(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B23K 11/14 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
B23K11/14 315
(21)【出願番号】P 2017240592
(22)【出願日】2017-12-15
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 猛志
(72)【発明者】
【氏名】山下 紗季
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-212033(JP,A)
【文献】特開平11-170064(JP,A)
【文献】実開平02-144278(JP,U)
【文献】特開昭60-071170(JP,A)
【文献】米国特許第06070758(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/00 - 11/36
B23P 19/00 - 21/00
B65G 47/64、47/68 - 47/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークと
プロジェクションボルトとをプロジェクション溶接によって接合する溶接装置に対して、上記
プロジェクションボルトを供給するための部品供給装置であって、
上記
プロジェクションボルトを上記ワークの溶接位置へ案内するガイド装置と、
上記ガイド装置に上記
プロジェクションボルトを選択して供給するための選択装置と、
上記ガイド装置及び上記選択装置の作動制御をする制御装置とを備え、
上記ガイド装置は、上記プロジェクションボルトを受け取り保持するボルト保持部を有するチャックを有し、
上記選択装置は、上記
プロジェクションボルトが搬送される複数の搬送路であって、該搬送路毎に予め定められた、特定の
軸長のプロジェクションボルトを搬送しかつ各搬送路同士では異なる
軸長のプロジェクションボルトを搬送するように構成された複数の搬送路と、該複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通可能に構成されかつ該選択された搬送路により搬送される上記
プロジェクションボルトを上記ガイド装置に供給するための供給路と、を有し、
上記制御装置は、
軸長がそれぞれ異なる複数の
プロジェクションボルトのうちから選択された所望の
プロジェクションボルトを上記ガイド装置に供給すべく、上記選択された所望の
プロジェクションボルトを搬送する搬送路と上記供給路とを連通さ
せ、
上記ボルト保持部は、上記プロジェクションボルトの軸長に関わらず、該プロジェクションボルトの先端部が上記ボルト保持部の下端部に位置した状態で、該プロジェクションボルトの軸部を保持することを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
請求項1の部品供給装置において、
上記選択装置は、上記複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通する連通路を有する可動部と、上記選択された搬送路と上記連通路とが連通するように該可動部を変位させるための変位装置と、を更に有し、
上記供給路は、上記連通路を介して上記選択された搬送路と連通するように構成され、
上記制御装置は、上記選択された搬送路と上記連通路が連通するように上記変位装置を作動させることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の部品供給装置において、
複数の開孔部が一列に並んで形成された有孔ブロックを更に備え、
上記複数の搬送路は、上記可動部の上記連通路と連通する側の端部が、上記複数の開孔部が並ぶ列方向に並ぶように、上記有孔ブロックの各開孔部にそれぞれ連結されており、
上記連通路は、上記有孔ブロックの各開孔部を介して各搬送路と連通し、
上記変位装置は、上記可動部を上記列方向に変位させて、上記選択された搬送路が連結された上記開孔部と上記連通路とを連通させることで、上記選択された搬送路と上記連通路とを連通させるように構成されていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項4】
ワークと溶接部品とをプロジェクション溶接によって接合する溶接装置に対して、上記溶接部品を供給するための部品供給装置であって、
上記溶接部品を上記ワークの溶接位置へ案内するガイド装置と、
円柱形をなしかつ複数の開孔部が中心軸周りに形成された有孔ブロックと、
上記ガイド装置に上記溶接部品を選択して供給するための選択装置と、
上記ガイド装置及び上記選択装置の作動制御をする制御装置とを備え、
上記選択装置は、上記溶接部品が搬送される複数の搬送路であって、該搬送路毎に予め定められた、特定の形状の溶接部品を搬送しかつ各搬送路同士では異なる形状の溶接部品を搬送するように構成された複数の搬送路と、該複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通可能に構成されかつ該選択された搬送路により搬送される溶接部品を上記ガイド装置に供給するための供給路と、上記複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通する連通路を有する可動部と、上記選択された搬送路と上記連通路とが連通するように該可動部を変位させるための変位装置と、を有し、
上記供給路は、上記連通路を介して上記選択された搬送路と連通するように構成され、
上記複数の搬送路は、上記可動部の上記連通路と連通する側の端部が、上記有孔ブロックの各開孔部にそれぞれ連結されており、
上記可動部は、上記
有孔ブロックと同軸に配置された円柱形をなし、
上記変位装置は、上記可動部を上記中心軸回りに回転させて、上記選択された搬送路が連結された上記開孔部と上記連通路とを連通させることで、上記選択された搬送路と上記連通路とを連通させるように構成されており、
上記制御装置は、形状がそれぞれ異なる複数の溶接部品のうちから選択された所望の溶接部品を上記ガイド装置に供給すべく、上記選択された搬送路と上記連通路が連通するように上記変位装置を作動させることを特徴とする部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置に対して、溶接部品を供給するための部品供給装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、自動車の車体構成部材にプロジェクションボルト等の溶接部品を接合するためのプロジェクション溶接では、ワークの溶接位置に溶接部品を供給するための部品供給装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、溶接ボルト用パーツフィーダから供給された溶接ボルト(溶接部品)を、ワークの溶接位置に配送するためのチャック(ガイド装置)と、溶接ボルト用パーツフィーダからチャックに溶接部品を送る供給ホースとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、通常、ワークに接合されるプロジェクションボルト等の溶接部品は、目的毎に異なる形状のものが用いられる。例えば、プロジェクションボルトについては、軸長や軸直径が異なるものが用いられ、プロジェクションナットについては、内径や高さの異なるものが用いられる。このため、部品供給装置が1種類の部品しか供給できない場合、形状の異なる溶接部品毎に部品供給装置を設置しなければならず、コストが嵩むとともに設置スペースが必要となってしまう。