(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置と検査方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20220601BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A61B10/00 E
G01N21/17 610
(21)【出願番号】P 2020558677
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2019102952
(87)【国際公開番号】W WO2020043115
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】201810987944.0
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520257717
【氏名又は名称】ナンジン スタートン テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING STARTON TECHNOLOGY CO.LTD.
【住所又は居所原語表記】WAN, Cong E6-302, Tian’an Cyber Park, 36 Yongfeng Avenue, Qinhuai District Nanjing, Jiangsu 210007 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェイピン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106264436(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101172047(CN,A)
【文献】特開2009-061014(JP,A)
【文献】特表2016-502873(JP,A)
【文献】特開2016-152863(JP,A)
【文献】特開平10-094512(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105595959(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置であって、
被検組織に接触する携帯型探触子と、
前記携帯型探触子を信号制御し、データ収集し、コンピュータと通信するコントローラと、
コントローラ情報をデータ分析し、画像再構成し、表示する前記コンピュータとを備え、
前記携帯型探触子は、探触子フロントカバーを備え、これによって配置された触覚センサ、探触子ベース、光電センサモジュールが前記探触子フロントカバーに係合する第1、第2探触子サイドカバーの間に挟持され、前記第1探触子サイドカバーと前記第2探触子サイドカバーとの間に前記光電センサモジュールに接続された光ファイバが通り、
前記触覚センサには前記探触子フロントカバーに近い側の端面に触覚検出薄膜が設けられ、
前記端面には光ファイバ接続部出口、及び、微光検出器ポート
のそれぞれが複数設けられていることを特徴とする触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置であって、
前記光電センサモジュールは、前記探触子ベースに近い側に複数の微光検出器と、複数の光ファイバ接続部が交互に設けられた光検出器フロントプレートを備え、
前記光検出器フロントプレートは、前記探触子ベースの後側に信号処理プレートが設けられ、
前記微光検出器は、前記信号処理プレートに接続され、
前記触覚セン
サは、結線部
を有し、
前記結線部は、前記信号処理プレートに接続されていることを特徴とする触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置であって、
前記コントローラの内部に、光信号発生器1セットが内蔵され、前記光信号発生器からのレーザ光が光スイッチを介して前記光ファイバに結合されることを特徴とする触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置に基づく検査方法であって、
前記触覚センサが
検出した圧力信号を
前記コントローラに送信し、前記光電センサモジュール
