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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】消臭システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
A61L9/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018144202
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020018537
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000228028
【氏名又は名称】株式会社トルネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】黒田 健介
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】浦田 浩作
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149864(JP,A)
【文献】特公昭52-036350(JP,B1)
【文献】特開2010-117118(JP,A)
【文献】国際公開第2013/137417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
F24F 7/00-7/06
F24F 9/00
F24F 13/00
E04H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気流生成ユニット(1、100)を備えた消臭システム(A、B)であって、
前記複数の空気流生成ユニット(1)は、利用者が通過する通路(I)に沿って配置され、前記利用者(P)が通過する際にその利用者に向けて空気流を吹き出すとともに、
前記空気流生成ユニットのうちの少なくともひとつ(100)は、利用者に付着した臭いを消臭する消臭剤(8)を含んだ空気流を吹き出し、
前記複数の空気流生成ユニットは、第1の空気流生成ユニット(1)と、第2の空気流生成ユニット(1)と、第3の空気流生成ユニット(100)を備え、前記通路(I)に沿って左右互い違いに順番に設けられ、
前記第1の空気流生成ユニット(1)と前記第2の空気流生成ユニット(1)は、それぞれ帯状の空気流を吹き出す第1の吹出口(13a、13b、14a、14b)と前記第1の吹出口の空気流より風速が強いビーム状の空気流を吹き出す第2の吹出口(23、24)を備え、
前記第3の空気流生成ユニット(100)は、帯状の空気流を吹き出す吹出口(113a、113b、114a、114b)を備えるとともに消臭剤(8)を含んだ空気流を吹き出す消臭システム(A、B)。
【請求項2】
請求項1に記載の消臭システムの使用方法であって、
前記複数の空気流生成ユニットは、前記歩行者(P)に対し、少なくともその身長方向の全身をカバーするように帯状に伸びて形成された空気流(Ac)を、前記歩行者の左右両側から互い違いに順番に、吹きつけるとともに、
第3の空気流生成ユニットが吹き付ける空気流は、煙草の臭いを低減する消臭剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の消臭システムの使用方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙エリアから禁煙エリアに人が移動するに際して、煙草の臭いを伴う移動者の消臭に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は受動喫煙の問題を解決するため、職場や公共の空間では禁煙エリアの中に喫煙エリアを設けて分煙することが増加している。これに伴い、喫煙エリアから禁煙エリアに人が移動する際、喫煙エリアで生じた煙草の煙に起因する臭いが人とともに禁煙エリアに持ち込まれないように対策することが求められことも多くなってきた。
【0003】
従来、移動者に伴う臭いを消臭するために、移動者にゲートをくぐらせてその通過時にゲートの柱の部分から空気流を吹き出すものが提案されていた(特許文献1)。
【0004】
しかし、このようなゲート形状の消臭構造は、ゲートを通過する者に消臭剤を含む空気を両側から同時に吹き付けるものであるため、装置の規模が大きくなり、空港施設やオフィスビルといった既設の建物内に設置する場合は、その設置スペースも大きくする必要があった。それにとどまらず、装置規模が大きいため既設の建物内部の空間が持つデザインと調和がとりづらい場合があった。
