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特許7082430活性籾殻フィルター、フィルター媒体、および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】活性籾殻フィルター、フィルター媒体、および方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20220601BHJP
   B01J 20/282 20060101ALI20220601BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20220601BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20220601BHJP
   B01J 39/24 20060101ALI20220601BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B01J20/20 D
B01J20/282 J
B01J20/28 Z
B01J20/30
B01J39/24
C02F1/28 B
C02F1/28 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020143093
(22)【出願日】2020-08-27
(62)【分割の表示】P 2019567228の分割
【原出願日】2018-02-20
(65)【公開番号】P2020196011
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/464,009
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519309016
【氏名又は名称】グランリス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GLANRIS, INC
【住所又は居所原語表記】11042 Wildwood Dr, Olive Branch, MS 38654 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ルイス リン
(72)【発明者】
【氏名】リ-ユ リン
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4676907(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/34
C02F 1/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液から汚染物質を除去するためのイオン交換媒体であって、
40パーセントを超えるケイ素含有量を有さない、少なくとも部分的に炭化させた元のままの籾殻からなる繊維を備え、
前記汚染物質は、複数の重金属からなる、
イオン交換媒体。
【請求項2】
前記重金属は、亜鉛、クロムおよびニッケルを含み、
亜鉛の吸着容量は、4mg/gであり、
クロムの吸着容量は、5mg/gであり、
ニッケルの吸着容量は、12mg/gである、
請求項1に記載のイオン交換媒体。
【請求項3】
前記重金属は、鉛および銅を含み、
鉛の吸着容量は、7mg/gであり、
銅の吸着容量は、10mg/gである、
請求項1に記載のイオン交換媒体。
【請求項4】
溶液から汚染物質を除去するためのイオン交換媒体であって、
0.1mm~2mmの範囲の長さを有する繊維備え、
前記繊維は、40パーセントを超えるケイ素含有量を有さない、少なくとも部分的に炭化させた元のままの籾殻からなり、
空隙率が0.4~0.55であり、比表面積が400m /g~500m /gである、
イオン交換媒体。
【請求項5】
シルト密度指数が50μmであり、表面電荷密度が0.01クーロン/cmである、
請求項4に記載のイオン交換媒体。
【請求項6】
前記汚染物質は、複数の重金属からなる、
請求項4に記載のイオン交換媒体。
【請求項7】
溶液から汚染物質を除去するための装置であって、
請求項1に記載のイオン交換媒体、および、請求項4に記載のイオン交換媒体によって、その内部容積の少なくとも過半量が満たされるハウジングを備える、
装置。
【請求項8】
イオン交換プロセスによって溶液から複数の重金属を除去する方法であって、
前記複数の重金属を繊維に結合させるために、40パーセントを超えるケイ素含有量を有さない、部分的に炭化させた籾殻から本質的になる前記繊維に前記溶液を接触させるステップと、
前記複数の重金属を解放するために、前記繊維を処理するステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における主題は、一般に、水濾過の分野に関する。本明細書における主題は、特に、水処理中に毒性化合物を除去するためのシステム、装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重金属、揮発性有機化合物(VOC)、準揮発性有機化合物(SVOC)、殺虫剤、および除草剤などの毒性化合物の除去は、水処理において最も困難な課題の1つである。適切な廃棄のために廃水からこれらの毒性化合物を除去することは、十分な環境を保証するために重要であり、不十分な廃水処理プロセスの結果として生じる費用のかかる改善対策を回避するために、公衆衛生保護対策が取られている。
【0003】
