IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブルーエナジーの特許一覧

<>
  • 特許-蓄電装置 図1
  • 特許-蓄電装置 図2
  • 特許-蓄電装置 図3
  • 特許-蓄電装置 図4
  • 特許-蓄電装置 図5
  • 特許-蓄電装置 図6
  • 特許-蓄電装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20220601BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220601BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20220601BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20220601BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20220601BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01G2/02 101E
H01G11/10
H01M50/298
H01M50/569
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018090000
(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公開番号】P2019197627
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】316014102
【氏名又は名称】株式会社ブルーエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】長縄 伸之
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190678(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105552262(CN,A)
【文献】特開2015-210912(JP,A)
【文献】特開2016-051641(JP,A)
【文献】特表2017-527956(JP,A)
【文献】特開2013-109914(JP,A)
【文献】特開2011-210711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01G 11/10
H01G 2/02
H01M 50/298
H01M 50/569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向である第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
異なる蓄電素子同士を電気的に接続する複数のバスバと、
前記蓄電素子又は前記バスバに接続される導電線を含む複数の導電線が束ねられることで構成される束線部と、を備え、
前記束線部は、その基部を前記蓄電素子に沿った位置で且つ前記複数の蓄電素子における前記第一方向の途中位置に配置されると共に、該基部を起点に該束線部の向きを変更可能であり、
前記束線部の基部は、前記第一方向の中央位置に配置される、蓄電装置。
【請求項2】
所定方向である第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
異なる蓄電素子同士を電気的に接続する複数のバスバと、
前記蓄電素子又は前記バスバに接続される導電線を含む複数の導電線が束ねられることで構成される束線部と、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延びた状態の前記束線部を取り外し可能に保持する保持部と、を備え、
前記束線部は、その基部を前記蓄電素子に沿った位置で且つ前記複数の蓄電素子における前記第一方向の途中位置に配置されると共に、該基部を起点に該束線部の向きを変更可能である、蓄電装置。
【請求項3】
所定方向である第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
異なる蓄電素子同士を電気的に接続する複数のバスバと、
前記蓄電素子又は前記バスバに接続される導電線を含む複数の導電線が束ねられることで構成される束線部と、を備え、
前記束線部は、その基部を前記蓄電素子に沿った位置で且つ前記複数の蓄電素子における前記第一方向の途中位置に配置され、該基部を起点に該束線部の向きを変更可能であり、相手側コネクタとの嵌合方向と直交する方向に扁平なコネクタを先端に有し、