【0005】
また、ゲート形状であることを維持しながら、できるだけコンパクトにしようとすると、通過者に空気を吹き付ける時間が短くなり、消臭効果が限定されることが懸念され、この場合に、ゲートで立ち止まるなど時間をかけて消臭効果を得ることは、通過者の流れを妨げるため、通過者の多い公共空間では特に困難であった。
さらに、このようなゲート構造では、空気を同時に左右方向から吹き付けるため、反対方向に吹かれた空気流が互いに干渉して、十分な吹付効果が得られにくい場合があった。
【0006】
このため、既設の建物内部の空間、より詳しくは、喫煙室の出口や、喫煙室と禁煙室をつなぐ通路などにコンパクトに配置されて、移動者が消臭のために立ち止まることなく歩いて通過する場合でも消臭が可能になることが要請されるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-135580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的は、移動する歩行者に対し、その体に纏わりついた煙草の臭いを低減させる消臭システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、利用者が喫煙エリアから禁煙エリアに移動した際に感じられる煙草の臭いは、
1)利用者に纏わりついた空気(特に、移動の際に利用者の背面に纏わりつく空気)、
2)利用者の衣服等に付着した煙草の臭い、
が主なものであるという知見を得て、1)については、空気流による滞留空気の遮断により、2)については消臭剤を含んだ空気の吹付により、脱臭を図るものである。
【0010】
(請求項1)
本発明は、先述の課題を解決するために提案されたものであって、下記の構成からなる。すなわち、
複数の空気流生成ユニットを備えた消臭システムであって、
前記複数の空気流生成ユニットは、利用者が通過する通路に沿って配置され、前記利用者が通過する際に利用者に向けて空気流を吹き出すとともに、
前記空気流生成ユニットのうちの少なくともひとつは、利用者に付着した臭いを中和する中和剤を含んだ空気流を吹き出すことを特徴とする。
【0011】
これにより、喫煙エリアから禁煙エリアに移動してきた利用者の体にまとわりつく煙草の煙を利用者の身体から分離するとともに身体に付着した煙草の臭いを低減させることができる。
【0012】
(請求項2)
上記の場合、
前記空気流生成ユニットは、第1の空気流生成ユニットと、第2の空気流生成ユニットと、第3の空気流生成ユニットを備え、
前記第1、第2および第3の空気流生成ユニットは、前記通路に沿って左右互い違いに順番に設けられ、
前記第1の空気流生成ユニットと前記第2の空気流生成ユニットは、それぞれ帯状の空気流を吹き出す第1の吹出口と前記第1吹出口の空気流より風速が強いビーム状の空気流を吹き出す第2の吹出口を備え、
前記第3の空気流生成ユニットは、帯状の空気流を吹き出す吹出口を備えるとともに中和剤を含んだ空気流を吹き出すことが望ましい。
【0013】
これにより、第1と第2の空気流生成ユニットで利用者の体に纏わりついたたばこの煙を左右から吹き飛ばして体から分離するとともに、第3の空気流生成ユニットで利用者の体についた煙草の臭いを中和して低減させることができる。また、ビーム状の絞った空気流により利用者に付着した煙草の臭いを局所的に吹き飛ばすことができる。
【0014】
(請求項3)
また、
喫煙室と禁煙室とこれらを接続する通路を備えた建物であって、前記消臭システムを前記通路に備えた建物であることが望ましい。
【0015】
これにより、喫煙室から禁煙室に続く通路を歩く利用者の体に纏わりついた煙草の煙を吹き飛ばして分離するとともに体についた煙草の臭いを中和して低減できる。
【0016】
(請求項4)
本発明は、
室内を歩く歩行者にまとわりつく煙草の臭いを消臭する消臭方法であって、
前記歩行者に対し、少なくともその身長方向の全身をカバーするように帯状に伸びて形成された空気流を、前記歩行者の左右両側から互い違いに順番に、少なくとも3か所から歩行者に向けて吹きつけるとともに、
最後に吹き付けた空気流は、煙草の臭いを低減する中和剤を含むことを特徴とする。
【0017】
これにより、室内を歩く歩行者にまとわりつく煙草の臭いを消臭できる。このため、喫煙エリアから禁煙エリアに持ち込まれる煙草の臭いを抑制することができ、禁煙エリアと喫煙エリアの分離が効果的にできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、歩行者に付随するたばこの臭い、特に、喫煙エリアから禁煙エリアに移動する歩行者の煙草の臭いを効果的に抑制できる。
