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特許7082350運行管理システムおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】運行管理システムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220601BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20220601BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20220601BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 A
G06Q50/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019211009
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021082166
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2019-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】515207983
【氏名又は名称】小湊鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510000725
【氏名又は名称】菱木運送株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱木 博一
(72)【発明者】
【氏名】石川 晋平
(72)【発明者】
【氏名】石川 卓生
(72)【発明者】
【氏名】峯島 淳
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-21331(JP,A)
【文献】特開2007-148901(JP,A)
【文献】特開2010-230521(JP,A)
【文献】特開2004-272839(JP,A)
【文献】特開2003-247846(JP,A)
【文献】特開2002-260166(JP,A)
【文献】特開平11-86184(JP,A)
【文献】特開2019-109708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G07C 1/00 - 15/00
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記表示手段は、複数の車両の乗務員に関する運行データを含む乗務員一覧を前記管理者端末に表示し、前記判定手段により渋滞走行中であると判定された車両を運転する乗務員の前記運行データに渋滞走行中であることを示す情報を表示する、
請求項に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記表示手段は、複数の車両の乗務員に関する運行データを含む乗務員一覧を前記管理者端末に表示し、前記判定手段により渋滞走行中であると判定された車両を運転する乗務員の前記運行データに渋滞走行中であることを示す情報を表示する、
請求項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運行を管理する運行管理システムおよびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば高速バスなどの車両の運行における安全性確立の機運が高まっている。そのため、車両運行事業者には、乗務員に対する適切な指導・監督を行うこと、さらには法や各種の規則により定められた適切な労働環境を乗務員に提供することが求められている。
【0003】
車両の安全かつ利便性の高い運行を実現するためには、運行管理者が走行中の車両の状況や乗務員の労働状態を的確に把握する必要がある。そのためには、乗務員から運行管理者に自車両の運行状況などを知らせなければならない場合もある。
【0004】
一例を挙げると、高速バスに関して車両が渋滞に遭遇したときに運行管理者にその旨を知らせなければならないとの規則が存在し得る。このような規則があったとしても、何等かの事情で渋滞の連絡が十分に行われない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-112923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的の一つは、車両の運行状況を正確に管理することが可能な運行管理システムおよびコンピュータプログラムを提供することである。本発明の他の目的は、本明細書および添付図面から導き出される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る運行管理システムは、車両の外に配置される管理者端末を含む。さらに、運行管理システムは、車両の速度を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した速度に基づき、前記車両が渋滞走行中であるかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記車両が渋滞走行中であると判定された場合、前記管理者端末に前記車両が渋滞走行中であることを示す情報を表示させる表示手段と、を備えている。
【0008】
一実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、車両の速度を取得する取得手段、前記取得手段が取得した速度に基づき、前記車両が渋滞走行中であるかを判定する判定手段、および、前記判定手段により前記車両が渋滞走行中であると判定された場合、前記車両の外に配置される管理者端末に前記車両が渋滞走行中であることを示す情報を表示させる表示手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の運行状況を正確に管理することが可能となる。本発明の他の効果は、本明細書および添付図面から導き出される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る運行管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、乗務員情報一覧の構成例を示す図である。
図3図3は、車両のディスプレイに表示される操作画面の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態における運行処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態における渋滞判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第1実施形態における表示更新処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態おける渋滞判定処理のフローチャートである。
図8図8は、第3実施形態おける渋滞判定処理のフローチャートである。
図9図9は、第4実施形態おける渋滞判定処理のフローチャートである。
図10図10は、第5実施形態における渋滞判定処理のフローチャートである。
図11図11は、第6実施形態における表示更新処理のフローチャートである。
図12図12は、第7実施形態における運行処理のフローチャートである。
図13図13は、第8実施形態に係る運行管理システムの構成例を示すブロック図である。
図14図14は、第9実施形態に係る運行管理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
以下に説明する各実施形態においては、高速バスの乗務員(運転者)の労働状態や運行状況を管理するための運行管理システムおよびコンピュータプログラムを開示する。
【0012】
