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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20220601BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220601BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
G06T7/00 610Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020015292
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021124746
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2021-06-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 喜代治
(72)【発明者】
【氏名】法貴 哲夫
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242877(JP,A)
【文献】特開2014-203112(JP,A)
【文献】特開2008-187433(JP,A)
【文献】特開2001-309193(JP,A)
【文献】特開2018-132355(JP,A)
【文献】特開2001-228051(JP,A)
【文献】特開平11-048457(JP,A)
【文献】特開2015-056102(JP,A)
【文献】特開2002-163650(JP,A)
【文献】特開2013-106173(JP,A)
【文献】特開2015-217559(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1885345(CN,A)
【文献】特許第4652717(JP,B2)
【文献】特開平02-194479(JP,A)
【文献】ソシムデザイン編集部,Photoshopレッスンブック 初版 ,第1版,ソシム株式会社 片柳 秀夫,2019年05月10日,第139ページ
【文献】ソシムデザイン編集部,知識ゼロからはじめる GIMPの教科書 初版 The Textbook of GIMP,第1版,ソシム株式会社 片柳 秀夫,2019年09月20日,第68-69ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
G06T 7/00
H05K 3/00
B41F 15/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインパターンの画像を含む処理対象画像から前記ラインパターンの存在位置に合致する所定の領域を抽出する画像処理装置であって、
前記処理対象画像が表示される表示部と、
前記処理対象画像に対し所定の操作を行える操作部と、
前記所定の領域を抽出する際の抽出基準を設定する抽出基準設定処理部と、
前記抽出基準に基づいて前記処理対象画像から前記所定の領域を抽出する領域抽出処理部と、
を備え、
前記所定の領域が、色相が所定の色相値の範囲内にある領域であって、かつ、前記ラインパターンの下地部分に存在する加工痕に起因する不規則な濃淡がある領域であり、
前記抽出基準設定処理部は、
操作者が前記表示部に表示された前記処理対象画像を視認しつつ前記操作部を操作することによって、前記処理対象画像から任意の画素範囲を選択することを可能とする範囲選択部と、
前記操作者による前記操作部の操作によって選択された前記任意の画素範囲に属する画素の色相値の範囲を、HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータに基づいて特定する色相範囲特定部と、
を有しており、前記任意の画素範囲の選択として前記操作者によりなされる、前記処理対象画像において前記所定の領域に含まれると前記操作者が視認する領域からの前記濃淡を含めた小領域の選択に応答して、前記色相範囲特定部が特定する、前記小領域に含まれる画素の色相値の範囲のうちの全ての範囲又はあらかじめ設定された上限および下限の所定割合を除去した範囲を、前記抽出基準として設定し、
前記領域抽出処理部は、
前記処理対象画像において色相値が前記抽出基準に該当する画素を特定する画素特定部、
を有しており、前記画素特定部が特定した全ての画素からなる領域を、前記所定の領域として抽出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
所定の撮像対象を撮像し、RGB色座標系で記述された撮像データを生成する撮像処理部と、
RGB色座標系で記述された前記処理対象画像のデータをHSV色座標系のデータに変換可能な色空間変換部と、
をさらに備え、
HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータが、所定の撮像対象物を前記撮像処理部にて撮像することにより得られた撮像データを前記色空間変換部にて変換することにより得られる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の画像処理装置であって、
前記領域抽出処理部が、
前記画素特定部によって特定された画素の色相値を、前記処理対象画像において前記所定の領域の像を与える色相値とは異なる色相値と置換する色相置換処理部、
をさらに有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記領域抽出処理部によって抽出された前記所定の領域の全体または端部が、前記表示部に表示された前記処理対象画像において強調表示される、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
ラインパターンの画像を含む所定の撮像対象を撮像して得られる処理対象画像から前記ラインパターンの存在位置に合致する所定の領域を抽出する画像処理方法であって、
前記所定の領域を抽出する際の抽出基準を設定する抽出基準設定工程と、
前記抽出基準に基づいて前記処理対象画像から前記所定の領域を抽出する領域抽出工程と、
を備え、
前記所定の撮像対象が、下地面に所定のパターンが形成されたものであり、
前記所定の領域が、前記処理対象画像において前記所定のパターンの像に含まれる、色相が所定の色相値の範囲内にある領域であって、かつ、前記ラインパターンの下地部分に存在する加工痕に起因する不規則な濃淡がある領域であり、
前記抽出基準設定工程が、
操作者が所定の表示手段に表示された前記処理対象画像を視認しつつ所定の操作手段を操作することによって、前記処理対象画像において前記所定の領域に含まれると前記操作者が視認する領域から前記濃淡を含めた任意の小領域を選択する範囲選択工程と、
前記任意の小領域に属する画素の色相値の範囲を、HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータに基づいて特定する色相範囲特定工程と、
を有しており、前記色相範囲特定工程において特定された、前記任意の小領域に属する画素の色相値の範囲のうちの全ての範囲又はあらかじめ設定された上限および下限の所定割合を除去した範囲が前記抽出基準として設定され、
前記領域抽出工程が、
前記処理対象画像において色相値が前記抽出基準に該当する画素を特定する画素特定工程、
