IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ミマキエンジニアリングの特許一覧

<>
  • 特許-造形方法 図1
  • 特許-造形方法 図2
  • 特許-造形方法 図3
  • 特許-造形方法 図4
  • 特許-造形方法 図5
  • 特許-造形方法 図6
  • 特許-造形方法 図7
  • 特許-造形方法 図8
  • 特許-造形方法 図9
  • 特許-造形方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】造形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20220601BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20220601BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20220601BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220601BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20220601BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/112
B29C64/336
B33Y10/00
B33Y50/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018120606
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020001203
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】八角 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】大井 弘義
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/204094(WO,A1)
【文献】特開2018-039126(JP,A)
【文献】特開2017-097517(JP,A)
【文献】特開2018-24117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00,30/00,50/00-50/02
G06F 1/00-119/22
G06T 1/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的な造形物を造形するための造形方法において、
前記造形物は、少なくとも一部が着色された着色領域と、前記着色領域よりも前記造形物の内部側に配置され前記着色領域を透過して入射する光を反射する光反射領域とを備え、
前記造形物の形状データであるポリゴンモデルに含まれる複数のポリゴンのうちの、互いに隣り合う2個の前記ポリゴンであって前記造形物の表面側が境界線を介して凹状に接続される2個の前記ポリゴンのうちの一方の前記ポリゴンを第1ポリゴンとし、他方の前記ポリゴンを第2ポリゴンとし、前記第1ポリゴンの法線の方向であって前記造形物の内部に向かう方向を第1法線方向とし、前記第2ポリゴンの法線の方向であって前記造形物の内部に向かう方向を第2法線方向とし、前記第1ポリゴンの形状を前記第1法線方向にデータ上で前記着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する前記造形物の領域を第1延在領域とし、前記第2ポリゴンの形状を前記第2法線方向にデータ上で前記着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する前記造形物の領域を第2延在領域とすると、
前記第1延在領域および前記第2延在領域は、前記着色領域に含まれるとともに、少なくとも着色材料で形成され、
前記着色領域の、前記第1延在領域と前記第2延在領域との間の領域を接続領域として設定し、
前記接続領域を、透明材料、前記光反射領域を形成する光反射材料と同じ材料、前記第1延在領域の前記接続領域側端部を形成する材料と同じ材料、あるいは、前記第2延在領域の前記接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成すること
または、前記接続領域の前記第1延在領域側の部分を、前記第1延在領域の前記接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、前記接続領域の残りの部分を、前記第2延在領域の前記接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成すること
あるいは、前記接続領域を、前記第1延在領域の前記接続領域側端部に含まれる着色材料と前記第2延在領域の前記接続領域側端部に含まれる着色材料とを含む材料によって形成するとともに、前記接続領域を形成する材料の濃度を、前記第1延在領域の前記接続領域側端部を形成する材料の濃度と前記第2延在領域の前記接続領域側端部を形成する材料の濃度との和よりも低くすること
のいずれかを選択して前記接続領域を形成することを特徴とする造形方法。
【請求項2】
立体的な造形物を造形するための造形方法において、
前記造形物は、少なくとも一部が着色された着色領域と、前記着色領域よりも前記造形物の内部側に配置され前記着色領域を透過して入射する光を反射する光反射領域とを備え、
前記造形物の形状データであるポリゴンモデルに含まれる複数のポリゴンのうちの、互いに隣り合う2個の前記ポリゴンであって前記造形物の表面側が境界線を介して凸状に接続される2個の前記ポリゴンのうちの一方の前記ポリゴンを第1ポリゴンとし、他方の前記ポリゴンを第2ポリゴンとし、前記第1ポリゴンの法線の方向であって前記造形物の内部に向かう方向を第1法線方向とし、前記第2ポリゴンの法線の方向であって前記造形物の内部に向かう方向を第2法線方向とし、前記第1ポリゴンの形状を前記第1法線方向にデータ上で前記着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する前記造形物の領域を第1延在領域とし、前記第2ポリゴンの形状を前記第2法線方向にデータ上で前記着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する前記造形物の領域を第2延在領域とすると、