【0019】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0020】
(消臭システム)
図6に、本例の消臭システムAを示す。
この消臭システムAは、通路Iを移動する本システムの利用者Pに付着したたばこの臭いを消臭するための複数の空気流生成ユニット1、1、100を備えており、本例では、第1~第3の3つの空気流生成ユニットから構成されている。
【0021】
図6(a)は、本システムAを通路Iに沿って設置した様子の模式的な平面図を示している。利用者Pは、図6(a)の紙面左手から右手に歩いて移動している。利用者Pの歩く通路Iに沿って、その進行方向左側に第1の空気流生成ユニット1が設けられ、次いで右側に第2の空気流生成ユニット1が設けられ、そして、最後に第3の空気流生成ユニット100が設けられている。各空気流生成ユニット1,1,100は、通路Iの壁Wに接して自立しており、正面側の吸気口3a,3b,4a,4bから雰囲気空気Aiを吸気し、利用者Pが通路Iを通過していく際に、空気流Ac,Asを利用者Pに向けて吹き出す。第1と第2の空気流生成ユニット1は、それぞれ帯状の空気流Acとビーム状(スポット状)の空気流Asを生成する。第3の空気流生成ユニット100は、帯状の空気流Acのみ生成するが、ビーム状の空気流Asをさらに備えるようにしても差し支えない。
【0022】
図6(b)は、同じく本システムAの設置した様子を模式的に水平方向から見たものである。各空気流生成ユニット1、1、100の鉛直方向(利用者の身長方向)の高さは利用者の身長より高く、おおよそ2mである。各空気流生成ユニット1、1、100の帯状空気流の吹出口13a,13b,14a,14bは、高さ方向に4分割されているが、全体としては、帯状空気流Acは、利用者Pの身長を上回る範囲を、利用者Pの身長方向すなわち鉛直方向にカバーしている。このために、利用者Pの背後に纏わりつく煙草の煙の混ざった空気Sに帯状の空気流Acが当たって、利用者Pと煙草の煙の混ざった空気Sは完全な分離が可能になる。各ユニット1,1,100は、さらに天井に至るまで、そのカバー範囲を広げることもできる。
【0023】
(空気流生成ユニット)
図1に、空気流生成ユニット1の概略斜視図を示す。空気流生成ユニット1は、箱型形状の筐体5を備えている。この筐体5は、空気流を作るための送風ファン6,7と送風ファン6が押し込んだ空気だまりであるエアチャンバー、制御装置(不図示)がその内部に備えられている。
【0024】
空気流生成ユニット1の筐体5の正面側にある開閉扉3,4に空気の吸込口3a、3b、4a、4bが設けられており、フィルターユニットを介して空気は筐体5の内部に吸い込まれ、帯状空気流Acは、整流パネル3a1、3b1、4a1、4b1を介して整流されて吹出される。
空気吸込口3a、3b、4a、4bには、空気が通過できるようパンチングメタルが嵌められ、筐体5の内側には、吸入する空気の塵埃を捉えて浄化するためのフィルターユニットが着脱自在に嵌められている。
ファン6,7が起動されると、筐体5はほぼ密閉されているため負圧となり、同図中の矢印で示すように筐体5の外部の雰囲気空気を内部に吸い込む。吸い込まれた空気は送風ファン6によりダクトを介してチャンバー9に圧送され、帯状空気流Acが帯状空気流の吹出口13a、13b、14a、14bから正面パネルとほぼ直角方向に吹き出される。また、送風ファン7が、筐体5の内部に吸い込まれた空気を空気流吹出口23、24から利用者に向けてビーム状空気流として吹き出す。
【0025】
図2を用いて空気流生成ユニット1とその空気流生成ユニット1が作る空気流Ac,Asについて説明する。図2(a)は、空気流生成ユニット1と利用者Pをその頭上か見た説明図、図2(b)は同じく水平方向から見た説明図である。
喫煙室Rcに滞在した本消臭システムAの利用者Pは、その衣服に煙草の塵埃に含まれる各種の臭いの原因物質が付着しているのみならず、喫煙室Rc内の塵埃を含む空気Sを引きずりながら移動する。このため、喫煙室Rcを出たのちもその空気Sが利用者Pの背後である後頭部や腰部付近に纏わりついている(同図(a)、(b))。したがって、これを遮断する必要がある。
空気流生成ユニット1は、図2(b)に示すように、利用者Pの身長を上回る範囲の帯状空気流Acを吹出口13a、13b、14a,14bから吹き出し、利用者Pに向けて吹き付ける。この際に、利用者Pが不快に感じるような流速よりも低く、また、塵埃を含む空気Sを遮断するのに必要な流速とすることが望ましい。
また、さらにビーム状空気流Asを空気吹出口23,24から吹き出すこともできる。ビーム状空気流Asは、帯状空気流Acよりも速い流速を有する。ビーム状の空気流Asは、主に利用者の胸から腹、腿付近を狙って利用者Pに不快でない範囲の流速で吹き出すことにより、さらに塵埃を含む空気Sの遮断効果を高めることができる。
