2マッピング処理St7を実行する。
【0092】
第2マッピング処理St7の結果が「検知有り」である場合、載置テーブル5上のFOUP3内におけるスロット34にリングフレームFが収容されていることを特定できる。なお、リングフレームFがFOUP3内に入らない大きさである場合には、第2マッピング処理St7の結果が「検知有り」であることをもって、エラーを発報し、第1マッピング処理St9を実行しない(マッピング処理を停止する)ように設定してもよいし、そもそも第2マッピング処理St7を実行しない設定とすることができる。
【0093】
一方、第2マッピング処理St7の結果が「検知無し」である場合、当該スロット34にリングフレームFが収容されていないことを特定できる。
【0094】
本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、第2マッピング処理St7に続いて、マッパーM2を第2マッピング終了高さ位置から第2マッピング開始高さ位置まで上昇させる処理(マッピングアップ処理St8)を実行する。具体的には、本実施形態におけるマッピングアップ処理St8は、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全開位置からドア開放位置(O)に向かって上方へ移動させる処理によって実行できる。
【0095】
次いで、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、マッピング機構Mにより第1マッピング処理St9を行う。具体的には、傾動機構M4によりマッパーM2を第2マッピング位置(P2)から
図6及び
図8(ii)に示す第1マッピング位置(P1)に移動させて、マッピングセンサM1がFOUP3内における最上段のスロット34の少し上側に配置される高さ位置(第1マッピング開始高さ位置)にマッパーM2を位置付け、ドア開閉機構9によりロードポートドア8をドア開放位置(O)から全開位置に向かって下方へ移動させると、マッピング機構M全体も下方へ移動する。これにより、マッパーM2は、前後位置を第1マッピング位置(P1)に維持したまま第1マッピング開始高さ位置から最下段のスロット34よりも低い位置(第1マッピング終了高さ位置)まで移動する。制御部1Cは、以上の手順を経て、マッピングセンサM1同士の間に形成されている信号経路が遮られるか否かを検出し、スロット34ごとにウェーハWの有無や収納姿勢に関する情報(搬送対象物検出情報)を得る第1マッピング処理St9を実行する。
【0096】
なお、マッピングアップ処理St8に続いてマッパーM2を第2マッピング位置(P2)から第1マッピング位置(P1)に移動させた時点において、マッピングセンサM1がFOUP3内における最上段のスロット34よりも下側に位置付けられる寸法条件であれば、適宜の処理(本実施形態であればマッピング機構Mをロードポートドア8と一体に所定距離上方へ移動させる処理)によって、マッピングセンサM1がFOUP3内における最上段のスロット34よりも上側に位置付けられるようにマッパーM2の高さ位置を調整すればよい。
【0097】
第1マッピング処理St9の結果が「検知有り」である場合、載置テーブル5上のFOUP3内におけるスロット34にリングフレームF、ウェーハWの何れかが収容されていることを特定できる。一方、第1マッピング処理St9の結果が「検知無し」である場合、当該スロット34にウェーハW、リングフレームFの何れも収容されていないことを特定できる。
【0098】
そして、本実施形態では、
図11に示すように、第1マッピング処理St9及び第2マッピング処理St7によって得られる搬送対象物検出情報の結果によって、FOUP3内の収容状況を特定することができる。すなわち、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知無し」で、第1マッピング処理St9の検知結果が「検知有り」である場合、当該スロット34にはウェーハWが収容されていること(正常積載)を特定できる。また、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知無し」で、第1マッピング処理St9の検知結果も「検知無し」である場合、当該スロット34にはウェーハW、リングフレームFの何れも収容されていないこと(空スロット状態)を特定できる。
【0099】
一方、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知有り」で、第1マッピング処理St9の検知結果も「検知有り」である場合、当該スロット34にリングフレームF、ウェーハWの何れかが収容されていること(混載)を特定できる。また、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知有り」で、第1マッピング処理St9の検知結果が「検知無し」である場合、当該スロット34における収容状況が矛盾することになるため、センサエラーであることを特定できる。
【0100】