が検出した光信号を前記コントローラに送信し、前記コンピュータが前記コントローラと通信接続し、前記コントローラに命令を送信したり、データを受信したりし、受信した薄膜圧力センサ信号と光学信号を処理し、圧力分布画像と光散乱画像を得ることを特徴とする触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置に基づく検査方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の検査方法であって、
前記コントローラから前記光電センサモジュールに信号を送信し、前記光電センサモジュールは光ファイバ配列を介して様々な波長のレーザ光を前記被検組織に時分割で送信し、微光検出器が光信号を収集した後に前記コントローラに送信し、前記コントローラは収集した前記光信号と触覚センサ情報を前記コンピュータに送信することを特徴とする検査方法。
【請求項6】
請求項
4に記載の検査方法であって、
前記触覚センサが受信する信号は接触面の空間にて分布した各検知点の圧力値であり、薄膜圧力センサのドットマトリックス分布と各点の数値に基づいて、前記コンピュータは当該検知面に接触する組織の硬さ分布を算出し、三次元硬さ分布図として表示し、軟組織内部の腫瘍状況を反映することを特徴とする検査方法。
【請求項7】
請求項
4に記載の検査方法であって、
様々な波長の光は、複数の位置から組織に入り、組織内部で吸収と散乱を経た後、前記複数の位置
に分布している微光検出器が放出光情報を
検出し、
前記コントローラが前記光信号と触覚センサ情報とを前記コンピュータへ送信し、光散乱断層撮影法を用いて光散乱断層撮影図を得、それにより被測定組織内部の光吸収分布図を得、前記被検組織が様々な光信号を吸収することにより、被検組織内部の血液供給状況を反映することを特徴とする検査方法。
【請求項8】
請求項
6又は
7に記載の検査方法であって、
前記コンピュータは、得た三次元硬さ分布図と光散乱断層撮影図をリアルタイムで表示し、使用中に、ユーザーは組織の触覚変化と組織光学特性を動的に観察し、それにより組織内の腫瘍とその特徴を発見することを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医学イメージング画像の分野に関し、特に触覚(圧力)配列センサと光断層撮影を用いて生体組織構造を表示し、様々な光を吸収・散乱するデュアルモードイメージング装置、及びそれに基づいた制御とイメージング方法に関する。本発明の典型的な応用の一つは乳腺腫瘍疾患の検査である。
【背景技術】
【0002】
例えば乳腺(乳房)組織などの生体組織の画像検査においては、よく使用される検査設備が乳腺モリブデンターゲットのX線画像、超音波画像、光学画像、核磁気共鳴(MRI)などである。そのうち、乳腺モリブデンターゲットのX線画像は比較的広範な検査等級に適用され、イメージングが簡便で、再現性を持ち、現在の乳がん検査の新しい基準である。しかし、モリブデンターゲットのX線画像はX線放射の対策とする特殊な防護使用環境が必要で、しかも緻密性の乳腺検査にとっては効果が悪い。超音波と核磁気共鳴(MRI)は乳がんの診断において補完的な役割を果たしている。核磁気共鳴は明らかな高感度の優位性があるが、所要時間が長く、費用も高い。超音波システムは最もよく使用される医療画像設備であり、様々な場面での使用に適しており、コストと価格の優位性があり、乳がんの検査によく使用される。しかし、通常の超音波システムによる乳腺検査は、医師の読影技能に過度に依存し、画像の再現性が低いといういくつかの制限を受ける。臨床でよく使用される乳腺超音波は二次元B型超音波が多く、この従来的な超音波画像は乳腺のある一断面の画像しか提供できず、一定の限局性がある。
【0003】
乳腺腫瘍検査の一般的な臨床方法は医師による触診であり、医師の手で乳腺内部に腫瘍があるか否かを感知する。この臨床触診で腫瘍を発見することができ、経験豊富な医師は腫瘍の触診感覚に基づいて腫瘍の特徴を判断することができる。この原理に基づいて、米国はSureTouchとiBEという2種類の製品を生産した。分散型圧力センサ技術に基づいて、組織の応力変化を検出し、医師の触診に代わって、データを記録することができる。これらの製品はすでに臨床的に一定の臨床価値を持っていることが証明されている。
【0004】