なお、図2(b)で示す空気流生成ユニット1は、図1のものと左右勝手違いであるが、これは、上下を逆さまに設置したものである。筐体5の内部の部材は、上下逆さまになっても差し支えないように、通常の固定方法で実現できる。これにより、後述するように、筐体5内部のチャンバー9の位置が筐体5の幅方向の端部付近であることから、空気流生成ユニット1の設置個所の状況によっては、設置位置の自由度が向上する。
【0026】
図3及び図4は、筐体5の内部構造とその空気の流れを説明するものである。帯状空気流Acを生成するための送風ファン6、チャンバー9及びその吹出口13a、13b、14a,14bの配置、並びに、ビーム状空気流Asを生成するための送風ファン7、その吹出口23,24の配置について説明する。
図3(c)は、筐体5の正面パネルを取り去った状態の説明図である。想像線である2点鎖線は、メンテナンス用の開閉扉3,4の位置を表している。図3(b)はその平面図、図3(a)は図3(b)で送風ファン6を取り去った説明図である。
図3(c)に示すように、筐体5の内部には、チャンバー9が設けられている。チャンバー9は、筐体5の紙面向かって右側の端部にその上面から下面までにわたってその幅方向に薄い直方体形状を有して設けられている。その内部は中空で、気密である。同図に示すとおり、2つの送風ファン6、6の出側がチャンバー9に接続されている。チャンバー9は、上下に細長いスリット状の吹出口13a、13b、14a,14bを有している。
【0027】
帯状の空気流Acに関しての空気の吸込み、吹き出しは、図3の矢印に記載のとおりである。送風ファン6の中央部から吸い込まれた筐体5内の空気は、送風ファン6の出側から、チャンバー9内に圧送され、空気溜めであるチャンバー9内で圧を整えられたのちに吹出口13a,13b,14a、14bから吹出口に設けられたハニカム形状の通過孔を有する整流板3a1,3b1,4a1,4b1を経由して一様な方向の流れに整流されて吹出される。その速度は、望ましくは、風速3の範囲である。
一方、ビーム状の空気流Asは送風ファン7により圧送されるが、整流されずにそのまま吹出口23,24の開口から吹出される。その速度は、風速5の範囲(ただし、常に、Ac>As)である。
なお、吹出口23、24に回転機構及び上下機構を有する吹き出し方向を制御するフラップ(方向制御板)3c(図3)を設けて、吹出し方向を上下にプラスマイナス45度・左右にプラスマイナス15度程度に調節することが望ましい。
【0028】
図4に、同様に筐体5の内部構造を空気流生成ユニット1の筐体の側面壁を取り去って側面から見た説明図を示す。
同図に示すように、送風ファン6によりチャンバー9内に圧送された空気は、チャンバー9内で圧を整えられたのちに、吹出口13a,13b,14a、14bから吹出口に設けられたハニカム形状の整流板3a1、3b1、4a1,4b1を経由して一様な流れとされて同図内の矢印で示されるように帯状空気流Acとなって吹出される。
一方、ビーム状の空気流Asは送風ファン7を介して、整流されずにそのまま直接吹出口から吹出される。なお、吹出口23、24に回転機構及び上下機構を有する方向制御板3cを設けてもよい点は同様である。
【0029】
(空気流生成ユニットの変形例)
図5に示す空気流生成ユニット100は、空気流生成ユニット1の変形例である。
図5(b)は、空気流生成ユニット100の正面からみた説明図である。説明の便宜のため、正面パネルの下半分を取り去って示している。また、想像線は、メンテナンス用の開閉扉4の位置を示している。
基本的には、空気流生成ユニット100は、空気流生成ユニット1と同様であるが、異なる点は、ビーム状空気流Acを生成する送風ファンとその吹出し口が設けられていないことである。その代りに、チャンバー9の中央部付近に下側の送風ファン6の上部側に消臭剤ユニット8が備えられて、消臭剤がチャンバー9内に暴露されている。
この消臭剤は、使用状態で揮発または昇華する芳香剤が含有されているもの、または芳香剤そのものを用いることができる。たとえば、植物油から抽出した精油などであり、杉の香りなどがするものが好適に用いられる。
チャンバー9内で消臭剤が送風ファン6で圧送された空気と混ざり、帯状空気流吹出し口113a、113b、114a、114bから吹出される空気流Acに消臭剤が混じるため利用者に付着した臭いが中和されて消臭される。
【0030】
また、この空気流生成ユニット100の帯状空気流Acの吹出口は113a、113b、114a、114bは、吹出し方向を図5(a)、図7に示すように5度~15度程度ななめに吹くように、整流パネル3a1、3b1、4a1、4b1の方向を傾けてもよい。
