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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】内面調査装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20220601BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20220601BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20220601BHJP
   G01N 21/954 20060101ALI20220601BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H04N5/225 500
G02B23/26 D
G01N21/84 A
G01N21/954 A
H04N5/225 200
H04N5/225 100
H04N5/225 600
H04N7/18 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018126940
(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公開番号】P2020010098
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】599113590
【氏名又は名称】株式会社美貴本
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】仁木 政司
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 真輝
(72)【発明者】
【氏名】山口 信之
(72)【発明者】
【氏名】相見 和徳
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-189810(JP,A)
【文献】実開平07-011055(JP,U)
【文献】特開2016-92654(JP,A)
【文献】特開2018-119372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G02B 23/26
G01N 21/84
G01N 21/954
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の主柱を有する鋼構造物において前記主柱の内面を撮影する内面調査装置であって、
前記主柱の頭頂部の開口に取り付けられ、前記主柱の内部に信号ケーブルを案内する滑車と、
前記信号ケーブルに接続され、前記開口から挿入されて前記主柱の内面を撮影する、筐体で保護されている撮影部と、
前記信号ケーブルを介して前記撮影部で撮影された映像を表示する表示部と、
前記筐体に設けられ、前記撮影部が撮影する方向を照らす照明部と、
を備えることを特徴とする内面調査装置。
【請求項2】
前記撮影部を保護する前記筐体は、前記開口から挿入される方の一端から他端に向かうにしたがって拡がるように形成される内空の円錐台形状を呈する
ことを特徴とする請求項1に記載の内面調査装置。
【請求項3】
前記撮影部を保護する前記筐体は、内空であり、中央部から両端に向かうにしたがって幅が狭くなるように形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の内面調査装置。
【請求項4】
前記滑車は、前記主柱の開口から前記撮影部までの距離を計測するように、前記信号ケーブルの移動に応じて計測動作する計尺部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の内面調査装置。
【請求項5】
前記照明部は、前記筐体における前記開口から挿入される方の一端面の周縁部に沿って設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の内面調査装置。
【請求項6】
前記滑車は、前記筐体における前記開口から挿入される方の一端とは反対側の他端に接続される前記筐体の落下防止用の落下防止紐が取り付けられる落下防止部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の内面調査装置。
【請求項7】
前記筐体における前記開口から挿入される方の一端とは反対側の他端には、前記信号ケーブルが挿入される挿入箇所に、前記信号ケーブルの抜け出しを防止するクランプ部材が設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の内面調査装置。
【請求項8】
