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特許7082516機械装置の状態監視システム及び機械装置の状態監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】機械装置の状態監視システム及び機械装置の状態監視方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220601BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018078593
(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公開番号】P2019184526
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】筑後 寛之
(72)【発明者】
【氏名】堀 秀司
(72)【発明者】
【氏名】東 春那
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073734(WO,A1)
【文献】特開2002-296151(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208373(WO,A1)
【文献】特開昭58-201047(JP,A)
【文献】国際公開第2014/112034(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置が有する機械部品が収容される収容室の内部の画像データが前記機械装置に装着された撮像装置を含む可視化センサにより取得され、前記可視化センサから前記収容室の内部の油の画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データに基づいて前記収容室の油中の異物に係る異物データを出力する画像解析部と、
前記異物データに含まれる各種パラメータと前記機械装置の状態との対応関係を示す特性データを記憶する記憶部と、
前記収容室の油中の前記異物データと前記特性データとに基づいて前記機械部品を有する前記機械装置の状態を推定して推定データを出力する推定部と、を備える
機械装置の状態監視システム。
【請求項2】
前記画像解析部は、前記異物データとして、前記異物の形状、大きさ、量、色、磁性、及び前記異物の増加率の少なくとも一つを出力する、
請求項1に記載の機械装置の状態監視システム。
【請求項3】
前記推定部は、前記画像解析部から出力された前記異物データに基づいて、異常が発生したか否かを判定して判定データを出力する、
請求項1又は請求項2に記載の機械装置の状態監視システム。
【請求項4】
前記画像データ、前記異物データ、前記推定データ、及び前記判定データの少なくとも一つを出力装置に出力させる出力制御部を備える、
請求項3に記載の機械装置の状態監視システム。
【請求項5】
前記機械装置は、機能が異なる第1機械装置と第2機械装置とを含み、
前記第1機械装置の前記画像データ及び前記第2機械装置の前記画像データを記憶するデータベース部を備え、
前記推定部は、前記データベース部の前記画像データに基づいて、前記第1機械装置及び前記第2機械装置のそれぞれの状態を推定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の機械装置の状態監視システム。
【請求項6】
前記機械装置は、機能が等しい第1機械装置と第2機械装置とを含み、
前記第1機械装置及び前記第2機械装置の修理履歴と前記画像データとを対応付けて記憶するデータベース部を備え、
前記推定部は、前記修理履歴と前記異物データとに基づいて、前記第1機械装置及び前記第2機械装置のそれぞれの状態を推定する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の機械装置の状態監視システム。
【請求項7】
機械装置が有する機械部品が収容される収容室の内部の画像データが前記機械装置に装着された撮像装置を含む可視化センサにより取得され、前記可視化センサから前記収容室の内部の油の画像データを取得することと、
前記画像データに基づいて前記収容室の油中の異物に係る異物データを出力することと、
前記収容室の油中の前記異物データと前記異物データに含まれる各種パラメータと前記機械装置の状態との対応関係を示す特性データとに基づいて前記機械部品を有する機械装置の状態を推定することと、を含む
機械装置の状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械装置の状態監視システム及び機械装置の状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械は、複数の機械装置を備える。油が貯留される機械装置の収容室を撮像装置で撮像する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/073734号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械装置のライフサイクルコスト低減及び稼働率向上のためには、機械装置の状態を推定し、故障の兆候を初期段階で検出できるようにして、機械装置がダメージを受ける前に適切な処置を講ずることが必要である。
【0005】
