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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】光検出装置及び光検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/376 20110101AFI20220601BHJP
   H04N 5/378 20110101ALI20220601BHJP
【FI】
H04N5/376
H04N5/378
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018041779
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2019161295
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】松井 克宜
(72)【発明者】
【氏名】宅見 宗則
(72)【発明者】
【氏名】豊田 晴義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 和浩
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-323190(JP,A)
【文献】特開2009-033316(JP,A)
【文献】特開2005-176081(JP,A)
【文献】特許第4351057(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225-5/378
H04N 9/00-9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスポット光の入射位置を検出する光検出装置であって、
行列状に2次元配列されていると共に、各々が第1光感応部及び第2光感応部を有する複数の画素と、
複数の前記第1光感応部を行ごとに接続する第1回路と、
複数の前記第2光感応部を列ごとに接続する第2回路と、
前記第1回路を通して信号データを読み出す第1読出部と、
前記第2回路を通して信号データを読み出す第2読出部と、
前記第1読出部及び第2読出部の少なくとも一方から読み出された信号データに基づいて、前記複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、前記複数のスポット光の入射によって発生する信号がそれぞれ異なる信号データとなるように前記複数の画素を複数のグループに分ける分割部と、を備え、
前記第1読出部は、前記分割部によって分けられたグループごとに前記信号データを読み出す、光検出装置。
【請求項2】
前記第1読出部は、各前記グループ内の複数の前記画素の中から、信号データを読み出す画素群を選択する画素選択部を有し、請求項に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記第1読出部は、前記画素選択部によって選択された画素群から読み飛ばす画素列を選択する読飛選択部を有する、請求項に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第1読出部は、少なくとも1つの前記グループ内の複数の行に配列されている複数の前記第1光感応部から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出すビニング読出部を有し、請求項のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1回路は、行ごとに、同一行で互いに隣り合う前記第1光感応部の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える複数の行スイッチを有し、
前記分割部は、前記第1読出部及び前記第2読出部の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、前記行スイッチのオン/オフを制御する、請求項1~4のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第2回路は、列ごとに、同一列で互いに隣り合う前記第2光感応部の間において電気的な接続のオン/オフを切り替える複数の列スイッチを有し、
前記分割部は、前記第1読出部及び前記第2読出部の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、前記列スイッチのオン/オフを制御する、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第1回路は、前記同一行に配列された複数の前記第1光感応部から信号データをそれぞれ出力する複数の出力ポートを有し、
前記第1読出部は、前記複数の出力ポートの各々から信号データを読み出す、請求項6に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記第1回路は、行方向に延在し、かつ、前記行スイッチ及び前記第1光感応部が接続された複数の配線を有し、
前記第1読出部は、前記複数の配線の中から、信号データを読み出す少なくとも1つの配線を選択することで、信号データを読み出す画素群を選択する画素選択部を有する、請求項6又は7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記分割部は、前記複数のスポット光の重心位置、プロファイル幅、及び、輝度の少なくとも一つに基づいて、前記複数の画素が配列されている領域を区分けする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項10】
行列状に2次元配列されていると共に各々が第1光感応部及び第2光感応部を含む複数の画素と、複数の前記第1光感応部を行ごとに接続する第1回路と、複数の前記第2光感応部を列ごとに接続する第2回路とを備えた光検出装置を用いて、前記第1回路を通して出力される信号から行方向へ射影された信号データを読み出し、前記第2回路を通して出力される信号から列方向へ射影された信号データを読み出し、読み出された2つの信号データからスポット光の2次元入射位置を検出する光検出方法であって、
前記信号データに基づいて、少なくとも1つの前記スポット光の2次元入射位置を検出する工程と、
複数の前記スポット光が検出された場合に、検出された各前記スポット光の2次元入射位置に基づいて、前記複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、前記複数のスポット光の入射によって発生する信号がそれぞれ異なる信号データとなるように前記複数の画素を複数のグループに分ける工程と、
前記グループごとに前記信号データを読み出す工程と、を備える、光検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置及び光検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
行列状に2次元配列されている複数の画素の各々が一対の光感応部を有し、第1回路によって一対の光感応部の一方が行ごとに接続され、第2回路によって一対の光感応部の他方が列ごとに接続された光検出装置が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の光検出装置では、行方向へ射影された信号データが第1回路から読み出されると共に、列方向へ射影された信号データが第2回路から読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2003/049190号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光検出装置では、センサ受光部における1画素が2つに分かれており、一方が行ごとにそれぞれ接続され、他方が列ごとにそれぞれ接続されている。これにより、センサ受光部に入射した光スポットが行方向及び列方向の各々へ射影された信号データが、行方向及び列方向においてそれぞれ読み出されている。したがって、この受光部構造は複数画素を持つ1次元センサが2つ組み合わされた場合と同様であるため、一般的な2次元センサと比較して出力データ量が少ない。このため、一般的な2次元センサと比較して、センサ受光部に入射した光スポットの2次元位置を高速に検出することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光検出装置では、複数のスポット光がセンサ受光部に入射される場合、上記複数のスポット光による信号データがすべて合算されて行方向及び列方向へそれぞれ射影される。この場合、上記光検出装置から出力される信号データからは、複数のスポット光による信号データをそれぞれ正確に弁別することが困難である。このため、上記光検出装置では、複数スポット光におけるそれぞれの入射位置を正確に特定できないおそれがある。
【0006】
本発明は、検出速度が確保されつつ、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る光検出装置及び光検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光検出装置は、光の入射位置を検出する光検出装置であって、行列状に2次元配列されていると共に、各々が第1光感応部及び第2光感応部を有する複数の画素と、複数の第1光感応部を行ごとに接続する第1回路と、複数の第2光感応部を列ごとに接続する第2回路と、第1回路を通して信号データを読み出す第1読出部と、第2回路を通して信号データを読み出す第2読出部と、を備える。第1回路は、行ごとに、同一行で互いに隣り合う第1光感応部の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える行スイッチを有する。