前記扁平なコネクタの長手方向は、前記束線部が前記複数の蓄電素子から離れる第二方向に沿って延びた状態のときに、前記第一方向に沿う、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧測定等に用いられる導電線が束ねられた束線部を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケーブルハーネスを備えた組電池が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この組電池は、所定の電池セル間または、各電池セル間の電圧信号を送信するために配線される複数本の電圧検出線を備える。複数本の電圧検出線は、途中で束線としてセル厚さ方向に延びるケーブルハーネスにまとめられて、総端子部としての正極側端子と同じ側に配置されるコネクタに至る。また、複数本の電圧検出線は、途中で束線としてセル厚さ方向に延びるケーブルハーネスにまとめられて、総端子部としての負極側端子と同じ側に配置されるコネクタに至る。さらに、組電池は、複数個の電池セルの所定位置に接続される検出端子から検出した温度信号を送信するために配線される複数本の温度検出線を備える。複数本の温度検出線は、組電池の外郭を出た所で1本のケーブルハーネスにまとめられてコネクタに接続されている。以上の各コネクタは、電池監視装置の制御回路に接続される。
【0003】
上述の組電池では、ケーブルハーネスの組電池における引き出し方向が決まっているため、複数の組電池が配置されて一つの制御回路に各組電池のコネクタが接続される場合に、ケーブルハーネスの取り回しができない又は困難となる場合があった。
【0004】
このため、制御回路の配置位置に合わせてケーブルハーネスの引き出し方向が設定された複数種の組電池、即ち、ケーブルハーネスの引き出し方向の異なる複数種の組電池を準備する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-109914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本実施形態は、束線部の引き出し方向を容易に変更できる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の蓄電装置は、
所定方向である第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
異なる蓄電素子同士を電気的に接続する複数のバスバと、
前記蓄電素子又は前記バスバに接続される導電線を含む複数の導電線が束ねられることで構成される束線部と、を備え、
前記束線部は、その基部を前記蓄電素子に沿った位置で且つ前記複数の蓄電素子における前記第一方向の途中位置に配置されると共に、該基部を起点に該束線部の向きを変更可能である。
【0008】
かかる構成によれば、複数の導電線が束ねられた束線部がその基部を起点に向きを変更可能であるため、束線部の蓄電装置からの引き出し方向を容易に変更することができる。
【0009】
この場合、
前記束線部の基部は、前記第一方向の中央位置に配置されてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、束線部の引き出し方向を第一方向の一方側と他方側とのいずれの向きに変えても、蓄電装置(束線部を除いた蓄電装置)の所定方向の端部から束線部の先端までの距離を等しくすることができる(例えば、図6の符号7A及び7B参照)。
【0011】
前記蓄電装置は、
前記複数の蓄電素子に沿って前記第一方向に延びた状態の前記束線部を取り外し可能に保持する保持部を備えてもよい。
【0012】
このように保持部を備えることで、束線部を第一方向の一方側又は他方側に引き出したときの該束線部を固定することができる。しかも、保持部が取り外し可能に束線部を保持しているため、束線部を保持部に保持させた後でも該保持部から束線部を取り外すことで該束線部の向きを容易に変更することができる。
【0013】
また、前記蓄電装置では、
前記束線部は、相手側コネクタとの嵌合方向と直交する方向に扁平なコネクタを先端に有し、
前記扁平なコネクタの長手方向は、前記束線部が前記複数の蓄電素子から離れる第二方向に沿って延びた状態のときに、前記第一方向に沿ってもよい。
【0014】