本発明の態様は、機械装置の状態を監視し、故障の兆候を初期段階で検出できるようにして、機械装置のライフサイクルコストの低減及び稼働率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、機械部品が収容される収容室の内部の画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データに基づいて前記収容室の油中の異物に係る異物データを出力する画像解析部と、前記異物の特性を示す特性データを記憶する記憶部と、前記異物データと前記特性データとに基づいて前記機械部品を有する機械装置の状態を推定して推定データを出力する推定部と、を備える機械装置の状態監視システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、機械装置の状態を監視し、故障の兆候を初期段階で検出できるようになり、機械装置のライフサイクルコストの低減及び稼働率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る機械装置の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る可視化センサの一例を示す側断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る可視化センサの一例を示す平面図である。
図4図4は、本実施形態に係る状態監視システムの一例を模式的に示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る状態監視システムの一例を示す機能ブロック図である。
図6図6は、本実施形態に係るデータベース部の一例を示す模式図である。
図7図7は、本実施形態に係る記憶部の一例を示す模式図である。
図8図8は、本実施形態に係る画像解析部が出力した異物データの一例を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係る出力装置の出力例を示す模式図である。
図10図10は、本実施形態に係る状態監視方法の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、コンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[機械装置]
図1は、本実施形態に係る機械装置1の一例を示す図である。機械装置1は、作業機械に搭載される。作業機械として、ダンプトラック、油圧ショベル、ホイールローダ、及びブルドーザの少なくとも一つが例示される。機械装置1として、油圧ポンプのような油圧機器、エンジン、及びアクスルの少なくとも一つが例示される。図1は、油圧ポンプの少なくとも一部を示す。油圧ポンプは、作業機械に搭載された油圧シリンダのような油圧アクチュエータに油を供給する。
【0011】
機械装置1は、機器本体10と、機器本体10の内部に設けられた収容室11とを備える。機械装置1の少なくとも一部を構成する機械部品が収容室11に収容される。収容室11に油が満たされる。機械部品は、油に浸けられた状態で収容室11に収容される。収容室11の油は、機械部品を潤滑したり冷却したりする。
【0012】
収容室11に収容されている機械部品として、ベアリングのような回転部材、ベアリングに回転可能に支持される出力シャフト、及びギヤが例示される。
【0013】
可視化センサ2が機器本体10に装着される。可視化センサ2とは、少なくとも撮像装置3を含み、検出対象を可視化して、検出対象を検出するセンサをいう。すなわち、可視化センサ2とは、検出対象の画像データを取得して、検出対象を検出するセンサをいう。可視化センサ2は、機器本体10に装着された状態で、収容室11の内部の画像データを取得する。
【0014】
機器本体10は、収容室11の底部と収容室11の外部とを結ぶ排出孔12を有する。排出孔12は、収容室11の油を外部に排出するための孔である。排出孔12は、収容室11の底面の最も低い位置に設けられる。可視化センサ2は、排出孔12に着脱可能に装着される。油中の異物は、重力の作用により、収容室11の底面の最も低い位置に沈降して集まる。可視化センサ2が収容室11の底面の最も低い位置に設けられることにより、沈降して集まった油中の異物の画像データを取得することができる。
【0015】
図2は、本実施形態に係る可視化センサ2の一例を示す側断面図である。図3は、本実施形態に係る可視化センサ2の一例を示す平面図である。
【0016】
可視化センサ2は、プラグ20と、プラグ20に支持される透明なスペーサ部材30と、スペーサ部材30に埋設される磁石32と、スペーサ部材30を介して収容室11の内部を撮像する撮像装置3と、プラグ20に装着されるキャップ部材50とを有する。
【0017】
プラグ20は、軸部20aと、フランジ部20bと、頭部20cと、キャップ装着部20dとを有する。プラグ20は、金属製部材である。軸部20aは、機器本体10に結合される部分である。軸部20aの外周面にねじ山20eが設けられる。軸部20aは、排出孔12の内周面に設けられているねじ溝に結合される。フランジ部20bは、排出孔12の内径よりも大きい外径の円環状の部分である。頭部20cは、プラグ20を着脱する際に工具が嵌合される部分である。頭部20cの断面は、四角形又は六角形のような多角形である。キャップ装着部20dは、キャップ部材50が装着される部分である。キャップ部材50の内周面にねじ溝が設けられる。キャップ部材50は、キャップ装着部20dの外周面に設けられるねじ山20fに結合される。