【0008】
本発明に係る光検出装置では、行スイッチが、同一行で互いに隣り合う第1光感応部の間において電気的な接続のオン/オフを切り替える。このため、同一行に配列されている複数の第1光感応部から、第1読出部へ信号を出力する第1光感応部を選択することが可能である。これによれば、光検出装置は、たとえば、複数のスポット光が入射される場合であっても、上記行スイッチの電気的な接続をオフにすることで、異なるスポット光の入射によって発生した信号が同一行で合算されることを防止できる。したがって、上記光検出装置から出力された信号データにより、上記複数のスポット光における検出速度が確保されつつ、上記複数のスポット光における入射位置をそれぞれ正確に検出することが可能である。
【0009】
第2回路は、列ごとに、同一列で互いに隣り合う前記第2光感応部の間において電気的な接続のオン/オフを切り替える列スイッチを有してもよい。この場合、同一列に配列されている複数の第2光感応部から、第2読出部へ信号を出力する第2光感応部を選択することが可能である。これによれば、光検出装置は、たとえば、複数のスポット光が入射される場合であっても、上記列スイッチの電気的な接続をオフにすることで、異なるスポット光の入射によって発生した信号が同一列で合算されることを防止できる。したがって、上記光検出装置から出力された信号データにより、上記複数のスポット光における検出速度が確保されつつ、上記複数のスポット光における入射位置をそれぞれ正確に検出することが可能である。
【0010】
第1読出部及び第2読出部の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、行スイッチのオン/オフを制御するスイッチ制御部を更に備えてもよい。この場合、読み出された信号データに基づいて、同一行に配列されている複数の第1光感応部から、第1回路を通して第1読出部へ信号を出力する第1光感応部を選択することが可能である。たとえば、前のフレームで検出されたスポット光の入射位置に基づいて、第1読出部へ信号を出力する第1光感応部が選択されれば、複数のスポット光の入射位置が更に正確に検出され得る。
【0011】
第1回路は、同一行に配列された複数の第1光感応部から信号データをそれぞれ出力する複数の出力ポートを有してもよい。第1読出部は、複数の出力ポートの各々から信号データを読み出してもよい。複数の出力ポートを通して、同一行に配列された複数の第1光感応部から信号データが読み出されるため、読み出し速度が向上し得る。
【0012】
第1回路は、行方向に延在し、かつ、行スイッチ及び第1光感応部が接続された複数の配線を有してもよい。第1読出部は、上記複数の配線の中から、信号データを読み出す少なくとも1つの配線を選択することで、信号データを読み出す画素群を選択する画素選択部を有してもよい。この場合、異なるスポット光の入射によって発生した信号が同一行で合算されることが防止されつつ、光の入射位置の検出に一層適した第1光感応部から信号データが読み出され得る。
【0013】
第1読出部は、画素選択部によって選択された画素群から、読み飛ばす画素列を選択する読飛選択部を有してもよい。この場合、信号データを読み出す画素が削減されるため、読み出し速度が更に向上し得る。
【0014】
第1読出部は、画素選択部によって選択された複数の配線のうちの所定数の配線に接続されている複数の第1光感応部から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出すビニング読出部を有してもよい。この場合、複数の配線に接続されている複数の第1光感応部から出力された信号の情報が反映されつつ、複数の第1光感応部から出力された複数の信号がそのまま信号データとして読み出される場合よりも読み出し速度が更に向上し得る。
【0015】
本発明に係る別の光検出装置は、複数のスポット光の入射位置を検出する光検出装置であって、行列状に2次元配列されていると共に、各々が第1光感応部及び第2光感応部を有する複数の画素と、複数の第1光感応部を行ごとに接続する第1回路と、複数の第2光感応部を列ごとに接続する第2回路と、第1回路を通して信号データを読み出す第1読出部と、第2回路を通して信号データを読み出す第2読出部と、第1読出部及び第2読出部の少なくとも一方から読み出された信号データに基づいて、複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素を各スポット光の入射位置に対応する複数のグループに分ける分割部と、を備える。第1読出部は、分割部によって分けられたグループごとに信号データを読み出す。
【0016】
本発明に係る別の光検出装置では、分割部が、検出された各スポット光の入射位置ごとに、複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素を複数のグループに分ける。第1読出部は、分割部によって分けられたグループごとに信号データを読み出す。この場合、複数のスポット光が同一行に配列されている画素に照射されたとしても、スポット光の入射位置に応じて分けられたグループごとに信号データが読み出されるため、各スポット光に関する信号データが別々に読み出される。このため、射影された信号データを取得することで検出速度が確保されている構成でありながら、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る。
【0017】
第1読出部は、各グループ内の複数の画素の中から、信号データを読み出す画素群を選択する画素選択部を有してもよい。この場合、各グループ内の複数の画素のうち、光の入射位置の検出に適した画素群から信号データが読み出され得る。
【0018】
第1読出部は、前記画素選択部によって選択された画素群から読み飛ばす画素列を選択する読飛選択部を有してもよい。この場合、画素選択部によって選択された画素群から信号データを読み出す画素が削減されるため、読み出し速度が更に向上し得る。
【0019】
第1読出部は、少なくとも1つのグループ内の複数の行に配列されている複数の第1光感応部から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出すビニング読出部を有してもよい。この場合、各グループ内の複数の行に配列されている複数の第1光感応部から出力された信号の情報が反映されつつ、複数の第1光感応部から出力された複数の信号がそのまま信号データとして読み出される場合よりも読み出し速度が更に向上し得る。
【0020】
本発明に係る光検出方法は、行列状に2次元配列されていると共に各々が第1光感応部及び第2光感応部を含む複数の画素と、複数の第1光感応部を行ごとに接続する第1回路と、複数の第2光感応部を列ごとに接続する第2回路とを備えた光検出装置を用いて、第1回路を通して出力される信号から行方向へ射影された信号データを読み出し、第2回路を通して出力される信号から列方向へ射影された信号データを読み出し、読み出された2つの信号データからスポット光の2次元入射位置を検出する光検出方法であって、信号データに基づいて、少なくとも1つのスポット光の2次元入射位置を検出する工程と、複数のスポット光が検出された場合に、検出された各スポット光の2次元入射位置に基づいて、複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素を複数のグループに分ける工程と、グループごとに前記信号データを読み出す工程と、を備える。
【0021】
本発明に係る光検出方法では、複数のスポット光が検出された場合に、検出された各スポット光の2次元入射位置に基づいて、複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素が複数のグループに分けられる。信号データは、グループごとに読み出される。この場合、複数のスポット光が同一行に配列されている画素に照射されたとしても、各スポット光に関する信号データがそれぞれ読み出される。このため、射影された信号データを取得することで検出速度が確保されている構成でありながら、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、検出速度が確保されつつ、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る光検出装置及び光検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る光検出装置のブロック図である。
図2】光検出装置の概略回路図である。
図3】本実施形態の変形例に係る光検出装置の概略回路図である。
図4】本実施形態の変形例に係る光検出装置の概略回路図である。
図5】部分読み出しを説明するための図である。
図6】読み飛ばしを説明するための図である。
図7】光検出装置による信号データの読み出しを説明するための図である。
図8】グループ分けについて説明するための図である。
図9】グループ分けについて説明するための図である。
図10】グループ分けの再設定条件について説明するための図である。
図11】グループ分けの再設定条件について説明するための図である。
図12】領域の区分けについて説明するための図である。
図13】本実施形態の変形例に係る光検出装置におけるグループ分けについて説明するための図である。
図14】光検出装置において行われる処理を示すフローチャートである。
図15】比較例に係る光検出装置によって読み出される信号データについて説明するための図である。
図16】本実施形態に係る光検出装置によって読み出される信号データについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る光検出装置の全体の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る光検出装置のブロック図である。図2は、本実施形態に係る光検出装置の概略回路図である。