光学画像は組織が波長の異なる光に対してそれぞれ別々の吸収と散乱作用を持ち、組織の光学特性を検出すると、ヘモグロビン、血中酸素など被検組織の機能情報が反映され、これらの情報は腫瘍の診断に大きな価値がある。しかし、被検組織が光線の散乱作用を持ち、光学画像の空間分解能が低いため、過去に採用した赤外線乳腺撮影装置やサーモグラフィーの臨床効果が良くなく、また、現行の赤外線乳腺撮影装置による類似の簡単なCCD画像は、断層画像や容積画像の機能がなく、CCD画像から組織内部の情報を獲得するのが難しく、医師が赤外線画像から診断しにくい。そのほか、このような赤外線乳腺撮影装置は同様に再現性がなく、他の画像と融合したりマッチングしたりできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は触覚センサを用いて光学散乱断層画像を融合して生体組織内の腫瘍を検査する装置を提供するとともに、組織の物理的変化(局所硬度)と組織の機能的変化(供血分布)を検出し、触覚画像と光学画像を融合して乳腺腫瘍の検出と病態判定の精度を高める検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検査装置は、触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置であって、被検組織に接触する携帯型探触子と、前記携帯型探触子を信号制御し、データ収集し、コンピュータと通信するコントローラと、コントローラ情報をデータ分析し、画像再構成し、表示する前記コンピュータとを備え、前記携帯型探触子は、探触子フロントカバーを備え、これによって配置された触覚センサ、探触子ベース、光電センサモジュールが前記探触子フロントカバーに係合する第1、第2探触子サイドカバーの間に挟持され、前記第1探触子サイドカバーと前記第2探触子サイドカバーとの間に光電センサモジュールに接続された光ファイバが通る。
【0007】
特に、本発明が提供する前記触覚センサには前記探触子フロントカバーに近い側の端面に触覚検出薄膜が設けられ、前記触覚センサには光ファイバ接続部出口、微光検出器ポートが若干設けられることで、1つの探触子面に2種の情報を検出する機能を統合した。
【0008】
本発明が提供する前記光電センサモジュールは、前記探触子ベースに近い側に複数の微光検出器と、複数の光ファイバ接続部が交互に設けられた光検出器フロントプレートを備え、前記光検出器フロントプレートの、前記探触子ベースから遠く離れた片側に信号処理プレートが設けられ、前記微光検出器は、前記信号処理プレートに接続され、前記触覚センサには、前記信号処理プレートに接続された触覚薄膜センサ上結線部、触覚薄膜センサ下結線部がそれぞれ設けられる。
【0009】
本発明の前記コントローラは内部に光信号発生器を1セット備え、前記光信号発生器からのレーザ光は光スイッチを介して前記光ファイバに結合され、前記光スイッチは前記コンピュータの命令に従ってそれぞれの光源から前記光ファイバへの放出光を制御する。
【0010】
本発明の触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置の検査方法は、前記触覚センサが信号を収集し、前記光電センサモジュールを介して前記コントローラに送信し、前記コンピュータが前記コントローラと通信接続し、前記コントローラに命令を送信したり、データを受信したりし、受信した薄膜圧力センサ信号と光学信号を処理し、圧力分布画像と光散乱画像を得る。
【0011】
本発明は、上記の技術的な解決手段を採用し、従来技術に比べて次のような利点がある。
【0012】
1、本発明は圧力分布画像と光学DOT画像信号を同期的に収集し、2種の三次元画像を再構成して空間的に関連させ、医師が組織の触覚画像と光学的機能画像という両方面から組織内部の病変を診断し、組織病変の診断精確性を高めるのに有利である。
【0013】
2、本発明によれば、非侵襲的かつ無輻射で画像が獲得でき、操作が簡便で、異なる年齢層に対する検査に適す。操作が簡便で、臨床スクリーニングに適用でき、コストパフォーマンスと適用性が高い。乳がんのスクリーニングなど、現在の急速な腫瘍スクリーニングのニーズに効果的に応じられる。
【0014】
3、本発明は圧力薄膜センサを用いて組織硬さ分布と変化を測定し、局部に腫瘍(組織硬さのムラ)があるか否かを反映することができる。光学画像は組織内部の成分情報、特に血液(酸素を豊富に含む血液と脱酸素血液を含む)の分布状況を反映する。これにより、組織腫瘍の位置と機能情報を提供し、腫瘍の病理診断を補助する。例えば乳がんの検出と診断などに適用される。