前記第1延在領域および前記第2延在領域は、前記着色領域に含まれるとともに、少なくとも着色材料で形成され、
前記第1延在領域と前記第2延在領域とが重なる領域を接続領域として設定し、
前記接続領域の前記第1延在領域側の部分を、前記第1延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成し、前記接続領域の残りの部分を、前記第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成すること
あるいは、前記接続領域を、前記第1延在領域を形成する材料と同じ材料、または、前記第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成すること
または、前記接続領域を、前記第1延在領域に含まれる着色材料と前記第2延在領域に含まれる着色材料とを含む材料によって形成するとともに、前記接続領域を形成する材料の濃度を、前記第1延在領域を形成する材料の濃度と前記第2延在領域を形成する材料の濃度との和よりも低くすること
のいずれかを選択して前記接続領域を形成することを特徴とする造形方法。
【請求項3】
前記接続領域の前記第1延在領域側の半分の部分を、前記第1延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成し、前記接続領域の前記第2延在領域側の半分の部分を、前記第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成することを特徴とする請求項2記載の造形方法。
【請求項4】
前記着色領域の着色された部分は、着色材料によって形成されているか、または、着色材料と透明材料とによって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の造形方法。
【請求項5】
前記光反射領域を形成する光反射材料は、白色の材料であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の造形方法。
【請求項6】
前記造形物の、前記着色領域よりも内側の部分は、光反射材料によって形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の造形方法。
【請求項7】
前記造形物の表面と垂直な方向を法線方向とすると、
前記法線方向における前記着色領域の厚さは一定になっていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の造形方法。
【請求項8】
前記造形物の表面と垂直な方向を法線方向とすると、
前記法線方向における前記光反射領域の厚さは一定になっていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の造形方法。
【請求項9】
前記造形物は、インクジェット方式で造形されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な造形物を造形するための造形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な造形物(三次元造形物)を造形する造形装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の造形装置は、モデル材をインクジェット方式で吐出する吐出ヘッドを備えている。この造形装置で造形される造形物は、造形物の表面を構成する着色領域と、着色領域に覆われる内部領域とから構成されている。この造形装置で造形される造形物の造形データとなる外形の形状データは、たとえば、三角形のポリゴン(メッシュ)の面集合として表現されている。この造形装置では、造形物の造形データにおいて、ポリゴンの法線方向に沿って造形物の内側に所定の厚み分、ポリゴンの形状を平行移動させることによって三角柱が形成されており、造形物の表面側の、この三角柱の部分が着色領域の一部となっている。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載の造形装置では、図9に示すように、造形物の造形データとなる外形の形状データにおいて、ポリゴンPG101の法線方向に沿って造形物の内側に所定の厚み分、ポリゴンPG101の形状を平行移動させることによって三角柱T1が形成され、ポリゴンPG102の法線方向に沿って造形物の内側に所定の厚み分、ポリゴンPG102の形状を平行移動させることによって三角柱T2が形成され、ポリゴンPG103の法線方向に沿って造形物の内側に所定の厚み分、ポリゴンPG103の形状を平行移動させることによって三角柱T3が形成されている。これら造形物の表面側の、三角柱T1~T3の部分が着色領域の一部となっている。
【0004】
図10(A)に示すように、造形物の着色データとなるテクスチュア(色、濃度、模様、画像、文字等)TX1、TX2のデータ(テクスチュアデータ)は、ポリゴン面PGP1、PGP2にあり、厚みのない2次元の平面データであるが、図10(B)に示すように、このテクスチュアデータをポリゴン面PGP1、PGP2の法線方向、すなわち、三角柱内部に厚みを持たせて延在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-39126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の造形装置で造形される造形物では、造形物の表面に凹凸が形成される。造形物の表面に凹凸が形成される場合、図9に示すように、造形物の造形データにおいて、互いに隣り合うポリゴンPG101とポリゴンPG102とが境界線BL101を介して造形物表面側で凹状に接続されたり(すなわち、内に窪むように接続されたり)、互いに隣り合うポリゴンPG102とポリゴンPG103とが境界線BL102を介して造形物表面側で凸状に接続されたり(すなわち、外に尖るように接続されたり)する。
【0007】