を有しており、前記画素特定工程において特定された全ての画素からなる領域を、前記所定の領域として抽出する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項に記載の画像処理方法であって、
前記所定の撮像対象を撮像し、RGB色座標系で記述された撮像データを生成する撮像処理工程と、
RGB色座標系で記述された前記処理対象画像のデータをHSV色座標系のデータに変換可能な色空間変換工程と、
をさらに備え、
HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータは、所定の撮像対象物が前記撮像処理工程において撮像されることにより得られた撮像データが、前記色空間変換工程において変換されることにより得られる、
ことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、特にスクリーン印刷版の画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷用の印刷版(スクリーン印刷版)は、金属またはナイロン製のメッシュ糸が網目構造(メッシュ構造)をなしているスクリーンメッシュの上に塗布形成された乳剤膜の一部が、印刷対象物に形成しようとするパターン(印刷パターン)に応じた開口部(スクリーン開口部)とされた構成を有する。
【0003】
例えば、プリント基板に配線(線状パターン)やランド(円形パターン)などの配線パターンを設けるべく、レジスト材によるマスクパターンを銅貼り板上にスクリーン印刷にて形成しようする場合には、それら配線パターンに対応させてスクリーン開口部を設けたスクリーン印刷版が、用意される。そして、当該スクリーン印刷版を用いたスクリーン印刷によって銅貼り板上にレジスト材からなるマスクパターンを形成した後、エッチング工程によって不要な銅を除去し、さらにはマスクパターンを除去することで、所望の配線パターンが形成されたプリント基板が得られる。
【0004】
このような手順にてプリント基板を製造する場合、工程管理上、この配線パターンにおける線幅や円の直径などが正確であることが求められる。それゆえ、スクリーン印刷版の作製時、スクリーン開口部は高精度に設けられる必要がある。
【0005】
一方で、スクリーン印刷版を繰り返し使用した場合、スクリーン開口部の形状は変形し得る。それゆえ、配線パターンの寸法精度確保の観点から、当該配線パターンの形成に使用するスクリーン印刷版に設けられたスクリーン開口部の寸法は、プリント基板の製造における重要な測定管理項目(検査項目)とされており、精度の良い測定手法(検査手法)が求められている。
【0006】
人為的な測定ミスを除外するという点からは、画像処理による自動計測の実施が望ましい。ただし、スクリーンメッシュ上に設けられているマスクパターンを画像処理にて自動計測しようとする場合、パターン開口部に存在するスクリーンメッシュの像がノイズとして影響を与えることがある。
【0007】
モノクロームの取得画像に対し膨張収縮処理(オープニング処理およびクロージング処理)を適用することにより、原画像からスクリーンメッシュ部分を除去する方法が、すでに公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4652717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されている技術は、原理としてはノイズ除去の一般的な画像処理手法の一つであるが、メッシュ線幅の大きさに近いパターンをノイズとして消去してしまうことや、オープニング処理やクロージング処理により元の開口部の形状が変形するなどの課題がある。
【0010】
このような自動計測の困難さゆえ、スクリーン印刷版のパターン形状の測定(検査)は、依然として目視による手動測定が支配的となっている。手動測定には、検査効率が低く、また、測定者による個人差が生じ得るため精度の確保が難しいという問題がある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、スクリーン印刷版のパターン形状(開口部形状)の計測(検査)などに用いる画像に適した画像処理の手法、および、これを実現する画像処理装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ラインパターンの画像を含む処理対象画像から前記ラインパターンの存在位置に合致する所定の領域を抽出する画像処理装置であって、前記処理対象画像が表示される表示部と、前記処理対象画像に対し所定の操作を行える操作部と、前記所定の領域を抽出する際の抽出基準を設定する抽出基準設定処理部と、前記抽出基準に基づいて前記処理対象画像から前記所定の領域を抽出する領域抽出処理部と、を備え、前記所定の領域が、色相が所定の色相値の範囲内にある領域であって、かつ、前記ラインパターンの下地部分に存在する加工痕に起因する不規則な濃淡がある領域であり、前記抽出基準設定処理部は、操作者が前記表示部に表示された前記処理対象画像を視認しつつ前記操作部を操作することによって、前記処理対象画像から任意の画素範囲を選択することを可能とする範囲選択部と、前記操作者による前記操作部の操作によって選択された前記任意の画素範囲に属する画素の色相値の範囲を、HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータに基づいて特定する色相範囲特定部と、を有しており、前記任意の画素範囲の選択として前記操作者によりなされる、前記処理対象画像において前記所定の領域に含まれると前記操作者が視認する領域からの前記濃淡を含めた小領域の選択に応答して、前記色相範囲特定部が特定する、前記小領域に含まれる画素の色相値の範囲のうちの全ての範囲又はあらかじめ設定された上限および下限の所定割合を除去した範囲を、前記抽出基準として設定し、前記領域抽出処理部は、前記処理対象画像において色相値が前記抽出基準に該当する画素を特定する画素特定部、を有しており、前記画素特定部が特定した全ての画素からなる領域を、前記所定の領域として抽出する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、所定の撮像対象を撮像し、RGB色座標系で記述された撮像データを生成する撮像処理部と、RGB色座標系で記述された前記処理対象画像のデータをHSV色座標系のデータに変換可能な色空間変換部と、をさらに備え、HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータが、所定の撮像対象物を前記撮像処理部にて撮像することにより得られた撮像データを前記色空間変換部にて変換することにより得られる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項の発明は、請求項1または請求項に記載の画像処理装置であって、前記領域抽出処理部が、前記画素特定部によって特定された画素の色相値を、前記処理対象画像において前記所定の領域の像を与える色相値とは異なる色相値と置換する色相置換処理部、をさらに有することを特徴とする。
【0016】
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記領域抽出処理部によって抽出された前記所定の領域の全体または端部が、前記表示部に表示された前記処理対象画像において強調表示される、ことを特徴とする。
【0018】