以上より、載置テーブル5上にFOUP3を保持した状態において、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知無し」で、第1マッピング処理St9の検知結果が「検知有り」であれば、FOUP3内にウェーハWとリングフレームFが混載していない「正常積載」であることを特定でき、それ以外の検知結であれば、FOUP3内にウェーハWとリングフレームFが混載して収容されていること、またはセンサエラーであることを特定できる。
【0101】
次に、載置テーブル5上にフレームカセットCを保持した場合で動作シーケンスを説明する。本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、載置テーブル5上にフレームカセットCを保持したと判別した場合(容器判別処理St2;Yes)には以下の処理手順を経る。上述の着座保持処理St1に続いて、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全閉位置(C)からドア開放位置(O)まで後方へ移動させて、フレーム4の開口部41を開状態にする処理(ドア開放処理St6)を実行し、ドア開放処理St6に続いて、牽引機構7により載置テーブル5を着座位置から搬送対象物受渡位置までフレーム4に向かって後退させる(後方牽引処理St3)。
【0102】
本実施形態で適用するフレームカセットCの平面寸法、特に前後方向の寸法が、FOUP3の前後方向の寸法よりも大きいため、ドア開放処理St6よりも先に後方牽引処理St3を実行した場合に、フレームカセットC内に収容されているリングフレームFまたはフレームカセットC自体がロードポートドア8に接触するおそれがある。そこで、本実施形態では、載置テーブル5上にフレームカセットCが載置された場合に、ドア開放処理St6を後方牽引処理St3よりも先に実行するように設定している。
【0103】
また、本実施形態に適用されるフレームカセットCは、オープンカセットであるため、パージ処理及びアンラッチ処理を省くことができる。なお、中間工程、後工程では、搬送室2内の高い空間清浄性は必要とされないため、リングフレームFの搬送容器3としてオープンカセットを用いることができる。
【0104】
そして、本実施形態のロードポート1では、制御部1Cが、後方牽引処理St3に続いて、マッパーM2を第2マッピング位置(P2)に位置付けて行う第2マッピング処理St7(
図9(i)参照)、マッピングアップ処理St8、マッパーM2を第1マッピング位置(P1)に位置付けて行う第1マッピング処理St9(
図9(ii)参照)を実行する。
【0105】
第2マッピング処理St7の結果が「検知有り」である場合、載置テーブル5上のフレームカセットC内におけるスロットC1にリングフレームFが収容されていることを特定できる。一方、第2マッピング処理St7の結果が「検知無し」である場合、当該スロットC1にリングフレームFが収容されていないことを特定できる。
【0106】
第1マッピング処理St9の結果が「検知有り」である場合、載置テーブル5上のフレームカセットC内におけるスロットC1にリングフレームF、ウェーハWの何れかが収容されていることを特定できる。一方、第1マッピング処理St9の結果が「検知無し」である場合、当該スロットC1にウェーハW、リングフレームFの何れも収容されていないことを特定できる。
【0107】
そして、本実施形態では、
図11に示すように、第1マッピング処理St9及び第2マッピング処理St7によって得られる搬送対象物検出情報の結果によって、フレームカセットC内の収容状況を特定することができる。すなわち、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知有り」で、第1マッピング処理St9の検知結果も「検知有り」である場合、当該スロットC1にはリングフレームFが収容されていることを特定できる。また、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知有り」で、第1マッピング処理St9の検知結果が「検知無し」である場合、当該スロットC1における収容状況が矛盾することになるため、センサエラーであることを特定できる。
【0108】
一方、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知無し」で、第1マッピング処理St9の検知結果が「検知有り」である場合、当該スロットC1にウェーハWが収容されていることを特定できる。また、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知無し」で、第1マッピング処理St9の検知結果も「検知無し」である場合、当該スロット34にリングフレームF、ウェーハWの何れも収容されていないこと(空スロット状態)を特定できる。
【0109】
以上より、載置テーブル5上にフレームカセットCを保持した状態において、第2マッピング処理St7の検知結果が「検知有り」で、第1マッピング処理St9の検知結果も「検知有り」であれば、フレームカセットC内にリングフレームFとウェーハWが混載していない「正常積載」であることを特定でき、それ以外の検知結であれば、フレームカセットC内にリングフレームFとウェーハWが混載して収容されていること、またはセンサエラーであることを特定できる。