また、1種類の溶接部品をワークの対応する溶接位置に全て接合し終えた後に、別の溶接部品をワークの対応する溶接位置に溶接するという手順を踏まなければならず、作業効率の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、形状の異なる複数の溶接部品から所望の溶接部品を選択的に供給可能にして、低コストでスペースを節約できるとともに、作業効率を向上させることが可能な部品供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明では、ワークとプロジェクションボルトとをプロジェクション溶接によって接合する溶接装置を対象として、上記プロジェクションボルトを上記ワークの溶接位置へ案内するガイド装置と、上記ガイド装置に上記プロジェクションボルトを選択して供給するための選択装置と、上記ガイド装置及び上記選択装置の作動制御をする制御装置とを備え、上記ガイド装置は、上記プロジェクションボルトを受け取り保持するボルト保持部を有するチャックを有し、上記選択装置は、上記プロジェクションボルトが搬送される複数の搬送路であって、該搬送路毎に予め定められた、特定の軸長のプロジェクションボルトを搬送しかつ各搬送路同士では異なる軸長のプロジェクションボルトを搬送するように構成された複数の搬送路と、該複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通可能に構成されかつ該選択された搬送路により搬送される上記プロジェクションボルトを上記ガイド装置に供給するための供給路と、を有し、上記制御装置は、軸長がそれぞれ異なる複数のプロジェクションボルトのうちから選択された所望のプロジェクションボルトを上記ガイド装置に供給すべく、上記選択された所望のプロジェクションボルトを搬送する搬送路と上記供給路とを連通させ、上記ボルト保持部は、上記プロジェクションボルトの軸長に関わらず、該プロジェクションボルトの先端部が上記ボルト保持部の下端部に位置した状態で、該プロジェクションボルトの軸部を保持することを特徴とする。
【0008】
第2の発明では、第1の発明において、上記選択装置は、上記複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通する連通路を有する可動部と、上記選択された搬送路と上記連通路とが連通するように該可動部を変位させるための変位装置と、を更に有し、上記供給路は、上記連通路を介して上記選択された搬送路と連通するように構成され、上記制御装置は、上記選択された搬送路と上記連通路が連通するように上記変位装置を作動させることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、複数の開孔部が一列に並んで形成された有孔ブロックを更に備え、上記複数の搬送路は、上記可動部の上記連通路と連通する側の端部が、上記複数の開孔部が並ぶ列方向に並ぶように、上記有孔ブロックの各開孔部にそれぞれ連結されており、上記連通路は、上記有孔ブロックの各開孔部を介して各搬送路と連通し、上記変位装置は、上記可動部を上記列方向に変位させて、上記選択された搬送路が連結された上記開孔部と上記連通路とを連通させることで、上記選択された搬送路と上記連通路とを連通させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、ワークと溶接部品とをプロジェクション溶接によって接合する溶接装置に対して、上記溶接部品を供給するための部品供給装置を対象として、上記溶接部品を上記ワークの溶接位置へ案内するガイド装置と、円柱形をなしかつ複数の開孔部が中心軸周りに形成された有孔ブロックと、上記ガイド装置に上記溶接部品を選択して供給するための選択装置と、上記ガイド装置及び上記選択装置の作動制御をする制御装置とを備え、上記選択装置は、上記溶接部品が搬送される複数の搬送路であって、該搬送路毎に予め定められた、特定の形状の溶接部品を搬送しかつ各搬送路同士では異なる形状の溶接部品を搬送するように構成された複数の搬送路と、該複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通可能に構成されかつ該選択された搬送路により搬送される溶接部品を上記ガイド装置に供給するための供給路と、上記複数の搬送路のうち選択された搬送路と連通する連通路を有する可動部と、上記選択された搬送路と上記連通路とが連通するように該可動部を変位さ
せるための変位装置と、を有し、上記供給路は、上記連通路を介して上記選択された搬送路と連通するように構成され、上記複数の搬送路は、上記可動部の上記連通路と連通する側の端部が、上記有孔ブロックの各開孔部にそれぞれ連結されており、上記可動部は、上記有孔ブロックと同軸に配置された円柱形をなし、上記変位装置は、上記可動部を上記中心軸回りに回転させて、上記選択された搬送路が連結された上記開孔部と上記連通路とを連通させることで、上記選択された搬送路と上記連通路とを連通させるように構成されており、上記制御装置は、形状がそれぞれ異なる複数の溶接部品のうちから選択された所望の溶接部品を上記ガイド装置に供給すべく、上記選択された搬送路と上記連通路が連通するように上記変位装置を作動させる。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によると、選択装置は、溶接部品を搬送する複数の搬送路と、各搬送路からガイド装置に溶接部品を供給する供給路とを有し、複数の搬送路は、搬送路毎に予め定められた、特定の形状の溶接部品を搬送しかつ各搬送路同士では異なる形状の溶接部品を搬送するように構成されている。また、制御装置は、形状がそれぞれ異なる複数の溶接部品のうちから選択された所望の溶接部品をガイド装置に供給すべく、選択された所望の溶接部品を搬送する搬送路と上記供給路とを連通させるように構成されている。このため、所望の溶接部品を搬送する搬送路を選択して、当該搬送路と供給路とを連通させれば、所望の溶接部品をガイド装置に供給することができる。そして、ガイド装置により、所望の溶接部品がワークの溶接位置へ配送される。したがって、形状の異なる複数の溶接部品から所望の溶接部品を選択的に供給可能にすることができる。これにより、複数の部品供給装置を設ける必要がなくなるため、コストを削減でき、スペースも節約できる。
【0012】
また、第1の発明によると、作業効率を向上させるという効果をより適切に発揮することができる。すなわち、プロジェクションボルトは、主に軸長及び軸直径の違いによって分けられる。このうち特に軸長は、1つのワークでも溶接箇所に応じて細かく分けられる。したがって、搬送路毎に軸長の異なるプロジェクションボルトを搬送され、可動部と変位装置とによって、所望の軸長のプロジェクションボルトを適宜供給できるようにしておけば、作業効率を向上させるという効果が適切に発揮される。
【0013】
第2の発明によると、所望の溶接部品を搬送する搬送路を選択して、当該搬送路と連通路とが連通するように可動部を変位させれば、所望の溶接部品をガイド装置に供給することができる。また、可動部を変位させるための変位装置の動作は制御装置によって制御されるため、変位装置による可動部の変位は自動で行うことが可能である。このため、作業効率を向上させることもできる。したがって、より効率的に、形状の異なる複数の溶接部品から所望の溶接部品を供給可能にすることができる。
【0014】
第3の発明によると、複数の搬送路における、可動部の連通路と連通する側の端部が、有孔ブロックの複数の開孔部の列方向に並ぶため、変位装置は可動部を該列方向に変位させるだけでよくなる。このため、変位装置の構成及び制御装置による変位装置の制御を簡単にすることができる。これにより、作業効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態1に係る部品供給装置を備えるプロジェクション溶接装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】プロジェクション溶接装置の上部電極及び下部電極の側面図である。
【
図3】
図2のIII-III線相当の断面図である。
【
図5】ボルト供給装置のチャックの構成を示す斜視図である。
【
図6】チャックのボルト保持部の構成を示す断面図である。
【
図7】軸長の異なるプロジェクションボルトをボルト保持部で受けた状態を示す断面図である。
【
図8】プロジェクション溶接装置の制御系を示す概略図である。
【
図9】プロジェクションボルトをワークに接合させる場合であって、ガイドピンがワークの孔部に挿通された状態を示す図である。
【
図10】
図9の状態からガイドピンがプロジェクションボルトを受けた状態を示す図である。
【
図11】
図10の状態から上部電極がプロジェクションボルトを下側に押し込む状態を示す図である。