請求項の発明は、ラインパターンの画像を含む所定の撮像対象を撮像して得られる処理対象画像から前記ラインパターンの存在位置に合致する所定の領域を抽出する画像処理方法であって、前記所定の領域を抽出する際の抽出基準を設定する抽出基準設定工程と、前記抽出基準に基づいて前記処理対象画像から前記所定の領域を抽出する領域抽出工程と、を備え、前記所定の撮像対象が、下地面に所定のパターンが形成されたものであり、前記所定の領域が、前記処理対象画像において前記所定のパターンの像に含まれる、色相が所定の色相値の範囲内にある領域であって、かつ、前記ラインパターンの下地部分に存在する加工痕に起因する不規則な濃淡がある領域であり、前記抽出基準設定工程が、操作者が所定の表示手段に表示された前記処理対象画像を視認しつつ所定の操作手段を操作することによって、前記処理対象画像において前記所定の領域に含まれると前記操作者が視認する領域から前記濃淡を含めた任意の小領域を選択する範囲選択工程と、前記任意の小領域に属する画素の色相値の範囲を、HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータに基づいて特定する色相範囲特定工程と、を有しており、前記色相範囲特定工程において特定された、前記任意の小領域に属する画素の色相値の範囲のうちの全ての範囲又はあらかじめ設定された上限および下限の所定割合を除去した範囲が前記抽出基準として設定され、前記領域抽出工程が、前記処理対象画像において色相値が前記抽出基準に該当する画素を特定する画素特定工程、を有しており、前記画素特定工程において特定された全ての画素からなる領域を、前記所定の領域として抽出する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項の発明は、請求項に記載の画像処理方法であって、前記所定の撮像対象を撮像し、RGB色座標系で記述された撮像データを生成する撮像処理工程と、RGB色座標系で記述された前記処理対象画像のデータをHSV色座標系のデータに変換可能な色空間変換工程と、をさらに備え、HSV色座標系で記述された前記処理対象画像のデータは、所定の撮像対象物が前記撮像処理工程において撮像されることにより得られた撮像データが、前記色空間変換工程において変換されることにより得られる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1ないし請求項の発明によれば、色相が所定の色相値の範囲内にあり、かつ、濃淡が視認される領域を、その一部を選択するという簡便な処理にて、好適に抽出することができる。色相に基づく処理を行うことで、RGB各色の色濃度値に基づく処理を行う場合に問題となる、濃淡が繰り返される部分における明暗や鮮やかさの相違の影響が、好適に排除される。
【0022】
特に、請求項2および請求項の発明によれば、カメラによる撮像よって生成される、RGB色座標系で記述されたデータにより表される画像であっても、HSV色座標系で記述されたデータに変換することで、好適に抽出処理を行うことができる。
【0024】
特に、請求項の発明によれば、抽出された領域の色相値がある色相値に置換されているので、当該領域を対象とする計測処理に際して、当該領域の特定が容易となる。これにより、計測処理が精度良く行えるようになる。
【0025】
特に、請求項の発明によれば、処理対象画像における抽出された領域の把握が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】計測装置100の概略的な構成を示す図である。
図2】計測装置100に備わる機能的構成要素を示す機能ブロック図である。
図3】スクリーン印刷版10の一例についての撮像画像(部分拡大像)IM1を示す図である。
図4】画像処理の手順を示す図である。
図5】操作部133として備わるマウスでのオペレータのドラッグ操作によって、矩形領域REが選択されたときの、撮像画像IM2を示す図である。
図6図5に示した矩形領域REに属する全ての画素の色相値についてのヒストグラムHG1を示す図である。
図7】該当画素特定部191により特定された画素が占める範囲を黒色にて示す二値画像IM3aと、色相置換処理部192による置換後の像IM3bとを、例示する図である。
図8】置換前の撮像画像IM1を構成する全ての画素についてのヒストグラムHG2を示す図である。
図9】撮像画像IM1を与えるRGB撮像データD0からR成分のみを抽出し、さらに二値化することにより得られる像IM1rを示す図である。
図10】金属板50上に形成されたラインパターン51に対し実施形態と同様の画像処理を適用した場合の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<発明の概要>
図1は、本実施の形態に係る画像処理を実行可能な画像処理装置として機能する計測装置100の概略的な構成を示す図である。図2は、計測装置100に備わる機能的構成要素を示す機能ブロック図である。本実施の形態においては、計測装置100において行われる、スクリーン印刷版10を処理対象とする画像処理、および、これに関係する計測装置100の構成について、説明する。
【0028】
計測装置100は、計測対象たるスクリーン印刷版10が載置されるステージ101と、カメラ本体111などを備え、ステージ101に載置されたスクリーン印刷版10を撮像する撮像部110(図2)と、3種類の照明手段(同軸照明121、リング照明122、および透過照明123)を備え、スクリーン印刷版10に対し種々の態様にて照明光を照射可能な照明部120(図2)と、計測装置100の各部の動作の制御とメッシュ位置の特定に必要な演算処理とを担う処理装置130とを、主として備える。計測装置100の構成の詳細については後述する。
【0029】
図3は、スクリーン印刷版10の一例についての撮像画像(部分拡大像)IM1を示す図である。スクリーン印刷版10は概略、アルミなどの金属からなる平面視矩形状の版枠1内に形成された乳剤膜2の一部に、印刷対象物に形成しようとするパターン(印刷パターン)に応じた開口部(パターン開口部)3を設けたものである(図1)。
【0030】
ただし、図1においてはスクリーン印刷版10の図示を簡略化している。実際のスクリーン印刷版10においては、図3に示すように、版枠1にスクリーンメッシュ4が張設されてなる。スクリーンメッシュ4は、それぞれが金属またはナイロン線材からなりかつ所定間隔にて離隔する多数の横糸4xおよび多数の縦糸4yが互いに交差(直交)するように製織された網目構造(メッシュ構造)をなしており、乳剤膜2は、係るスクリーンメッシュ4上に(いわば、スクリーンメッシュ4を下地面として)塗布形成されてなる。そのため、開口部3においては、スクリーンメッシュ4が露出している。なお、乳剤膜2は、所定の色にて設けられている。これは、スクリーンメッシュ4が露出している開口部3との識別性を確保するため、つまりは、視認性確保のためである。図示の制約上、図面からは看取できないが、図3に例示するスクリーン印刷版10の乳剤膜2は、実際には概ね赤紫色として視認されるものである。
【0031】
本実施の形態においては、図3に例示する撮像画像IM1のような、開口部3を含む乳剤膜2の撮像画像を、計測装置100における画像処理の対象とする。本実施の形態に係る画像処理とは、概略、スクリーン印刷版10の像から、パターン開口部3以外の領域、つまりは乳剤膜2の形成領域を抽出することを、意図した処理である。これは、換言すれば、スクリーン印刷版10の撮像データにおいて、乳剤膜2の像を与える全ての画素を(当該像を与える画素範囲を)特定することを意図している。