現在知られており利用されているプロセスおよび材料は、優先汚染物質を除去する能力が限定されている。さらに、これらの現在の解決策は、媒体の処理、および汚染された水のフィルター媒体への圧送との両方において、費用がかかり、エネルギー集約的であり、有効寿命の終了に到達した後に濾過媒体を廃棄する必要がある場合には、貴重な埋立用地が使用される。重金属を除去するための廃水処理に使用される現在普及している処理技術としては、逆浸透(RO)、イオン交換樹脂、活性炭吸着、ならびに化学的凝固および凝集が挙げられる。しかし、本明細書で以下にさらに記載されるように、これらの周知の技術的解決策のそれぞれは、本明細書に開示される本発明の主題によって対処される多くの制限を有する。
【0004】
水の濾過のために逆浸透と呼ばれる濾過技術の使用が知られており、この技術は、住宅用の水処理システムへの使用にさえも適合している。逆浸透濾過システムでは、濾過される液体から汚染物質を除去するために半透膜が使用される。しかし、逆浸透は、処理される液体からの油、グリース、溶解したほこりおよび/またはシルト、ならびに重い有機材料(たとえば、藻類、植物プランクトン、植物の残骸、および塩素)の存在は許容できず、それらの除去には効果がない。実際、油、グリース、溶解したほこりおよび/またはシルト、ならびに重い有機材料は逆浸透材料をふさぐので、十分な濃度でこのような汚染物質が廃水源中に存在する場合は逆浸透は機能しない。さらに、逆浸透は、濾過される水の廃水が25パーセント多く生成することによるさらなる欠点を有し、そのため生成したこの廃水は、ある方法でさらに処理する必要がある。
【0005】
別の周知の廃水処理技術の1つはイオン交換樹脂(IER)であるが、この技術も油、グリース、および有機材料の除去を許容できず、それらの除去に効果がないという欠点を有する。さらに、IERが有効となるためには、除去可能である限定された汚染物質を除去するために、非常に少ない流量で操作する必要がある。結果として、IERは、あらゆる種類の工業規模で有効に処理するために非常に大量に必要であり、有効な処理のためにより長い水の保持時間が必要となる。IERは、その実施に関連するコストも非常に高く、濾過媒体の製造のための原材料が化石燃料に依存しており、濾過媒体の廃棄のコストが高く、多くの用途で再利用するために濾過媒体をさらに処理する能力は不十分である。さらに、IERは、毒性の酸および化学物質を用いて再生(たとえば、回復)を行う必要があり、それによって洗浄プロセス中にさらに廃水が生成される。したがって、IER濾過システムからの安全な廃棄および洗浄は、それ自体が二次的な環境汚染源となる。
【0006】
従来の粒状活性炭(GAC)は、廃水からの重金属の除去において最も一般的に使用されているフィルター媒体である。重金属を除去するGACの能力は、あったとしてもごくわずかでのみが示されているが、にもかかわらずGACはそれらの除去に最適の媒体と広く考えられている。しかし、GACは油またはグリースの除去に使用することはできないが、廃水からの有機および無機化学物質の除去には有効である。既に知られているように、GACは典型的には、籾殻灰、ヤシ殻、動物の骨、および/または貝殻の原料物質から製造される。この原料物質は、最初に粉砕され、次に焼いて灰(たとえば、小さな粒子)にされ、その後、結果として得られるGAC製品を製造するために毒性化学物質で最終処理が行われる。粒度が小さいと、工業設備を詰まらせるので、この方法はうまくいかない。フィルター媒体中に使用するためのGACの製造に必要なエネルギー消費および時間のために、GACも非常にコストのかかる媒体である。さらに、GACの製造に使用される製造プロセスは、依然として費用がかかり、そのコストは、原材料費の高騰のため、時間が経つにつれ実際に高くなっている。
【0007】
凝固剤を用いた処理などの化学処理は、時間がかかり、費用がかかり、不明確であり、処理のための廃水の封じ込め、化学処理剤の混合、溶液から抽出された汚染物質の沈殿、およびこれらの汚染物質の乾燥のための大量の設備が必要である。これらの化学処理プロセスのそれぞれも、過剰の水を押し出し、除去された汚染物質からの水を、加熱によっておよび/または対流蒸発によって乾燥させるために、比較的大量のエネルギーを消費し、汚染物質は処理中に除去される。さらに、汚染物質の乾燥した「ケーキ」は、重く、廃棄のための輸送に費用がかかり、処理前の廃水中の以前には汚染物質であったその中に含まれる有用となりうる資源の回収は容易ではない。
【0008】
さらに、逆浸透、GAC、および化学処理を用いた周知の濾過の解決策によると、このような濾過技術は、処理ユニットに廃水を強制的に通すための液圧システムを必要とする。このようなシステムに固有のヘッド圧力損失を克服するために消費されるエネルギーが多いので、そのような処理技術と関連する費用がかさむ。使用される濾過技術とは無関係に、逆浸透からの二次廃水、GACもしくはIERによる使用済みのフィルター媒体、または汚染物質「ケーキ」のいずれかである廃棄物が生成し、さらなる処理または廃棄が必要となる。濾過媒体が使用済みの場合(たとえば、濾液で十分に飽和したので、もはや有効なフィルターではない)、この使用済みの濾過媒体を埋立地に埋める必要があり、それに関連する費用がさらにかさむ。さらに、この廃棄副生成物は、使用済みの濾過媒体、廃水、または汚染物質「ケーキ」のいずれであっても、適切に廃棄されなければ、それ自体が場合により環境的に危険になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改善された有効性と、廃水からの毒性汚染物質の除去におけるより少ない関連コストとを有する改善された代替の濾過媒体、濾過システム、および濾過方法の開発の強い商業的および環境的要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に開示される本発明の主題は、水から汚染物質を除去するように構成された活性炭濾過媒体を含む。