扁平なコネクタの短手方向のいずれの面を第二方向の一方側に向けて使用するかが決まっている場合に、かかる構成によれば、第一方向の一方側及び他方側のいずれの向きに束線部を引き出したときでも、コネクタを束線部周りに半回転させることで、コネクタの向き(表裏の方向)を同じにすることができる。即ち、第一方向の一方側に束線部を引き出したときにコネクタの短手方向の一方側の面が第二方向の一方側を向くような蓄電装置では、第一方向の他方側に束線部を引き出したときに第一方向の一方側に引き出したときとコネクタの表裏の向きを同じにするためには、コネクタを束線部(束線部の中心線)周りに半回転(180°)ねじる必要があるため、束線部を第一方向の他方側に引き出して使用する場合に、導電線が前記ねじりに起因するダメージを受けやすくなるが、かかる構成によれば、第一方向の一方側及び他方側のいずれの向きに束線部を引き出しても、コネクタを1/4回転(90°)ねじるだけでコネクタの向き(表裏の向き)を同じにできるため、前記ねじりに起因するダメージが抑えられる。
【発明の効果】
【0015】
以上より、本実施形態によれば、束線部の引き出し方向を変更可能な蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置のカバー部材の蓋部を開けた状態の斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置の分解斜視図である。
図4図4は、前記蓋部を開けた状態の前記カバー部材のZ軸方向視の図である。
図5図5は、図1のV-V位置における断面模式図である。
図6図6は、前記蓄電装置において束線部の引き出し方向を変えることができることを示す模式図である。
図7図7は、前記束線部の柔軟性を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図1図7を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0018】
蓄電装置は、図1図3に示すように、所定方向に並ぶ複数の蓄電素子10と、異なる蓄電素子10同士を電気的に接続する複数のバスバ60と、蓄電素子10又はバスバ60に接続される複数の導電線71が束ねられることで構成される束線部7と、を備える。本実施形態の複数のバスバ60のそれぞれは、所定方向に並ぶ複数の蓄電素子10に沿って広がるカバー部材6に保持されている。即ち、蓄電装置1は、複数のバスバ60を保持するカバー部材6を備える。また、蓄電装置1は、蓄電素子10と隣接する隣接部材2と、蓄電素子10及び隣接部材2を保持する保持部材4と、蓄電素子10と保持部材4との間に配置されるインシュレータ5と、を備える。
【0019】
複数の蓄電素子10のそれぞれは、一次電池、二次電池、キャパシタ等である。本実施形態の蓄電素子10は、充放電可能な非水電解質二次電池である。より具体的には、蓄電素子10は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。
【0020】
蓄電素子10は、電極体と、電極体を電解液と共に収容するケース11と、少なくとも一部がケース11の外側に露出する外部端子12と、ケース11の内部において電極体と外部端子12とを接続する集電体と、を備える。
【0021】
電極体では、正極と負極とがセパレータを介して交互に積層されている。この電極体においてリチウムイオンが正極と負極との間を移動することにより、蓄電素子10が充放電する。
【0022】
ケース11は、開口を有するケース本体111と、ケース本体111の開口を塞ぐ(閉じる)板状の蓋板112と、を有する。本実施形態のケース11は、扁平な直方体形状であり、複数の蓄電素子10は、ケース11(ケース本体111)の幅広な面(壁部)を対向させた状態で並んでいる。
【0023】
以下では、複数の蓄電素子10が並ぶ方向(所定方向:第一方向)を直交座標系のX軸、ケース本体111の幅狭な一対の面(壁部)が対向する方向を直交座標系のY軸、蓋板112の法線方向(第二方向)を直交座標系のZ軸とする。
【0024】
隣接部材2は、X軸方向に並ぶ蓄電素子10の間、又は蓄電素子10と該蓄電素子10に対してX軸方向に並ぶ部材(本実施形態の例では、保持部材4の一部)との間に配置される。この隣接部材2は、複数種の隣接部材を含む。本実施形態の隣接部材2は、X軸方向の途中位置にある蓄電素子10と隣接する中間隣接部材21と、X軸方向において最も端にある蓄電素子10の外側で該蓄電素子10と隣接する終端隣接部材22と、を含む。本実施形態の中間隣接部材21は、各蓄電素子10間に配置されている。即ち、蓄電装置1は、複数の中間隣接部材21を有する。また、終端隣接部材22は、X軸方向の最も端に配置された蓄電素子10の外側のそれぞれに配置されている。即ち、蓄電装置1は、一対の終端隣接部材22を有する。
【0025】
複数の中間隣接部材21のそれぞれは、絶縁性を有し、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子10間に配置される。この中間隣接部材21によって、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子10の間に所定の間隔(沿面距離等)が確保される。