【0032】
乳剤膜2はスクリーンメッシュ4上に塗布形成されているが、多くの場合、スクリーンメッシュ4は乳剤膜2を透過している。そのため、本来的には一様に同じ色味を呈するはずの乳剤膜2を目視であるいは顕微鏡にて観察した場合、係る透過に起因した濃淡(色味の相違)が、横糸4xおよび縦糸4yのそれぞれの延在方向において繰り返されていることが、確認される。なお、横糸4xおよび縦糸4yはそれぞれ概ね等間隔に配置されてはいるものの、位置ずれが少なからずあるため、乳剤膜2の濃淡は概ね周期的ではあるものの、必ずしも一定の周期にて繰り返されているわけではない。また、乳剤膜2において開口部3を形成する端部は、マクロ的には直線であっても、微視的には、スクリーンメッシュ4の存在により微細な凹凸形状をなしている。後述する、本実施の形態に係る画像処理は、これら乳剤膜2に固有の特徴を踏まえつつ、乳剤膜2の形成領域を抽出することを意図した処理となっている。
【0033】
なお、厳密にいえば、図3はあくまでスクリーン印刷版10の例示的な一態様についての撮像画像IM1であり、それゆえ、図中に存在するのはあくまで乳剤膜2、パターン開口部3、およびスクリーンメッシュ4の像であるが、本実施の形態においては、説明の簡単のため、これらの像を単に乳剤膜2、パターン開口部3、およびスクリーンメッシュ4と称することがある。以降の図においても同様とする。また、パターン開口部3を、計測対象パターンとも称する。
【0034】
また、図3においては、所定幅の線状のパターン開口部3が略平行に多数形成されたスクリーン印刷版10の撮像画像IM1を示しているが、スクリーン印刷版10における計測対象パターンの形状および配置はこれに限られるものではなく、矩形や円形その他、種々の形状のパターンが種々の配置にて形成されていてよい。
【0035】
<計測装置の構成>
次に、計測装置100の構成について、図1および図2を参照しつつ説明する。
【0036】
図1に示すように、ステージ101は、その上面に計測対象物(図1の場合であればスクリーン印刷版10、以下同様)を水平姿勢にて載置固定できるように設けられてなる。固定には、吸着や、貼付、図示を省略する挟持手段による教示等、種々の手法が適用されてよい。なお、係る載置固定がなされた状態で、下方に配置されてなる透過照明123からの照明光が少なくとも撮像部110による撮像対象範囲に照射されるよう、少なくとも当該撮像対象範囲については、例えばガラスなどの透明な材料で構成される。
【0037】
撮像部110は、ステージ101の上方に備わるカメラ本体111と、該カメラ本体111に接続され鉛直下方に延在する鏡筒112とを主に備える。鏡筒112の内部には、図示を省略する撮像用レンズその他の光学系113が設けられている。
【0038】
カメラ本体111は、適宜の撮像用レンズを装着した状態で使用され、ステージ101に載置された被写体につき、RGB色座標系で表されるカラー画像を撮像可能とされてなる。
【0039】
照明部120は、上述のように、同軸照明121と、リング照明122と、透過照明123という、3種類の照明手段を備える。これらの照明手段は、相異なる特徴を有する。
【0040】
同軸照明121は、照明光の中心軸をカメラ本体111の画角の中心軸と一致させる態様にて、ステージ101に載置された計測対象物に向けて照明光を照射する照明手段である。具体的には、鏡筒112内のカメラ本体111からステージ101へと向かう撮像光路の途中に図示しないハーフミラーが備わっており、鏡筒112の側方に設けられた同軸照明121から出射された照明光は、該ハーフミラーにて反射されることにより撮像光路と同軸とされたうえで、計測対象物に向けて照射される。
【0041】
リング照明122は、鏡筒112の外周にリング状(円環状)に配置された照明手段である。リング照明122は、ステージ101に載置された計測対象物に向けて照明光を照射するよう配置されてなる。
【0042】
透過照明123は、ステージ101の下方に配置されてなる照明手段であり、鉛直上方に向けて照明光を照射する。すなわち、透過照明123は、ステージ101に載置された計測対象物に向けて、同軸照明121およびリング照明122とは反対側から照明光を照射する。係る照明光は、ステージ101の透明な部分を介してスクリーン印刷版10の裏面に照射される。
【0043】
これら同軸照明121と、リング照明122と、透過照明123とは、計測装置100の使用態様に応じて適宜に選択されあるいは組み合わされて、使用される。好ましくは、少なくとも撮像部110による撮像範囲全般が、均等に照明されるよう、各照明手段からの照明光の照射態様が定められる。
【0044】
計測装置100はまた、撮像部110および照明部120をステージ101に対して移動させる所定の移動機構100M(図2)を備える。撮像部110が照明部120ともども移動機構100Mによって移動させられることにより、水平面内および鉛直方向における任意の撮像位置で、ステージ101に載置固定された計測対象物を撮像することが可能となっている。
【0045】
処理装置130は、CPU131aと、ROM131bと、RAM131cとを含む処理制御部131と、例えばディスプレイなどからなる表示部132と、マウス、キーボードやタッチパネルなどからなる操作部133と、ハードディスクなどからなる記憶部134とを備える。処理装置130は、例えば汎用のコンピュータによって実現可能である。
【0046】
計測装置100においては、記憶部134に記憶されてなる図示しない所定の処理プログラムが処理制御部131によって実行されることにより、図2に示す種々の機能的構成要素が、処理制御部131において仮想的な構成要素として実現されるようになっている。
【0047】
具体的には、撮像処理部140と、照明制御部150と、移動制御部160と、色空間変換部170と、抽出基準設定処理部180と、領域抽出処理部190と、計測処理部200とが、主として実現される。
【0048】
撮像処理部140は、撮像部110による撮像を制御するとともに、撮像の結果得られたデータ(撮像データ)をカメラ本体111から取得し、処理制御部131内における所定の処理に供する。
【0049】
具体的には、撮像処理部140は、撮像部110に、スクリーン印刷版10の撮像を実行させ、その撮像結果を、各画素の色濃度値をRGB色座標系(RGB色空間)に基づき記述したRGB撮像データD0として生成する。あるいは、撮像部110(より具体的にはカメラ本体111)においてRGB撮像データD0が生成され、撮像処理部140に受け渡される態様であってもよい。
【0050】
なお、撮像処理部140は、撮像部110にて撮像される像(ライブビュー)を表示部132に表示させる役割も担う。
【0051】
照明制御部150は、撮像部110による撮像の際の、照明部120による照明光の照射を制御する。具体的な照射態様は、計測対象の形状や色や計測対象位置などに応じて適宜に定められればよい。例えば、RGB撮像データD0における各画素の色濃度値が飽和しない程度の明るさにて照明光を照射する、といった対応などが想定される。
【0052】
移動制御部160は、撮像部110および照明部120を移動させる移動機構100Mの動作を制御する。移動制御部160による移動機構100Mの制御態様には、操作部133を通じて計測装置100のオペレータ(操作者)から移動制御部160に与えられる移動指示に応じた手動制御と、あらかじめ設定された処理プログラムに従って撮像部110による撮像と移動機構100Mによる移動とが実行される自動制御とがある。後者は例えば、一の計測対象のあらかじめ定められた相異なる複数の箇所において撮像さらには計測を順次に行う場合などが想定される。