40パーセントを超えるケイ素含有量を有しない元のままの非粒子状炭化籾殻でできた活性炭濾過媒体製品、ならびに採掘、石油およびガスの探査、および抽出、農業、および製造などの種々の工業または製薬プロセスの副生成物として生成される廃水などの水溶液から汚染物質を除去するための濾過システムおよび方法。さらに、このフィルター媒体は、飲用水の処理、または工業的使用のための水の前処理に使用することができる。一態様では、本発明は、水、特に重金属、油、イオン、グリース、VOC、SVOC、殺虫剤、および除草剤、または別の汚染物質の1つ以上を含む水から汚染物質を除去するように構成された活性炭濾過媒体製品を含む。
【0011】
この濾過媒体製品は、40パーセントを超えるケイ素含有量を有さない炭化籾殻でできており、この製品は:有機繊維材料を提供するステップと;この有機繊維材料を熱源に曝露するステップと;有機繊維材料を少なくとも部分的に炭化させるために約250℃~約550℃の間の温度に有機繊維材料を加熱するステップと;有機繊維材料を熱源から移動させるステップと;活性炭濾過媒体製品を製造するために、有機繊維材料を周囲温度まで冷却するステップとを含むプロセスによって製造される。
【0012】
別の一態様では、本発明は、水、特に重金属、油、グリース、VOC、SVOC、殺虫剤、および除草剤の1つ以上を含む廃水から汚染物質を除去するためのフィルターを含み、このフィルターは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有するハウジングと、濾過媒体とを有する。
【0013】
さらに別の一態様では、本発明は、水から汚染物質を除去するように構成された濾過システムを含み、この濾過システムは、少なくとも1つのフィルターと;少なくとも1つのフィルターの少なくとも1つの中の出口における少なくとも1つの水試験装置と;少なくとも1つのフィルターの1つ以上の中に流体流を誘導するための少なくとも1つの弁とを有する。
【0014】
特に、新規主題は、水から汚染物質を除去するように構成された濾過システムを含む。この濾過システムは以下のものでできている:第1の活性炭濾過媒体製品、第1の活性炭濾過媒体製品の出口における第1の水試験装置;および第1の活性炭濾過媒体製品中に流体流を誘導するための少なくとも1つの弁、第1の活性炭濾過媒体製品は、その出口に配置された第1レベル水試験装置を有する;ならびに第2の活性炭濾過媒体製品、第2の第1レベル水試験装置;および第2の活性炭濾過媒体製品中に流体流を誘導するための少なくとも1つの弁、ここで第2の炭濾過媒体製品、ここで第1の活性炭濾過媒体製品および第2の活性炭濾過媒体製品は互いに対して並列に配列され;水は第1の活性炭濾過媒体製品または第2の活性炭濾過媒体製品の入口に流入する。
【0015】
さらに別の一態様では、本発明は、廃水中の汚染物質レベルを低下させる方法であって:少なくとも1つの活性炭濾過媒体製品でできたフィルター装置に廃水を圧送して濾過水を得るステップと;濾過水の汚染物質の試験を行うステップと;濾過水を第2の濾過媒体製品まで送って、より低いパーセント値の汚染物質を有する濾過水を得るステップとを含む方法を含む。
【0016】
本明細書に開示される主題のいくつかの態様を以上に記載しており、本明細書に開示される主題によって全体的または部分的にそれらが実現されるが、添付の図面と関連させた場合に、以下に最も良く記載されるように、説明を続けることで、他の態様が明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書における開示による、濾過媒体の第1の例示的実施形態の製造方法のフローチャートである。
図2】本明細書における開示による、濾過媒体の第2の例示的実施形態の製造方法のフローチャートである。
図3】本明細書における開示による、濾過媒体の第3の例示的実施形態の製造方法のフローチャートである。
図4】本明細書における開示による、濾過媒体の第4の例示的実施形態の製造方法のフローチャートである。
図5】本明細書における開示による、フィルター装置の例示的一実施形態の概略図である。
図6】本明細書における開示による濾過システムの第1の例示的実施形態である。
図7】本明細書における開示による濾過システムの第2の例示的実施形態である。
図8】本明細書における開示による濾過システムの第3の例示的実施形態である。
図9】本明細書における開示による濾過システムの第4の例示的実施形態である。
図10】本明細書における開示による図9の濾過システム中に示されるフィルターの例示的一実施形態の概略図である。
図11】拡大された活性炭濾過媒体、すなわち901Yを構成する元のままの籾殻の白黒写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを記述することを目的としており、本明細書に開示される主題の限定を意図したものではない。以下の用語は当業者によって十分理解されていると考えられるが、本明細書に開示される主題の説明を容易にするために、以下の定義が示される。
【0019】