ポリゴンPG101とポリゴンPG102とが造形物表面側で凹状に接続される場合、造形物の造形データにおいて、三角柱T1と三角柱T2との間に隙間部分S1が形成される。造形物を造形するためには、隙間部分S1に対応する部分を所定の材料で埋める必要があるが、隙間部分S1に対応する部分を適切な方法で埋めないと、造形物の表面形状が変形したり、ポリゴンPG101とポリゴンPG102との境界部分に対応する部分(すなわち、造形物の表面の凹部が形成された部分)のテクスチュアが不連続となって、造形物の美観が損なわれるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0008】
また、ポリゴンPG102とポリゴンPG103とが造形物表面側で凸状に接続される場合、造形物の造形データにおいて、三角柱T2の一部と三角柱T3の一部とが重なる重なり部分L1が形成されるが、重なり部分L1に対応する部分を適切な材料によって形成しないと、造形物の、ポリゴンPG102とポリゴンPG103との境界部分に対応する部分(すなわち、造形物の表面の凸部が形成された部分)のテクスチュアが不連続となって、造形物の美観が損なわれるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0009】
そこで、本発明の第1の課題は、所定の厚さの着色領域を表面に有する立体的な造形物の表面に凹部が形成されていても、凹部が形成された部分の表面が変形したり、テクスチュアが不連続にならないようにして造形物の美観を保つことが可能となる造形物の造形方法を提供することにある。また、本発明の第2の課題は、所定の厚さの着色領域を表面に有する立体的な造形物の表面に凸部が形成されていても、凸部が形成された部分のテクスチュアが不連続にならないようにして造形物の美観を保つことが可能となる造形物の造形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の第1の課題を解決するため、本発明の造形方法は、立体的な造形物を造形するための造形方法において、造形物は、少なくとも一部が着色された着色領域と、着色領域よりも造形物の内部側に配置され着色領域を透過して入射する光を反射する光反射領域とを備え、造形物の形状データである複数のポリゴンのうちの、互いに隣り合う2個のポリゴンであって造形物の表面側が境界線を介して凹状に接続される2個のポリゴンのうちの一方のポリゴンを第1ポリゴンとし、他方のポリゴンを第2ポリゴンとし、第1ポリゴンの法線の方向であって造形物の内部に向かう方向を第1法線方向とし、第2ポリゴンの法線の方向であって造形物の内部に向かう方向を第2法線方向とし、第1ポリゴンの形状を第1法線方向にデータ上で着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する造形物の領域を第1延在領域とし、第2ポリゴンの形状を第2法線方向にデータ上で着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する造形物の領域を第2延在領域とすると、第1延在領域および第2延在領域は、着色領域に含まれるとともに、少なくとも着色材料で形成され、着色領域の、第1延在領域と第2延在領域との間の領域を接続領域として設定し、接続領域を、透明材料、光反射領域を形成する光反射材料と同じ材料、第1延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料、あるいは、第2延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成すること、または、接続領域の第1延在領域側の部分を、第1延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域の残りの部分を、第2延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成すること、あるいは、接続領域を、第1延在領域の接続領域側端部に含まれる着色材料と第2延在領域の接続領域側端部に含まれる着色材料とを含む材料によって形成するとともに、接続領域を形成する材料の濃度を、第1延在領域の接続領域側端部を形成する材料の濃度と第2延在領域の接続領域側端部を形成する材料の濃度との和よりも低くすること、のいずれかを選択して接続領域を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明の造形方法では、着色領域の、第1延在領域と第2延在領域との間の領域である接続領域を、透明材料、光反射領域を形成する光反射材料と同じ材料、第1延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料、あるいは、第2延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成している。または、本発明では、接続領域の第1延在領域側の部分を、第1延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域の残りの部分を、第2延在領域の接続領域側端部を形成する材料と同じ材料によって形成している。あるいは、本発明では、接続領域を、第1延在領域の接続領域側端部に含まれる着色材料と第2延在領域の接続領域側端部に含まれる着色材料とを含む材料によって形成するとともに、接続領域を形成する材料の濃度を、第1延在領域の接続領域側端部を形成する材料の濃度と第2延在領域の接続領域側端部を形成する材料の濃度との和よりも低くしている。そのため、本発明の造形方法で造形物を造形すれば、所定の厚さの着色領域を表面に有する立体的な造形物の表面に凹部が形成されていても、凹部が形成された部分の表面が変形したり、テクスチュアが不連続にならないようにして造形物の美観を保つことが可能になる。
【0012】
