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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】プレキャスト合成床版の継手構造
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/12 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
E01D19/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018094773
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019199740
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592173124
【氏名又は名称】日本ファブテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田中 博一
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和志
(72)【発明者】
【氏名】朱 暁旭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 寛之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 宣人
(72)【発明者】
【氏名】山本 将士
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-162341(JP,A)
【文献】特開2017-179926(JP,A)
【文献】特開2011-080524(JP,A)
【文献】特開2011-144513(JP,A)
【文献】特開2011-021362(JP,A)
【文献】特開2019-199740(JP,A)
【文献】特開2008-050878(JP,A)
【文献】特開2015-229818(JP,A)
【文献】特開平09-021114(JP,A)
【文献】特開2007-231569(JP,A)
【文献】特開2014-105547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底鋼板の上方にコンクリートを打設し、前記底鋼板と前記コンクリートを一体成形してなるプレキャスト合成床版同士を接合するための継手構造であって、
先端部に拡幅部を備え、合成床版の接合端面から先端部側を突出して配設される機械式定着部を有する鉄筋と、
隣り合うプレキャスト合成床版の底鋼板の端部側同士に重ねて配設される添接板と、
前記添接板を前記隣り合うプレキャスト合成床版の両底鋼板に接続するための高力ボルト及びナットと、
前記機械式定着部を有する鉄筋を埋設するように前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面同士の間に充填される間詰めコンクリートと、を備えて構成され
一方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋の前記拡幅部は、前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面同士の間における他方のプレキャスト合成床版側に配置されるとともに、前記他方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋の前記拡幅部は、前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面同士の間における前記一方のプレキャスト合成床版側に配置され、
前記一方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋と、前記他方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋と、は平面視で互いにずれた位置に配置されていることを特徴とするプレキャスト合成床版の継手構造。
【請求項2】
請求項1記載のプレキャスト合成床版の継手構造において、
予め前記高力ボルトが前記底鋼板に固定して取り付けられていることを特徴とするプレキャスト合成床版の継手構造。
【請求項3】
請求項1記載のプレキャスト合成床版の継手構造において、
予め前記ナットが前記底鋼板に固定して取り付けられていることを特徴とするプレキャスト合成床版の継手構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項記載のプレキャスト合成床版の継手構造において、
前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面からそれぞれに突出して並設される複数の機械式定着部を有する鉄筋に上方から係合され、前記複数の機械式定着部を有する鉄筋を繋ぐ補強プレートを備えることを特徴とするプレキャスト合成床版の継手構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項記載のプレキャスト合成床版の継手構造において、
前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面からそれぞれに突出して並設される複数の機械式定着部を有する鉄筋を繋ぐ補強鉄筋を備えることを特徴とするプレキャスト合成床版の継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板とコンクリートを一体成形してなるプレキャスト合成床版の継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
長支間化が可能で高い疲労耐久性を有するため、鋼板とコンクリートを一体形成してなる合成床版(鋼・コンクリート合成床版)を道路橋や鉄道橋の床版として用いるケースが増えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このように道路橋や鉄道橋の床版として用いる場合には、新設、取替両方の段階で、一般に、予め工場で端部以外にコンクリートを打ち込んで製作したプレキャスト合成床版が使用されている。
【0004】
一方、この種の合成床版の端部同士を接合する方法(継手構造)としては、底鋼板を添接板と高力ボルトで接合し、圧縮鉄筋端部を重ね継手としつつ間詰めコンクリートを介して接合する方法や、底鋼板を添接板と高力ボルトで接合し、端部にナットを有した圧縮鉄筋を、貫通孔を有する鋼製の帯状補強板、間詰めコンクリートを介して接合する方法(例えば、特許文献1参照)が提案、実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-21362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の圧縮鉄筋端部を重ね継手にする接合方法は、重ね継手長が公称鉄筋径の25倍以上(D19の場合には475mm以上)必要となるため、継手部の長さが550mm程度と長くなる。継手長さが長くなると、間詰めコンクリートの使用量が増加し、施工の手間と時間がかかり、高コスト化するという問題がある。