【0018】
プラグ20は、キャップ装着部20dの下端面と軸部20aの上端面とを貫通する装着孔21を有する。装着孔21は、キャップ装着部20dの下端面に開口するグロメット嵌合孔部21aと、グロメット嵌合孔部21aの内径よりも小さい内径の第1収容孔部21bと、第1収容孔部21bの内径よりも大きい内径の第2収容孔部21cと、第2収容孔部21cの内径よりも大きい内径のリング装着孔部21dと、上方に向かって内径が大きくなるテーパ孔部21eとを含む。第1収容孔部21bと第2収容孔部21cとの間に円環状の受圧面21fが設けられる。受圧面21fは、スペーサ部材30を介して加えられる油圧を受ける。
【0019】
リング装着孔部21dにCリング22が装着される。スペーサ部材30は、第2収容孔部21cに配置される。スペーサ部材30と第2収容孔部21cとの間にOリングのようなシール部材31が配置される。撮像装置3は、第1収容孔部21bに配置される。
【0020】
スペーサ部材30は、透明な円柱状部材である。スペーサ部材30は、ポリカーボネートのような合成樹脂製である。なお、スペーサ部材30は、ガラス製でもよい。スペーサ部材30の一方の端面30aとCリング22とが接触し、スペーサ部材30の他方の端面30cと受圧面21fとが接触する。テーパ孔部21eの内面とスペーサ部材30の端面30aとにより、上方に向かって内径が大きくなる凹部23が規定される。
【0021】
磁石32は、スペーサ部材30に埋設される。磁石32は、永久磁石である。磁石32は、円柱状である。磁石32の一方の端面がN極であり、磁石32の他方の端面がS極である。
【0022】
磁石32は、スペーサ部材30に2つ設けられる。磁石32は、スペーサ部材30の中心軸の両側に配置される。一方の磁石32は、N極の端面とスペーサ部材30の端面30aとが同一平面内に配置されるようにスペーサ部材30に保持される。他方の磁石32は、S極の端面とスペーサ部材30の端面30aとが同一平面内に配置されるようにスペーサ部材30に保持される。なお、磁石32は1つでも2つ以上の複数でもよい。
【0023】
撮像装置3は、透明なスペーサ部材30を介して収容室11の内部を撮像する。撮像装置3が取得する画像データは、静止画データでもよいし、動画データでもよい。本実施形態において、撮像装置3が取得する画像データは、静止画データである。
【0024】
撮像装置3の撮像範囲は、スペーサ部材30の端面30aと実質的に一致する。撮像装置3の入射面3aは、スペーサ部材30の端面30cに接触する。撮像装置3の入射面3aとスペーサ部材30の端面30cとが接触した状態で、撮像装置3の光学系の焦点は、スペーサ部材30の端面30aと一致する。
【0025】
スペーサ部材30の端面30aは、収容室11の最も低い位置に配置される。端面30aは、上方を向き、収容室11に面する。端面30aは、収容室11の油と接触する。油に摩耗粉のような異物が混入している場合、重力の作用により異物は沈殿し、スペーサ部材30の端面30aに堆積する。撮像装置3は、スペーサ部材30の端面30aに堆積した異物の画像データを取得することができる。
【0026】
また、スペーサ部材30に磁石32が埋設されている。異物が鉄粉のような磁性体である場合、磁石32は、異物をスペーサ部材30の端面30aに吸着することができる。
【0027】
本実施形態においては、2つの磁石32が隣接するように配置される。これにより、一方の磁石32から他方の磁石32に向かう磁力線が形成される。そのため、例えば異物が大きい場合、2つの磁石32をまたいで吸着される。
【0028】
[状態監視システム]
次に、本実施形態に係る機械装置1の状態監視システム100について説明する。状態監視システム100は、可視化センサ2を介して機械装置1の状態を監視する。状態監視システム100は、可視化センサ2の撮像装置3が取得した画像データに基づいて、機械装置1の状態を推定する。
【0029】
図4は、本実施形態に係る状態監視システム100の一例を模式的に示す図である。状態監視システム100は、作業機械4に搭載されている車載制御装置200と、作業機械4の外部に設けられるサーバ300とを備える。車載制御装置200及びサーバ300のそれぞれは、コンピュータシステムを含む。
【0030】
車載制御装置200は、可視化センサ2に接続される。撮像装置3は、取得した画像データを車載制御装置200に出力する。
【0031】
車載制御装置200とサーバ300とは、通信ネットワーク5を介して通信可能である。通信ネットワーク5として、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、インターネット(internet)、携帯電話通信網、及び衛星通信網の少なくとも一つが例示される。
【0032】
車載制御装置200は、撮像装置3が取得した画像データをサーバ300に送信する。サーバ300は、収容室11の画像データを取得する。サーバ300は、複数の作業機械4のそれぞれと通信可能である。複数の作業機械4は同種でも異種でもよい。本実施形態においては、説明を簡単にするため、サーバ300と通信可能な作業機械4は、第1作業機械4Aと、第2作業機械4Bと、第3作業機械4Cであることとする。サーバ300は、第1作業機械4A、第2作業機械4B、及び第3作業機械4Cのそれぞれから画像データを取得する。なお、サーバ300と通信可能な作業機械4は、1台のみでも、4台以上の任意の複数台でもよく、例えば1万台でもよい。