【
図12】
図11の状態からプロジェクションボルトがワークに当接した状態を示す図である。
【
図13】
図12の状態からチャックが退避して、通電を開始した状態を示す図である。
【
図14】実施形態2に係る部品供給装置の選択装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る部品供給装置としてのボルト供給装置40を備えるプロジェクション溶接装置1を概略的に示す。このプロジェクション溶接装置1は、ワークW(
図9等参照)に対してプロジェクションナット及びプロジェクションボルト90(
図6等参照)を、プロジェクション溶接により接合するためのプロジェクション溶接装置である。
【0018】
図1に示すように、プロジェクション溶接装置1は、変位可能なアーム11を有するロボット10と、溶接装置本体20と、プロジェクションナットを供給するためのナット供給装置30と、プロジェクションボルト90を供給するためのボルト供給装置40と、ロボット10、溶接装置本体20、ナット供給装置30、及びボルト供給装置40を作動制御する制御装置100(
図8参照)と、を有している。
【0019】
ロボット10は、互いに回動可能に連結された3つのアーム11と、基台12とを有する多関節の産業用ロボットである。3つのアーム11は、基端が基台12に接続された基台側アーム11aと、先端に溶接装置本体20が保持された本体側アーム11bと、基台側アーム11aの先端部と本体側アーム11bの基端側とを連結する中間アーム11cとで構成されている。基台12は、工場の床面等に設置されており、これによりプロジェクション溶接装置1が工場の床面等に対して固定される。
【0020】
基台側アーム11aは、鉛直方向に延びる軸周りに回動可能に上記基台12と接続されている。基台側アーム11aが上記軸周りに回動したときには、溶接装置本体20ごと各アーム11が水平方向に回動するようになっている。
【0021】
基台側アーム11aの先端部と中間アーム11cの長手方向の一端部、及び、本体側アーム11bの基端部と中間アーム11cの上記長手方向の他端部とは、水平方向に延びる軸13周りに回動可能にそれぞれ連結されている。溶接装置本体20は、本体側アーム11b及び中間アーム11cを上記軸13周りに回動させることにより、鉛直方向の軸及び軸13の両方に直交する方向に進退させることができる。
【0022】
尚、以下の説明では、軸13の延びる方向を左右方向、鉛直方向の軸及び軸13の両方に直交する方向を前後方向という。また、前後方向については、溶接装置本体20が基台12から離れる側を前側、溶接装置本体20が基台12に近づく側を後側という。
【0023】
溶接装置本体20は、上部電極50と、該上部電極50を昇降させる上側シリンダ51と、下部電極60とを有している。
【0024】
〈上部電極〉
上部電極50は、
図1に示すように、上側シリンダ51ごと支持機構を介して、本体側アーム11bの先端に保持されている。支持機構は、上側シリンダ51を支持する上側支持部22と、該上側支持部22から下側に延びた後で前側に向かって延びる、側面視略L字状の下側支持部23とを有している。下側支持部23の先端部には、上記下部電極60(厳密には後述する下部電極ホルダ61)を挟持して保持する下側保持部23aが設けられている。
【0025】
上部電極50は、
図1及び
図2に示すように、上部電極ホルダ52の下側端部に保持されている。上部電極ホルダ52の上端側の部分は、上側シリンダ51内に臨んでいる。上部電極50は、この上部電極ホルダ52が上側シリンダ51によって昇降されることによって、昇降されるようになっている。
【0026】
上側シリンダ51は、流体圧シリンダであって、油圧や空気圧を利用して上部電極50を昇降させる。図示は省略するが、上側シリンダ51内には、上部電極50を上側に向かって付勢するための付勢部材が配設されている。上側シリンダ51内に流体が供給されていない状態では、上部電極50は上記付勢部材の付勢力により上側に向かって移動(つまり上昇)された状態となる一方、上側シリンダ51内に流体が供給されて、該流体による流体圧が上記付勢部材の付勢力に打ち勝つ力を発生させる流体圧になったときに、上部電極50が下側に向かって移動(つまり下降)されるようになっている。
【0027】
〈下部電極〉
下部電極60は、
図3に示すように、下部電極ホルダ61を有している。下部電極ホルダ61は円筒状をなしており、筒軸方向が上下方向になるように延びている。下部電極ホルダ61の筒内には後述するガイドピン80が昇降可能に挿通されている。
【0028】
下部電極60は、下部電極ホルダ61の上側端部に載置された電極ソケット62と、該電極ソケット62に上側から覆い被さるように嵌着された電極チップ63とを有している。電極ソケット62及び電極チップ63は共に、上記ガイドピン80が挿通される貫通孔を有している。該貫通孔の中心は下部電極ホルダ61の筒軸上に位置している。貫通孔の径は、下部電極ホルダ61の内径と同等の径に設定されている。
【0029】
下部電極ホルダ61は、
図3に示すように、その下側端部がホルダベース64に保持されている。このホルダベース64の下側の部分には、上記ガイドピン80を昇降させるための下側シリンダ65が設けられている。この下側シリンダ65はエアシリンダで構成されている。下側シリンダ65には、該下側シリンダ65内に空気を供給するためのエア供給通路65aが設けられている。
【0030】
また、
図2及び
図3に示すように、下部電極ホルダ61の下側寄りでかつホルダベース64よりも上側の部分には、プロジェクション溶接時に下部電極60を冷却する冷却水を供給するための冷却水供給部66と、下部電極60を冷却した後の冷却水を排出するための冷却水排出部67とが設けられている。冷却水供給部66及び冷却水排出部67は、ぞれぞれ、下部電極ホルダ61の径方向の外側に向かって真っ直ぐ延びた後、該径方向の外側に向かって下側に傾斜して延びている。図示は省略しているが、冷却水供給部66及び冷却水排出部67には、ウォータポンプ等で構成された冷却水供給装置と接続されるホースが接続される。該冷却水供給装置から冷却水供給部66を介して供給された冷却水は、下部電極ホルダ61内を流れて、プロジェクション溶接中の下部電極60を冷却した後、冷却水排出部67を通って冷却水供給装置に流入するようになっている。
【0031】
下部電極ホルダ61の筒内には、
図3に示すように、ワークWとプロジェクションナット、及び、ワークWとプロジェクションボルト90との位置決めをするための昇降可能なガイドピン80と、該ガイドピン80をつなぎネジ68を介して保持するための爪部材69と、上側端部につなぎネジ68が締結されかつ下側端部が下側シリンダ65のシリンダロッド65bと接続された樹脂ロッド70とが挿通されている。
【0032】
〈ガイドピン〉
ガイドピン80は、
図3に示すように、下部電極ホルダ61の筒軸方向に延びるロッド部81と、該ロッド部81における該ロッド部81の軸方向の上側の端部に設けられかつプロジェクションナットを受けるナット受け部82と、該ナット受け部82の上側に設けられかつプロジェクションボルト90を受けるボルト受け部83とを有している。
【0033】
ガイドピン80のロッド部81は、
図3に示すように、下部電極ホルダ61の内径よりも僅かに小さい径で上下に延びる大径部81aと、大径部81aから径方向の内側に窪んだ窪み部81bが形成された中間部81cと、中間部81cにおける最小径よりも大径でかつ大径部81aよりも小径でかつ上下方向に延びる小径部81dと、小径部81dの下端から下側に向かって縮径するように延びた縮径部81eとを有している。
図3に示すように、中間部81cは大径部81aの下側に形成され、小径部81dは中間部81cの下側に形成されている。縮径部81eの下端部は、つなぎネジ68に載置されている。ロッド部81の大径部81a、中間部81c、小径部81d、及び縮径部81eは同軸に形成されている。
【0034】