ただし、各実施形態にて開示する構成は、貸切バス、観光バス、乗合バスおよび空港アクセスバスなどの他種のバスや、タクシーあるいはトラックなどの他種の車両の乗務員の労働状態および運行状況の管理にも適用できる。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る運行管理システムの構成例を示すブロック図である。運行管理システムは、バス事業者の事業所に配置される管理者端末1と、車両(バス)に搭載されるデジタルタコグラフ2と、サーバ3とを備えている。デジタルタコグラフ2は、本実施形態における乗務員端末として機能する。
【0014】
管理者端末1としては、例えばデスクトップタイプのコンピュータを用いることができる。管理者端末1は、ノートブックタイプのコンピュータ、タブレット端末あるいはスマートフォンのように、管理者が携行可能な可搬型の装置であってもよい。
【0015】
管理者端末1は、プロセッサやメモリを含むコントローラ10と、記憶装置11と、外部接続用のインターフェイス12とを備えている。コントローラ10は、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態にて開示する種々の処理を実現する。インターフェイス12には、ネットワークNと通信可能な通信装置13と、ディスプレイ14と、入力装置15と、スピーカ16と、アルコール検知器17とが有線または無線で通信接続されている。これらインターフェイス12に接続される要素は、管理者端末1の一部であってもよい。
【0016】
入力装置15は、例えばディスプレイ14に表示されたGUI(Graphical User Interface)を操作するためのキーボード、マウスおよびディスプレイ14に設けられたタッチパネルなどを含む。アルコール検知器17は、例えば乗務員の呼気に含まれるアルコールの濃度を測定する。
【0017】
デジタルタコグラフ2は、プロセッサやメモリを含むコントローラ20と、記憶装置21と、内蔵のディスプレイ22およびスピーカ23と、外部接続用のインターフェイス24とを備えている。コントローラ20は、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、本実施形態にて開示する種々の処理を実現する。インターフェイス24には、ネットワークNと通信可能な通信装置41と、ディスプレイ42と、入力装置43と、走行センサ44と、GPS(Global Positioning System)受信機45と、ETC(登録商標:Electronic Toll Collection System)車載器46とが有線または無線で通信接続されている。これらインターフェイス24に接続される要素は、車両のコンソールなどに設けられてもよいし、デジタルタコグラフ2の一部であってもよい。なお、デジタルタコグラフ2は、ディスプレイ22およびスピーカ23を備えなくてもよい。
【0018】
入力装置43は、ディスプレイ42に表示されたGUIを操作するためのタッチパネルやボタンを含む。走行センサ44は、車両の速度、加速度、エンジン回転数およびエンジン温度等の走行に関するパラメータを検出する。GPS受信機45は、衛星からのGPS信号を受信し、当該信号に基づいて車両の位置を検出する。ETC車載器46は、ETCカードを挿入するためのスロットや、当該スロットに挿入されたETCカードを読み取るリーダ等を含む。ETC車載器46には、高速道路の料金所等に配置された外部アンテナと電波を送受信するETCアンテナ47が接続されている。
【0019】
サーバ3は、ネットワークNに通信接続されている。サーバ3は、事業所の外部に配置されてもよいし、事業所に配置されてもよい。サーバ3は、クラウドシステムに含まれるサーバであってもよい。この場合には、例えばSaaS(Software as a Service)等の形態のクラウドコンピューティングを利用できる。
【0020】
サーバ3は、管理データベース30を記憶している。管理データベース30は、複数の乗務員の労働履歴や今後の勤務予定などに関する情報や、車両の運行状況に関する情報を含む。
【0021】
管理者端末1は、通信装置13およびネットワークNを介した通信により、サーバ3の管理データベース30から情報を取得したり、管理データベース30に情報を保存したりすることができる。デジタルタコグラフ2も通信装置41およびネットワークNを介した通信により、同様の処理を実行可能である。また、管理者端末1とデジタルタコグラフ2は、通信装置13,41およびネットワークNを介した通信により、互いに情報の授受が可能である。
【0022】
デジタルタコグラフ2のコントローラ20は、走行センサ44が検出する速度等のパラメータ、入力装置43からの入力およびGPS受信機45が受信する信号などに基づいて、車両の運行開始時刻、運行終了時刻、運行開始時刻から運行終了時刻までの各時刻におけるいわゆる法定3要素(車両の瞬間速度、走行距離、走行時間)や車両の位置(住所)等を含む運行情報を記憶装置21に保存する。さらに、コントローラ20は、サーバ3に運行情報を送信する。サーバ3は、運行情報を管理データベース30に保存する。管理者端末1のコントローラ10は、管理データベース30にアクセスすることにより運行情報を取得し、ディスプレイ14への表示やその他の処理に利用することができる。デジタルタコグラフ2から管理者端末1に運行情報が直接送信されてもよい。
【0023】
乗務員が事業所に出勤する際には、入力装置15あるいはその他の出退勤打刻のための装置の操作に基づき、コントローラ10が当該乗務員の出勤処理を実行する。出勤処理は、少なくとも出勤時刻を確定するための処理を含む。また、乗務員が退勤する際には、入力装置15あるいはその他の出退勤打刻のための装置の操作に基づき、コントローラ10が当該乗務員の退勤処理を実行する。退勤処理は、少なくとも退勤時刻を確定するための処理を含む。コントローラ10は、例えば出勤時刻や退勤時刻を記憶装置11に保存するとともに、ネットワークNを介してサーバ3に送信する。サーバ3は、出勤時刻や退勤時刻を管理データベース30に保存する。
【0024】
以上のような構成の運行管理システムにおいては、管理者端末1、デジタルタコグラフ2およびサーバ3がネットワークNを介して通信することにより、乗務員の労働状態や車両の運行状況などを、事業所および車両の双方でリアルタイムに把握することができる。
【0025】
例えば、管理者端末1は、管理データベース30などの情報に基づいて、事業所に属する各乗務員の労働状態や車両の運行状況を示す乗務員情報一覧をディスプレイ14に表示させる。これにより、管理者は、各乗務員の労働状態や車両の運行状況などを極めて容易に把握でき、遠隔地の乗務員にも必要な指示を出すことができる。
【0026】
図2は、上記乗務員情報一覧の構成例を示す図である。乗務員情報一覧は、「乗務員コード」、「乗務員名」、「状態」、「車両名」、「現在地」、「地図」、「詳細」、「拘束時間残」、「休息期間残」、「休息設定」、「連続運転残」、「休憩残(分)」、「渋滞経過時間」、「重度」、「点検」、「乗務前点呼」、「中間点呼」、「乗務後点呼」、「日次エラー数」、「月次エラー数」、「月次遵守率」などの項目を含む。右上に表示された「根拠時刻」は、各項目の計算の基準となった現時刻を示す。根拠時刻は、例えば定期的に更新され、これに応じて各項目も再計算される。
【0027】
「乗務員コード」は、各乗務員の識別情報である。「状態」は、走行中、待機中、退勤中など、乗務員の状態を表す。「車両名」は、各車両の識別情報である。「現在地」は、GPS信号により特定された車両が位置する住所を示す。
【0028】
「地図」の欄には、地図ボタン101が配置されている。地図ボタン101が操作されると、現在地の項目に示された住所の近傍の地図がディスプレイ14に表示されるとともに、当該住所にマーカが付される。「詳細」の欄には、詳細ボタン102が配置されている。詳細ボタン102が操作されると、当該詳細ボタン102に対応する乗務員の詳細情報が表示される。この詳細情報には、例えば乗務員の出勤時刻、退勤時刻、休日の取得状況などが含まれる。
