(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】情報記録装置および情報記録方法
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20220601BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2018019054
(22)【出願日】2018-02-06
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 尚幸
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517787(JP,A)
【文献】特開2017-059086(JP,A)
【文献】特開2016-100672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00-15/00
G08G 1/00-99/00
B60R 11/00-11/06,
16/00-16/08
H04N 7/18
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転モード
と手動運転モードとの間
で運転モードを切り替え
可能な車両に搭載される情報記録装置であって、
前記自動運転モード
から前記手動運転モード
へ切り替えた場合は、当該切り替え時から
第1の時間
が経過するまで
、前記車両の内部
の状況を示す車内状況情報を記録
し、前記手動運転モードから前記自動運転モードへ切り替えた場合は、当該切り替え時から前記第1の時間より短い第2の時間経過するまで、前記車内状況情報を記録する情報記録
部、
を備える情報記録装置。
【請求項2】
自動運転モードと手動運転モードとの間で運転モードを切り替え可能な車両に搭載される情報記録装置であって、
前記車両の内部の画像に基づいて、前記車両の運転モードが前記自動運転モードと前記手動運転モードとのいずれであるかを検出する運転モード検出部と、
前記自動運転モードと前記手動運転モードとの間の少なくとも切り替え時から所定時間経過するまで、前記車両の内部の状況を示す車内状況情報を記録する情報記録部と、
を備える情報記録装置。
【請求項3】
前記情報記録部は、記録された情報の容量が上限値に達すると記録済みの情報を上書きして新たな情報が記録される第1記録部と、記録された情報の容量が上限値に達すると新たな情報が記録されない第2記録部とを備え、
前記情報記録部は、前記運転モードの切り替えが検出されないとき前記車両の外部の状況を示す車外状況情報を前記第1記録部に記録し、少なくとも前記自動運転モードと前記手動運転モードとの間の切り替え時から所定時間経過するまでの前記車内状況情報を前記第2記録部に記録する、請求項1または2に記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記情報記録部は、前記運転モードが前記自動運転モードのとき、前記車内状況情報を前記第1記録部に記録し、前記運転モードが前記自動運転モードから前記手動運転モードに切り替わると、前記自動運転モードから前記手動運転モードに切り替わる前における所定時間分の前記第1記録部に記録された前記車内状況情報を前記第2記録部に記録する、請求項3に記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記車外状況情報は、前記車両の外部の画像を含む、請求項3または4に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記車内状況情報は、前記車両の内部の画像を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の情報記録装置。
【請求項7】
前記車内状況情報は、前記車両の内部の音声を含む、請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の情報記録装置。
【請求項8】
前記車内状況情報は、前記車両の運転操作の実施状態を示す車両制御情報を含む、請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の情報記録装置。
【請求項9】
自動運転モード
と手動運転モードとの間
で運転モードを切り替え
可能な車両の内部の状況を示す車内状況情報を記録する情報記録方法であって、
前記自動運転モード
から前記手動運転モード
へ切り替えた場合は、当該切り替え時から
第1の時間
が経過するまで
、前
記車内状況情報を記録
し、前記手動運転モードから前記自動運転モードへ切り替えた場合は、当該切り替え時から前記第1の時間より短い第2の時間が経過するまで、前記車内状況情報を記録す
る、
ことを含む情報記録方法。
【請求項10】
自動運転モードと手動運転モードとの間で運転モードを切り替え可能な車両の内部の状況を示す車内状況情報を記録する情報記録方法であって、