ガイドピン80のナット受け部82は、内径の異なる複数種類のプロジェクションナットを受け取り可能なように、ロッド部81の軸方向の上側から下側に向かって段形状をなしている。具体的には、ナット受け部82は、ロッド部81の大径部81aよりも径が小さい円柱体で構成された第1ナット受け部82aと、該第1ナット受け部82aよりも径が小さい円柱体で構成された第2ナット受け部82bとを有し、第2ナット受け部82bが第1ナット受け部82aの上側に位置するように配設されて構成されている。さらに詳しくは、ロッド部81の大径部81aの上端から、上記第1ナット受け部82aがロッド部81の軸方向の上側に向かって延びており、該第1ナット受け部82aの上端から、上記第2ナット受け部82bが上記軸方向の上側に向かって延びている。
【0035】
第1ナット受け部82a及び第2ナット受け部82bは、どちらもロッド部81と同軸に形成されている。つまり、ロッド部81、第1ナット受け部82a、及び第2ナット受け部82bは同軸になっている。
【0036】
第1ナット受け部82aの径及び第2ナット受け部82bの径は、ワークWに接合されるプロジェクションナットの内径に応じて設定される。例えば、ワークWに接合させるプロジェクションナットとして、内径が7mm程度のナットと5mm程度のナットとがある場合には、第1ナット受け部82aの径は7mmよりも小さい径(例えば6.8mm)に設定される一方、第2ナット受け部82bの径は5mmよりも小さい径(例えば4.8mm)に設定される。
【0037】
第1ナット受け部82aの高さ及び第2ナット受け部82bの高さは、ワークWに接合されるプロジェクションナットの高さに応じて設定されている。
【0038】
上記ボルト受け部83は、
図3に示すように、ナット受け部82を構成する複数の円柱体のうち最も上側に位置する円柱体から、下部電極ホルダ61の筒軸方向の上側に突出した突起により構成されている。より具体的には、ボルト受け部83は、第2ナット受け部82bの径方向の中心から上記筒軸方向の上側に向かって突出した円錐状又は円錐台状の突起で構成されている。
【0039】
ボルト受け部83を構成する円錐又は円錐台の最大径(第2ナット受け部82bとの結合部分の径)は、
図3に示すように、第2ナット受け部82bの径よりも小さい。
【0040】
ボルト受け部83は、ナット受け部82と同軸に構成されている。このため、ロッド部81、ナット受け部82(第1ナット受け部82a及び第2ナット受け部82b)、及びボルト受け部83は同軸になっている。
【0041】
ガイドピン80は、
図3に示すように、爪部材69によって軸方向及び径方向に保持された状態で、つなぎネジ68の上に設置されている。爪部材69は、本実施形態1では四つ爪で構成されている。爪部材69は、つなぎネジ68と係合したネジ側係合部69aと、ガイドピン80の窪み部81bとそれぞれ係合する4つの爪部69bと、ネジ側係合部69aと各爪部69bとを連結する連結部69cとを有している。ネジ側係合部69aは、つなぎネジ68の軸方向の一部を周方向に覆うような円筒状をなしている。4つの連結部69cは、ネジ側係合部69aの周方向に等間隔に並んでおり、これにより、4つの爪部69bも該周方向に等間隔に並んでいる。
【0042】
爪部材69の連結部69cはそれぞれ弾性部材によって構成されており、爪部69bがガイドピン80の窪み部81bと係合した状態では、各連結部69cは、その弾性力によって、各爪部69bをガイドピン80の径方向の内側に向かって、窪み部81bに押し付けるようになっている。これにより、ガイドピン80が軸方向及び径方向に保持される。つまり、ガイドピン80は、爪部材69の連結部69cの弾性力によって軸方向及び径方向に保持される。
【0043】
上述のように、各爪部69bをガイドピン80の径方向の内側に向かって、窪み部81bに押し付けることで、爪部材69がガイドピン80を保持するようになっているため、爪部材69のガイドピン80に対する保持力は、軸方向の保持力が径方向の保持力よりも弱くなる。このため、ガイドピン80を下部電極ホルダ61に対して上側に引っ張ったときには、ガイドピン80は下部電極ホルダ61から抜き出されるようになっている。これにより、ガイドピン80を交換する必要が生じた場合には、ガイドピン80を下部電極ホルダ61から取り外すことができる。また、ガイドピン80のロッド部81の下側端部には、縮径部81eが形成されているため、ガイドピン80を容易に下部電極ホルダ61に取り付けることもできる。よって、ガイドピン80の交換を容易に行うことができる。
【0044】
図3に示すように、爪部材69は、下部電極ホルダ61の径方向において、該下部電極ホルダ61の筒内に収まるようになっている。下側シリンダ65によってガイドピン80が昇降したときには、爪部材69も、下部電極ホルダ61の筒内や電極ソケット62の貫通孔を通って昇降する。
【0045】
上記樹脂ロッド70は、上述したように、上側端部につなぎネジ68が締結されている。これにより、樹脂ロッド70は、つなぎネジ68及び爪部材69を介して、ガイドピン80を保持した状態となっている。
【0046】
また、上述したように、樹脂ロッド70の下側端部はシリンダロッド65bと接続されている。下側シリンダ65に空気が供給されてシリンダロッド65bが上昇したときには、樹脂ロッド70も該シリンダロッド65bと共に上昇する。そして、樹脂ロッド70が上昇することで、樹脂ロッド70に保持されたガイドピン80が上昇する。一方で、下側シリンダ65から空気が排出されてシリンダロッド65bが下降したときには、樹脂ロッド70も下降して、樹脂ロッド70と共にガイドピン80が下降する。
【0047】
樹脂ロッド70の下側端は、
図3に示すように、ガイドピン80に下向きの力が加えられていない無負荷状態では、ホルダベース64の底部から浮いた状態になっている。詳しくは、本実施形態1では、下側シリンダ65内には、常に一定量の空気が供給されるようになっており、この一定量の空気に基づく力によって、シリンダロッド65b及び樹脂ロッド70が上側に上昇して、該樹脂ロッド70がホルダベース64の底部から浮いた状態となる。これにより、ガイドピン80に下向きの力が加えられていない無負荷状態では、
図3に示すように、ガイドピン80のナット受け部82及びボルト受け部83の全体及びロッド部81の一部は、電極チップ63を貫通して、該電極チップ63よりも上側に位置した状態となる。
【0048】
下側シリンダ65には、樹脂ロッド70の位置を検出するための位置センサ101(
図8参照)が設けられている。
【0049】
〈ナット供給装置〉
ナット供給装置30は、
図1に示すように、ナットシューター31とナットガイド装置32とを備えている。ナットシューター31は、ナット供給部33とナット待機部34とを有している。ナット供給部33は、図示を省略するナット供給源とチューブなどの接続具によって接続されている。ナットガイド装置32は、ガイド筒35と、該ガイド筒35内に挿入されたナット供給ロッド(図示省略)と、該ナット供給ロッドを進退可能に駆動するエアシリンダ(図示省略)とを有している。
【0050】
上記ナット供給源からナット供給部33を介して送られたプロジェクションナットは、ナット待機部34内で待機する。ナット待機部34内にプロジェクションナットが待機した状態で、上記エアシリンダが駆動すると、上記ナット供給ロッドがナット待機部34内に待機しているプロジェクションナットを保持して、上記ガイドピン80に向かって進んでいく。その後、上記プロジェクションナットは、ガイドピン80のナット受け部82で受け止められる。このようにして、プロジェクションナットがナット供給装置30からガイドピン80の位置に供給される。
【0051】
本実施形態1では、
図1に示すように、ナット供給装置30が2台設けられている。この2台のナット供給装置30は、それぞれ異なる内径のプロジェションナットを供給する。ナット供給装置30自体の構成は、2台とも同じ構成である。
【0052】
〈ボルト供給装置〉
ボルト供給装置40は、
図1に示すように、ボルトシューター41と、ボルトガイド装置42とを備えている。ボルト供給装置40はまた、プロジェクションボルト90が貯留されたボルト供給源47を備えており、ボルトシューター41は該ボルト供給源47と接続されている。
【0053】
ボルト供給源47は、ボルトガイド装置42に所望の軸長のプロジェクションボルト90を供給するための選択装置71を有している。
【0054】
選択装置71は、