本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、以下に別に定義されるのでなければ、当業者による一般的な理解と同じ意味を有することが意図される。本明細書に用いられる技術への言及は、当業者には明らかであるそれらの技術の変形、または同等技術の代替案を含めた当技術分野において一般に理解されている技術を意味することが意図される。以下の用語は当業者によって十分理解されていると考えられるが、本明細書に開示される主題の説明を容易にするために、以下の定義を示す。本明細書に開示される主題の記載において、多数の技術およびステップが開示されることを理解されたい。これらのそれぞれは個別の利点を有し、それぞれは、1つ以上、またはいくつ場合には全ての別の開示される技術と併用することもできる。
【0020】
したがって、明確にするために、この説明では、不必要な方法で個別のステップのそれぞれの可能な組合せの繰り返しは控えられる。しかし、本明細書および請求項は、このような組合せが完全に本発明および請求項の範囲内となることを理解した上で読むべきである。長く続いている特許法の慣習に従って、請求項を含む本出願において使用される場合に、「a」、「an」、および「the」という用語は「1つ以上」を意味する。したがって、たとえば、「1つのセル」(a cell)に対する言及は複数のそのようなセルを含む、などである。他に示されるのでなければ、本明細書および請求項において使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数字は、あらゆる場合で「約」という用語によって修飾されるものと理解すべきである。したがって、逆のことが示されるのでなければ、本明細書および添付の請求項に記載の数値パラメーターは、本明細書に開示される主題によって得ることが求められる所望の性質によって変動可能な近似値である。本明細書において使用される場合、組成、質量、重量、温度、時間、体積、濃度、パーセント値などの値または量に言及する場合の「約」という用語は、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%、およびいくつかの実施形態では±0.1%の指定の量からばらつきを含むことを意味するが、その理由は、このようなばらつきは、開示される方法の実施または開示される組成物の使用に適切となるからである。
【0021】
「含む」(comprising)という用語は、「含む」(including)、含む「containing」、または「特徴とする」(characterized by)と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の記載されない要素および方法ステップを排除するものではない。「含む」は、記載される要素が必須となるが、他の要素を加えることができ、それが請求項の範囲内の構造を依然として形成することができることを意味する請求項の用語に使用される専門用語である。本明細書において使用される場合、「からなる」という語句は、請求項中に明記されないあらゆる要素、ステップ、および成分を排除する。「からなる」という語句が、前文の直後ではなく請求項の本文の節に現れる場合、記載の要素は、その節で限定されるだけであり;他の要素は、全体としてその請求項から排除されるものではない。本明細書において使用される場合、「から本質的になる」という語句は、請求項の範囲を、明記される材料またはステップと、請求される主題の基本的で新規な特徴に実質的に影響を与えないものとに限定する。「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」という用語に関して、これら3つの用語の中の1つが本明細書において使用される場合、本明細書に開示され請求される主題は、別の2つの用語のいずれかの使用を含むことができる。本明細書において使用される場合、要素の列挙の文脈で使用される場合の「および/または」という用語は、それらの要素が単独または組合せで存在することを意味する。したがって、たとえば、「A、B、C、および/またはD」という語句は、A、B、C、およびDを個別に含むが、A、B、C、およびDのありとあらゆる組合せおよび副次的組合せをも含む。
【0022】
図(「FIG」とも記載される)1~11は、濾過システム、濾過媒体の製造方法、および水源から汚染物質を除去する方法の種々の例示的実施形態を示している。水源は、工業廃棄物前および後処理;製薬プロセスの前および後処理;都市における水の処理;ならびに飲用水および雨水の住宅用処理を含むことができる。
【0023】
一般に、重金属汚染物質で汚染されたほとんどの廃水には、粒子状および溶解した重金属汚染物質などのそのような重金属が存在する。汚染のレベルは広範囲で変動しうるが、処理を必要とするほとんどの廃水源は、約1~約1,000ppmの範囲の重金属汚染物質濃度レベルを有するであろう。籾殻の炭素含有量は、その化学組成中の主要な化学成分の1つである。典型的には、籾殻は、処理前には、40~50%のセルロース含有量、25~30%のリグニン含有量、15~20%の灰含有量、および8~10%の水分含有量を有する多くの一般的な有機繊維と同様の化学組成を有する。本発明の範囲から逸脱することなく、別の有機繊維材料を籾殻の代わりに使用できることに留意されたい。別の適切な有機繊維のいくつかの例としては、ピーナッツの殻、ヒマワリの種の殻、および/またはカボチャの種の殻が挙げられるが、これらに限定されるものではない。籾殻は、約0.5mm~約5mmの範囲の全体的なサイズ(たとえば、長さ)を有するが、この範囲外のサイズを有する籾殻も、濾過媒体として使用するための処理に適切となる。炭化させた有機繊維を処理することで、廃水からの汚染物質の除去に適切な活性炭媒体が形成される。
【0024】