【0053】
色空間変換部170は、RGB色座標系に基づき記述されてなる色濃度値を、HSV色座標系(HSV色空間)に基づく記述に変換する処理を担う。
【0054】
ある画素iのRGB色座標系における色濃度値を(R、G、B)=(Ri、Gi、Bi)とし(0≦Ri、Gi、Bi≦255)、値Ri、Gi、Biの最大値をMax、最小値をMinとするとき、HSV色座標系における色濃度値(H、S、V)=(Hi、Si、Vi)は、以下の公知の関係式にて表される。
【0055】
Hi=60・(Gi-Ri)/(Max-Min)+60 (Min=Biのとき);
Hi=60・(Bi-Gi)/(Max-Min)+180 (Min=Riのとき);
Hi=60・(Ri-Bi)/(Max-Min)+300 (Min=Giのとき);
Hi=不定 (Max=Minのとき);
Si=Max-Min;
Vi=Max。
【0056】
ただし、上記関係式で求まるHiについてHi<0であるときは360をさらに加え、Hi>360であるときは360をさらに差し引いた値が、Hiとされる。
【0057】
色空間変換部170は、RGB撮像データD0においてRGB色座標系に基づき記述されてなる各画素の色濃度値を、上記の関係式に基づき変換することによって、全ての画素の画素値がHSV色座標系に基づき記述されてなるHSV撮像データD1を生成する。HSV撮像データD1は画素位置情報(座標)をキーとしてRGB撮像データD0と紐付けられたデータである。
【0058】
なお、上記関係式で得られる色相Hの値Hiについては、色相環に対応して0≦Hi≦360なる範囲の値となるが、これを256階調に規格化した、規格化色相値Hnを、Hiの代わりに用いる態様であってもよい。この場合、近似的には、
Hn=(256/360)・Hi
である。
【0059】
本実施の形態に係る計測装置100においては、撮像部110による撮像により得られたRGB撮像データD0そのままではなく、当該データを色空間変換部170にて変換したHSV撮像データD1が、撮像画像IM1から乳剤膜2の形成領域を抽出するにあたっての実際の処理に利用される。これは、撮像画像IM1には上述のようなスクリーンメッシュ4の透過の有無に起因した濃淡(色味の相違)が生じていることを、考慮したものである。なお、たとえ上述のように均等に照明光が照射された状態で撮像画像IM1が得られていたとしても、撮像場所や場所の相違に起因して濃淡が生じる可能性もある。
【0060】
RGB撮像データD0においては色相の相違に加え、明暗や鮮やかさの相違がRGB各色の色濃度値に直接に影響する。そのため、RGB撮像データD0を処理対象とした場合、濃淡のある部分は、たとえ色相に顕著な差異がないとしても、明暗や鮮やかさに起因する色濃度値の相違に基づき複数の領域が存在している部分と認識されてしまい、結果として、乳剤膜2の抽出が適切に行われない可能性がある。一方、明度成分および彩度成分が色相成分から分離されてなるHSV撮像データD1を処理対象とすることで、そのような明暗や鮮やかさの相違の影響は除外される。その結果として、撮像画像IM1においては濃淡がある領域として視認されるものの、本来的にはある単一の色相値となっているか、あるいはせいぜい当該色相値を中心とした所定の色相値の範囲内で色相の相違が生じるに留まる、乳剤膜2の形成領域を、より精度よく抽出することができる。
【0061】
抽出基準設定処理部180は、計測対象物の像から所定の領域を抽出する際に用いる基準(抽出基準)を設定する処理(抽出基準設定処理)を担う。抽出基準設定処理部180は、係る抽出基準設定処理の実行のために、範囲選択部181と、色相範囲特定部182とを備える。
【0062】
範囲選択部181は、計測装置100のオペレータが、表示部132に表示されている所定の像を視認しつつ操作部133を通じて当該像の任意の画素範囲を選択する(エリア指定する)ことを、可能とする部位である。計測装置100のオペレータは、表示部132に表示された撮像画像IM1において自らが選択しようとする範囲を確認しつつ、選択処理を行うことができる。係る範囲選択部181の作用によって、オペレータは、表示部132に表示された計測対象物の像を参照しつつ、抽出基準の設定に利用する画素範囲(小領域)を、当該像から選択することができる。係る場合において、表示部132に表示される計測対象物の像は、RGB撮像データD0によるものであってよいが、HSV撮像データD1によるものであってもよい。
【0063】
具体的な領域の選択の仕方は、操作部133の具体的構成要素(マウス、キーボード、タッチパネル、デジタイザなど)の種類に応じた適宜のものでよい。例えば、操作部133に含まれるマウスによるクリック操作およびドラッグ操作や、キーボードのカーソルキーその他によるキー操作や、スタイラスペンなどによるタッチパネルへの直接の書き込みなどが例示される。簡便性や汎用性の点からは、マウスの使用が好適である。
【0064】
また、選択される領域の形状は、任意の矩形、多角形、または円形であってよいが、不定形であってもよい。
【0065】
色相範囲特定部182は、HSV撮像データD1に基づいて、オペレータにより選択された領域に含まれる個々の画素の色相値を特定し、この特定された色相値の範囲を抽出基準として記述した抽出基準データD2を生成する。生成された抽出基準データD2は、領域抽出処理部190における抽出処理に利用される。
【0066】
領域抽出処理部190は、HSV撮像データD1が与える像から、抽出基準データD2に記述された抽出基準をみたす領域を抽出する処理を担う。領域抽出処理部190は、これらの処理のために、該当画素特定部191と、色相置換処理部192とを備える。
【0067】
該当画素特定部191は、HSV撮像データD1に含まれる全ての画素のうち、色相値が抽出基準データD2に抽出基準として記述された画素範囲に該当する画素を、特定する。係る処理にて特定された全ての画素が、HSV撮像データD1が与える像にて占める範囲が、抽出処理にて抽出された領域ということになる。
【0068】
色相置換処理部192は、該当画素特定部191によって特定された画素の色相値を、あらかじめ定めた色相値(好ましくは一の色相値)に置換することにより、処理対象データD3を生成する。
【0069】
計測処理部200は、処理対象データD3の表す像の任意の箇所を対象とした種々の計測処理の実行を、担う部位である。計測処理の具体的な内容は、個々のスクリーン印刷版10における乳剤膜2や開口部3の形成態様に応じて様々であり(例えば、開口部3の幅の計測、ランドの直径の計測など)、計測処理の実行には、種々の公知の手法が適用可能である。
【0070】
計測処理は、表示部132に処理対象データD3の表す像を表示させた状態で、オペレータが操作部133を操作しつつ当該像の任意の箇所のサイズを計測する態様であってもよいし、あらかじめ記憶部134に記憶されている計測処理プログラムにより自動処理として行われる態様であってもよい。
【0071】
計測処理部200は、計測処理の結果を計測データD4として生成する。
【0072】
<乳剤膜の形成領域の抽出処理>
次に、計測装置100において実行される、開口部3を含む乳剤膜2の撮像画像を対象としたスクリーン印刷版10の画像処理について説明する。係る画像処理は、具体的には、当該撮像画像から乳剤膜2の形成領域を抽出する処理である。図4は、係る画像処理の手順を示す図である。
