(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】毛髪保護キャップ
(51)【国際特許分類】
A42B 1/049 20210101AFI20220601BHJP
A45D 8/40 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A42B1/049
A45D8/40 502D
A45D8/40 504B
A45D8/40 503A
A45D8/40 501B
(21)【出願番号】P 2021078819
(22)【出願日】2021-05-06
【審査請求日】2021-05-06
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521195227
【氏名又は名称】菅谷 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 大樹
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-047197(JP,A)
【文献】特開2018-188781(JP,A)
【文献】特開2001-218617(JP,A)
【文献】実開平07-036907(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0163431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/049
A45D 8/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの人体の毛髪を覆うように装着される毛髪保護キャップであって、
前記人体の後頭部において前記毛髪の束の外周部を取り囲む紐状又は帯状の束ね部材と、
前記束ね部材に連設され、前記毛髪の束のうち、前記束ね部材により束ねられた束ね部よりも先端側の部分を略密閉状態で収容する袋部材と、
を有し、
前記束ね部材は、
前記毛髪の束の外周部を取り囲んで収縮力を作用させて束ねる収縮部材であり、
前記袋部材の開口縁部と前記収縮部材とを連結する連結部を設け、
前記収縮部材は、
収縮紐部材と、
前記収縮紐部材の径方向外周部を覆う被覆布部材と、
を備
え、
前記被覆布部材を円環状とするとともに前記収縮紐部材を円環状の1本のゴム紐とし、かつ前記ゴム紐の円周を前記被覆布部材の円周より短くして当該被覆布部材にひだを形成することで、前記収縮部材を、前記1本のゴム紐を内側に通した髪飾り状の形状とし、
前記連結部は、
略環状の前記開口縁部のうち周方向一部領域と、略円環状の前記収縮部材のうち周方向一部領域と、を連結し、
前記袋部材の開口縁部のうちの一部である、前記袋部材を切り欠くような形状の部分は前記収縮部材と連結されておらず、
前記袋部材の開口縁部のうち、前記切り欠くような形状の部分以外の部分が、前記連結部により前記収縮部材と連結されている、
毛髪保護キャップにおいて、
前記ユーザの後頭部において前記毛髪を束ねて形成した前記束ね部を前記ユーザの左手で把持し、
前記ユーザの右手に前記収縮部材ごと前記毛髪保護キャップを裏返しにしてはめ、
前記ユーザの右手で前記毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持し、
前記ユーザの右手で前記毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持したまま、前記ユーザの左手で前記収縮部材の任意の場所を把持してその把持した収縮部材と共に前記毛髪保護キャップを表側にひっくり返すことで、前記束ね部よりも先端に配置される前記毛髪を前記毛髪保護キャップの前記袋部材の内側に収納するようにし、
前記ユーザの右手で前記ひっくり返された毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持したまま、前記ユーザの左手で前記収縮部材を把持し、
前記ひっくり返された毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持したままの前記ユーザの右手と前記ユーザの左手とで前記収縮部材を一回捻り曲げ8の字状にした後、その8の字状にした前記収縮部材の円環の一方に前記袋部材を通すことでその一方の円環を前記束ね部の外周側に巻き付け、
かつ、