また、上記の第2の課題を解決するため、本発明の造形方法は、立体的な造形物を造形するための造形方法において、造形物は、少なくとも一部が着色された着色領域と、着色領域よりも造形物の内部側に配置され着色領域を透過して入射する光を反射する光反射領域とを備え、造形物の形状データである複数のポリゴンのうちの、互いに隣り合う2個のポリゴンであって造形物の表面側が境界線を介して凸状に接続される2個のポリゴンのうちの一方のポリゴンを第1ポリゴンとし、他方のポリゴンを第2ポリゴンとし、第1ポリゴンの法線の方向であって造形物の内部に向かう方向を第1法線方向とし、第2ポリゴンの法線の方向であって造形物の内部に向かう方向を第2法線方向とし、第1ポリゴンの形状を第1法線方向にデータ上で着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する造形物の領域を第1延在領域とし、第2ポリゴンの形状を第2法線方向にデータ上で着色領域の厚さ分平行移動させたときに形成される領域に対応する造形物の領域を第2延在領域とすると、第1延在領域および第2延在領域は、着色領域に含まれるとともに、少なくとも着色材料で形成され、第1延在領域と第2延在領域とが重なる領域を接続領域として設定し、接続領域の第1延在領域側の部分を、第1延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成し、接続領域の残りの部分を、第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成すること、あるいは、接続領域を、第1延在領域を形成する材料と同じ材料、または、第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成すること、または、接続領域を、第1延在領域に含まれる着色材料と第2延在領域に含まれる着色材料とを含む材料によって形成するとともに、接続領域を形成する材料の濃度を、第1延在領域を形成する材料の濃度と第2延在領域を形成する材料の濃度との和よりも低くすること、のいずれかを選択して接続領域を形成することを特徴とする。
【0013】
本発明の造形方法では、第1延在領域と第2延在領域とが重なる領域である接続領域の第1延在領域側の部分を、第1延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成し、接続領域の残りの部分を、第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成している。あるいは、本発明では、接続領域を、第1延在領域を形成する材料と同じ材料、または、第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成している。または、本発明では、接続領域を、第1延在領域に含まれる着色材料と第2延在領域に含まれる着色材料とを含む材料によって形成するとともに、接続領域を形成する材料の濃度を、第1延在領域を形成する材料の濃度と第2延在領域を形成する材料の濃度との和よりも低くしている。そのため、本発明の造形方法で造形物を造形すれば、所定の厚さの着色領域を表面に有する立体的な造形物の表面に凸部が形成されていても、凸部が形成された部分のテクスチュアが不連続にならないようにして造形物の美観を保つことが可能になる。
【0014】
本発明において、接続領域の第1延在領域側の半分の部分を、第1延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成し、接続領域の第2延在領域側の半分の部分を、第2延在領域を形成する材料と同じ材料によって形成することが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、凸部が形成された部分のテクスチュアが不連続によりなりにくくなり、その結果、造形物の美観を効果的に保つことが可能になる。
【0015】
本発明において、着色領域の着色された部分は、たとえば、着色材料によって形成されているか、または、着色材料と透明材料とによって形成されている。着色領域の着色された部分が着色材料と透明材料とによって形成されている場合には、透明材料の含有率を調整することで、着色領域の着色された部分の濃度を調整することが可能になる。また、本発明において、光反射領域を形成する光反射材料は、たとえば、白色の材料である。さらに、本発明において、たとえば、造形物の、着色領域よりも内側の部分は、光反射材料によって形成されている。
【0016】
本発明において、造形物の表面と垂直な方向を法線方向とすると、たとえば、法線方向における着色領域の厚さは一定としている。そうすることで、造形物の表面の位置や角度の違いによる色差を抑制することが可能になる。また、本発明において、造形物の表面と垂直な方向を法線方向とすると、たとえば、法線方向における光反射領域の厚さも一定としている。この場合にも、造形物の表面の位置や角度の違いによる色差を抑制することが可能になる。また、本発明において、造形物は、たとえば、インクジェット方式で造形されている。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の造形方法で造形物を造形すれば、所定の厚さの着色領域を表面に有する立体的な造形物の表面に凹部が形成されていても、凹部が形成された部分の表面が変形したり、テクスチュアが不連続にならないようにして造形物の美観を保つことが可能になる。また、本発明の造形方法で造形物を造形すれば、所定の厚さの着色領域を表面に有する立体的な造形物の表面に凸部が形成されていても、凸部が形成された部分のテクスチュアが不連続にならないようにして造形物の美観を保つことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかる造形方法によって造形物を造形する造形装置の構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すヘッド部の構成を説明するための図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる造形方法によって造形される造形物の断面図の一例である。
図4図3のG部の構成を説明するための拡大図である。
図5図3のH部の構成を説明するための拡大図である。
図6図3のG部の形状データを説明するための図である。
図7図3のH部の形状データを説明するための図である。
図8】本発明の他の実施の形態にかかる造形物の断面図の一例である。
図9】従来技術の問題点を説明するための図である。
図10】従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(造形装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる造形方法によって造形物2を造形する造形装置1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すヘッド部4の構成を説明するための図である。
