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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ワーク搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/12 20060101AFI20220601BHJP
   B65H 3/64 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B65H3/12 310B
B65H3/64 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2015206079
(22)【出願日】2015-10-20
(65)【公開番号】P2017077938
(43)【公開日】2017-04-27
【審査請求日】2018-07-31
【審判番号】
【審判請求日】2020-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390005979
【氏名又は名称】さくら精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(73)【特許権者】
【識別番号】521054005
【氏名又は名称】内田洋行グローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】村本 一平
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 寿将
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】清水 康司
【審判官】藤田 年彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-42470(JP,A)
【文献】実開昭59-26455(JP,U)
【文献】特開2012-111565(JP,A)
【文献】特開昭62-140950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H1/00-3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のワークが積層状態で載置されるテーブル、
前記ワークの搬送を支援する上面を有し、ワーク搬送方向における前記テーブルの下流側に配されるガイド部材、および
前記ワーク搬送方向および上下方向の両方に直交する方向に各々が延在する複数のプーリと前記複数のプーリに掛け回される無端ベルトとを有し、前記テーブルおよび前記ガイド部材を跨ぐように前記テーブルおよび前記ガイド部材の上方に配されるベルト駆動機構を備え、
前記ベルト駆動機構の下部には上向きの第1吸引力を生じさせる第1開口部が形成され、
前記ガイド部材の上面には下向きの第2吸引力を生じさせる第2開口部が形成され、
前記第1吸引力の大きさは前記第2吸引力の大きさを上回り、
前記ベルト駆動機構と前記ガイド部材との間には、前記ベルト駆動機構の下部に前記第1吸引力によって吸着したワークが前記ガイド部材の上面に接触しないだけの間隔が設けられており、
前記ガイド部材の上面には前記第2吸引力によって前記上面に吸着したワークの位置ずれを抑制する抑制部が固定的に設けられ、
前記抑制部は前記第2開口部を挟みかつ各々が前記ワーク搬送方向に延在する第1摩擦材および第2摩擦材により構成され、
前記ベルト駆動機構は、前記第1吸引力によって吸着した前記ワークの前縁が前記ガイド部材の下流側に設けられた搬送ローラを通過した直後に停止し、前記搬送ローラが、前記第1吸引力によって吸着したワークを搬送し、前記第1吸引力によって吸着したワークの後端が前記搬送ローラから離脱した後に駆動を再開して、
前記ガイド部材の上面に前記第2吸引力によって吸着したワークがない場合には、前記テーブルに載置された最上層のワークを、前記第1吸引力によって吸着して前記搬送ローラに向けて搬送し、
前記ガイド部材の上面に前記第2吸引力によって吸着したワークがある場合には、前記ガイド部材の上面に吸着したワークを、前記第1吸引力によって吸着して前記搬送ローラに向けて搬送し、
前記ガイド部材は、前記ベルト駆動機構によって2枚の前記ワークが重送された場合に、重送されたワークのうち下側のワークを、前記第2吸引力によって上面に吸着する、ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記第2開口部の下流端は前記第1開口部の下流端よりも上流側に配される、請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記第2開口部の下流端から前記第1開口部の上流端までの距離は前記ワークの前端から後端までの長さを下回る、請求項1または2記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記ベルト駆動機構は、前記ガイド部材の下流側に設けられた搬送ローラの周速を平均で下回る周速で前記複数のプーリを回転させるモータをさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