【0029】
「拘束時間残」は、現在の勤務日において乗務員が勤務可能な拘束時間の残りを示す。例えば1日の拘束時間の最大値が13時間である場合、拘束時間残は、現在の勤務日の出勤時刻から根拠時刻までの拘束時間を13時間から減じた時間とすることができる。
【0030】
「休息期間残」は、現在の勤務日において乗務員が取得すべき休息期間の残りを示す。すなわち、休息期間残は、翌出勤可能時刻までの残り時間に相当する。例えば1日の休息期間の最低値が8時間である場合、休息期間残は、8時間から現在の勤務日において取得された休息期間を減じた時間とすることができる。
【0031】
「連続運転残」は、乗務員が連続して車両を運転できる時間の残りを示す。例えば1回の連続運転時間の最大値が4時間であり、現在の乗務員の状態が走行中である場合、連続運転時間残は、走行開始から根拠時刻までの時間を4時間から減じた時間とすることができる。
【0032】
「休憩残」は、現在の勤務日において乗務員が取得すべき休憩時間の残りを示す。例えば1日に取得すべき休憩時間が60分である場合、休憩残は、現在の勤務日において取得された休憩時間を60分から減じた時間とすることができる。
【0033】
コントローラ10は、例えば管理データベース30から取得される出勤時刻、退勤時刻、運行開始時刻、運行終了時刻、休憩開始時刻および休憩終了時刻等の情報に基づいて、拘束時間残、休息期間残、連続運転残および休憩残を算出することができる。
【0034】
「渋滞経過時間」は、走行中の車両が渋滞走行中である場合において、渋滞に巻き込まれてからの経過時間を示す。「重度」は、渋滞の重度を示す。本実施形態においては一例として、「低」、「中」、「高」の3種類の重度が定められている場合を想定する。
【0035】
「点検」は、乗務員が現在の勤務日において車両に対し実施すべき所定項目の点検が完了したか否かを示す。「乗務前点呼」、「中間点呼」および「乗務後点呼」は、現在の勤務日において乗務員に対する各タイミングでの点呼が実施されているか否かを示す。
【0036】
例えばコントローラ10は、点検、乗務前点呼、中間点呼および乗務後点呼が実施された際に、これらの履歴を管理データベース30に保存する。このように管理データベース30に保存された履歴に基づき、コントローラ10は、点検、乗務前点呼、中間点呼および乗務後点呼の実施の有無を乗務員情報一覧に表示することができる。
【0037】
「日次エラー数」は、現在の勤務日において乗務員に対し当該運行管理システムが警告を発した回数を示す。「月次エラー数」は、当月において乗務員が労働に関する各種規則を遵守できなかった回数を示す。例えば、上記エラーには、1日の拘束時間の上限を超えたこと、1日に必要な休息期間を取得せずに出勤したこと、1回の連続運転時間の上限を超えて連続運転を実施したこと、1日において必要な休憩を取得しなかったこと、点検を行わなかったこと、予定されていた休日において必要な休日時間を取得せずに出勤したこと、乗務前点呼、中間点呼または乗務後点呼を行わなかったことなどが含まれる。「月次遵守率」は、例えば当月の各勤務日においてチェックすべき上記エラーの総数で月次エラー数を除したパーセンテージを示す。例えば日次警告数、月次エラー数または月次遵守率が所定の閾値よりも高い乗務員のラインを、図中の最上段のように他のラインと区別できる態様で着色してもよい。
【0038】
例えばコントローラ10は、上記警告および上記エラーが発生した際に、これらの履歴を管理データベース30に保存する。このように管理データベース30に保存された履歴に基づき、コントローラ10は、日次警告数、月次エラー数および月次遵守率を算出するとともに、乗務員情報一覧に表示することができる。
【0039】
図3は、車両のディスプレイ42に表示される操作画面200の一例を示す図である。操作画面200は、当該車両の乗務員名や現在時刻とともに、空車ボタン211、実車ボタン212、一般ボタン221、高速ボタン222、有料ボタン223、終点ボタン231、点検ボタン232、洗車ボタン233、休憩ボタン234、給油ボタン235、帰庫ボタン236および労働状態表示エリア240を含む。各ボタン211,212,221~223,231~236に対する操作は、入力装置43に含まれるタッチパネルによって検知される。
【0040】
空車ボタン211は、車両が乗客を乗せていない状態であることを示す。実車ボタン212は、車両が乗客を乗せている状態であることを示す。これらボタン211,212は、常にいずれか一方が選択された状態である。図3においては、実線で示す空車ボタン211が選択されており、破線で示す実車ボタン212が非選択である。この状態で実車ボタン212が操作されると、実車ボタン212が選択され、空車ボタン211が非選択となる。
【0041】
一般ボタン221は、車両が一般道路を走行中であることを示す。高速ボタン222は、車両が高速道路を走行中であることを示す。有料ボタン223は、車両が有料道路を走行中であることを示す。これらボタン221~223も常にいずれか一つが選択された状態であり、図3においては実線で示す一般ボタン221が選択され、破線で示す高速ボタン222および有料ボタン223が非選択である。この状態で高速ボタン222または有料ボタン223が操作されると、当該操作されたボタンが選択され、他のボタンが非選択となる。
【0042】
終点ボタン231は、車両が規定走行ルートの終点に到着したことを示す。点検ボタン232は、車両が点検中であることを示す。洗車ボタン233は、車両が洗車中であることを示す。休憩ボタン234は、乗務員が休憩中であることを示す。給油ボタン235は、車両が給油中であることを示す。帰庫ボタン236は、車両が帰庫したことを示す。これらボタン231~236は、乗務員が作業状況に応じて適宜に操作する。例えば、ボタン231~236のいずれかを操作するとそのボタンが選択され、そのボタンを再度操作すると選択が解除される。
【0043】
車両からサーバ3に送信される上述の運行情報には、ボタン211,212の操作により選択された車両状態(空車、実車)、ボタン221~223の操作により選択された道路情報(一般道路、高速道路、有料道路)、ボタン231~236の操作により選択された作業区分(待機、休憩、休息、点検、洗車、給油)が含まれる。すなわち、これらの情報も管理者端末1で確認することができる。
【0044】
労働状態表示エリア240には、例えば上述の連続運転残に相当する連続運転可能時間など、乗務員が労働基準を遵守するうえで必要となる情報が表示される。労働状態表示エリア240に表示される情報は、サーバ3から受信したものであってもよいし、デジタルタコグラフ2の記憶装置21に保存されたものであってもよい。
【0045】
続いて、本実施形態に係る運行管理システムの動作の具体例について説明する。
図4は、車両において実行される運行処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、デジタルタコグラフ2のコントローラ20が当該運行処理を実行する。
【0046】
車両の運行が開始されると、コントローラ20は、上述の法定3要素等を含む運行情報の記憶装置21への記録を開始する(ステップS101)。さらに、コントローラ20は、サーバ3への運行情報の送信タイミングが到来したかを判定する(ステップS102)。送信タイミングは、例えば前回の運行情報の送信から予め設定された時間が経過したときである。一例では、送信タイミングが到来する周期を3分と定めることができる。
【0047】
送信タイミングが到来していない場合(ステップS102のNO)、コントローラ20は、運行終了が入力されているかを判定する(ステップS103)。運行終了は、例えば操作画面200の帰庫ボタン236の操作によって入力することができる。運行終了が入力されていない場合(ステップS103のNO)、動作はステップS102に戻る。
【0048】