筐体は、ジュラルミンまたはアルミ合金のいずれか一方で形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の内面調査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、井戸の内周面を撮影するカメラ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-119986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたカメラ装置は、井戸内の底部に向かって撮影する直視カメラと内側面に向かって撮影する側視カメラとを有する。該カメラ装置を用いて、鋼構造物の主柱の内面を撮影する際に、シーブの位置決めに時間を要するとともに、鋼構造物の頭頂部で人がカメラを支持しなくてはならないため、作業に危険を伴う虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、鋼管の主柱を有する鋼構造物において前記主柱の内面を撮影する内面調査装置であって、前記主柱の頭頂部の開口に取り付けられ、前記主柱の内部に信号ケーブルを案内する滑車と、前記信号ケーブルに接続され、前記開口から挿入されて前記主柱の内面を撮影する、筐体で保護されている撮影部と、前記信号ケーブルを介して前記撮影部で撮影された映像を表示する表示部と、前記筐体に設けられ、前記撮影部が撮影する方向を照らす照明部と、を備える。
本発明の他の特徴については、添付図面および本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、鋼構造物における主柱の頭頂部の開口に取り付けられる滑車を有するため容易に撮影準備を行え、鋼構造物の頭頂部から底部に向かって主柱の内面を安全に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】鋼構造物の一例を示す図である。
図2】鋼構造物の頭頂部の開口の一例を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る内面調査装置を開口に装着した状態の一例を示す断面図である。
図4】本実施形態に係る内面調査装置の滑車の一例を示す側面図である。
図5】本実施形態に係る内面調査装置の滑車の一例を示す上面図である。
図6】本実施形態に係る内面調査装置の滑車に付帯する計尺装置の一例を示す側面図である。
図7】本実施形態に係る内面調査装置の筐体の一例を示す側面図である。
図8】本実施形態に係る内面調査装置の筐体に信号ケーブルを装着した状態の一例を示す側面図である。
図9】内面調査装置の筐体の他の例を示す側面図である。
図10】内面調査装置の筐体の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下の説明において、同一符号を付した部分は同一の要素を表し、その基本的な構成および動作は同様であるものとする。また、図においては、見える部分を実線で示し、見えない部分を破線で示している。
【0009】
===本実施形態に係る内面調査装置100の構成===
図1図8を参照しつつ、内面調査装置100について以下のとおり説明する。
【0010】
内面調査装置100は、図1に示すような通信用鉄塔や送電用鉄塔などの主構造である鋼管からなる主柱1100を有する鋼構造物1000において、該主柱1100の内面を撮影する装置である。内面調査装置100は、図2に示すような該鋼構造物1000の頭頂部の開口1110に設けられる。以下に詳細に説明するように、内面調査装置100は、鋼構造物1000の主柱1100の内部において頭頂部から底部に向かって主柱の傾斜に沿ってブレることなく安定的に撮影することができる。また、内面調査装置100は、鋼構造物1000の主柱1100のどの位置を撮影しているかがわかるように、後述する計尺装置114を有する。
【0011】
このような内面調査装置100は、図3に示すように、滑車110と、筐体120と、撮影部130と、照明部140と、信号ケーブル150と、表示部160と、を含んで構成されている。内面調査装置100は、滑車110に信号ケーブル150を引っ掛けて主柱1100の内部に頭頂部から底部に向かって筐体120を安定的に垂直に下すことができる。なお、図3においては筐体120に設けられるクランプ122を省略して概略的に示している。
【0012】
滑車110は、主柱1100の開口1110に取り付けられ、主柱1100の内面において頭頂部と底部との間で筐体120を安定的に上下移動させるための装置である。図4に示すように、滑車110は、滑車ベース111と、シーブ112と、落下防止部113と、計尺装置114と、を含んで構成されている。
【0013】
滑車ベース111は、例えば、ジュラルミンあるいはアルミ合金で形成され、開口1110の主柱フランジ1111にボルト止めできる構造を有する。具体的には、図5に示すように、滑車ベース111のボルト長孔111aと開口1110のフランジボルト孔1112とが重なるように滑車ベース111を配置して、ボルト長孔111aとフランジボルト孔1112とに挿通したボルト111cをナット111dで締め付ける。これにより、滑車ベース111が開口1110に装着される。滑車ベース111は、開口1110に装着した状態で、筐体120を開口1110に挿入できるように挿入口111bを有する。
【0014】
シーブ112は、信号ケーブル150を案内する部材であり、例えばジュラルミンあるいはアルミ合金で形成されている。図4に示すように、シーブ112は、サポートベース112bを介して滑車ベース111に固定されている。シーブ112は、その中心に設けられるベアリング112aを介してサポートベース112bに回転可能に取り付けられている。シーブ112は、周側面に信号ケーブル150が嵌まり込む溝112cを有する。これにより、信号ケーブル150が脱落しないように、シーブ112に信号ケーブル150を引っ掛けることができ、信号ケーブル150の移動に応じてシーブ112が回転する。つまり、信号ケーブル150は、シーブ112に支持されることにより、ブレることなく主柱1100の内部で垂直に吊り下げられる。