【0021】
本形態では、造形装置1によって立体的な造形物(三次元造形物)2が造形される。造形装置1は、インクジェットプリンタであり、造形物2は、インクジェット方式で造形される。造形装置1は、造形中の造形物2が載置される造形台3と、造形台3の上側に配置されるヘッド部4と、ヘッド部4を主走査方向に移動させるヘッド移動機構5と、造形台3を副走査方向および上下方向に移動させる造形台移動機構6とを備えている。
【0022】
ヘッド部4は、造形台3に向かってインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッド8~14を備えている。本形態のヘッド部4は、たとえば、7個のインクジェッドヘッド8~14を備えている。インクジェッドヘッド8~14は、下側に向かってインク滴を吐出する。インクジェットヘッド8~14から吐出されるインクは、紫外線硬化型のインクである。また、ヘッド部4は、インクジェットヘッド8~14から造形台3に向かって吐出された紫外線硬化型のインクに紫外線を照射してインクを硬化させる2個の紫外線照射器15と、インクジェットヘッド8~14から造形台3に向かって吐出されたインクの表面を平坦にするための平坦化ローラ16とを備えている。
【0023】
インクジェットヘッド8は、造形物2を支持するためのサポート用のインクを吐出する。造形物2の造形時には、必要に応じて、造形物2のオーバーハング部分を支持するサポート材17が造形物2の周囲に形成される(図1参照)。サポート材17は、インクジェットヘッド8から吐出されるサポートインクによって形成されている。サポート材17は、たとえば、水溶性の材料であり、造形物2の造形が完了すると、水によって溶解除去される。
【0024】
インクジェットヘッド9は、白色のインクを吐出する。インクジェットヘッド10~13は、減法混色のカラーインクを吐出する。本形態では、インクジェットヘッド10から吐出されるインクの色はイエローであり、インクジェットヘッド11から吐出されるインクの色はマゼンタであり、インクジェットヘッド12から吐出されるインクの色はシアンであり、インクジェットヘッド13から吐出されるインクの色はブラックである。インクジェットヘッド14は、透明なインク(クリアインク)を吐出する。
【0025】
紫外線照射器15は、UVLEDである。ただし、紫外線照射器15は、メタルハライドランプまたは水銀ランプ等であっても良い。紫外線照射器15は、下側に向かって紫外線を照射して、サポートインクを含む全てのインクを硬化させる。平坦化ローラ16は、造形台3に向かって吐出された硬化前のインクの上面に接触して余分なインクを除去し、インクの上面を平坦にする。造形装置1は、インクジェットヘッド8~14から吐出されるとともに紫外線照射器15から照射される紫外線で硬化したインクによって形成されるインク層を造形台3の上面に順次積層することで造形物2を造形する。
【0026】
(造形物の構成および造形物の造形方法)
図3は、本発明の実施の形態にかかる造形方法によって造形される造形物2の断面図の一例である。図4は、図3のG部の構成を説明するための拡大図である。図5は、図3のH部の構成を説明するための拡大図である。図6は、図3のG部の形状データを説明するための図である。図7は、図3のH部の形状データを説明するための図である。
【0027】
造形物2は、少なくとも一部が着色された着色領域2aと、着色領域2aに覆われるモデル領域2bとを備えている。たとえば、造形物2は、着色領域2aとモデル領域2bとから構成されており、着色領域2aは、造形物2の表面を構成している。造形物2の表面には、凹凸が形成されている。すなわち、造形物2の表面には、造形物2の内部側に向かって窪む凹部2cと、造形物2の外部側に向かって尖る凸部2dとが形成されている。
【0028】
着色領域2aの、着色された部分は、インクジェットヘッド10~13が吐出したカラーインクからなる着色材料によって着色されている。また、着色材料の量は、濃度が高い場合は多く、濃度が低い場合は少なくなるので、インクジェットヘッド14からクリアインクを着色領域2aに吐出して、着色領域2aの法線方向の厚さが変化しないようにしている。なお、インクジェットヘッド9から白インクを着色領域2aに吐出して厚さが変化しないようにしても良い。
【0029】
造形物2の表面、すなわちポリゴン面と垂直な方向を法線方向とすると、法線方向における着色領域2aの厚さは一定になっている。そのため、本形態では、造形物2の表面の場所や傾きによる色差を抑制することが可能になっている。また、法線方向における着色領域2aの厚さは、たとえば、50(μm)~500(μm)となっている。
【0030】
モデル領域2bは、インクジェットヘッド9が吐出した白インクからなる白い材料で形成されている。すなわち、モデル領域2bを形成するモデル材料は、白インクからなる白い材料である。モデル領域2bは、着色領域2aを透過してモデル領域2bに入射する光を反射する。すなわち、モデル領域2bを形成する白い材料は、可視光を反射する光反射材料であり、たとえば、無機顔料の酸化チタン等を含むインクである。
【0031】
造形装置1に入力される造形物2の形状データは、複数のポリゴンを組み合わせることによって構成されたポリゴンモデル(造形物2の表面を多数のポリゴンの集合で表したポリゴンモデル)である。すなわち、ポリゴンモデルには、複数のポリゴンが含まれている。ポリゴンは、たとえば、三角形の平面である。なお、造形物2の造形前には、造形物2の三次元の形状データがインク層の厚さでスライスされてスライスデータが生成される。造形装置1に入力される造形物2のテクスチュアデータは、一般的には加法混色の色データ(R、G、B)であり、ポリゴン面に厚さの無い三角形の面で構成されている。三角形のテクスチュアデータは、ポリゴンの法線方向に延在されて立体的な着色領域2aを形成する。次に、着色領域2aのテクスチュアデータが形状データと同時にインク層の厚さでスライスされて、スライスデータが生成される。スライスされたテクスチュアデータは、加法混色の色データから減法混色の色データ(Y、M、C、K)に変換され、造形装置1の各々のインクジェットヘッド10~13から吐出される。白インク、クリアインク、サポートインクも、スライスデータ中の所定の位置に同時に吐出される。