【0026】
光検出装置1は、光の2次元入射位置を検出するプロファイルセンサであり、光が入射することによって発生した信号を、入射位置に応じた2次元射影データ(2次元プロファイル)として読み出す。本実施形態では、光検出装置1は、スポット光の入射位置を継続的に複数のフレームで検出する。ここで、「フレーム」は、光検出装置1で行われる一回の光検出の期間を意味する。
【0027】
光検出装置1は、センサ受光部10、行方向読出部21,22(第1読出部)、列方向読出部31,32(第2読出部)、行方向スイッチ制御部41、及び列方向スイッチ制御部42を備えている。スポット光の受光によってセンサ受光部10で発生した信号の射影データは、行方向読出部21及び列方向読出部31によって読み出される。
【0028】
センサ受光部10は、図2に示されているように、複数の画素11と、複数の画素11を行方向読出部21に接続するためのセンサ回路23と(第1回路)、複数の画素11を列方向読出部31に接続するためのセンサ回路33(第2回路)とを有する。
【0029】
複数の画素11は、行列状に2次元配列されている。「行列状」は、ハニカム構造など2次元の最密充填構造も含む。複数の画素11の各々は、光感応部15及び光感応部16(第1光感応部又は第2光感応部)を含んでいる。各光感応部15,16は、フォトダイオードなどの受光素子によって形成されている。各光感応部15,16は、複数の受光素子によって構成されていてもよい。
【0030】
同一の画素11に含まれている光感応部15及び光感応部16は、上記行方向及び列方向に直交する方向から見て、隣接して配置されている。すなわち、センサ受光部10には、複数の光感応部15と複数の光感応部16とが、画素11ごとに行方向及び列方向に配列されている。
【0031】
センサ回路23は、行ごとに、同一行に配列された複数の光感応部15から信号データをそれぞれ出力する2つの出力ポート24,25を有する。行方向読出部21,22は、それぞれ、2つの出力ポート24,25の各々から信号データを読み出す。同一行における出力ポートは、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。本実施形態では、行方向読出部21が出力ポート24から信号データを読み出し、行方向読出部22が出力ポート25から信号データを読み出す。
【0032】
センサ回路23は、図2に示されているように、複数の配線26と、複数の配線26に接続された複数の行スイッチ27とを有し、これらを介して、センサ受光部10に配列された複数の光感応部15を行ごとに接続する。各光感応部15は、対応する配線26と電気的に接続されている。複数の行スイッチ27の少なくとも1つは、同一行で互いに隣り合う光感応部15の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える。各行スイッチ27のオン/オフは、行方向スイッチ制御部41によって制御される。本実施形態では、各行に複数の行スイッチ27が、配置されている。
【0033】
行方向スイッチ制御部41によって同一行に配置された複数の行スイッチ27がオンとされた場合、センサ回路23は、当該複数の行スイッチ27と当該複数の行スイッチ27に接続された配線26とを通して同一行に配列された複数の光感応部15を電気的に接続する。行方向スイッチ制御部41によって同一行に配置された複数の行スイッチ27の全てがオンとされることで、同一行に配列された複数の光感応部15の全てが行方向読出部21,22に電気的に接続される。
【0034】
本実施形態では、センサ回路23は、図2に示されているように、行ごとに、同一行において行方向に延在する複数の配線26と、同一行において各配線26を接続する複数の行スイッチ27を有している。複数の行スイッチ27は、複数の行画素間スイッチ28と複数の行読出スイッチ29とを含んでいる。
【0035】
複数の行画素間スイッチ28は、行ごとに、同一行に配列されている全ての光感応部15について、各光感応部15に接続された配線26の間に1つずつ配置されている。これにより、各行画素間スイッチ28は、同一行で互いに隣り合う光感応部15の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える。たとえば、同一行に配置されている複数の行画素間スイッチ28の全てがオンとされていた状態からいずれか1つがオフとされた場合、同一行に配列されている複数の光感応部15は、行方向で、互いに電気的に絶縁された2つのグループに分けられる。
【0036】
複数の行読出スイッチ29は、行ごとに、同一行に配列されている光感応部15のうち、最も行方向読出部21,22に近い光感応部15に接続された配線26と、出力ポート24,25の各々との間に1つずつ配置されている。これにより、各行読出スイッチ29は、少なくとも1つの光感応部15と行方向読出部21,22との間において電気的な接続のオン/オフを切り替える。
【0037】
センサ回路33は、列ごとに、同一列に配列された複数の光感応部16から信号データをそれぞれ出力する2つの出力ポート34,35を有する。列方向読出部31,32は、それぞれ、2つの出力ポート34,35の各々から信号データを読み出す。同一列における出力ポートは、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。本実施形態では、列方向読出部31が出力ポート34から信号データを読み出し、列方向読出部32が出力ポート35から信号データを読み出す。
【0038】
センサ回路33は、図2に示されているように、複数の配線36と、複数の配線36に接続された複数の列スイッチ37とを有し、これらを介して、センサ受光部10に配列された複数の光感応部16を列ごとに接続する。各光感応部16は、対応する配線36と電気的に接続されている。複数の列スイッチ37の少なくとも1つは、同一列で互いに隣り合う光感応部16の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える。各列スイッチ37のオン/オフは、列方向スイッチ制御部42によって制御される。本実施形態では、各列に複数の列スイッチ37が、配置されている。
【0039】
列方向スイッチ制御部42によって同一列に配置された複数の列スイッチ37がオンとされた場合、センサ回路33は、当該複数の列スイッチ37と当該複数の列スイッチ37に接続された配線36とを通して同一列に配列された複数の光感応部16を電気的に接続する。列方向スイッチ制御部42によって同一列に配置された複数の列スイッチ37の全てがオンとされることで、同一列に配列された複数の光感応部16の全てが列方向読出部31,32に電気的に接続される。
【0040】
本実施形態では、センサ回路33は、図2に示されているように、列ごとに、同一列において列方向に延在する複数の配線36と、同一列において各配線36を接続する複数の列スイッチ37を有している。複数の列スイッチ37は、複数の列画素間スイッチ38と複数の列読出スイッチ39とを含んでいる。
【0041】
複数の列画素間スイッチ38は、列ごとに、同一列に配列されている全ての光感応部16について、各光感応部16に接続された配線36の間に1つずつ配置されている。これにより、各列画素間スイッチ38は、同一列で互いに隣り合う光感応部16の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える。たとえば、同一列に配置されている複数の列画素間スイッチ38の全てがオンとされていた状態からいずれか1つがオフとされた場合、同一列に配列されている複数の光感応部16は、列方向で、互いに電気的に絶縁された2つのグループに分けられる。
【0042】
複数の列読出スイッチ39は、列ごとに、同一列に配列されている光感応部16のうち、最も列方向読出部31,32に近い光感応部16に接続された配線36と、出力ポート34,35の各々との間に1つずつ配置されている。これにより、各列読出スイッチ39は、少なくとも1つの光感応部16と列方向読出部31,32との間において電気的な接続のオン/オフを切り替える。
【0043】
図3は、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の概略回路図である。図3に示されている構成では、センサ回路23は、行ごとに、同一行に配列された複数の光感応部15から信号データを出力する1つの出力ポート24を有し、この出力ポート24のみから行方向読出部21によって信号データを読み出す。この場合も、同一行における出力ポートは、2つ以上であってもよい。センサ回路33は、列ごとに、同一列に配列された複数の光感応部16から信号データを出力する1つの出力ポート34を有し、この出力ポート34のみから列方向読出部31によって信号データを読み出す。この場合も、同一列における出力ポートは、2つ以上であってもよい。
【0044】
センサ回路23は、図2に示されている構成と同様に、行ごとに、同一行において行方向に延在する複数の配線26と、同一行において各配線26を接続する複数の行スイッチ27とを有している。複数の行スイッチ27は、複数の行画素間スイッチ28と複数の行読出スイッチ29とを含んでいる。各行画素間スイッチ28は、同一行で互いに隣り合う光感応部15の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える。
【0045】
図3に示されている構成では、同一行において行方向に延在する複数の配線26の各々は、複数の光感応部15に接続されている。複数の行画素間スイッチ28は、行ごとに、同一行における複数の配線26の間に1つずつ配置されている。これにより、各行画素間スイッチ28は、同一行において複数の光感応部15に接続されている配線26の間の電気的な接続のオン/オフを切り替える。すなわち、各行画素間スイッチ28がオフとされた場合、同一行に配列されている複数の光感応部15は、行方向で、互いに電気的に絶縁された2つのグループに分けられる。複数の行画素間スイッチ28は、同一行において2つ以上配置されてもよい。