【0073】
まず、処理対象とされるスクリーン印刷版10がステージ101上に載置される(ステップS1)。併せて、スクリーン印刷版10は、適宜の態様にて固定される。
【0074】
続いて、移動制御部160による制御のもと、移動機構100Mが動作することにより、乳剤膜2における抽出処理の対象範囲が撮像範囲に含まれるよう、撮像部110および照明部120が位置決めされる。そして、照明制御部150による制御に基づき照明部120が所定の態様にて照明光を照射した状態で、カメラ本体111によるスクリーン印刷版10の撮像が行われる(ステップS2)。
【0075】
撮像は、撮像処理部140による制御のもと、鏡筒112内の光学系113が適宜に調整されたうえで、カメラ本体111により実行される。撮像により生成されるRGB撮像データD0は、撮像処理部140から色空間変換部170に受け渡される。図3に示した撮像画像IM1が、RGB撮像データD0により表される撮像画像の一例であるとする。
【0076】
色空間変換部170は、上述した公知の関係式に従って、図3に示した撮像画像IM1を与えるRGB撮像データD0においてRGB色座標系に基づき記述された各画素の色濃度値を、HSV色座標系に基づく記述に変換し、HSV撮像データD1を生成する(ステップS3)。HSV撮像データD1により表される像の内容は撮像画像IM1と実質的に同じであるので、以降においては便宜上、図3に示した撮像画像IM1を、HSV撮像データD1により表される画像としても、取り扱うものとする。
【0077】
HSV撮像データD1が生成されると、続いて、抽出基準設定処理部180の作用により、スクリーン印刷版10の像から乳剤膜2の形成領域を抽出する際の抽出基準を設定するための、抽出基準設定処理がなされる。
【0078】
まず、範囲選択部181が、撮像画像IM1をRGB撮像データD0またはHSV撮像データD1に基づき表示部132に表示させるとともに、計測装置100のオペレータが操作部133を操作して、表示部132に表示された撮像画像IM1の任意の画素範囲を選択することが可能な状態を実現する。
【0079】
係る状態が実現されると、オペレータは操作部133を用いて、表示部132に表示されている撮像画像IM1を視認しつつ、当該撮像画像IM1における乳剤膜2の形成領域から、領域抽出の基準設定に利用する画素範囲(小領域)を選択する操作を行う(ステップS4)。図5は、操作部133として備わる図示しないマウスでのオペレータのドラッグ操作によって、矩形領域REが選択されたときの、撮像画像IM2を示す図である。
【0080】
概念的あるいは観念的にいえば、オペレータによる範囲選択は、撮像画像IM1のうち、抽出したい領域(本実施の形態では乳剤膜2)の像の代表例あるいはサンプルを、計測装置100に把握させる処理ともいえる。それゆえ、オペレータは、少なくとも、撮像画像IM1において乳剤膜2に含まれていると自身が視認する画素範囲(小領域)を選択する。好ましくは、オペレータは、乳剤膜2の典型的な様子が好適に現れていると自らが判断する画素範囲(小領域)を選択する。
【0081】
図3に示した撮像画像IM1の場合であれば、乳剤膜2の像においては、直下に格子状に存在するスクリーンメッシュ4が透過している部分と係る透過のない部分とからなる濃淡が繰り返されていることから、オペレータは、係る濃淡の繰り返しを相当程度含むように、範囲選択を行うのが好ましい。図5に示した矩形領域REは、それぞれの部分を十分に含む例となっている。もちろん、さらに広い範囲が選択されてもよい。あるいは、互いに離隔した複数の矩形領域REが選択される態様であってもよい。一方で、開口部3が含まれるような範囲選択は好ましくない。
【0082】
オペレータによる範囲選択がなされると、これに応答して、色相範囲特定部182が、HSV撮像データD1の記述内容に基づいて、矩形領域REに属する全ての画素の色相値が占める色相範囲を特定し、当該範囲を抽出基準として設定する(ステップS5)。その際、色相範囲特定部182は、設定した抽出基準を記述した抽出基準データD2を生成する。
【0083】
なお、RGB撮像データD0とHSV撮像データD1とは色濃度値の記述の仕方が異なるのみであって画素は共通しているので、オペレータによる範囲選択の対象としている撮像画像IM1がRGB撮像データD0に基づく場合であっても、選択範囲に属する画素が特定されさえすれば、色相範囲特定部182による色相範囲の特定は問題なく行われる。
【0084】
図6は、図5に示した矩形領域REに属する全ての画素の色相値についてのヒストグラムHG1を示す図である。ただし、図6においては、色相値としては規格化色相値が用いられている。係るヒストグラムHG1において度数が0ではない色相範囲ΔHaが、抽出基準として設定される。図6に示すような、ピークを有しつつ色相範囲に所定の広がりを有するヒストグラムHG1が得られるということは、矩形領域REにおける色相は単一ではないものの、ピーク中心の色相値を主とした、所定の色相値の範囲内にあることを、意味している。
【0085】
なお、乳剤膜2によっては、複数のピークが現れる場合もあり、さらには、度数が0ではない色相範囲ΔHaが相異なる複数の範囲に分かれる場合もある。その場合、それら複数の範囲全てが抽出基準となる。
【0086】
抽出基準データD2が生成されると、続いて、領域抽出処理部190により、抽出基準データD2に記述された抽出基準に該当する画素の特定と、特定された画素の色相値を置換する処理とが行われる。
【0087】
まず、該当画素特定部191が、HSV撮像データD1の記述内容を参照し、撮像画像IM1を構成する全ての画素のうち、色相値が抽出基準として設定された色相範囲に属する画素を特定する(ステップS6)。
【0088】
続いて、色相置換処理部192が、HSV撮像データD1に記述されてなる、該当画素特定部191によって特定された画素の色相値を、撮像画像IM1に実質的に現れていないとみなせる、もしくは、乳剤膜2およびスクリーンメッシュ4の色相値には含まれない、ある(好ましくは一の)色相値と置換する(ステップS7)。さらに、領域抽出処理部190は、色相置換処理部192による置換の結果に基づいて、処理対象データD3を生成する(ステップS8)。
【0089】
図7は、該当画素特定部191により特定された画素が占める範囲を黒色にて示す二値画像IM3aと、色相置換処理部192による置換後の像IM3bとを、例示する図である。図8は、置換前の撮像画像IM1を構成する全ての画素についてのヒストグラムHG2を示す図である。ただし、図8においても、色相値としては規格化色相値が用いられている。
【0090】
図7(a)に示す二値画像IM3aにおいては、該当画素特定部191によって特定された全ての画素の占める領域2bkが黒色にて表されている。なお、二値化は説明の便宜上のものであり、当該領域2bkを黒色にすることは必須ではない。また、図7(b)においては、当該領域2bkに属する画素の色相値(もしくは規格化色相値)が、色相置換処理部192によって0なる色相値(もしくは規格化色相値)にて置換にされている。なお、図示の制約上、図7(b)からは看取できないが、0なる色相値(もしくは規格化色相値)は赤色に相当する。
【0091】
図3図7とを対比すると、図7(a)に示す像IM3aにおける黒色領域2bkおよび図7(b)に示す像IM3bにおいて画素の色相値が0となっている(色相値が0に置換された)領域2αは、図3に示す撮像画像IM1における乳剤膜2の形成領域とほぼ一致している。