【0033】
作業機械4は、複数の機械装置1を有する。上述のように、機械装置1として、油圧ポンプのような油圧機器、エンジン、及びアクスルの少なくとも一つが例示される。本実施形態においては、説明を簡単にするため、1台の作業機械4が有する機械装置1が、第1機械装置1Aと、第2機械装置1Bと、第3機械装置1Cとであることとする。可視化センサ2は、第1機械装置1A、第2機械装置1B、及び第3機械装置1Cのそれぞれに設けられる。なお、1台の作業機械4が有する機械装置1は、4つ以上の任意の複数でもよい。
【0034】
第1機械装置1Aは、例えば油圧ポンプである。第2機械装置1Bは、例えばエンジンである。第3機械装置1Cは、例えばアクスルである。第1機械装置1Aの機能と、第2機械装置1Bの機能と、第3機械装置1Cの機能とは、異なる。
【0035】
第1作業機械4Aに搭載される第1機械装置1Aの機能と、第2作業機械4Bに搭載される第1機械装置1Aの機能と、第3作業機械4Cに搭載される第1機械装置1Aの機能とは、等しい。同様に、第1,第2,第3作業機械4A,4B,4Cのそれぞれに搭載される第2機械装置1Bの機能は、等しい。第1,第2,第3作業機械4A,4B,4Cのそれぞれに搭載される第3機械装置1Cの機能は、等しい。
【0036】
図5は、本実施形態に係る状態監視システム100の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、車載制御装置200は、作業機械4に搭載される。サーバ300は、通信ネットワーク5を介して、車載制御装置200と通信する。
【0037】
サーバ300に出力装置6が接続される。出力装置6は、表示データを出力する表示装置でもよいし、印刷物を出力する印刷装置でもよい。表示装置として、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイが例示される。
【0038】
サーバ300は、画像データ取得部301と、データベース部302と、画像解析部303と、推定部304と、記憶部305と、出力制御部306とを有する。
【0039】
画像データ取得部301は、撮像装置3により撮像された収容室11の内部の画像データを取得する。画像データ取得部301は、通信ネットワーク5を介して、車載制御装置200から画像データを取得する。画像データ取得部301は、複数の作業機械4(4A,4B,4C)のそれぞれから、複数の機械装置1(1A,1B,1C)のそれぞれの収容室11の内部の画像データを取得する。
【0040】
データベース部302は、画像データ取得部301により取得された画像データを記憶する。データベース部302は、第1機械装置1Aの収容室11の内部の画像データ、第2機械装置1Bの収容室11の内部の画像データ、及び第3機械装置1Cの収容室11の内部の画像データを記憶する。上述のように、第1機械装置1Aと第2機械装置1Bと第3機械装置1Cとは機能が異なる。データベース部302は、機能が異なる複数の機械装置1(1A,1B,1C)の収容室11の内部の画像データを記憶する。
【0041】
また、データベース部302は、第1作業機械4Aの複数の機械装置1(1A,1B,1C)の収容室11の内部の画像データを記憶する。データベース部302は、第2作業機械4Bの複数の機械装置1(1A,1B,1C)の収容室11の内部の画像データを記憶する。データベース部302は、第3作業機械4Cの複数の機械装置1(1A,1B,1C)の収容室11の内部の画像データを記憶する。上述のように、第1,第2,第3作業機械4A,4B,4Cのそれぞれに搭載される第1機械装置1Aの機能は等しく、第2機械装置1Bの機能は等しく、第3機械装置1Cの機能は等しい。データベース部302は、複数の作業機械4(4A,4B,4C)のそれぞれに搭載されている機能が等しい複数の第1機械装置1Aの収容室11の内部の画像データを記憶する。データベース部302は、複数の作業機械4(4A,4B,4C)のそれぞれに搭載されている機能が等しい複数の第2機械装置1Bの収容室11の内部の画像データを記憶する。データベース部302は、複数の作業機械4(4A,4B,4C)のそれぞれに搭載されている機能が等しい複数の第3機械装置1Cの収容室11の内部の画像データを記憶する。
【0042】
図6は、本実施形態に係るデータベース部302の一例を示す模式図である。図6に示すように、データベース部302は、第1作業機械4A、第2作業機械4B、及び第3作業機械4Cのそれぞれについて、第1機械装置1Aに係る画像データ、第2機械装置1Bに係る画像データ、及び第3作業機械4Cに係る画像データを記憶する。
【0043】
画像解析部303は、データベース部302に記憶されている画像データに写っている油中の異物を解析して、収容室11の油中の異物に係る異物データを出力する。画像データから、異物の有無、異物の形状、大きさ、量、色、磁性の有無、及び異物の増加率などを解析することで、機械装置1の状態を把握し、推定を行う。なお、画像解析及び診断は、人間が行っても人工知能(AI:Artificial Intelligence)などを用いて自動で行ってもよい。
【0044】
本実施形態において、データベース部302は、機械装置1の車両情報(稼動環境、負荷、修理履歴、メンテナンス、他のセンサ情報等)と画像データとを対応付けて記憶してもよい。そうすることで、機械装置1の状態を詳細に把握し、高度に推定ができるようになる。
