(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
E03D 11/08 20060101AFI20220601BHJP
【ＦＩ】
E03D11/08
【請求項の数】
11
(21)【出願番号】P 2017239776
(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2019105122
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】ＴＯＴＯ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】塩原 英司
(72)【発明者】
【氏名】高野 聡士
(72)【発明者】
【氏名】中津 秀幸
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１７－１７２１１９（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１７－０６１８１９（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１３－０４４１８０（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１５－０６８１６５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１７－０４３９１４（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０３Ｄ １１／０８
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、上縁に形成されるリムと、汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面と上記リムとの間に形成される棚と、を備え、ボウル形状のボウル面を形成するボウルと、
このボウルの下方に接続されて汚物を排出する排水路と、
上記リムに設けられて上記棚に洗浄水を吐水して上記ボウル面に旋回流を形成する吐水部と、を有し、
上記ボウル面は、上記棚の外縁と上記リムの下縁との間を曲面にて連結する連結面を備えており、
上記連結面は、上記ボウル面における前後及び左右の両端を含む周方向の領域において、同一の高さ位置に設けられていると共に、上記連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における上記連結面の曲率半径が同一に設定されているおり、
上記連結面の下端から上端までの鉛直方向の距離は、上記ボウル面の全周に亘って同一に設定されており、
上記ボウル面は、その平面視の前端の曲率半径が全周の内で最小となる卵形の形状であり、上記リムのオーバーハング部の最内端が上記リムの下端に対して内側に突出する突出量は、上記吐水部の下流端位置から周方向前方に沿った上記ボウル面の前端付近までの領域において最大となることを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
上記連結面の下端は、上記ボウル面の全周に亘って上記リムの上面に対して所定距離下方の同一の高さ位置に設けられている請求項１記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における上記連結面の曲率半径は、上記ボウル面の全周に亘って同一に設定されている請求項１又は２に記載の水洗大便器。
【請求項4】
上記リムは、その内周面が上記連結面の上端から上記リムの上面まで立ち上がるように形成された立壁面を備え、この立壁面の下端から上端までの鉛直方向の距離は、上記ボウル面の全周に亘って同一に設定されている請求項１乃至３の何れか１項に記載の水洗大便器。
【請求項5】
上記立壁面は、上記リムの内周面の上側領域及び下側領域をそれぞれ形成する上側立壁面及び下側立壁面を備えており、上記下側立壁面は、その周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における下端から上端に向かって鉛直に向かって立ち上がる、又は、上記ボウルの前後左右方向の内側且つ下方側から、上記ボウルの前後左右方向の外側且つ上方側に向かって立ち上がる第１立壁面を備え、
上記上側立壁面は、その周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における下端から上端に向かって鉛直に向かって立ち上がる、又は、上記ボウルの前後左右方向の外側且つ下方側から、上記ボウルの前後左右方向の内側且つ上方側に向かって立ち上がる第２立壁面と、この第２立壁面の上端部分に設けられて内側に突出するオーバーハング部と、を備えている請求項４記載の水洗大便器。
【請求項6】
上記オーバーハング部は、上記吐水部の下流端に対して隣接して設けられた上記第２立壁面の上端部分に設けられている請求項５記載の水洗大便器。
【請求項7】
上記吐水部は、上記ボウルの前後方向の中心に対して一方側の上記ボウルのボウル面の平面視の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置された第１吐水部と、上記ボウルの前後方向の中心に対して他方側の上記ボウルのボウル面の平面視の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置された第２吐水部と、を備えている請求項６記載の水洗大便器。
【請求項8】
上記第１吐水部は、上記ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の一方側で且つ前方側に配置され、上記第２吐水部は、上記ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の他方側で且つ後方側に配置されている請求項７記載の水洗大便器。
【請求項9】
さらに、上記吐水部の上流側に形成された導水路と、上記ボウルの後方且つ上方に設けられた上記洗浄水源である洗浄水タンク装置と、を有し、この洗浄水タンク装置は、貯水した洗浄水について重力を利用して上記導水路に供給可能にする重力給水式の貯水タンクを備えている請求項１乃至８の何れか１項に記載の水洗大便器。
【請求項10】
上記所定距離は、５０ｍｍ～１００ｍｍに設定されている請求項２記載の水洗大便器。
【請求項11】
上記連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における上記連結面の曲率半径は、３ｍｍ～２０ｍｍに設定されている請求項３記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に係り、特に、洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する従来の水洗大便器として、例えば、特許文献１～３に記載されているものが知られている。
まず、特許文献１、２に記載されている従来の水洗大便器においては、便器本体の後方且つ上方に設けられた洗浄水タンクの洗浄水が、ディストリビュータを介して複数の給水口からボウル後方の給水空間内に供給されるようになっている。そして、ボウルのリムの内周面の後側領域における左右方向中央よりも左側領域には吐水口が設けられており、ボウル後方の給水空間内の洗浄水は、吐水口から前方に向かって吐水されるようになっている。また、吐水口から前方に向かって吐水された洗浄水は、ボウルの棚面の外縁、リムの内壁面の下端、及び、これらのボウルの棚面の外縁とリムの内壁面の下端との連結面に接する旋回流を形成するようになっている。
さらに、上述した特許文献１に記載されている従来の水洗大便器では、ボウルの棚面の外縁とリムの内壁面の下端との連結面における前側領域及び後側領域が、この連結面の左右両側領域よりも低い位置に設定されている。これにより、ボウルの前側領域及び後側領域におけるリムの上端面と洗浄水の旋回経路との高低差が、ボウルの左右両側領域に比べて大きくなるため、洗浄水の上方への飛び散りが抑制されるようになっている。
また、上述した特許文献２に記載されている従来の水洗大便器では、ボウルの棚の外周縁とリムの内壁面（立壁面）の下端縁とを連結する連結面において、その曲面の上下方向の曲率半径がボウルの前側領域の左右中央で最大となり、左右両側に向けて徐々に小さくなっている。また、連結面の曲面の上下方向の弧の中点の高さ位置については、ボウルの前側領域の左右中央で最も低くなっている。これらにより、ボウルの前側領域の左右中央部の曲面に対して小便がぶつかった場合に小便を流れやすくすることができ、立壁面と連結面との境界部分に小便が滞留することを抑制することができるようになっている。
つぎに、特許文献３に記載されている従来の水洗大便器では、リムに設けられて棚に洗浄水を吐水してボウル面に旋回流を形成すると共にその吐水方向が便器前方方向であるリム吐水部と、汚物受け面の側面に形成されて溜水を上下方向に攪拌するゼット吐水部とを備えている。さらに、ボウルの汚物受け面には、ボウルの前方側から排水トラップ管路の入口に向けて延びる側壁及び底面を備えた凹部が形成され、リム吐水部から吐水された洗浄水は、凹部の側壁に衝突することにより排水トラップ管路の入口に向かって流れるようになっている。
まず、特許文献１、２に記載されている従来の水洗大便器においては、便器本体の後方且つ上方に設けられた洗浄水タンクの洗浄水が、ディストリビュータを介して複数の給水口からボウル後方の給水空間内に供給されるようになっている。そして、ボウルのリムの内周面の後側領域における左右方向中央よりも左側領域には吐水口が設けられており、ボウル後方の給水空間内の洗浄水は、吐水口から前方に向かって吐水されるようになっている。また、吐水口から前方に向かって吐水された洗浄水は、ボウルの棚面の外縁、リムの内壁面の下端、及び、これらのボウルの棚面の外縁とリムの内壁面の下端との連結面に接する旋回流を形成するようになっている。
さらに、上述した特許文献１に記載されている従来の水洗大便器では、ボウルの棚面の外縁とリムの内壁面の下端との連結面における前側領域及び後側領域が、この連結面の左右両側領域よりも低い位置に設定されている。これにより、ボウルの前側領域及び後側領域におけるリムの上端面と洗浄水の旋回経路との高低差が、ボウルの左右両側領域に比べて大きくなるため、洗浄水の上方への飛び散りが抑制されるようになっている。
また、上述した特許文献２に記載されている従来の水洗大便器では、ボウルの棚の外周縁とリムの内壁面（立壁面）の下端縁とを連結する連結面において、その曲面の上下方向の曲率半径がボウルの前側領域の左右中央で最大となり、左右両側に向けて徐々に小さくなっている。また、連結面の曲面の上下方向の弧の中点の高さ位置については、ボウルの前側領域の左右中央で最も低くなっている。これらにより、ボウルの前側領域の左右中央部の曲面に対して小便がぶつかった場合に小便を流れやすくすることができ、立壁面と連結面との境界部分に小便が滞留することを抑制することができるようになっている。
つぎに、特許文献３に記載されている従来の水洗大便器では、リムに設けられて棚に洗浄水を吐水してボウル面に旋回流を形成すると共にその吐水方向が便器前方方向であるリム吐水部と、汚物受け面の側面に形成されて溜水を上下方向に攪拌するゼット吐水部とを備えている。さらに、ボウルの汚物受け面には、ボウルの前方側から排水トラップ管路の入口に向けて延びる側壁及び底面を備えた凹部が形成され、リム吐水部から吐水された洗浄水は、凹部の側壁に衝突することにより排水トラップ管路の入口に向かって流れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０１６－４１８８１号公報
【文献】特開２０１６－４１８７９号公報
【文献】特開２０１２－２２９６１２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献１、２に記載されている従来の水洗大便器においては、例えば、旋回経路のうちの平面視の曲率半径が小さいボウルの前側領域の上流側近傍等に吐水口が設けられた場合には、吐水直後の洗浄水が、連結面の左右一方側の領域から、この領域よりも低い位置の前側領域に向かって加速しながら勢い良く降下することになる。そして、このように勢いを増して連結面の前側領域を通過した洗浄水が、連結面の左右他方側の領域に向かって上昇した際に跳ね上がることにより、ボウルの外部へ飛び出したり、周囲へ飛び散ったりするおそれがあるという問題がある。
したがって、上述した特許文献１、２に記載された従来の水洗大便器のように、たとえ連結面における前側領域が左右両側領域よりも低い位置に設定され、リムの上端面と洗浄水の旋回経路との高低差が大きく設定されていたとしても、吐水口の配置次第によっては、ボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することが難しいという問題がある。
また、上述した特許文献２に記載された従来の水洗大便器のように、ボウルの棚の外周縁とリムの内壁面（立壁面）の下端縁とを連結する連結面において、その曲面の上下方向の曲率半径がボウルの前側領域の左右中央で最大に設定され、左右両側に向けて徐々に小さく設定されたとしても、吐水口の配置次第によっては、ボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することが難しいという問題がある。
同様に、上述した特許文献３に記載されている従来の水洗大便器においても、例えば、旋回経路のうちの平面視の曲率半径が小さいボウルの前側領域の上流側近傍等に吐水口が設けられた場合には、吐水直後の洗浄水が、ボウルの前側領域の凹部を通過する際には、吐水口よりも低い凹部の底面に向かって加速しながら勢い良く降下する。そして、この勢いを増した洗浄水は、凹部の底面を勢い良く上昇して跳ね上がることによりボウルの外部へ飛び出したり、或いは、凹部の側壁に勢い良く衝突することにより、周囲へ飛び散ったりするおそれがあるという問題がある。
よって、上述した特許文献３に記載されている従来の水洗大便器においても、吐水口の配置次第によっては、ボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することが難しいという問題がある。
したがって、上述した特許文献１、２に記載された従来の水洗大便器のように、たとえ連結面における前側領域が左右両側領域よりも低い位置に設定され、リムの上端面と洗浄水の旋回経路との高低差が大きく設定されていたとしても、吐水口の配置次第によっては、ボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することが難しいという問題がある。