【0026】
具体的に、中間隣接部材21は、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子10の間に位置する板状の第一本体部211と、第一本体部211に隣接する蓄電素子10の該第一本体部211に対する移動を規制する第一規制部212と、を有する。
【0027】
第一本体部211は、蓄電素子10のケース11の幅広面と対向する部位であり、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がる。本実施形態の第一本体部211は、隣接する蓄電素子10との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路を形成する。
【0028】
第一規制部212は、第一本体部211からX軸方向に延び、第一本体部211と隣接する蓄電素子10(詳しくはケース11)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子10の第一本体部211に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第一規制部212は、第一本体部211からX軸方向の両側に向けてそれぞれ延びている。
【0029】
一対の終端隣接部材22のそれぞれは、絶縁性を有し、X軸方向に隣り合う蓄電素子10と保持部材4(終端部材41)との間に配置される。この終端隣接部材22によって、蓄電素子10と保持部材4(終端部材41)との間に所定の間隔(沿面距離等)が確保される。
【0030】
具体的に、終端隣接部材22は、蓄電素子10及び保持部材4との間に位置する第二本体部221と、第二本体部221に隣接する蓄電素子10の該第二本体部221に対する移動を規制する第二規制部222と、を有する。
【0031】
第二本体部221は、X軸方向の端部に配置された蓄電素子10のケース11における幅広面と対向する部位であり、Y-Z面方向に広がる板状の部位である。本実施形態の第二本体部221は、隣接する蓄電素子10との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路を形成する。
【0032】
第二規制部222は、第二本体部221からX軸方向に延び、第二本体部221と隣接する蓄電素子10(詳しくはケース11)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子10の第二本体部221に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第二規制部222は、第二本体部221からX軸方向の一方側(蓄電素子10の配置されている側)に向けて延びている。
【0033】
保持部材4は、複数の蓄電素子10と複数の隣接部材2との周囲を囲むことで、これら複数の蓄電素子10及び複数の隣接部材2をひとまとめに保持する。この保持部材4は、金属等の導電性を有する部材によって構成される。具体的に、保持部材4は、X軸方向において複数の蓄電素子10の両側に配置される一対の終端部材41と、一対の終端部材41を連結する連結部材42と、を有する。
【0034】
一対の終端部材41のそれぞれは、X軸方向の端に配置された蓄電素子10との間に終端隣接部材22が位置するように配置される。各終端部材41は、終端隣接部材22に沿って広がる本体411と、本体411に取り付けられるボルト部材412と、を有する。本実施形態の終端部材41は、複数のボルト部材412を有する。
【0035】
複数のボルト部材412のそれぞれは、蓄電装置1が搭載又は設置等される際に、蓄電装置1を設置対象物に固定するのに用いられる。例えば、本実施形態の蓄電装置1が自動車に搭載される場合、ボルト部材412は、蓄電装置1を該自動車の設置位置に固定するのに用いられる。
【0036】
一対の連結部材42は、Y軸方向において複数の蓄電素子10の両側に配置される。これら一対の連結部材42のそれぞれは、X軸方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけて配置される一対の梁部421と、Z軸方向に延び且つ一対の梁部421の端部同士を連結する一対の端部連結部422と、X軸方向における途中位置においてZ軸方向に延び且つ一対の梁部421同士を連結する中間連結部423と、を有する。本実施形態の連結部材42は、複数の中間連結部423を有する。
【0037】
インシュレータ5は、絶縁性を有する。このインシュレータ5は、連結部材42と、複数の蓄電素子10との間に配置される。具体的に、インシュレータ5は、連結部材42における少なくとも複数の蓄電素子10と対向する領域を覆う。これにより、インシュレータ5は、連結部材42と、複数の蓄電素子10との間を絶縁する。