【0110】
本実施形態に係るロードポート1では、載置テーブル5上にFOUP3を保持した場合、載置テーブル5上にフレームカセットCを保持した場合、これらの何れの場合にも、制御部1Cが第1マッピング処理、第2マッピング処理を実行し、これら2回のマッピング処理を完了した後に、マッパーM2を搬送室2の内部空間に位置付けた状態(例えば第2マッピング位置(P2)に位置付けた状態)で、ドア開閉機構9によりロードポートドア8を全開位置まで下降させる処理を実行する。これにより、マッピング機構Mは、全開位置へ移動するロードポートドア8と共に下方へ移動する。本実施形態に係るロードポート1では、制御部1Cが、第1マッピング処理及び第2マッピング処理の検知結果に基づいて混載状態やセンサエラー状態ではないことを特定した場合、載置テーブル5上のFOUP3またはフレームカセットCから搬送対象物(ウェーハW、リングフレームF)を搬送ロボット21によって順次所定の搬送先(処理室R(具体的にはロードロック室)、バッファステーション、アライナ等)へ搬送する処理を実行する。
【0111】
一方、第1マッピング処理及び第2マッピング処理の検知結果に基づいて混載状態やセンサエラー状態であることを特定した場合、載置テーブル5上のFOUP3またはフレームカセットCは、搬送容器自動搬送装置によって載置テーブル5から他のスペースへ移載され、新たなFOUP3またはフレームカセットCが搬送容器自動搬送装置によって載置テーブル5上に載置され、上述の動作シーケンスを経る。
【0112】
以上に述べた本実施形態に係るロードポート1によれば、FOUP3内の各スロット34における第1搬送対象物(ウェーハW)の有無を含む状態に関する情報をマッピングするマッピング機構Mを用いて、第2マッピング処理を実行することが可能であり、第2マッピング処理により第2搬送容器(フレームカセットC)内の各スロットC1における第2搬送対象物(リングフレームF)の有無を含む状態に関する情報をマッピングして、第1マッピング処理の検知結果と第2マッピング処理の検知結果の両方、または何れか一方に基づいて、平面寸法の異なる搬送対象物Wが載置テーブル5上のFOUP3またはフレームカセットC内に混載されているか否か特定することが可能である。したがって、本実施形態に係るロードポート1によれば、従来のロードポートの構成を大幅に変更することなく、マッピング機構Mの大型化及び構造の複雑化を回避して、中間工程以降、互いに平面寸法が異なる搬送対象物(ウェーハW、リングフレームF)を共通のロードポート1を利用して、ロードポート1上に載置されたFOUP3(第1搬送容器)またはフレームカセットC(第2搬送容器)に収容して取り扱う使用形態を採用した場合であっても、異なる搬送対象物(ウェーハW、リングフレームF)がFOUP3またはフレームカセットCに誤って混載(誤投入・誤積載)されていることを検知することが可能であり、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。
【0113】
さらに、本実施形態では、載置テーブル5上におけるワークセンタを互いに一致させた搬送対象物(ウェーハW、リングフレームF)の端部を、それぞれ第1マッピング位置(P1)または第2マッピング位置(P2)に位置付けたマッパーM2によって検知するように構成している。すなわち、本実施形態では、第1搬送対象物(ウェーハW)及び第2搬送対象物(リングフレームF)が第1搬送容器(FOUP3)内または第2搬送容器(フレームカセットC)内にて互いの中心位置を相互に一致するように収容された状態でマッピング処理(第1マッピング処理、第2マッピング処理)を実行するように構成しているため、搬送対象物(ウェーハW、リングフレームF)のサイズに応じて搬送ロボット21による搬送対象物の搬送距離や搬送位置を変更する必要がなく、制御の簡易化を図ることができる。
【0114】
加えて、本実施形態に係るロードポート1によれば、制御部1Cが、着座保持機構6によってFOUP3又はフレームカセットCの何れを保持したかを判別する容器判別部1Caを有するものであるため、容器判別部1Caによる判別情報に基づいて、着座保持処理、ドア開放処理、後方牽引処理、第1マッピング処理、第2マッピング処理の順序や、第1マッピング処理の第2マッピング処理を両方行うか、或いは何れか一方のマッピング処理のみを行うか等を予め設定した動作シーケンスに基づいて、各機構の動作を自動制御することが可能である。
【0115】
特に、本実施形態に係るロードポート1では、着座保持機構6によってフレームカセットCを保持した搬送容器がフレームカセットCであると判断した場合、着座保持処理、ドア開放処理、後方牽引処理をこの順で実行した後に、第1マッピング処理及び第2マッピング処理の両方を実行することで、ロードポートドア8にフレームカセットCが衝突するという事態を回避することができる。
【0116】
また、本実施形態で採用したロードポート1におけるマッピング処理方法によれば、上述のロードポートが奏する種々の作用効果と同様の作用効果を奏し、半導体製造における稼働率向上を図ることができる。