前記車両の内部の画像に基づいて、前記車両の運転モードが前記自動運転モードと前記手動運転モードとのいずれであるかを検出し、
前記自動運転モードと前記手動運転モードとの間の少なくとも切り替え時から所定時間経過するまで、前記車内状況情報を記録する、
ことを含む情報記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部および内部の情報を記録する情報記録装置および情報記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、車両の外部および内部の画像を取得し、記録するドライブレコーダが利用されている。ドライブレコーダによって記録された車両の外部および内部の画像により、事故や故障などの異常が発生した前後の状況を確認することが可能となる。
【0003】
また、運転者に代わって車両の運転操作を実施する自動運転装置が開発されている。自動運転装置による運転操作が実施可能な状況では、運転者は運転から解放され、自動運転装置が運転操作を実施する。一方、自動運転装置による運転操作が実施できない状況では、運転者が運転操作を実施する。
【0004】
このように、自動運転装置による自動運転が可能な車両では、運転操作の主体が走行途中で変更される場合があり、異常が発生した場合にその責任の所在を明確にすることが求められる。
【0005】
例えば、特許文献1には、自動運転と手動運転の間のステータス変更を予告する信号が伝達された際に、運転者操作データまたは車内用カメラの画像をローテーションメモリに記録するドライバー・アシスタント・システムが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、自動運転中の時刻とその時刻において選択された自動運転レベルを記憶する自動運転システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特表2017-517787号公報
【文献】国際公開第2016/080070号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のドライバー・アシスタント・システムでは、自動運転と手動運転との間の切替時に記録される運転操作データや車内画像により、異常発生時の状況を把握することができる。
【0009】
しかし、特許文献1のドライバー・アシスタント・システムでは、運転操作データや車内画像は記録領域がフルになると古いデータから上書きされるローテーションメモリに記録される。そのため、自動運転と手動運転との間の切替が複数回発生すると、古い切替時のデータは上書きされて確認することができなくなる場合がある。
【0010】
特許文献2の自動運転システムでは、自動運転中の時刻とその時刻における自動運転レベルとを記憶しているため、異常発生時点での自動運転レベルを把握することができる。
【0011】
しかし、特許文献2の自動運転システムでは、自動運転中に継続して自動運転レベルを記憶している。正常に自動運転が実施されている間は責任の所在の明確化は不要であり、必要のない情報によって必要な情報の記録領域が圧迫され、異常発生時の自動運転レベルが記憶できなくなる場合がある。
【0012】
本発明は、車両の運転モードが自動運転モードと手動運転モードとの間で切り替わる時の情報を記録することができる情報記録装置および情報記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる情報記録装置は、車両の運転モードを取得し、車両の運転操作を自動運転装置が自動的に実施する運転モードである自動運転モードと、車両の運転操作を車両の運転者が実施する運転モードである手動運転モードとの間の切り替えを検出する運転モード検出部と、自動運転モードと手動運転モードとの間の少なくとも切り替え時から所定時間経過するまでの車両の内部の状況を示す車内状況情報を記録する情報記録部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる情報記録装置では、情報記録部は、少なくとも自動運転モードから手動運転モードへの切り替え時から第1の時間経過するまでの車内状況情報を記録し、少なくとも手動運転モードから自動運転モードへの切り替え時から第1の時間より短い第2の時間経過するまでの車内状況情報を記録することが好ましい。
【0015】
また、本発明にかかる情報記録装置では、情報記録部は、記録された情報の容量が上限値に達すると記録済みの情報を上書きして新たな情報が記録される第1記録部と、記録された情報の容量が上限値に達すると新たな情報が記録されない第2記録部とを備え、情報記録部は、運転モードの切り替えが検出されないとき車両の外部の状況を示す車外状況情報を第1記録部に記録し、少なくとも自動運転モードと手動運転モードとの間の切り替え時から所定時間経過するまでの車内状況情報を第2記録部に記録することが好ましい。
【0016】