【0045】
例えば機械部品の摺動に起因して機械部品が摩耗した場合、異物として機械部品から摩耗粉が発生する。また、例えば機械部品に作用する衝撃に起因して機械部品の一部が剥離した場合、異物として機械部品から剥離片が発生する。撮像装置3は、機械部品から発生し、スペーサ部材30の端面30aに集積された異物のカラーの画像データを取得可能である。
【0046】
画像解析部303は、機械部品から発生した異物の画像データを画像処理して、スペーサ部材30の端面30aに集積された異物の量、形状、大きさ、及び色の少なくとも一つを検出することができる。画像解析部303は、機械部品から発生した異物の画像データを画像処理して、スペーサ部材30の端面30aに集積された異物の量を検出することができる。画像解析部303は、機械部品から発生した異物の画像データに基づいて、スペーサ部材30の端面30aにおける単位時間当たりの異物の増加量を示す異物の増加率を検出することができる。画像解析部303は、機械部品から発生した異物の画像データに基づいて、スペーサ部材30の端面30aに集積された異物の色を検出することができる。
【0047】
機械部品が鉄のような磁性材料である場合、機械部品から発生する異物は磁性材料である。機械部品が銅のような非磁性材料である場合、機械部品から発生する異物は非磁性材料である。上述のように、スペーサ部材30に磁石32が埋設されている。そのため、スペーサ部材30の端面30aに集積される異物が磁性材料である場合と非磁性材料である場合とで、異物の集積状態が異なる。異物が磁性材料である場合、異物は磁石32に密集する。異物が非磁性材料である場合、異物は磁石32に密集せず、スペーサ部材30の端面30aにおいて分散する。画像解析部303は、機械部品から発生した異物の画像データを画像処理して、スペーサ部材30の端面30aに集積された異物が磁性材料であるか否かを検出することができる。
【0048】
推定部304は、画像解析部303から出力された異物データに基づいて、機械部品を有する機械装置1の状態を推定する。推定部304は、機械装置1の状態の推定結果を示す推定データを出力する。異物データは、異物の量、形状、大きさ、及び色の少なくとも一つを示す。
【0049】
推定部304は、データベース部302の画像データから検出された異物データに基づいて、機能が異なる複数の機械装置1のそれぞれの状態を推定することができる。
【0050】
推定部304は、データベース部302の画像データから検出された異物データに基づいて、作業機械4の異なる複数の機械装置1のそれぞれの状態を推定することができる。
【0051】
機械装置1の状態の推定は、機械部品の劣化部位の推定を含む。例えば機械部品としてギヤの一部が剥離した場合、剥離片は、ギヤの形状に基づく特徴的な形状及び大きさを有する。推定部304は、画像解析部303から出力された異物の形状及び大きさに基づいて、機械部品の劣化部位(剥離部位)がギヤであると推定することができる。また、収容室11に磁性材料の第1機械部品と非磁性材料の第2機械部品とが存在する場合、スペーサ部材30の端面30aにおける第1機械部品から発生した摩耗粉の集積状態と、第2機械部品から発生した摩耗粉の集積状態とは、異なる。推定部304は、画像解析部303から出力された異物の集積状態を示す異物データに基づいて、異物が磁石32に密集していると判定した場合、機械部品の劣化部位(摩耗部位)が第1機械部品であると推定することができる。また、推定部304は、画像解析部303から出力された異物の集積状態を示す異物データに基づいて、異物がスペーサ部材30の端面30aにおいて均一に分散していると判定した場合、機械部品の劣化部位(摩耗部位)が第2機械部品であると推定することができる。
【0052】
本実施形態において、記憶部305は、異物の特性を示す特性データを記憶する。異物の特性データは、機械部品からの発生が予測される異物の特性を示す。異物の特性データは、異物の形状、大きさ、色、及び磁性の少なくとも一つを含む。異物の特性データは、収容室11に収容されている機械部品の設計データ(諸元データ)、予備実験、及びシミュレーションの少なくとも一つから導出可能な既知データである。機械部品の設計データは、機械部品の構造データ、形状データ、材料データ、及び磁性データの少なくとも一つを含む。
【0053】
推定部304は、画像解析部303から出力された異物データと、記憶部305に記憶されている特性データとに基づいて、機械装置1の劣化部位を推定する。
【0054】
図7は、本実施形態に係る記憶部305の一例を示す模式図である。図7に示すように、記憶部305は、1つの機械装置1が有する複数の機械部品(機械部品A,B,C,D)のそれぞれについての異物の特性データを記憶する。図7は、異物の特性データとして、異物の形状を示す形状データ、及び異物の磁性を示す磁性データが記憶部305に記憶されている例を示す。
【0055】
例えば機械部品Aがピストンシューのような摺動部材である場合、機械部品Aから剥離片が発生する可能性は低く、摩耗粉が発生する可能性が高い。また、機械部品Aが非磁性材料で形成されている場合、発生する摩耗粉は非磁性である。記憶部305には、機械部品Aからの発生が予測される異物の特性として、摩耗粉の形状と、摩耗粉が非磁性であることとが記憶されている。なお、機械部品Aからの発生が予測される異物の特性として、摩耗粉の大きさが記憶部305に記憶されてもよい。上述のように、異物の特性を示す特性データは、機械部品の設計データ(諸元データ)、予備実験、及びシミュレーションなどから導出可能な既知データである。