一方、送信タイミングが到来した場合(ステップS102のYES)、コントローラ20は、車両が高速道路を走行中であるかを判定する(ステップS104)。この処理においては、例えば操作画面200の高速ボタン222が選択されている場合に高速道路を走行中であると判定され、他のボタン221,223が選択されている場合に高速道路を走行中でないと判定される。他の例として、GPS受信機45により検知される車両の位置が高速道路である場合に高速道路を走行中と判定され、他の位置である場合に高速道路を走行中でないと判定されてもよい。さらに他の例として、ETC車載器46により高速道路の入口料金所との通信が実行され、かつ出口料金所との通信が実行されていない場合に高速道路を走行中であると判定され、他の場合に高速道路を走行中でないと判定されてもよい。
【0049】
高速道路を走行中でないと判定した場合(ステップS104のNO)、コントローラ20は、運行情報をサーバ3に送信する(ステップS105)。ここで送信する運行情報は、例えば乗務員コード、車両名、現時点での車両状態(空車、実車)、道路情報(一般道路、高速道路、有料道路)、作業区分(待機、休憩、休息、点検、洗車、給油)および車両の走行位置の住所情報などが含まれる。サーバ3は、受信した運行情報に含まれる乗務員コードで示される乗務員に関して管理データベース30に保存された情報を、当該受信した運行情報に基づき更新する。ステップS105の後、動作はステップS103に進む。
【0050】
高速道路を走行中であると判定した場合(ステップS104のYES)、コントローラ20は、渋滞判定処理を実行する(ステップS106)。詳しくは後述するが、渋滞判定処理においては車両の走行状態が通常(渋滞無)、重度“低”の渋滞、重度“中”の渋滞、重度“高”の渋滞のいずれであるかが決定される。
【0051】
ステップS106の後、コントローラ20は、渋滞判定処理の結果に基づき車両が渋滞走行中であるかを判定する(ステップS107)。渋滞走行中でない場合(ステップS107のNO)、動作はステップS105に進み、上述の通り運行情報が送信される。
【0052】
一方、渋滞走行中である場合(ステップS107のYES)、コントローラ20は、渋滞情報を含む運行情報をサーバ3に送信する(ステップS108)。渋滞情報は、車両が渋滞走行中であることを示すものであり、例えば上述の重度を含む。サーバ3は、渋滞情報を含む運行情報を受信したとき、受信した運行情報に含まれる乗務員コードで示される乗務員に関して管理データベース30に保存された情報を、当該受信した運行情報に基づき更新する。このとき、管理データベース30には渋滞情報も保存される。ステップS108の後、動作はステップS103に進む。
【0053】
運行処理においては以上の動作が繰り返され、運行終了が入力された場合(ステップS103のYES)には運行処理が終了する。
【0054】
図5は、ステップS106の渋滞判定処理の一例を示すフローチャートである。渋滞判定処理において、コントローラ20は、現時点から予め定められた一定時間T[min]遡った時点までの車両の速度データを取得する(ステップS201)。一定時間Tは、例えば前回のステップS105またはステップS108における運行情報の送信から現時点までの時間であり、一例では3分である。一定時間Tにおける車両の速度データは、例えば走行センサ44が検出して記憶装置21に保存されたものを用いることができる。
【0055】
続いてコントローラ20は、取得した速度データに基づき、閾値速度D1[km/h]以下での走行が一定時間Tにわたって継続しているかを判定する(ステップS202)。閾値速度D1は、高速道路の最低速度未満の値であって、一例では40km/hである。
【0056】
閾値速度D1以下での走行が一定時間Tにわたって継続していない場合(ステップS202のNO)、コントローラ20は、走行状態を通常(渋滞無)に決定する。一方、閾値速度D1以下での走行が一定時間Tにわたって継続している場合(ステップS202のYES)、コントローラ20は、閾値速度D2[km/h]以下での走行が一定時間Tにわたって継続しているかを判定する(ステップS203)。閾値速度D2は、閾値速度D1未満であり、一例では20km/hである。
【0057】
閾値速度D2以下での走行が一定時間Tにわたって継続していない場合(ステップS203のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“低”の渋滞走行に決定する。一方、閾値速度D2以下での走行が一定時間Tにわたって継続している場合(ステップS203のYES)、コントローラ20は、閾値速度D3[km/h]以下での走行が一定時間Tにわたって継続しているかを判定する(ステップS204)。閾値速度D3は、閾値速度D2未満であり、一例では10km/hである。
【0058】
閾値速度D3以下での走行が一定時間Tにわたって継続していない場合(ステップS204のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“中”の渋滞走行に決定する。一方、閾値速度D3以下での走行が一定時間Tにわたって継続している場合(ステップS204のYES)、コントローラ20は、走行状態を重度“高”の渋滞走行に決定する。
【0059】
図6は、管理者端末1において実行される表示更新処理の一例を示すフローチャートである。表示更新処理は、ディスプレイ14に表示された上述の乗務員情報一覧を更新するためのものであり、主に管理者端末1のコントローラ10によって実行される。
【0060】
なお、図6に示す表示更新処理は、乗務員情報一覧のうち1人分の乗務員の情報を更新するためのものである。表示更新処理は、乗務員情報一覧の各乗務員の情報を対象として周期的に実行される。1人の乗務員の情報に対して表示更新処理が実行される周期は、車両からサーバ3に運行情報が送信される周期(例えば3分)と同じである。ただし、表示更新処理が実行される周期は、車両からサーバ3に運行情報が送信される周期より長くてもよい。
【0061】
図6に示す表示更新処理において、先ずコントローラ10は、当該表示更新処理の対象である乗務員の最新の運行情報を管理データベース30から取得する(ステップS301)。さらに、コントローラ10は、当該運行情報に渋滞情報が含まれているかを判定する(ステップS302)。
【0062】
渋滞情報が含まれていない場合(ステップS302のNO)、コントローラ10は、乗務員情報一覧における当該乗務員の渋滞経過時間および重度をクリアする(ステップS303)。これにより、仮に直前の乗務員情報一覧において渋滞経過時間がカウントされていても、その時間が0分にリセットされる。その後、コントローラ10は、ステップS301にて取得した運行情報等に基づき、乗務員情報一覧における当該乗務員の他の情報を更新する(ステップS304)。
【0063】
一方、渋滞情報が含まれている場合(ステップS302のYES)、コントローラ10は、当該乗務員の渋滞経過時間を算出する(ステップS305)。渋滞経過時間は、例えば直前の乗務員情報一覧において表示された当該乗務員の渋滞経過時間に表示更新処理の実行周期(例えば3分)を加算することで算出できる。
【0064】
続いて、コントローラ10は、ステップS305にて算出した渋滞経過時間およびステップS301にて受信した運行情報に含まれる渋滞の重度で、乗務員情報一覧における当該乗務員の渋滞経過時間と重度を更新する(ステップS306)。その後、動作はステップS304に進む。ステップS304が実行された後、表示更新処理が終了する。
【0065】
なお、図6の例においてはステップS305にて渋滞経過時間を算出するとしたが、渋滞経過時間はデジタルタコグラフ2またはサーバ3にて算出されて管理データベース30に保存されていてもよい。この場合において、ステップS301にて取得される運行情報に渋滞経過時間が含まれ、ステップS306にて当該渋滞経過時間に基づき乗務員情報一覧が更新されてもよい。
【0066】
本実施形態のように表示更新処理が乗務員情報一覧の各乗務員の情報に対し周期的に実行されれば、運行管理者は乗務員の労働状態や車両の運行状況などを極めて容易にリアルタイムで確認できる。これにより、乗務員への指導・監督を的確に行うことができる。