その理由は、この空気流生成ユニット100は複数ユニットを配置する場合の最終位置に置かれることが多く、このような場合、通路Iの内側にバイアスをもって吹き出すと、通路Iの出側の終端の空気の流れの乱れの影響を少なく抑えることができるためである。
【実施例2】
【0031】
図7は、本発明の他の実施形態を示すものであり、図6の通路は直線的であったが、図7では通過経路は直角に曲がっている場合の、模式的な平面図を示している。
建物Rの内部に喫煙エリアRcと禁煙エリアRgが設けられ、分煙されている。喫煙エリアRcと禁煙エリアRgは、通路Iで接続されている。喫煙エリアRcと通路Iの間はスライドドアDiが設けられて、また、喫煙エリアRcと通路Iの間はスライドドアDが設けられている。これらのドアDi,Doは、通過する者がいない時は、閉じられている。
図中の白抜きの矢印は本システムBの利用者(本図では不図示)の通過経路であり、この場合、喫煙室である喫煙エリアRcから通路Iを通って、禁煙エリアRgに出ていく場合を示している。
【0032】
本システムBは、図7に示すように利用者の経路に沿って、その進行方向左側に第1の空気流生成ユニット1が設けられ、次いでドアDo近くの右側に第2の空気流生成ユニット1が設けられ、そして、最後に第3の空気流生成ユニット100が設けられている。
各空気流生成ユニット1,1,100は、通路Iの壁Wに接して自立しており、正面側の吸気口3a,3b,4a,4bから雰囲気空気Aiを吸気し、利用者Pが通路Iを通過していく際に、帯状空気流Ac,ビーム状空気流Asを利用者Pに向けて吹き出す点は実施例1と同様である。第1と第2の空気流生成ユニット1は、それぞれ帯状の空気流Acとビーム状(スポット状)の空気流Asを生成する。第3の空気流生成ユニット100は、芳香剤が加えられた帯状の空気流Acのみ生成し、その吹出し方向は、図7に示すように5度程度通路Iの内側にバイアスをもって吹き出すようにしている。
【0033】
本システムBの起動はたとえば、喫煙室Rcに設けた人感センサPSで自動的に人の出入りを感知して起動するようにしてもよい。また、ドアDi、Doもこれと連動するように開閉するようにすることができる。この際に、タイマーなどを用いて、各ユニットを順番に起動・停止することもできる。
【0034】
本システムBは、歩行者に立ち止まらせることなく、ビルR内の喫煙エリアである喫煙室から禁煙エリアである執務室やロビーなどに持ち込まれる煙草の臭いを抑制することができ、禁煙エリアと喫煙エリアの分離が効果的にできる。また、コンパクトであるため、設置予定個所の状況に応じて必要なレイアウトに柔軟に対応できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、複数の人間が居住したり仕事を行ったりする閉鎖空間における空気清浄の分野に利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の空気流生成ユニット1の実施形態(実施例1)を示す斜視図である。
図2図1に示す空気流生成ユニット1の動作原理図である。(a)は上方から見た説明図、(b)は水平方向から見た説明図である。
図3図1に示す空気流生成ユニット1の内部を示す説明図である。(a)は送風ファン6とチャンバー9の説明図、(b)は送風ファン7とチャンバー9の説明図、(c)は正面パネルを取った状態の説明図である。
図4図1に示す空気流生成ユニット1の内部構造を筐体5の側面壁を取り去って側面から見た説明図である。
図5】本発明の空気流生成ユニット1の変形例(実施例2)を示す斜視図である。
図6】本発明の空気流生成ユニット1の実施形態を示す説明図である。(a)は模式平面図、(b)は壁を取り去った状態の模式側面図である。
図7】本発明の空気流生成ユニット1の他の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1空気流生成ユニット
100空気流生成ユニット(変形例)
3、4開閉扉
3a、3b吸込口
3a1、3b1、4a1、4b1整流パネル
4a、4b吸込口
5筐体
6帯状空気流用送風ファン(シロッコファン)
7ビーム状空気流用送風ファン(シロッコファン)
8消臭剤ユニット、中和剤ユニット
9チャンバー(空気溜め)
13a、13b、14a、14b帯状空気流吹出口
23、24ビーム状空気流吹出口
A、B消臭システム
Ac帯状空気流
Ai吸気
Asビーム状空気流
C天井
FL床
I通路
P歩行者
R建物
Rc喫煙室
Rg禁煙室
S煙草の煙が混ざった空気
W壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7