【0056】
例えば機械部品Bがベアリングである場合、機械部品Bから剥離片が発生する可能性が高い。また、機械部品Bが磁性材料で形成されている場合、発生する剥離片は磁性である。記憶部305には、機械部品Bからの発生が予測される異物の特性として、剥離片の形状と、剥離片が磁性であることとが記憶されている。なお、機械部品Bからの発生が予測される異物の特性として、剥離片の大きさが記憶部305に記憶されてもよい。
【0057】
例えば機械部品Cがギヤである場合、機械部品Cから剥離片が発生する可能性が高い。また、機械部品Cが磁性材料で形成されている場合、発生する剥離片は磁性である。記憶部305には、機械部品Cからの発生が予測される異物の特性として、剥離片の形状と、剥離片が磁性であることとが記憶されている。なお、機械部品Cからの発生が予測される異物の特性として、剥離片の大きさが記憶部305に記憶されてもよい。
【0058】
また、機械部品Dの発生が予測される異物の特性として、記憶部305には、機械部品Dからの発生が予測される異物の特性として、剥離片の形状と、剥離片が磁性であることとが記憶されている。なお、機械部品Dからの発生が予測される異物の特性として、剥離片の大きさが記憶部305に記憶されてもよい。
【0059】
推定部304は、記憶部305に記憶されている特性データと、画像解析部303から出力された異物データとを照合して、機械部品の劣化部位を特定することができる。例えば、画像解析部303により検出された異物の形状と記憶部305に記憶されている機械部品Bの剥離片の形状とが等しい又は近似する場合、推定部304は、機械装置1の劣化部位が機械部品Bであると推定することができる。同様に、画像解析部303により検出された異物の形状と記憶部305に記憶されている機械部品Cの剥離片の形状とが等しい又は近似する場合、推定部304は、機械装置1の劣化部位が機械部品Cであると推定することができる。
【0060】
また、画像解析部303により検出された異物データに基づいて、その異物が摩耗粉であると推定した場合、推定部304は、スペーサ部材30の端面30aにおける摩耗粉の集積状態に基づいて、その摩耗粉が機械部品A及び機械部品Dのどちらから発生した摩耗粉であるかを推定することができる。上述のように、非磁性材料と磁性材料とでは、スペーサ部材30の端面30aにおける摩耗粉の集積状態が異なる。そのため、推定部304は、摩耗粉の集積状態を示す異物データに基づいて、機械部品A及び機械部品Dのどちらから摩耗粉が発生したのかを推定することができる。異物の形状に基づいて機械装置1の劣化部位を推定することが困難な場合でも、推定部304は、磁性(摩耗粉の集積状態)に基づいて、機械装置1の劣化部位を推定することができる。
【0061】
なお、図7に示す異物の特性データの項目は一例である。特性データの項目が多いほど、推定部304は、機械装置1の劣化部位を高精度に推定することができる。
【0062】
また、機械装置1の状態の推定は、機械装置1の劣化状態の推定を含む。機械装置1の劣化状態の推定は、機械装置1の寿命の推定を含む。推定部304は、異物データに基づいて、機械装置1の劣化状態を推定することができる。
【0063】
図8は、本実施形態に係る画像解析部303が出力した異物の特性データの一例を示す図である。図8に示すように、画像解析部303は、新品状態の機械部品の使用が開始された開始時点t0からの経過時間Tと、スペーサ部材30の端面30aに集積された異物の量との関係を導出する。図8は、スペーサ部材30の端面30aにおける単位時間当たりの異物の増加量を示す異物の増加率を示す。なお、図8では、ラインLa,Lb,Lcを直線で示しているが、必ずしも直線に限らない。
【0064】
端面30aに集積された異物の量から、機械装置1の機械部品の劣化の進展具合が推定される。端面30aに集積された異物の量が多い場合、機械部品から多量の異物が発生し機械部品の劣化が進行していると推定される。端面30aに集積された異物の量が少ない場合、機械部品から発生した異物は少量であり、機械部品の劣化は未だ進行していないと推定される。
【0065】
推定部304は、端面30aにおける異物の増加率に基づいて、機械装置1の劣化状態を推定することができる。また、推定部304は、端面30aにおける異物の増加率に基づいて、機械装置1の異常の有無を判定することができる。
【0066】
例えば図8のラインLaで示すように、異物の増加率が小さい場合、推定部304は、機械部品の劣化の進行速度は低く、機械装置1に異常は発生していないと判定することができる。
【0067】
図8のラインLbで示すように、異物の増加率が大きい場合、推定部304は、機械部品の劣化の進行速度は速く、機械装置1に異常が発生する可能性があると判定することができる。
【0068】
図8のラインLbc示すように、異物の増加率が過大である場合、推定部304は、機械装置1に異常が発生していると判定することができる。
【0069】
また、推定部304は、開始時点t0から規定時間経過後の時点taにおける異物の量に基づいて、機械装置1の劣化状態を推定したり、機械装置1の異常の有無を判定したりしてもよい。
【0070】