【0092】
これはすなわち、色相置換処理部192による色相値の置換により形成されてなる像IM3bの領域2αが、撮像画像IM1から抽出された乳剤膜2の形成領域に相当するということを意味しており、ひいては、該当画素特定部191によって領域2αに含まれることになる画素を特定することで、乳剤膜2の形成領域が抽出されることを、意味している。それゆえ、領域2αを乳剤膜相当領域2αとも称する。
【0093】
また、図8に示すヒストグラムHG2においては、図6に示した色相範囲ΔHa以外の範囲にも度数を有する画素が存在する一方で、いずれの色相範囲とも異なる、規格化色相値が少なくとも0~40なる色相範囲ΔHbにおいては、度数が実質的に0である。それゆえ、色相置換処理部192による置換に、係る色相範囲ΔHbから選択した色相値を採用しても、乳剤膜2の形成領域以外における色相値には影響は生じない。図7(b)に示す像IM3bを得るに際して0なる色相値が採用されているのは、この点を踏まえたものとなっている。すなわち、色相置換処理部192による色相値の置換には、乳剤膜2の形成領域として抽出された乳剤膜相当領域2αの、他の領域との識別性を高める、強調表示としての効果もある。
【0094】
以上のことは、スクリーン印刷版10における乳剤膜2の形成領域が、領域抽出処理部190における、抽出基準データD2に基づく抽出処理によって、乳剤膜相当領域2αとして好適に抽出されることを意味する。
【0095】
なお、上述した0なる色相値による置換はあくまで例示である。色相置換処理部192における実際の置換に使用する色相値の具体的な値は、計測装置100のオペレータが撮像画像IM1に基づきあらかじめ適宜に設定してもよいし、HSV撮像データD1に記述されてなる個々の画素の色相値に基づいて、色相置換処理部192が設定する態様であってもよい。また、色味のない、白または黒に置換されてもよい。ただし、好ましくは、後工程の計測処理に際して、乳剤膜相当領域2αの特定や乳剤膜相当領域2αと開口部3との境界部分の識別が容易となるように、置換に用いる色相値が選択される。
【0096】
処理対象データD3は、色相置換処理部192による置換処理後の像IM3bを与える、HSV色座標あるいはRGB色座標にて記述されたデータそのものであってもよいし、計測処理部200により実行される計測の内容によっては、当該データをさらに加工したデータであってもよい。後者としては例えば、像IM3bから乳剤膜相当領域2αのエッジ部分を抽出したデータなどが例示される。
【0097】
また、像IM3bにおいては乳剤膜2の形成領域が乳剤膜相当領域2αに置換されているが、これに代えて、乳剤膜2の形成領域以外の領域が、単一の色相値あるいは白または黒に置換されてもよい。
【0098】
あるいは、図7(a)に示す像IM3aのように抽出画素の占める領域2bkが黒色にて示された二値化画像を与えるデータが、処理対象データD3とされてもよい。
【0099】
あるいはさらに、抽出された乳剤膜2の形成領域を視認容易に区別する態様として、色相置換処理部192による置換処理に代わる種々の手法が適用されてもよい。例えば、当該領域の境界部分(端部)のみが特定の色相値にて示される態様や、当該境界部分が表示部132にて点滅表示される態様などの、強調表示手法が、適用されてよい。
【0100】
あるいはさらに、処理対象データD3にレイヤー構造を与え、置換前のスクリーン印刷版10の像と、乳剤膜相当領域2αの像あるいはこれを加工した像とが、相異なるレイヤーにて表現されるようになっていてもよい。係る場合、計測処理は後者のレイヤーを対象に行えばよい。
【0101】
計測処理部200により行われた計測処理の結果は、計測データD4として出力される。
【0102】
乳剤膜相当領域2αは単一の色相値からなる領域であるので、たとえ元の乳剤膜2の形成領域と同様、スクリーンメッシュ4の存在に起因して微視的には凹凸が存在しているとしても、その形状の特定、例えばエッジ部分の特定は、容易かつ確実に行える。
【0103】
なお、図6に示した、オペレータにより選択された図5の矩形領域REに属する全ての画素の色相値についてのヒストグラムHG1と同様、図8に示す、置換前の撮像画像IM1を構成する全ての画素についてのヒストグラムHG2においても、色相範囲ΔHaにピークが存在する。それゆえ、一見すると、あえてオペレータによる範囲選択を行わずとも、図8に示すような撮像画像IM1についてのヒストグラムから、領域抽出の基準設定に利用する色相範囲を特定できるようにも思料される。しかしながら、この場合、どの色相値までが乳剤膜2の像に由来しているかが、必ずしも明確ではないことがある。例えば、図8に示すヒストグラムHG2の場合であれば、低色相値側で色相範囲ΔHaに隣接する範囲(具体的には色相値が170~180程度の範囲)においても、度数は0ではない。そのため、図8に示すヒストグラムHG2からは、少なくとも、乳剤膜2の像に相当する色相範囲の下限値を正確に定めることは困難である。せいぜい、曖昧さを残しつつ適宜の値に設定することができるに過ぎない。
【0104】
例えば、オペレータが人為的に設定する場合、個人差が生じる可能性が高い。設定の仕方によっては、最終的に特定される乳剤膜相当領域2αは、実際の乳剤膜2の形成範囲と必ずしも十分に対応していない可能性も考えられる。また、判別分析法などの統計的処理手法を利用することで人為的なばらつき要因を排除する対応も考えられるが、必ずしも実際の像の様子が反映されず、精度のよい領域抽出が行えない場合もある。
【0105】
本実施の形態に係る手法は、このような曖昧さに起因した領域抽出の不正確さを排除している点で好適である。
【0106】
一方で、本実施の形態に係る手法の場合、抽出基準設定のためのオペレータによる範囲選択には形状、サイズ、面積などに任意性がある。しかしながら、乳剤膜2の形成範囲からの選択がなされる限り、選択された画素範囲(小領域)に含まれる画素に基づくヒストグラムについては、度数の大小にこそ図6に示したヒストグラムHG1との相違があるとしても、度数が0ではない色相範囲ΔHaには実質的な差異が生じる可能性は小さい。しかも、乳剤膜2の形成範囲全てを選択する必要もない。また、マウス等による簡便な範囲選択も可能である。
【0107】
よって、本実施の形態に係る手法は、乳剤膜2の形成領域の特定について、簡便性と冗長性とを兼ね備えているということができる。
【0108】
また、図9は、比較のために示す、撮像画像IM1を与えるRGB撮像データD0からR成分のみを抽出し、さらに二値化することにより得られる像IM1rを示す図である。像IM1rにおいては、図7(b)における乳剤膜相当領域2αと同様の乳剤膜相当領域2βが黒色領域となっていることに加えて、パターン開口部3におけるスクリーンメッシュ4の像も、黒色となっていることが確認される。なお、図示は省略するが、G成分、B成分についても、像IM1rと同様の像が得られることが、確認されている。係る像から乳剤膜2の形成領域のみを抽出しようとすると、スクリーンメッシュ4の像を乳剤膜相当領域2βから分離する処理が必須となる。
【0109】
このことは、RGB撮像データD0のR成分、G成分、またはB成分の像を用いて乳剤膜2の形成領域のみを直接に抽出することは容易には行い得ないということを、さらには、本実施の形態に係る手法の方が抽出の確実性(精度)および簡単性(容易さ)の点で優れていることを、示している。