図4に示すように、複数の搬送路72と、複数の搬送路72のうち選択された搬送路72と連通する連通路74を有する可動部73と、可動部73を変位させるためのシリンダ75(変位装置)と、ボルトガイド装置42の後述するチャック43(
図5参照)に、選択された搬送路72により搬送されるプロジェクションボルト90を供給するための供給路48とを有している。
【0055】
搬送路72は、本実施形態1では4つあり、4つの搬送路72は、それぞれプロジェクションボルト90を搬送する搬送路である。4つの搬送路72では、搬送路72毎に予め定められた、特定の軸長のプロジェクションボルト90が搬送されかつ各搬送路72同士では異なる軸長のプロジェクションボルト90が搬送されている。つまり、1つの搬送路72では、同じ軸長のプロジェクションボルト90が搬送されている一方、搬送路72同士では、異なる軸長のプロジェクションボルト90が搬送されている。より詳しくは、4つの搬送路72を
図4の左側から、第1搬送路72a、第2搬送路72b、第3搬送路72c、第4搬送路72dとして、第1搬送路72aでは最も軸長の短いプロジェクションボルト90が搬送され、第2搬送路72bでは、第1搬送路72aで搬送されるプロジェクションボルト90よりも軸長の長いプロジェクションボルト90が搬送され、第3搬送路72cでは、第2搬送路72bで搬送されるプロジェクションボルト90よりも軸長の長いプロジェクションボルト90が搬送され、第4搬送路72dでは、最も軸長が長いプロジェクションボルト90が搬送されている。各搬送路72の一端は後述する有孔ブロック76の各開孔部76aにそれぞれ連結されている。一方で、各搬送路72の他端は、各軸長のプロジェクションボルト90が軸長毎に分けて貯留されたボルト貯留部(図示省略)や、軸長の異なる複数種類のプロジェクションボルト90を、軸長毎に選別して、それぞれの搬送路72に送る選別装置(図示省略)にそれぞれ接続されている。各搬送路72は、チューブなどによって構成されている。以下の説明では、各搬送路を区別するときには、第1搬送路72a~第4搬送路72dといい、各搬送路を区別しないときには、単に搬送路72という。尚、各搬送路72の他端が上記ボルト貯留部にそれぞれ接続されている場合には、該ボルト貯留部は、搬送路72の数、すなわち、プロジェクションボルト90の種類数に対応して、4つ設けられる。
【0056】
各搬送路72における、可動部73の連通路74と連通する側の端部(以下、連通路側端部という)は、有孔ブロック76の開孔部76aにそれぞれ連結されている。
【0057】
有孔ブロック76は、長手方向が水平方向になるような直方体状のブロック体に、その短手方向に貫通する複数(本実施形態1では4つ)の開孔部76aが形成されている。有孔ブロック76の各開孔部76aは一列に並んで形成されている。詳しくは、有孔ブロック76の長手方向、すなわち水平方向に並んで形成されている。これにより、
図4に示すように、4つの搬送路72は、上記連通路側端部が水平方向(有孔ブロック76の長手方向)に並ぶように、有孔ブロック76の各開孔部76aにそれぞれ連結される。
【0058】
可動部73は、箱状のブロック体で構成されており、シリンダ75のシリンダロッド75aの先端が結合されている。可動部73には、シリンダロッド75aの進退方向(有孔ブロック76の長手方向と一致)及び上下方向に直交する方向に貫通する貫通孔(
図4に点線で示す)が設けられており、該貫通孔によって連通路74が形成されている。可動部73の有孔ブロック76側の面は、該有孔ブロック76の搬送路72側とは反対側の面と接触している。シリンダ75が稼働したときには、可動部73は有孔ブロック76に対して摺動しながら変位する。尚、有孔ブロック76の搬送路72側とは反対側の部分には、可動部73が水平方向(有孔ブロック76の長手方向)に適切に変位できるように、ガイド部が形成されていてもよい。
【0059】
連通路74は、その横断面積が開孔部76aの横断面積に対して、同じか又は大きくなるように形成されている。
【0060】
シリンダ75は、流体圧シリンダであって、油圧や空気圧を利用してシリンダロッド75aと、オイルや空気等の流体が供給されて、シリンダロッド75aを進退させるための流体圧を発生させる流体圧発生部75bとを有している。
図4に示すように、シリンダロッド75aは、有孔ブロック76の長手方向(ここでは、水平方向)に対して平行に延びている。これにより、流体圧発生部75b内に流体が供給されて、シリンダロッド75aが移動するときには、シリンダロッド75aの先端に結合された可動部73は水平方向に変位する。つまり、シリンダ75は、可動部73を水平方向に変位させるように構成されている。
【0061】
シリンダ75の流体圧発生部75b内には、第1搬送路72a~第4搬送路72dのうち選択された搬送路が連結された開孔部76aと可動部73の連通路74とが連通するように、流体が供給される。具体的には、例えば、4つの搬送路72のうち第2搬送路72bが選択されて、第2搬送路72bと可動部73の連通路74とを連通させるときには、第2搬送路72bが連結された開孔部76aと連通路74とが連通する程度に、可動部73を有孔ブロック76の長手方向に変位させるような量の流体がシリンダ75に供給される。これにより、当該開孔部76aと連通路74とが連通したときには、第2搬送路72bと連通路74とが連通する。そして、第2搬送路72bと連通路74とが連通した後には、他の搬送路72a,72c,72dが選択されるまで、第2搬送路72bと連通路74との連通状態を維持できるように、シリンダ75の流体圧発生部75b内に流体が供給される。このことから、シリンダ75は、可動部73を開孔部76aの列方向(有孔ブロック76の長手方向)に変位させて、選択された搬送路72が連結された開孔部76aと連通路74とを連通させることで、選択された搬送路72と連通路74とを連通させるように構成されている。尚、シリンダ75に供給される流体の量は、制御装置100によって制御されている。
【0062】
供給路48は、
図4に示すように、可動部73の連通路74における有孔ブロック76とは反対側の端部に連結されている。これにより、供給路48は連通路74及び有孔ブロック76の開孔部76aを介して各搬送路72と連通可能になっている。
【0063】
供給路48の連通路74とは反対側の端部は、ボルトシューター41に連結されており、搬送路72で搬送されたプロジェクションボルト90は、有孔ブロック76の開孔部76a、可動部73の連通路74、及び供給路48を介してボルトシューター41に送られ、該ボルトシューター41からボルトガイド装置42のチャック43(
図5参照)に供給される。供給路48は、チューブ等によって構成されている。
【0064】
ボルトガイド装置42は、プロジェクションボルト90を受け取り保持するためのチャック43と、チャック43をガイドピン80の位置まで案内するロッド44aが挿入されたガイド筒44と、該ロッドを進退可能に駆動するエアシリンダ(図示省略)とを有している。
【0065】
上記チャック43は、一対のチャックレバー43aが、それぞれ水平方向に回動可能に構成されている。
図5に示すように、各チャックレバー43aは、スプリング49により互いに近づく方向に付勢されており、各チャックレバー43aに負荷がかけられていない無負荷状態では、水平方向に当接した状態になっている。一方で、チャックレバー43aに、該チャックレバー43a同士が離れる方向に、スプリング49の付勢力に打ち勝つような力が加えられたときには、チャックレバー43aは互いに離れる方向に移動する。
【0066】
上記チャック43の先端側(反ロッド44a側)の部分には、
図5及び
図6に示すように、カップ状のボルト保持部45が形成されている。ボルト保持部45は、一対のチャックレバー43aが協働して構成されかつ上下方向に貫通する断面円形の貫通孔46を有している。より具体的には、一対のチャックレバー43aには、貫通孔46の半割がそれぞれ形成されており、一対のチャックレバー43aが互いに接した状態では、1つの貫通孔46が形成されるようになっている。
【0067】
ボルト保持部45における貫通孔46を構成する部分は、
図6に示すように、下側に向かって縮径するように傾斜したテーパー部45aと、該テーパー部45aの下側端から上下方向に均一な径で延びるストレート部45bと、ストレート部45bの下端に設けられかつ該ストレート部45bから内側に突出した内側突出部45cとを有している。