【0067】
特に、本実施形態においては乗務員情報一覧によって渋滞走行中の乗務員および車両を把握できる。乗務員情報一覧には車両の現在地の住所が含まれており、地図を表示させることも可能であるので、運行管理者は車両が渋滞に巻き込まれている位置を容易に知ることができる。
【0068】
例えば、車両が渋滞に遭遇したときに運行管理者にその旨を知らせなければならないとの規則が存在する場合において、乗務員から運行管理者への連絡が何らかの理由により行われない可能性がある。これに対し、本実施形態のように自動的に乗務員情報一覧に渋滞の情報が反映されれば、乗務員から運行管理者への連絡が行われなかったとしても上記規則を遵守することができる。
【0069】
運行管理者は、渋滞経過時間を見ることにより車両の目的地への到達の遅延時間を予測することが可能となる。さらに、例えば車両がある程度の速度で走行可能な軽い渋滞である場合と、車両が極めて低速で走行しているか停止している重い渋滞である場合とでは、目的地への到達時刻が全く異なる。乗務員情報一覧に渋滞の重度が表示されていれば渋滞の状況をより正確に把握できる。
【0070】
例えば複数の車線を有する道路において渋滞が発生している場合、車線によっては流れの良し悪しがあり、渋滞を抜けるまでの時間が全ての車線で必ずしも同一ではない。また、車両の乗務員の運転によっても渋滞を抜けるまでの時間が変化し得る。従来提供されている渋滞情報では、これらを考慮した車両個別の状況を把握することが困難である。これに対し、本実施形態に係る運行管理システムであれば、車両個別の状況を正確に把握することができる。
【0071】
本実施形態においては、図5の例のように閾値速度D1以下の走行が一定時間T継続したことにより渋滞走行と判定される。この場合においては、一定時間T未満の短時間だけ車両の速度が低下しても渋滞走行であるとは判定されない。したがって、より正確な走行状況を運行管理者に知らせることができる。
【0072】
なお、図5に示す渋滞判定処理において、閾値速度D1~D3を0kmとし、ステップS202~S204で用いる一定時間Tを異ならせてもよい。例えばステップS202で用いる一定時間をT1、ステップS203で用いる一定時間をT2、ステップS204で用いる一定時間をT3とした場合において、T1<T2<T3が成立するようにこれら一定時間T1~T3を定める。
【0073】
一例として、一定時間T1を1分、一定時間T2を2分、一定時間T3を3分とした場合を想定する。この場合、ステップS202においては0km/hの走行が1分(T1)以上にわたって継続しているかが判定され、継続していないならば走行状態が通常(渋滞無)に決定される。0km/hの走行が1分以上にわたって継続している場合には0km/hの走行が2分(T2)以上にわたって継続しているかが判定され、継続していないならば走行状態が重度“低”の渋滞走行に決定される。0km/hの走行が2分以上にわたって継続している場合には0km/hの走行が3分(T3)以上にわたって継続しているかが判定され、継続していないならば走行状態が重度“中”の渋滞走行に決定され、継続している場合には走行状態が重度“高”の渋滞走行に決定される。
以上のような渋滞判定処理であっても正確な走行状況の把握が可能である。
【0074】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態においては、渋滞判定処理の他の例を開示する。特に言及しない構成および処理については、第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0075】
図7は、本実施形態における渋滞判定処理のフローチャートである。この渋滞判定処理において、コントローラ20は、現時点から予め定められた一定時間T[min]遡った時点までの車両の速度データを取得する(ステップS401)。一定時間Tは、例えば前回のステップS105またはステップS108における運行情報の送信から現時点までの時間であり、一例では3分である。一定時間Tにおける車両の速度データは、例えば走行センサ44が検出して記憶装置21に保存されたものを用いることができる。
【0076】
続いてコントローラ20は、取得した速度データに基づき、車両が閾値速度D1[km/h]以下で走行した時間が一定時間Tにおいて占める割合が設定値P[%]以上であるかを判定する(ステップS402)。閾値速度D1は、高速道路の最低速度未満の値であって、一例では40km/hである。設定値Pは、1~99%の間で任意に設定し得るが、一例では50%である。
【0077】
閾値速度D1以下で走行した時間の割合が設定値P未満である場合(ステップS402のNO)、コントローラ20は、走行状態を通常(渋滞無)に決定する。一方、上記割合が設定値P以上である場合(ステップS402のYES)、コントローラ20は、車両が閾値速度D2[km/h]以下で走行した時間が一定時間Tにおいて占める割合が設定値P以上であるかを判定する(ステップS403)。閾値速度D2は、閾値速度D1未満であり、一例では20km/hである。
【0078】
閾値速度D2以下で走行した時間の割合が設定値P未満である場合(ステップS403のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“低”の渋滞走行に決定する。一方、上記割合が設定値P以上である場合(ステップS403のYES)、コントローラ20は、車両が閾値速度D3[km/h]以下で走行した時間が一定時間Tにおいて占める割合が設定値P以上であるかを判定する(ステップS404)。閾値速度D3は、閾値速度D2未満であり、一例では10km/hである。
【0079】
閾値速度D3以下で走行した時間の割合が設定値P未満である場合(ステップS404のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“中”の渋滞走行に決定する。一方、上記割合が設定値P以上である場合(ステップS404のYES)、コントローラ20は、走行状態を重度“高”の渋滞走行に決定する。
【0080】
なお、ステップS403で用いる設定値Pは、ステップS402で用いる設定値Pと異なってもよい。同様に、ステップS404で用いる設定値Pは、ステップS402,403で用いる設定値Pと異なってもよい。
【0081】
以上のように、特定の速度以下で走行した時間の割合に基づいて渋滞判定処理を行う場合であっても、正確に渋滞走行および重度を判定することが可能である。例えば、第1実施形態のように閾値速度以下の走行が一定時間継続する場合に渋滞と判定する場合には、当該一定時間の殆どを低速で走行していたにも拘らず瞬間的に車両の速度が閾値速度を上回れば渋滞と判定されない。本実施形態においては、このような場合でも渋滞走行と判定される。
【0082】
なお、図7に示す渋滞判定処理において、閾値速度D1~D3を0kmとし、ステップS402~S404で用いる設定値Pを異ならせてもよい。例えばステップS402で用いる設定値をP1、ステップS403で用いる設定値をP2、ステップS404で用いる設定値をP3とした場合において、P1<P2<P3が成立するようにこれら設定値P1~P3を定める。
【0083】
一例として、設定値P1を30%、設定値P2を60%、設定値P3を100%とした場合を想定する。この場合、ステップS402においては0km/hで走行した時間の割合が30%以上であるかが判定され、30%以上でないならば走行状態が通常(渋滞無)に決定される。30%以上である場合には0km/hで走行した時間の割合が60%以上であるかが判定され、60%以上でないならば走行状態が重度“低”の渋滞走行に決定される。60%以上である場合には0km/hで走行した時間の割合が100%であるかが判定され、100%でないならば走行状態が重度“中”の渋滞走行に決定され、100%である場合には走行状態が重度“高”の渋滞走行に決定される。
以上のような渋滞判定処理であっても正確な走行状況の把握が可能である。