【0110】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、スクリーン印刷版においてスクリーンメッシュ上に塗布形成されてなるとともに一部にスクリーンメッシュの露出する開口部を有する乳剤膜の撮像画像を視認しつつ、スクリーンメッシュの透過の有無に起因した濃淡が繰り返される部分を含むようにその一部範囲を選択する、という簡便な処理によって、乳剤膜の形成領域の全体を好適に抽出することができる。
【0111】
特に、色相に基づく処理を行うことで、RGB各色の色濃度値に基づく処理を行う場合に問題となる、濃淡が繰り返される部分における明暗や鮮やかさの相違の影響が排除されるので、撮像画像において濃淡の生じている乳剤膜の形成領域の全体につき、精度のよい抽出が実現される。さらには、抽出された形成領域を計測の対象とすることで、開口部の形状等、スクリーン印刷版の各部の形状を精度よく計測することが可能となる。
【0112】
<変形例>
上述の実施の形態においては、オペレータが選択した範囲に属する全ての画素についての色相値から定まる色相範囲をそのまま抽出基準としているが、色相値が当該色相範囲の下限近傍および上限近傍である画素は、乳剤膜ではなくノイズに由来する可能性があることから、その影響を排除するべく、当該色相範囲の下限および上限の数%(例えば5%)程度を、抽出基準の設定に際して除外する態様であってもよい。
【0113】
上述の実施の形態における画像処理は、スクリーン印刷版の像を処理対象とし、かつ、後工程における計測の精度向上を目的としているが、これは必須の態様ではない。当該画像処理は少なくとも、所定の画像から、濃淡のある部分が繰り返されてなる領域を抽出する際に、汎用的に適用が可能である。
【0114】
<抽出処理の応用例>
上述の実施の形態における一連の画像処理の対象とされているのは、スクリーンメッシュ4の透過の有無に起因した濃淡の繰り返しがある乳剤膜2の像であるが、係る画像処理は、対象物に生じている濃淡にそのような繰り返しがなくとも、換言すれば濃淡が周期的ではなくとも、好適に適用できる場合がある。
【0115】
また、抽出処理は、必ずしも後工程として計測処理を伴わずともよく、目視やパターンフィッティングなどによって、欠陥や異常状態などが発見・検出可能であれば足りる場合もある。
【0116】
図10は、下地である金属板50の主面(下地面)上に所定のパターン形成処理を施すことにより形成されたラインパターン51に対し上述の実施形態と同様の画像処理を適用した場合の様子を示す図である。パターン形成処理としては、膜形成処理や着色処理などが例示される。
【0117】
図10(a)は、撮像部110による金属板50のRGB撮像データD0に基づく撮像画像IM4aである。撮像画像IM4aには、ラインパターン51の一部(直角に屈曲した部分)が含まれている。なお、撮像画像IM4aは本来、カラー画像であり、該カラー画像においては、金属板50は概ねクリーム色からベージュに視認され、ラインパターン51は概ね青色から紺色に視認される。
【0118】
撮像画像IM4aからは、金属板50の表面に加工痕52が生じていることが確認される。加工痕52は、ラインパターン51の形成に先立つ金属板50の加工時(例えば研磨時)に形成されたものであり、図面視縦横に筋状に、不規則な(ランダムな)間隔、長さ、および太さにて存在する。
【0119】
より詳細には、加工痕52の一部はラインパターン51の下地部分にも存在する。これを特に下地加工痕52aと称する。そして、ラインパターン51においては、このような下地加工痕52aがランダムに存在することに起因して、全体としては概ね一様な青色から紺色であるものの、色味がわずかに相違する部分がランダムに生じている。換言すれば、不規則な濃淡が視認される。
【0120】
図10(b)は、このような撮像画像IM4aを対象として、上述の実施形態と同様の色空間変換処理と、オペレータがラインパターン51の一部範囲(小領域)を選択することによる抽出基準設定処理と、設定された抽出基準に基づく抽出処理、および抽出処理結果に基づく置換処理とがなされることで得られた、像IM4bである。なお、繰り返しの濃淡が視認される撮像画像IM1とは異なり、撮像画像IM4aの場合、濃淡は不規則であるため、オペレータによる一部範囲(小領域)の選択は、係る濃淡が相当程度含まれるように、なされることが好ましい。
【0121】
像IM4bにおいては、該当画素特定部191によって特定された(抽出された)画素の色相値(もしくは規格化色相値)が、色相置換処理部192によって赤色に相当する0なる色相値(もしくは規格化色相値)にて示されている。以下、当該画素からなる領域を、被抽出領域51αとする。被抽出領域51α以外の領域については、白色とされている。
【0122】
係る像IM4bにおける被抽出領域51αの存在範囲は概ね、図10(a)に示す撮像画像IM4aにおけるラインパターン51の存在位置と合致している。特に、図10(b)においては、被抽出領域51αのうち円Cにて囲む範囲において突出部分が存在するが、これは、撮像画像IM4aにおいてラインパターン51から突出する欠陥部分51aに対応したものである。
【0123】
このことは、上述の実施の形態に係る一連の画像処理を適用することにより得られた像を観察することによって、ラインパターン51における欠陥の発生の有無を検査することが可能であることを意味している。
【0124】
すなわち、上述の実施の形態における一連の画像処理を適用することで、濃淡が周期的に生じている領域に限らず、ラインパターン51のように不規則な濃淡が生じている領域であっても、好適に抽出することが可能である。
【0125】
仮に、図10(a)に示す撮像画像IM4aに対し特許文献1に記載されているような二値化処理を施すことによって、ラインパターン51の抽出(特定)を試みた場合、金属板50自体に存在する加工痕52とパターン形成処理によって形成されたラインパターン51との判別が困難となる。これに対し、上述の応用例のような、色相を利用した画像処理方法によれば、加工痕52が存在している場合であっても、金属板50の上にパターン形成処理が施されることによって形成された領域(ラインパターン51)を、簡便な手法で確実に抽出することができる。
【0126】
以上を踏まえると、上述の実施の形態における一連の画像処理は、撮像すると「周期的なまたは不規則な濃淡」として写る下地面上に所定のパターンが形成されてなるものの像を処理対象とする場合に、好適であるといえる。そのようなものには、メッシュスクリーン、擦痕、凹凸のある表面、光沢のある表面などがある。特に、従来の二値化処理では下地由来の明暗とパターンの判別が困難であった、撮像すると明暗が混在して写るタイプの下地面にパターン形成処理が施されてなるものが対象となる場合に、優位性があるといえる。
【符号の説明】
【0127】
1 版枠
2α 乳剤膜相当領域
2 乳剤膜
3 開口部(パターン開口部)
4 スクリーンメッシュ
4x 横糸
4y 縦糸
10 スクリーン印刷版
50 金属板
51 ラインパターン
52 加工痕
52a 下地加工痕
100 計測装置
100M 移動機構
101 ステージ
110 撮像部
111 カメラ本体
112 鏡筒
113 光学系
120 照明部
121 同軸照明
122 リング照明
123 透過照明
130 処理装置
図1
図2
図3
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図5
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図10