【0015】
落下防止部113は、筐体120に接続される落下防止ロープ113c(図3参照)と接続され、筐体120が主柱1100の内部に落下することを防止するための部材である。落下防止部113は、図4に示すように、落下防止ロープ113cを巻き付ける輪部113aを有し、輪部113aから滑車ベース111に向かって延び出る棒113bが滑車ベース111に固定して設けられている。
【0016】
計尺装置114は、信号ケーブル150の移動した長さを計測する装置である。計尺装置114は、図4に示すように、滑車ベース111上に設けられる計尺ベース114aに取り付けられている。計尺装置114は、図6に示すように、例えば、計尺ベース114aの上面側(図中の上側)に設けられる、周側面に溝114b1を有する上ローラ114bと、周側面に溝114c1を有する押えローラ114cと、計尺ローラ114dと、を有する。また、計尺ベース114aの下面側(図中の下側)に設けられるサポート部材114eに固設され、一対のローラ部材114f1,114f2で形成される下ローラ114fを有する。信号ケーブル150は、上ローラ114bの溝114b1に嵌まり込んで案内され、上ローラ114bの下部で計尺ローラ114dに押し当たるように押えローラ114cの溝114c1に嵌まり込んで案内される。上ローラ114bを設けることにより、シーブ112だけで構成されているものよりも筐体120の揺れを抑制できる。なお、計尺ベース114a、上ローラ114bおよび押えローラ114cは、錆などの劣化を抑制および軽量化のためにジュラルミンあるいはアルミ合金で形成されていることが好ましい。
【0017】
押えローラ114cは、一端が固定ネジ114c2を中心に同図中において回転矢印で示すように回動可能に計尺ベース114aに取り付けられ、信号ケーブル150が計尺ローラ114dに押し当てられる状態(図5に示す状態)と、信号ケーブル150が計尺ローラ114dから解放される状態(押えローラ114cが同図中時計回りに回転した状態)と、を切り替えることができる。そして、信号ケーブル150が計尺ローラ114dから解放される状態とすることで、信号ケーブル150を押えローラ114cに容易に取り付けることができる。また、押えローラ114cは、固定ネジ114c2を締め付けることで固定される。
【0018】
計尺ローラ114dは、例えば、ゴム材料で形成され、エンコーダ114gに接続される回転軸114hに巻き付けられている。これにより、信号ケーブル150が計尺ローラ114dに押し当てられて、固定ネジ114cで固定されている状態において、信号ケーブル150の移動に応じて、計尺ローラ114dを介して該回転軸114hが回転し、エンコーダ114gが該回転軸114hの回転量を計測することができる。エンコーダ114gが計測する回転量は、専用ケーブル114i(図5参照)を介して表示端末114j(図5参照)に表示されるか、エンコーダ114gに表示器(不図示)が設けられている場合は該表示器に表示される。
【0019】
下ローラ114fは、図6に示すように、信号ケーブル150を一対のローラ部材114f1,114f2の間に通せるように構成されている。下ローラ114fの一対のローラ部材114f1,114f2は、それぞれの一端部が回動可能に接続され、それぞれの他端部が嵌合して固定する嵌合機構114f3を有する。つまり、一方のローラ部材114f1,114f2を回動させて信号ケーブル150を通した後に、一方のローラ部材114f1に向かって他方のローラ部材114f2を回動させて嵌合機構114f3を嵌合させることで、一対のローラ部材114f1,114f2で信号ケーブル150を移動可能に挟み込む。これにより、シーブ112および押えローラ114cだけで構成されているものよりも筐体120の揺れをさらに抑制できるため、より正確に信号ケーブル150の移動した距離を計測することができる。
【0020】
主柱1100の鋼管に継ぎ目がある場合は映像を逐次確認していくことで後述する筐体120の位置を特定しやすいが、鋼管に継ぎ目がない又は継ぎ目と継ぎ目の間が長い鋼構造物1000の場合は映像から筐体120の位置を特定することが困難であった。このような状況を解決するために、上述した計尺装置114を設けることで筐体120が主柱1100の内部のどの位置にあるかを容易に特定することができる。
【0021】
なお、滑車110は、上述したような構造のものに限定されず、例えば、少なくとも滑車ベース111とシーブ112とを有して構成されていればよい。主柱1100の開口1110に取り付けることができ、主柱1100の頭頂部から底部に向かってブレることなく筐体120を安定的に垂直に下すことができればよいためである。
【0022】
筐体120は、撮影部130などの電子機器を保護する部材であり、例えばジュラルミンあるいはアルミ合金で形成されている。筐体120は、図3図7図8に示すように、例えば内空の円柱形状を呈している。筐体120の一端面および他端面の直径は、特に限定されず、主柱1100の開口1110に挿入できる大きさであればよい。
【0023】