【0068】
テーパー部45aの内径の最大値D1(上端の内径)は、
図6に示すように、プロジェクションボルト90の頭部91の径DHよりも大きい。一方で、テーパー部45aの内径の最小値D2(ストレート部45bとの境界部分の内径)は、プロジェクションボルト90の頭部91の径DHよりも小さくかつプロジェクションボルト90の軸部92の径DSよりも僅かに大きい。ストレート部45bの内径は、テーパー部45aの内径の最小値D2と同等である。
【0069】
図6に示すように、内側突出部45cにおける貫通孔46の径方向の内側の面は、下側に向かって上記径方向の内側に傾斜したテーパー面46aになっている。内側突出部45cの内径の最小値D3は、プロジェクションボルト90の軸部92の径DSよりも僅かに小さい。
【0070】
ストレート部45bは、
図6に示すように、プロジェクションボルト90の軸部92を保持する軸部保持部を構成している。内側突出部45cは、プロジェクションボルト90の先端部93を保持する先端保持部を構成している。
【0071】
ボルト保持部45がプロジェクションボルト90の先端部93を受けるように構成されていることにより、プロジェクションボルト90の軸長が異なっていたとしても、ボルト保持部45に保持された状態では、プロジェクションボルト90の先端部93は、必ず内側突出部45cの高さ位置に位置することになる。つまり、
図7(a)に示すように、軸長が
図6のプロジェクションボルト90よりも短い場合や、
図7(b)に示すように、軸長が
図6のプロジェクションボルト90よりも長い場合でも、プロジェクションボルト90の先端部93は、内側突出部45cの高さ位置に位置することになる。このことから、内側突出部45cは、プロジェクションボルト90の軸長に関わらず、該プロジェクションボルト90の先端部93を受け取り保持可能な先端保持部となっている。
【0072】
ボルト供給装置40では、ボルトシューター41から供給されたプロジェクションボルト90をチャック43のボルト保持部45で保持した後、上記エアシリンダが駆動されて、上記ロッドが上記ガイドピン80に向かって進んでいく。その後、上記プロジェクションボルト90は、チャック43に保持されたまま、ガイドピン80のボルト受け部83で受け止められる。
【0073】
プロジェクションボルト90には、その先端部93に頭部91側に向かって凹んだ係合凹部94が形成されており、
図10~
図12に示すように、ガイドピン80のボルト受け部83は、プロジェクションボルト90の係合凹部94と係合することで、該プロジェクションボルト90を受け止める。また、プロジェクションボルト90の頭部91の軸部92側には、
図10~
図12に示すように、ワークWに対して溶接される溶接部95が予め形成されている。
【0074】
〈制御系〉
制御装置100は、ロボット10に作動信号を出力して、溶接装置本体20をワークWの溶接位置に移動させる。
【0075】
制御装置100は、ナット供給装置30に作動信号を出力して、ナットガイド装置32のエアシリンダを駆動させて、プロジェクションナットをガイドピン80の位置に供給する。
【0076】
制御装置100は、ボルト供給装置40に作動信号を出力して、軸長がそれぞれ異なる複数のプロジェクションボルト90のうちから選択された所望の軸長のプロジェクションボルト90をボルトガイド装置42に供給すべく、選択された所望の軸長のプロジェクションボルト90を搬送する搬送路72と供給路48とを連通させる。具体的には、選択装置71の可動部73の連通路74が、選択された所望の搬送路72と連通するように、シリンダ75内に流体を供給させる。
【0077】
制御装置100は、ボルト供給装置40に作動信号を出力して、上記可動部73の連通路74が上記所望の搬送路72と連通した後、ボルト供給源47から所望の軸長のプロジェクションボルト90をボルトシューター41に供給する。
【0078】
制御装置100は、ボルト供給装置40に作動信号を出力して、ボルトシューター41からチャック43のボルト保持部45にプロジェクションボルト90を供給した後、ボルトガイド装置42の上記エアシリンダを駆動させて、プロジェクションボルト90をガイドピン80の位置に供給する。
【0079】
制御装置100は、上側シリンダ51に作動信号を出力して、上部電極50を昇降させる。また、制御装置100は、上部電極50及び下部電極60に作動信号を出力して、上部電極50と下部電極60との間で通電させる。
【0080】
制御装置100は、位置センサ101の検出結果から樹脂ロッド70の昇降量を算出する。制御装置100は、位置センサ101から算出した樹脂ロッド70の昇降量に基づいて、現在供給されているプロジェクションナット又はプロジェクションボルト90が、所望の規格のものであるか否かを判定する。
【0081】
〈プロジェクションボルトの溶接〉
次に、プロジェクション溶接装置1によって、ワークWにプロジェクションボルト90を接合する際の動作について説明する。尚、以下の説明では、プロジェクションボルト90の軸部92の径が、ガイドピン80の第1ナット受け部82aよりも小さくかつ第2ナット受け部82bの径よりも大きい場合、つまり、ワークWの孔部Hの径が、ガイドピン80の第1ナット受け部82aよりも小さくかつ第2ナット受け部82bの径よりも大きい場合について説明する。ワークWは、例えば鋼板で構成されており、図示を省略するワーク搬送装置によって搬送される。
【0082】
先ず、ワークWが搬送されて、ワークWをガイドピン80の上側に配置して、ワークWの孔部Hとガイドピン80との大まかな位置合わせを行う。この位置合わせは、ロボット10によって行うことができる。
【0083】
次に、ワークWを下部電極60に向かって移動させて、孔部Hにガイドピン80を挿通させる。このとき、ワークWに形成されている孔部Hの径が、ガイドピン80の第1ナット受け部82aよりも小さくかつ第2ナット受け部82bの径よりも大きいため、
図9に示すように、ガイドピン80の第1ナット受け部82aは、上記孔部Hを貫通せずに、ガイドピン80の第2ナット受け部82b及びボルト受け部83のみが上記孔部Hを貫通した状態となる。ワークWにおける孔部Hの周囲の部分は、第1ナット受け部82aの上側端に載置する。ワークWにおける孔部Hの周囲の部分が、第1ナット受け部82aの上側端に載置した状態となるため、
図9に示すように、ガイドピン80のボルト受け部83がワークWの孔部Hを貫通した段階では、下部電極60の電極チップ63とワークWの下側の面との間には隙間が形成される。
【0084】
次いで、ボルト供給装置40が作動される。ボルト供給源47からボルトシューター41を介して、チャック43のボルト保持部45にプロジェクションボルト90が供給される。供給されたプロジェクションボルト90は、
図6、
図7、
図9及び
図10に示すように、先端部93が内側突出部45cによって受け止め保持され、軸部92の先端寄りの部分がストレート部45bで保持される。
【0085】
続いて、プロジェクションボルト90をボルト保持部45で保持した後、上記エアシリンダが駆動されて、上記ロッドが上記ガイドピン80に向かって進んでいき、ガイドピン80の位置にプロジェクションボルト90が供給される。プロジェクションボルト90は、
図10に示すように、チャック43のボルト保持部45に保持された状態で供給される。ガイドピン80のボルト受け部83は、プロジェクションボルト90の係合凹部94と係合して、当該プロジェクションボルト90を受け止める。これにより、プロジェクションボルト90が、ワークWの孔部Hの近傍(詳しくは直上)に配置される。
【0086】
ガイドピン80の位置にプロジェクションボルト90が供給された後、上側シリンダ51が駆動されて、上部電極50が下側に移動される(下降される)。上部電極50は、
図11に示すように、供給されたプロジェクションボルト90の頭部91と当接した後も更に下側に移動される。これにより、ワークW及びプロジェクションボルト90ごと、ガイドピン80が下部電極ホルダ61の筒軸方向の下側に押し下げられる。
【0087】