【0015】
4、本発明はコントローラの内部に光信号発生器を設置し、異なる波長のレーザ光を発し、光信号発生器から発されるレーザ光は光スイッチを介して光ファイバに結合され、光スイッチを制御することで、コントローラはコンピュータの命令に従って必要なレーザ信号を一本または数本の光ファイバに発することを選択することができる。それにより携帯型センサの光信号の発信位置、発信タイミングなどを選択する。同時に、コントローラは携帯型探触子の信号処理プレートと交信し、微光検出器の信号収集と処理を調整し、検査効率を高め、組織病変の診断精確性を高める。
【0016】
5.本発明は、コンピュータとコントローラとの通信接続(例えばUSBポート)を利用し、コントローラにコマンドを送信し、データを受信する。受信した薄膜圧力センサ信号と光学信号を処理し、圧力分布画像と光散乱画像を得、圧力分布画像は組織内部の整合性と均一性が反映できる。乳腺組織の検査に使用する場合、圧力分布の不均一性は組織内部に腫瘍があることが反映される。光散乱画像は組織内部で様々な波長の光信号を吸収する状況を反映し、組織光学原理に基づいて、それぞれ異なる波長のレーザー光を使用する場合、光散乱画像は組織がそれぞれ異なる波長の光を吸収する程度とその分布を反映し、それにより組織内部の成分、特に酸素を豊富に含むヘモグロビンと脱酸素ヘモグロビンの状況を分析することができ、局所組織の代謝状態をも反映する。
【0017】
6、本発明は圧力分布図と光学図を結合することで、組織分布の均一性(腫瘍)と局所代謝の情報を同時に得ることができ、組織内部の腫瘍の検出と良性悪性の分析判断に役立つ。
【0018】
7、本発明は触覚検出薄膜の規格、型番に特別な要求と制限はなく、様々な薄膜探触子とモジュールを選択して組み立てることができ、柔軟性が高い。光学検出と制御システムは様々な組織成分の反応を検出するため、それぞれ異なる波長の光源を採用してもよく、多光源、多光ファイバ配列と微光検出器配列を採用し、スキャンデータの収集を行い、組織光学散乱モデル、赤外線撮像ユニットを採用して多点源組織散乱画像群シーケンスに対して三次元モデルを再構築し、被測定組織の三次元画像を得る。触覚画像と光学画像は同一空間で同期的に収集されるため、得られた組織の触覚画像と光学画像は相関しており、二形式の画像に対する重ね合わせ分析を実現し、非侵襲的かつ無輻射で組織の検査と診断に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】本発明の触覚センサの端面構成模式図である。
【
図6】本発明に基づく薄膜圧力センサによる圧力検出後の表示画像を示す図である。
【
図7】本発明に基づく微光電センサモジュールによる検出後のデータ表示を示す図である。
【
図8】光信号が組織に入った後の光散乱経路模式図である。
【
図9】本発明に基づくDOTアルゴリズムによる再構成後の表示画像を示す図である。
【
図10】本発明の薄膜触覚センサが16経路のデータにより並行的に収集する模式図である。
【
図11】本発明の光電センサモジュールの動作状態模式図である。
【
図12】本発明のDOTイメージング状態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図を参照して本発明の技術的解決手段をさらに詳細に説明する。
【0021】
図1、
図2に示すように、触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置であって、被検組織に接触する携帯型探触子1と、携帯型探触子を信号制御し、データ収集し、コンピュータと通信するコントローラ2と、コントローラ情報をデータ分析し、画像再構成し、表示するコンピュータ3とを備え、携帯型探触子1は、探触子フロントカバー4を備え、これによって配置された触覚センサ5、探触子ベース6、光電センサモジュール7が探触子フロントカバー4に係合する第1探触子サイドカバー8、第2探触子サイドカバー9の間に挟持され、第1探触子サイドカバー8と第2探触子サイドカバー9との間に光電センサモジュール7に接続された光ファイバ10が通る。
【0022】
