(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20220601BHJP
G08G 1/137 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/137
(21)【出願番号】P 2018018460
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2017108016
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】松井 修平
(72)【発明者】
【氏名】梅谷 英生
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/200762(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実施する情報処理方法であって、
手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得ステップと、
前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成ステップと、
生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力ステップとを含み、
前記第1走行値および前記第2走行値は、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両における加減速回数、車線変更回数、および、車線内での走行位置を示す値のうちの少なくとも一を含む、
情報処理方法。
【請求項2】
前記生成ステップでは、前記第1走行値と前記第2走行値との差分が所定の値以上である場合、自動運転困難箇所情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記生成ステップでは、前記第1走行値と前記第2走行値との差分に基づくスコアを用いて、前記自動運転困難箇所情報を生成する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記比較は、所定領域ごとに行われる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記比較は、さらに、所定条件ごとに行われ、
前記所定条件は、時間、天候、および、手動運転を行う運転者の年齢のうちの少なくとも一を含む、
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得部と、
前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、推定された自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成部と、
生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力部とを備え、
前記第1走行値および前記第2走行値は、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両における加減速回数、車線変更回数、および、車線内での走行位置を示す値のうちの少なくとも一を含む、
情報処理装置。
【請求項7】
それぞれ、手動運転され、運転データを送信する1以上の第1車両と、
それぞれ、自動運転され、運転データを送信する1以上の第2車両と、
情報処理装置とを備え、
前記情報処理装置は、
前記1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および前記1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得部と、
前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成部と、
生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力部とを備え、
前記第1走行値および前記第2走行値は、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両における加減速回数、車線変更回数、および、車線内での走行位置を示す値のうちの少なくとも一を含む
情報処理システム。
【請求項8】
手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得ステップと、
前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成ステップと、
生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力ステップとを、
コンピュータに実行させ、
前記第1走行値および前記第2走行値は、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両における加減速回数、車線変更回数、および、車線内での走行位置を示す値のうちの少なくとも一を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転操作が自動でなされ、人の運転操作を必要としない自動運転車両は、道路状況または周辺環境によっては、走行することが困難な場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、道路形状、天候、白線のかすれなど特定の道路環境をセンシングによって車両の自動運転の可否を判定し、自動運転できないと判定した場合に、その理由を案内する技術が提案されている。これによれば、自動運転できないと判定された箇所において、自動運転による走行を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、自動運転ができるかどうかを判定しているに過ぎず、自動運転による走行が困難な箇所(以下、自動運転困難箇所と記載)を推定等することができないという問題がある。そして、自動運転困難箇所では、自動運転車両は、不必要に減速したり、停止したり、走行不能になったりして、事故を起こしてしまうおそれがある。