また、上述した特許文献２に記載された従来の水洗大便器のように、ボウルの棚の外周縁とリムの内壁面（立壁面）の下端縁とを連結する連結面において、その曲面の上下方向の曲率半径がボウルの前側領域の左右中央で最大に設定され、左右両側に向けて徐々に小さく設定されたとしても、吐水口の配置次第によっては、ボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することが難しいという問題がある。
同様に、上述した特許文献３に記載されている従来の水洗大便器においても、例えば、旋回経路のうちの平面視の曲率半径が小さいボウルの前側領域の上流側近傍等に吐水口が設けられた場合には、吐水直後の洗浄水が、ボウルの前側領域の凹部を通過する際には、吐水口よりも低い凹部の底面に向かって加速しながら勢い良く降下する。そして、この勢いを増した洗浄水は、凹部の底面を勢い良く上昇して跳ね上がることによりボウルの外部へ飛び出したり、或いは、凹部の側壁に勢い良く衝突することにより、周囲へ飛び散ったりするおそれがあるという問題がある。
よって、上述した特許文献３に記載されている従来の水洗大便器においても、吐水口の配置次第によっては、ボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することが難しいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水によって洗浄されて汚物を排出する水洗大便器であって、上縁に形成されるリムと、汚物を受ける汚物受け面と、この汚物受け面と上記リムとの間に形成される棚と、を備え、ボウル形状のボウル面を形成するボウルと、このボウルの下方に接続されて汚物を排出する排水路と、上記リムに設けられて上記棚に洗浄水を吐水して上記ボウル面に旋回流を形成する吐水部と、を有し、上記ボウル面は、上記棚の外縁と上記リムの下縁との間を曲面にて連結する連結面を備えており、上記連結面は、上記ボウル面における前後及び左右の両端を含む周方向の領域において、ほぼ同一の高さ位置に設けられていると共に、上記連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における上記連結面の曲率半径がほぼ同一に設定されているおり、上記連結面の下端から上端までの鉛直方向の距離は、上記ボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されており、上記ボウル面は、その平面視の前端の曲率半径が全周の内で最小となる概ね卵形の形状であり、上記オーバーハング部の最内端が上記リムの下端に対して内側に突出する突出量は、上記第１吐水部の下流端位置から周方向前方に沿った上記ボウル面の前端付近までの領域において最大となることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、吐水部から吐水された洗浄水は、棚上に沿って流れることによりボウルの周方向に導かれて旋回する流れ（旋回流）を形成する。この際、ボウルの棚の外縁とリムの下縁との間を曲面に連結する連結面が、ボウル面における前後及び左右の両端を含む周方向の領域において、ほぼ同一の高さ位置に設けられていると共に、連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における連結面の曲率半径がほぼ同一に設定されているため、棚、連結面、及び、リムにより、吐水部から吐水された洗浄水の跳ね上がりを抑制して、比較的安定させた状態でスムーズに旋回させる通水路を形成することができる。
したがって、吐水部から吐水された洗浄水について、棚、連結面、及び、リムに沿って周方向に安定させてスムーズにガイドすることができる。
また、連結面がほぼ同一の高さ位置に設けられることにより、吐水部の下流側の棚、連結面、及び、リムにより形成される通水路が、例えば、吐水直後の洗浄水を一旦降下させて加速させた後に上昇させる通水路に比べて、吐水直後の洗浄水の過度な加速による跳ね上がりを抑制することができる。
よって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定させた状態でスムーズに旋回させることができる。
これらの結果、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
また、連結面の下端から上端までの鉛直方向の距離がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されていることにより、連結面の鉛直方向の幅がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ均一になる。
したがって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
さらに、オーバーハング部の最内端がリムの下端に対して内側に突出する突出量について、第１吐水部の下流側近傍位置から周方向前方に沿ってボウル面の前端付近までの領域において最大となるようにしたことにより、第１吐水部から吐水された洗浄水が、第１吐水部の下流側近傍位置から周方向前方に沿ったボウル面の前端付近までの領域を通過する際に、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しをさらにより確実に抑制することができる。また、ボウル内の第１吐水部が確実に見え難くなるため、意匠性を確実に向上させることができる。
このように構成された本発明においては、吐水部から吐水された洗浄水は、棚上に沿って流れることによりボウルの周方向に導かれて旋回する流れ（旋回流）を形成する。この際、ボウルの棚の外縁とリムの下縁との間を曲面に連結する連結面が、ボウル面における前後及び左右の両端を含む周方向の領域において、ほぼ同一の高さ位置に設けられていると共に、連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における連結面の曲率半径がほぼ同一に設定されているため、棚、連結面、及び、リムにより、吐水部から吐水された洗浄水の跳ね上がりを抑制して、比較的安定させた状態でスムーズに旋回させる通水路を形成することができる。
したがって、吐水部から吐水された洗浄水について、棚、連結面、及び、リムに沿って周方向に安定させてスムーズにガイドすることができる。
また、連結面がほぼ同一の高さ位置に設けられることにより、吐水部の下流側の棚、連結面、及び、リムにより形成される通水路が、例えば、吐水直後の洗浄水を一旦降下させて加速させた後に上昇させる通水路に比べて、吐水直後の洗浄水の過度な加速による跳ね上がりを抑制することができる。
よって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定させた状態でスムーズに旋回させることができる。
これらの結果、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
また、連結面の下端から上端までの鉛直方向の距離がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されていることにより、連結面の鉛直方向の幅がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ均一になる。
したがって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
さらに、オーバーハング部の最内端がリムの下端に対して内側に突出する突出量について、第１吐水部の下流側近傍位置から周方向前方に沿ってボウル面の前端付近までの領域において最大となるようにしたことにより、第１吐水部から吐水された洗浄水が、第１吐水部の下流側近傍位置から周方向前方に沿ったボウル面の前端付近までの領域を通過する際に、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しをさらにより確実に抑制することができる。また、ボウル内の第１吐水部が確実に見え難くなるため、意匠性を確実に向上させることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記連結面の下端は、上記ボウル面のほぼ全周に亘って上記リムの上面に対して所定距離下方のほぼ同一の高さ位置に設けられている。
このように構成された本発明においては、連結面の下端が、ボウル面のほぼ全周に亘ってリムの上面に対して所定距離下方のほぼ同一の高さ位置に設けられていることにより、吐水部の下流側の棚、連結面、及び、リムにより形成される通水路が、吐水直後の洗浄水の過度な加速による跳ね上がりを効果的に抑制することができる。
よって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができるため、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をより向上させることができる。
このように構成された本発明においては、連結面の下端が、ボウル面のほぼ全周に亘ってリムの上面に対して所定距離下方のほぼ同一の高さ位置に設けられていることにより、吐水部の下流側の棚、連結面、及び、リムにより形成される通水路が、吐水直後の洗浄水の過度な加速による跳ね上がりを効果的に抑制することができる。
よって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができるため、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をより向上させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における上記連結面の曲率半径は、上記ボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されている。
このように構成された本発明においては、連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における連結面の曲率半径が、ボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されていることにより、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
このように構成された本発明においては、連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における連結面の曲率半径が、ボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されていることにより、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記リムは、その内周面が上記連結面の上端から上記リムの上面まで立ち上がるように形成された立壁面を備え、この立壁面の下端から上端までの鉛直方向の距離は、上記ボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されている。
このように構成された本発明においては、立壁面の下端から上端までの鉛直方向の距離がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されているため、立壁面の鉛直方向の幅がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ均一になる。
したがって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
このように構成された本発明においては、立壁面の下端から上端までの鉛直方向の距離がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されているため、立壁面の鉛直方向の幅がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ均一になる。
したがって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記立壁面は、上記リムの内周面の上側領域及び下側領域をそれぞれ形成する上側立壁面及び下側立壁面を備えており、上記下側立壁面は、その周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における下端から上端に向かって鉛直に向かって立ち上がる、又は、上記ボウルの前後左右方向の内側且つ下方側から、上記ボウルの前後左右方向の外側且つ上方側に向かって立ち上がる第１立壁面を備え、上記上側立壁面は、その周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における下端から上端に向かって鉛直に向かって立ち上がる、又は、上記ボウルの前後左右方向の外側且つ下方側から、上記ボウルの前後左右方向の内側且つ上方側に向かって立ち上がる第２立壁面と、この第２立壁面の上端部分に設けられて内側に突出するオーバーハング部と、を備えている。
このように構成された本発明においては、第２立壁面の上端部分にオーバーハング部が内側に突出するように設けられているため、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しをより確実に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、第２立壁面の上端部分にオーバーハング部が内側に突出するように設けられているため、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しをより確実に抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記オーバーハング部は、上記吐水部の下流端に対して隣接して設けられた上記第２立壁面の上端部分に設けられている。