【0046】
センサ回路33は、図2に示されている構成と同様に、列ごとに、同一列において列方向に延在する複数の配線36と、同一列において各配線36を接続する複数の列スイッチ37とを有している。複数の列スイッチ37は、複数の列画素間スイッチ38と複数の列読出スイッチ39とを含んでいる。各列画素間スイッチ38は、同一列で互いに隣り合う光感応部16の間における電気的な接続のオン/オフを切り替える。
【0047】
図3に示されている構成では、同一列において列方向に延在する複数の配線36の各々は、複数の光感応部16に接続されている。複数の列画素間スイッチ38は、列ごとに、同一列における複数の配線36の間に1つずつ配置されている。これにより、各列画素間スイッチ38は、同一列において複数の光感応部16に接続されている配線36の間の電気的な接続のオン/オフを切り替える。すなわち、各列画素間スイッチ38がオフとされた場合、同一列に配列されている複数の光感応部16は、列方向で、互いに電気的に絶縁された2つのグループに分けられる。複数の列画素間スイッチ38は、同一列において2つ以上配置されてもよい。
【0048】
図4は、本実施形態の変形例に係る光検出装置1の概略回路図である。図3に示されている構成と同様に、センサ回路23は、行ごとに、同一行に配列された複数の光感応部15から信号データを出力する1つの出力ポート24を有し、この出力ポート24のみから行方向読出部21によって信号データを読み出す。この場合も、同一行における出力ポートは、2つ以上であってもよい。センサ回路33は、列ごとに、同一列に配列された複数の光感応部16から信号データを出力する1つの出力ポート34を有し、この出力ポート34のみから列方向読出部31によって信号データを読み出す。この場合も、同一列における出力ポートは、2つ以上であってもよい。
【0049】
図4に示されている構成では、センサ回路23は、行ごとに、同一行において行方向に延在する1つの配線26と、同一行において配線26と複数の光感応部15とを接続する複数の行スイッチ27とを有している。すなわち、各光感応部15に、1つの行スイッチ27が接続されている。各光感応部15は、対応する行スイッチ27がオンにされることによって、出力ポート24及び配線26を通して行方向読出部21と電気的に接続される。行スイッチ27によって、同一行で互いに隣り合う光感応部15の間における電気的な接続のオン/オフが切り替えられる。
【0050】
図4に示されている構成では、センサ回路33は、列ごとに、同一列において列方向に延在する1つの配線36と、同一列において配線36と複数の光感応部16とを接続する複数の列スイッチ37とを有している。すなわち、各光感応部16に、1つの列スイッチ37が接続されている。各光感応部16は、対応する列スイッチ37がオンにされることによって、出力ポート34及び配線36を通して列方向読出部31と電気的に接続される。列スイッチ37によって、同一列で互いに隣り合う光感応部16の間における電気的な接続のオン/オフが切り替えられる。
【0051】
次に、本実施形態において、センサ受光部10に接続された行方向読出部21及び列方向読出部31、並びに、行方向スイッチ制御部(行方向分割部)41及び列方向スイッチ制御部(列方向分割部)42について説明する。
【0052】
行方向読出部21,22、列方向読出部31,32、行方向スイッチ制御部41、及び列方向スイッチ制御部42は、AND/OR/NOT/XORゲート等の各種論理回路により構成されるレジスタ、メモリ、比較器、演算器、多重器、選択器、A/Dコンバータ、及び電源制御回路等を含むハードウエアにより構成される。さらに、行方向読出部21,22、列方向読出部31,32、行方向スイッチ制御部41、及び列方向スイッチ制御部42は、一部もしくは全体がASIC(Application SpecificIntegrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって構成されていてもよい。行方向読出部21,22、列方向読出部31,32、行方向スイッチ制御部41、及び列方向スイッチ制御部42は、内蔵および外部における制御プログラム、各種制御信号等により制御され動作する。
【0053】
行方向読出部21,22は、複数の配線26を通して複数の光感応部15から信号データを読み出す。この際、各行スイッチ27のオン/オフの状態に応じて、同一行において電気的に行方向読出部21,22に接続された複数の光感応部15からの出力が合算される。これにより、行方向読出部21,22は、継続的に複数のフレームで、行方向へ射影された信号データ(行方向プロファイル)を読み出す。列方向読出部31,32は、複数の配線36を通して複数の光感応部16から信号データを読み出す。この際、各列スイッチ37のオン/オフの状態に応じて、同一列において電気的に列方向読出部31,32に接続された複数の光感応部16からの出力が合算される。これにより、列方向読出部31,32は、継続的に複数のフレームで、列行方向へ射影された信号データ(列方向プロファイル)を読み出す。
【0054】
行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、上記射影された信号データにおける重心位置、ピーク位置、信号データのプロファイル幅、及び輝度などの特徴量を演算する。これによって、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、それぞれ、行方向及び列方向において、センサ受光部10へのスポット光の入射位置、すなわち、センサ受光部10におけるスポット光が照射されている領域を演算する。上記特徴量及びスポット光の入射位置は、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42で演算されてもよいし、光検出装置1の外部で演算されてもよい。
【0055】
行方向読出部21,22は、複数の配線26の少なくとも一部を通して出力された信号の行方向へ射影された信号データから重心位置を演算する。列方向読出部31,32は、複数の配線36の少なくとも一部を通して出力された信号の列方向へ射影された信号データから重心位置を演算する。ここで行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32により演算される重心位置とは、複数の配線26及び複数の配線36の少なくとも一部を通して出力された信号の行方向及び列方向へ射影された信号データにおける重心位置である。上記演算された各重心位置は、実際に物理的に配置されている画素11の位置と厳密に一致しないおそれがある。このため、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、上述した信号データから演算された重心位置に近似する位置(たとえば、上記演算された重心位置に最も近い画素11の位置)を重心位置として出力してもよい。行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、重心位置として、画素の値(輝度)が最大輝度(極大値)をとるピーク位置を出力してもよい。
【0056】
行方向スイッチ制御部(行方向分割部)41は、各行スイッチ27のオン/オフの切り替えを制御する。本実施形態では、行方向スイッチ制御部41は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32によって読み出された信号データに基づいて、各行スイッチ27のオン/オフをフィードバック制御する。
【0057】
列方向スイッチ制御部(列方向分割部)42は、各列スイッチ37のオン/オフの切り替えを制御する。本実施形態では、列方向スイッチ制御部42は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32によって読み出された信号データに基づいて、各列スイッチ37のオン/オフをフィードバック制御する。
【0058】
次に、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32の機能ブロックについて詳細に説明する。図1に示されているように、行方向読出部21,22は、それぞれ、行方向画素選択部51、行方向読飛選択部52、及び行方向ビニング読出部53を有する。列方向読出部31,32は、それぞれ、列方向画素選択部61、列方向読飛選択部62、及び列方向ビニング読出部63を有する。
【0059】
行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、センサ受光部10を構成する複数の画素11から、信号データを読み出す画素群を選択する。本実施形態では、行方向画素選択部51は、複数の配線26の中から信号データを読み出す少なくとも1つの配線26を選択することで、信号データを読み出す光感応部15(画素)を選択する。列方向画素選択部61は、複数の配線36の中から信号データを読み出す少なくとも1つの配線36を選択することで、信号データを読み出す光感応部16(画素)を選択する。本実施形態では、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、複数の配線26,36を選択する場合、互いに隣り合った複数の配線26,36を選択する。
【0060】