詳しくは、上側シリンダ51により、上部電極50が下部電極60に向かって移動されると、プロジェクションボルト90の先端部93が内側突出部45cのテーパー面46aを押圧する。テーパー面46aを押圧する押圧力は、該テーパー面46aによって水平方向の力に変換され、この変換された水平方向の力によって、チャック43の一対のチャックレバー43aが僅かに離れる。これにより、プロジェクションボルト90の先端部93及び軸部92が、下側に向かって移動される。ワークWは、ガイドピン80が下部電極ホルダ61の筒軸方向の下側に押し下げられることによって、ガイドピン80と共に下側に移動する。
【0088】
その後、プロジェクションボルト90の頭部91が、ボルト保持部45のテーパー部45aと当接すると、該頭部91がテーパー部45aを押圧する。テーパー部45aを押圧する押圧力は、該テーパー部45aによって水平方向の力に変換され、この変換された水平方向の力によって、チャック43の一対のチャックレバー43aが互いに離れるように変位する。これにより、
図12に示すように、上部電極50が更に下側に移動できるよう
になる。そして、ワークWの孔部Hにプロジェクションボルト90の先端部93及び軸部92が挿通されて、プロジェクションボルト90(特に、プロジェクションボルト90の溶接部95)が、ワークWの上側の面と当接する。
【0089】
このように、一対のチャックレバー43aは、ボルト保持部45にプロジェクションボルト90が保持された状態で、該プロジェクションボルト90が上部電極50の下側への移動により加圧されることで、互いに離れるように変位する。
【0090】
プロジェクションボルト90とワークWの上側の面とが当接した後は、
図13に示すように、チャック43が退避する。このとき、チャック43は無負荷状態となるため、上記スプリング49の付勢力により、一対のチャックレバー43aが互いに当接した状態になる。
【0091】
上側シリンダ51は、プロジェクションボルト90が、ワークWの上側の面と当接して、チャック43が退避した後も、更に上部電極50を下側に移動させようとする。この上部電極50の下側への進出動作により、プロジェクションボルト90がワークW側に加圧される。下部電極60の電極チップ63は、下部電極ホルダ61上に載置され、該下部電極ホルダ61は、溶接装置本体20の下側支持部23に支持されているため、ワークWを下側に移動しないように支持して、上部電極50からの加圧力を受ける。下部電極60は、上部電極50からの加圧力に対する反力でもってワークWをプロジェクションボルト90側に加圧する。これにより、ワークW及びプロジェクションボルト90が、上部電極50と下部電極60との間に加圧挟持される。
【0092】
そして、上部電極50と下部電極60との間に、ワークWとプロジェクションボルト90とを挟んだ状態(加圧挟持した状態)で、上部電極50と下部電極60との間で通電が実行されて、上部電極50と下部電極60との間に、プロジェクション溶接のための接合電流が流される。接合電流が流れている間も、上部電極50によるプロジェクションボルト90の加圧は継続される。この接合電流及び上記加圧によって、ワークWの上側の面とプロジェクションボルト90の溶接部95との接触部分が軟化して、該溶接部95が加圧方向(つまり、下側)に潰れていく。このとき、ワークWの上側の面とプロジェクションボルト90の溶接部95とに塑性流動が発生して、急速な拡散接合がなされる。これにより、プロジェクションボルト90がワークWに接合される。
【0093】
以上のようにして、ワークWとプロジェクションボルト90とがプロジェクション溶接によって接合される。
【0094】
以上のように、本実施形態1によると、選択装置71は、プロジェクションボルト90を搬送する複数の搬送路72と、各搬送路72からボルトガイド装置42にプロジェクションボルト90を供給する供給路48とを有し、複数の搬送路72は、搬送路72毎に予め定められた、特定の軸長のプロジェクションボルト90を搬送しかつ各搬送路72同士では異なる軸長のプロジェクションボルト90を搬送するように構成されている。制御装置100は、軸長がそれぞれ異なる複数のプロジェクションボルト90のうちから選択された所望の軸長のプロジェクションボルト90をボルトガイド装置42に供給すべく、選択された所望の軸長のプロジェクションボルト90を搬送する搬送路72と供給路48とを連通させる。このため、所望の軸長のプロジェクションボルト90を搬送する搬送路72を選択して、当該搬送路72と供給路48とを連通させれば、所望の軸長のプロジェクションボルト90をボルトガイド装置42に供給することができる。そして、ボルトガイド装置42により、所望の軸長のプロジェクションボルト90がワークWの溶接位置へ配送される。したがって、形状の異なる複数の溶接部品から所望の溶接部品を選択的に供給可能にすることができる。よって、複数の部品供給装置を設ける必要がなくなるため、コ
ストを削減でき、スペースも節約できる。
【0095】
特に、本実施形態1では、選択装置71は、搬送路72と連通される連通路74を有する可動部73を有する。このため、所望の軸長のプロジェクションボルト90を搬送する搬送路72を選択して、当該搬送路72と連通路74とが連通するように可動部73を変位させれば、所望の軸長のプロジェクションボルト90をボルトガイド装置42に供給することができる。したがって、より効率的に、形状の異なる複数の溶接部品から所望の溶接部品を供給可能にすることができる。また、シリンダ75の動作は制御装置100によって制御されるため、シリンダ75による可動部73の変位は自動で行うことが可能である。このため、作業効率を向上させることもできる。
【0096】
さらに、上述の実施形態1では、複数の開孔部76aが一列に並んで形成された有孔ブロック76を備え、複数の搬送路72は、可動部73の連通路74と連通する側の開孔が、複数の孔部76aが並ぶ列方向(水平方向)に並ぶように、有孔ブロック76の各開孔部76aにそれぞれ連結されている。これにより、有孔ブロック76に、複数の搬送路72における可動部73の連通路74と連通する側の端部が上記列方向に並ぶため、シリンダ75は可動部73を上記列方向に変位させるだけでよくなる。このため、シリンダ75の構成及び制御装置100によるシリンダ75の制御を簡単にすることができる。これにより、作業効率を一層向上させることができる。
【0097】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において上記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0098】
本実施形態2は、選択装置171の構成が上記実施形態1とは異なる。
図14に示すように、本実施形態2の選択装置171は、複数の搬送路172と、複数の搬送路172のうち選択された搬送路172と連通する連通路174を有する可動部173と、可動部173を回転変位させるための回転装置175(変位装置)と、ボルトガイド装置42のチャック43に、選択された搬送路172により搬送されるプロジェクションボルト90を供給するための供給路148とを有している。
【0099】
搬送路172は、本実施形態2でも上記実施形態1と同様に、搬送路172は4つあり、4つの搬送路172は、それぞれプロジェクションボルト90を搬送する搬送路である。4つの搬送路172では、搬送路172毎に予め定められた、特定の軸長のプロジェクションボルト90が搬送されかつ各搬送路172同士では異なる軸長のプロジェクションボルト90が搬送されている。以下の説明では、4つの搬送路172を、
図14の上側から時計回りに、第1搬送路172a、第2搬送路172b、第3搬送路172c、第4搬送路172dとして説明することがある。各搬送路172は、チューブなどによって構成されている。
【0100】
各搬送路172における、可動部173の連通路174と連通する側の端部(以下、連通路側端部という)は、有孔ブロック176の開孔部176aにそれぞれ連結されている。
【0101】
有孔ブロック176は、円柱状のブロック体に、その軸方向に貫通する複数(本実施形態2では4つ)の開孔部176aが形成されている。有孔ブロック176の各開孔部176aは周方向に等間隔に並んで形成されている。これにより、