このように構成された本発明においては、オーバーハング部が吐水部の下流端に対して隣接して設けられた第２立壁面の上端部分に設けられているため、吐水部から吐水された直後の洗浄水が、吐水部の下流端近傍部分に比較的勢いがある状態で到達しても、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しをさらにより確実に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、オーバーハング部が吐水部の下流端に対して隣接して設けられた第２立壁面の上端部分に設けられているため、吐水部から吐水された直後の洗浄水が、吐水部の下流端近傍部分に比較的勢いがある状態で到達しても、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しをさらにより確実に抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記吐水部は、上記ボウルの前後方向の中心に対して一方側の上記ボウルのボウル面の平面視の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置された第１吐水部と、上記ボウルの前後方向の中心に対して他方側の上記ボウルのボウル面の平面視の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置された第２吐水部と、を備えている。
このように構成された本発明においては、第１吐水部については、ボウルの前後方向の中心に対して一方側のボウルのボウル面の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置されていることにより、ボウル内の第１吐水部が見え難くなるため、意匠性を向上させることもできる。
また、第１吐水部から吐水された洗浄水は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚上を周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水について、第１吐水部の周方向下流側のボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の前端付近）の棚上に供給することができる。そして、このようなボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の前端付近）の棚上の洗浄水について、ボウル面の周方向下流側（例えば、ボウルのボウル面の周方向後方側）に確実に旋回させることができ、その後、ボウル面の全周に亘って下流側に旋回させることができる。
一方、第２吐水部についても、ボウルの前後方向の中心に対して他方側のボウルのボウル面の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置されていることにより、ボウル内の第２吐水部が見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
また、第２吐水部から吐水された洗浄水は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚上を周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水について、第２吐水部の周方向下流側のボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の後端付近）の棚上に供給することができる。
そして、第２吐水部から吐水された洗浄水の大半については、ボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の後端付近）から周方向下流側に旋回した後、ボウル内の溜水に向けて落し込む流れを形成することができる。これにより、第２吐水部の下流側のボウル面を洗浄した後、ボウル内の溜水を強力に攪拌することができる。
同時に、第２吐水部から吐水された洗浄水の一部については、ボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の後端付近）において洗浄水の流れを確実に失速させて、ボウル内の溜水に向けて落とし込む流れを形成することができる。これにより、第２吐水部の下流側のボウル面を洗浄した後、ボウル内の溜水を効率良く強力に攪拌することができる。
したがって、第１吐水部から吐水された洗浄水により、ボウル面の全周を確実に旋回してボウル面の全域を確実に洗浄することができる。同時に、第２吐水部から吐水された洗浄水により、第２吐水部の下流側のボウル面を確実に洗浄した後、ボウル内の溜水を確実に強力に攪拌することができる。
このように構成された本発明においては、第１吐水部については、ボウルの前後方向の中心に対して一方側のボウルのボウル面の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置されていることにより、ボウル内の第１吐水部が見え難くなるため、意匠性を向上させることもできる。
また、第１吐水部から吐水された洗浄水は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚上を周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水について、第１吐水部の周方向下流側のボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の前端付近）の棚上に供給することができる。そして、このようなボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の前端付近）の棚上の洗浄水について、ボウル面の周方向下流側（例えば、ボウルのボウル面の周方向後方側）に確実に旋回させることができ、その後、ボウル面の全周に亘って下流側に旋回させることができる。
一方、第２吐水部についても、ボウルの前後方向の中心に対して他方側のボウルのボウル面の曲率半径が大から小に変化する位置の近傍に配置されていることにより、ボウル内の第２吐水部が見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
また、第２吐水部から吐水された洗浄水は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚上を周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水について、第２吐水部の周方向下流側のボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の後端付近）の棚上に供給することができる。
そして、第２吐水部から吐水された洗浄水の大半については、ボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の後端付近）から周方向下流側に旋回した後、ボウル内の溜水に向けて落し込む流れを形成することができる。これにより、第２吐水部の下流側のボウル面を洗浄した後、ボウル内の溜水を強力に攪拌することができる。
同時に、第２吐水部から吐水された洗浄水の一部については、ボウルのボウル面の曲率半径が小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の後端付近）において洗浄水の流れを確実に失速させて、ボウル内の溜水に向けて落とし込む流れを形成することができる。これにより、第２吐水部の下流側のボウル面を洗浄した後、ボウル内の溜水を効率良く強力に攪拌することができる。
したがって、第１吐水部から吐水された洗浄水により、ボウル面の全周を確実に旋回してボウル面の全域を確実に洗浄することができる。同時に、第２吐水部から吐水された洗浄水により、第２吐水部の下流側のボウル面を確実に洗浄した後、ボウル内の溜水を確実に強力に攪拌することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記第１吐水部は、上記ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の一方側で且つ前方側に配置され、上記第２吐水部は、上記ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の他方側で且つ後方側に配置されている。
このように構成された本発明においては、第１吐水部について、ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の一方側で且つ前方側に配置すると共に、第２吐水部について、ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の他方側で且つ後方側に配置したことにより、水洗大便器の前方の使用者に対して、ボウル内の第１吐水部及び第２吐水部のそれぞれが見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、第１吐水部について、ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の一方側で且つ前方側に配置すると共に、第２吐水部について、ボウルの前後左右方向の中心に対して左右方向の他方側で且つ後方側に配置したことにより、水洗大便器の前方の使用者に対して、ボウル内の第１吐水部及び第２吐水部のそれぞれが見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、さらに、上記吐水部の上流側に形成された導水路と、上記ボウルの後方且つ上方に設けられた上記洗浄水源である洗浄水タンク装置と、を有し、この洗浄水タンク装置は、貯水した洗浄水について重力を利用して上記導水路に供給可能にする重力給水式の貯水タンクを備えている。
このように構成された本発明においては、便器洗浄が開始される際、洗浄水タンク装置の重力給水式の貯水タンクに貯水されていた洗浄水は、重力により導水路に供給された後、リムの吐水部から比較的高い水圧で棚に吐水される。このとき、吐水部から吐水された洗浄水が比較的高い水圧で勢い良く吐水された状態であっても、ボウル面のほぼ同一の高さ位置に設けられた連結面の上下方向の曲率半径がほぼ同一の曲率半径により、洗浄水の跳ね上がりを抑制し、周方向に安定した状態でスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、便器洗浄が開始される際、洗浄水タンク装置の重力給水式の貯水タンクに貯水されていた洗浄水は、重力により導水路に供給された後、リムの吐水部から比較的高い水圧で棚に吐水される。このとき、吐水部から吐水された洗浄水が比較的高い水圧で勢い良く吐水された状態であっても、ボウル面のほぼ同一の高さ位置に設けられた連結面の上下方向の曲率半径がほぼ同一の曲率半径により、洗浄水の跳ね上がりを抑制し、周方向に安定した状態でスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、上記所定距離は、５０ｍｍ～１００ｍｍに設定されている。
このように構成された本発明においては、吐水部の下流側の棚、連結面、及び、リムにより形成される通水路が、吐水直後の洗浄水の過度な加速による跳ね上がりを確実に抑制することができる。
よって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができるため、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを確実に抑制することができ、便器洗浄性能を確実に向上させることができる。
このように構成された本発明においては、吐水部の下流側の棚、連結面、及び、リムにより形成される通水路が、吐水直後の洗浄水の過度な加速による跳ね上がりを確実に抑制することができる。
よって、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができるため、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを確実に抑制することができ、便器洗浄性能を確実に向上させることができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、上記連結面を周方向に垂直な鉛直面で切断した断面における上記連結面の曲率半径は、３ｍｍ～２０ｍｍに設定されている。
このように構成された本発明においては、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを確実に抑制することができ、便器洗浄性能を確実に向上させることができる。
このように構成された本発明においては、吐水後の洗浄水について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面上を安定してスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを確実に抑制することができ、便器洗浄性能を確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の水洗大便器によれば、洗浄水によるボウルの外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による水洗大便器について前方且つ斜め上方から見た斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による水洗大便器の平面視のボウル内のボウル面の形状（ボウル面の曲率半径）を概略的に説明した図である。
【図9】本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル内の洗浄水の流れを概略的に説明した概略平面図である。
【図10】本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル内の洗浄水の流れを概略的に説明した概略正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
つぎに、図１～図１０を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、図１は、本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図である。
図１に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器１は、陶器製の便器本体２を備えている。この便器本体２は、上流側から下流側に向かって、導水路４と、ボウル形状のボウル６と、排水トラップ管路８とを備えている。
また、本実施形態の水洗大便器１は、便器本体２のボウル６内の水の落差による流水作用で汚物を排水トラップ管路８へ押し流す、いわゆる、「洗い落し式の水洗大便器」である。
なお、便器本体２については、陶器製以外の樹脂製等であってもよい。
まず、図１は、本発明の一実施形態による水洗大便器の概略平面図である。
図１に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器１は、陶器製の便器本体２を備えている。この便器本体２は、上流側から下流側に向かって、導水路４と、ボウル形状のボウル６と、排水トラップ管路８とを備えている。