【0006】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、自動運転困難箇所を生成して出力することができる情報処理方法、情報処理装置、情報処理システムおよびプログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得ステップと、前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成ステップと、生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力ステップとを含む。
【0008】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る情報処理方法等によれば、推定した自動運転困難箇所を示す情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る第1車両の一部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る第2車両の一部構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す取得部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す生成部の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る推定部が推定する自動運転困難箇所の一例の説明図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る情報生成部が生成する自動運転困難箇所報告書の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る情報生成部が生成する自動運転困難箇所報告書に含まれる情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
運転操作が自動でなされ、人の運転操作を必要としない自動運転車両は、道路状況または周辺環境によっては、走行することが困難な場合がある。このような自動運転困難箇所では、自動運転車両は、不必要に減速したり、停止したり、走行不能になったりして、事故を起こしてしまうおそれがある。
【0012】
しかしながら、自動運転困難箇所は、手動運転では困難を感じない場合も多く、人では判断が難しい場合も多い。つまり、道路状況または周辺環境によっては、手動運転車両が走行することは容易でも、自動運転車両が走行することが難しい自動運転困難箇所があるがその判断は人では難しい。
【0013】
そして、上記特許文献1に開示される技術を用いても、道路形状、天候、白線のかすれなど特定の道路環境をセンシングすることで、自動運転ができるかどうかを判定しているに過ぎず、自動運転困難箇所を推定等することができない。
【0014】
さらに、上記特許文献1では、道路形状、天候、白線の基準となる基準データがあり、センシングした結果と基準データと比較することで自動運転ができるかどうかを判定している。つまり、上記特許文献1に開示される技術を用いても、他の自動運転車両を含めた自動運転車両が自動運転する際に必要な地図情報の不備そのもの、走行中の道路の交通標識等の誤検出と言った基準データ自体に誤りがある場合には、対応できない。
【0015】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得ステップと、前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成ステップと、生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力ステップとを含む。
【0016】
これにより、自動運転情報と手動運転情報とを両方収集して、両者からそれぞれ算出できる第1走行値と第2走行値とを比較することにより人では判断が難しい自動運転困難箇所を推定することができるので、推定した自動運転困難箇所を示す情報を出力することができる。
【0017】
また、例えば、前記第1走行値および前記第2走行値は、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両における加減速回数、車線変更回数、および、車線内での走行位置を示す値のうちの少なくとも一を含むとしてもよい。
【0018】
また、例えば、前記生成ステップでは、前記第1走行値と前記第2走行値との差分が所定の値以上である場合、自動運転困難箇所情報を生成してもよい。
【0019】
これにより、収集した自動運転情報と手動運転情報とから算出される第1走行値および第2走行値の差分が所定の値すなわち閾値以上か否かにより当該自動運転困難箇所を推定することができるので、推定した自動運転困難箇所を示す情報を出力することができる。
【0020】
また、例えば、前記生成ステップでは、前記第1走行値と前記第2走行値との差分に基づくスコアを用いて、前記自動運転困難箇所情報を生成してもよい。
【0021】
これにより、収集した自動運転情報と手動運転情報とから算出される第1走行値および第2走行値の差分に基づくスコアまたは当該スコアの和が閾値以上か否かにより当該自動運転困難箇所を推定することができるので、推定した自動運転困難箇所を示す情報を出力することができる。
【0022】
また、例えば、前記比較は、所定領域ごとに行われるとしてもよい。
【0023】
これにより、第1車両と第2車両とが走行した道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに第1走行値および第2走行値を比較することで、道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに当該自動運転困難箇所を推定することができるので、推定した自動運転困難箇所を示す情報を出力することができる。