図14に示すように、4つの搬送路172は、上記連通路側端部が有孔ブロック176の周方向に等間隔に並ぶように、有孔ブロック176の各開孔部176aにそれぞれ連結される。有孔ブロック176
の搬送路172側とは反対側の部分には、軸部177が有孔ブロック176と同軸になるように、該有孔ブロック176の軸方向に沿って延びている。軸部177は、有孔ブロック176と一体でもよく、別体でもよい。
【0102】
可動部173は、有孔ブロック176と同径の円柱体で構成されている。可動部173は、有孔ブロック176と同軸になるように、有孔ブロック176の搬送路172側とは反対側の面と接触して配置されている。可動部173には、その軸方向に貫通する貫通孔が設けられており、該貫通孔によって連通路174が形成されている。連通路174の径方向における位置は、有孔ブロック176の開孔部176aの径方向の位置に対応している。可動部173と有孔ブロック176とは軸部177によって連結されている。可動部173は、軸部177周りに回転可能に該軸部177に支持されている。図示は省略しているが、可動部173の外周面にはギヤ歯が形成されている。
【0103】
連通路174は、上記実施形態1と同様に、その横断面積が開孔部176aの横断面積に対して、同じか又は大きくなるように形成されている。
【0104】
回転装置175には、可動部173の外周面のギヤ歯と噛み合うギヤ歯を有するギヤ(図示省略)と、該ギヤを回転させるためのモータ(図示省略)とが収容されている。回転装置175は、上記ギヤを回転させることで可動部173を軸部177周りに回転させる。上記モータは正方向及び逆方向の両方に回転可能なモータである。このため、可動部173は、
図14に示すように、時計回りおよび反時計回りの両方に回転可能である。
【0105】
回転装置175は、第1搬送路172a~第4搬送路172dのうち選択された搬送路が連結された開孔部176aと可動部173の連通路174とが連通するように、可動部173を回転変位させる。具体的には、例えば、4つの搬送路172のうち第2搬送路172bが選択されて、第2搬送路172bと可動部173の連通路174とを連通させるときには、回転装置175は、第2搬送路172bが連結された開孔部176aと連通路174とが連通する程度に、可動部173を回転させる。これにより、当該開孔部176aと連通路174とが連通したときには、第2搬送路172bと連通路174とが連通する。そして、第2搬送路172bと連通路174とが連通した後には、他の搬送路172a,172c,172dが選択されるまで、上記モータの作動が停止されて、第2搬送路172bと連通路174との連通状態を維持される。回転装置175の上記モータの作動は、制御装置100によって制御されている。
【0106】
供給路148は、
図14に示すように、可動部173の連通路174における有孔ブロック176とは反対側の端部に連結されている。これにより、供給路148は連通路174及び有孔ブロック176の開孔部176aを介して各搬送路172と連通可能になっている。図示を省略しているが、供給路148の連通路174側とは反対側の端部は、上記実施形態1と同様にボルトシューター41に接続されている。
【0107】
このような構成の選択装置171であっても、所望の軸長のプロジェクションボルト90を搬送する搬送路172を選択して、当該搬送路172と供給路148とを連通させれば、所望の軸長のプロジェクションボルト90をボルトガイド装置42に供給することができる。
【0108】
したがって、本実施形態2の構成であっても、形状の異なる複数の溶接部品から所望の溶接部品を選択的に供給可能にすることができる。よって、複数の部品供給装置を設ける必要がなくなるため、コストを削減でき、スペースも節約できる。
【0109】
また、本実施形態2の選択装置171では、有孔ブロック176の開孔部176aが1つの軸周りに形成されるため、複数の搬送路172を出来る限り狭い領域に集めることができる。これにより、選択装置171の構成をコンパクトにすることができる。
【0110】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0111】
例えば、上述の実施形態1及び2では、複数の搬送路72で搬送される溶接部品としてプロジェクションボルト90を採用して、複数の搬送路72が、軸長がそれぞれ異なる複数のプロジェクションボルト90を、同じ軸長のプロジェクションボルト90毎に分けて搬送するように構成されている場合について説明した。しかし、これに限らず、上記溶接部品としてプロジェクションナットを採用して、複数の搬送路72が、搬送路72毎に予め定められた、特定の高さのプロジェクションナットを搬送しかつ各搬送路72同士では異なる高さのプロジェクションナットを搬送するように構成されていてもよい。この場合、上記ナット供給源で、高さの異なる複数種類のプロジェクションナットから所望の高さのプロジェクションナットを供給することができるようになるため、ナット供給装置30を1台にまとめることができる。
【0112】
また、ナット供給源及びボルト供給源47の両方に上述のような選択装置を配置するようにしてもよい。
【0113】
さらに、上述の実施形態1及び2では、搬送路72,172は4つであったが、これに限らず、搬送路72,172は、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよい。
【0114】
また、上述の実施形態1では、可動部73を変位させることで、選択された搬送路72と供給路48とを連通させるように構成されていたが、これに限らず、可動部73を設けずに、供給路48の位置を固定して、有孔ブロック76を変位させることで、選択された搬送路72と供給路48とを連通させるように構成されていてもよい。
【0115】
さらに、上述の実施形態2では、可動部173と回転装置175のギヤとの噛み合いにより可動部173を回転変位させていたが、これに限らず、可動部173にギヤ歯を形成せずに、回転装置175に可動部173との間で摩擦力を発生させるようなローラと該ローラを回転させるモータとを設けて、ローラと可動部173との間の摩擦力でもって、可動部173を回転可能にしてもよい。さらには、可動部173にギヤ歯を形成せずに、有孔ブロック176内にモータを配置して、該モータのモータ軸を可動部173と同軸になるように該可動部173に連結させることで、可動部173を回転可能にしてもよい。この場合、モータが回転装置175に相当し、モータ軸が軸部177に相当することになる。
【0116】
また、上述の実施形態1及び2では、1台のプロジェクション溶接装置1で、ワークWに形成された孔部Hの1つに、プロジェクションナット又はプロジェクションボルト90を接合していたが、プロジェクション溶接装置1は複数台あってもよい。このとき、ワークWに孔部Hが複数形成されている場合には、複数台のプロジェクション溶接装置1によって、複数荷所の孔部Hに同時にプロジェクション溶接を行うようにすることができる。
【0117】
さらに、上述の実施形態1及び2では、溶接装置本体20は、ロボット10に保持されていたが、ロボット10に保持されず、工場の床面等に固定されていてもよい。つまり、プロジェクション溶接装置1は定置型の溶接装置でもよい。
【0118】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。
本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、例えば、自動車製造ラインにおいて、自動車の車体構成部材と溶接部品とをプロジェクション溶接によって接合する溶接装置に対して、溶接部品を供給するための部品供給装置として有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 プロジェクション溶接装置
30 ナット供給装置(部品供給装置)
32 ナットガイド装置(ガイド装置)
40 ボルト供給装置(部品供給装置)
42 ボルトガイド装置(ガイド装置)
48、148 供給路
71、171 選択装置
72、172 搬送路
73、173 可動部
74、174 連通路
75 シリンダ(変位装置)
76 有孔ブロック
76a 開孔部
90 プロジェクションボルト(溶接部品)
100 制御装置
175 回転装置(変位装置)
W ワーク