また、本実施形態の水洗大便器１は、便器本体２のボウル６内の水の落差による流水作用で汚物を排水トラップ管路８へ押し流す、いわゆる、「洗い落し式の水洗大便器」である。
なお、便器本体２については、陶器製以外の樹脂製等であってもよい。
【0023】
つぎに、図１に示す本実施形態の水洗大便器１の便器本体２の上面においては、便座（図示せず）及び便蓋（図示せず）等が設けられているが、従来の水洗大便器の構造と同様であるため、具体的な説明については省略する。
また、便器本体２の上面においては、便座（図示せず）及び便蓋（図示せず）の後方側には、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部（図示せず）や便器本体２への給水機能に関与する給水系機能部等の機能部（図示せず）も設けられていてもよいが、これらについても、従来の水洗大便器の構造と同様であるため、具体的な説明については省略する。
また、便器本体２の上面においては、便座（図示せず）及び便蓋（図示せず）の後方側には、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄部（図示せず）や便器本体２への給水機能に関与する給水系機能部等の機能部（図示せず）も設けられていてもよいが、これらについても、従来の水洗大便器の構造と同様であるため、具体的な説明については省略する。
【0024】
つぎに、図１に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器１は、便器本体２のボウル６の後方且つ上方に設けられた洗浄水源である洗浄水タンク装置１０を備えている。
また、洗浄水タンク装置１０は、貯水した洗浄水について重力を利用して便器本体２の導水路４に供給可能にする重力給水式の貯水タンク１０ａを備えている。
ここで、貯水タンク１０ａの内部には、代表的には、貯水タンク１０ａ内に洗浄水を給水する給水装置（図示せず）や、貯水タンク１０ａの排水口（図示せず）を開閉する排水弁装置（図示せず）等が設けられているが、これらの装置は、従来と同様であるため、具体的な説明については省略する。
なお、本実施形態では、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源としては、上述した重力給水式の貯水タンク１０のようなタンク式の形態に限定されず、他の形態でも適用可能である。すなわち、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源として、水道水の給水圧を直接利用した水道直圧式の形態やフラッシュバルブ式の形態であってもよいし、或いは、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給する形態であってもよい。
また、洗浄水タンク装置１０は、貯水した洗浄水について重力を利用して便器本体２の導水路４に供給可能にする重力給水式の貯水タンク１０ａを備えている。
ここで、貯水タンク１０ａの内部には、代表的には、貯水タンク１０ａ内に洗浄水を給水する給水装置（図示せず）や、貯水タンク１０ａの排水口（図示せず）を開閉する排水弁装置（図示せず）等が設けられているが、これらの装置は、従来と同様であるため、具体的な説明については省略する。
なお、本実施形態では、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源としては、上述した重力給水式の貯水タンク１０のようなタンク式の形態に限定されず、他の形態でも適用可能である。すなわち、便器本体２へ洗浄水を供給する洗浄水源として、水道水の給水圧を直接利用した水道直圧式の形態やフラッシュバルブ式の形態であってもよいし、或いは、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給する形態であってもよい。
【0025】
つぎに、図２は、図１のＩＩ－ＩＩ線に沿った断面図であり、図３は、図１のＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿った断面図である。また、図４は、図１のＩＶ－ＩＶ線に沿った断面図であり、図５は、図１のＶ－Ｖ線に沿った断面図である。さらに、図６は、本発明の一実施形態による水洗大便器について前方且つ斜め上方から見た斜視図である。
なお、図２～図６においては、本実施形態の水洗大便器１の洗浄水タンク装置１０については省略している。
なお、図２～図６においては、本実施形態の水洗大便器１の洗浄水タンク装置１０については省略している。
【0026】
ここで、図１に示す本発明の一実施形態による水洗大便器１においては、便器本体２のボウル６の平面視において、ボウル６を前後方向に二等分するように水平左右方向に延びる中心軸線を「Ｘ」で示し、ボウル６を左右方向に二等分するように水平前後方向に延びる中心軸線を「Ｙ」で示している。
また、図１では、中心軸線Ｘ，Ｙの互いの交点を平面視のボウル６の中心Ｏとし、この中心Ｏを通る鉛直方向に延びる中心軸線を「Ｚ」で示している。
これらにより、図２及び図３に示す本発明の一実施形態による水洗大便器１においては、便器本体２のボウル６の側面視において、ボウル６を前後方向に二等分するように鉛直方向に延びる中心軸線を「Ｚ」で示している。
さらに、図１～図３に示すように、水洗大便器１の前後左右の方向については、「前」、「後」、「左」、「右」でそれぞれ示している。
そして、図１～図３に示すように、水洗大便器１のボウル６における中心Ｏ、水平左右方向に延びる中心軸線Ｘ、及び、鉛直方向に延びる中心軸線Ｚに対して、前方側、後方側のそれぞれの領域について、「前方側領域Ｆ」、「後方側領域Ｂ」とそれぞれ定義している。
さらに、図１に示すように、水洗大便器１のボウル６における中心Ｏ、水平前後方向に延びる中心軸線Ｙに対して、前方から見て左側、右側のそれぞれの領域について、「左側領域Ｌ」、「右側領域Ｒ」とそれぞれ定義している。
また、図１では、中心軸線Ｘ，Ｙの互いの交点を平面視のボウル６の中心Ｏとし、この中心Ｏを通る鉛直方向に延びる中心軸線を「Ｚ」で示している。
これらにより、図２及び図３に示す本発明の一実施形態による水洗大便器１においては、便器本体２のボウル６の側面視において、ボウル６を前後方向に二等分するように鉛直方向に延びる中心軸線を「Ｚ」で示している。
さらに、図１～図３に示すように、水洗大便器１の前後左右の方向については、「前」、「後」、「左」、「右」でそれぞれ示している。
そして、図１～図３に示すように、水洗大便器１のボウル６における中心Ｏ、水平左右方向に延びる中心軸線Ｘ、及び、鉛直方向に延びる中心軸線Ｚに対して、前方側、後方側のそれぞれの領域について、「前方側領域Ｆ」、「後方側領域Ｂ」とそれぞれ定義している。
さらに、図１に示すように、水洗大便器１のボウル６における中心Ｏ、水平前後方向に延びる中心軸線Ｙに対して、前方から見て左側、右側のそれぞれの領域について、「左側領域Ｌ」、「右側領域Ｒ」とそれぞれ定義している。
【0027】
つぎに、図１～図６に示すように、便器本体２の上流側に位置する導水路４は、ボウル６の後方側に形成され、貯水タンク１０から供給された洗浄水をボウル６に導くようになっている。
また、図１～図６に示すように、便器本体２の導水路４の下流側に位置するボウル６は、下方から上方に向かって、凹部１２、汚物受け面１４、棚１６、及び、リム１８を備えている。
また、図１～図６に示すように、便器本体２の導水路４の下流側に位置するボウル６は、下方から上方に向かって、凹部１２、汚物受け面１４、棚１６、及び、リム１８を備えている。
【0028】
まず、ボウル６の凹部１２は、ボウル６の下方に凹状に形成されており、溜水Ｗ０が収容される溜水部にようになっている。
つぎに、ボウル６の汚物受け面１４は、凹部１２の上縁からボウル状に形成されており、汚物を受ける面となっている。
ここで、図１～図６に示すように、ボウル面Ｓについては、汚物受け面１４から凹部１２にかけて下方に屈曲しており、凹部１２は、その屈曲を開始した地点を汚物受け面１４との境界としている。
なお、図１～図６では、汚物受け面１４と凹部１２との境界線を「Ｍ」とする。すなわち、この境界線Ｍは、凹部１２の上縁に相当すると共に、汚物受け面１４の内縁かつ下縁に相当している。
また、ボウル６のリム１８は、ボウル６の上縁を形成しており、リム１８の内周面Ｓ４は、図１に示す平面視において、概ね卵形の形状に形成されている。
さらに、ボウル６の棚１６は、汚物受け面１４の外縁とリム１８の下端との間に形成されている。導水路４内の洗浄水は、詳細は後述する２つのリム吐水口（第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２）のそれぞれに導かれて吐水された後、棚１６上に沿って周方向下流側に導かれるようになっている。
つぎに、ボウル６の汚物受け面１４は、凹部１２の上縁からボウル状に形成されており、汚物を受ける面となっている。
ここで、図１～図６に示すように、ボウル面Ｓについては、汚物受け面１４から凹部１２にかけて下方に屈曲しており、凹部１２は、その屈曲を開始した地点を汚物受け面１４との境界としている。
なお、図１～図６では、汚物受け面１４と凹部１２との境界線を「Ｍ」とする。すなわち、この境界線Ｍは、凹部１２の上縁に相当すると共に、汚物受け面１４の内縁かつ下縁に相当している。
また、ボウル６のリム１８は、ボウル６の上縁を形成しており、リム１８の内周面Ｓ４は、図１に示す平面視において、概ね卵形の形状に形成されている。
さらに、ボウル６の棚１６は、汚物受け面１４の外縁とリム１８の下端との間に形成されている。導水路４内の洗浄水は、詳細は後述する２つのリム吐水口（第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２）のそれぞれに導かれて吐水された後、棚１６上に沿って周方向下流側に導かれるようになっている。
【0029】
つぎに、図１～図６に示すように、導水路４は、共通通水路２４と、第１リム通水路２６（第１通水路）と、第２リム通水路２８（第２通水路）とを備えている。
まず、共通通水路２４は、貯水タンク１０に接続される後方の入口４ａから前方のボウル６の背面側近傍まで延びるようにボウル６の後方側の便器本体２の内部に形成されている。
また、図１、図２及び図４～図６に示すように、第１リム通水路２６は、ボウル６の背面側近傍で共通通水路２４からボウル６の一方側（ボウル６の前方から見て左側）に分岐した後、ボウル６の外周面を迂回しながら前方に延びて、ボウル６の前方側領域Ｆ且つ左側領域Ｌの第１リム吐水口２０までリム１８の内部に形成されている。
さらに、図１、図３及び図６に示すように、第２リム通水路２８については、ボウル６の背面側近傍で共通通水路２４からボウル６の他方側（ボウル６の前方から見て右側）に分岐した後、ボウル６の外周面を迂回しながら前方に延びるようにリム１８の内部に形成されている。その後、ボウル６の側方付近で後方側にＵターンして、ボウル６の後方側領域Ｂ且つ右側領域Ｒの第２リム吐水口２２までリム１８の内部に形成されている。
まず、共通通水路２４は、貯水タンク１０に接続される後方の入口４ａから前方のボウル６の背面側近傍まで延びるようにボウル６の後方側の便器本体２の内部に形成されている。
また、図１、図２及び図４～図６に示すように、第１リム通水路２６は、ボウル６の背面側近傍で共通通水路２４からボウル６の一方側（ボウル６の前方から見て左側）に分岐した後、ボウル６の外周面を迂回しながら前方に延びて、ボウル６の前方側領域Ｆ且つ左側領域Ｌの第１リム吐水口２０までリム１８の内部に形成されている。
さらに、図１、図３及び図６に示すように、第２リム通水路２８については、ボウル６の背面側近傍で共通通水路２４からボウル６の他方側（ボウル６の前方から見て右側）に分岐した後、ボウル６の外周面を迂回しながら前方に延びるようにリム１８の内部に形成されている。その後、ボウル６の側方付近で後方側にＵターンして、ボウル６の後方側領域Ｂ且つ右側領域Ｒの第２リム吐水口２２までリム１８の内部に形成されている。
【0030】
つぎに、図１～図３及び図５に示すように、便器本体２の下流側に位置する排水トラップ管路８は、ボウル６の下方から後方に形成され、ボウル６内の汚物を排出する排水路である。
また、排水トラップ管路８の入口８ａは、ボウル６の凹部１２の下方に接続されている。そして、排水トラップ管路８は、その入口８ａから下方且つ後方に下降する下降路８ｂと、この下降路８ｂの下流端から上方且つ後方に上昇する上昇路８ｃと、を備えている。
また、排水トラップ管路８の入口８ａは、ボウル６の凹部１２の下方に接続されている。そして、排水トラップ管路８は、その入口８ａから下方且つ後方に下降する下降路８ｂと、この下降路８ｂの下流端から上方且つ後方に上昇する上昇路８ｃと、を備えている。
【0031】
つぎに、図７は、本発明の一実施形態による水洗大便器の平面視のボウル内のボウル面の形状（ボウル面の曲率半径）を概略的に説明した図である。
まず、図１～図７に示すように、ボウル６は、下方から上方に向かって、凹部１２内の底壁面１２ａ及び側壁面１２ｂを含む壁面Ｓ１、汚物受け面１４の全面Ｓ２、棚１６の表面（棚面）Ｓ３、及び、リム１８の内周面Ｓ４を備えており、これらの面Ｓ１～Ｓ４により、ボウル形状のボウル面Ｓを形成している。
また、図７に示すように、ボウル６の平面視のボウル面Ｓは、概ね卵形形状に形成されている。
さらに、図７に示すように、ボウル６の平面視のボウル面Ｓの外縁部分θは、代表的には、ボウル６内の左側領域Ｌと右側領域Ｒのほぼ左右対称に、４つの外縁部分θ１～θ４を備えている。
まず、図１～図７に示すように、ボウル６は、下方から上方に向かって、凹部１２内の底壁面１２ａ及び側壁面１２ｂを含む壁面Ｓ１、汚物受け面１４の全面Ｓ２、棚１６の表面（棚面）Ｓ３、及び、リム１８の内周面Ｓ４を備えており、これらの面Ｓ１～Ｓ４により、ボウル形状のボウル面Ｓを形成している。
また、図７に示すように、ボウル６の平面視のボウル面Ｓは、概ね卵形形状に形成されている。
さらに、図７に示すように、ボウル６の平面視のボウル面Ｓの外縁部分θは、代表的には、ボウル６内の左側領域Ｌと右側領域Ｒのほぼ左右対称に、４つの外縁部分θ１～θ４を備えている。
【0032】
まず、図１及び図７に示すように、平面視のボウル面Ｓの第１外縁部分θ１は、ボウル６内の一方側である左側領域Ｌにおいて、汚物受け面１４の外縁及びリム１８の内縁（内周面）を部分的に形成している。すなわち、第１外縁部分θ１は、ボウル６内の左側領域Ｌ且つ後方側領域Ｂに位置する始端位置Ｐ１から、左側領域Ｌ且つ前方側領域Ｆに位置する終端位置Ｐ２に亘って、平面視の曲率半径がほぼ一定の比較的大きい第１曲率半径ρ１で形成されている。