また、本発明にかかる情報記録装置では、情報記録部は、運転モードが自動運転モードのとき、車内状況情報を第1記録部に記録し、運転モードが自動運転モードから手動運転モードに切り替わると、自動運転モードから手動運転モードに切り替わる前における所定時間分の第1記録部に記録された車内状況情報を第2記録部に記録することが好ましい。
【0017】
また、本発明にかかる情報記録装置では、車外状況情報は、車両の外部の画像を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明にかかる情報記録装置では、車内状況情報は、車両の内部の画像を含むことが好ましい。
【0019】
また、本発明にかかる情報記録装置では、運転モード検出部は、車両の内部の画像に基づいて車両の運転モードを検出することが好ましい。
【0020】
また、本発明にかかる情報記録装置では、車内状況情報は、車両の内部の音声を含むことが好ましい。
【0021】
また、本発明にかかる情報記録装置では、車内状況情報は、車両の運転操作の実施状態を示す車両制御情報を含むことが好ましい。
【0022】
さらに、本発明にかかる情報記録方法は、車両の運転モードを取得し、車両の運転操作を自動運転装置が自動的に実施する運転モードである自動運転モードと、車両の運転操作を車両の運転者が実施する運転モードである手動運転モードとの間の切り替えを検出する運転モード検出ステップと、自動運転モードと手動運転モードとの間の少なくとも切り替え時から所定時間経過するまでの車両の内部の状況を示す車内状況情報を記録する記録ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
上記の情報記録装置によれば、車両の運転モードが自動運転モードと手動運転モードとの間で切り替わる時の情報を記録することができ、異常発生時の状況の適切な把握が可能となる。
【0024】
また、上記の情報記録方法によれば、車両の運転モードが自動運転モードと手動運転モードとの間で切り替わる時の情報を記録することができ、異常発生時の状況の適切な把握が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態にかかる情報記録装置の動作を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態にかかる情報記録装置を搭載した車両のハードウェア構成図である。
【
図3】第1実施形態にかかる情報記録装置の機能ブロック図である。
【
図4】(a)は車内状況情報の例を示す模式図であり、(b)は車内状況情報の他の例を示す模式図である。
【
図5】第1実施形態にかかる情報記録装置の処理を示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態にかかる情報記録装置での車内状況情報の記録について説明する図である。
【
図7】第2実施形態にかかる情報記録装置を搭載した車両のハードウェア構成図である。
【
図8】第2実施形態にかかる情報記録装置の機能ブロック図である。
【
図9】(a)は自動運転モードから手動運転モードに切り替わるまでの車内状況情報の記録について説明する図であり、(b)は自動運転モードから手動運転モードに切り替わった後の車内状況情報の記録について説明する図である。
【
図11】(a)は車内状況情報および車外状況情報の例を示す模式図であり、(b)は車内状況情報および車外状況情報の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して情報記録装置について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0027】
図1は、実施形態にかかる情報記録装置の動作を説明するための図である。
【0028】
実施形態にかかる情報記録装置は、運転モードが自動運転モードと手動運転モードとの間で切り替わる車両に搭載されている。
図1は、時刻t
0において、車両1の運転モードの自動運転モードから手動運転モードに切り替わり、その後の時刻t
2において、手動運転モードから自動運転モードに切り替わったことを示している。
【0029】
実施形態にかかる情報記録装置は、車両1の運転モードが切り替わった時刻t0および時刻t2から所定時間、車内状況情報を記録する。情報処理装置は、このように動作することにより、異常の発生しやすい運転モード切り替え時における車内の状況を記録し、後で状況を把握することを可能にしている。
【0030】
図2は、第1実施形態にかかる情報記録装置を搭載した車両のハードウェア構成図である。
【0031】
車両1は、自動運転装置10および情報記録装置30を有する。
【0032】
自動運転装置10には、レーダ11、前方カメラ12、後方カメラ13、車速センサ14、Gセンサ15、GPS受信機16、ECU(Electronic Control Unit)17およびディスプレイ18が接続されている。
【0033】
レーダ11は、ミリ波を車両1の周囲に照射し、物体に反射される電波を検出する。レーダ11により、自動運転装置10は、車両1から物体までの距離および方向を検出することができる。