籾殻から活性炭濾過媒体901Xを製造する方法の第1の例示的実施形態を図1のフローチャート中に概略的に示している。この第1の方法の第1のステップは、籾殻を密閉空間内に入れるステップを含む。いくつかの点では、密閉空間は、非常に大きく、大量の活性籾殻を製造するために高温で動作可能な種々の設備(たとえば、コンベヤベルトシステム、一連のトレイなど)を含む。次に、第2のステップは、内部に制限された酸素条件(たとえば、酸素が、熱分解中に存在する雰囲気の約2パーセント未満となる)を形成するために籾殻が収容される密閉空間から酸素を除去するステップと、加熱装置によってある時間籾殻を炭化させるステップと、炭化した籾殻を密閉空間から取り出すステップとを含む。籾殻の炭化は、約250℃~約550℃の間まで約1~10分の時間上昇させることによって行われる。籾殻の温度を約400℃の温度まで約1分の時間上昇させることが特に好ましいが、灰が生じる加熱の温度または長さではない。この条件は、媒体中に40パーセント以下のケイ素含有量、好ましくは25~40パーセントの間のケイ素含有量を有することによって確認することができる。本発明の活性炭濾過媒体は、以下の物理的性質を有する炭化有機非粒子状繊維である。
【0025】
【表1】
【0026】
炭化プロセス中、籾殻の表面領域は、活性炭濾過媒体を含むフィルターを通過する粒子状金属の捕捉および除去に適切な微孔質メッシュ構造でできた活性籾殻を形成する。活性炭によって濾過されたこれらの金属は、吸着プロセスによって除去することができ、それによって濾過媒体の再利用が可能となる。
【0027】
第2の活性炭濾過媒体901Yの製造方法の第2の例示的実施形態を図2のフローチャート中に概略的に示している。この第2の方法の第1のステップは、活性炭濾過媒体901Xを1N硝酸(HNO)溶液中に室温(たとえば、約25℃)で約1時間浸漬するステップを含む。第2のステップは、活性炭濾過媒体901Xを硝酸溶液から取り出すステップを含む。第3のステップは、酸処理した籾殻を約80~100℃の温度で約2時間乾燥させるステップを含む。酸処理の結果、活性炭濾過媒体901X上の酸の腐食作用によって、活性籾殻の構造がさらに劣化し、この劣化は、活性炭濾過媒体901Xの表面がより粗くなり、微孔質特性および有効表面積が増加する形態である。いくつかの実施形態では、有効表面積の増加は、約15~20パーセント以上である。活性炭濾過媒体901Yの物理的性質は活性炭濾過媒体901Xと類似している。硝酸プロセスによって、活性籾殻は、より空隙率が高くより広い表面積を有する。一般に、処理された籾殻の表面積は活性炭濾過媒体901Xよりも15~20パーセント広い、約500m/gまで増加する。図11を参照すると、活性炭濾過媒体901Yを構成する元のままの非粒子状籾殻が拡大されて示されている。
【0028】
【表2】
【0029】
第3の活性炭濾過媒体901Zの製造方法の第3の例示的実施形態を図3のフローチャート中に概略的に示している。第1のステップは、熱活性化させた活性炭濾過媒体901Xを、エチレンジアミン四酢酸(EDTA、C1016)、ポルトランドセメント(CaO)、および砂と1:1:3:3の比率(たとえば、1部のEDTA、1部の活性炭濾過媒体901X、3部のCaO、および3部の砂)で陽イオン樹脂として混合するステップを含む。第2のステップは、混合物を室温(たとえば、25℃)で約24時間乾燥させるステップを含む。別の一実施形態では、第2のステップは、第1のステップで製造された混合物を約80~100℃の間の温度に10~14時間加熱するステップを含む。より穏やかな温度を24時間未満の時間で使用して、高温と時間との中間の組合せを選択することも可能である。第3のステップは、ステップ2で得られた乾燥し凝集した混合物を粉砕して、個別の粒度を約2~5ミリメートル(mm)の範囲内にするステップを含む。
【0030】
籾殻から活性炭濾過媒体901-アルファ(または901-α)を製造する方法の第4の例示的実施形態を図4中のフローチャート中に概略的に示している。最初に、図1中に示されるプロセスによる活性籾殻を供給する。代表的な一例では、5グラムの活性籾殻をエタノール/ブタノールの80/20v/v混合物と混合して、籾殻を活性化させる。次に20重量パーセントのCaOHなどの塩を混合物に加えて籾殻の表面に結合させ、混合物を室温で約2時間浸透させる。カルシウムは交換樹脂中の陽イオンである。次に、4グラムのクロロ酢酸(ClCHCOH)などの弱酸を混合物に加えて、カルシウムを籾殻に結合させる。この混合物を1N塩酸(HCl)などの強酸で洗浄して、化合物を籾殻の表面にしっかり結合させ、次に約160℃(150~170℃)で数時間乾燥させると、活性炭濾過媒体901-アルファが形成される。
【0031】
【表3】
【0032】
活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファの実施形態の全体の処理は、前述の従来のGAC、IER、および/または化学処理のいずれかで必要となるよりも、はるかに少ないエネルギーを消費し、システム保守に必要な投資がはるかに少ないことに留意されたい。さらに、非常に硬質で大きな圧縮は不可能であるGACと比較すると、一般に約3:1~約5:1の範囲内の圧縮比で廃棄中に大きく圧縮される活性籾殻の固有の能力のため、使用済みの汚染された活性炭濾過媒体は、901X、901Y、901Z、および901-アルファのいずれの場合でも、従来のGACおよび逆浸透濾過媒体のいずれと比較しても、埋立地ではるかに少ない体積を占める。いくつかの実施形態では、圧縮比は、約10:1まで高くなることが確認されている。使用済みの活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファが圧縮されるこの能力によって、占有する埋立地の空間がより小さくなり、使用済みの活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファの廃棄のための輸送がより容易になり、より安価となる。さらに、圧縮前、一部の金属は、従来周知の抽出および浸出プロセスによって回収し再利用することができる。