本実施形態では、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32によって読み出された信号データに基づいて、信号データを読み出す画素群を選択する。行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、所定条件が満たされたときに予め設定された画素列を選択してもよいし、所定の閾値以上の輝度が検出された画素列を選択してもよい。この所定の閾値は、たとえば、検出された輝度、ピーク位置、及びプロファイル幅などの特徴量から求められた値、又はユーザによって設定された任意の値である。
【0061】
行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって選択された配線26,36から信号データの読み出しを行う。換言すれば、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって選択された配線26,36に接続されている光感応部15,16から、信号データが読み出される。
【0062】
たとえば、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、図5に示されているように、センサ受光部10を構成する複数の画素11が配列されている領域Rのうち一部の領域Rpに配列されている画素11を、信号データを読み出す画素群として選択する。この場合、領域Rpに配列されている画素11から部分読み出しが行われる。部分読み出しとは、複数の画素11が配列されている領域のうち、一部の領域に配列されている画素11のみから信号を読み出すことをいう。
【0063】
行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、信号データを読み出す画素群として、予め設定された領域に配列された画素11を選択してもよいし、所定の閾値以上の輝度が検出される画素11を選択してもよい。この所定の閾値は、たとえば、検出された輝度、ピーク位置、及びプロファイル幅などの特徴量から求められた値、又はユーザによって設定された任意の値である。
【0064】
行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、行スイッチ27及び列スイッチ37のオン/オフによって複数の画素11(光感応部15,16)が複数のグループに分けられた場合、各グループ内の複数の画素11の中から、信号データを読み出す画素群を選択する。たとえば、図7で示されている例では、スポット光A,B,Cがそれぞれ領域R1、R2、R3に入射している。行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、当該領域R1、R2、R3のうちの一部の領域Ra,Rb,Rcに配列されている画素11を、信号データを読み出す画素群として選択する。
【0065】
行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は、信号データを読み出さない画素列、すなわち、読み飛ばす画素列を選択する。本実施形態では、行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって選択された画素群から、読み飛ばす画素列を選択する。行方向読飛選択部52は、行方向画素選択部51によって選択された複数の光感応部15から、読み飛ばす光感応部15を選択する。列方向読飛選択部62は、列方向画素選択部61によって選択された複数の光感応部16から、読み飛ばす光感応部16を選択する。
【0066】
たとえば、図6に示されているように、行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62が偶数行Leに配列された画素列を選択した場合、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、信号データを奇数行Loに配列された画素列から読出し、偶数行Leに配列された画素列からは読み出さない。読み出す行と読み出さない行とが、奇数行Loと偶数行Leとで逆であってもよい。図6で示されている例では、行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は1行おきに読み飛ばす画素列を選択するが、複数行おきに読み飛ばす画素列を選択してもよい。行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって選択されていない画素群から読み飛ばす画素列を選択してもよい。この場合、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62によって選択された画素列以外の画素11から信号データを読み出す。
【0067】
行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は、所定条件が満たされたときに予め設定された画素列を選択してもよいし、所定の閾値以下の輝度が検出された画素列を選択してもよい。この所定の閾値は、たとえば、検出された輝度、ピーク位置、及びプロファイル幅などの特徴量から求められた値、又はユーザによって設定された任意の値である。行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は、行スイッチ27及び列スイッチ37のオン/オフによって複数の画素11(光感応部15,16)が複数のグループに分けられた場合、グループごとに読み飛ばす画素列を選択する。
【0068】
行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、予め設定された画素群又は行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって選択された画素群に配列された画素11(画素群)から出力された信号を、ビニング読み出しによって読み出す。本実施形態では、行方向ビニング読出部53は、行方向画素選択部51によって選択された複数の配線26のうち、隣り合って配置された所定数の配線26に接続されている複数の光感応部15から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。列方向ビニング読出部63は、列方向画素選択部61によって選択された複数の配線36のうち、隣り合って配置された所定数の配線36に接続されている複数の光感応部16から出力された信号を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。
【0069】
上記所定数の配線26,36は、ユーザによって設定されていてもよいし、種々の条件ごとに予め設定されていてもよい。行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、行スイッチ27及び列スイッチ37のオン/オフによって複数の画素11(光感応部15,16)が複数のグループに分けられた場合、少なくとも1つのグループ内の複数の行に配列されている複数の光感応部15から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。
【0070】
行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、加算回路によって、複数の配線26又は配線36から出力された信号の合算値を上記信号データとして読み出す。行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、ワイヤードORによって、複数の配線26又は配線36から出力された信号の論理和を上記信号データとして読み出す構成であってもよい。
【0071】
行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、複数の配線26又は配線36から出力された信号の中央値を上記信号データとして読み出してもよいし、複数の配線26又は配線36から出力された信号の合算値の平均を上記信号データとして読み出してもよい。行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、複数の配線26又は配線36から出力された信号を射影した信号データ(プロファイル)のピーク値、ピーク位置、プロファイル幅などの特徴量から求められた値を上記信号データとして読み出してもよい。
【0072】
次に、図7から図13を参照して、行方向スイッチ制御部(行方向分割部)41及び列方向スイッチ制御部(列方向分割部)42において行われる制御について、詳細に説明する。
【0073】
行方向スイッチ制御部(行方向分割部)41及び列方向スイッチ制御部(列方向分割部)42は、スポット光A,B,Cの入射によって発生する信号がそれぞれ異なる信号データとして検出されるように、複数の画素11を複数のグループに分ける。すなわち、スポット光A,B,Cがそれぞれ異なる領域となるように、センサ受光部10において複数の画素11が配列されている領域を区分けする。
【0074】
行方向スイッチ制御部41は、センサ受光部10に入射された複数のスポット光A,B,Cの信号データに基づいて、複数の行スイッチ27を制御する。具体的には、行方向スイッチ制御部41は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、センサ受光部10において複数の画素11が配列されている領域を区分けする。これによって、行方向スイッチ制御部41は、複数の画素11を各スポット光A,B,Cの入射位置に対応する複数のグループに分ける。
【0075】
この制御によって、行方向スイッチ制御部41は、たとえば図7に示されているように、複数の光感応部15を、互いに電気的に絶縁された2つのグループにわける。本実施形態では、列方向と平行な直線Lに沿って互いに電気的に絶縁された2つのグループに分ける。行方向スイッチ制御部41は、複数の光感応部15を3以上のグループに分けてもよい。行方向読出部21,22は、行方向スイッチ制御部41によって分けられたグループごとに信号データを読み出す。
