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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】飛行制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
G05D1/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019219760
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021089588
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2020-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】517207934
【氏名又は名称】テックファーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 徳之
(72)【発明者】
【氏名】大和 義博
(72)【発明者】
【氏名】岩村 隆司
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211494(JP,A)
【文献】国際公開第2019/168042(WO,A1)
【文献】特開2018-34516(JP,A)
【文献】特開2018-173992(JP,A)
【文献】特表2018-515838(JP,A)
【文献】特開2018-121267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行装置の操作を行うための操作装置と、前記操作装置を介して前記無人飛行装置の操作をするために用いられる操作情報を作成する操作情報作成装置と、を備え、
前記操作情報作成装置は、
前記無人飛行装置が飛行中の位置の周辺の状態を示す周辺画像情報を取得する情報取得部と、
前記周辺画像情報に基づく周辺画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記操作情報作成装置の操作者の指又は手の三次元空間における動きを特定する動き特定部と、
前記周辺画像が前記表示部に表示されている間に前記動き特定部が検出した前記指又は手の動きに基づいて、前記無人飛行装置を動作させるための操作情報を作成する操作情報作成部と、
前記操作情報を前記操作装置に送信する操作情報送信部と、
を有し、
前記操作装置は、
前記操作情報作成装置から前記操作情報を受信する操作情報受信部と、
前記操作情報受信部が受信した前記操作情報に基づく、前記無人飛行装置を動作させるための指示データを前記無人飛行装置に送信する指示データ送信部と、
を有する飛行制御システム。
【請求項2】
前記操作装置は、前記操作情報を受信したことを表示部に表示させる表示制御部と、
前記操作装置の使用者の操作を受け付ける操作受付部と、
をさらに有し、
前記指示データ送信部は、前記操作情報に基づいて前記無人飛行装置を動作させることを許可する操作を前記操作受付部が受け付けた場合に、前記操作情報に基づく前記指示データを前記無人飛行装置に送信する、
請求項1に記載の飛行制御システム。
【請求項3】
前記操作情報作成部は、前記指又は手の動きに基づいて前記無人飛行装置を移動させると前記無人飛行装置が許容されない動作をする場合に、前記指又は手の動きに対応する動作と異なる動作を前記無人飛行装置にさせるための前記操作情報を作成する、
請求項1又は2に記載の飛行制御システム。
【請求項4】
前記操作情報作成部は、前記指又は手の動きに基づいて前記無人飛行装置を移動させると前記無人飛行装置が障害物に衝突すると判定した場合に、前記障害物に衝突しないように前記無人飛行装置を動作させるための前記操作情報を作成する、
請求項3に記載の飛行制御システム。
【請求項5】
前記操作情報作成部は、前記指又は手の動きに基づいて前記無人飛行装置を移動させると前記無人飛行装置の速度又は加速度が許容されない範囲になる場合に、前記無人飛行装置の速度又は加速度が許容範囲になるように、前記指又は手の動きに対応する動作を補正した動作を前記無人飛行装置にさせるための前記操作情報を作成する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の飛行制御システム。
【請求項6】
前記操作情報作成部は、前記操作者の手の状態が所定の状態になった時点の前記無人飛行装置の位置を起点として、前記動き特定部が検出した前記指又は手の動きに基づいて、前記無人飛行装置を移動させるための前記操作情報を作成する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の飛行制御システム。