図3に示すように、本発明が提供する触覚センサ5には探触子フロントカバー4に近い側の端面に触覚検出薄膜11が設けられ、触覚センサ5には光ファイバ接続部出口12、微光検出器ポート13が若干設けられる。
【0023】
図4に示すように、本発明が提供する光電センサモジュール7は、探触子ベース6に近い側に複数の微光検出器16と、複数の光ファイバ接続部17が交互に設けられた光検出器フロントプレート19を備え、光検出器フロントプレート19の、探触子ベース6から遠く離れた片側に信号処理プレート20が設けられ、微光検出器16は、信号処理プレート20に接続され、触覚センサ5には、信号処理プレート20に接続された触覚薄膜センサ上結線部14、触覚薄膜センサ下結線部15がそれぞれ設けられる。
【0024】
本発明のコントローラは内部に光信号発生器を1セット備え、光信号発生器からのレーザ光は光スイッチを介して光ファイバに結合される。
【0025】
図5に示すように、本発明の触覚センサ5が信号を収集し、光電センサモジュール7を介してコントローラ2に送信し、コンピュータ3がコントローラ2と通信接続し、コントローラ2に命令を送信したり、データを受信したりし、コンピュータ3が受信した薄膜圧力センサ信号と光学信号を処理し、圧力分布画像と光散乱画像を得る。
【0026】
図5に示すように、本発明のコントローラ2から光電センサモジュール7に信号を送信し、光電センサモジュール7は光ファイバ配列を介して様々な波長のレーザ光を被検組織に送信し、微光検出器5が被検組織からの光信号を収集した後にコントローラ2に送信し、コントローラ2は収集した光信号と触覚センサ情報をコンピュータ3に送信する。
【0027】
本発明の触覚センサと光断層撮影を融合する検査装置の検査方法は、触覚センサが信号を収集し、光電センサモジュールを介してコントローラに送信し、コンピュータがコントローラと通信接続し、コントローラに命令を送信したり、データを受信したりし、受信した薄膜圧力センサ信号と光学信号を処理し、圧力分布画像と光散乱画像を得る。
【0028】
本発明のコントローラから光電センサモジュールに信号を送信し、光電センサモジュールは光ファイバ配列を介して様々な波長のレーザ光を被検組織に時分割で送信し、微光検出器の光信号が収集された後にコントローラに送信され、コントローラは収集した光信号と触覚センサ情報をコンピュータに送信する。
【0029】
本発明の触覚センサが受信する信号は接触面の空間にて分布した各検知点の圧力値であり、薄膜圧力センサのドットマトリックス分布と各点の数値に基づいて、コンピュータは当該検知面に接触する組織の硬さ分布を算出し、三次元硬さ分布図として表示し、軟組織内部の腫瘍状況を反映する。
【0030】
本発明の様々な波長の光は、複数の位置から組織に入り、組織内部で吸収と散乱を経た後、複数の位置で放出光情報を得、コンピュータが微光検出器から情報を受信した後、光散乱断層撮影法を用いて光散乱断層撮影図を得、それにより被測定組織内部の光吸収分布図を得、被検組織が様々な光信号を吸収することにより、被検組織内部の血液供給状況を反映する。
【0031】
本発明のコンピュータは、得た三次元硬さ分布図と光散乱断層撮影図をリアルタイムで表示し、使用中に、ユーザーは組織の触覚変化と組織光学特性を動的に観察し、それにより組織内の腫瘍とその特徴を発見する。
【0032】
本発明の薄膜圧力センサは、複数の分離した圧力測定点を含み、接触面に平面分布の配列を形成し、それぞれの測定点で当該接触点の圧力値を検出し、それらを結合すると、センサ配列はこの接触面の圧力分布を反映する。検出された圧力分布データは、処理された後、空間的な三次元データで表現されてもよく(
図6)、平面的な疑似カラー画像で表現されてもよい。どちらも被検組織面の圧力分布を反映することができる。乳腺組織検査の場合は、乳腺の内部に腫瘍があるか否か、及びその位置と大きさを反映することができる。
【0033】
光検出モジュールは、複数の空間分布の放出光ファイバと、空間分布の微光検出器を含む。典型的な応用例では、コントローラには1つの波長のレーザ光源と1つの放出光ファイバが採用され、すべての微光検出器の信号を検出する。各微光検出器の信号は、ある一定の光の波長と発光点が定められた後、放出された光子が被検組織を通過し、散乱された後、各微光検出器の位置で得られた光信号を反映する(