前記袋部材及び前記被覆布部材をシルクで構成することにより、前記シルクのたんぱく質成分又はアミノ酸成分によって、前記毛髪の束のうち前記束ね部よりも先端側
でかつ前記袋部材の内側に収納された部分と当該束ね部に配置される毛髪との保湿を図るようにした
ことを特徴とする毛髪保護キャップ
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪保護キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、睡眠時に着用して毛髪を保護するヘアキャップが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、この従来技術のシルクコンディショナーキャップにおいて、シルク素材のヘアキャップ本体1を用いること、及び、ゴムバンド3とサテンロープでヘアキャップ本体1を頭に固定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のシルクコンディショナーキャップでは、頭部にヘアキャップ本体をかぶせる構造のため、睡眠中に毛髪にヘアキャップの寝癖がついたり、顔の皮膚にヘアキャップのゴムなどにより跡が残るという問題があった。特に、毛髪が長い場合にはヘアキャップの中に毛髪をまとめて収納して睡眠するので寝ぐせがつきやすく、これを改善することが求められていた。
【0005】
本発明の目的は、寝癖がつきにくく、顔に跡を残すことがなく睡眠時の毛髪を保護、保湿できる毛髪保護キャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、ユーザの人体の毛髪を覆うように装着される毛髪保護キャップであって、前記人体の後頭部において前記毛髪の束の外周部を取り囲む紐状又は帯状の束ね部材と、前記束ね部材に連設され、前記毛髪の束のうち、前記束ね部材により束ねられた束ね部よりも先端側の部分を略密閉状態で収容する袋部材と、を有し、前記束ね部材は、前記毛髪の束の外周部を取り囲んで収縮力を作用させて束ねる収縮部材であり、前記袋部材の開口縁部と前記収縮部材とを連結する連結部を設け、前記収縮部材は、収縮紐部材と、前記収縮紐部材の径方向外周部を覆う被覆布部材と、を備え、前記被覆布部材を円環状とするとともに前記収縮紐部材を円環状の1本のゴム紐とし、かつ前記ゴム紐の円周を前記被覆布部材の円周より短くして当該被覆布部材にひだを形成することで、前記収縮部材を、前記1本のゴム紐を内側に通した髪飾り状の形状とし、前記連結部は、略環状の前記開口縁部のうち周方向一部領域と、略円環状の前記収縮部材のうち周方向一部領域と、を連結し、前記袋部材の開口縁部のうちの一部である、前記袋部材を切り欠くような形状の部分は前記収縮部材と連結されておらず、前記袋部材の開口縁部のうち、前記切り欠くような形状の部分以外の部分が、前記連結部により前記収縮部材と連結されている、毛髪保護キャップにおいて、前記ユーザの後頭部において前記毛髪を束ねて形成した前記束ね部を前記ユーザの左手で把持し、前記ユーザの右手に前記収縮部材ごと前記毛髪保護キャップを裏返しにしてはめ、前記ユーザの右手で前記毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持し、前記ユーザの右手で前記毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持したまま、前記ユーザの左手で前記収縮部材の任意の場所を把持してその把持した収縮部材と共に前記毛髪保護キャップを表側にひっくり返すことで、前記束ね部よりも先端に配置される前記毛髪を前記毛髪保護キャップの前記袋部材の内側に収納するようにし、前記ユーザの右手で前記ひっくり返された毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持したまま、前記ユーザの左手で前記収縮部材を把持し、前記ひっくり返された毛髪保護キャップごしに前記束ね部を把持したままの前記ユーザの右手と前記ユーザの左手とで前記収縮部材を一回捻り曲げ8の字状にした後、その8の字状にした前記収縮部材の円環の一方に前記袋部材を通すことでその一方の円環を前記束ね部の外周側に巻き付け、かつ、前記袋部材及び前記被覆布部材をシルクで構成することにより、前記シルクのたんぱく質成分又はアミノ酸成分によって、前記毛髪の束のうち前記束ね部よりも先端側でかつ前記袋部材の内側に収納された部分と当該束ね部に配置される毛髪との保湿を図るようにしたことを特徴としている。