【0024】
また、例えば、前記比較は、さらに、所定条件ごとに行われ、前記所定条件は、時間、天候、および、手動運転を行う運転者の年齢のうちの少なくとも一を含むとしてもよい。
【0025】
これにより、第1車両と第2車両とが走行した道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとを、時間、天候および第1車両の運転者の年齢の少なくとも一の条件において第1走行値および第2走行値を比較することで、道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに当該自動運転困難箇所を推定することができる。
【0026】
また、例えば、前記自動運転困難箇所情報は、さらに、前記自動運転に用いられる地図情報において、前記地図情報にない箇所であって前記自動運転困難箇所の起因となる箇所を示す情報を含むとしてもよい。
【0027】
また、例えば、前記自動運転困難箇所は、前記自動運転に用いられる地図上の位置、並びに、前記自動運転された車両が走行した道路において誤検出された交通標識の位置、障害物の位置および車線の位置うちの少なくとも一を含むとしてもよい。
【0028】
また、本開示の一態様に係る情報処理装置は、手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得部と、前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、推定された自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成部と、生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力部とを備える。
【0029】
また、本開示の一態様に係る情報処理方法は、手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を取得する取得ステップと、前記手動運転情報と前記自動運転情報との比較に基づき推定された、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成ステップと、生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力ステップとを含む。
【0030】
なお、本開示は、装置として実現するだけでなく、このような装置が備える処理手段を備える集積回路として実現したり、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、CD-ROM等の記録媒体やインターネット等の通信媒体を介して配信してもよい。
【0031】
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0032】
(実施の形態)
[情報処理システム1の構成]
図1は、実施の形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0033】
図1に示す情報処理システム1は、情報処理装置10と、1以上の第1車両20と、1以上の第2車両30とを備える。情報処理装置10および1以上の第1車両20、並びに、情報処理装置10および1以上の第2車両30は、無線LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して直接通信するとしてもよいし、ネットワークに接続されたサーバ(不図示)を経由して通信するとしてもよい。
【0034】
以下、第1車両20、第2車両30および情報処理装置10の構成について説明する。
【0035】
[第1車両20]
1以上の第1車両20はそれぞれ、手動運転され、運転データを送信する。第1車両20は、例えば運転者により運転操作がされた手動運転車両である。
【0036】
図2は、実施の形態に係る第1車両20の一部構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図2に示す第1車両20は、手動運転データ取得部201と、手動運転データ送信部202とを備える。
【0038】
<手動運転データ取得部201>
手動運転データ取得部201は、第1車両20から、運転データ211を取得する。ここで運転データ211には、運転者による第1車両20の操作情報および第1車両20の走行情報などが含まれる。操作情報には、例えば、ハンドルの操舵、アクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、又はウィンカー操作等が含まれていてもよいし、タイヤの舵角、アクセル開度またはブレーキ圧等などこの操作に基づく車両アクチュエータの制御を示す情報が含まれていてもよい。走行情報には、センシング手段により得た走行速度、走行車線と走行車線内の走行位置、天候、時間、GPS等のGNSS(Global Navigation Satellite System)で得られた位置情報のうち任意の組み合わせが含まれていてもよい。なお、センシング手段には、2D画像を取得するカメラ、ステレオカメラ、TOF(Time
Of Flight)カメラおよび3Dの点群情報を取得するLIDAR、加速度センサなど適宜備え
ればよい。
【0039】
また、運転データ211には、さらに、運転者の年齢、第1車両20が手動運転車両であること等の情報を含んでもよい。
【0040】
<手動運転データ送信部202>
手動運転データ送信部202は、手動運転データ取得部201により取得された運転データ211を、情報処理装置10に送信する。
【0041】
なお、手動運転データ送信部202は、手動運転データ取得部201により取得された運転データ211を逐次、情報処理装置10に送信してもよい。また、手動運転データ送信部202は、手動運転データ取得部201により取得された手動運転データ211を、一定時間ごとに運転データ211の履歴として送信してもよい。
【0042】
[第2車両30]
1以上の第2車両30はそれぞれ、自動運転され、運転データを送信する。第2車両30は、運転操作が自動でなされ、人の運転操作を必要としない自動運転車両である。