【0032】
造形物2の形状データ(ポリゴンモデル)において、凹部2cに対応する部分では、図6に示すように、互いに隣り合う2個のポリゴンPG1とポリゴンPG2とが境界線BL1を介して造形物2の表面側で凹状に接続されており、ポリゴンPG1とポリゴンPG2とがなす角は、180°未満となっている。また、造形物2の形状データにおいて、凸部2dに対応する部分では、図7に示すように、互いに隣り合う2個のポリゴンPG3とポリゴンPG4とが境界線BL2を介して造形物2の表面側で凸状に接続されており、ポリゴンPG3とポリゴンPG4とがなす角度は、180°を超えている。本形態のポリゴンPG1、PG3は第1ポリゴンであり、ポリゴンPG2、PG4は第2ポリゴンである。
【0033】
ポリゴンPG1の法線の方向であって造形物2の内部に向かう方向を法線方向N1とし、ポリゴンPG2の法線の方向であって造形物2の内部に向かう方向を法線方向N2とし、ポリゴンPG1の形状を法線方向N1にデータ上で着色領域2aの厚さ(具体的には、法線方向における着色領域2aの厚さ)分平行移動させたときに形成される領域T1に対応する造形物2の領域を延在領域ET1とし、ポリゴンPG2の形状を法線方向N2にデータ上で着色領域2aの厚さ分平行移動させたときに形成される領域T2に対応する造形物2の領域を延在領域ET2とすると(図4図6参照)、延在領域ET1、ET2は、着色領域2aに含まれている。
【0034】
また、延在領域ET1、ET2は、少なくとも着色材料で形成されている。具体的には、延在領域ET1、ET2は、インクジェットヘッド10~13が吐出したカラーインクからなる着色材料によって形成されているか、または、インクジェットヘッド10~13が吐出したカラーインクからなる着色材料とインクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって形成されている。本形態では、延在領域ET1のテクスチュアと延在領域ET2のテクスチュアとが異なっている。ただし、延在領域ET1のテクスチュアと延在領域ET2のテクスチュアとが同じであっても良いし、延在領域ET1と延在領域ET2で1つの画像を分割していても良い。テクスチュアデータの面方向の変化点は、隣り合う2個のポリゴンPG1、PG2の境界線BL1とは相関がない場合も、相関がある場合もあり得る。
【0035】
本形態の法線方向N1は第1法線方向であり、法線方向N2は第2法線方向である。また、本形態の延在領域ET1は第1延在領域であり、延在領域ET2は第2延在領域である。なお、図4は、図6のJ-J断面に対応する、造形物2の断面の断面図である。また、造形物2の表面に形成される平面P1(図4参照)は、ポリゴンPG1に対応する平面であり、平面P2(図4参照)は、ポリゴンPG2に対応する平面である。
【0036】
図4(A)に示すように、着色領域2aの、延在領域ET1と延在領域ET2との間の領域(すなわち、延在領域ET1と延在領域ET2とモデル領域2bとに囲まれた領域)を接続領域CT1とすると、本形態の造形方法では、透明材料、または、モデル領域2bを形成するモデル材料(光反射材料)と同じ材料によって、接続領域CT1を形成する。すなわち、本形態の造形方法では、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料、または、インクジェットヘッド9が吐出した白インクからなる白い材料によって接続領域CT1を形成する。あるいは、本形態の造形方法では、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料、または、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって接続領域CT1を形成する。
【0037】
上述のように、造形物2の形状データにおいて、凸部2dに対応する部分では、互いに隣り合う2個のポリゴンPG3とポリゴンPG4とが境界線BL2を介して凸状に接続されている。ポリゴンPG3の法線の方向であって造形物2の内部に向かう方向を法線方向N3とし、ポリゴンPG4の法線の方向であって造形物2の内部に向かう方向を法線方向N4とし、ポリゴンPG3の形状を法線方向N3にデータ上で着色領域2aの厚さ分平行移動させたときに形成される領域T3に対応する造形物2の領域を延在領域ET3とし、ポリゴンPG4の形状を法線方向N4にデータ上で着色領域2aの厚さ分平行移動させたときに形成される領域T4に対応する造形物2の領域を延在領域ET4とすると(図5図7参照)、延在領域ET3、ET4は、着色領域2aに含まれている。
【0038】
また、延在領域ET3、ET4は、少なくとも着色材料で形成されている。具体的には、延在領域ET3、ET4は、インクジェットヘッド10~13が吐出したカラーインクからなる着色材料によって形成されているか、または、インクジェットヘッド10~13が吐出したカラーインクからなる着色材料とインクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって形成されている。本形態では、延在領域ET3のテクスチュアと延在領域ET4のテクスチュアとが異なっている。ただし、延在領域ET3のテクスチュアと延在領域ET4のテクスチュアとが同じであっても良い。
【0039】
本形態の法線方向N3は第1法線方向であり、法線方向N4は第2法線方向である。また、本形態の延在領域ET3は第1延在領域であり、延在領域ET4は第2延在領域である。なお、図5は、図6のK-K断面に対応する、造形物2の断面の断面図である。また、造形物2の表面に形成される平面P3(図5参照)は、ポリゴンPG3に対応する平面であり、平面P4(図4参照)は、ポリゴンPG4に対応する平面である。
【0040】
図5(A)に示すように、延在領域ET3と延在領域ET4とが重なる領域(具体的には、延在領域ET3の一部と延在領域ET4の一部とが重なる領域)を接続領域CT5とすると、本形態の造形方法では、接続領域CT5の延在領域ET3側の部分を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT5の残りの部分を、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成する。具体的には、図5(A)に示すように、接続領域CT5の延在領域ET3側の半分の部分CT6を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT5の延在領域ET4側の半分の部分CT7を、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成する。