【0007】
本願発明の毛髪保護キャップによれば、頭の後ろで毛髪を束ねたその束ね部よりも後方側(毛髪の先端側)のみを袋部材で覆い密閉する。これにより、毛髪全体をキャップで覆う場合のように、顔に跡がついたり、ひどい寝癖がついたりすることなく、特に乾燥して傷みやすい毛髪要部である毛先部分の保湿を確実に図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪保護キャップによれば、寝癖がつきにくく、顔に跡を残すことがなく睡眠時の毛髪を保護、保湿することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の毛髪保護キャップをユーザが装着した状態を表す斜視図である。
【
図3】
図1の毛髪保護キャップの装着手順の一例を示す概念図である。
【
図4】袋部材の製造方法を示すフローチャートの前半である。
【
図5】袋部材の製造方法を示すフローチャートの後半である。
【
図6】束ね部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】毛髪保護キャップの製造過程を説明する斜視図である。
【
図8】毛髪保護キャップの製造過程を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1に本実施形態の毛髪保護キャップ1をユーザMが装着した状態を示す。
図1の前後方向はユーザMの顔7が配置される前方向とその逆方向であって後頭部2が配置される後方向からなる。
【0012】
毛髪保護キャップ1はユーザMの後頭部2において束ねられたユーザMの毛髪3を覆うように装着されている。毛髪保護キャップ1は、ユーザMの後頭部2において毛髪3の束の外周部を取り囲む紐状又は帯状の束ね部材4と、束ね部材4に連設され、毛髪3の束のうち、束ね部材4により束ねられた束ね部6よりも先端側の部分を略密閉状態で収容する袋部材5とを有する。
【0013】
図2は毛髪保護キャップ1の斜視図である。束ね部材4は、
図1に示した毛髪3の束の外周部を取り囲んで収縮力を作用させて束ねる収縮部材20である。収縮部材20は、収縮紐部材21と、収縮紐部材21の径方向外周部を覆う被覆布部材22とを備える。
【0014】
収縮紐部材21としては例えばゴム紐を用いることができる。被覆布部材22は例えば袋部材5と同じ素材の布を用いることができる。この実施形態では、袋部材5及び被覆布部材22の素材としてシルクを用いている。
【0015】
収縮紐部材21及び被覆布部材22はそれぞれ円環状になっており収縮紐部材21の円周が被覆布部材22の円周より短いので被覆布部材22にはひだが形成される。すなわち、この図では収縮部材20はゴム紐をシルクで被覆したシュシュ(薄い布を円環状にしてゴム紐を内側に通した髪飾り)状の形状になっており、ゴム紐で直接毛髪3を束ねるよりも癖がつきにくく毛髪3を痛めにくく、また外観のデザイン性も優れるものとなっている。
【0016】
毛髪保護キャップ1は袋部材5の開口縁部8と束ね部材4とを連結する連結部9を有する。連結部9は、略環状の開口縁部8のうち周方向一部領域と、略円環状の束ね部材4のうち周方向一部領域とを連結する。
【0017】
袋部材5の開口縁部8と束ね部材4とは縫製によって連結されているが、この図では、開口縁部8のうち一部が袋部材5を切り欠くような形状になっており、その部分は束ね部材4と連結されていない。この切り欠き部分を設けることにより毛髪保護キャップ1に毛髪3を収納しやすくなる。また袋部材5と束ね部材4とを縫製により連結する際に縫製が行いやすい。
【0018】
連結部9は縫製以外の方法により連結されていてもよいし、束ね部材4と袋部材とが最初から一枚の布で形成されていてもよい。
【0019】
袋部材5はシルクで形成されていることが好ましい。被覆布部材22の素材は袋部材5と同じである必要はなく、所望の素材で形成することができる。被覆布部材22についても、シルクで形成する場合には、束ね部6に配置される毛髪3についても保湿することができ、袋部材5と同一の素材で形成すればデザインの統一感を持たせることができる。
【0020】
図3は毛髪保護キャップ1の装着手順の一例を示す概念図である。装着手順は工程(a)~(g)を含む。
【0021】
まず工程(a)において、ユーザMの後頭部2において毛髪3を束ねて形成した束ね部6をユーザMの左手Lで把持する。
【0022】
次に工程(b)でユーザMの右手Rに毛髪保護キャップ1を裏返しにしてはめる。