【0084】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。本実施形態においては、渋滞判定処理のさらに他の例を開示する。特に言及しない構成および処理については、第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0085】
図8は、本実施形態における渋滞判定処理のフローチャートである。この渋滞判定処理において、コントローラ20は、車両の平均速度Vave[km/h]を算出する(ステップS501)。平均速度Vaveは、例えば現時点から遡って一定時間T[min]の間における車両の速度の平均値である。一定時間Tは、例えば前回のステップS105またはステップS108における運行情報の送信から現時点までの時間であり、一例では3分である。一定時間Tにおける車両の速度は、例えば走行センサ44が検出して記憶装置21に保存された速度データを用いることができる。
【0086】
続いてコントローラ20は、平均速度Vaveが閾値速度D1[km/h]以下であるかを判定する(ステップS502)。閾値速度D1は、高速道路の最低速度未満の値であって、一例では40km/hである。
【0087】
平均速度Vaveが閾値速度D1より大きい場合(ステップS502のNO)、コントローラ20は、走行状態を通常(渋滞無)に決定する。一方、平均速度Vaveが閾値速度D1以下である場合(ステップS502のYES)、コントローラ20は、平均速度Vaveが閾値速度D2[km/h]以下であるかを判定する(ステップS503)。閾値速度D2は、閾値速度D1未満であり、一例では20km/hである。
【0088】
平均速度Vaveが閾値速度D2より大きい場合(ステップS503のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“低”の渋滞走行に決定する。一方、平均速度Vaveが閾値速度D2以下である場合(ステップS503のYES)、コントローラ20は、平均速度Vaveが閾値速度D3[km/h]以下であるかを判定する(ステップS504)。閾値速度D3は、閾値速度D2未満であり、一例では10km/hである。
【0089】
平均速度Vaveが閾値速度D3より大きい場合(ステップS504のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“中”の渋滞走行に決定する。一方、平均速度Vaveが閾値速度D3以下である場合(ステップS504のYES)、コントローラ20は、走行状態を重度“高”の渋滞走行に決定する。
【0090】
以上のように、車両の平均速度を用いて渋滞判定処理を行う場合であっても、速度の瞬間的な変化の影響を和らげて正確に渋滞の判定を行うことが可能となる。
【0091】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。本実施形態においては、渋滞判定処理のさらに他の例を開示する。特に言及しない構成および処理については、第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0092】
図9は、本実施形態における渋滞判定処理のフローチャートである。この渋滞判定処理において、コントローラ20は、現時点から遡って一定時間T[min]の間における車両の速度データからN個の速度をサンプリングする(ステップS601)。上記速度データは、例えば走行センサ44が検出して記憶装置21に保存されたものを用いることができる。一定時間Tは、例えば前回のステップS105またはステップS108における運行情報の送信から現時点までの時間であり、一例では3分である。ただし、例えば9分、12分、15分のように、一定時間Tが前回の運行情報の送信から現時点までの時間より長く設定されてもよい。Nは3以上の整数であって、一例では5である。速度データからN個の速度をサンプリングする間隔(サンプリング周期)は、例えば一定である。
【0093】
続いてコントローラ20は、サンプリングしたN個の速度において閾値速度D[km/h]以下の速度がM1個以上あるかを判定する(ステップS602)。閾値速度Dは、高速道路の最低速度未満の値であって、一例では40km/hである。閾値速度Dは、0km/hであってもよい。M1はN以下の整数である。
【0094】
閾値速度D以下の速度がM1個未満である場合(ステップS602のNO)、コントローラ20は、走行状態を通常(渋滞無)に決定する。一方、閾値速度D以下の速度がM1個以上である場合(ステップS602のYES)、コントローラ20は、サンプリングしたN個の速度において0km/hがM2個以上あるかを判定する(ステップS603)。M2はN以下の整数であり、M1より小さくてもよいし大きくてもよい。
【0095】
サンプリングしたN個の速度において0km/hがM2個未満である場合(ステップS603のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“低”の渋滞走行に決定する。一方、サンプリングしたN個の速度において0km/hがM2個以上である場合(ステップS603のYES)、コントローラ20は、サンプリングしたN個の速度において0km/hがM3個以上あるかを判定する(ステップS604)。M3は、M2より大きくかつN以下の整数である。
【0096】
サンプリングしたN個の速度において0km/hがM3個未満である場合(ステップS604のNO)、コントローラ20は、走行状態を重度“中”の渋滞走行に決定する。一方、サンプリングしたN個の速度において0km/hがM3個以上である場合(ステップS604のYES)、コントローラ20は、走行状態を重度“高”の渋滞走行に決定する。
【0097】
以上のように、一定時間内にサンプリングした複数の速度を用いて渋滞判定処理を行う場合であっても、速度の瞬間的な変化の影響を和らげて正確に渋滞の判定を行うことが可能となる。さらに、サンプリングした複数の速度のうち0km/hの速度の数に基づく場合であっても、実際の走行状況を反映した重度の判定が可能である。
【0098】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。本実施形態においては、第1乃至第4実施形態において開示した渋滞判定処理を組み合わせて実行する例を開示する。特に言及しない構成および処理については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0099】
図10は、本実施形態における渋滞判定処理のフローチャートである。この渋滞判定処理において、コントローラ20は、第1乃至第n判定処理を実行する(ステップS701-1~S701-n)。ここで、nは2以上の整数である。
【0100】
これら第1乃至第n判定処理は、上述の各実施形態にて開示したいずれか2つ以上の渋滞判定処理に相当する。一例として、n=4であり、図5に示した渋滞判定処理と同様の第1判定処理(ステップS701-1)、図7に示した渋滞判定処理と同様の第2判定処理(ステップS701-2)、図8に示した渋滞判定処理と同様の第3判定処理(ステップS701-3)、図9に示した渋滞判定処理と同様の第4判定処理(ステップS701-4)が実行される。
【0101】
続いて、コントローラ20は、第1乃至第n判定処理の結果に基づき、車両の走行状態を最終決定する(ステップS702)。この処理においては、例えば第1乃至第n判定処理でそれぞれ決定された“通常(渋滞無)”、重度“低”、重度“中”、重度“高”のうち、重複している数が最も多いものを最終的な走行状態として選定する。ステップS702を以って当該渋滞判定処理が終了する。
【0102】
このように、複数の手法で渋滞判定を実行した後、それらの結果に基づいて最終的な走行状態を決定すれば、渋滞判定の精度が大幅に向上する。したがって、車両のより正確な運行管理が可能となる。
【0103】
なお、上記ステップS702においては、第1乃至第n判定処理でそれぞれ決定された“通常(渋滞無)”、重度“低”、重度“中”、重度“高”のうち最も重度が高いものや、最も重度が低いものを最終的な走行状態として選定してもよい。