【0076】
本実施形態では、図7に示されているように、行方向スイッチ制御部41は、スポット光Aが入射している光感応部15とスポット光B,Cが入射している光感応部15とがそれぞれ異なるグループとなるように、複数の光感応部15を2つのグループに分ける。その結果、グループ分けをした後の読み出しにおいて行方向読出部21,22から、スポット光Aが入射しているグループの信号データX1,X4と、スポット光B,Cが入射しているグループの信号データX2,X3が別々に読み出される。本実施形態では、行方向読出部21から信号データX2,X3が読み出され、行方向読出部22から信号データX1,X4が読み出される。同一の行方向読出部21,22が、信号データX2,X3と信号データX1,X4とを時間的で分割して別々に読み出してよい。
【0077】
列方向スイッチ制御部42は、センサ受光部10に入射された複数のスポット光A,B,Cの信号データに基づいて、複数の列スイッチ37を制御する。具体的には、列方向スイッチ制御部42は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、センサ受光部10において複数の画素11が配列されている領域を区分けする。これによって、列方向スイッチ制御部42は、複数の画素11を各スポット光A,B,Cの入射位置に対応する複数のグループに分ける。
【0078】
この制御によって、列方向スイッチ制御部42は、たとえば図7に示されているように、複数の光感応部16を、互いに電気的に絶縁された2つのグループにわける。本実施形態では、行方向と平行な直線Lに沿って互いに電気的に絶縁された2つのグループに分ける。列方向スイッチ制御部42は、複数の光感応部16を3以上のグループに分けてもよい。列方向読出部31,32は、列方向スイッチ制御部42によって分けられたグループごとに信号データを読み出す。
【0079】
本実施形態では、図7に示されているように、列方向スイッチ制御部42は、スポット光Aが入射している光感応部16とスポット光B,Cが入射している光感応部16とがそれぞれ異なるグループとなるように、複数の光感応部16を2つのグループに分ける。その結果、グループ分けをした後の読み出しにおいて列方向読出部31,32から、スポット光A,Bが入射しているグループの信号データY1,Y2と、スポット光Cが入射しているグループの信号データY3,Y4が、別々に読み出される。本実施形態では、列方向読出部31から信号データY1,Y2が読み出され、列方向読出部32から信号データY3,Y4が読み出される。同一の列方向読出部31,32、信号データY1,Y2と信号データY3,Y4とを時間的で分割して別々に読み出してよい。
【0080】
行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、少なくとも一つのスポット光の検出結果が所定の条件を満たした場合に、再度、複数の光感応部15,16のグループ分けを行う。すなわち、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、所定の条件が満たされた場合に、複数の画素11が配列されている領域の区分けの基準となる直線L又は直線Lの位置(分割位置)を変更する。
【0081】
たとえば、行方向スイッチ制御部41は、図8に示されているようにスポット光Bが領域R1と領域R2との両方で検出された場合に、オフとする行スイッチ27を変更することで、図9に示されるように領域R1と領域R2とを区分ける位置、すなわちグループを分ける位置を変更する。この場合、行方向スイッチ制御部41は、スポット光Aが入射している光感応部16とスポット光B,Cが入射している光感応部16とがそれぞれ異なるグループとなるように、複数の光感応部16を再び2つのグループに分ける。
【0082】
同様に、列方向スイッチ制御部42は、図8に示されているようにスポット光Aが領域R1,R4で検出された場合に、オフとする列スイッチ37を変更して、図9に示されるように領域R1と領域R4とを区分ける位置を変更する。行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、各領域の大きさ(各領域に配列されている画素11の数)、各領域における出力の特徴量(ピーク位置、2次元重心位置、輝度等)、及び各特徴量に対して設定された閾値に基づいて、直線L又は直線Lの位置(分割位置)、すなわちグループを分ける位置を変更するか否かを判断する。
【0083】
本実施形態では、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42が直線L又は直線Lの位置(分割位置)を変更するか否かは、各領域R1,R2,R3,R4における、各スポット光A,B,Cのピーク位置及び輝度の時間変化によって判定される。たとえば、第1フレームにおいて領域R1のみで検出されていたスポット光Aが、第1フレームよりも後の第2フレームで領域R2側へ移動した場合について考える。「第1フレーム」及び「第2フレーム」は、「フレーム」と同様に、光検出装置1で行われる一回の光検出の期間を意味する。「第1フレーム」は、光検出装置1における光検出の任意のフレームである。以下では、第2フレームは、第1フレームの次のフレームとする。
【0084】
この場合、領域R1では、第1フレームにおいて検出されていたスポット光のピーク位置が、第2フレームにおいて図10に示されているようにΔXだけ移動したことと、第1フレームから第2フレームにかけて当該スポット光の輝度がΔIxだけ減少したことが検出される。一方で、領域R2では、図11に示されているように、第1フレームで検出されていなかったスポット光が、第2フレームにおいて検出される。なお、図10および図11において、実線で示されている信号データは第1フレームにおいて検出されたスポット光の信号データを示し、破線で示されている信号データは、第2フレームで検出されたスポット光の信号データを示す。
【0085】
本実施形態では、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、第1フレームにおいて検出されていたスポット光のピーク位置および輝度が第2フレームにおいて変化し、かつ、第1フレームで光が検出されていなかった領域において、第2フレームでピーク輝度が閾値を超える光が検出された場合に、スポット光が複数の領域で跨がって検出されていると判断し、直線L,Lの位置(分割位置)を変更する。行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、フレーム毎に、グループ分けを行ってもよい。
【0086】
次に、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42による領域の区分けの方法、すなわち直線L,L(分割位置)の設定方法について詳細に説明する。
【0087】
行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、スポット光が複数の領域で跨がって検出されていると判断された場合に、上述した信号データから演算されたスポット光の重心位置に基づいて複数の画素11が配列されている領域の区分けを行う。たとえば、図12に示されているように、スポット光A,B,Cについてそれぞれ重心位置(Mxa,Mya)、(Mxb,Myb)、(Mxc,Myc)が検出された場合、各スポット光A,B,Cの信号データのプロファイル幅、ピーク位置及び輝度値などに基づいて、区分けの基準となる直線L及び直線Lを設定可能な位置を演算する。直線L及び直線Lは、予め設定されている位置に設定されてもよい。
【0088】
図12に示されている例では、各スポット光A,B,Cの信号データのプロファイル幅及び輝度値に基づいて、区分けの基準となる直線L及び直線Lを設定可能な位置を各スポット光の重心位置からの距離α,β,γ,σ,ε,ζによって表している。直線Lは、行方向において、スポット光Aの重心位置Mxaから±αの位置、スポット光Bの重心位置Mxbから±βの位置、スポット光Cの重心位置Mxcから±γの位置に設定可能である。直線Lは、列方向において、スポット光Aの重心位置Myaから±εの位置、スポット光Bの重心位置Mybから±σの位置、スポット光Cの重心位置Mycから±ζの位置に設定可能である。α,β,γ,σ,ε,ζは、不図示のメモリ、レジスタ等に予め格納されている値であってもよいし、センサ受光部10の全体において輝度分布の極小値が検出された位置に基づく値であってもよい。
【0089】
各スポット光A,B,Cの重心位置Mxa,Mxb,Mxcは、各スポット光A,B,Cのピーク輝度値にそれぞれ対応して設定された閾値tha,thb,thcを用いて演算されてもよい。たとえば、各スポット光A,B,Cの重心位置Mxa,Mxb,Mxcは、当該閾値tha,thb,thcを超えた輝度を出力する画素11に基づいて演算されてもよい。この際、ピーク輝度が高いスポット光の重心位置から順に演算が行われる。すでに演算されたスポット光の重心位置に基づいて、不要な画素の情報は除外される。
【0090】
図13では、スポット光A,B,Cが近接している状態で、閾値tha,thb,thcを用いて重心位置Mxa,Mxb,Mxcの演算が行われている。図13に示されているようにスポット光A,B,Cが近接していると判定された場合のみ、上述した閾値を用いた重心位置の演算が行われてもよい。当該閾値tha,thb,thcは、対応するスポット光A,B,Cのピーク輝度値未満の値である。
【0091】
次に、図14のフローチャートを参照して、光検出装置1を用いた光検出方法について詳細に説明する。
【0092】