【0034】
前方カメラ12は、車両1の前方に向けて設置され、車両の前方を撮像する。前方カメラ12により、自動運転装置10は、車両1の前方にある対象物を認識することができる。
【0035】
後方カメラ13は、車両1の後方に向けて設置され、車両の後方を撮像する。後方カメラ13により、自動運転装置10は、車両1の後方にある対象物を認識することができる。
【0036】
車速センサ14は、車両1の走行速度を検出する。車両1の走行速度は、例えば所定時間内に検出された車軸の回転数に基づき検出することができる。
【0037】
Gセンサ15は、所定の方向において車両1に加えられる加速度を検出する。Gセンサ15により、自動運転装置10は、車両1の加減速の推移を検出することができる。
【0038】
GPS受信機16は、受信したGPS(Global Positioning System)衛星からの信号に基づいて現在位置を特定する。GPS受信機16により、自動運転装置10は、車両1の現在位置を検出することができる。GPS受信機16が受信する信号はGPS衛星からのものに限定されず、GLONASS、Galileo、Compassなどの衛星測位システムに含まれる衛星からの信号であればよい。
【0039】
ECU17は、プロセッサ、メモリおよび通信インタフェースを有する情報処理装置である。ECU17は、車両1の変速機、エンジン、ブレーキ、ステアリングおよびパーキングブレーキと通信インタフェースを介して接続されており、車両1の変速機、エンジン、ブレーキ、ステアリングおよびパーキングブレーキの動作を電子的に制御する。ECU17は、複数のプロセッサで実現されてもよく、専用回路により実現されてもよい。
【0040】
ECU17は、車両1の変速機の動作を制御する。自動運転装置10は、所定の信号をECU17に出力することにより、車両1の変速機を所望の状態に変更することができる。
【0041】
ECU17は、車両1のエンジンの出力を制御する。自動運転装置10は、所定の信号をECU17に出力することにより、車両1のエンジンの出力を所望の量に変更することができる。車両1のエンジンは、石油燃料で動作するガソリンエンジンやディーゼルエンジンに限られず、電気で動作するモータであってもよい。
【0042】
ECU17は、車両1のブレーキを制御する。自動運転装置10は、所定の信号をECU17に出力することによりブレーキを作動させ、車両1の速度を減速させることができる。
【0043】
ECU17は、車両1のステアリングを制御する。自動運転装置10は、所定の信号をECU17に出力することにより、車両1のステアリングを制御し、進行方向を変更することができる。
【0044】
ECU17は、車両1のパーキングブレーキを制御する。自動運転装置10は、所定の信号をECU17に出力することにより、車両1の車輪を停止した状態で固定することができる。
【0045】
ディスプレイ18は、自動運転装置10の動作状態を車両1の運転者に対して表示する。ディスプレイ18は、液晶表示パネルにより、動作状態を運転者に対し視認可能に表示する。また、ディスプレイ18は、スピーカにより、動作状態を運転者に対し聞き取り可能に表示してもよい。
【0046】
自動運転装置10が運転操作を実施するとき、レーダ11、前方カメラ12、後方カメラ13、車速センサ14、Gセンサ15およびGPS受信機16により取得した情報に基づいて自動運転装置10の出力する信号がECU17に入力される(自動運転モード)。
【0047】
車両1の運転者が運転操作を実施するとき、運転者の操作に応じた信号が、シフトレバー、アクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドルおよびパーキングブレーキレバーに対する操作を検出するセンサから出力され、ECU17に入力される(手動運転モード)。
【0048】
レーダ11、前方カメラ12、後方カメラ13、車速センサ14、Gセンサ15およびGPS受信機16により取得した情報に基づき、自動運転の継続が適切でないと判断される場合、自動運転装置10は、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えて、運転操作を車両1の運転者に引き継ぐ。
【0049】
手動運転モードにおいて、レーダ11、前方カメラ12、後方カメラ13、車速センサ14、Gセンサ15およびGPS受信機16により取得した情報に基づき、自動運転の実施が可能と判断される場合、自動運転装置10は、運転モードを手動運転モードから自動運転モードに切り替えて、運転操作を車両1の運転者から引き継ぐ。
【0050】
情報記録装置30は、車両1の内部または外部の情報を記録する装置である。情報記録装置30は、プロセッサ31、メインメモリ32、不揮発メモリ33およびインタフェース34を有する。
【0051】
プロセッサ31は、命令に基づき演算を実行する集積回路であり、例えばCPU(Central Processing Unit)で実現することができる。