前記モータは、前記ベルト駆動機構によって搬送されるワークと前記搬送ローラとの位置関係に基づいて前記複数のプーリを間欠的に回転させる、請求項4記載のワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワーク搬送装置に関し、特に積層されたシート状のワークを1枚ずつ搬送する、ワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、第1の吸引手段および第2の吸引手段は、搬送路に設けられて、互いに逆方向の吸引力を発生する。用紙給紙部から搬出された用紙は第1の吸引手段によって吸引され、当該用紙に重送された用紙は第2の吸引手段によって吸引される。第1の吸引手段によって吸引された用紙は搬送路を経て感光体に供給される。これに対して、第2の吸引手段によって吸引された用紙は、搬送路から分岐する重送路を経て積載ボックスに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-246207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、第2吸引手段の吸引によって分離された用紙(シート状のワーク)を再利用するには、当該用紙を用紙給紙部に載置し直す必要があり、作業途中での操作者の負担が増大するという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、作業途中で作業者の支援を受けることなくシート状のワークを1枚ずつ搬送することができる、ワーク搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るワーク搬送装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、シート状のワーク(44)が積層状態で載置されるテーブル(12)、ワークの搬送を支援する上面(14tp)を有し、ワーク搬送方向におけるテーブルの下流側に配されるガイド部材(14)、およびワーク搬送方向および上下方向の両方に直交する方向に各々が延在する複数のプーリ(26a~26d, 28a~28b)と複数のプーリに掛け回される無端ベルト(32a~32d)とを有し、テーブルおよびガイド部材を跨ぐようにテーブルおよびガイド部材の上方に配されるベルト駆動機構(16)を備え、ベルト駆動機構の下部には上向きの第1吸引力を生じさせる第1開口部(OP1)が形成され、ガイド部材の上面には下向きの第2吸引力を生じさせる第2開口部(OP2)が形成され、第1吸引力の大きさは第2吸引力の大きさを上回り、ガイド部材の上面には第2吸引力によって上面に吸着したワークの位置ずれを抑制する抑制部が設けられ、抑制部は第2開口部を挟みかつ各々がワーク搬送方向に延在する第1摩擦材(24a)および第2摩擦材(24b)を含む
【0007】
ベルト駆動機構は、テーブルおよびガイド部材を跨ぐようにテーブルおよびガイド部材の上方に配される。また、ベルト駆動機構の下部に形成された第1開口部には、上向きの第1吸引力が生じる。
【0008】
したがって、テーブルに載置されたワークは、第1開口部の上流端でベルト駆動機構の下部に吸着し、無端ベルトによって下流に搬送される。吸着したワークが第1開口部の下流端に達すると、ワークはベルト駆動機構を離れ、ガイド部材の上面に沿って搬送される。
【0009】
これを踏まえて、ガイド部材の上面には、下向きの第2吸引力を生じさせる第2開口部が形成される。さらに、第2吸引力の大きさは第1吸引力の大きさを下回る。
【0010】
したがって、2枚のワークが重送された場合、1枚目のワークは第1開口部の下流端に達してガイド部材の上面をさらに下流に搬送されるものの、2枚目のワークは第2開口部に生じた第2吸引力によってガイド部材に吸着する。
【0011】
ガイド部材に吸着した2枚目のワークは、1枚目のワークとの重送が解消されるタイミングでベルト駆動機構の下部に吸着し、無端ベルトによって下流に搬送される。これによって、作業途中で作業者の支援を受けることなく、ワークを1枚ずつ搬送することができる。
【0012】
好ましくは、第2開口部の下流端は第1開口部の下流端よりも上流側に配される。これによって、重送された2枚目のワークをガイド部材に確実に吸着させることができる。
【0013】
好ましくは、第2開口部の下流端から第1開口部の上流端までの距離はワークの前端から後端までの長さを下回る。
【0014】
2枚のワークが重送されると、2枚目のワークは当初の位置から下流側にずれた位置でガイド部材に吸着する。これを踏まえて、第2開口部の下流端から第1開口部の上流端までの距離をワークの前端から後端までの長さよりも短くしている。これによって、2枚目のワークがガイド部材に吸着している状態で3枚目のワークが無端ベルトに吸着する懸念を軽減することができる。
【0015】
好ましくは、ベルト駆動機構は、ガイド部材の下流側に設けられた搬送ローラ(46)の周速を下回る周速で複数のプーリを回転させるモータ(38m)がさらに備えられる。