【請求項7】
前記操作情報作成装置の前記表示制御部は、前記指又は手の動きに基づいて前記周辺画像における位置を変化させる前記無人飛行装置の仮想画像を前記周辺画像に重ねて前記操作情報作成装置の前記表示部に表示させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の飛行制御システム。
【請求項8】
前記操作情報作成装置の前記表示制御部は、前記の動きに対応する軌跡線を前記周辺画像に重ねて前記操作情報作成装置の前記表示部に表示させる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の飛行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行装置を操作するための操作情報を作成する操作情報作成装置を含む飛行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人飛行装置を操作装置で操作する技術が知られている。特許文献1には、操作装置の三次元の位置の変化に基づいて無人飛行装置を移動させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-142290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、操作者が操作装置を動かすことによって無人飛行装置を操作する必要があった。操作装置を用いて無人飛行装置を操作する場合、無人飛行装置を移動させることができる範囲が、操作装置の操作可能範囲に制限されてしまう。したがって、操作者が望むように無人飛行装置を動かすことが困難であるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、無人飛行装置の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の操作情報作成装置は、無人飛行装置の操作をするために用いられる操作情報を作成する操作情報作成装置であって、前記無人飛行装置が飛行中の位置の周辺の状態を示す周辺画像情報を取得する情報取得部と、前記周辺画像情報に基づく周辺画像を表示部に表示させる表示制御部と、前記操作情報作成装置の操作者の指又は手の三次元空間における動きを特定する動き特定部と、前記周辺画像が前記表示部に表示されている間に前記動き特定部が検出した前記指又は手の動きに基づいて、前記無人飛行装置を動作させるための操作情報を作成する操作情報作成部と、を有する。
【0007】
前記操作情報作成部は、前記指又は手の動きに基づいて前記無人飛行装置を移動させると前記無人飛行装置が許容されない動作をする場合に、前記指又は手の動きに対応する動作と異なる動作を前記無人飛行装置にさせるための前記操作情報を作成してもよい。
【0008】
前記操作情報作成部は、前記指又は手の動きに基づいて前記無人飛行装置を移動させると前記無人飛行装置が障害物に衝突すると判定した場合に、前記障害物に衝突しないように前記無人飛行装置を動作させるための前記操作情報を作成してもよい。
【0009】
前記操作情報作成部は、前記指又は手の動きに基づいて前記無人飛行装置を移動させると前記無人飛行装置の速度又は加速度が許容されない範囲になる場合に、前記無人飛行装置の速度又は加速度が許容範囲になるように、前記指又は手の動きに対応する動作を補正した動作を前記無人飛行装置にさせるための前記操作情報を作成してもよい。
【0010】
前記操作情報作成部は、前記操作者の手の状態が所定の状態になった時点の前記無人飛行装置の位置を起点として、前記動き特定部が検出した前記指又は手の動きに基づいて、前記無人飛行装置を移動させるための前記操作情報を作成してもよい。
【0011】
前記表示制御部は、前記指又は手の動きに基づいて前記周辺画像における位置を変化させる前記無人飛行装置の仮想画像を前記周辺画像に重ねて前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
前記表示制御部は、前記指又は手の動きに対応する軌跡線を前記周辺画像に重ねて前記表示部に表示させてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様の飛行制御システムは、無人飛行装置の操作を行うための操作装置と、前記操作装置を介して前記無人飛行装置の操作をするために用いられる操作情報を作成する操作情報作成装置と、を備える。前記操作情報作成装置は、前記無人飛行装置が飛行中の位置の周辺の状態を示す周辺画像情報を取得する情報取得部と、前記周辺画像情報に基づく周辺画像を表示部に表示させる表示制御部と、前記操作情報作成装置の操作者の指又は手の三次元空間における動きを特定する動き特定部と、前記周辺画像が前記表示部に表示されている間に前記動き特定部が検出した前記指又は手の動きに基づいて、前記無人飛行装置を動作させるための操作情報を作成する操作情報作成部と、前記操作情報を前記操作装置に送信する操作情報送信部と、を有し、前記操作装置は、前記操作情報作成装置から前記操作情報を受信する操作情報受信部と、前記操作情報受信部が受信した前記操作情報に基づく、前記無人飛行装置を動作させるための指示データを前記無人飛行装置に送信する指示データ送信部と、を有する。