【0117】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、第1搬送対象物としてウェーハを例示し、第1搬送対象物とは平面寸法が異なる第2搬送対象物として中間処理済みの薄ウェーハを保持するリングフレームを例示したが、第1搬送対象物、第2搬送対象物はこれらに限定されない。第2搬送対象物を収容する第2搬送容器もフレームカセットに限定されず、第2搬送対象物のサイズ等に応じた適宜の搬送容器であればよい。搬送容器として、ドア付きのフレームカセットを適用することもできる。この場合、カセットドアを外す処理(アンラッチ処理)が必要になる。
【0118】
また、第2搬送対象物が、第1搬送対象物よりも平面寸法が小さいものであっても構わない。この場合、第2搬送対象物に関するマッピング処理(第2マッピング処理)実行時のマッパーの位置(第2マッピング位置)は、第1搬送対象物に関するマッピング処理(第1マッピング処理)実行時のマッパーの位置(第1マッピング位置)よりも前方となる。
【0119】
本発明における「第1マッピング位置」及び「第2マッピング位置」は、第1搬送対象物及び第2搬送対象物の平面寸法に応じて適宜設定することが可能であり、第2マッピング位置が、上述の実施形態におけるウェーハマッピング不能位置と異なる位置であってもよい。本発明によれば、生産性向上の観点からウェーハの大径化が進められ、これまでの直径300(半径150)mmから直径450(半径225)mm乃至直径500(半径250)mmのウェーハへの移行が推進されている近時の傾向にも好適に対応することができる。すなわち、上述したような半導体製造の中間工程、後工程だけでなく、初期工程においても2種類のサイズ違いの搬送対象物とそれに応じた2種類の搬送容器を本発明のロードポートで取り扱い、適正なマッピング処理を行うことも可能となる。
【0120】
マッパーを第1マッピング位置に位置付けて実行する第1マッピング処理と、マッパーを第2マッピング位置に位置付けて実行する第2マッピング処理の順番は適宜変更することができる。また、第1又は第2搬送容器にそもそも目的外の搬送対象物が混載されることのない状況下では、1種類のロードポートを用いて2種類の搬送容器、2種類の搬送対象物を取り扱いながら、搬送容器と搬送対象物に応じた第1マッピング処理又は第2マッピング処理の何れか一方のみを実行するように設定することもできる。
【0121】
上述の実施形態では、マッピング機構のマッピング移動部(マッピングアーム)が、ドア開閉機構によりロードポートドアと共に前後方向及び上下方向に動作し、且つドア開閉機構とは独立に動作する第2動作条件の両方を満たすものを例示したが、これら何れか一方の条件を満たすものであってもよい。例えば、マッピング移動部を前後方向へ水平移動させるスライド機構を備え、スライド機構によってマッパーを第1マッピング位置と第2マッピング位置の間で前後移動させるように構成したマッピング機構を適用したり、ドア開閉機構とは別の移動機構によってマッピング機構を高さ方向に移動させる構成を採用することすることができる。また、マッピング機構は、ドア開閉機構によってフレームの開口部を開状態にした状態においてマッピング処理を実施可能なものであればよく、本発明における「フレームの開口部を開状態にした状態」とは、上述の実施形態においてロードポートドアをドア開放位置に位置付けた状態と、全開位置に位置付けた状態の両方を包含する概念である。マッピング機構が、ロードポートドアの昇降移動と独立して昇降移動可能なものであれば、上述の実施形態におけるドア開放位置に相当する位置にロードポートドアを位置付けた状態でマッピング処理を実施してもよく、上述の実施形態における全開位置に相当する位置にドアを位置付けた状態でマッピング処理を実施してもよい。
【0122】
また、本発明では、マッピング機構として、先端部にマッピングセンサを有するマッパーと、マッパーの基端部または基端部近傍を水平または略水平に旋回可能に支持し且つ開状態にあるフレームの開口部を通じて第1搬送容器(FOUP)に第1搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第1マッピング位置にマッパーを移動させるマッピング移動部とを備えたものを適用することができる。この場合、例えばマッピング移動部は、マッピングセンサの旋回中心となる左右一対の旋回軸と、旋回軸を適宜正逆方向に同期回転させる駆動部と、旋回軸及び駆動部の少なくとも一部または全部を収容するハウジングとを備え、ハウジングをロードポートドアの適宜箇所に取り付けた構成にして、マッパーを、第1マッピング位置と、第1搬送容器に第1搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知不能なウェーハマッピング不能位置との間で旋回軸周りに移動可能に設定することができる。そして、マッパーの旋回角度(例えばマッピング不能位置に位置付けたマッパーを基準とする旋回角度)を、マッピング不能位置から第1マッピング位置に移動させる際の旋回角度とは異なる値に設定することで、開状態にあるフレームの開口部を通じて第2搬送容器に第2搬送対象物が収容されていることをマッピングセンサで検知可能な第2マッピング位置にマッパーを位置付けるようにした構成(第1構成)、或いは、マッパーの旋回角度を、マッピング不能位置から第1マッピング位置に移動させる際の旋回角度と同じ値に設定し、且つロードポートドアの前後方向の進退動作(前進、後退)を制御することでマッパーを第2マッピング位置に位置付けるようにした構成(第2構成)を採用することができる。