このように、推定部304は、画像解析部303から出力された異物データに基づいて、機械装置1の状態の推定のみならず、異常が発生したか否かを判定することができる。推定部304は、機械装置1の状態の推定結果を示す推定データのみならず、異常の発生の有無の判定結果を示す判定データを出力することができる。
【0071】
また、上述のように、データベース部302は、複数の機械装置1のそれぞれの修理履歴などの車両情報と画像データとを対応付けて記憶する。推定部304は、修理履歴などの車両情報と異物の特性データとに基づいて、作業機械4の異なる複数の機械装置1それぞれの状態を推定することができる。
【0072】
出力制御部306は、画像データ、異物データ、推定データ、及び判定データの少なくとも一つを出力装置6に出力させる。
【0073】
図9は、本実施形態に係る出力装置6の出力例を示す模式図である。図9は、異物データとして異物の増加率を示すグラフが出力されている例を示す。本実施形態においては、異物の量に係る異常判定閾値が設定される。図9(A)は、異物の増加率が小さく、異物の量が異常判定閾値を上回らず、判定データとして「正常」の文字データが出力装置6に出力されている例を示す。図9(B)は、異物の増加率が大きく、異物の量が異常判定閾値を上回り、判定データとして「異常」の文字データが出力装置6に出力されている例を示す。なお、異常判定は、例えば開始時点t0からの経過時間Tが1000時間の時点又は2000時間の時点のように予め決められた時点で行ってもよい。
【0074】
なお、出力装置6に、収容室11の内部の画像データが出力されてもよいし、推定部304から出力された推定データが出力されてもよい。
【0075】
[状態監視方法]
図10は、本実施形態に係る状態監視方法の一例を示すフローチャートである。収容室11の内部の画像データが撮像装置3により撮像される。車載制御装置200は、通信ネットワーク5を介して、サーバ300に画像データを送信する。サーバ300の画像データ取得部301は、油に浸けられた機械部品が収容される収容室11の内部の画像データを取得する(ステップSP10)。
【0076】
画像データ取得部301により取得された画像データは、データベース部302に記憶される。画像データに係る機械装置1に修理履歴がある場合、データベース部302は、画像データに「修理履歴などの情報」のタグを付した状態で記憶する。
【0077】
画像解析部303は、データベース部302に記憶されている画像データを解析する(ステップSP20)。
【0078】
画像解析部303は、画像データに基づいて、油に存在する異物に係る異物データを出力する(ステップSP30)。画像解析部303は、異物データとして、異物の形状、大きさ、量、色、磁性、及び前記異物の増加率の少なくとも一つを出力する。
【0079】
推定部304は、画像解析部303から出力された異物データに基づいて、機械部品を有する機械装置1の状態を推定する(ステップSP40)。
【0080】
推定部304は、機能が異なる複数の機械装置1のそれぞれの状態を推定する。また、推定部304は、作業機械4の異なる複数の機械装置1のそれぞれの状態を推定する。推定部304は、機械装置1の状態の推定結果を示す推定データを出力する。また、推定部304は、異物データに基づいて、機械装置1に異常が発生したか否かを判定して判定データを出力する。
【0081】
出力制御部306は、画像データ取得部301により取得された画像データ、画像解析部303から出力された異物データ、推定部304から出力された推定データ、及び推定部304から出力された判定データの少なくとも一つを出力装置6に出力させる(ステップSP50)。
【0082】
[コンピュータシステム]
図11は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述の車載制御装置200及びサーバ300のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の車載制御装置200の機能及びサーバ300の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0083】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、油に浸けられた機械部品が収容される収容室11の内部の画像データを取得する画像データ取得部301と、画像データに基づいて油中に存在する異物に係る異物データを出力する画像解析部303と、異物データに基づいて機械部品を有する機械装置1の状態を推定して推定データを出力する推定部304とが設けられる。画像データの情報量は多いため、画像データに基づいて機械装置1の状態を高精度に推定することができる。機械装置1の状態を高精度に推定することができるため、機械装置1がダメージを受ける前に適切な処置を講ずることができる。したがって、機械装置1のライフサイクルコスト低減及び稼働率向上ができる。
【0084】
また、画像データの情報量は多く多面的なパラメータを含むので、画像解析部303は、異物データとして、異物の形状、大きさ、量、色、磁性、及び前記異物の増加率の少なくとも一つを出力することができる。
【0085】
また、推定部304は、画像解析部303から出力された異物データに基づいて、機械装置1に異常が発生したか否かを判定して判定データを出力することができる。これにより、機械装置1が致命的なダメージを受ける前に適切な処置を講ずることができる。
【0086】