【0023】
次いで工程(c)において、ユーザMの右手Rで毛髪保護キャップ1ごしに、束ね部6を把持する。
【0024】
次いで工程(d)において、ユーザMの右手Rで毛髪保護キャップ1ごしに、束ね部6を把持したまま、左手Lで束ね部材4等の任意の場所を把持して毛髪保護キャップ1を表側にひっくり返す。この時束ね部6よりも先端に配置される毛髪3が毛髪保護キャップ1の袋部材5の内側に収納される。
【0025】
次いで工程(e)において、左手Lで束ね部材4を把持する。
【0026】
次いで工程(f)において、束ね部材4を一回捻り曲げ8の字状にする。8の字状にした束ね部材4の円環の一方を袋部材袋部材5を通して束ね部6の外周側に巻き付ける
【0027】
工程(g)は上述の工程により毛髪保護キャップ1がユーザMに装着された状態を示す。この時束ね部材4は、捻り曲げられ略二重円環状とされた状態で、毛髪2の束ね部6の外周部を取り囲むようになっている。
【0028】
なお、毛髪保護キャップ1の装着手順は特に上述の方法に限定されるものではなくどのような手順で装着してもかまわない。
【0029】
図4、
図5に袋部材5の製造方法の一例を示す。袋部材5の製造方法は工程(A)~(F)を含む。
図4で工程(A)~(D)、
図5で工程(E)~(F)について説明する。
図4、
図5の各工程は袋部材5またはその材料を地面に平置きして上から見た正面図で図示され、
図4、
図5に示される方角は地面に垂直に向かう方向を下方向、その反対方向を上方向とする上下方向と、上下方向にそれぞれ直交する左右方向および前後方向である。
【0030】
まず
図4の工程(A)において袋部材5の素材であるシルクの布10を長方形にカットした状態で布10の長辺が左右方向に平行になるように置く。
【0031】
次いで、工程(B)において、シルクの布10の2つの短辺の端部11に、左右方向1センチメートル程度の幅で裁ち目処理(布のほつれを防止する処理)を行う。
【0032】
次いで、工程(C)において、シルクの布10の短辺同士を重ね合わせて折りたたみ、端部11の裁ち目処理の縁12を返し縫いする。この時縁12の後方向端部は、間隔Tだけ残して返し縫いを行わないようにする。間隔Tは例えば2.5センチメートルである。
【0033】
次いで、工程(D)において、返し縫いした縁12の縫い目の部分でシルクの布の端部11を左右方向に割って広げ、上からアイロンをかけてくせをつける。
図4の工程(D)の拡大図に示すように、工程(C)において返し縫いを行わなかった部分は袋部材5を形成するシルクの布10の長辺の一部を切り欠いたような形状となり、この切り欠き形状に沿って縫い目13を付け、縫い目13の根元14は返し縫いをしておく。
【0034】
次いで、
図5の図の工程(E)において、布10の上に袋型(型紙)15を重ねて前方向端部付近の曲線16の部分に印をつける。
【0035】
次いで、工程(F)において、印をつけた曲線部分16に沿って布10を縫い合わせ、曲線部分16の前方向に1センチメートルほどを残して布10をカットする。残された曲線部分16の前方向1センチメートルにおいては裁ち目処理を行う。このようにして袋部材5が形成される。なおこの図は袋部材5が裏返しになっている(袋部材の裏面が表に出ている)状態である。
【0036】
図6に束ね部材4の製法の一例を示す。束ね部材4の製法は工程(G)及び子工程(H)を含む。
【0037】
工程(G)において束ね部4の被覆布部材22に相当する帯状のシュシュ用布17を長辺が左右方向に平行になるようにして地面(図示なし)に平置きする。
図6の工程(G)は上方向から見た正面図である。シュシュ用布17は袋部材5の素材である布10と同じシルクで形成されている。
【0038】
次いで、工程(H)においてシュシュ用布17の短辺同士を重ね合わせて縫い合わせ、輪っか状にする。さらに縫製した縫い目の部分から縫い代18を左右方向に割り広げてアイロンをかけてくせづけする。シュシュ用布17の上下方向端部にはそれぞれ上下方向約1センチメートルほどの幅でシュシュ用布17の外周側に折られ、アイロンをかけられた折り目19が形成されている。なお、この図ではシュシュの裏面(ゴム紐が通される側の面)が表に出ている状態になっている。
【0039】
図7及び
図8に毛髪保護キャップ1の製造過程を示す。毛髪保護キャップ1の製造工程は工程(I)及び工程(J)を含む。
【0040】