筐体120には、後述する撮影部130が収容されている。筐体120の一端面には、図7に示すように撮影部130が撮影できるように撮影窓121を有し、図3に示すように撮影窓121の周囲には照明部140が設けられている。さらに、筐体120の他端部は、図8に示すように、信号ケーブル150を固定するクランプ122を取り付けることができる構造を有する。また、筐体120の他端部には、落下防止ロープ113cに接続される落下防止部123を有する。落下防止部123は、滑車110に設けられる落下防止部113と同じものであるためその説明を省略する。なお、図7および図8に示すように、筐体120(他端部)およびクランプ122における挿入方向とは反対側の角は、傾斜するように形成されていることが好ましい。また、丸みを有するように形成されていてもよい(不図示)。これにより、主柱1100の内面のフランジ縁1113(図10参照)に筐体120およびクランプ122が引っ掛かりにくくなるため、安全に筐体120を引き上げることができる。
【0024】
なお、筐体120は、円柱形状に限定されず、例えば、図9に示すように、開口1110から挿入される方の一端から他端に向かうにしたがって拡がるように形成される、例えば内空の円錐台形状を呈していてもよい。これにより、筐体120の重心が、筐体120の中心よりも他端部の側に位置することとなるため、筐体120の一端部が主柱1100の内面に接触した際に、該内面に沿って筐体120が傾斜しやすくなることから、安定的に撮影することができる。つまり、先願技術文献に記載されたカメラ装置が有するセンターライザーのような複雑な構造を設けることなく、筐体120は主柱1100の内部を安定的に移動できる。また、筐体120は、例えば、図10に示すように、中央部から両端に向かうにしたがって幅が狭くなるように形成されていてもよい。これにより、主柱1100の内面のフランジ縁1113に筐体120(他端面)を引っ掛けることなく、筐体120を引き上げることができる。また、筐体120はジュラルミンあるいはアルミ合金で形成されているものに限定されず、例えば樹脂材料やカーボン材料で形成されていてもよい。
【0025】
撮影部130は、主柱1100の内面を撮影するカメラ装置である。撮影部130は、筐体120の一端面の撮影窓121から主柱1100の内底面に向かってレンズが設けられ、主柱1100の内側周面を撮影する。レンズは、例えば、単焦点で広角のレンズである。なお、筐体120の側周面に撮影窓121が設けられている場合、主柱1100の内側周面に向かってレンズが設けられていてもよい。つまり、撮影部130は、筐体120に設けられる撮影窓121の位置に応じて設けられていればよい。撮影部130は、例えば単板式または多板式のCCDカメラやCMOSカメラなどであり、赤外線モードを有していることが望ましいが、その仕様が限定されるものではない。また、撮影部130は、信号ケーブル150と接続され、信号ケーブル150を介して、表示部160に撮影した映像信号を送信し、表示部160から撮影部130を制御するための制御信号を受信する。なお、信号ケーブル150は、同軸ケーブル、LANケーブルなどであり、その仕様が限定されるものではない。
【0026】
照明部140は、主柱1100の内面を照らす部材である。照明部140は、例えばLED照明、蛍光灯、有機EL照明などであり、特にその仕様が限定されるものではない。照明部140は、筐体120の一端面の撮影窓121の周囲を取り囲むように設けられている。なお、筐体120の側周面に撮影窓121が設けられている場合、撮影窓121の周囲を取り囲むように設けられる。照明部140は、表示部160から出力される制御信号に応じて点灯または消灯する制御回路(不図示)を有する。
【0027】
表示部160は、撮影部130が撮影した映像を表示する機能を有し、撮影部130を制御するための制御信号を出力する機能を有する表示制御端末である。表示部160は、例えばタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイなどである。表示部160は、撮影部130を制御するための制御信号を出力することにより、撮影部130に対してフォーカス、拡大縮小、赤外線モードへの切換えなどを実行できる。また、表示部160は、照明部140を点灯または消灯させるための制御信号を出力する。表示部160は、例えば外部のバッテリー170から電力供給される。なお、撮影部130および照明部140も、信号ケーブル150を介して該バッテリー170から電力が供給されている。
【0028】
===内面調査装置100の使用手順===
図3図4図5を参照しつつ、内面調査装置100を用いて鉄塔の主柱1100の内面を調査する手順について説明する。
【0029】
先ず、作業員は、シーブ112が取り付けられている滑車ベース111を主柱1100の開口1110にボルト止めする。
【0030】
次に、作業員は、信号ケーブル150を、計尺装置114の上部ローラの溝114b1および押えローラ114cの溝114c1にはめ込む。そして、作業員は、信号ケーブル150の一端に接続されている筐体120を、滑車ベース111の挿入口111bから主柱1100の内部に挿入する。次に、作業員は、筐体120を主柱1100の内部に挿入した状態において、下ローラ114fの一対のローラ部材114f1,114f2で信号ケーブル150を挟み込む。そして、作業員は、信号ケーブル150をシーブ112の溝112cにはめ込むとともに、計尺装置114を滑車ベース111に取り付ける。