【0043】
図3は、実施の形態に係る第2車両30の一部構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
図3に示す第2車両30は、自動運転データ取得部301と、自動運転データ送信部302とを備える。
【0045】
<自動運転データ取得部301>
自動運転データ取得部301は、第2車両30から、運転データ311を取得する。ここで運転データ311には、自動運転による第2車両30の操作情報および第2車両30の走行情報などが含まれる。操作情報および走行情報は上述した通りであるので説明を省略する。
【0046】
また、運転データ311には、さらに、第2車両30が自動運転車両であること等の情報を含んでもよい。
【0047】
<自動運転データ送信部302>
自動運転データ送信部302は、自動運転データ取得部301により取得された運転データ311の履歴を、情報処理装置10に送信する。
【0048】
なお、自動運転データ送信部302は、自動運転データ取得部301により取得された運転データ311を逐次、情報処理装置10に送信してもよい。また、自動運転データ送信部302は、自動運転データ取得部301により取得された自動運転データ311を、一定時間ごとに運転データ311の履歴として送信してもよい。
【0049】
[情報処理装置10]
図4は、実施の形態に係る情報処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図5は、
図4に示す取得部101の詳細構成の一例を示すブロック図である。
図6は、
図4に示す生成部102の詳細構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図4に示す情報処理装置10は、取得部101と、生成部102と、出力部103とを備える。なお、情報処理装置10が出力部103を備えることは必須ではない。
【0051】
<取得部101>
取得部101は、手動運転された1以上の第1車両20の運転データ211の履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両30の運転データ311の履歴を含む自動運転情報を取得する。ここで、取得部101は、当該自動運転情報を、1以上の第1車両および1以上の第2車両から取得する。
【0052】
本実施の形態では、取得部101は、
図5に示すように手動運転情報取得部1011と、自動運転情報取得部1012とを備える。手動運転情報取得部1011は、HDD等の記録装置(不図示)を備え、1以上の第1車両20の運転データ211を逐次取得し、運転データ211の履歴を手動運転情報111として蓄積する。なお、手動運転情報取得部1011は、1以上の第1車両20の運転データ211の履歴を取得し、当該記録装置に手動運転情報111として蓄積してもよい。また、自動運転情報取得部1012は、HDD等の記録装置(不図示)を備え、1以上の第2車両30の運転データ311を逐次取得し、運転データ311の履歴を自動運転情報112として蓄積する。なお、同様に、自動運転情報取得部1012は、1以上の第2車両30の運転データ311の履歴を取得し、当該記録装置に自動運転情報112として蓄積してもよい。
【0053】
<生成部102>
生成部102は、手動運転情報と前記自動運転情報との比較に基づき推定された、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する。より具体的には、生成部102は、手動運転情報112から算出される1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、と自動運転情報113から算出される1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する。生成部102は、第1走行値と前記第2走行値との差分が所定の値以上である場合、自動運転困難箇所情報を生成する。ここで、比較は、道路をグリットまたは線分などにより分割した所定領域ごとに行われる。さらに、当該比較は、時間、天候、および、手動運転を行う運転者の年齢のうちの少なくとも一を含む所定条件ごとに行われてもよい。
【0054】
本実施の形態では、生成部102は、
図6に示すように比較部1021と、推定部1022と、情報生成部1023とを備える。
【0055】
≪比較部1021≫
比較部1021は、手動運転情報取得部1011が蓄積する手動運転情報111から、1以上の第1車両20の走行に関する値である第1走行値を算出する。比較部1021は、自動運転情報取得部1012が蓄積する自動運転情報112から、1以上の第2車両30の走行に関する値である第2走行値を算出する。
【0056】
ここで、第1走行値および第2走行値は、例えば、1以上の第1車両20および1以上の第2車両30における加減速回数、車線変更回数、および、車線内での走行位置を示す値のうちの少なくとも一を含む。なお、第1走行値および第2走行値は、これら以外のものを含んでいてもよい。
【0057】
例えば、第1走行値および第2走行値が加減速回数である場合、比較部1021は、手動運転情報111から、第1車両20において単位距離当たりにアクセル・ブレーキペダルが踏まれた回数(回数/m)で示される加減速回数を第1走行値として算出する。同様に、比較部1021は、手動運転情報112から、第2車両30において単位距離当たりにアクセル・ブレーキペダルが踏まれた回数(回数/m)で示される加減速回数を第2走行値として算出する。ここで、加減速回数は、第1車両20および第2車両30においてアクセル・ブレーキペダルが踏まれていない状態から踏まれたときに、1回とカウントする。また、第1走行値には1以上の第1車両20の加減速回数が含まれ、第2走行値には1以上の第2車両30の加減速回数が含まれることになる。
【0058】
なお、第1車両20および第2車両30がそれぞれ複数である場合には、第1走行値および第2走行値は、全車両の計測値である単位距離あたりの加減速回数を車両数で割った平均値とすればよい。より具体的には、N台の車両の加減速回数を下記の(式1)で算出すればよい。