【0033】
つぎに、図１及び図７に示すように、平面視のボウル面Ｓの第２外縁部分θ２は、ボウル６内の前方側領域Ｆにおいて、汚物受け面１４の外縁（棚１６の内縁）及びリム１８の内縁（内周面）を部分的に形成している。すなわち、第２外縁部分θ２は、ボウル６内の前方側領域Ｆ且つ左側領域Ｌに位置する始端位置Ｐ２から、前方側領域Ｆ且つ右側領域Ｒに位置する終端位置Ｐ３に亘って、平面視の曲率半径がほぼ一定の比較的小さい第２曲率半径ρ２で形成されている。
ここで、この第２曲率半径ρ２は、第１曲率半径ρ１よりも小さく設定されている（ρ２＜ρ１）。
ここで、この第２曲率半径ρ２は、第１曲率半径ρ１よりも小さく設定されている（ρ２＜ρ１）。
【0034】
また、図１及び図７に示すように、平面視のボウル面Ｓの第３外縁部分θ３は、ボウル６内の他方側である右側領域Ｒにおいて、汚物受け面１４の外縁及びリム１８の内縁（内周面）を部分的に形成している。すなわち、第３外縁部分θ３は、ボウル６内の右側領域Ｒ且つ前方側領域Ｆに位置する始端位置Ｐ３から、右側領域Ｒ且つ後方側領域Ｂに位置する終端位置Ｐ４に亘って、平面視の曲率半径がほぼ一定の比較的大きい第３曲率半径ρ３で形成されている。
ここで、この第３曲率半径ρ３は、第１曲率半径ρ１と同一又はほぼ等しく設定され（ρ３≒ρ１）、且つ、第２曲率半径ρ２よりも大きく設定されている（ρ３＞ρ２）。
ここで、この第３曲率半径ρ３は、第１曲率半径ρ１と同一又はほぼ等しく設定され（ρ３≒ρ１）、且つ、第２曲率半径ρ２よりも大きく設定されている（ρ３＞ρ２）。
【0035】
さらに、図１及び図７に示すように、平面視のボウル面Ｓの第４外縁部分θ４は、ボウル６内の後方側領域Ｂにおいて、汚物受け面１４の外縁（棚１６の内縁）及びリム１８の内縁（内周面）を部分的に形成している。すなわち、第４外縁部分θ４は、ボウル６内の後方側領域Ｂ且つ右側領域Ｒに位置する始端位置Ｐ４から、後方側領域Ｂ且つ左側領域Ｌに位置する終端位置Ｐ１に亘って、平面視の曲率半径がほぼ一定の比較的小さい第４曲率半径ρ４で形成されている。
ここで、この第４曲率半径ρ４は、第１曲率半径ρ１及び第３曲率半径ρ３よりも小さく設定されているが（ρ４＜ρ１，ρ３）、第２曲率半径ρ２よりも大きく設定されている（ρ４＞ρ２）。
なお、本実施形態では、ボウル６の平面視のボウル面Ｓの形状について、概ね卵形形状に形成された形態について説明するが、卵形形状とは異なる概ね楕円形状に形成された形態等であってもよい。
ここで、この第４曲率半径ρ４は、第１曲率半径ρ１及び第３曲率半径ρ３よりも小さく設定されているが（ρ４＜ρ１，ρ３）、第２曲率半径ρ２よりも大きく設定されている（ρ４＞ρ２）。
なお、本実施形態では、ボウル６の平面視のボウル面Ｓの形状について、概ね卵形形状に形成された形態について説明するが、卵形形状とは異なる概ね楕円形状に形成された形態等であってもよい。
【0036】
つぎに、図１～図７に示すように、水洗大便器１の第１吐水部である第１リム吐水口２０は、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して左右方向の一方側（左側領域Ｌ）で且つ前方側（前側領域Ｆ）に配置されている。
一方、第２吐水部である第２リム吐水口２２は、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して左右方向の他方側（右側領域Ｒ）で且つ後方側（後側領域Ｂ）に配置されている。
より具体的には、図１～図７に示すように、第１リム吐水口２０は、ボウル６内の前後方向の中心Ｏに対して一方側（左側領域Ｌ且つ前方側領域Ｆ）のボウル面Ｓにおいて、第１外縁部分θ１の終端位置Ｐ２（第２外縁部分θ２の始端位置Ｐ２）の後方側近傍に配置されている。
すなわち、第１リム吐水口２０は、ボウル面Ｓの外縁θの平面視の曲率半径ρが比較的大きい第１曲率半径ρ１から比較的小さい第２曲率半径ρ２に変化する位置Ｐ２（平面視の曲率半径ρが大から小に変化する位置）の後方側近傍に配置されている。
そして、図１～図７に示すように、第１リム吐水口２０は、その周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの外縁部分θの平面視の曲率半径ρが最小となる位置、すなわち、ボウル面Ｓの第２外縁部分θ２の曲率半径ρ２となるボウル６内の前端付近の棚１６上に向かって吐水可能となっている。
一方、第２吐水部である第２リム吐水口２２は、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して左右方向の他方側（右側領域Ｒ）で且つ後方側（後側領域Ｂ）に配置されている。
より具体的には、図１～図７に示すように、第１リム吐水口２０は、ボウル６内の前後方向の中心Ｏに対して一方側（左側領域Ｌ且つ前方側領域Ｆ）のボウル面Ｓにおいて、第１外縁部分θ１の終端位置Ｐ２（第２外縁部分θ２の始端位置Ｐ２）の後方側近傍に配置されている。
すなわち、第１リム吐水口２０は、ボウル面Ｓの外縁θの平面視の曲率半径ρが比較的大きい第１曲率半径ρ１から比較的小さい第２曲率半径ρ２に変化する位置Ｐ２（平面視の曲率半径ρが大から小に変化する位置）の後方側近傍に配置されている。
そして、図１～図７に示すように、第１リム吐水口２０は、その周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの外縁部分θの平面視の曲率半径ρが最小となる位置、すなわち、ボウル面Ｓの第２外縁部分θ２の曲率半径ρ２となるボウル６内の前端付近の棚１６上に向かって吐水可能となっている。
【0037】
一方、図１～図７に示すように、水洗大便器１の第２吐水部である第２リム吐水口２２は、ボウル６内の前後方向の中心Ｏに対して他方側（右側領域Ｒ且つ後方側領域Ｂ）のボウル面Ｓにおいて、第３外縁部分θ３の終端位置Ｐ４（第４外縁部分θ４の始端位置Ｐ４）の前方側近傍に配置されている。
すなわち、第２リム吐水口２２は、ボウル面Ｓの外縁θの平面視の曲率半径ρが比較的大きい第３曲率半径ρ３から比較的小さい第４曲率半径ρ４に変化する位置Ｐ４（平面視の曲率半径ρが大から小に変化する位置）の前方側近傍に配置されている。
そして、図１～図７に示すように、第２リム吐水口２２は、その周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの外縁部分θの平面視の曲率半径ρが最小となる位置、すなわち、ボウル面Ｓの第４外縁部分θ４の曲率半径ρ４となるボウル６内の後端付近の棚１６上に向かって吐水可能となっている。
すなわち、第２リム吐水口２２は、ボウル面Ｓの外縁θの平面視の曲率半径ρが比較的大きい第３曲率半径ρ３から比較的小さい第４曲率半径ρ４に変化する位置Ｐ４（平面視の曲率半径ρが大から小に変化する位置）の前方側近傍に配置されている。
そして、図１～図７に示すように、第２リム吐水口２２は、その周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの外縁部分θの平面視の曲率半径ρが最小となる位置、すなわち、ボウル面Ｓの第４外縁部分θ４の曲率半径ρ４となるボウル６内の後端付近の棚１６上に向かって吐水可能となっている。
【0038】
また、図６に示すように、第２リム通水路２８の構造については、概略的には、上流側からボウル６の前方に向かって形成された後、後方に向かってＵターンして第２リム吐水口２２に連通するように形成されている。
より具体的には、図６に示すように、第２リム通水路２８は、上流側から下流側に向かって、入口２８ａと、外側通水路２８ｂと、屈曲通水路２８ｃと、内側通水路２８ｄとを備えており、外側通水路２８ｂの前方部分（下流側部分）から屈曲通水路２８ｃ及び内側通水路２８ｄを経て、その下流端の第２リム吐水口２２までの部分が、平面視でＵ字形形状にターンする部分（Ｕターン部Ｕ）を形成している。
より具体的には、図６に示すように、第２リム通水路２８は、上流側から下流側に向かって、入口２８ａと、外側通水路２８ｂと、屈曲通水路２８ｃと、内側通水路２８ｄとを備えており、外側通水路２８ｂの前方部分（下流側部分）から屈曲通水路２８ｃ及び内側通水路２８ｄを経て、その下流端の第２リム吐水口２２までの部分が、平面視でＵ字形形状にターンする部分（Ｕターン部Ｕ）を形成している。
【0039】
つぎに、図１及び図３～図５に示すように、第２リム吐水口２２の位置Ｑ１（図１参照）は、ボウル６の凹部１２の後端位置Ｑ２（図１に示す凹部１２内の後壁面１２ｃの上端位置Ｑ２）よりも前方に設定されている。特に、図１に示すように、この凹部１２の後端位置Ｑ２は、汚物受け面１４と凹部１２との境界線Ｍ上の最後端に位置している。
また、図１～図３及び図５に示すように、ボウル６の凹部１２内に収容される溜水Ｗ０の水位（溜水面ＷＬ）については、便器洗浄が開始する前及び便器洗浄が完了した後の待機状態の静水位置を示している。
そして、図１に示すように、第２リム吐水口２２の位置Ｑ１は、平面視において、ボウル６の凹部１２内に収容される溜水Ｗ０の溜水面ＷＬの後端位置Ｑ３よりも前方に設定されている。
さらに、図１、図３、図６及び図７に示すように、第２リム吐水口２２の開口断面は、便器本体２の前後方向の後方に向かって差し向けられた状態で開口している。
また、図１～図３及び図５に示すように、ボウル６の凹部１２内に収容される溜水Ｗ０の水位（溜水面ＷＬ）については、便器洗浄が開始する前及び便器洗浄が完了した後の待機状態の静水位置を示している。
そして、図１に示すように、第２リム吐水口２２の位置Ｑ１は、平面視において、ボウル６の凹部１２内に収容される溜水Ｗ０の溜水面ＷＬの後端位置Ｑ３よりも前方に設定されている。
さらに、図１、図３、図６及び図７に示すように、第２リム吐水口２２の開口断面は、便器本体２の前後方向の後方に向かって差し向けられた状態で開口している。
【0040】
つぎに、図８Ａは、図３のＡ部拡大図であり、図８Ｂは、図３のＢ部拡大図である。また、図８Ｃは、図４のＣ部拡大図であり、図８Ｄは、図４のＤ部拡大図である。さらに、図８Ｅは、図５のＥ部拡大図であり、図８Ｆは、図５のＦ部拡大図である。
まず、図８Ａ～図８Ｆに示すように、ボウル面Ｓは、さらに、棚１６の棚面Ｓ３の外縁１６ａとリム１８の下縁１８ａとの間を曲面Ｓ５にて連結する連結面３０を備えている。
また、図２、図３、図７及び図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０については、ボウル面Ｓにおける前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む周方向の領域において、ほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられていると共に、連結面３０の立面視における曲面の上下方向の曲率半径ρ５がほぼ同一に設定されている。
ここで、「ボウル面Ｓにおける前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む周方向の領域」とは、平面視のボウル面Ｓの中心Ｏに対して周方向に完全に一周し且つボウル面Ｓの前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む全周の領域を含むと共に、ボウル面Ｓの前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８以外の局所的な領域を除いた、ボウル面Ｓの半周以上全周未満であるほぼ全周の領域を含む。
まず、図８Ａ～図８Ｆに示すように、ボウル面Ｓは、さらに、棚１６の棚面Ｓ３の外縁１６ａとリム１８の下縁１８ａとの間を曲面Ｓ５にて連結する連結面３０を備えている。
また、図２、図３、図７及び図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０については、ボウル面Ｓにおける前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む周方向の領域において、ほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられていると共に、連結面３０の立面視における曲面の上下方向の曲率半径ρ５がほぼ同一に設定されている。
ここで、「ボウル面Ｓにおける前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む周方向の領域」とは、平面視のボウル面Ｓの中心Ｏに対して周方向に完全に一周し且つボウル面Ｓの前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む全周の領域を含むと共に、ボウル面Ｓの前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８以外の局所的な領域を除いた、ボウル面Ｓの半周以上全周未満であるほぼ全周の領域を含む。
【0041】
さらに、図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０の高さ位置Ｔ１については、より具体的に説明すると、連結面３０の下端３０ａの高さ位置であり、この連結面３０の下端３０ａは、平面視のボウル面Ｓのほぼ全周に亘って、リム１８の上面１８ｂ（最上端面）に対して鉛直方向下方の所定距離ｄ１とほぼ同一の高さ位置に位置決めされている。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
なお、リム１８の上面１８ｂ（最上端面）から連結面３０の下端３０ａまでの鉛直方向下方の所定距離ｄ１については、５０ｍｍ～１００ｍｍに設定されているのが好ましく、６０ｍｍ～１００ｍｍに設定されているのが最も好ましい。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
なお、リム１８の上面１８ｂ（最上端面）から連結面３０の下端３０ａまでの鉛直方向下方の所定距離ｄ１については、５０ｍｍ～１００ｍｍに設定されているのが好ましく、６０ｍｍ～１００ｍｍに設定されているのが最も好ましい。
【0042】
つぎに、図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０の立面視における曲面の上下方向の曲率半径ρ５は、ボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されている。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