【0038】
カバー部材6は、X軸方向に並ぶ複数の蓄電素子10とZ軸方向において重なる(即ち、複数の蓄電素子10をZ軸方向の一方側から覆う)部材である。本実施形態のカバー部材6は、樹脂製の一体成形品である。このカバー部材6の輪郭は、Z軸方向視において略矩形状(保持部材4によって保持された状態の複数の蓄電素子10と対応する形状)である。
【0039】
具体的に、カバー部材6は、図4にも示すように、バスバ60を保持するバスバ保持部61と、複数の導電線71等が配置される配線部62と、束線部7を保持可能な束線部保持部(保持部)63と、を有する。本実施形態のバスバ保持部61は、複数のバスバ60を保持している。これら複数のバスバ60のそれぞれは、金属等の導電性を有する部材によって構成された板状の部材であり、隣り合う蓄電素子10の対応する外部端子12同士を導通可能に接続する。本実施形態の複数のバスバ60は、蓄電装置1に含まれる複数の蓄電素子10の全てを直列に接続する(導通させる)。具体的に、各バスバ60は、矩形状の輪郭を有する薄板状の部材である。このバスバ60は、隣り合う蓄電素子10の外部端子12のそれぞれとZ軸方向に重なる位置に穴601を有する。即ち、バスバ60は、二つの穴601を有する。本実施形態の蓄電装置1では、この穴601を画定するバスバ60の穴周縁部が外部端子12と溶接されている。
【0040】
バスバ保持部61は、バスバ60の周縁を囲んだ状態で該バスバ60を保持する。具体的に、バスバ保持部61は、角筒状の保持部本体611と、保持部本体611の開口を塞ぐ蓋部612と、を有する。本実施形態のバスバ保持部61は、保持部本体611と蓋部612とを接続する接続部613も有する。このバスバ保持部61は、バスバ60の数と同じ数(複数)の保持部本体611と、保持部本体611の数に対応する数(複数)の蓋部612と、を有する。
【0041】
複数の保持部本体611は、カバー部材6のY軸方向の中央に配置された配線部62の両側(Y軸方向の両側)においてX軸方向に並ぶように配置されている。各保持部本体611は、Z軸方向の一端と他端とが開口する角筒状であり、一つのバスバ60の周縁を囲んだ状態で該バスバ60を保持する。各バスバ60は、保持部本体611に囲まれた状態で蓄電素子10の外部端子12に接続(本実施形態の例では溶接)されている。
【0042】
蓋部612は、保持部本体611のZ軸方向の一端側(図2における上端側)の開口を解放可能に塞ぐ板状の部位である。蓋部612は、一つの保持部本体611のZ軸方向の一端側の開口、又は、X軸方向に隣り合う二つの保持部本体611のZ軸方向の一端側の各開口を塞ぐ。本実施形態の蓋部612は、Z軸方向から見て矩形状である。この蓋部612は、Y軸方向の端部が薄板状の接続部613を介して保持部本体611に接続され、接続部613が折り返されることで、保持部本体611のZ軸方向の一端側の開口を塞ぐ(図1参照)。
【0043】
配線部62は、蓄電素子10又はバスバ60に接続される複数の導電線71や、これら複数の導電線71が束ねられることで構成される束線部7等が配置される部位である。本実施形態の配線部62は、カバー部材6のY軸方向の中央部においてX軸方向に延びる溝状の部位である。この配線部62は、X-Y面方向に広がる板状の第一部位621と、第一部位621のY軸方向の端縁から該第一部位621に対して立ち上がる(Z軸方向に延びる)一対の第二部位622と、を有する。
【0044】
この溝状の配線部62に配置される複数の導電線71は、バスバ60(バスバ60によって接続された蓄電素子10間)の電圧を測定するために該バスバ60に接続された(該バスバ60から延びる)導電線や、蓄電素子10の温度を測定するために該蓄電素子10(詳しくは、ケース11)に取り付けられたサーミスタ等の温度センサに接続された(温度センサから延びる)導電線等を含む。これら各導電線71が束ねられることによって束線部7が構成される。
【0045】
束線部保持部63は、複数の蓄電素子10に沿ってX軸方向に延びた状態、即ち、配線部62(詳しくは、第一部位621)に沿ってX軸方向に延びた状態の束線部7を取り外し可能に保持する。
【0046】