【0059】
【0060】
例えば、手動運転車が4台すなわち第1車両20が4台であり、単位距離あたりの加減速回数が[1,3,2,1]であるとする。この場合、第1走行値は、(式1)に従ってこれらを加算した値7を車両数4で割ることにより、1.75となる。
【0061】
同様に、例えば、自動運転車が6台すなわち第2車両30が6台であり、単位距離あたりの加減速回数が[1,2,5,3,3,4]であるとする。この場合、第2走行値は、(式1)に従ってこれらを加算した値18を車両数6で割ることにより、3.0となる。
【0062】
このように、手動運転情報111と自動運転情報112とに含まれる車両数などのサンプル数が異なっていても統計処理することで同様に扱える。
【0063】
また、例えば、第1走行値および第2走行値が車線変更回数である場合、比較部1021は、手動運転情報111から、第1車両20において単位距離当たりに車線が変更された回数(回数/m)で示される車線変更回数を第1走行値として算出する。同様に、比較部1021は、手動運転情報112から、第2車両30において単位距離当たりに車線が変更された回数(回数/m)で示される車線変更回数を第2走行値として算出する。ここで、車線変更回数は、第1車両20および第2車両30において車線が左右どちらかに変更されるごとに、1回とカウントする。第1走行値には1以上の第1車両20の車線変更回数が含まれ、第2走行値には1以上の第2車両30の車線変更回数が含まれることになる。
【0064】
なお、第1車両20および第2車両30がそれぞれ複数である場合には、第1走行値および第2走行値は、全車両の計測値である単位距離当たりに車線が変更された回数を車両数で割った平均値とすればよい。
【0065】
また、例えば、第1走行値および第2走行値が車線内での走行位置である場合、比較部1021は、手動運転情報111から、第1車両20において車線中心と車両中心との距離のズレ量の平均値で示される車線内走行位置を第1走行値として算出する。同様に、比較部1021は、手動運転情報112から、第2車両30において車線中心と車両中心との距離のズレ量の平均値で示される車線内走行位置を第2走行値として算出する。ここで、車線内走行位置は、第1車両20および第2車両30において車線中心と車両中心との距離のズレ量の平均値であり、車両中心が車線中心から右方向にズレたとき車線中心と車両中心との距離のズレ量をプラス、車両中心が車線中心から左方向にズレたとき車線中心と車両中心との距離のズレ量をマイナスとして算出する。また、第1走行値には1以上の第1車両20の車線内走行位置が含まれ、第2走行値には1以上の第2車両30の車線内走行位置が含まれることになる。
【0066】
なお、第1車両20および第2車両30がそれぞれ複数である場合には、第1走行値および第2走行値は、全車両の計測値である車線内走行位置を車両数で割った平均値とすればよい。
【0067】
また、比較部1021は、算出した第1走行値と第2走行値とを比較する。
【0068】
本実施の形態では、比較部1021は、算出した第1走行値および第2走行値を、第1車両20および第2車両30が走行した同一の道路を、例えば道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとなど、グリットまたは線分などにより分割した所定領域ごとに比較する。また、当該比較は、所定条件ごとに行ってもよい。所定条件は、時間、天候、または、手動運転を行う運転者の年齢であってもよい。時間には、例えば特定の時間および夕方、お昼、夜などの所定の時間帯が含まれていてもよい。
【0069】
なお、比較部1021は、第1走行値と第2走行値との差分に基づくスコアを算出してもよい。
【0070】
例えば、比較部1021が加減速回数を第1走行値および第2走行値として算出する場合、比較部1021は、さらに、第1走行値および第2走行値の単位距離当たりの差分を取って、手動運転に関する情報である第1走行値で割って正規化した加減速スコアを算出してもよい。つまり、比較部1021は、第1走行値と第2走行値との差分に基づく加減速スコアとして、所定領域ごとの((自動運転での加減速回数)-(手動運転での加減速回数))/(手動運転での加減速回数)を算出してもよい。
【0071】
なお、第1車両20が4台であり、単位距離あたりの加減速回数が[1,3,2,1]であり、かつ、第2車両30が6台であり、単位距離あたりの加減速回数が[1,2,5,3,3,4]であるとする。この場合には、加減速スコアを(3.0-1.75)/1.75=0.71と算出すればよい。
【0072】
また、例えば、比較部1021が車線変更回数を第1走行値および第2走行値として算出する場合、比較部1021は、さらに、第1走行値および第2走行値の単位距離当たりの差分を取って、手動運転に関する情報である第1走行値で割って正規化した車線変更スコアを算出してもよい。つまり、比較部1021は、第1走行値と第2走行値との差分に基づく車線変更スコアとして、所定領域ごとの((自動運転での車線変更回数)-(手動運転での車線変更回数))/(手動運転での車線変更回数)を算出してもよい。
【0073】
また、例えば、比較部1021が車線内での走行位置を第1走行値および第2走行値として算出する場合、比較部1021は、さらに、第1走行値および第2走行値の差分を取って、手動運転に関する情報である第1走行値で割って正規化した車線内走行位置スコアを算出してもよい。つまり、比較部1021は、第1走行値と第2走行値との差分に基づく車線内走行位置スコアとして、所定領域ごとの((自動運転での車線中心と車両中心との距離のズレ量の平均値)-(手動運転での車線中心と車両中心との距離のズレ量の平均値))/(手動運転での車線中心と車両中心との距離のズレ量の平均値)を算出してもよい。
【0074】
さらに、例えば、比較部1021が加減速回数、車線変更回数および車線変更回数を含む第1走行値および第2走行値を算出する場合、比較部1021は、上述した加減速スコア、車線変更スコアおよび車線内走行位置スコアを合計した総合スコアを算出してもよい。つまり、比較部1021は、第1走行値と第2走行値と差分に基づく総合スコアとして、所定領域ごとの(加減速スコア)+(車線変更スコア)+(車線内走行位置スコア)を算出してもよい。