図7の工程(I)において、工程(F)で形成した袋部材5をひっくり返して袋部材5の表面を表に出した状態にしてから、工程(H)で形成したシュシュ用布17を、裏面が表になった状態で袋部材5の外周側Pに重ねて連結部8において縫い合わせ袋部材5とシュシュ用布17を連結する。この時袋部材5とシュシュ用布17の縫い目や縫い代を合わせて縫製するようにする。
【0041】
拡大断面
図I1に示すように袋部材5が内周側Q、シュシュ用布17が外周側Pに配置されるように重ねて連結部8で縫製した後、拡大断面
図I2のように、シュシュ用布17を内周側Qにひっくり返す。
【0042】
図8の工程(J)は、工程(I)で袋部材5の内側にひっくり返したシュシュ用布17の長辺同士をシュシュ用縫製部24において縫製し、シュシュ用布17を筒状にしたあとで、袋部材5の裏面が表になるようにひっくり返した状態である。この時、シュシュ用縫製部24には一部縫製を行わないゴム口23を設けておき、
図2で示した収縮紐部材21をゴム口23から筒状のシュシュ用布17の内側に通してからゴム口23を縫製して閉じることにより、
図2で示した毛髪保護キャップ1を構築することができる。
【0043】
上記の説明では束ね部材4として収縮部材20を用いているが、束ね部材4は、収縮しない紐や帯状のもの、例えば布のみからなるものやマジックテープ(登録商標)等であってもかまわない。
【0044】
<実施形態の効果>
毛髪保護キャップ1は頭の後ろで毛髪3を束ねたその束ね部6よりも後方側(毛髪の先端側)のみを袋部材5で覆い密閉する。これにより、毛髪3全体をキャップで覆う場合のように、顔に跡がついたり、ひどい寝癖がついたりすることなく、特に乾燥して傷みやすい毛髪要部である毛先部分の保湿を確実に図ることができる。
【0045】
また、さらに、毛髪保護キャップ1の装着時、一方の手で毛髪3を束ねた状態で他方の手で袋部材5を持ってその中に束ね部6より後方側の毛髪3を収納すると、袋部材5の開口縁部8及びそれに連結された束ね部材4が、上記一方の手で束ねられた毛髪3の毛先に近接する。そこで、袋部材5と共に、他方の手で毛先を把持し、束ね部材4を一方の手で持って束ね部6に巻き付けるようにすることで、袋部材5の開口縁部8を束ね部6に固定し、かつ、袋部材5を密閉することができる。
【0046】
また、さらに、収縮部材20と袋部材5とが連結部9で連結されていることにより、毛髪保護キャップ1の装着を円滑に行うことができる。
【0047】
また、さらに、収縮部材20を一方の手で持って束ね部6に巻き付ける際に、袋部材5につながっている円環状の収縮部材20をひねって略8の字とし、8の字の2つの円環を互いに重ね合わせるように一方の円環の中に袋部材5を通すことで、収縮部材20を略二重円環状とすることができる。このように略二重円環状とした収縮部材20で袋部材5の開口縁部8を束ね部6に固定することにより、強い力で安定的かつ堅固に固定することができる。また袋部材5を高い密閉度で密閉し、漏れのない確実な保湿を図ることができる。
【0048】
また、さらに、袋部材5がシルクで構成されることにより、睡眠時にシルクのたんぱく質成分やアミノ酸成分などが毛髪3を保湿、補修する効果が得られる。
【0049】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0050】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0051】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 毛髪保護キャップ
2 後頭部
3 毛髪
4 束ね部材
5 袋部材
6 束ね部
7 顔
8 開口縁部
9 連結部
10 布
11 端部
12 縁
13 縫い目
14 根元
15 袋型
16 曲線
17 シュシュ用布
18 縫い代
19 折り目
20 収縮部材
21 収縮紐部材
22 被覆布部材
23 ゴム口
24 シュシュ用縫製部
【要約】
【課題】寝癖がつきにくく、顔に跡を残すことがなく睡眠時の毛髪を保護、保湿する。
【解決手段】毛髪保護キャップ1は、人体の毛髪3を覆うように装着され、人体の後頭部2において毛髪3の束の外周部を取り囲む紐状又は帯状の束ね部材4と、束ね部材4に連設され、毛髪3の束のうち、束ね部材4により束ねられた束ね部6よりも先端側の部分を略密閉状態で収容する袋部材5とを有する。また毛髪保護キャップ1の束ね部材4は、毛髪3の束の外周部を取り囲んで収縮力を作用させて束ねる収縮部材である。
【選択図】
図1