【0041】
なお、接続領域CT5の延在領域ET3側の半分未満の部分を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT5の残りの部分を、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い。また、接続領域CT5の延在領域ET3側の半分を超える部分を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT5の残りの部分を、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の造形方法では、着色領域2aの、延在領域ET1と延在領域ET2との間の領域である接続領域CT1を、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料、インクジェットヘッド9が吐出した白インクからなる白い材料、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料、または、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成している。そのため、本形態の造形方法で造形物2を造形すれば、所定の厚さの着色領域2aを表面に有する立体的な造形物2の表面に凹部2cが形成されていても、凹部2cが形成された部分の表面が変形したり、テクスチュアが不連続にならないようにして造形物2の美観を保つことが可能になる。
【0043】
本形態では、延在領域ET3と延在領域ET4とが重なる領域である接続領域CT5の延在領域ET3側の部分を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT5の残りの部分を、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成している。そのため、本形態の造形方法で造形物2を造形すれば、所定の厚さの着色領域2aを表面に有する立体的な造形物2の表面に凸部2dが形成されていても、凸部2dが形成された部分のテクスチュアが不連続にならないようにして造形物2の美観を保つことが可能になる。
【0044】
特に本形態では、接続領域CT5の延在領域ET3側の半分の部分CT6を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT5の延在領域ET4側の半分の部分CT7を、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成しているため、本願発明者の検討によれば、凸部2dが形成された部分のテクスチュアが不連続によりなりにくくなり、その結果、造形物2の美観を効果的に保つことが可能になる。
【0045】
(造形方法の変形例1)
上述した形態において、接続領域CT1の延在領域ET1側の部分を、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT1の残りの部分を、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い。たとえば、図4(B)に示すように、接続領域CT1の延在領域ET1側の半分の部分CT2を、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT1の延在領域ET2側の半分の部分CT3を、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
なお、接続領域CT1の延在領域ET1側の半分未満の部分を、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT1の残りの部分を、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い。また、接続領域CT1の延在領域ET1側の半分を超える部分を、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成し、かつ、接続領域CT1の残りの部分を、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い。
【0047】
また、上述した形態において、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部に含まれる着色材料と延在領域ET2の接続領域CT1側の端部に含まれる着色材料とを含む材料によって接続領域CT1を形成するとともに、接続領域CT1を形成する材料の濃度を、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料の濃度と延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料の濃度との和よりも低くしても良い。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。また、この場合には、接続領域CT1を形成する材料の濃度を、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料の濃度と延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料の濃度との和の半分にすることが好ましい。
【0048】