【0014】
前記操作装置は、前記操作情報を受信したことを表示部に表示させる表示制御部と、前記操作装置の使用者の操作を受け付ける操作受付部と、をさらに有し、前記指示データ送信部は、前記操作情報に基づいて前記無人飛行装置を動作させることを許可する操作を前記操作受付部が受け付けた場合に、前記操作情報に基づく前記指示データを前記無人飛行装置に送信してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無人飛行装置の操作性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】飛行制御システムの概要を示す図である。
図2】操作装置の構成を示す図である。
図3】操作情報作成装置の構成を示す図である。
図4】表示部に表示される無人飛行装置の周辺の画像を模式的に示す図である。
図5】指の動きについて説明するための図である。
図6】操作者が指を移動させた場合に表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図7】無人飛行装置が障害物を回避する動作を示す図である。
図8】操作者の指の速度と無人飛行装置の速度との関係を示す図である。
図9】指が細かく振動した場合の指の動きと無人飛行装置の動きを示す図である。
図10】操作者が指を第1の向きと第2の向きとに順次動かした場合の無人飛行装置の動作を示す図である。
図11】飛行制御システムにおける処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[飛行制御システムSの概要]
図1は、飛行制御システムSの概要を示す図である。飛行制御システムSは、無人飛行装置1を飛行させるためのシステムであり、無人飛行装置1と、操作装置2と、操作情報作成装置3とを備える。
【0018】
無人飛行装置1は、無人で空中を飛行する装置であり、例えばドローンである。無人飛行装置1は、操作装置2から受信した指示データが示す方向に飛行する。無人飛行装置1はカメラを備えており、飛行中に無人飛行装置1の周辺を撮影することができる。
【0019】
操作装置2は、無人飛行装置1を操作するためのデバイスであり、例えばスマートフォンである。操作装置2は、無人飛行装置1を視認しながら無人飛行装置1を操作する操作者U1により使用される。操作装置2は、例えばWi-Fi(登録商標)の無線通信回線W1を介して、無人飛行装置1を動作させるための指示データを無人飛行装置1に対して送信する。
【0020】
操作情報作成装置3は、無人飛行装置1の操作をするために用いられる操作情報を作成する。操作情報作成装置3は、例えば、操作装置2を使用する操作者U1の操作を支援する操作者U2が使用するデバイスであり、操作者U2が頭部に装着して使用するゴーグル型のデバイスである。操作情報作成装置3は、操作者U2が頭部に装着した状態で操作者U2が視認可能な表示部であるディスプレイ31と、操作者U2の指又は手(以下、「指」という場合がある)を検出するための検出デバイス32とを有している。検出デバイス32は、例えばカメラである。
【0021】
操作情報作成装置3のディスプレイ31には、無人飛行装置1の周辺の状態を示す画像が表示される。操作情報作成装置3に表示される画像は、例えば、無人飛行装置1が撮像した三次元画像若しくは二次元画像、又は予め作成されたコンピュータグラフィックス画像である。操作情報作成装置3は、当該画像を表示している間の操作者Uの指の三次元空間内の動きを特定し、検出した指の動きに基づいて、無人飛行装置1を移動させるための操作情報を作成する。
【0022】
操作情報作成装置3は、一例として、無線通信回線W1と異なる無線通信回線W2(例えばLTE又はWi-Fi)を介して、作成した操作情報を操作装置2に送信する。操作装置2は、所定の条件が満たされる場合に、操作情報作成装置3から受信した操作情報を、無人飛行装置1を動作させるための指示データとして無人飛行装置1に対して送信する。所定の条件は、例えば、操作装置2が操作情報作成装置3による操作を許可しているモードに設定されていること、操作者U1が操作装置2において無人飛行装置1を移動させる操作を行っていないこと等である。なお、操作情報作成装置3は、作成した操作情報を無人飛行装置1に直接送信してもよい。