具体的に、束線部保持部63は、配線部62のX軸方向の端部において第一部位621からZ軸方向に延びる二つの突部631を有する。これら二つの突部631は、先端部の間隔が束線部7(詳しくは、後述する束線部本体72)の幅より小さく、且つ、先端部より基部側のZ軸方向の各位置の間隔が束線部7(束線部本体72)の断面形状に対応した形状を有する(図5参照)。そして、二つの突部631は、その間に束線部7が押し込まれるとき、及び、二つの突部631間の束線部7がZ軸方向の外側に引っ張られたときに、該束線部7の通過を許容する程度まで先端部の間隔が開くように弾性変形する。これにより、束線部保持部63は、束線部7(束線部本体72)がZ軸方向の蓄電素子10側に押圧されて該束線部保持部63(二つの突部631間)に嵌まり込むことで該束線部7を保持する。また、束線部保持部63は、束線部7(束線部本体72)が保持された状態からZ軸方向の蓄電素子10と反対側に引っ張られることで束線部7を解放する、即ち、束線部7が二つの突部631間から抜け出る。
【0047】
本実施形態のカバー部材6は、配線部62のX軸方向の両端部に束線部保持部63を有する。即ち、カバー部材6は、二つの束線部保持部63を有する。
【0048】
束線部7は、いわゆるワイヤーハーネスであり、複数の導電線71が束ねられた束線部本体72と、束線部本体72の先端に接続されたコネクタ73と、を有する。
【0049】
本実施形態の束線部本体72では、複数の導電線71が周囲をテープや樹脂製のチューブ、結束バンド等によって囲まれることで束ねられている。この束線部本体72は、基部721を蓄電素子10に沿った位置で且つ複数の蓄電素子10(蓄電素子群)におけるX軸方向の途中位置に配置される。本実施形態の束線部本体72の基部721は、複数の蓄電素子10におけるX軸方向の中央位置に配置される。詳しくは、バスバ60や、ケース11に取り付けられた温度センサ等から延びる各導電線71が配線部62の第一部位621に沿ってX軸方向の前記中央位置に集められ、この集められた位置からテープやチューブ、結束バンド等によって束ねられることで束線部本体72が構成されている。
【0050】
束線部本体72は、基部721を起点(支点)に該束線部本体72の向きを変更可能である。例えば、束線部本体72は、その先端部722をX軸方向の一方側に向けた姿勢(図1及び図6の符号7A参照)や、先端部722をX軸方向の他方側に向けた姿勢(図6の符号7B参照)や、先端部722をZ軸方向(蓄電素子10から離れる方向)に向けた姿勢(図6の符号7C参照)となるように、基部721を起点に向きを変更できる。本実施形態の束線部本体72は、カバー部材6の各部位(配線部62の第二部位622等)と干渉しない範囲で、基部721を起点に任意の方向に向きを変更できる。
【0051】
この束線部本体72は、X軸方向の一方側に延びる状態(図6の符号7A参照)と他方側に延びる状態(図6の符号7B参照)とのいずれの状態でも、先端部722が終端部材41よりX軸方向の外側となる位置まで延びている。即ち、束線部本体72の長さ寸法は、束線部7を除いた蓄電装置1のX軸方向における長さ寸法の1/2よりも大きい。ここで、各導電線71は、束線部本体72がX軸方向の一方側に延びる状態(図6の符号7A参照)と他方側に延びる状態(図6の符号7B参照)とのそれぞれの状態のときに、僅かに弛む長さ寸法を有している。これにより、基部721を起点に束線部7の方向を変えたときに、いずれかの導電線71が引っ張られて断線等が生じることを防ぐことができる。
【0052】
また、束線部本体72は、柔軟性を有する。これにより、束線部本体72は、長尺方向の途中位置(1か所又は複数個所)で曲げたり、全体を湾曲させたり等できる(図7参照)。
【0053】
また、束線部本体72の断面形状の大きさ(径)は、配線部62の深さ(第二部位622のZ軸方向の寸法)より小さい(図5参照)。これにより、束線部本体72がX軸方向の一方側又は他方側に延びた状態となったときに(図6の符号7A及び符号7B参照)、束線部本体72が配線部62内に収まる(即ち、束線部本体72がバスバ保持部61よりZ軸方向の外側に突出することが防がれる)。
【0054】
コネクタ73は、相手側コネクタとの嵌合方向と直交する方向に扁平である。このコネクタ73は、束線部本体72が複数の蓄電素子10から離れる方向(Z軸方向)に沿って延びたときに、その長手方向がZ軸方向に沿った状態となるように(図6の符号7C参照)、束線部本体72の先端部722に接続されている。即ち、コネクタ73は、束線部本体72がZ軸方向に沿って延びたときに、短手方向の一方の面731をY軸方向の一方側に向け、短手方向の他方の面732をY軸方向の他方側に向ける。
【0055】
以上の蓄電装置1によれば、複数の導電線71が束ねられた束線部本体72(束線部7)がその基部721を起点に向きを変更可能であるため、束線部7の蓄電装置1からの引き出し方向を容易に変更することができる。
【0056】
また、本実施形態の蓄電装置1では、束線部本体72の基部721が、X軸方向の中央位置に配置されている。これにより、束線部7の引き出し方向をX軸方向の一方側と他方側とのいずれの向きに変えても、束線部7を除いた蓄電装置1のX軸方向の端部(終端部材41)から束線部7の先端までの距離が等しくなる(図6の符号7A及び7B参照)。即ち、束線部7の引き出し方向をX軸方向の一方側と他方側とのいずれの向きに変えても、束線部7における終端部材41からX軸方向の外側に突出している長さが同じになる。