【0075】
このように、第1走行値および第2走行値を比較したスコアまたは当該スコアの和を用いることで、第1走行値および第2走行値の少なくとも一の項目を比較した差分等を定量化すなわち数値化することができる。
【0076】
≪推定部1022≫
推定部1022は、比較部1021の比較結果に基づき、自動運転困難箇所を推定する。また、推定部1022は、比較部1021が算出した第1走行値と第2走行値との差分に基づくスコアを用いて、自動運転困難箇所を推定してもよい。
【0077】
ここで、自動運転困難箇所は、自動運転に用いられる地図上の位置、並びに、自動運転された車両が走行した道路において誤検出された交通標識の位置、障害物の位置および車線の位置うちの少なくとも一を含む。これらは、人が行う手動運転では困難を感じないが自動運転車両では走行困難であるもの一例である。
【0078】
このような自動運転困難箇所としては、例えば、道路近傍にある木に緑が生い茂り道路にはみ出している箇所または新たに設けられた看板等が道路にはみ出している箇所であり現状の自動運転に用いられる地図にこの情報が反映されていない地図上の不備の箇所が考えられる。この場合、手動運転車両では、人が判断して当該箇所を避ける運転操作を行うだけで対応できるが、自動運転車両では、当該箇所が生物なのか等どのようなものかわからない場合もあるため、不必要に減速したり、停止したりして円滑な対応ができない場合もある。
【0079】
また、自動運転困難箇所としては、道路上の環境の変化だけに限らない。例えば、道路近傍にある木の葉の有無、道路脇への看板の追加と削除、建物の工事等の道路周辺の環境の変化も考えられる。自動運転車両では、地図と周辺の環境を照らし合わせて自車の位置を得る際、このような周辺の環境の変化によって、自車の位置に誤差が増大する影響があるからである。そして、このような自動運転困難箇所では、自車の位置の誤差により、走行位置や経路を間違えるなどして対応できない場合もある。
【0080】
また、自動運転困難箇所としては、人では車線を特定できるが自動運転車両に搭載されるセンシング機器では特定困難な車線の位置も考えられる。同様に、人では認識できるが自動運転車両に搭載されるセンシング機器では誤検出してしまう交通標識、障害物、車線といった物体も考えられる。この場合、手動運転車両では、人が判断して通常通り運転操作を行うだけで対応できるが、自動運転車両では、車線の位置が不明であるため、または当該物体を誤検出してしまったため、不必要に減速して徐行運転たり、停止したりして円滑な対応ができない場合もある。
【0081】
なお、上述した自動運転に用いられる地図は、例えば動的地図でもよいが、自動運転車両が自動運転する際に必要な情報が含まれる環境地図を含む地図情報であればよい。
【0082】
図7は、実施の形態に係る推定部1022が推定する自動運転困難箇所の一例の説明図である。
図7では、加減速回数である第1走行値および第2走行値の、ゾーンAおよびゾーンBにおける差が示されている。すなわち、
図7では、比較部1021が加減速回数を第1走行値および第2走行値として算出し、ゾーンAおよびゾーンBにおける第1走行値および第2走行値を比較している。なお、ゾーンAおよびゾーンBは、上述した例えば所定領域ごとのうちの特定の2領域の一例である。
【0083】
推定部1022は、
図7に示されるゾーンAおよびゾーンBにおける第1走行値および第2走行の差が閾値以上か否かにより、ゾーンAは運転困難箇所ではなく、ゾーンBは運転困難箇所であると推定すればよい。つまり、推定部1022は、第1走行値および第2走行値との比較結果においてその差が閾値以上かどうかに応じて運転困難箇所か否かを推定すればよい。第1走行値および第2走行値が車線変更回数および車線変更回数の場合も同様であるため説明を省略する。
【0084】
なお、推定部1022は、比較部1021が第1走行値と第2走行値とを比較したスコアを算出する場合には、比較部1021が算出したスコアまたはスコアの和が閾値以上であるかに応じて運転困難箇所か否かを推定してもよい。また、推定部1022は、比較部1021が今回算出したスコアと比較部1021が前回算出したスコアとの差が閾値以上であるかに応じて運転困難箇所か否かを推定してもよい。
【0085】
≪情報生成部1023≫
情報生成部1023は、推定部1022により推定された自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する。なお、情報生成部1023は、比較部1021が第1走行値と第2走行値とを比較したスコアを算出する場合には、当該スコアを利用して推定部1022により推定された自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所報告書を自動運転困難箇所情報として生成してもよい。
【0086】
図8は、実施の形態に係る情報生成部1023が生成する自動運転困難箇所報告書の一例を示す図である。
図8に示す自動運転困難箇所報告書には、所定ゾーンであるABC地区のD地点における、加減速回数、車線変更回数、車線内走行位置といった第1走行値および第2走行値が示されている。また、
図8に示す自動運転困難箇所報告書には、加減速スコア、車線変更スコアおよび車線内走行位置スコアと共に、総合スコアの値が前回算出した値と共に示されている。そして、その上で、コメントが示されており、当該所定ゾーンが安全すなわち前回自動運転困難箇所と判定されたものの、対策がされて自動運転困難箇所でないことを示している。
【0087】