【0023】
以上のとおり、操作情報作成装置3は、無人飛行装置1の周辺の状態を示す画像を操作者U2に提示している間に行われた操作者U2の指の動きを特定し、検出した動きに基づいて操作情報を作成する。操作情報作成装置3がこのように動作することで、操作者U2は、自分自身が無人飛行装置1であるかのように感じながら、所望のルートで無人飛行装置1を移動させることができる。
【0024】
[操作装置2の構成]
図2は、操作装置2の構成を示す図である。操作装置2は、ディスプレイ21と、操作部22と、通信部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。制御部25は、情報取得部251と、表示制御部252と、操作受付部253と、指示データ作成部254とを有する。
【0025】
ディスプレイ21は、操作者U1に通知する各種の情報を表示する表示部である。
操作部22は、操作者U1の操作を受け付けるためのデバイスであり、例えばディスプレイ21に重ねて設けられたタッチパネルである。
【0026】
通信部23は、無人飛行装置1及び操作装置2との間で各種のデータを送受信するための通信インターフェースであり、例えば無線通信コントローラを有する。通信部23は、無線通信回線W1を介して無人飛行装置1を動作させるための指示データを無人飛行装置1に送信し、無人飛行装置1から、無人飛行装置1の状態を示す状態データ及び無人飛行装置1が周辺を撮影して生成された無人飛行装置1の撮像画像データを受信する。また、通信部23は、無線通信回線W2を介して操作情報作成装置3から送信された操作情報を受信する。
【0027】
記憶部24は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体を有する。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部24は、通信部23が受信した無人飛行装置1の周辺の画像を一時的に記憶する。
【0028】
制御部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部25は、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部251、表示制御部252、操作受付部253及び指示データ作成部254として機能する。
【0029】
情報取得部251は、通信部23を介して、操作情報作成装置3から送信された操作情報を取得する操作情報受信部として機能する。情報取得部251は、操作情報を取得したことを表示制御部252に通知し、取得した操作情報を指示データ作成部254に入力する。また、情報取得部251は、無人飛行装置1から送信された状態データ及び撮像画像データを取得し、状態データ及び撮像画像データを表示制御部252に入力する。
【0030】
表示制御部252は、各種の情報をディスプレイ21に表示させる。表示制御部252は、例えば情報取得部251から入力された状態データ及び撮像画像データをディスプレイ21に表示させる。また、表示制御部252は、操作情報作成装置3から操作情報を取得したという通知を情報取得部251から受けた場合に、操作情報を取得したことをディスプレイ21に表示させる。表示制御部252は、さらに、操作情報作成装置3から送信された操作情報に基づいて無人飛行装置1を動作させることを許可する操作を受け付けるための画面をディスプレイ21に表示させる。
【0031】
操作受付部253は、操作部22において操作者U1により入力された操作を受け付ける。操作受付部253は、例えば操作部22から受信した座標データに基づいてユーザがタッチした位置を特定し、特定した位置に対応する操作を受け付ける。操作受付部253は、例えば、無人飛行装置1の位置及び飛行速度を制御するための操作を受け付けて、受け付けた操作の内容を指示データ作成部254に通知する。また、操作受付部253は、操作情報に基づいて前記無人飛行装置を動作させることを許可する操作を受け付けた場合に、当該操作を受け付けたことを指示データ作成部254に通知する。
【0032】
指示データ作成部254は、操作受付部253から通知された操作の内容に基づいて、無人飛行装置1を動作させるための指示データを作成する。指示データ作成部254は、作成した指示データを通信部23を介して無人飛行装置1に送信する指示データ送信部として機能する。指示データ作成部254は、操作情報に基づいて無人飛行装置1を動作させることを許可する操作を操作受付部253が受け付けた場合に、操作情報作成装置3から送信された操作情報に基づく指示データを作成し、作成した指示データを無人飛行装置1に送信する。