【0016】
ワーク吸着範囲の下流端で無端ベルトから開放されたワークは、ガイド部材の上面を搬送され、搬送ローラによってさらに下流に搬送される。これを踏まえて、複数のプーリは、搬送ローラの周速を下回る周速で回転する。これによって、2枚のワークが重送された場合、1枚目のワークと2枚目のワークとを確実に分離することができる。
【0017】
好ましくは、モータは、ベルト駆動機構によって搬送されるワークと搬送ローラとの位置関係に基づいて複数のプーリを間欠的に回転させる。複数のプーリを間欠的に回転させることで、ワークの搬送動作が安定する。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、作業途中で作業者の支援を受けることなく、ワークを1枚ずつ搬送することができる。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この実施例のワーク搬送装置を斜め上から眺めた状態を示す斜視図である。
図2】ワーク搬送装置を構成するガイド部材を斜め上から眺めた状態を示す斜視図である。
図3】ワーク搬送装置を構成するベルト駆動機構を斜め下から眺めた状態を示す斜視図である。
図4図2に示すガイド部材を分解した状態を示す分解図である。
図5図3に示すベルト駆動機構を分解した状態を示す分解図である。
図6】ワーク搬送装置の或る断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、この実施例のワーク搬送装置10は、テーブル12とガイド部材14とベルト駆動機構16とによって構成される。テーブル12はワーク搬送方向の上流側に配され、ガイド部材14はワーク搬送方向の下流側に配される。また、ベルト駆動機構16は、テーブル12およびガイド部材14を跨ぐようにテーブル12およびガイド部材14の上方に配される。
【0022】
テーブル12には、用紙のようなシート状のワーク44,44,…(図6参照)が積層状態で載置される。載置されたワーク44の主面は長方形をなし、長方形の長辺はシート搬送方向に沿って延在する。この実施例では、こうして載置されたワーク44の長さ方向,幅方向および厚み方向にX軸,Y軸およびZ軸がそれぞれ割り当てられる。
【0023】
なお、X軸方向の正側がワーク搬送方向の上流に相当し、X軸方向の負側がワーク搬送方向の下流に相当する。また、Z軸方向の正側が上方向に相当し、Z軸方向の負側が下方向に相当する。
【0024】
図2および図4を参照して、ガイド部材14は、ベース板18と、ベース板18に取り付けられたブロアステー22と、ブロアステー22によって保持されたブロア20とを備える。
【0025】
ベース板18は、ベルト駆動機構16によるワーク44の搬送を支援する上面18tpと、テーブル12に積層されたワーク44,44,…の位置ずれを規制する側面(壁面)18sdとを有し、さらに上面18tpおよび側面18sdを繋ぐ位置に設けられて搬送中のワーク44の撓みを解消する斜面18slpを有する。
【0026】
ベース板18にはまた、Y軸方向における正側の端部の位置で上面18tp,斜面18slpおよび側面18sdを部分的に切り欠く切り欠き部18ctが形成される。ブロア20およびこれを保持するブロアステー22は、この切り欠き部18ctに嵌め込まれる。
【0027】
ブロアステー22もまた、上面22tpおよび側面22sdを有する。切り欠き部18ctに嵌め込まれた状態では、上面22tpは上面18tpと面一となり、側面22sdは側面18sdとほぼ面一となる。ガイド部材14の上面14tp(図2参照)は、上面22tpおよび18tpによって形成される。
【0028】
上面22tpには第2開口部OP2が形成され、側面22sdには第3開口部OP3が形成される。特に、第2開口部OP2は、X軸方向に線状に延びてY軸方向に並ぶ複数の貫通孔からなる。ブロア20は、搬送中のワーク44を上面22tpに吸着させるべく、第2開口部OP2に下向きの吸引力を生じさせる。第2開口部OP2を通して吸引された空気の一部は、第3開口部OP3から吐き出される。テーブル12に積層されたワーク44,44,…は、第3開口部OP3から吐き出された空気によって捌かれる。
【0029】
上面22tpにはまた、短冊状の摩擦材(ウレタン板)24aおよび24bが貼り付けられる。摩擦材24aは第2開口部OP22よりもY軸方向の負側の位置をX軸に沿って延在し、摩擦材24bは第2開口部OP22よりもY軸方向の正側の位置をX軸に沿って延在する。上面22tpに吸着したワーク44の位置ずれは、こうして貼り付けられた摩擦材24aおよび24bによって抑制される。
【0030】
なお、図4では省略されているが、側面18sdには、ワーク揃え42が貼り付けられる。ワーク揃え42は、テーブル12に積層されたワーク44,44,…を揃えるための部材であり、Y軸方向の正側端部をZ軸方向に延在する。
【0031】