このように、情報生成部1023は、推定部1022により推定された自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を作成するが、今回新たに推定された自動運転困難箇所だけでなく前回推定された自動運転困難箇所に関する比較結果を自動運転困難箇所情報として作成してもよい。つまり、情報生成部1023は、比較結果として、各エリアにおける自動運転の測定値、手動運転の測定値、今回のスコア、前回のスコア、スコアが安全な範囲か否かを含む自動運転困難箇所情報を作成してもよい。これにより、人では判断が難しい自動運転困難箇所を定量化すなわち数値化することができる。さらに、この自動運転困難箇所情報は、自動運転に用いられる地図情報の更新タイミングの決定にも利用してもよい。
【0088】
また、情報生成部1023は、推定部1022により推定された自動運転困難箇所に加えて、自動運転に用いられる地図情報において、当該地図情報にない箇所であって自動運転困難箇所の起因となる箇所を示す情報を含めた自動運転困難箇所情報を出力してもよい。
【0089】
図9は、実施の形態に係る情報生成部が生成する自動運転困難箇所報告書に含まれる情報の一例を示す図である。
【0090】
図9に示すように、自動運転困難箇所報告書には、運転困難箇所を含む特定のエリアを特定するための情報を含めてもよい。
図9には、自動運転困難箇所報告書に含まれる情報の一例として、BC地区のD地点を示す地図情報においてハッチングされた運転困難箇所を含む特定のエリアを特定するための情報が示されている。なお、
図9に示す情報は、道路管理会社に提供するための画面を示す情報であってもよい。
【0091】
このように、情報生成部1023は、自動運転困難箇所情報として、運転困難箇所を含む特定のエリアの領域を含む自動運転困難箇所情報を作成してもよい。より具体的には、情報生成部1023は、さらに、自動運転に用いられる地図情報において、当該地図情報にない箇所であって自動運転困難箇所の起因となる箇所を示す情報を含めた自動運転困難箇所情報を作成してもよい。これにより、人では判断が難しい自動運転困難箇所を含む特定のエリアに対応する地図情報を更新する、または地図メーカに対して地図情報の更新を促すなどにより地図情報を効率的に更新させることができる。この結果、地図上の更新不備の箇所をなくすように当該地図情報の更新をさせることができる。
【0092】
<出力部103>
出力部103は、生成部102により生成された自動運転箇所情報を出力する。出力部103は、例えば
図8に示すまたは
図8にさらに
図9を含む自動運転困難箇所報告書を自動運転箇所情報として出力してもよいが、自動運転困難箇所を示していれば自動運転困難箇所情報の態様は問わない。
【0093】
[情報処理装置10の動作]
次に、以上のように構成された情報処理装置10の動作について図を用いて説明する。
【0094】
図10は、実施の形態に係る情報処理装置10の動作を示すフローチャートである。
【0095】
まず、情報処理装置10は、手動運転情報111および自動運転情報112を取得する(S11)。より具体的には、情報処理装置10は、1以上の第1車両20の運転データ211を取得し、運転データ211の履歴を手動運転情報111として蓄積する。また、情報処理装置10は、1以上の第2車両30の運転データ311を取得し、運転データ311の履歴を自動運転情報112として蓄積する。
【0096】
次に、情報処理装置10は、S11で取得した手動運転情報111と自動運転情報112との比較に基づき、自動運転困難箇所情報を生成する(S12)。
【0097】
次に、情報処理装置10は、S12で生成した自動運転困難箇所情報を出力する(S13)。
【0098】
図11は、
図10に示すS12の動作の詳細を示すフローチャートである。
【0099】
S12において、情報処理装置10は、まず、手動運転情報111から算出した第1走行値と、自動運転情報112から算出した第2走行値とを比較する(S121)。第1走行値および第2走行値は、上述したように、例えば加減速回数、車線変更回数または車線内走行位置を示す値であってもよいし、これらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。なお、当該比較は、上述したように、所定領域ごとであってもよいし、さらに所定条件ごとにされた差分に基づいてされてもよいし、第1走行値と第2走行値との差分に基づくスコアを用いてされてもよい。
【0100】
次に、情報処理装置10は、S121の比較結果に基づき、第2車両30等の自動運転車両の走行困難箇所を示す自動運転困難箇所を推定する(S122)。より具体的には、情報処理装置10は、第1走行値および第2走行値との所定領域ごとの比較においてその差が閾値以上である領域を運転困難箇所と推定すればよい。また、情報処理装置10は、所定領域ごとの第1走行値と第2走行値とを比較したスコアを算出し、算出したスコアまたはスコアの和(上記では総合スコアと記載)が閾値以上であればその領域を運転困難箇所と推定すればよい。例えば、第1走行値および第2走行値が加減速回数である場合には、当該領域において差が閾値以上であれば、自動運転車両である第2車両30が不必要な減速を繰り返しており、当該領域には、人が行う手動運転では困難を感じない自動運転困難箇所であることがわかる。このため、情報処理装置10は、第1走行値および第2走行値の比較結果に基づき、自動運転困難箇所を推定することができる。
【0101】
次に、情報処理装置10は、S122で推定した自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する(S123)。なお、情報処理装置10は、第1走行値と第2走行値とを比較したスコアを算出する場合には、例えば
図8を用いて説明したように、当該スコアを利用して推定部1022により推定された自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所報告書を自動運転困難箇所情報として生成してもよい。
【0102】
[効果等]
以上のようにして、本実施の形態によれば、自動運転情報と手動運転情報とを両方収集し、両者から算出される第1走行値および第2走行値を所定領域ごと等で比較することで、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を推定することができる。また、第1走行値および第2走行値を比較したスコアまたは当該スコアの和を用いることで、人では判断が難しい自動運転困難箇所を定量化すなわち数値化して推定することができる。自動運転困難箇所は、上述したように、例えば自動運転車両では誤認識される交通標識、障害物、車線といった物体の箇所または地図の更新不備の箇所であり、人が行う手動運転では困難を感じないが自動運転車両では走行困難であるといった自動運転特有の問題箇所である。