【0033】
指示データ作成部254は、操作情報に基づいて無人飛行装置1を動作させることを許可する操作を操作受付部253が受け付けた場合であっても、操作者U1による無人飛行装置1を制御する操作が行われた場合には、操作者U1の操作に基づく指示データを優先的に無人飛行装置1に送信してもよい。このように指示データ作成部254が動作することで、無人飛行装置1を視認している操作者U1が危険な状況を認識した場合に、危険を回避する操作をすることができる。
【0034】
一方、指示データ作成部254は、例えば記憶部24に記憶されている操作者U1のスキルが閾値レベル未満であり、かつ操作情報に基づいて無人飛行装置1を動作させることを許可する操作を操作受付部253が受け付けた場合、操作者U1による無人飛行装置1を制御する操作が行われたとしても、操作情報作成装置3から送信された操作情報に基づく指示データを優先的に無人飛行装置1に送信してもよい。このように指示データ作成部254が動作することで、スキルが低い操作者U1が誤操作をした場合に、スキルが高い操作者U2の操作により危険を回避することが可能になる。
【0035】
[操作情報作成装置3の構成]
図3は、操作情報作成装置3の構成を示す図である。操作情報作成装置3は、図1に示したディスプレイ31及び検出デバイス32に加えて、通信部33と、記憶部34と、制御部35とを有する。制御部35は、情報取得部351と、表示制御部352と、動き特定部353と、操作情報作成部354とを有する。
【0036】
ディスプレイ31は、無人飛行装置1の周辺の画像及びその他の情報を表示するディスプレイである。図4は、ディスプレイ31に表示される無人飛行装置1の周辺の画像を模式的に示す図である。図4においては、無人飛行装置1が撮影した無人飛行装置1の周辺の画像に重ねて、無人飛行装置1の現在位置(★)、無人飛行装置1を移動させる目的地の位置(■)を示す画像が表示されている。
【0037】
検出デバイス32は、操作者U2の指を検出する。検出デバイス32は、例えば複数の撮像素子を有するステレオカメラを有する。検出デバイス32は、例えば、複数の撮像素子それぞれにより作成された複数の撮像画像に基づいて、複数の撮像画像の各画素に対応する被写体とステレオカメラとの距離を示す距離データを作成する。検出デバイス32は、複数の撮像画像、及び作成した距離データを動き特定部353に入力する。
【0038】
通信部33は、無人飛行装置1の周辺の画像を受信したり、操作情報を送信したりするための通信インターフェースであり、例えば無線通信コントローラを有する。通信部33は、受信した画像を記憶部34に記憶させる。通信部33は、操作情報作成部354が作成した操作情報を無線通信回線W2に向けて送信する。
【0039】
記憶部34は、ROM及びRAM等の記憶媒体を有する。記憶部34は、制御部35が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部34は、通信部33が受信した無人飛行装置1の周辺の画像を一時的に記憶する。
【0040】
制御部35は、例えばCPUである。制御部35は、記憶部34に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部351、表示制御部352、動き特定部353及び操作情報作成部354として機能する。
【0041】
情報取得部351は、通信部33を介して、無人飛行装置1が飛行中の位置の周辺の状態を示す周辺画像情報を取得する。情報取得部351は、取得した周辺画像情報を表示制御部352に入力する。情報取得部351は、周辺画像情報に関連付けて、無人飛行装置1の飛行の障害物を特定するための障害物情報をさらに取得してもよい。
【0042】
表示制御部352は、周辺画像情報に基づく周辺画像をディスプレイ31に表示させる。表示制御部352は、例えば、操作者U2の指の動きに基づいて周辺画像における位置を変化させる無人飛行装置1の仮想画像を周辺画像に重ねて表示部に表示させる。一例として、表示制御部352は、図4に示したように、周辺画像とともに、無人飛行装置1の現在位置及び目的地の位置を示す画像をディスプレイ31に表示させる。
【0043】
動き特定部353は、検出デバイス32から入力された撮像画像及び距離データに基づいて、操作情報作成装置3の操作者U2の指の三次元空間における動きを特定する。図5は、指の動きについて説明するための図である。
【0044】
図5は、X軸、Y軸、Z軸により表される三次元空間における操作者U2の手の画像を示している。図5(a)は、操作者U2が指を動かす操作を開始する前の状態を示している。図5(b)は、操作者U2が指を動かす操作を開始する状態を示しており、指の先端の位置の三次元座標が(x0、y0、z0)となっている。図5(c)は、操作者U2が指を動かした後の状態を示しており、指の先端の位置の三次元座標が(x1、y1、z1)となっている。