【0031】
この状態において、信号ケーブル150は押えローラ114cで計尺ローラ114dに押し当てられているため、信号ケーブル150が移動すると、信号ケーブル150が計尺ローラ114dを介して回転軸114hを回転させる。そして、この回転軸114hの回転量をエンコーダ114gが計測する。計測された回転量を示す回転量信号は、エンコーダ114gから専用ケーブル114iを介して表示部160に伝送される。
【0032】
作業員は、撮影部130から出力される映像信号に基づいて表示部160に表示される映像を確認しながら、必要に応じて表示部160を操作して撮影部130および照明部140に制御信号を出力させる。これら一連の手順により、作業員は、表示部160で筐体120の位置および主柱1100の内面の映像を確認しつつ主柱1100の内面を調査できる。
【0033】
===まとめ===
以上説明したように、本実施形態に係る内面調査装置100は、鋼管の主柱1100を有する鋼構造物1000において主柱1100の内面を撮影する内面調査装置100であって、主柱1100の頭頂部の開口1110に取り付けられ、主柱1100の内部に信号ケーブル150を案内する滑車110と、信号ケーブル150に接続され、開口1110から挿入されて主柱1100の内面を撮影する、筐体120で保護されている撮影部130と、信号ケーブル150を介して撮影部130で撮影された映像を表示する表示部160と、筐体120に設けられ、撮影部130が撮影する方向を照らす照明部140と、を備える。本実施形態によれば、鋼構造物1000における主柱1100の頭頂部の開口1110に取り付けられる滑車110を有するため、鋼構造物1000の頭頂部から底部に向かって主柱1100の内面を安全に撮影することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の撮影部130を保護する筐体120は、開口1110から挿入される方の一端から他端に向かうにしたがって拡がるように形成される内空の円錐台形状を呈する。本実施形態によれば、筐体120の重心が、筐体120の中心よりも他端部の側に位置することとなるため、筐体120の一端部が主柱1100の内面に接触した際に、該内面に沿って筐体120が傾斜しやすくなることから、安定的に撮影することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の撮影部130を保護する筐体120は、内空であり、中央部から両端に向かうにしたがって幅が狭くなるように形成されている。本実施形態によれば、主柱1100の内面のフランジ縁1113に筐体120の他端面を引っ掛けることなく、筐体120を引き上げることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の滑車110は、主柱1100の開口1110から撮影部130までの距離を計測するように、信号ケーブル150の移動に応じて計測動作する計尺装置114を有する。本実施形態によれば、筐体120が主柱1100の内部のどの位置にあるかを容易に特定することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の照明部140は、筐体120における開口1110から挿入される方の一端面の周縁部に沿って設けられている。本実施形態によれば、主柱1100の内面を効率よく照らすことができるため、内面の発錆状況を見落とすことのない画像が得られる。
【0038】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の滑車110は、筐体120における開口1110から挿入される方の一端とは反対側の他端に接続される筐体120の落下防止用の落下防止紐が取り付けられる落下防止部113を有する。本実施形態によれば、仮に信号ケーブル150が断線したような場合であっても筐体120が主柱1100内に落下することを防止できる。
【0039】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の筐体120における開口1110から挿入される方の一端とは反対側の他端には、信号ケーブル150が挿入される挿入箇所に、信号ケーブル150の抜け出しを防止するクランプ122が設けられる。本実施形態によれば、信号ケーブル150が筐体120(または撮影部130)からの抜け出しを抑制することができるため、安全に作業を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態に係る内面調査装置100の筐体120は、ジュラルミンまたはアルミ合金のいずれか一方で形成されている。本実施形態によれば、筐体120の軽量化を図ることができる。
【0041】
なお、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0042】
100 内面調査装置
110 滑車
113 落下防止部
114 計尺装置
120 筐体
130 撮影部
140 照明部
150 信号ケーブル
160 表示部
1000 鋼構造物
1100 主柱
1110 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10