【0033】
これより図5を参照すると、本明細書で前述したそれぞれの方法から得た活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファを用いる1つの濾過装置が示されている。図5から分かるように、活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファがハウジング中に充填され、その内部容積の少なくとも過半量が満たされる。いくつかの実施形態では、活性籾殻は、濾過媒体密度が約11.21~約32.04キログラム/立方メートル(kg/m)の間となるように充填される。これは、2003~2083キログラム/立方メートル(kg/m)の密度で充填する必要があるGACを用いる濾過装置に要求される密度と比較すると非常に好都合であることに留意されたい。したがって、図5の1つの濾過装置は、従来知られているようなGACを用いる濾過装置と比較すると、はるかに質量が小さく、はるかに容易に組み立ておよび設置が行われる。ハウジングは、あらゆる適切なプラスチックまたは金属などの内部に含まれる通常の使用圧力に耐えることができるあらゆる適切な材料でできていてよい。廃水の流入および処理水の流出を可能にするために、ハウジングは、好ましくはハウジングの末端上に、入口および出口管材料の取付具をさらに有する。図5の入口および出口における取付具は、概略的にのみ示されているが、処理される汚染の種類に適切なあらゆる種類の管材料または配管に適合する、たとえばねじ式、バーブ付、迅速接続式、スリップ型、または接着接合などのあらゆる適切な種類であってよい。
【0034】
活性籾殻濾過媒体が充填される濾過装置は、廃水を濾過装置まで圧送するために必要となる、廃水に媒体を通過させるための過剰な圧送エネルギーが不要である。言い換えると、活性炭濾過媒体901X、901Y、901Zおよび901-アルファは、呼び圧力において有効となり、有効となるために高い作業圧力を必要としない。このため、ハウジングが耐えられるように設計する必要がある内圧が最小限であるので、あまり頑丈および堅牢ではないフィルターハウジングを使用することができる。別の態様では、濾過プロセスを加速するために、より高い圧力で廃水を活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファに圧送することができる。
【0035】
活性炭濾過媒体901X、901Y、901Z、および901-アルファのそれぞれは、たとえば重金属、油、グリース、VOC、SVOC、殺虫剤、および除草剤の形態の汚染物質の濾過による除去に有効であるが、濾過媒体は、別の種類の汚染物質よりも、これらの汚染物質の1つ以上の除去に最適となる。そのようなものなので、活性炭濾過媒体901Xは油、および溶存金属の濾過に最適であり;活性炭濾過媒体901Yは、浮遊固体、金属、ならびに中和、油、および粒子状金属の濾過による除去に最適である。活性炭濾過媒体901Zは、金属を濾過による除去および回収に最適である。活性炭濾過媒体901-アルファは、短時間での金属の捕捉に適切なイオン交換樹脂の一種である。この媒体は再生および再利用が容易である。環境および持続可能性の側面から、この媒体によって、処理後のスラッジケーキの生成が減少する。以上から分かるように、種々の活性炭濾過媒体901X、901Y、901Zおよび901-アルファのそれぞれが除去に最適となる汚染物質の種類はある程度重なり合っている。
【0036】
これより図6を参照すると、濾過システムの例示的一実施形態が概略的に示されている。この濾過システムは、図5に関連して記載され説明されるような複数の濾過装置を有する。これらの濾過装置は、複数のパイプ、またはあらゆる適切な類似物によって相互に接続され、複数の弁および水試験装置が濾過システム内に配置されている。いくつかの点において、水試験機は原子吸光装置であるが、別の種類の水試験装置は当業者によって容易に理解されるであろう。
【0037】
図6中の矢印によって示されるように、水は、システム中に流入し、処理される汚染物質の種類によって、活性炭濾過媒体901Xを有するフィルター902Xの入口に誘導する弁、または活性炭濾過媒体901Yを有するフィルター902Yの入口に誘導する弁のいずれかが開放されて、第1段階フィルターとしての所望のフィルター装置902Xまたは902Y中に流入する。すべての弁の操作は、手動で、またはコンピュータおよび適切なアクチュエーター(たとえば、電磁式、空気式など)により制御および作動が可能であり;さらに、弁は、手動で制御できるが(たとえば、人がボタンを押すことによって)、前述のような適切なアクチュエーターによって開放することができる。いくつかの実施形態では、フィルター902Xとフィルター902Yとの間の弁を開放することができ、それによって廃水はフィルター902X中を流れ次にフィルター902Y中を流れる、またはその逆に流れる。別の実施形態では、活性炭濾過媒体901Xおよび901Yの両方の種類を用いる二段階濾過が不要である場合、処理水は、それぞれのフィルター902Xまたは902Yを出て、水試験装置中に入り、ここで、この第1段階の処理後の廃水中に残存する汚染物質レベルと、指定の許容できる汚染物質レベルとが比較される。結果によって、水試験装置は、この「きれいな」水を排出するか、または水のさらなる濾過が必要な場合には、処理水が活性炭濾過媒体901Zを有するフィルター902Z/902-アルファに送るかのいずれかである。フィルター902Z/902-アルファを通過した後、排出された水は、第2の水試験装置によって、水中の汚染物質濃度の指定の閾値に対して再び試験が行われる。フィルター902Z/902-アルファを出た水の汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、水は排出されるが、そうでない場合は、水は濾過システムの入口に戻される。