図3および図5を参照して、ベルト駆動機構16は、X軸方向に間隔を空けて配されたプーリホルダ30aおよび30bを備える。具体的には、プーリホルダ30aはX軸方向の正側に配され、プーリホルダ30bはX軸方向の負側に配される。ただし、Y軸方向およびZ軸方向の各々における配置は、プーリホルダ30aおよび30bの間で一致する。
【0032】
大径プーリ26a,26dおよび小径プーリ28aはプーリホルダ30aによって保持され、大径プーリ26b,26cおよび小径プーリ28bはプーリホルダ30bによって保持される。
【0033】
保持された大径プーリ26a~26d,小径プーリ28a~28bの各々の回転軸は、Y軸に沿って延在する。また、Z軸方向(高さ方向)における配置は、大径プーリ26aおよび26bの間で一致し、大径プーリ26cおよび26dの間で一致し、さらに小径プーリ28aおよび28bの間で一致する。ただし、大径プーリ26cおよび26dは大径プーリ26aおよび26bよりも高い位置に配され、小径プーリ28aおよび28bは大径プーリ26aおよび26bよりも僅かに低い位置に配される。
【0034】
ケース34は、貫通孔HL1aおよびHL1bが形成された天面を有する上側ケース部材34upと、第1開口部OP1が形成された底面を有する下側ケース部材34btmと、下側ケース部材34btmに収められた仕切り板34spとによって構成される。
【0035】
より具体的には、貫通孔HL1aおよびHL1bは、共通の大きさを有してX軸方向に並ぶ。貫通孔HL1aはX軸方向の正側に配され、貫通孔HL1bはX軸方向の負側に配される。
【0036】
仕切り板34spは、貫通孔HL1aおよびHL1bの間をY軸に沿って延在するように下側ケース部材34btmに配される。この結果、ケース34の内部空間は、貫通孔HL1aの下側の空間SP1aと貫通孔HL1bの下側の空間SP1bとに仕切られる。
【0037】
第1開口部OP1は、X軸方向に線状に延びてY軸方向に並ぶ複数の貫通孔からなる。各々の貫通孔の幅は、仕切り板34spよりも上流側(空間SP1a側)において広げられ、仕切り板34spよりも下流側(空間SP1b側)において狭められる。
【0038】
ブロア36aは、貫通孔HL1aを覆うように上側ケース部材36upの天面に配される。また、ブロア36bは、ブロア36aと同じサイズおよび性能を有して、貫通孔HL1bを覆うように上側ケース部材34upの天面に配される。こうして配されたブロア36aおよび36bによって、第1開口部OP1に上向きの吸引力が生じる。
【0039】
第1開口部OP1に生じる上向きの吸引力は、第2開口部OP2に生じる下向きの吸引力を上回る。また、図6から分かるように、第1開口部OP1の下流端は、第2開口部OP2よりも下流側に配される。より厳密には、第1開口部OP1の下流端は、第2開口部OP2の下流端および上流端のいずれよりも下流側に配される。さらに、第2開口部OP2の下流端から第1開口部OP1の上流端までの距離は、ワーク44の前端から後端までの長さを下回る。
【0040】
図5に戻って、ケース34の高さサイズはプーリホルダ30aおよび30bの各々の高さサイズの半分以下であり、ブロア36aおよび36bの各々の高さサイズもまたプーリホルダ30aおよび30bの各々の高さサイズの半分以下である。また、ケース34の幅はプーリホルダ30aおよび30bの各々の幅を僅かに下回り、ケース34の長さは小径プーリ28aおよび28bの間隔を僅かに下回る。
【0041】
ケース34およびブロア36a,36bは、下側ケース部材34btmの底面の高さ位置がプーリホルダ30aおよび30bの下端の高さ位置と一致するように、プーリホルダ30aおよび30bの間に配される。この結果、ケース34は、小径プーリ28aおよび28bによって挟まれ、さらに大径プーリ26aおよび26bによって挟まれる。また、ブロア36aおよび36bの各々の上面の高さ位置は、プーリホルダ30aおよび30bの上面の高さ位置よりも低くなる。
【0042】
無端ベルト32a~32dは、大径プーリ26a~26d,小径プーリ28a~28bに掛け回される。掛け回された無端ベルト32a~32dは、Y軸方向の負側から正側に向かって、“32a”,“32b”,“32c”,“32d”の順で並ぶ。ケース34およびブロア36a,36bは、こうして掛け回された無端ベルト32a~32dの内側に収められる。
【0043】
プーリホルダ30bにはまた、駆動モータ38mを有するモータユニット38が取り付けられる。駆動モータ38mは、Y軸方向の負側から眺めて時計回り方向に大径プーリ26bを回転させる。これに伴って、無端ベルト32a~32dも同じ方向に回転する。
【0044】
図6を参照して、テーブル12に載置された最上層のワーク44からベルト駆動機構16の下面までの距離は、大径プーリ26aの近傍に設けられたセンサ40によって検知される。テーブル12は、検知された距離が指定値を示すように上下動する。つまり、テーブル12は、ワーク44が搬出される毎に徐々に上昇する。
【0045】
第1開口部OP1には上向きの吸引力が生じるため、最上層のワーク44は、無端ベルト32a~32dに吸着して下流に搬送される。また、第1開口部OP1に生じる上向きの吸引力は、第2開口部OP2に生じる下向きの吸引力を上回るため、無端ベルト32a~32dに吸着したワーク44は、ガイド部材14の上面14tpに接触することなく小径プーリ28bに達し、その後にガイド部材14の上面14tpの上を下流に搬送される。