具体的には、たとえば、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部が、インクジェットヘッド12が吐出したカラーインク(シアン)からなる着色材料と、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって形成されるとともに、延在領域ET1の接続領域CT1側の端部を形成する材料の中の着色材料の含有比率および透明材料の含有比率が50%であり、かつ、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部が、インクジェットヘッド11が吐出したカラーインク(マゼンタ)からなる着色材料と、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって形成されるとともに、延在領域ET2の接続領域CT1側の端部を形成する材料の中の着色材料の含有比率および透明材料の含有比率が50%である場合には、インクジェットヘッド11が吐出したカラーインクからなる着色材料と、インクジェットヘッド12が吐出したカラーインクからなる着色材料と、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって接続領域CT1を形成するとともに、接続領域CT1を形成する材料の中の、インクジェットヘッド11が吐出したカラーインクからなる着色材料の含有比率およびインクジェットヘッド12が吐出したカラーインクからなる着色材料の含有比率を25%とし、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料の含有比率を50%とすることが好ましい。
【0049】
(造形方法の変形例2)
上述した形態において、接続領域CT5を、延在領域ET3を形成する材料と同じ材料、または、延在領域ET4を形成する材料と同じ材料によって形成しても良い(図5(B)参照)。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、上述した形態において、延在領域ET3に含まれる着色材料と延在領域ET4に含まれる着色材料とを含む材料によって接続領域CT5を形成するとともに、接続領域CT5を形成する材料の濃度を、延在領域ET3を形成する材料の濃度と延在領域ET4を形成する材料の濃度との和よりも低くしても良い。この場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。また、この場合には、接続領域CT5を形成する材料の濃度を、延在領域ET3を形成する材料の濃度と延在領域ET4を形成する材料の濃度との和の半分にすることが好ましい。
【0051】
具体的には、たとえば、延在領域ET3が、インクジェットヘッド12が吐出したカラーインク(シアン)からなる着色材料と、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって形成されるとともに、延在領域ET3を形成する材料の中の着色材料の含有比率および透明材料の含有比率が50%であり、かつ、延在領域ET4が、インクジェットヘッド11が吐出したカラーインク(マゼンタ)からなる着色材料と、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって形成されるとともに、延在領域ET4を形成する材料の中の着色材料の含有比率および透明材料の含有比率が50%である場合には、インクジェットヘッド11が吐出したカラーインクからなる着色材料と、インクジェットヘッド12が吐出したカラーインクからなる着色材料と、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料とによって接続領域CT5を形成するとともに、接続領域CT5を形成する材料の中の、インクジェットヘッド11が吐出したカラーインクからなる着色材料の含有比率およびインクジェットヘッド12が吐出したカラーインクからなる着色材料の含有比率を25%とし、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料の含有比率を50%とすることが好ましい。
【0052】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0053】
上述した形態において、造形物2は、着色領域2aを覆う保護領域を備えていても良い。この場合には、保護領域は、たとえば、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料によって形成されている。また、上述した形態において、造形物2は、着色領域2aとモデル領域2bとの間に配置される分離領域を備えていても良い。この場合には、分離領域は、たとえば、インクジェットヘッド14が吐出したクリアインクからなる透明材料によって形成されている。
【0054】
上述した形態において、造形物2は、図8に示すように、モデル領域2bとは別に、着色領域2aを透過して入射する光を反射する光反射領域2fを備えていても良い。光反射領域2fは、着色領域2aとモデル領域2bとの間に配置されている。すなわち、光反射領域2fは、着色領域2aよりも造形物2の内部側に配置されている。光反射領域2fは、たとえば、インクジェットヘッド9が吐出した白インクからなる白い材料で形成されている。また、この場合には、モデル領域2bは、たとえば、着色材料や透明材料等の、白い材料以外の材料で形成されている。また、この場合には、造形物2の表面の色差を抑制するために、法線方向(造形物2の表面と垂直な方向)における光反射領域2fの厚さは造形物2の場所によらず一定になっている。さらに、着色領域2aと光反射領域2fの間に配置される分離領域を備えていても良い。この分離領域の厚さも造形物2の場所によらず一定になっていることが好ましい。
【0055】
上述した形態において、造形物2は、透明や白色の樹脂粉体を構造体として、減法混色のカラー、透明、黒色、白色の結着材の液をインクジェット方式で吐出して造形されても良い。また、上述した形態において、ポリゴンモデルを構成するポリゴンは、三角形の平面以外の多角形の平面であっても良い。たとえば、ポリゴンは、四角形の平面であっても良い。
【符号の説明】
【0056】
2 造形物
2a 着色領域
2b モデル領域(光反射領域)
2f 光反射領域
BL1、BL2 境界線
CT1、CT5 接続領域
CT6 接続領域の第1延在領域側の半分の部分
CT7 接続領域の第2延在領域側の半分の部分
ET1、ET3 延在領域(第1延在領域)
ET2、ET4 延在領域(第2延在領域)
N1、N3 法線方向(第1法線方向)
N2、N4 法線方向(第2法線方向)
PG1、PG3 ポリゴン(第1ポリゴン)
PG2、PG4 ポリゴン(第2ポリゴン)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10