【0052】
メインメモリ32は、プロセッサ31により実行される一連の命令であるプログラムを記憶可能なメモリであり、例えばDRAMなどの揮発性記憶デバイスにより実現することができる。
【0053】
不揮発メモリ33は、プロセッサ31により実行される命令の処理対象や処理結果となるデータを記憶可能なメモリであり、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリといった不揮発性記憶デバイスにより実現することができる。
【0054】
インタフェース34は、外部機器との接続のためのコネクタであり、例えばCAN(Controller Area Network)やシリアル通信といった規格による接続を提供する。
【0055】
情報記録装置30は、不揮発メモリ33に保存されたプログラムをメインメモリ32に展開し、展開されたプログラムをプロセッサ31が実行し、インタフェース34を介して外部機器と通信することにより、種々の処理を実行する。
【0056】
情報記録装置30には、インタフェース34を介して車内カメラ35が接続されている。
【0057】
車内カメラ35は、車両1の内部の状況を示す車内状況情報である画像を取得する。車内カメラ35は、車両1の運転者を含む車両1の居室内の画像に対応する電子データを出力する。
【0058】
図3は、第1実施形態にかかる情報記録装置の機能ブロック図である。
【0059】
情報記録装置30は、機能ブロックとして、運転モード検出部310と情報記録部320とを有する。運転モード検出部310および情報記録部320は、所定のプログラムをプロセッサ31で実行することにより実現することができる。運転モード検出部310および情報記録部320は、専用回路により実現されてもよい。
【0060】
運転モード検出部310は、車両1の運転モードを取得し、運転モードが自動運転モードと手動運転モードとの間での切り替えを検出する。
【0061】
より詳細には、運転モード検出部310は、インタフェース34を介して接続された自動運転装置10から運転モードを取得する。また、運転モード検出部310は、前回取得した運転モードと比較して切り替えを検出する。
【0062】
情報記録部320は、車両1の運転モードが自動運転モードと手動運転モードとの間で切り替わってから所定時間経過するまでの車両1の車内状況情報を記録する。
【0063】
より詳細には、情報記録部320は、インタフェース34を介して接続された車内カメラ35により取得された車内状況情報を不揮発メモリ33に記録する。
【0064】
情報記録部320がこのように車内状況情報を記録することにより、異常の発生しやすい運転モード切り替え時における車内の情報を記録することができる。
【0065】
車内状況情報は、車内カメラ35により取得される車両1の内部の画像を含んでよい。このような車内状況情報を記録することにより、情報記録装置30は、車内の状況を画像で確認可能としている。
【0066】
図4(a)は車内状況情報の例を示す模式図であり、
図4(b)は車内状況情報の他の例を示す模式図である。
【0067】
図4(a)および
図4(b)は、いずれも車両1の車室内前方の上部から車両1の運転者を撮像したときの画像を示している。
図4(a)では、運転者は手でハンドルを保持して前方を注視しており、自動運転モードからの引き継ぎに適した状況と言える。一方、
図4(b)では、運転者は手でハンドルを保持しているものの、前方を見ておらず、自動運転モードからの引き継ぎに不適な状況と言える。
【0068】
図5は、第1実施形態にかかる情報記録装置の処理を示すフローチャートである。
【0069】
情報記録装置30は、まず、インタフェース34を介して車両1の運転モードを取得する(ステップS1)。
【0070】
続いて、運転モード検出部310は、車両1の運転モードの自動運転モードと手動運転モードとの間の切り替えを検出する(ステップS2)。運転モード検出部310は、運転モードの切り替えを、1回前のステップS1で取得した運転モードと直近のステップS1で取得した運転モードとを比較することにより行う。
【0071】
運転モード検出部310は、車両1の運転モードの自動運転モードと手動運転モードとの間の切り替えが検出されたか否かを判断する(ステップS3)。
【0072】
車両1の運転モードの切り替えが検出されると(ステップS3:Y)、情報記録部320は、運転モードの切り替えから所定時間経過するまでの車内状況情報を記録する(ステップS4)。その後、情報記録装置30の処理はステップS1に戻り、運転モード検出部310が車両1の運転モードの取得を行う。
【0073】
車両1の運転モードの切り替えが検出されないと(ステップS3:N)、情報記録装置30の処理はステップS1に戻り、運転モード検出部310が車両1の運転モードの取得を行う。
【0074】