【0104】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。本実施形態においては、事業所の管理者端末1にて渋滞判定処理を実行する例を開示する。特に言及しない構成および処理については、第1実施形態と同様のものを適用できる。
【0105】
図11は、本実施形態における表示更新処理のフローチャートである。この表示更新処理は、渋滞判定処理を含む。ただし、渋滞判定処理は、表示更新処理とは別に実行されてもよい。
【0106】
図11の例においては、先ず管理者端末1のコントローラ10がステップS301と同様に当該表示更新処理の対象である乗務員の最新の運行情報を管理データベース30から取得する(ステップS801)。なお、ここで取得する運行情報には渋滞情報が含まれていない。
【0107】
続いて、コントローラ10は、ステップS801にて取得した運行情報に基づき車両が高速道路を走行中であるかを判定する(ステップS802)。この処理においては、例えばステップS801にて取得した運行情報に含まれる道路情報(一般道路、高速道路、有料道路の識別情報)が高速道路を示す場合に高速道路を走行中であると判定できる。他の例として、道路情報が有料道路の場合も高速道路を走行中であるとみなしてもよい。
【0108】
高速道路を走行中でないと判定した場合(ステップS802のNO)、コントローラ10は、乗務員情報一覧における当該乗務員の渋滞経過時間および重度をクリアする(ステップS803)。これにより、仮に直前の乗務員情報一覧において渋滞経過時間がカウントされていても、その時間が0分にリセットされる。その後、コントローラ10は、ステップS801にて取得した運行情報等に基づき、乗務員情報一覧における当該乗務員の他の情報を更新する(ステップS804)。
【0109】
一方、高速道路を走行中であると判定した場合(ステップS802のYES)、コントローラ10は、渋滞判定処理を実行する(ステップS805)。この渋滞判定処理には、上述の第1乃至第5実施形態のいずれに示したものも適用できる。渋滞判定処理に必要な速度データなどは、例えばデジタルタコグラフ2からサーバ3に送信され、管理データベース30に保存されるようにすればよい。他の例として、デジタルタコグラフ2から管理者端末1に速度データ等が直接送信されるようにしてもよい。
【0110】
ステップS805の後、コントローラ10は、渋滞判定処理の結果に基づき車両が渋滞走行中であるかを判定する(ステップS806)。渋滞走行中でない場合(ステップS806のNO)、動作はステップS803に進む。
【0111】
一方、渋滞走行中である場合(ステップS806のYES)、コントローラ10は、当該乗務員の渋滞経過時間を算出する(ステップS807)。渋滞経過時間は、例えば直前の乗務員情報一覧において表示された当該乗務員の渋滞経過時間に各乗務員に対する表示更新処理の実行周期(例えば3分)を加算することで算出できる。
【0112】
続いて、コントローラ10は、ステップS807にて算出した渋滞経過時間およびステップS805にて決定した渋滞の重度で、乗務員情報一覧における当該乗務員の渋滞経過時間と重度を更新する(ステップS808)。その後、動作はステップS804に進む。ステップS804が実行された後、表示更新処理が終了する。
【0113】
本実施形態のように管理者端末1で渋滞判定処理が実行される場合であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、管理者端末1で各乗務員(各車両)に対する渋滞判定処理が一括して実行されれば、各車両のデジタルタコグラフ2などに渋滞判定処理のための特別なソフトウェアを実行させる必要がない。したがって、運行管理システムの構築が容易となるし、ソフトウェアのアップデートなどの作業も容易となる。
【0114】
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。本実施形態においては、車両が高速道路を走行中でない場合においても渋滞判定処理を実行する例を開示する。特に言及しない構成および処理については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0115】
図12は、本実施形態における運行処理のフローチャートである。車両の運行が開始されると、デジタルタコグラフ2のコントローラ20は、上述のステップS101と同じく運行情報の記憶装置21への記録を開始する(ステップS901)。さらに、コントローラ20は、上述のステップS102と同じくサーバ3への運行情報の送信タイミングが到来したかを判定する(ステップS902)。
【0116】
送信タイミングが到来していない場合(ステップS902のNO)、コントローラ20は、上述のステップS103と同じく運行終了が入力されているかを判定する(ステップS910)。運行終了が入力されていない場合(ステップS903のNO)、動作はステップS902に戻る。
【0117】
一方、送信タイミングが到来した場合(ステップS902のYES)、コントローラ20は、上述のステップS104と同じく車両が高速道路を走行中であるかを判定する(ステップS904)。
【0118】
高速道路を走行中であると判定した場合(ステップS904のYES)、コントローラ20は、第1渋滞判定処理を実行する(ステップS905)。第1渋滞判定処理には、例えば上述の第1乃至第5実施形態にて開示した渋滞判定処理を適用できる。
【0119】
一方、高速道路を走行中でないと判定した場合(ステップS904のNO)、コントローラ20は、第2渋滞判定処理を実行する(ステップS906)。第2渋滞判定処理にも上述の第1乃至第5実施形態にて開示した渋滞判定処理を適用できる。ただし、第2渋滞判定処理においては、渋滞と判定する基準を第1渋滞判定処理よりも下げる。
【0120】
例えば第1渋滞判定処理および第2渋滞判定処理に図5図7または図8の処理を適用する場合、第2渋滞判定処理で使用する閾値速度D1~D3をそれぞれ第1渋滞判定処理で使用する閾値速度D1~D3よりも小さく設定する。また、第1渋滞判定処理および第2渋滞判定処理に図9の処理を適用する場合、第2渋滞判定処理で使用する閾値速度Dを第1渋滞判定処理で使用する閾値速度Dよりも小さく設定する。
【0121】
ステップS905またはステップS906の後、コントローラ20は、渋滞判定処理の結果に基づき車両が渋滞走行中であるかを判定する(ステップS907)。渋滞走行中でない場合(ステップS907のNO)、コントローラ20は、運行情報をサーバ3に送信する(ステップS908)。ここで送信する運行情報は、ステップS105の場合と同じく乗務員コード、車両名、現時点での車両状態(空車、実車)、道路情報(一般道路、高速道路、有料道路)、作業区分(待機、休憩、休息、点検、洗車、給油)および車両の走行位置の住所情報などが含まれる。サーバ3は、受信した運行情報に含まれる乗務員コードで示される乗務員に関して管理データベース30に保存された情報を、当該受信した運行情報に基づき更新する。
【0122】
一方、渋滞走行中である場合(ステップS907のYES)、コントローラ20は、渋滞情報を含む運行情報をサーバ3に送信する(ステップS909)。渋滞情報は、ステップS108の場合と同じく車両が渋滞走行中であることを示すものであり、例えば上述の重度を含む。サーバ3は、渋滞情報を含む運行情報を受信したとき、受信した運行情報に含まれる乗務員コードで示される乗務員に関して管理データベース30に保存された情報を、当該受信した運行情報に基づき更新する。このとき、管理データベース30には渋滞情報も保存される。ステップS908またはステップS909の後、動作はステップS903に進む。
【0123】
運行処理においては以上の動作が繰り返され、運行終了が入力された場合(ステップS903のYES)には運行処理が終了する。なお、乗務員情報一覧においては、一般道路や有料道路を走行中の車両に関しても渋滞情報が表示される。乗務員情報一覧において、高速道路を走行中の車両の渋滞情報と、一般道路や有料道路を走行中の車両の渋滞情報とを異なる態様(文字や背景の色等)で表示してもよい。