なお、連結面３０の立面視における曲面の上下方向の曲率半径ρ５については、３ｍｍ～２０ｍｍに設定されているのが好ましく、５ｍｍ～１５ｍｍに設定されているのが最も好ましい。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
なお、連結面３０の立面視における曲面の上下方向の曲率半径ρ５については、３ｍｍ～２０ｍｍに設定されているのが好ましく、５ｍｍ～１５ｍｍに設定されているのが最も好ましい。
【0043】
また、図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０の下端３０ａから上端３０ｂまでの鉛直方向の距離ｄ２についても、ボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されている。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
なお、連結面３０の下端３０ａから上端３０ｂまでの鉛直方向の距離ｄ２については、０ｍｍ～２０ｍｍに設定されているのが好ましく、０ｍｍ～１０ｍｍに設定されているのが最も好ましい。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
なお、連結面３０の下端３０ａから上端３０ｂまでの鉛直方向の距離ｄ２については、０ｍｍ～２０ｍｍに設定されているのが好ましく、０ｍｍ～１０ｍｍに設定されているのが最も好ましい。
【0044】
つぎに、図８Ａ～図８Ｆに示すように、リム１８は、その内周面Ｓ４が連結面３０の上端３０ｂからリム１８の上面１８ｂまで立ち上がる立壁面を形成している。
そして、図８Ａ～図８Ｆに示すように、立壁面Ｓ４の下端から上端（リム１８の下縁１８ａから上面１８ｂ）までの鉛直方向の距離ｄ３は、ボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されている。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
また、図８Ａ～図８Ｆに示すように、立壁面Ｓ４は、リム１８の内周面の下側領域及び上側領域をそれぞれ形成する下側立壁面Ｓ６及び上側立壁面Ｓ７を備えている。
そして、図８Ａ～図８Ｆに示すように、下側立壁面Ｓ６は、その下端から上端に向かって斜め外側に向かって立ち上がる第１立壁面を形成している。
なお、この下側立壁面Ｓ６については、その下端から上端に向かって鉛直に立ち上がるような形状であってもよい。
一方、図８Ａ～図８Ｆに示すように、上側立壁面Ｓ７は、その下端から上端に向かって斜め内側に向かって立ち上がる第２立壁面Ｓ８と、この第２立壁面Ｓ８の上端部分に設けられて内側に突出するオーバーハング部Ｓ９とを備えている。
なお、この上側立壁面Ｓ７については、その下端から上端に向かって鉛直に立ち上がるような形状であってもよい。
そして、図８Ａ～図８Ｆに示すように、立壁面Ｓ４の下端から上端（リム１８の下縁１８ａから上面１８ｂ）までの鉛直方向の距離ｄ３は、ボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されている。
ここで、「ほぼ同一」とは、完全同一である場合を含むと共に、完全同一ではないが、陶器製の便器本体２の製造誤差等を考慮するとほぼ同一みなせる範囲をも含む。
また、図８Ａ～図８Ｆに示すように、立壁面Ｓ４は、リム１８の内周面の下側領域及び上側領域をそれぞれ形成する下側立壁面Ｓ６及び上側立壁面Ｓ７を備えている。
そして、図８Ａ～図８Ｆに示すように、下側立壁面Ｓ６は、その下端から上端に向かって斜め外側に向かって立ち上がる第１立壁面を形成している。
なお、この下側立壁面Ｓ６については、その下端から上端に向かって鉛直に立ち上がるような形状であってもよい。
一方、図８Ａ～図８Ｆに示すように、上側立壁面Ｓ７は、その下端から上端に向かって斜め内側に向かって立ち上がる第２立壁面Ｓ８と、この第２立壁面Ｓ８の上端部分に設けられて内側に突出するオーバーハング部Ｓ９とを備えている。
なお、この上側立壁面Ｓ７については、その下端から上端に向かって鉛直に立ち上がるような形状であってもよい。
【0045】
また、図８Ａ～図８Ｆに示すオーバーハング部Ｓ９については、少なくとも第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２の下流側近傍の第２立壁面Ｓ８の上端部分や、ボウル面Ｓにおける前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８付近の第２立壁面Ｓ８の上端部分に設けられていればよい。
さらに、図７に示すように、ボウル面Ｓは、その平面視の前端３２の曲率半径ρ２が全周の内で最小となる概ね卵形の形状である。そして、図８Ａ～図８Ｆに示すように、オーバーハング部Ｓ９の最内端がリム１８の第２立壁面Ｓ８の下端１８ｃに対して内側に突出する突出量ｄ４は、第１リム吐水口２０の下流側近傍位置から周方向前方に沿ったボウル面Ｓの前端３２付近までの領域において最大となるように設定されている。
ここで、図８Ａ～図８Ｆに示すように、オーバーハング部Ｓ９の内側に突出する突出量ｄ４は、適用されるボウル６の水平左右方向の全幅若しくは水平前後方向の全幅が大きい程小さく設定可能である。また、オーバーハング部Ｓ９の突出量ｄ４は、第１リム吐水口２０の下流側近傍やボウル面Ｓの前端３２付近の平面視の曲率半径ρが大きい程小さく設定可能である。さらに、オーバーハング部Ｓ９の突出量ｄ４は、第２リム吐水口２２の下流側近傍のボウル面Ｓの後端３４の平面視の曲率半径ρが大きい程小さく設定可能となっている。
さらに、図７に示すように、ボウル面Ｓは、その平面視の前端３２の曲率半径ρ２が全周の内で最小となる概ね卵形の形状である。そして、図８Ａ～図８Ｆに示すように、オーバーハング部Ｓ９の最内端がリム１８の第２立壁面Ｓ８の下端１８ｃに対して内側に突出する突出量ｄ４は、第１リム吐水口２０の下流側近傍位置から周方向前方に沿ったボウル面Ｓの前端３２付近までの領域において最大となるように設定されている。
ここで、図８Ａ～図８Ｆに示すように、オーバーハング部Ｓ９の内側に突出する突出量ｄ４は、適用されるボウル６の水平左右方向の全幅若しくは水平前後方向の全幅が大きい程小さく設定可能である。また、オーバーハング部Ｓ９の突出量ｄ４は、第１リム吐水口２０の下流側近傍やボウル面Ｓの前端３２付近の平面視の曲率半径ρが大きい程小さく設定可能である。さらに、オーバーハング部Ｓ９の突出量ｄ４は、第２リム吐水口２２の下流側近傍のボウル面Ｓの後端３４の平面視の曲率半径ρが大きい程小さく設定可能となっている。
【0046】
つぎに、図１～図１０を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器１の作用について説明する。
図９は、本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル内の洗浄水の流れを概略的に説明した概略平面図である。また、図１０は、本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル内の洗浄水の流れを概略的に説明した概略正面断面図である。
まず、図９に示すように、便器洗浄が開始され、貯水タンク１０内の洗浄水が便器本体２の導水路４の入口４ａから共通通水路２４に供給される。
そして、共通通水路２４内の洗浄水（図９の流れｆ０）は、第１リム通水路２６及び第２リム通水路２８のそれぞれに分岐し、下流側の第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２のそれぞれに供給された後、周方向下流側に吐水される。
図９は、本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル内の洗浄水の流れを概略的に説明した概略平面図である。また、図１０は、本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル内の洗浄水の流れを概略的に説明した概略正面断面図である。
まず、図９に示すように、便器洗浄が開始され、貯水タンク１０内の洗浄水が便器本体２の導水路４の入口４ａから共通通水路２４に供給される。
そして、共通通水路２４内の洗浄水（図９の流れｆ０）は、第１リム通水路２６及び第２リム通水路２８のそれぞれに分岐し、下流側の第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２のそれぞれに供給された後、周方向下流側に吐水される。
【0047】
ここで、図９に示すように、第１リム吐水口２０から比較的大流量で吐水された洗浄水（流れｆ１）は、その前方の棚１６の棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に沿って下流側に流れる。そして、ボウル面Ｓ（汚物受け面１４の全面Ｓ２）上を周方向下流側に旋回する。これにより、汚物受け面１４の全面Ｓ２上に旋回流ｆ１（いわゆる、「横旋回流」）が形成される。この洗浄水ｆ１（図９参照）は、ボウル面Ｓ（汚物受け面１２等）を全周に亘って旋回し、ボウル面Ｓの全域を洗浄した後、ボウル６の凹部１２内に流れ込む。そして、ボウル６内の水の落差による流水作用で汚物が排水トラップ管路８内に押し流される。
一方、図９及び図１０に示すように、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水（流れｆ２）は、旋回流ｆ１の旋回方向と同一方向に棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に沿って下流側に流れる。そして、ボウル６の後方側領域Ｒ内のボウル面Ｓ（汚物受け面１４）において、その大半の洗浄水ｆ３が、ボウル６の後方側領域Ｒ且つ左側領域Ｌ内のボウル面Ｓ（汚物受け面１４の後方側領域Ｂ且つ左側領域Ｌ）に流れた後、ボウル６の凹部１２内の溜水Ｗ０に向けて側方（前方から見て左側）から落とし込む流れｆ３が形成される。
また、図９及び図１０に示すように、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水の一部は、汚物受け面１４の後方側領域Ｂに到達すると、ボウル６の凹部１２内の溜水Ｗ０に向けて後方側から落とし込む流れｆ４が形成される。
そして、図９及び図１０に示すように、ボウル６の凹部１２内においては、これらの洗浄水の流れｆ３，ｆ４により、縦方向に旋回する旋回流ｆ５（いわゆる、「縦旋回流」）が形成される。これにより、ボウル６の凹部１２内の溜水Ｗ０が強力に攪拌された後、ボウル６の凹部１２内の水の落差による流水作用で汚物が排水トラップ管路８内に押し流される。
一方、図９及び図１０に示すように、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水（流れｆ２）は、旋回流ｆ１の旋回方向と同一方向に棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に沿って下流側に流れる。そして、ボウル６の後方側領域Ｒ内のボウル面Ｓ（汚物受け面１４）において、その大半の洗浄水ｆ３が、ボウル６の後方側領域Ｒ且つ左側領域Ｌ内のボウル面Ｓ（汚物受け面１４の後方側領域Ｂ且つ左側領域Ｌ）に流れた後、ボウル６の凹部１２内の溜水Ｗ０に向けて側方（前方から見て左側）から落とし込む流れｆ３が形成される。
また、図９及び図１０に示すように、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水の一部は、汚物受け面１４の後方側領域Ｂに到達すると、ボウル６の凹部１２内の溜水Ｗ０に向けて後方側から落とし込む流れｆ４が形成される。
そして、図９及び図１０に示すように、ボウル６の凹部１２内においては、これらの洗浄水の流れｆ３，ｆ４により、縦方向に旋回する旋回流ｆ５（いわゆる、「縦旋回流」）が形成される。これにより、ボウル６の凹部１２内の溜水Ｗ０が強力に攪拌された後、ボウル６の凹部１２内の水の落差による流水作用で汚物が排水トラップ管路８内に押し流される。
【0048】
上述した本発明の一実施形態による水洗大便器１によれば、図９及び図１０に示すように、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水は、棚１６上に沿って流れることによりボウル６の周方向に導かれて旋回する流れ（旋回流ｆ１）を形成する。この際、図８Ａ～図８Ｆに示すように、ボウル６の棚１６の外縁１６ａとリム１８の下縁１８ａとの間を曲面Ｓ５に連結する連結面３０が、ボウル面Ｓにおける前後両端３２，３４及び左右両端３６，３８を含む周方向の領域において、ほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられていると共に、連結面３０の曲面Ｓ５の上下方向の曲率半径ρ５がほぼ同一に設定されているため、棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４により、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１の跳ね上がりを抑制して、比較的安定させた状態でスムーズに旋回させる通水路を形成することができる。
したがって、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１について、棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４に沿って周方向に安定させてスムーズにガイドすることができる。
また、連結面３０がほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられることにより、第１リム吐水口２０の下流側の棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４により形成される通水路が、例えば、吐水直後の洗浄水を一旦降下させて加速させた後に上昇させる通水路に比べて、吐水直後の洗浄水ｆ１の過度な加速による跳ね上がりを抑制することができる。
よって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定させた状態でスムーズに旋回させることができる。
これらの結果、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
したがって、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１について、棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４に沿って周方向に安定させてスムーズにガイドすることができる。