【0046】
ベルト駆動機構16よりも下流の位置には、搬送ローラ46が設けられる。ワーク44の前端が搬送ローラ46に達すると、このワーク44は搬送ローラ46によって巻き取られ、さらに下流に搬送される。
【0047】
搬送中のワーク44と搬送ローラ46との位置関係は、搬送ローラ46の下流に設けられたセンサ48によって検知され、駆動モータ38mは、センサ48の検知結果に基づいて大径プーリ26bを間欠的に回転させる。つまり、無端ベルト32a~32dの回転は、ワーク44の前縁が搬送ローラ46を通過した直後に停止し、ワーク44の後縁が搬送ローラ46から離脱した直後に再開される。この結果、大径プーリ26bひいては無端ベルト32a~32dの周速は、平均で搬送ローラ46の周速を下回る。
【0048】
テーブル12にワーク44,44,…が積層された状態では、たとえば静電気によって2枚目のワーク44が1枚目のワーク44に付着し、2枚のワーク44,44が重送される場合がある。ただし、1枚目のワーク44は第1開口部OP1の下流端に達してガイド部材14の上面14tpをさらに下流に搬送されるものの、2枚目のワーク44は第2開口部OP2に生じた吸引力によってガイド部材14に吸着する。
【0049】
ガイド部材14に吸着した2枚目のワーク44は、1枚目のワーク44との重送が解消されるタイミングでベルト駆動機構16の下面に吸着し、無端ベルト32a~32dによって下流に搬送される。したがって、2枚のワーク44,44が重なってテーブル12から搬出されたとしても、ワーク44は1枚ずつ搬送ローラ46に供給される。
【0050】
以上の説明から分かるように、テーブル12には、シート状のワーク44,44,…が積層状態で載置される。ガイド部材14は、ワーク44の搬送を支援する上面14tpを有し、ワーク搬送方向におけるテーブル12の下流側に配される。ベルト駆動機構16は、ワーク搬送方向および上下方向の両方に直交する方向に各々が延在する大径プーリ26a~26dおよび小径プーリ28a~28bと、これらのプーリに掛け回される無端ベルト32a~32dとを有し、テーブル12およびガイド部材14を跨ぐようにテーブル12およびガイド部材14の上方に配される。第1開口部OP1は、上向きの吸引力を生じさせるべくベルト駆動機構16の下部に形成される。第2開口部OP2は、下向きの吸引力を生じさせるべく、ガイド部材14の上面14tpに形成される。ここで、第1開口部OP1に生じる吸引力の大きさは、第2開口部OP2に生じる吸引力の大きさを上回る。
【0051】
繰り返しになるが、テーブル12に載置されたワーク44は、第1開口部OP1の上流端でベルト駆動機構16の下部に吸着し、無端ベルト32a~32dによって下流に搬送される。吸着したワーク44が第1開口部OP1の下流端に達すると、ワーク44はベルト駆動機構16を離れ、ガイド部材14の上面14tpに沿ってさらに下流に搬送される。
【0052】
2枚のワーク44,44が重送された場合、1枚目のワーク44は第1開口部OP1の下流端に達してガイド部材14の上面14tpをさらに下流に搬送される。これに対して、2枚目のワーク44は第2開口部OP2に生じた吸引力によってガイド部材14に吸着する。
【0053】
ガイド部材14に吸着した2枚目のワーク44は、1枚目のワーク44との重送が解消されるタイミングでベルト駆動機構16の下部に吸着し、無端ベルト32a~32dによって下流に搬送される。これによって、作業途中で作業者の支援を受けることなく、ワーク44を1枚ずつ搬送することができる。
【0054】
また、第1開口部OP1の下流端は、第2開口部OP2の下流端よりも下流側に配される。これによって、重送された2枚目のワーク44をガイド部材14に確実に吸着させることができる。
【0055】
さらに、重送された2枚目のワーク44が下流側にずれた位置でガイド部材14に吸着されることを踏まえて、第2開口部OP2の下流端から第1開口部OP1の上流端までの距離をワーク44の前端から後端までの長さよりも短くしている。これによって、2枚目のワーク44がガイド部材14に吸着している状態で3枚目のワーク44が無端ベルト32a~32dに吸着する懸念を軽減することができる。
【0056】
なお、この実施例では、下側ケース部材34btmの底面に第1開口部OP1を形成するようにしているが、ケース34を省略するとともに、無数の貫通孔が形成された単一の無端ベルトを無端ベルト32a~32dに代替させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 …ワーク搬送装置
12 …テーブル
14 …ガイド部材
16 …ベルト駆動機構
26a~26d …大径プーリ
28a,28b …小径プーリ
32a~32d …無端ベルト
38m …駆動モータ
44 …ワーク
46 …搬送ローラ
OP1 …第1開口部
OP2 …第2開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6