【0038】
図7中に示される濾過システムの例示的実施形態では、高い濃度レベルの油および溶解した重金属を有する汚染された廃水は濾過システムに入り、フィルター902Xの入口に送られる。フィルター902Xを通過した後、水は水試験装置によって試験される。水汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は、第2段階の濾過のためのフィルター902Z/902-アルファの入口に送られる。フィルター902Z/902-アルファ中の第2段階の濾過の後、水は第2レベルの水試験装置中で再び試験される。前述したように、水の汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は濾過システムの入口に戻される。図7の説明において、図示される例示的濾過システム中の弁の構成の結果として、使用されず中を流体が流れない流路を示すために破線が使用されている。
【0039】
図8中に示される濾過システムの例示的実施形態では、浮遊固体、粒子状金属、または色の濃度レベルが高い汚染された廃水は、入口弁によって、第1段階の濾過のためのフィルター902Yの入口に入る。フィルター902Y中の第1段階の濾過を出た後、処理水は、フィルター902Yの出口の水試験装置中で試験される。水汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は、第2段階の濾過のためのフィルター902Z/902-アルファの入口に送られる。フィルター902Z/902-アルファ中の第2段階の濾過の後、水は第2の水試験装置中で再び試験される。前述したように、水の汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は濾過システムの入口に戻される。図8の説明において、図示される例示的濾過システム中の弁の構成の結果として、使用されず中を流体が流れない流路を示すために破線が使用されている。このシステムは、活性炭濾過媒体901-アルファを加えることによってさらに変更することもできる。この代替の濾過媒体によって、システムは金属の除去に使用可能になる。
【0040】
図9中に示される濾過システムの実施形態では、汚染された廃水は、入口弁を介して、第1段階の濾過のためのフィルター902Yの入口に入る。フィルター902Y中の第1段階の濾過を出た後、処理水は、フィルター902Yの出口の水試験装置中で試験される。水汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。この実施形態では、フィルター902Yの出口の水試験装置は内部弁を有する。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は、902Yの出口の水試験装置の内部弁を介して、フィルター902Z/902-アルファの入口ではなく、第2段階の濾過のためのフィルター902Xの入口に送られる。フィルター902X中の第2段階の濾過後、水は第2の水試験装置中で再び試験される。水汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は、第3段階の濾過のためのフィルター902Z/902-アルファの入口に送られる。フィルター902Z/902-アルファ中の第3段階の濾過の後、水は第2の水試験装置中で再び試験される。前述したように、水汚染レベルが指定の閾値濃度レベル未満であれば、この「きれいな」水は排出される。汚染物質の濃度レベルが依然として閾値よりも高い場合は、水は濾過システムの入口に戻される。図8の説明において、図示される例示的濾過システム中の弁の構成の結果として、使用されず中を流体が流れない流路を示すために破線が使用されている。図9は、図10中に示され記載される濾過システムの例示的実施形態中に使用される、複数の入口を有する一例のフィルター902Xを示している。図5のように、フィルター902Xは、反対側に入口と出口とを有するハウジングを有し、活性炭濾過媒体901Xは、入口を通ってハウジングには入る廃水流から汚染物質を濾過するために、ハウジングの内側に挿入される。しかし、図10中に示されるように、フィルター902Xの入口は2つに分岐しており、一方の分岐はフィルター902Yの出口と流体連通しており、他方の分岐は濾過システムの入口に接続される。図10中に示される接続方法は、廃水から除去される汚染物質に基づいて希望通りに、フィルター902Yおよび/または902Zのいずれの修正にも同様に適用できる。さらに、それぞれの水試験装置のバイパスのため、または当業者によって理解される一部の別の目的のためのいずれかで、出口も同様の方法で2つに分岐させることができる。
【0041】