【0103】
また、本実施の形態に係る情報処理装置10は、さらに、自動運転に用いられる地図情報において、当該地図情報にない箇所であって自動運転困難箇所の起因となる箇所を示す情報を含めた自動運転困難箇所情報を出力してもよい。これにより、自動運転困難箇所情報から地図の更新不備の箇所を特定できるので、地図上の更新不備の箇所をなくすように当該地図情報の更新をさせることができる。このようにして、自動運転困難箇所情報を当該地図情報の更新タイミングの決定に利用することができる。
【0104】
なお、自動運転に用いられる地図情報は継続的に更新される必要があるが、地図情報に含まれる全てのエリアを定期的に更新するという方法は非効率である。それに対して、上記のような自動運転困難箇所情報を用いることで、推定された運転困難箇所を含む特定のエリアを地図情報の更新が必要なエリアと判断することができる。その結果、特定されたエリアに対応する地図情報を更新する、または地図メーカに対して地図情報の更新を促すなどにより地図情報を効率的に更新させることができる。
【0105】
また、本実施の形態によれば、手動運転車両(第1車両)と自動運転車両(第2車両)とが走行した道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに第1走行値および第2走行値を比較することで、道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに当該自動運転困難箇所を推定することができる。
【0106】
また、本実施の形態によれば、手動運転車両(第1車両)と自動運転車両(第2車両)とが走行した道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに、時間、天候および手動運転車両の運転者の年齢の少なくとも一の条件において第1走行値および第2走行値を比較することで、道路ごと、道路の一定距離ごと、または道路の所定面積ごとに当該自動運転困難箇所を推定することができる。
【0107】
このようにして、人では判断が難しい自動運転困難箇所を推定し、推定した自動運転困難箇所を示す情報を出力することができる情報処理方法、情報処理装置および情報処理システムを実現できる。
【0108】
(その他の変形例)
以上、本開示の一つまたは複数の態様に係る情報処理方法、情報処理装置および情報処理システムを説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。例えば、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0109】
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0110】
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システ
ムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0111】
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0112】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。ここで、例えば本開示の一態様に係るプログラムは、手動運転された1以上の第1車両の運転データの履歴を含む手動運転情報および自動運転された1以上の第2車両の運転データの履歴を含む自動運転情報を、前記1以上の第1車両および前記1以上の第2車両から取得する取得ステップと、前記手動運転情報から算出される前記1以上の第1車両の走行に関する値である第1走行値と、前記自動運転情報から算出される前記1以上の第2車両の走行に関する値である第2走行値との比較に基づき、自動運転された車両が走行困難である自動運転困難箇所を示す自動運転困難箇所情報を生成する生成ステップと、生成された前記自動運転困難箇所情報を出力する出力ステップとを、コンピュータに実行させるプログラム。
【0113】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blue-ray(登録
商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記
録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0114】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0115】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0116】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0117】
(5)上記実施の形態をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本開示は、例えば、自動運転を行うための地図の更新、自動運転車両に搭載されるセンシング機器では誤検出してしまう物体への対応などに自動運転車両の走行環境整備に使用される情報処理方法、情報処理装置、情報処理システムおよびプログラムに利用することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
20 第1車両
30 第2車両
101 取得部
102 生成部
103 出力部
201 手動運転データ取得部
202 手動運転データ送信部
301 自動運転データ取得部
302 自動運転データ送信部
1011 手動運転情報取得部
1012 自動運転情報取得部
1021 比較部
1022 推定部
1023 情報生成部