【0045】
動き特定部353は、基準となる手の画像と撮像画像とを比較することにより、撮像画像における操作者U2の手の領域を特定し、特定した領域に基づいて指の先端の位置を特定する。続いて、動き特定部353は、距離データを参照することにより、検出デバイス32と指の先端の位置との距離を特定する。
【0046】
動き特定部353は、撮像画像における指の先端の位置と特定した距離とに基づいて、三次元空間における指の先端の位置を特定する。動き特定部353は、指の先端の位置を所定の時間間隔(例えば100ミリ秒間隔)で特定し、特定した位置の変化により指の動きを特定する。動き特定部353は、特定した指の動きを操作情報作成部354に通知する。
【0047】
動き特定部353は、操作者U2の指の状態を特定してもよい。動き特定部353は、例えば、図5(a)に示すように操作者U2の指が伸びていない状態(例えば手を握った状態)と、図5(b)及び図5(c)に示すように操作者U2が1本の指を伸ばしている状態とを特定する。動き特定部353は、特定した指の状態を操作情報作成部354に通知する。
【0048】
動き特定部353は、操作者U2の手の状態が第1状態(例えば手を握った状態)から第2状態(例えば1本の指が伸びた状態)になった時点を起点として、指の動きを特定する。動き特定部353は、操作者U2の手の状態が第2状態になった後に、所定の時間間隔で、指の先端の位置の三次元座標を操作情報作成部354に通知する。動き特定部353は、指の先端の位置の動きを示すベクトルデータを操作情報作成部354に通知してもよい。
【0049】
操作情報作成部354は、周辺画像がディスプレイ31に表示されている間に動き特定部353が検出した指の動きに基づいて、無人飛行装置1を動作させるための操作情報を作成する。操作情報作成部354は、例えば、動き特定部353から通知される指の動きを示す情報(例えば三次元座標又はベクトルデータ)に対応する操作情報を作成する。一例として、操作情報作成部354は、時刻情報と指の位置に対応する三次元座標とが関連付けられた情報を操作情報として作成する。操作情報作成部354は、通信部33を介して、一以上の三次元座標を含む操作情報を所定の時間間隔で操作装置2に送信する。
【0050】
操作情報作成部354は、指の動きを示す情報を、無人飛行装置1が飛行する方向を示す操作情報に変換してもよい。操作情報作成部354は、例えば三次元空間におけるX軸方向の指の動き成分を無人飛行装置1の左右方向の移動成分、Y軸方向の指の動き成分を無人飛行装置1の上下方向の移動成分、Z軸方向の指の動き成分を無人飛行装置1の前後方向の移動成分に変換する。操作情報作成部354は、変換後の各移動成分を合成したベクトルを示す操作情報を作成する。
【0051】
操作情報作成部354は、操作者U2の手の状態が第1状態(例えば手を握った状態)から第2状態(例えば1本の指が伸びた状態)になった時点の無人飛行装置1の位置を起点として、動き特定部353が検出した指の動きに基づいて、無人飛行装置1を移動させるための操作情報を作成する。操作情報作成部354は、例えば、操作者U2が手を握っている状態(図5(a)の状態)から1本の指を伸ばした状態(図5(b)の状態)に変化したという通知を動き特定部353から受けた時点を起点として、その後の指の動きに対応する操作情報を作成する。
【0052】
具体的には、操作情報作成部354は、図5(b)に示す指の位置から図5(c)に示す指の位置までの指の動きに対応する操作情報を作成する。操作情報作成部354は、操作者U2の手の状態が第2状態から第1状態に変化するまで、指の動きに対応する操作情報を作成し続ける。このように、操作情報作成部354が、操作者U2の手の状態によって操作情報を作成する期間を決定することにより、操作者U2が無人飛行装置1を移動させる意思を持っていない間の指の動きに基づいて操作情報が作成されないようにすることができる。
【0053】
図6は、操作者U2が指を移動させた場合にディスプレイ31に表示される画面の一例を示す図である。図6に示すように、表示制御部352は、操作者U2の指の動きに対応する軌跡線を周辺画像に重ねてディスプレイ31に表示させてもよい。図6において破線で示す無人飛行装置1の軌跡線は、図5(c)において破線で示す指の軌跡線に対応する。表示制御部352がこのような軌跡線をディスプレイ31に表示することで、操作者U2は、無人飛行装置1の移動軌跡を確認しながら指を動かすことができるので、操作者U2の指の動かし方が適切であるか否かを把握しやすい。
【0054】