まず、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、行方向画素選択部51、列方向画素選択部61、行方向読飛選択部52、列方向読飛選択部62、行方向ビニング読出部53、及び列方向ビニング読出部63の各種設定を初期化し、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、複数の画素11が配列されている領域のグループ分けの設定を初期化する(ステップS1)。当該初期化によって、最初のフレームで信号データを読み出す画素群は、予め格納されている情報に基づく画素群(初期設定画素群)に設定される。本実施形態では、初期設定画素群は、センサ受光部10に配列されている全ての画素11からなる画素群である。
【0093】
続いて、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、ステップS1で設定された初期設定画素群から信号データを読み出す(ステップS2)。行方向読出部21,22は、複数の配線26の少なくとも一部を通して出力された信号から行方向へ射影された信号データ(行方向プロファイル)を読み出す。列方向読出部31,32は、複数の配線36の少なくとも一部を通して出力された信号から列方向へ射影された信号データ(列方向プロファイル)を読み出す。これら2つの信号データによって、最初のフレームにおける少なくとも1つのスポット光の2次元入射位置が検出される。
【0094】
続いて、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、ステップS2で読み出された信号データの特徴量を演算する(ステップS3)。特徴量は、たとえば、重心位置、ピーク位置、上記信号データのプロファイル幅、及び輝度である。
【0095】
続いて、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、ステップS2で演算された演算結果に基づいて、センサ受光部10に配列された複数の画素11が配列されている領域の区分けを行う(ステップS4)。換言すれば、検出された各スポット光の2次元入射位置に基づいて、複数の画素11が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素11を複数のグループに分ける。本実施形態では、ステップS2で演算された重心位置、プロファイル幅、及び輝度に基づいて、センサ受光部10に配列された複数の画素11のグループ分けを行う。行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって、グループごとに、次のフレームで信号データを読み出す画素群を選択し、その後、処理はステップS5へ進む。
【0096】
続いて、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、直前のステップで分割されたグループごとに、直前のステップで選択された画素群から、信号データを読み出す(ステップS5)。この際、行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62によって、読み飛ばす画素列が選択されている場合、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、当該選択されている画素列を読み飛ばす。この際、行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63は、予め設定された所定数の配線26,36から出力された信号を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。
【0097】
続いて、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、処理を終了するか判断する(ステップS6)。処理を終了すると判断された場合には、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、処理を終了する。処理を終了しないと判断された場合には、処理はステップS7へ進む。
【0098】
行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32がステップS7で処理を終了しないと判断すると、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、グループを分ける位置を変更するか否かを判断する(ステップS7)。グループを分ける位置を変更しない場合には、処理はステップS5へ進む。グループを分ける位置を変更する場合には、処理はステップS8へ進む。
【0099】
行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、ステップS7でグループを分ける位置を変更すると判断されると、ステップS5で検出された複数のスポット光の重心位置に基づいて複数の画素11が配列されている領域の区分けを行う(ステップS8)。行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32は、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって、グループごとに、次のフレームで信号データを読み出す画素群を選択し、その後、処理はステップS5へ進む。以上の処理工程によって、複数のスポット光の2次元入射位置が複数のフレームで繰り返し検出される。
【0100】
以上説明したように、光検出装置1では、行スイッチ27が、同一行で互いに隣り合う光感応部15の間において電気的な接続のオン/オフを切り替える。このため、同一行に配列されている複数の光感応部15から、行方向読出部21,22へ信号を出力する光感応部15を選択することが可能である。列スイッチ37は、同一列で互いに隣り合う前記光感応部16の間において電気的な接続のオン/オフを切り替える。このため、同一列に配列されている複数の光感応部16から、列方向読出部31,32へ信号を出力する光感応部16を選択することが可能である。
【0101】
たとえば、図15は、センサ受光部10に複数のスポット光A,B,Cが入射している場合に、スポット光B,Cによって発生した信号が同一行で合算されて出力され、スポット光A,Cによって発生した信号が同一列で合算されて出力された状態を示している。この場合、射影された信号データXでは、スポット光B,Cのいずれによって発生した信号かが区別され難い。同様に、射影された信号データYでは、スポット光A,Cのいずれによって発生した信号かが区別され難い。このため、各スポット光A,B,Cの入射位置を正確に検出することは困難である。
【0102】
光検出装置1は、行スイッチ27によって、同一行で互いに隣り合う光感応部15の間において電気的な接続をオフにすることで、異なるスポット光B,Cの入射によって発生した信号が同一行で合算されることを防止できる。光検出装置1では、列スイッチ37によって、同一列で互いに隣り合う光感応部16の間において電気的な接続をオフにすることで、異なるスポット光A,Cの入射によって発生した信号が同一列で合算されることが防止され得る。この場合、図16に示されるように、スポット光A,B,Cごとに信号データが読み出され得る。したがって、射影された信号データを取得することで検出速度が確保されている構成でありながら、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る。
【0103】
行スイッチ27及び列スイッチ37って、同一行又は同一列においてグループごとに信号データが読み出される。このため、1回の読み出しで読み出しの対象となる画素数が低減される。したがって、読み出し速度が向上し得る。
【0104】
光検出装置1は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、行スイッチ27のオン/オフを制御する行方向スイッチ制御部41を更に備えている。行方向スイッチ制御部41によれば、読み出された信号データに基づいて、同一行に配列されている複数の光感応部15から、センサ回路23を通して行方向読出部21,22へ信号を出力する光感応部15を選択することが可能である。
【0105】
光検出装置1は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32の少なくとも一方によって読み出された信号データに基づいて、列スイッチ37のオン/オフを制御する列方向スイッチ制御部42を更に備えている。列方向スイッチ制御部42によれば、読み出された信号データに基づいて、同一列に配列されている複数の光感応部16から、センサ回路33を通して列方向読出部31,32へ信号を出力する光感応部16を選択することが可能である。
【0106】
たとえば、前のフレームで検出されたスポット光の入射位置に基づいて、行方向読出部21,22へ信号を出力する光感応部15が選択されれば、複数のスポット光の入射位置が更に正確に検出され得る。同様に、列方向読出部31,32へ信号を出力する光感応部16が選択されれば、複数のスポット光の入射位置が更に正確に検出され得る。
【0107】
センサ回路23は、同一行に配列された複数の光感応部15から信号データをそれぞれ出力する複数の出力ポート24,25を有している。行方向読出部21は、出力ポート24から信号データを読み出し、行方向読出部22は、出力ポート25から信号データを読み出す。センサ回路33は、同一列に配列された複数の光感応部16から信号データをそれぞれ出力する複数の出力ポート34,35を有している。列方向読出部31は、出力ポート34から信号データを読み出し、列方向読出部32は、出力ポート35から信号データを読み出す。このように、複数の出力ポート24,25,34,35を通して、同一行に配列された複数の光感応部15又は同一列に配列された複数の光感応部16から信号データが読み出されるため、読み出し速度が向上し得る。
【0108】