また、連結面３０がほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられることにより、第１リム吐水口２０の下流側の棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４により形成される通水路が、例えば、吐水直後の洗浄水を一旦降下させて加速させた後に上昇させる通水路に比べて、吐水直後の洗浄水ｆ１の過度な加速による跳ね上がりを抑制することができる。
よって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定させた状態でスムーズに旋回させることができる。
これらの結果、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
【0049】
つぎに、本実施形態による水洗大便器１によれば、図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０の下端３０ａが、ボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってリム１８の上面１８ｂに対して所定距離ｄ１だけ下方のほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられていることにより、第１リム吐水口２０の下流側の棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４により形成される通水路が、第１リム吐水口２０の吐水直後の洗浄水ｆ１の過度な加速による跳ね上がりを効果的に抑制することができる。
よって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができるため、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をより向上させることができる。
よって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができるため、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をより向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態による水洗大便器１によれば、図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０の立面視における曲面Ｓ５の上下方向の曲率半径ρ５が、ボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されていることにより、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
したがって、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
【0051】
さらに、上述した本実施形態の水洗大便器１以外においては、図８Ａ～図８Ｆに示すように、連結面３０の下端３０ａから上端３０ｂまでの鉛直方向の距離ｄ２がボウル面のほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されていることにより、連結面３０の鉛直方向の幅ｄ２がボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ均一になる。
したがって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
したがって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態による水洗大便器１によれば、図８Ａ～図８Ｆに示すように、リム１８の立壁面Ｓ４の下端から上端（リム１８の下縁１８ａから上面１８ｂ）までの鉛直方向の距離ｄ３がボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ同一に設定されているため、立壁面Ｓ４の鉛直方向の幅ｄ３がボウル面Ｓのほぼ全周に亘ってほぼ均一になる。
したがって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
したがって、第１リム吐水口２０の吐水後の洗浄水ｆ１について、流れのエネルギーロスを抑制しながら、ボウル面Ｓ上を安定してスムーズに旋回させることができる。
よって、洗浄水によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りをさらにより効果的に抑制することができ、便器洗浄性能をさらにより向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施形態による水洗大便器１によれば、図８Ａ～図８Ｆに示すように、リム１８の第２立壁面Ｓ８の上端部分にオーバーハング部Ｓ９が内側に突出するように設けられているため、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しをより確実に抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態による水洗大便器１によれば、図８Ａ～図８Ｆに示すように、リム１８のオーバーハング部Ｓ９が第１リム吐水口２０の下流側近傍のリム１８の第２立壁面Ｓ８の上端部分に設けられているため、第１リム吐水口２０から吐水された直後の洗浄水ｆ１が、第１リム吐水口２０の下流側近傍部分に比較的勢いがある状態で到達しても、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しをさらにより確実に抑制することができる。
【0055】
さらに、本実施形態による水洗大便器１によれば、図１、図２及び図７に示すように、第１リム吐水口２０については、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して一方側（左側領域Ｌ且つ前方側領域Ｆ）のボウル６のボウル面Ｓの平面視の曲率半径ρが大きな曲率半径ρ１から小さな曲率半径ρ２に変化する位置の近傍に配置されていることにより、図６に示すように、ボウル６の前方且つ上方の使用者に対して、ボウル６内の第１リム吐水口２０が見え難くなるため、意匠性を向上させることもできる。
また、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に沿って周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水ｆ１について、第１リム吐水口２０の周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの平面視の曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの前端３２付近）の棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に供給することができる。そして、このようなボウル６のボウル面Ｓの平面視の曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の前端付近）の棚上の洗浄水ｆ１について、ボウル面の周方向下流側（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの前端３２付近）に確実に旋回させることができ、その後、ボウル面Ｓの全周に亘って下流側に旋回させることができる。
一方、第２リム吐水口２２についても、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して他方側（右側領域Ｒ且つ後方側領域Ｂ）のボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが大きな曲率半径ρ３から小さな曲率半径ρ４に変化する位置の近傍に配置されていることにより、図６に示すように、ボウル６の前方且つ上方の使用者に対して、ボウル６内の第２リム吐水口２２が見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
また、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上を周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水について、第２リム吐水口２２の周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの後端３４付近）の棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に供給することができる。
そして、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２の大半ｆ３については、ボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの後端３４付近）から周方向下流側に旋回した後、ボウル６内の溜水Ｗ０に向けて落し込む流れｆ３を形成することができる。これにより、第２リム吐水口２２の下流側のボウル面Ｓを洗浄した後、ボウル６内の溜水Ｗ０を強力に攪拌することができる。
同時に、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２の一部ｆ４については、ボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの後端３４付近）において洗浄水の流れｆ４を確実に失速させて、ボウル６内の溜水Ｗ０に向けて落とし込む流れを形成することができる。これにより、第２リム吐水口２２の下流側のボウル面Ｓを洗浄した後、ボウル６内の溜水Ｗ０を縦旋回流ｆ５により効率良く強力に攪拌することができる。
したがって、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１により、ボウル面Ｓの全周を確実に旋回してボウル面Ｓの全域を確実に洗浄することができる。同時に、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２により、第２リム吐水口２２の下流側のボウル面Ｓを確実に洗浄した後、ボウル６内の溜水を確実に強力に攪拌することができる。
また、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に沿って周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水ｆ１について、第１リム吐水口２０の周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの平面視の曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの前端３２付近）の棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に供給することができる。そして、このようなボウル６のボウル面Ｓの平面視の曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウルのボウル面の前端付近）の棚上の洗浄水ｆ１について、ボウル面の周方向下流側（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの前端３２付近）に確実に旋回させることができ、その後、ボウル面Ｓの全周に亘って下流側に旋回させることができる。
一方、第２リム吐水口２２についても、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して他方側（右側領域Ｒ且つ後方側領域Ｂ）のボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが大きな曲率半径ρ３から小さな曲率半径ρ４に変化する位置の近傍に配置されていることにより、図６に示すように、ボウル６の前方且つ上方の使用者に対して、ボウル６内の第２リム吐水口２２が見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
また、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２は、吐水直後の比較的大きなエネルギーが維持された状態で、棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上を周方向下流側に流れる。これにより、この比較的大きなエネルギーが維持された状態の洗浄水について、第２リム吐水口２２の周方向下流側のボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの後端３４付近）の棚面Ｓ４、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４上に供給することができる。
そして、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２の大半ｆ３については、ボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの後端３４付近）から周方向下流側に旋回した後、ボウル６内の溜水Ｗ０に向けて落し込む流れｆ３を形成することができる。これにより、第２リム吐水口２２の下流側のボウル面Ｓを洗浄した後、ボウル６内の溜水Ｗ０を強力に攪拌することができる。
同時に、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２の一部ｆ４については、ボウル６のボウル面Ｓの曲率半径ρが小となる位置（例えば、ボウル６のボウル面Ｓの後端３４付近）において洗浄水の流れｆ４を確実に失速させて、ボウル６内の溜水Ｗ０に向けて落とし込む流れを形成することができる。これにより、第２リム吐水口２２の下流側のボウル面Ｓを洗浄した後、ボウル６内の溜水Ｗ０を縦旋回流ｆ５により効率良く強力に攪拌することができる。
したがって、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１により、ボウル面Ｓの全周を確実に旋回してボウル面Ｓの全域を確実に洗浄することができる。同時に、第２リム吐水口２２から吐水された洗浄水ｆ２により、第２リム吐水口２２の下流側のボウル面Ｓを確実に洗浄した後、ボウル６内の溜水を確実に強力に攪拌することができる。
【0056】