表示制御部352は、操作者U2が指を動かした場合に、無人飛行装置1が実際に移動する前に軌跡線をディスプレイ31に表示させてもよい。表示制御部352がこのように軌跡線をディスプレイ31に表示させることで、操作者U2は、軌跡線が示すルートが操作者U2の所望するルートでない場合に、操作をし直すことができる。
【0055】
操作者U2が操作をし直すことができるように、操作情報作成部354は、操作者U2の手が第3状態(例えば、手を開いた状態)になったことを特定した場合に、作成済の操作情報を取り消してもよい。この場合、操作情報作成部354は、操作者U2の手が第1状態を経て第2状態になった時点から動き特定部353が検出した指の動きに基づいて、無人飛行装置1を移動させるための操作情報を作成する。操作情報作成部354は、操作者U2の手が第2状態になった時点で、作成済の操作情報を新たな操作情報に切り替える。操作情報作成部354がこのように動作することで、操作情報を切り替えた場合にも、無人飛行装置1を連続的に移動させることができる。
【0056】
操作情報作成部354は、指の動きに基づいて無人飛行装置1を移動させると無人飛行装置1が許容されない動作をする場合に、指の動きに対応する動作と異なる動作を無人飛行装置1にさせるための操作情報を作成してもよい。操作情報作成部354は、例えば、無人飛行装置1の周辺の状態を示す画像に含まれている障害物を特定し、指の動きに基づいて無人飛行装置1を移動させると障害物に衝突すると判定した場合に、障害物に衝突しないように無人飛行装置1を動作させるための操作情報を作成する。なお、操作情報作成部354は、情報取得部351が周辺画像に関連付けて取得した障害物情報に基づいて無人飛行装置1の周辺の障害物を特定してもよい。
【0057】
図7は、無人飛行装置1が障害物を回避する動作を示す図である。図7(a)の破線矢印が示すように操作者U2が指を動かした場合であっても、操作情報作成部354は、図7(b)に示すように、★で示す無人飛行装置1が障害物となる建物を回避するように飛行するための操作情報を作成する。
【0058】
操作情報作成部354は、動き特定部353が検出した指が動く速度に基づいて、無人飛行装置1の移動速度を示す操作情報を作成してもよい。操作情報作成部354は、例えば、予め記憶部34に記憶された変換テーブルを参照することにより、指が動く速度を無人飛行装置1が動く速度に変換する。
【0059】
ただし、操作情報作成部354は、指の動きに基づいて無人飛行装置1を移動させると無人飛行装置1の速度又は加速度が許容されない範囲になる場合に、無人飛行装置1の速度又は加速度が許容範囲になるように、指の動きに対応する動作を補正した動作を無人飛行装置1にさせるための操作情報を作成してもよい。例えば、無人飛行装置1が動く速度又は加速度に上限値が設けられており、操作情報作成部354は、指が動く速度又は加速度が閾値以上の場合に無人飛行装置1が動く速度又は加速度を上限値にしてもよい。
【0060】
図8は、操作者U2の指の速度と無人飛行装置1の速度との関係を示す図である。図8に示すように、操作情報作成部354は、指の速度が閾値以下の間は、指の速度が増加するにつれて無人飛行装置1の速度が増加する操作情報を作成する。操作情報作成部354は、指の速度が閾値よりも大きくなると、指の速度が増加しても無人飛行装置1の速度が増加しない操作情報を作成する。操作情報作成部354がこのように動作することで、無人飛行装置1が危険な速度又は加速度で飛行することを予防できる。
【0061】
操作情報作成部354は、動き特定部353が検出した指の動きの軌跡線よりも滑らかに無人飛行装置1が移動するように操作情報を作成してもよい。操作情報作成部354は、例えば指の動きの軌跡線を低域通過フィルタに通すことにより、軌跡線に含まれている高周波成分を除去し、高周波成分を除去した後の軌跡線に基づいて操作情報を作成する。
【0062】
図9は、指が細かく振動した場合の指の動きと無人飛行装置1の動きを示す図である。図9(a)においては、操作者U2の指が移動方向に対して左右に変位しているが、図9(b)においては、★で示す無人飛行装置1がほぼ直線上を移動している。このように操作情報作成部354が動作することで、指が細かく振動した場合に無人飛行装置1が細かく振動しながら飛行することを予防できる。
【0063】
また、操作情報作成部354は、操作者U2の指が閾値以上の速度で移動した場合、当該移動の動作を含まない操作情報を作成してもよい。操作情報作成部354は、例えば、指が第1の向きに移動した後に、第1の向きとほぼ反対向きの第2の向きに、第1の向きへの移動速度よりも速い速度で移動した場合、第2の向きへの移動動作を含まない操作情報を作成する。
【0064】