センサ回路23は、行方向に延在し、かつ、行スイッチ27及び光感応部15が接続された複数の配線26を有している。センサ回路33は、列方向に延在し、かつ、列スイッチ37及び光感応部16が接続された複数の配線36を有している。行方向画素選択部51は、複数の配線26の中から、信号データを読み出す少なくとも1つの配線26を選択することで、信号データを読み出す画素群を選択する。列方向画素選択部61は、複数の配線36の中から、信号データを読み出す少なくとも1つの配線36を選択することで、信号データを読み出す画素群を選択する。
【0109】
これによれば、異なるスポット光の入射によって発生した信号が同一行で合算されることが防止されつつ、光の入射位置の検出に一層適した光感応部15及び光感応部16から信号データが読み出され得る。たとえば、行スイッチ27及び列スイッチ37によってグループ分けされた画素11の中から更に、行方向画素選択部51又は列方向画素選択部61によって、信号データを読み出す画素11を抽出することで読み出し速度が更に向上し得る。
【0110】
行方向ビニング読出部53は、行方向画素選択部51によって選択された複数の配線26のうちの所定数の配線26に接続されている複数の光感応部15から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。列方向ビニング読出部63は、列方向画素選択部61によって選択された複数の配線36のうちの所定数の配線36に接続されている複数の光感応部16から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。このため、複数の配線26,36に接続されている複数の光感応部15,16から出力された信号の情報が反映されつつ、複数の光感応部15,16から出力された複数の信号がそのまま信号データとして読み出される場合よりも読み出し速度が更に向上し得る。
【0111】
光検出装置1では、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42が、検出された各スポット光の入射位置ごとに、複数の画素11が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素11を複数のグループに分ける。行方向読出部21,22は、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42によって分けられたグループごとに信号データを読み出す。列方向読出部31,32は、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42によって分けられたグループごとに信号データを読み出す。
【0112】
これによれば、図16に示されているように複数のスポット光B,Cが同一行に配列されている画素11に照射されたとしても、スポット光B,Cの入射位置に応じて分けられたグループごとに信号データが読み出される。このため、各スポット光B,Cに関する信号データが別々に読み出される。同様に、図16に示されているように複数のスポット光A,Cが同一列に配列されている画素11に照射されたとしても、スポット光A,Cの入射位置に応じて分けられたグループごとに信号データが読み出される。このため、各スポット光A,Cに関する信号データが別々に読み出される。したがって、射影された信号データを取得することで検出速度が確保されている構成でありながら、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る。
【0113】
行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61は、各グループ内の複数の画素11の中から、信号データを読み出す画素群を選択する。このため、各グループ内の複数の画素11のうち、光の入射位置の検出に適した画素群から信号データが読み出され得る。たとえば、図16に示されているように、各グループ内の一部の領域Ra,Rb,Rcに配列されている画素11から信号データが読み出される。これにより、読み出す画素11が削減されるため、読み出し速度が更に向上し得る。
【0114】
行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62は、行方向画素選択部51又は列方向画素選択部61によって選択された画素群から読み飛ばす画素列を選択する。この場合、行方向画素選択部51及び列方向画素選択部61によって選択された画素群から信号データを読み出す画素が削減されるため、読み出し速度が更に向上し得る。
【0115】
行方向ビニング読出部53は、少なくとも1つのグループ内の複数の行に配列されている複数の光感応部15から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。列方向ビニング読出部63は、少なくとも1つのグループ内の複数の行に配列されている複数の光感応部16から出力された信号の情報を1つの信号にまとめて信号データを読み出す。このため、各グループ内の複数の行に配列されている複数の光感応部15,16から出力された信号の情報が反映されつつ、複数の光感応部15,16から出力された複数の信号がそのまま信号データとして読み出される場合よりも読み出し速度が更に向上し得る。
【0116】
本発明に係る光検出方法では、複数のスポット光が検出された場合に、検出された各スポット光の2次元入射位置に基づいて、複数の画素が配列されている領域を区分けすることで、複数の画素11が複数のグループに分けられる。信号データは、グループごとに読み出される。これによれば、複数のスポット光が同一行又は同一列に配列されている画素11に照射されたとしても、各スポット光に関する信号データがそれぞれ読み出される。したがって、射影された信号データを取得することで検出速度が確保されている構成でありながら、複数のスポット光の入射位置が正確に検出され得る。
【0117】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0118】
たとえば、本実施形態では、光検出装置1は、行方向スイッチ制御部41又は列方向スイッチ制御部42を備えているが、行方向スイッチ制御部41又は列方向スイッチ制御部42で行われる各種の制御は光検出装置1の外部で行われてもよい。たとえば、複数の行スイッチ27及び複数の列スイッチ37のいずれをオン又はオフにするかの決定は、光検出装置1の外部で行われてもよい。スポット光の入射位置は、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32で読み出された信号データに基づいて、光検出装置1の外部で演算されてもよい。
【0119】
本実施形態では、同一行に配列された複数の光感応部15から信号データをそれぞれ出力する複数の出力ポート24,25が設けられている。行方向読出部21は、出力ポート24から信号データを読み出し、行方向読出部22は、出力ポート25から信号データを読み出している。しかし、信号データは、一方の出力ポートから時間で分割して読み出されてもよい。たとえば、図16で示されている例では、行方向読出部21が、出力ポート24から、信号データX2,X3を読み出した後に、信号データX4を読み出してもよい。
【0120】
複数の光感応部15及び複数の光感応部16は、行スイッチ27及び列スイッチ37によって分けられるグループごとに、行方向読出部21,22及び列方向読出部31,32に対して論理和接続されている。このため、同一行又は同一列においてグループごとに時間で分割して信号データを読み出す場合、一括で読み出す場合よりも読み出し抵抗が低減される。従って、読み出し速度が向上し得る。
【0121】
同様に、図16で示されている例において、列方向読出部31が、出力ポート34から、信号データY2を読み出した後に、信号データY3,Y4を読み出してもよい。この場合に、信号データX2,X3,X4、及び信号データY2,Y3,Y4が読み出される順番は順不同である。
【0122】
行方向読出部21と行方向読出部22は、図1に示されているように離間して配置された回路であってもよいし、一つの領域にまとめて配置された回路であってもよい。同様に、列方向読出部31と列方向読出部32は、図1に示されているように離間して配置された回路であってもよいし、一つの領域にまとめて配置された回路であってもよい。
【0123】
部分読み出し、ビニング読み出し、及び画素列の読み飛ばしは、同一フレームにおいて全て行われてもよいし、いずれか1つのみが行われてもよい。光検出装置1は、行方向読飛選択部52及び列方向読飛選択部62、並びに、行方向ビニング読出部53及び列方向ビニング読出部63のいずれを有していてもよいし、いずれも有していなくてもよい。
【0124】
本実施形態では、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、それぞれ、複数の光感応部15及び複数の光感応部16を2つのグループに分けた。しかし、行方向スイッチ制御部41及び列方向スイッチ制御部42は、それぞれ、複数の光感応部15及び複数の光感応部16を3つ以上のグループに分けてもよい。行方向スイッチ制御部41が複数の光感応部15を分けたグループの数と、列方向スイッチ制御部42が複数の光感応部16を分けたグループの数とは異なってもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…光検出装置、11…画素、15,16…光感応部、21…行方向読出部、23,33…センサ回路、24,25…出力ポート、27…行スイッチ、31…列方向読出部、37…列スイッチ、41…行方向スイッチ制御部、51…行方向画素選択部、52…行方向読飛選択部、53…行方向ビニング読出部、A,B,C…スポット光。
図1
図2
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