【0124】
本実施形態のように高速道路を走行中でない場合にも渋滞判定処理を実行するようにすれば、一般道路や有料道路を走行中の車両の渋滞走行も運行管理者が把握できる。さらに、第1渋滞判定処理と第2渋滞判定処理とで渋滞と判定する基準を変えることにより、正確な渋滞判定が可能となる。
【0125】
なお、第6実施形態にて開示したように管理者端末1で渋滞判定処理を実行する場合にも、本実施形態と同様に高速道路を走行中の場合と一般道路および有料道路を走行中の場合とで渋滞判定処理を分けてもよい。
【0126】
また、本実施形態においては高速道路を走行中の場合に第1渋滞判定処理を実行し、一般道路および有料道路を走行中の場合に第2渋滞判定処理を実行する例を示したが、有料道路を走行中の場合にも第1渋滞判定処理を実行してもよい。あるいは、高速道路を走行中の場合に第1渋滞判定処理を実行し、一般道路を走行中の場合に第2渋滞判定処理を実行し、有料道路を走行中の場合に第3渋滞判定処理を実行してもよい。この場合において、第1乃至第3渋滞判定処理で渋滞と判定する基準(閾値速度D,D1~D3等)を変えてもよい。
【0127】
[第8実施形態]
第8実施形態について説明する。本実施形態においては、第1実施形態と異なる運行管理システムの構成を開示する。特に言及しない構成および処理については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0128】
図13は、本実施形態に係る運行管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態においては、車両にデジタルタコグラフ2とは別の乗務員端末5が配置されている。乗務員端末5は、例えばスマートフォンやタブレット等の可搬型の電子機器であってもよいし、車両に設置されたカーナビケーション装置などの電子機器であってもよい。
【0129】
図13の例において、乗務員端末5は、プロセッサやメモリを含むコントローラ50と、記憶装置51と、ディスプレイ52と、入力装置53と、スピーカ54と、通信装置55とを備えている。また、デジタルタコグラフ2は、近距離通信用の通信装置25をさらに備えている。
【0130】
コントローラ50は、プロセッサがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。入力装置53は、例えばディスプレイ52に表示されたGUIを操作するためのタッチパネルやボタンなどを含む。
【0131】
通信装置55は、ネットワークNを介して管理者端末1およびサーバ3と無線通信が可能な遠距離通信ユニットと、デジタルタコグラフ2の通信装置25と無線通信が可能な近距離通信ユニットとを含む。なお、デジタルタコグラフ2と乗務員端末5は、有線で通信接続されてもよい。
【0132】
本実施形態においては、車両と事業所やサーバ3との通信が乗務員端末5の通信装置55により実行される。上述の各実施形態においてデジタルタコグラフ2のコントローラ20が実行するとした処理の少なくとも一部を、乗務員端末5のコントローラ50が実行してもよい。また、図3に示した操作画面200は、乗務員端末5のディスプレイ52に表示されてもよい。
【0133】
例えば、コントローラ50は、上述の運行処理を実行してもよい。この場合において、高速道路を走行中か否かの判定や渋滞の判定、さらにはサーバ3に送信すべき運行情報に必要な情報がデジタルタコグラフ2から乗務員端末5に適宜送信されてもよい。
【0134】
[第9実施形態]
第9実施形態について説明する。本実施形態においては、第1実施形態および第8実施形態と異なる運行管理システムの構成を開示する。特に言及しない構成および処理については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0135】
図14は、本実施形態に係る運行管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態においては、第8実施形態と同じく車両にデジタルタコグラフ2とは別の乗務員端末5が配置されている。乗務員端末5は、例えばスマートフォンやタブレット等の可搬型の電子機器であってもよいし、車両に設置されたカーナビケーション装置などの電子機器であってもよい。なお、図14に示すようにデジタルタコグラフ2が車両に配置されていなくてもよい。この場合において、車両にアナログタコグラフが配置されてもよい。
【0136】
乗務員端末5は、コントローラ50、記憶装置51、ディスプレイ52、入力装置53、スピーカ54および通信装置55に加え、GPSユニット56を備えている。GPSユニット56は、衛星からのGPS信号を受信し、当該信号に基づいて乗務員端末5の位置(車両の位置)を検出する。
【0137】
本実施形態においては、上述の各実施形態においてデジタルタコグラフ2のコントローラ20が実行するとした運行処理などを乗務員端末5のコントローラ50が実行する。また、図3に示した操作画面200は、乗務員端末5のディスプレイ52に表示される。
【0138】
運行処理における一般道路、高速道路および有料道路のいずれを走行中であるかの判定(ステップS104,S904)は、ディスプレイ52に表示される操作画面200のボタン221~223の選択に基づいて実行されてもよいし、GPSユニット56により検知される車両の位置に基づいて実行されてもよい。
【0139】
また、渋滞判定処理(ステップS106,S905,S906)に必要な速度データも、GPSユニット56により検知される車両の位置に基づいて取得されてもよい。例えば、GPSユニット56により得られるデータに基づけば、車両が走行した位置を時系列で表す経路情報を生成できる。この経路情報を用いることで各時刻における車両の速度を算出できる。
【0140】
ただし、GPSユニット56による位置検出の精度が良好でない場合がある。このような場合には、第4実施形態において図9に示した渋滞判定処理を適用することが好ましい。当該渋滞判定処理においては、異なるタイミングでの車両の速度がサンプリングされ、それらのうち閾値速度D以下となる速度の数に基づいて渋滞走行か否かが判定される。ここで、GPSユニット56により得られるデータに基づく場合、車両が停止していれば比較的精度よく0km/hとの算出結果を得られる。そのため、渋滞によって車両が頻繁に停止する状況であれば、GPSユニット56により得られるデータを用いる場合であっても渋滞判定の精度を維持できる。
【0141】
以上の第1乃至第9実施形態にて開示した構成の他にも、運行管理システムは種々の態様で実現できる。すなわち、各実施形態にて開示した各処理の実行主体は、管理者端末1、デジタルタコグラフ2、サーバ3および乗務員端末5のいずれであってもよい。また、これらの処理の少なくとも一部がさらに他の装置によって実行されてもよい。
【0142】
また、サーバ3の機能を管理者端末1に統合してもよい。この場合、管理データベース30は、記憶装置11や管理者端末1に接続された他の記憶装置に記憶することができる。
【0143】
以上説明した各実施形態は、発明の範囲をこれら実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明はその他の様々な形態で実施することが可能である。各実施形態にて開示した構成やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
1…管理者端末、2…デジタルタコグラフ(乗務員端末)、3…サーバ、10,20…コントローラ、11,21…記憶装置、12,24…インターフェイス、13,41…通信装置、14,22,42…ディスプレイ、15,43…入力装置、16,23…スピーカ、17…アルコール検知器、30…管理データベース、44…走行センサ、45…GPS受信機、46…ETC車載器、47…ETCアンテナ、N…ネットワーク。
図1
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