情報記録装置30は、手動運転モードにおいて情報記録部320が車内状況情報を記録しないよう構成することができる。手動運転モードにおいて車内状況情報を記録しない情報記録装置30は、異常確認の観点から必要な車内状況情報のみを記録するので、プライバシー保護等の観点から車内状況情報の記録を希望しない車両1の乗員であっても安心して利用することができる。
【0075】
図6は、第1実施形態にかかる情報記録装置での車内状況情報の記録について説明する図である。
【0076】
図6は、時刻t
0において、車両1の運転モードの自動運転モードから手動運転モードへの切り替えが検出され、その後の時刻t
2において、手動運転モードから自動運転モードへの切り替えが検出されたことを示している。
【0077】
この場合、時刻t0から時刻t1までの時間範囲d1における車内状況情報が情報記録部320により記録される。また、時刻t2から時刻t3までの時間範囲d2における車内状況情報が情報記録部320により記録される。
【0078】
自動運転モードから手動運転モードに運転モードが切り替わるとき、運転者は自ら意識して運転操作を実施することのできる状態であることが必要である。したがって、運転モードの切り替えにあたって、運転者が運転操作を実施することのできる状態であるか否かを確認するため、車内の状況を取得しておくことが好ましい。
【0079】
手動運転モードから自動運転モードに運転モードが切り替わるとき、運転者は自ら意識して運転操作を実施している状態であると推定できる。したがって、運転モードの切り替えにあたって、車内の状況を考慮する必要性は、自動運転モードから手動運転モードに切り替わるときよりも小さい。
【0080】
したがって、情報記録装置30は、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えの後に車内状況情報を記録する時間範囲d1よりも、手動運転モードから自動運転モードへの切り替えの後に車内状況情報を記録する時間範囲d2を短くしてよい。
【0081】
このように、時間範囲d1よりも時間範囲d2を短くすることで、必要性の小さい情報の記録容量を削減することができるため、情報記録装置30は、異常発生時の責任分担を明確にするために必要な情報をより確実に記録することができる。
【0082】
図7は、第2実施形態にかかる情報記録装置を搭載した車両のハードウェア構成図である。
図8は、第2実施形態にかかる情報記録装置の機能ブロック図である。
【0083】
車両2は、情報記録装置30に代えて情報記録装置30′を有する点が車両1と相違する。情報記録装置30′には、インタフェース34を介して、車内カメラ35に加えて車外カメラ36およびマイク37が接続されている。情報記録装置30′、車外カメラ36およびマイク37以外の車両2の構成要素の構成および機能は、同一符号が付された車両1の構成要素の構成および機能と同一なので、詳細な説明を省略する。
【0084】
車外カメラ36は、車両1の外部の状況を示す車外状況情報を取得する。車外カメラ36は、車両1の居室外の画像に対応する電子データを出力する。
【0085】
マイク37は、車両1の内部の状況を示す車内状況情報である音声を取得する。マイク37は、車両1の居室内の音声に対応する電子データを出力する。
【0086】
情報記録装置30′は、情報記録部320に代えて情報記録部320′を有する点が情報記録装置30と相違する。情報記録部320′は、第1記録部321と第2記録部322とを有する点が情報記録部320と相違する。
【0087】
第1記録部321は、記録された情報の容量が上限値に達すると記録済みの情報を上書きして新たな情報が記録される記録領域である。
【0088】
第1記録部321は、所定のプログラムの実行によってプロセッサ31を動作させ、不揮発メモリ33の所定の領域に記録される情報の量を管理し、上限値に達すると所定のルールで記録済みの情報を削除して新たな情報を記録するよう制御することにより構成することができる。所定のルールにより削除される記録済みの情報とは、例えば、最も古い情報である。
【0089】
第2記録部322は、記録された情報の容量が上限値に達すると新たな情報が記録されない記録領域である。
【0090】
第2記録部322は、所定のプログラムの実行によってプロセッサ31を動作させ、不揮発メモリ33の所定の領域に記録される情報の量を管理し、上限値に達すると新たな情報を記録しないよう制御することにより構成することができる。
【0091】
第2記録部322は、記憶された情報の容量が上限値に達した後であっても、所定の条件を満たす情報、例えば緊急性の高い情報などについては、記録済みの情報を削除して記録するよう構成されていてもよい。
【0092】
なお、不揮発メモリ33の所定の領域とは、不揮発メモリ33の記憶素子が特定されている必要はなく、例えばフォルダ構造における所定のフォルダにより、情報がその領域に記録されていることが特定できれば足りる。
【0093】
情報記録部320′は、自動運転モードまたは手動運転モードのときに車両1の外部の状況を示す車外状況情報を第1記録部321に記録し、自動運転モードと手動運転モードとの間で切り替わってから所定時間経過するまでの車内状況情報を第2記録部322に記録してよい。