また、本実施形態による水洗大便器１によれば、第１リム吐水口２０について、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して左右方向の一方側（左側領域Ｌ）で且つ前方側領域Ｆに配置すると共に、第２リム吐水口２２について、ボウル６の前後方向の中心Ｏに対して左右方向の他方側（右側領域Ｒ）で且つ後方側領域Ｂに配置したことにより、図６に示すように、水洗大便器１の前方且つ上方の使用者に対して、ボウル６内の第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２のそれぞれが見え難くなるため、意匠性を向上させることができる。
【0057】
さらに、本実施形態による水洗大便器１によれば、リム１８のオーバーハング部Ｓ９の最内端が第２立壁面Ｓ８の下端１８ｃに対して内側に突出する突出量ｄ４について、第１リム吐水口２０の下流側近傍位置から周方向前方に沿ってボウル面Ｓの前端３２付近までの領域において最大となるように設定したことにより、第１リム吐水口２０から吐水された洗浄水ｆ１が、第１リム吐水口２０の下流側近傍位置から周方向前方に沿ったボウル面Ｓの前端３２付近までの領域を通過する際に、洗浄水ｆ１によるボウル６の外部への飛び出しをさらにより確実に抑制することができる。また、ボウル６内の第１リム吐水口２０が確実に見え難くなるため、意匠性を確実に向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態による水洗大便器１によれば、オーバーハング部Ｓ９の内側に突出する突出量ｄ４が、適用されるボウル６の水平左右方向の全幅若しくは水平前後方向の全幅が大きい程小さく設定可能である。また、オーバーハング部Ｓ９の突出量ｄ４は、第１リム吐水口２０の下流側近傍やボウル面Ｓの前端３２付近の平面視の曲率半径ρが大きい程小さく設定可能である。さらに、オーバーハング部Ｓ９の突出量ｄ４は、第２リム吐水口２２の下流側近傍のボウル面Ｓの後端３４の平面視の曲率半径ρが大きい程小さく設定可能となっている。これらにより、第１リム吐水口２０及び第２リム吐水口２２のそれぞれから吐水された洗浄水ｆ１，ｆ２は、各吐水口２０，２２の下流側の棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４により形成される通水路に沿って安定した状態でスムーズに旋回し易くなる。
したがって、リム１８のオーバーハング部Ｓ９の内側に突出する突出量ｄ４を比較的小さく設定したとしても、洗浄水によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することができる。
したがって、リム１８のオーバーハング部Ｓ９の内側に突出する突出量ｄ４を比較的小さく設定したとしても、洗浄水によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りを抑制することができる。
【0059】
さらに、本実施形態による水洗大便器１によれば、便器洗浄が開始される際、洗浄水タンク装置１０の重力給水式の貯水タンク１０ａに貯水されていた洗浄水は、重力により導水路に供給された後、リム１８の各リム吐水口２０，２２から比較的高い水圧で、棚面Ｓ３、連結面３０の曲面Ｓ５、及び、リム１８の内周面Ｓ４により形成される通水路に吐水される。このとき、各リム吐水口２０，２２から吐水された洗浄水ｆ１，ｆ２が比較的高い水圧で勢い良く吐水された状態であっても、ボウル面Ｓのほぼ同一の高さ位置Ｔ１に設けられた連結面３０の立面視の曲面Ｓ５の上下方向の曲率半径ρ５がほぼ同一の曲率半径により、洗浄水の跳ね上がりを抑制し、周方向に安定した状態でスムーズに旋回させることができる。
したがって、洗浄水によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
したがって、洗浄水によるボウル６の外部への飛び出しや周囲への飛び散りを効果的に抑制することができ、便器洗浄性能を向上させることができる。
【0060】
なお、上述した本実施形態による水洗大便器１においては、いわゆる、「洗い落し式の水洗大便器」の形態に適用した例について説明したが、洗い落し式の水洗大便器以外の形態の水洗大便器に対しても適用可能である。
すなわち、洗い落し式の水洗大便器以外の形態の水洗大便器として、サイホン作用を利用してボウル内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、「サイホン式の水洗大便器」等に対しても適用可能である。
すなわち、洗い落し式の水洗大便器以外の形態の水洗大便器として、サイホン作用を利用してボウル内の汚物を吸い込んで排水トラップ管路から一気に外部に排出する、いわゆる、「サイホン式の水洗大便器」等に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
１ 水洗大便器
２ 便器本体
４ 導水路
４ａ 導水路の入口
６ ボウル
８ 排水トラップ管路（排水路）
８ａ 排水トラップ管路の入口
８ｂ 排水トラップ管路の下降路
８ｃ 排水トラップ管路の上昇路
１０ 洗浄水タンク装置（洗浄水源）
１０ａ 貯水タンク
１２ 凹部（溜水部）
１２ａ 凹部の底壁面
１２ｂ 凹部の側壁面
１２ｃ 凹部の後壁面
１４ 汚物受け面
１６ 棚
１６ａ 棚面の外縁
１８ リム
１８ａ リムの下縁
１８ｂ リムの上面
１８ｃ リムの第２立壁面の下端
２０ 第１リム吐水口（第１吐水部）
２２ 第２リム吐水口（第２吐水部）
２４ 共通通水路
２６ 第１リム通水路（第１通水路）
２８ 第２リム通水路（第２通水路）
２８ａ 第２リム通水路の入口（第２通水路の入口）
２８ｂ 第２リム通水路の外側通水路（第２通水路の外側通水路）
２８ｃ 第２リム通水路の屈曲通水路（第２通水路の屈曲通水路）
２８ｄ 第２リム通水路の内側通水路（第２通水路の内側通水路）
３０ 連結面
３０ａ 連結面の下端
３０ｂ 連結面の上端
３２ ボウル面の前端
３４ ボウル面の後端
３６ ボウル面の左端
３８ ボウル面の右端
Ａ１ 第１リム通水路のＡ断面の流路断面積
Ａ２ 第１リム通水路のＢ断面（第１リム吐水口の開口断面）の流路断面積
Ａ３ 第２リム通水路のＣ断面の流路断面積
Ａ４ 第２リム通水路のＤ断面の流路断面積
Ａ５ 第２リム通水路のＥ断面の流路断面積
Ａ６ 第２リム通水路のＦ断面の流路断面積
Ａ７ 第２リム通水路のＧ断面（第２リム吐水口の開口断面）の流路断面積
Ｂ ボウルの後方側領域
Ｃ 第２リム吐水口から棚に沿ってボウル面の後端に至るまでの区間
ｄ１ リムの最上端面から連結面の下端までの鉛直方向下方の所定距離
ｄ２ 連結面の下端から上端までの鉛直方向の距離
ｄ３ 立壁面の下端から上端までの鉛直方向の距離
ｄ４ オーバーハング部の最内端がリムの第２立壁面の下端に対して内側に突出する突出量
Ｌ ボウルの左側領域
Ｍ 汚物受け面と凹部との境界線
Ｆ ボウルの前方側領域
ｆ０ 共通通水路の洗浄水の流れ
ｆ１ 第１リム吐水口から吐水された洗浄水の流れ（旋回流）
ｆ２ 第２リム吐水口から吐水された洗浄水の流れ
ｆ３ 第２リム吐水口から吐水された洗浄水の大半の流れ
ｆ４ 第２リム吐水口から吐水された洗浄水の一部の流れ
ｆ５ 縦旋回流
Ｈ１ 第１リム通水路のＡ断面の最大縦幅寸法
Ｈ２ 第１リム通水路のＢ断面の最大縦幅寸法
Ｈ３ 第２リム通水路のＣ断面の最大縦幅寸法
Ｈ４ 第２リム通水路のＤ断面の最大縦幅寸法
Ｈ５ 第２リム通水路のＥ断面の最大縦幅寸法
Ｈ６ 第２リム通水路のＦ断面の最大縦幅寸法
Ｈ７ 第２リム通水路のＧ断面（第２リム吐水口の開口断面）の最大縦幅寸法 Ｏ ボウルの中心
Ｐ１ ボウル面の第１外縁部分の始端位置及び第４外縁部分の終端位置
Ｐ２ ボウル面の第１外縁部分の終端位置及び第２外縁部分の始端位置
Ｐ３ ボウル面の第２外縁部分の終端位置及び第３外縁部分の始端位置
Ｐ４ ボウル面の第３外縁部分の終端位置及び第４外縁部分の始端位置
Ｑ１ 第２リム吐水口の前後方向の位置
Ｑ２ 凹部の後端位置（ボウルの凹部内の後壁面の上端位置）
Ｑ３ 溜水面の後端位置
Ｒ ボウルの右側領域
Ｓ ボウル面
Ｓ１ 凹部内の壁面
Ｓ２ 汚物受け面の全面
Ｓ３ 棚の表面（棚面）
Ｓ４ リムの内周面（立壁面）
Ｓ５ 棚の外縁とリムの下縁との間の連結面の曲面
Ｓ６ リムの下側立壁面（第１立壁面）
Ｓ７ リムの上側立壁面
Ｓ８ リムの上側立壁面の第２立壁面
Ｓ９ リムの上側立壁面のオーバーハング部
Ｔ１ 棚の外縁とリムの下縁との間の連結面の高さ位置
Ｕ 第２リム通水路のＵターン部
Ｗ０ 溜水
Ｗ１ 第１リム通水路のＡ断面の最大横幅寸法
Ｗ２ 第１リム通水路のＢ断面の最大横幅寸法
Ｗ３ 第２リム通水路のＣ断面の最大横幅寸法
Ｗ４ 第２リム通水路のＤ断面の最大横幅寸法
Ｗ５ 第２リム通水路のＥ断面の最大横幅寸法
Ｗ６ 第２リム通水路のＦ断面の最大横幅寸法
Ｗ７ 第２リム通水路のＧ断面（第２リム吐水口の開口断面）の最大横幅寸法 ＷＬ 溜水の水位（溜水面）
Ｘ ボウルの水平左右方向の中心軸線
Ｙ ボウルの水平前後方向の中心軸線
Ｚ ボウルの中心を通る鉛直方向の中心軸線
θ 平面視のボウルのボウル面の外縁部分
θ１ 平面視のボウルのボウル面の第１外縁部分
θ２ 平面視のボウルのボウル面の第２外縁部分
θ３ 平面視のボウルのボウル面の第３外縁部分
θ４ 平面視のボウルのボウル面の第４外縁部分
ρ 平面視のボウルのボウル面の外縁部分の平面視の曲率半径
ρ１ 平面視のボウルのボウル面の第１外縁部分の平面視の曲率半径
ρ２ 平面視のボウルのボウル面の第２外縁部分の平面視の曲率半径
ρ３ 平面視のボウルのボウル面の第３外縁部分の平面視の曲率半径
ρ４ 平面視のボウルのボウル面の第４外縁部分の平面視の曲率半径
ρ５ 棚の外縁とリムの下縁との間の連結面の立面視における曲面の上下方向の曲率半径
２ 便器本体
４ 導水路
４ａ 導水路の入口
６ ボウル
８ 排水トラップ管路（排水路）
８ａ 排水トラップ管路の入口
８ｂ 排水トラップ管路の下降路
８ｃ 排水トラップ管路の上昇路
１０ 洗浄水タンク装置（洗浄水源）
１０ａ 貯水タンク
１２ 凹部（溜水部）
１２ａ 凹部の底壁面
１２ｂ 凹部の側壁面
１２ｃ 凹部の後壁面
１４ 汚物受け面
１６ 棚
１６ａ 棚面の外縁
１８ リム
１８ａ リムの下縁
１８ｂ リムの上面
１８ｃ リムの第２立壁面の下端
２０ 第１リム吐水口（第１吐水部）
２２ 第２リム吐水口（第２吐水部）
２４ 共通通水路
２６ 第１リム通水路（第１通水路）
２８ 第２リム通水路（第２通水路）
２８ａ 第２リム通水路の入口（第２通水路の入口）
２８ｂ 第２リム通水路の外側通水路（第２通水路の外側通水路）
２８ｃ 第２リム通水路の屈曲通水路（第２通水路の屈曲通水路）
２８ｄ 第２リム通水路の内側通水路（第２通水路の内側通水路）
３０ 連結面
３０ａ 連結面の下端
３０ｂ 連結面の上端
３２ ボウル面の前端
３４ ボウル面の後端
３６ ボウル面の左端
３８ ボウル面の右端
Ａ１ 第１リム通水路のＡ断面の流路断面積
Ａ２ 第１リム通水路のＢ断面（第１リム吐水口の開口断面）の流路断面積
Ａ３ 第２リム通水路のＣ断面の流路断面積
Ａ４ 第２リム通水路のＤ断面の流路断面積
Ａ５ 第２リム通水路のＥ断面の流路断面積
Ａ６ 第２リム通水路のＦ断面の流路断面積
Ａ７ 第２リム通水路のＧ断面（第２リム吐水口の開口断面）の流路断面積
Ｂ ボウルの後方側領域
Ｃ 第２リム吐水口から棚に沿ってボウル面の後端に至るまでの区間
ｄ１ リムの最上端面から連結面の下端までの鉛直方向下方の所定距離
ｄ２ 連結面の下端から上端までの鉛直方向の距離
ｄ３ 立壁面の下端から上端までの鉛直方向の距離
ｄ４ オーバーハング部の最内端がリムの第２立壁面の下端に対して内側に突出する突出量
Ｌ ボウルの左側領域
Ｍ 汚物受け面と凹部との境界線
Ｆ ボウルの前方側領域
ｆ０ 共通通水路の洗浄水の流れ
ｆ１ 第１リム吐水口から吐水された洗浄水の流れ（旋回流）
ｆ２ 第２リム吐水口から吐水された洗浄水の流れ
ｆ３ 第２リム吐水口から吐水された洗浄水の大半の流れ
ｆ４ 第２リム吐水口から吐水された洗浄水の一部の流れ
ｆ５ 縦旋回流
Ｈ１ 第１リム通水路のＡ断面の最大縦幅寸法
Ｈ２ 第１リム通水路のＢ断面の最大縦幅寸法
Ｈ３ 第２リム通水路のＣ断面の最大縦幅寸法
Ｈ４ 第２リム通水路のＤ断面の最大縦幅寸法
Ｈ５ 第２リム通水路のＥ断面の最大縦幅寸法
Ｈ６ 第２リム通水路のＦ断面の最大縦幅寸法
Ｈ７ 第２リム通水路のＧ断面（第２リム吐水口の開口断面）の最大縦幅寸法 Ｏ ボウルの中心
Ｐ１ ボウル面の第１外縁部分の始端位置及び第４外縁部分の終端位置
Ｐ２ ボウル面の第１外縁部分の終端位置及び第２外縁部分の始端位置
Ｐ３ ボウル面の第２外縁部分の終端位置及び第３外縁部分の始端位置
Ｐ４ ボウル面の第３外縁部分の終端位置及び第４外縁部分の始端位置
Ｑ１ 第２リム吐水口の前後方向の位置
Ｑ２ 凹部の後端位置（ボウルの凹部内の後壁面の上端位置）
Ｑ３ 溜水面の後端位置
Ｒ ボウルの右側領域
Ｓ ボウル面
Ｓ１ 凹部内の壁面
Ｓ２ 汚物受け面の全面
Ｓ３ 棚の表面（棚面）
Ｓ４ リムの内周面（立壁面）
Ｓ５ 棚の外縁とリムの下縁との間の連結面の曲面
Ｓ６ リムの下側立壁面（第１立壁面）
Ｓ７ リムの上側立壁面
Ｓ８ リムの上側立壁面の第２立壁面
Ｓ９ リムの上側立壁面のオーバーハング部
Ｔ１ 棚の外縁とリムの下縁との間の連結面の高さ位置
Ｕ 第２リム通水路のＵターン部
Ｗ０ 溜水
Ｗ１ 第１リム通水路のＡ断面の最大横幅寸法
Ｗ２ 第１リム通水路のＢ断面の最大横幅寸法
Ｗ３ 第２リム通水路のＣ断面の最大横幅寸法
Ｗ４ 第２リム通水路のＤ断面の最大横幅寸法
Ｗ５ 第２リム通水路のＥ断面の最大横幅寸法
Ｗ６ 第２リム通水路のＦ断面の最大横幅寸法
Ｗ７ 第２リム通水路のＧ断面（第２リム吐水口の開口断面）の最大横幅寸法 ＷＬ 溜水の水位（溜水面）
Ｘ ボウルの水平左右方向の中心軸線
Ｙ ボウルの水平前後方向の中心軸線
Ｚ ボウルの中心を通る鉛直方向の中心軸線
θ 平面視のボウルのボウル面の外縁部分
θ１ 平面視のボウルのボウル面の第１外縁部分
θ２ 平面視のボウルのボウル面の第２外縁部分
θ３ 平面視のボウルのボウル面の第３外縁部分
θ４ 平面視のボウルのボウル面の第４外縁部分
ρ 平面視のボウルのボウル面の外縁部分の平面視の曲率半径
ρ１ 平面視のボウルのボウル面の第１外縁部分の平面視の曲率半径
ρ２ 平面視のボウルのボウル面の第２外縁部分の平面視の曲率半径
ρ３ 平面視のボウルのボウル面の第３外縁部分の平面視の曲率半径
ρ４ 平面視のボウルのボウル面の第４外縁部分の平面視の曲率半径
ρ５ 棚の外縁とリムの下縁との間の連結面の立面視における曲面の上下方向の曲率半径
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図9】
【図10】