【0057】
また、本実施形態の蓄電装置1は、X軸方向に延びた状態の束線部7(束線部本体72)を取り外し可能に保持する束線部保持部(保持部)63を備える。
【0058】
このため、束線部7をX軸方向の一方側又は他方側に引き出したときの該束線部7を固定することができる。しかも、束線部保持部63が取り外し可能に束線部本体72(束線部7)を保持しているため、束線部本体72を束線部保持部63に保持させた後でも該束線部保持部63から束線部本体72を取り外すことで該束線部本体72の向きを容易に変更することができる。
【0059】
扁平なコネクタ73の短手方向のいずれの面731、732をZ軸方向の一方側に向けて使用するかが決まっている場合に、本実施形態の蓄電装置1では、束線部7がZ軸方向に延びた状態のときに、扁平なコネクタ73の長手方向がX軸方向に沿うため、X軸方向の一方側及び他方側のいずれの向きに束線部7を引き出したときでも、コネクタ73を束線部7の中心線周りに半回転させることで、コネクタ73の向き(表裏の方向)を同じにすることができる(図6の符号7A及び符号7B参照)。即ち、X軸方向の一方側に束線部を引き出したときにコネクタの短手方向の一方側の面がZ軸方向の一方側を向くような蓄電装置1では、X軸方向の他方側に束線部を引き出したときにX軸方向の一方側に引き出したときとコネクタの表裏の向きを同じにするためには、コネクタを束線部の中心線周りに半回転(180°)ねじる必要があるため、束線部を第一方向の他方側に引き出して使用する場合に、導電線が前記ねじりに起因するダメージを受けやすくなるが、本実施形態の蓄電装置1によれば、X軸方向の一方側及び他方側のいずれの向きに束線部7を引き出しても、コネクタ73を1/4回転(90°)ねじるだけでコネクタ73の向き(表裏の向き)を同じにできるため、前記ねじりに起因するダメージが抑えられる。
【0060】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0061】
上記実施形態の蓄電装置1では、コネクタ73は、相手側コネクタとの嵌合方向と直交する方向に扁平であるが、扁平でなくてもよい。
【0062】
上記実施形態の束線部7では、束線部本体72の先端部722にコネクタ73が接続されているが、この構成に限定されない。束線部7は、コネクタ73の無い構成でもよい。
【0063】
上記実施形態の束線部7は、バスバ60から延びる導電線と、温度センサから延びる導電線とを含んでいるが、この構成に限定されない。束線部7は、バスバ60から延びる導電線と温度センサから延びる導電線といずれか一方の導電線のみで構成されていてもよい。また、束線部7は、他の導電線(バスバ60から延びる導電線及び温度センサから延びる導電線以外の導電線)を含んでもよい。
【0064】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、X軸方向において、束線部本体72の基部721が中央位置に配置されているが、この構成に限定されない。束線部本体72の基部721は、X軸方向の中央位置より一方側又は他方側に偏った位置に配置されていてもよい。
【0065】
また、本実施形態の蓄電装置1では、複数の導電線71は、それぞれ独立した電線等であるが、この構成に限定されない。複数の導電線71は、電流の流れる方向における途中位置まで(例えば、束線部本体72の基部721の位置まで)プリント配線板によって一体に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…蓄電装置、2…隣接部材、21…中間隣接部材、211…第一本体部、212…第一規制部、22…終端隣接部材、221…第二本体部、222…第二規制部、4…保持部材、41…終端部材、411…本体、412…ボルト部材、42…連結部材、421…梁部、422…端部連結部、423…中間連結部、5…インシュレータ、6…カバー部材、60…バスバ、601…穴、61…バスバ保持部、611…保持部本体、612…蓋部、613…接続部、62…配線部、621…第一部位、622…第二部位、63…束線部保持部、631…突部、7、7A、7B、7C…束線部、71…導電線、721…基部、722…先端部、72…束線部本体、73…コネクタ、731…一方の面、732…他方の面、10…蓄電素子、11…ケース、111…ケース本体、112…蓋板、12…外部端子、13…ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7