第1構成であれば、マッパーの第2マッピング位置とマッピング不能位置とを同じ位置に設定することが可能である一方、第2構成であれば、第2マッピング位置とマッピング不能位置は必然的に異なる位置になる。このようなマッピング機構であっても、マッパーを第1マッピング位置に位置付けた状態でロードポートドアを適宜昇降移動させることによってマッピング機構全体を昇降させて、第1マッピング処理を実施することができ、マッパーを第2マッピング位置に位置付けた状態でロードポートドアを適宜昇降移動させることによってマッピング機構全体を昇降させて、第2マッピング処理を実施することができる。このような構成であれば、上述の実施形態におけるマッピングアームや傾動機構が不要である。
【0123】
また、搬送ロボットによって搬送対象物(第1搬送対象物、第2搬送対象物)をロードポート上の搬送容器(第1搬送容器、第2搬送容器)に収容し終えた後にも第1マッピング処理、第2マッピング処理の両方または一方を行い、混載状態であるか否かを特定してもよい、
【0124】
なお、着座保持機構、牽引機構、ドア開閉機構等、各機構の具体的な構成や駆動源も適宜変更することができる。
【0125】
種類の異なる搬送容器(上述の実施形態であればFOUP、フレームカセット)の何れを保持着座保持機構によって保持したかを判別する容器判別部として、載置ステージ上の搬送容器がFOUPであることを検知するか否かによって、搬送容器を判別するものを適用してもよい。
【0126】
本発明に係るロードポートは、EFEMの一部を構成するものとして使用可能であることは上述した通りであり、EFEM以外の搬送装置に適用することもできる。
【0127】
また、例えば、搬送室の壁面に本発明に係るロードポートを複数配置し、搬送室内に配置される搬送ロボットによって各ロードポートの載置テーブル上に載置した搬送容器間で搬送対象物を入替可能なソータ装置の一部を構成するものとして使用することも可能である。
【0128】
本発明に係るロードポートが隣接して配置される搬送室は、内部空間に搬送ロボットを備えたものである。本発明では、各ロードポートの載置テーブル上の搬送容器(第1搬送容器、第2搬送容器)に対する搬送対象物(第1搬送対象物、第2搬送対象物)の搬出入処理を、単一の搬送ロボットで行うように構成した態様、または複数の搬送ロボットで行うように構成した態様、何れであっても構わない。搬送ロボットとして、搬送対象物把持部(上述の実施形態であればハンド)を3以上有するものを適用することができる。また、搬送ロボットとして、1つの搬送対象物把持部を有するものを適用することができる。また、搬送対象物把持部がハンド以外の所定のパーツ等から構成された搬送ロボットを適用することもできる。
【0129】
搬送室の壁面に配置するロードポートは1台であってもよい。上述の実施形態では、ロードポートのフレームが搬送室の外壁の一部を構成する態様を例示したが、フレームが搬送室の外壁に沿って設けられるものであっても構わない。
【0130】
上述した実施形態では、搬送対象物としてウェーハを例示したが、搬送対象物が、レティクル、液晶搬送対象物、ガラス搬送対象物、カルチャープレート、培養容器、ディッシュ、或いはシャーレ等であってもよい。すなわち、本発明は、半導体、液晶、細胞培養等の各種分野での容器に収容される搬送対象を受け渡しするロードポートに適用することができる。
【0131】
搬送室に隣接して設ける処理室の処理内容や数も適宜変更することができる。
【0132】
上述の実施形態では、ロードポートが制御部を備え、ロードポートドアの移動等、各部の作動を制御部が司る態様を例示したが、ロードポートの上位の装置(上述の実施形態であればEFEM、あるいは処理室)の作動を司る制御部(上位コントローラである上述のEFEM全体の制御部や処理室の制御部)によって、ロードポートの作動も司るように構成することも可能である。
【0133】
また、上述の制御部は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部を構成することができる。そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【0134】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0135】
1…ロードポート
1C…制御部
1Ca…容器判別部
2…搬送室
21…搬送ロボット
4…フレーム
41…開口部
3…FOUP
32…FOUPドア
34…スロット
5…載置テーブル
6…着座保持機構
7…牽引機構
8…ロードポートドア
9…ドア開閉機構
C…第2搬送容器(フレームカセット)
F…第2搬送対象物(リングフレーム)
M…マッピング機構
M1…マッピングセンサ
M2…マッパー
M3…マッピング移動部(マッピングアーム)
W…第1搬送対象物(ウェーハ)