【0094】
情報記録部320′がこのように記録することにより、通常運転時には車外の情報を一定時間まで記録し、異常の発生しやすい運転モード切り替え時には車内の情報を確実に保存可能な領域に記録することができる。
【0095】
図9(a)は自動運転モードから手動運転モードに切り替わるまでの車内状況情報の記録について説明する図であり、
図9(b)は自動運転モードから手動運転モードに切り替わった後の車内状況情報の記録について説明する図である。
【0096】
図9(a)は、時刻t
0に至るまで、車内状況情報が第1記録部321に記録されていることを示している。
【0097】
図9(b)は、時刻t
0において車両1の運転モードの自動運転モードから手動運転モードへの切り替えが検出された後、時刻t
0より前の時刻t
-1から時刻t
0までの時間範囲d
3に第1記録部321に記録された車内状況情報が、第2記録部322にコピーされ、記録されることを示している。
【0098】
また、
図9(b)は、時刻t
0から時刻t
1までの時間範囲d
1における車内状況情報が第2記録部322に記録されることを示している。
【0099】
情報記録部320′は、上述のように車内状況情報を記録するよう構成されてよい。このように情報記録部320′を構成すると、情報記録装置30′は、自動運転モードから手動運転モードへの切り替えが検出されたときに、切り替え後とあわせて切り替え前の車内状況情報を記録することができる。これにより、情報記録装置30′は、自動運転モードから手動運転モードへの切り替え時の状況をより適切に判断することを可能とする。
【0100】
【0101】
図10は、車両1の車室内前方の上部から車両1の前方外部を撮像したときの画像を示している。このような車外状況情報を記録することにより、撮像時点の道路および道路上の他の車両や歩行者の状況が確認可能となる。
【0102】
情報記録部320′は、車両1の内部の音声を含む車内状況情報を記録するよう構成されてよい。このような車内状況情報を記録することにより、情報記録装置30′は、車内の状況を音声で確認可能とする。
【0103】
情報記録部320′は、車両1の運転操作の実施状態を示す車両制御情報を含む社内状況情報を記録するよう構成されてよい。車両制御情報とは、ECU17に対して入力される信号である。このような車内状況情報を記録することにより、情報記録装置30′は、車両1の運転操作の状態を確認可能とする。
【0104】
図11(a)は車内状況情報および車外状況情報の例を示す模式図であり、
図11(b)は車内状況情報および車外状況情報の他の例を示す模式図である。
【0105】
図11(a)および
図11(b)は、いずれも車両1の車室内後方の上部に配置した車内カメラ35により、車両1の運転者および車両1の前方外部を撮像したときの画像を示している。
図11(a)では、運転者は前方を注視しており、自動運転モードからの引き継ぎに適した状況と言える。一方、
図11(b)では、運転者は手元の書籍を注視していて前方を見ておらず、自動運転モードからの引き継ぎに不適な状況と言える。
【0106】
このように、情報記録部320′は、車両1の車室内後方の上部から車両1の運転者および車両1の前方外部を撮像したときの画像を、車内状況情報および車外状況情報として記録するようにしてもよい。
【0107】
図11(a)および
図11(b)において、表示パネルDに運転モードが表示されている。表示パネルDは、ディスプレイ18の一例である。
【0108】
運転モード検出部310は、所定のプログラム実行によってプロセッサ31を動作させ、インタフェース34を介して接続された車内カメラ35により取得された車両1の居室内の画像に含まれる表示パネルDの表示を分析して運転モードを取得するよう制御することによって実現可能である。
【0109】
一例として、運転モード検出部310はまず、車両1の居室内の画像から、表示パネルDの周囲に設けられた所定のマーカに対応する領域を検出し、表示パネルDの位置を特定する。続いて、運転モード検出部310は、表示パネルDの位置に対応する領域において文字認識を実行する。運転モード検出部310は、文字認識において、「自動運転」の文字が認識されると車両1の運転モードが自動運転モードであり、「手動運転」の文字が認識されると車両1の運転モードが手動運転モードであると判断することができる。
【0110】
運転モード検出部310をこのように構成すると、自動運転装置10から運転モードを取得するための情報記録装置30との間の接続が不要となるため、より簡易に情報記録装置30を実現することができる。
【符号の説明】
【0111】
1、2 車両
10 自動運転装置
30、30′ 情報記録装置
31 プロセッサ
32 メインメモリ
33 不揮発メモリ
34 インタフェース
310 運転モード検出部
320、320′ 情報記録部
321 第1記録部
322 第2記録部