図7)。コントローラにJ個のレーザ光源が備えられ、探触子にN個の放出光ファイバ、M個の微光検出器がある場合、J x N x M群の信号が収集される。これらの信号はリアルタイムで表示され、携帯型探触子が移動すると、オペレータは位置ごとの信号の変化を観察することができる。
【0034】
光ビームが均一な組織に入ると、組織は入った光子と作用し、一部は吸収され、一部は散乱して組織に入り、もう一部は組織の表面に戻る。全体の光散乱経路はバナナ型に似ている(
図8)。発射側の光源点から受信側の検出器までの異なった距離により、得られた信号が組織の異なる深さにおける光散乱と吸収状況を反映する(
図9)。生物光学では、その法則が一組の光子散乱輸送方程式(メカニズム)によって記述される。
【0035】
組織光学の散乱モデルに基づいて、採集したJ x N x M群の信号を用いて画像の再構成を行い、組織が特徴付き光帯域に対する散乱と吸収の分布画像を得ることができる。この画像は局所的な組織の代謝状況を反映する(
図10)。
【0036】
本発明の薄膜触覚センサはワンライン走査の方式を採用し、多経路信号が並行してデータを収集し、すべての分布点における圧力信号値を迅速でかつリアルタイムに取得し、それにより接触面全体の圧力分布状況を得る。回路設計上では、1つのマイクロプロセッサチップで完成するように設計される。
図11は1つの多経路信号ゲーティングと16経路データの並列収集模式図である。
【0037】
図12は、本発明に基づく光学信号の制御とデータ収集の構成を示す。組織のDOTイメージングと、異なる光波長に応じて反映した組織情報を得るために、光学系のデータ収集方法は以下の通りである。
【0038】
1)光信号コントローラは光源選択光スイッチを制御して特定波長の光源を選択し、出力選択光スイッチに信号を転送する。
【0039】
2)光信号コントローラは出力選択光スイッチを制御して1経路の光ファイバを選択して光信号を探触子に出力する。すべての微光検出器の信号を並行して収集し、保存するように制御する。
【0040】
3)光信号コントローラは出力選択光スイッチを制御して次なる1経路の光ファイバを選択して光信号を探触子に出力する。すべての微光検出器の信号を並行して収集し、保存するように制御する。
【0041】
4)あらゆる光ファイバ出力のトラバース完了後、該当する信号を収集してから、光信号コントローラは光源選択光スイッチを制御して次の光源信号を選択する;あらゆる光源信号の完了まで、上記の2~3手順を繰り返す。
【0042】
5)1組のデータ収集が完了した後、上位機はデータ分析計算を行い、現在位置の組織光学断層画像(DOT)を得る。
【0043】
本発明のDOTイメージングの基本原理:組織体の表面光源の時空間分布とそれに対応する光輸送測定値の時空間分布が定められ、特定の光子輸送モデルに基づいて組織体内の光学パラメータ三次元分布を求める。DOTイメージングのタスクは組織領域内のあらゆる光学パラメータの分布を同時に再構築するが、実用では通常、そのうちの一つまたは二つのパラメータ分布(通常は屈折率)を既知の定数と仮定して求解を簡略化し、つまり通常、吸収係数の再構築と散乱係数の簡約化だけである。
【0044】
本発明のDOTイメージングの計算は、発光源の信号強度、微光検出器の感度、発光源と検出器の相対位置に依存する。相対位置は卓上の幾何構造によって決定され、上記両方面の情報はシステムの使用前に標準物質で標定される。
【0045】
DOTの画像アルゴリズムは散乱モデルのボルツマン輸送方程式、光子散乱モデルに基づくものである。
∂Φ(r,t)/∂t=D∇2Φ(r,t)-νμaΦ(r,t)+νS(r,t)
【0046】
ここで、Φ(r,t):光子束(photons/[cm2・s])、ν:散乱溶液中の光速、μa:吸収係数、μ´s=(1-g)μs:簡約化散乱係数、r:「平均散乱角余弦」、D=ν/3μ´s:光子散乱度、S(r,t):同相光源。
このモデルは、入力された光源が高周波信号(高周波変調された光信号)であると仮定し、それが持つ周波数と位相の情報を使用する。
【0047】
収集したデータを利用し、光信号自体の強度、検出した信号、空間分布情報に基づいて、この輸送方程式を逆に求解し、特定の光波長に対する被測定組織の光吸収と散乱DOT分布を得る。組織中の血液分布が均一であれば、DOTの分布図は均一に分布する。組織に局所的な血液の集まりがあれば、当該部分の光信号の吸収に変化(吸収が増加)が発生し、DOTイメージングは当該領域の吸収数値が高く、画像に変化が表示される。