また、収容室11の内部の画像データ、異物データ、推定データ、及び判定データの少なくとも一つが出力装置6に出力されることにより、視覚を通じて機械装置1の状態を認識することができる。また、出力装置6が音声出力装置である場合、聴覚を通じて機械装置1の状態を認識することができる。
【0087】
また、異物の特性を示す特性データが記憶部305に予め記憶されている。そのため、推定部304は、画像解析部303から出力された異物データと記憶部305に記憶されている特性データとに基づいて、機械装置1の劣化部位を推定することができる。
【0088】
データベース部302には、機能が異なる複数の機械装置1に係る画像データ、及び機能が等しく搭載されている作業機械4が異なる機械装置1に係る画像データのそれぞれが記憶される。これら多数の画像データを用いることにより、機械装置1の状態を多面的に推定したり、機械装置1の劣化の進展具合の傾向を推定したりすることができる。
【0089】
また、データベース部302に記憶される画像データに、修理履歴などの車両情報を紐付けすることにより、その紐付けに基づいて、機械装置1の状態の推定の精度を向上させることができる。
【0090】
[他の実施形態]
上述の実施形態において、画像データ、異物データ、推定データ、及び判定データの少なくとも一部が、通信ネットワーク5を介して、作業機械4を使用する顧客に通知されてもよいし、作業機械4の保守者に通知されてもよいし、作業機械4を製造又はメンテナンスする工場設備に通知されてもよい。例えば、推定部304において機械装置1のダメージが高レベルであると判定された場合、出力制御部306は、ダメージが大きいこと又は緊急対応を要することを示す通知データが顧客、工場設備、保守者、及び代理店のそれぞれに送信してもよい。推定部304において機械装置1のダメージが中レベルであると判定された場合、出力制御部306は、機械装置1の部品交換又は修理を促すガイダンスデータを出力装置6に出力させてもよい。推定部304において機械装置1のダメージが低レベルであると判定された場合、出力制御部306は、機械装置1の点検を促すガイダンスデータを出力装置6に出力させてもよい。
【0091】
また、推定部304において機械装置1のダメージが高レベルであると判定された場合、車載制御装置200は、作業機械4のエンジンの回転数を制限したり、エンジンの起動を規制したりしてもよい。
【0092】
上述の実施形態において、画像データ、異物データ、推定データ、及び判定データの少なくとも一部が、作業機械4の運転室に配置されている表示装置に表示されてもよい。また、上述の通知データ又はガイダンスデータが、作業機械4の運転室に配置されている表示装置に表示されてもよい。
【0093】
上述の実施形態において、サーバ300の機能の少なくとも一部が車載制御装置200に設けられてもよいし、車載制御装置200の少なくとも一部がサーバ300に設けられてもよい。例えば、車載制御装置200が、画像データ取得部301、データベース部302、画像解析部303、推定部304、及び記憶部305の機能を有し、車載制御装置200において取得された画像データ、異物データ、推定データ、及び判定データの少なくとも一つが、通信ネットワーク5を介して、サーバ300に送信されてもよい。
【0094】
また、撮像装置3(可視化センサ2)と携帯端末とが接続され、撮像装置3が取得した画像データが携帯端末に出力されてもよい。また、携帯端末に、画像データ取得部301、データベース部302、画像解析部303、推定部304、及び記憶部305の少なくとも一部の機能が設けられてもよい。また、携帯端末からサーバに画像データ、異物データ、推定データ、及び判定データの少なくとも一つが送信されてもよい。携帯端末として、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、及びスマートフォンの少なくとも一つが例示される。
【0095】
上述の実施形態においては、機械部品が油に浸けられていることとした。機械部品は油に浸けられてなくてもよい。例えば、収容室が、油が存在する油浸空間と、油浸空間の上方に設けられた非油浸空間とを有してもよい。非油浸空間は、油が存在せず、機械部品が存在する空間である。機械部品で発生した異物は、油浸空間に落下する。撮像装置3は、油浸空間の油中の異物を撮像することができる。
【符号の説明】
【0096】
1…機械装置、1A…第1機械装置、1B…第2機械装置、1C…第3機械装置、2…可視化センサ、3…撮像装置、3a…入射面、4…作業機械、4A…第1作業機械、4B…第2作業機械、4C…第3作業機械、5…通信ネットワーク、6…出力装置、10…機器本体、11…収容室、12…排出孔、20…プラグ、20a…軸部、20b…フランジ部、20c…頭部、20d…キャップ装着部、20e…ねじ山、20f…ねじ山、21…装着孔、21a…グロメット嵌合孔部、21b…第1収容孔部、21c…第2収容孔部、21d…リング装着孔部、21e…テーパ孔部、21f…受圧面、22…Cリング、23…凹部、30…スペーサ部材、30a…端面、30c…端面、31…シール部材、32…磁石、50…キャップ部材、100…状態監視システム、200…車載制御装置、300…サーバ、301…画像データ取得部、302…データベース部、303…画像解析部、304…推定部、305…記憶部、306…出力制御部。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11