活性炭濾過媒体901Xの性能を評価するために、第1の分野の研究を行った。この研究は、トラックのトランスミッションおよび関連部品を製造するプラントにおいて行った。この研究で処理される水は、プラントのリン酸亜鉛電着(Eコート)塗装ラインによって生じる廃水である。このプロセスで生じる水は、ラテックス塗料の固形分、金属微粉、および別の粒子状破片で汚染されている。この水は、さらなる処理なしには環境中に排出することはできない溶存金属も含む。対象の金属は、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、およびニッケル(Ni)である。処理される水は、増減があるが、安全に排出するための制限を常に上回る。選択した試料は、プラントが直面するほとんどの問題のある条件を代表するものである。この研究の総括で、供給品質および濾過品質の両方を列挙している。
【0042】
現在の処理設計は、化学的沈殿に続いて、準に逆洗可能な1.133立方メートルの砂フィルター、逆洗可能な1.133立方メートルのMicro-Zフィルター、および金属除去の増強機能として骨炭を利用する二重の1.416立方メートルの活性炭フィルターを含む4段階プロセスである。システム流は、1日当たり8~12時間の運転中に平均で0.4731立方メートル/分であった。この研究の濾過速度は、約0.05420立方メートル/分/平方メートルである現行の運転条件の濾過負荷速度の正確に2倍であった。したがって、活性炭濾過媒体901Xを用いたこの流量での運転は、現行の3段階濾過プロセスと同一条件で同等となる。活性炭濾過媒体901Xの1パス後の結果は以下の通りである。
【0043】
【表4】
【0044】
活性炭濾過媒体901Xは1パスで、化学的沈殿、濾過砂、Micro-Z(Watts San Antonio、TX)媒体、および骨炭粒状活性炭を含む4段階プロセスよりも優れた汚染物質除去能力を示した。優れた金属除去に加えて、活性炭濾過媒体901Xは、その同じ1段階で沈殿物および微粒子も除去した。活性炭濾過媒体901Y、Z、および/またはアルファの組合せを用いたさらなる処理によって、汚染物質がさらに除去され、この現在は廃棄される廃水の再利用が可能であることを強く示していることに留意する必要がある。
【0045】
既存の水システムと活性炭濾過媒体901Xとの比較における原水汚染物質レベルの評価。データ表は、既存の4段階ステップ処理システムと、活性炭濾過媒体901Xを用いた1パスの後の汚染物質レベルを示している。
【0046】
【表5】
【0047】
第2の研究は、プラスチック再生装置を用いたポリマーの再循環およびリコンディショニングからの廃水であった。この例で処理される水は、許容されない鉛汚染を有する廃水である。地域の排出基準は0.25mg/lである。廃水の鉛に加えて、多量の浮遊固体のために、水はほぼ不透明で黒色となる。これらの汚染物質の問題のため、この水は、排水路への排出にも、経済的な再利用にも適していない。現行の処理設計は、最初に苛性ソーダでpHを上昇させ、次にアルミニウム系凝固剤を加えて溶存金属(大部分が鉛)を沈殿させることを伴う5段階プロセスである。この処理水は次に、炭素/シリカ系重力フィルター中に送られ、次に使い捨ての1ミクロンのフィルターに通される。このプロセスの最終ステップでは、水がフィルタープレスに送られて、廃棄物「ケーキ」が形成され、残存する水が押しだされ、それは排水路に送られる。この研究では活性炭濾過媒体901X/901Yの組合せを使用した。活性炭濾過媒体901X/901Yの1パス後の結果は以下の通りである。
【0048】
【表6】
【0049】
活性炭濾過媒体901Xの試験は、費用がかかる毒性の化学物質を除去し、無色透明の最終製品を得る能力を示している。活性炭濾過媒体901Xと901Yとを用いることで、排出規制への適合に現在苦労している廃水の再循環および下水管への排出の両方が可能となる。さらに、わずか19.22キログラム/立方メートル(kg/m)のベース重量を有することで、活性炭濾過媒体901Xによって、埋立地に送られる材料の重量および体積が大幅に減少する。
【0050】
第3の研究は、種々のばね製品上に耐食コーティングの形成および仕上げの結果として金属を有する廃水を発生させる企業であった。仕上げは、粉末コーティングからクロムへの陽極処理までの範囲である。洗浄水中の金属は、都市下水システムに送るには重金属が多すぎる。減少/除去が必要な金属は、亜鉛、銅、ニッケル、およびクロムである。
【0051】
現行の処理設計は、最初に苛性ソーダでpHを上昇させ、次にアルミニウム系凝固剤を加えて溶存金属(大部分が鉛)を沈殿させることを伴う多段階プロセスである。処理水は、次に炭素/シリカ系重力フィルター中に送られ、次に使い捨ての1ミクロンのフィルターに通される。場合によっては、排出制限に適合させるために脱イオン樹脂を有する携帯用交換タンクが使用される。このプロセスの最終ステップでは、水がフィルタープレスに送られて、廃棄物「ケーキ」が形成され、残存する水が押しだされ、それは排水路に送られる。活性炭濾過媒体901Xの1パス後の結果(%=除去効率)は以下の通りである:
【0052】
【表7】
【0053】
活性炭濾過媒体901Xの1パスの試験によって、金属除去における優れた結果が得られた。現行技術を901媒体設計で置き換えることで、化学物質の添加、沈降、フィルタープレス段階、および最終段階の研磨脱イオンの複数の段階が省かれる。
【0054】
上記研究の実施形態は、説明的であることを意図しており、上記記述は、他の場合には本明細書に開示される主題の範囲内となる別の構成および実施形態に関する限定として解釈されるべきではない。本発明のこのような別の実施形態は、本明細書の考慮、または本明細書に開示される本発明の実施によって、当業者には明らかとなるであろう。したがって、以上の明細書は、本発明の単なる例と見なされ、本発明の真の範囲は以下の請求項によって規定される。
図1
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図11