図10は、操作者U2が指を第1の向きと第2の向きとに順次動かした場合の無人飛行装置1の動作を示す図である。図10(a)における実線は第1の向きを示しており、破線は第2の向きを示している。このように操作者U2が指を動かした場合であっても、図10(b)に示すように、無人飛行装置1は第1の向きに飛行を続ける。操作情報作成部354がこのように動作することで、操作者U2が手の状態を第1状態と第2状態に切り替えることなく、連続的に無人飛行装置1を移動させる操作をすることができる。
【0065】
[シーケンス図]
図11は、飛行制御システムSにおける処理シーケンスを示す図である。図11に示すシーケンス図は、操作者U1の操作により操作装置2から送信した第1指示データに基づいて無人飛行装置1が飛行している状態から開始している。
【0066】
操作受付部253は、操作者U2による遠隔操作を許可する操作を受け付けた場合(S1)、通信部23を介して、遠隔操作が許可されたことを操作情報作成装置3に通知する。操作情報作成装置3においては、遠隔操作が許可されたという通知を受けると、その旨を表示制御部352がディスプレイ31に表示させる(S2)。その後、動き特定部353が操作者U2の指の動きを特定すると(S3)、操作情報作成部354が、指の動きに基づいて操作情報を作成し(S4)、作成した操作情報を操作装置2に送信する。
【0067】
操作装置2においては、情報取得部251が操作情報作成装置3から操作情報を受信すると、指示データ作成部254が操作情報に基づいて第2指示データを作成し(S5)、作成した第2指示データを無人飛行装置1に送信する。指示データ作成部254は、操作受付部253が所定の操作を受け付けるまでの間は操作情報に基づいて第2指示データを作成する(ステップS6におけるNO)。指示データ作成部254は、操作受付部253が所定の操作を受け付けた後に(ステップS6におけるYES)、操作受付部253が受け付ける操作内容に基づいて指示データを作成する(S7)。
【0068】
[第1変形例]
以上の説明においては、飛行制御システムSが操作装置2及び操作情報作成装置3を備えており、操作情報作成装置3が作成した操作情報を操作装置2が受信し、操作装置2が、操作情報に基づいて作成した指示データを無人飛行装置1に送信するという場合を例示したが、飛行制御システムSが操作装置2を有していなくてもよい。この場合、操作情報作成装置3は、操作情報に基づいて指示データを作成し、作成した指示データを無人飛行装置1に直接送信する。
【0069】
[第2変形例]
以上の説明においては、操作情報作成装置3が操作者U2の指又は手の三次元空間における動きのみに基づいて操作情報を作成する場合を例示したが、操作情報作成装置3は、操作者U2の指又は手の動きとともに、操作情報作成装置3が有する不図示のコントローラ(操作部)で行われた操作内容にさらに基づいて操作情報を作成してもよい。
【0070】
この場合、操作情報作成部354は、例えば、無人飛行装置1を移動させる向きに関する操作情報を操作者U2の指又は手の動きに基づいて作成し、無人飛行装置1を移動させる速度に関する操作情報をコントローラで行われた操作内容に基づいて作成する。操作情報作成部354がこのように動作することで、操作者U2は、例えば予めコントローラで速度を設定したり、コントローラの操作により速度を一定値に設定したりしやすい。したがって、操作者U2が、指又は手を動かす速さのことを気にすることなく、指又は手を動かす向きだけに注意すればよいので、操作性がさらに向上する。
【0071】
[操作情報作成装置3による効果]
以上説明したように、操作情報作成装置3は、操作情報作成装置3の操作者U2の指又は手の三次元空間における動きを特定する動き特定部353と、周辺画像がディスプレイ31に表示されている間に動き特定部353が検出した指又は手の動きに基づいて、無人飛行装置1を動作させるための操作情報を作成する。操作情報作成装置3がこのように構成されていることで、操作者U2が、無人飛行装置1を動かしたい方向に指又は手を動かすことにより、所望の方向に無人飛行装置1を動かすことができるので、操作性が向上する。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0073】
1 無人飛行装置
2 操作装置
3 操作情報作成装置
21 ディスプレイ
22 操作部
23 通信部
24 記憶部
25 制御部
31 ディスプレイ
32 検出デバイス
33 通信部
34 記憶部
35 制御部
251 情報取得部
252 表示制御部
253 操作受付部
254 指示データ作成部
351 情報取得部
352 表示制御部
353 動き特定部
354 操作情報作成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11