【0007】
特許文献1に開示された継手構造は、継手長さを短くできるメリットはあるが、貫通孔を有する鋼製の帯状補強板という特殊な部材を使用する必要があり、コストが高くなる。また、接合する際に貫通孔を有する鋼製の帯状補強板を移動させる必要があり、この作業に手間と時間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、施工性、経済性に優れたプレキャスト合成床版の継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0010】
本発明のプレキャスト合成床版の継手構造は、底鋼板の上方にコンクリートを打設し、前記底鋼板と前記コンクリートを一体成形してなるプレキャスト合成床版同士を接合するための継手構造であって、先端部に拡幅部を備え、合成床版の接合端面から先端部側を突出して配設される機械式定着部を有する鉄筋と、隣り合うプレキャスト合成床版の底鋼板の端部側同士に重ねて配設される添接板と、前記添接板を前記隣り合うプレキャスト合成床版の両底鋼板に接続するための高力ボルト及びナットと、前記機械式定着部を有する鉄筋を埋設するように前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面同士の間に充填される間詰めコンクリートと、を備えて構成され、一方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋の前記拡幅部は、前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面同士の間における他方のプレキャスト合成床版側に配置されるとともに、前記他方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋の前記拡幅部は、前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面同士の間における前記一方のプレキャスト合成床版側に配置され、前記一方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋と、前記他方のプレキャスト合成床版から突出した前記鉄筋と、は平面視で互いにずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のプレキャスト合成床版の継手構造においては、予め前記高力ボルトが前記底鋼板に固定して取り付けられていることが望ましい。
【0012】
さらに、本発明のプレキャスト合成床版の継手構造においては、予め前記ナットが前記底鋼板に固定して取り付けられていてもよい。
【0013】
また、本発明のプレキャスト合成床版の継手構造においては、前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面からそれぞれに突出して並設される複数の機械式定着部を有する鉄筋に上方から係合され、前記複数の機械式定着部を有する鉄筋を繋ぐ補強プレートを備えることが望ましい。
【0014】
さらに、本発明のプレキャスト合成床版の継手構造においては、前記隣り合うプレキャスト合成床版の接合端面からそれぞれに突出して並設される複数の機械式定着部を有する鉄筋を繋ぐ補強鉄筋を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のプレキャスト合成床版の継手構造においては、従来の貫通孔を有する鋼製の帯状補強板などの特殊な部材を必要とせず、接合方法が単純であり、従来と比較し、施工の手間や時間を大幅に低減することが可能になる。また、継手構造のコストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造を示す分解図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造を示す分解図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造を示す図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造を示す図であり、凹部に間詰めコンクリートを打設する前の段階を示す図である。
図7図6のX1-X1線矢視図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造で隣り合うプレキャスト合成床版同士を接合する施工状況を示す図であり、プレキャスト合成床版を鉄骨桁の上に設置している状態を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造で隣り合うプレキャスト合成床版同士を接合する施工状況を示す図であり、プレキャスト合成床版を鉄骨桁の上に設置している状態を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造で隣り合うプレキャスト合成床版同士を接合する施工状況を示す図であり、高力ボルトをナットに螺合して隣り合うプレキャスト合成床版同士を接合している状態を示す図である。
図11】本発明に係るプレキャスト合成床版の継手構造の変更例を示す図であり、補強プレートを備えたプレキャスト合成床版の継手構造を示す図である。
図12図11のX2-X2線矢視図である。
図13図12のX3-X3線矢視図である。
図14】本発明に係るプレキャスト合成床版の継手構造の変更例を示す図であり、追加の主筋を備えたプレキャスト合成床版の継手構造を示す図である。
図15図14のX4-X4線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の第1実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造について説明する。なお、本実施形態は、道路橋や鉄道橋のプレキャスト合成床版に関するものである。
【0018】
本実施形態のプレキャスト合成床版(以下の説明では、単に「合成床版」ともいう)A(A1、A2)は、図1及び図2に示すように、予め工場において、底鋼板1を型枠とし、その上方(内部)にコンクリート2を打設充填し、底鋼板1とコンクリート2を一体成形して構成されている。
【0019】
また、この合成床版Aは、隣り合う合成床版A1、A2の端部(接合端面3)同士を施工現場において接合するための継手構造Bを備えて構成されている。
【0020】
本実施形態においては、圧縮鉄筋として、先端部に拡幅部10aを備えて機械式定着部を有する鉄筋10を用い、この機械式定着部を有する鉄筋10の先端部側を所定の長さで接合端面3から外側に突出させて各合成床版A1、A2が形成されている。
【0021】
そして、本実施形態の合成床版の継手構造Bは、隣り合う合成床版A1、A2の機械式定着部を有する鉄筋10を重ね合わせるように配置し、隣り合う合成床版A1、A2の底鋼板1同士を、添接板4、ナット5、ワッシャ6、高力ボルト7を用いて接合し、さらに、隣り合う合成床版A1、A2の接合端面3の間に機械式定着部を有する鉄筋10を埋設するように間詰めコンクリート8を充填して構成されている。
【0022】
なお、本実施形態では、機械式定着部を有する鉄筋10に、拡幅部10aがT型に形成されたTヘッド工法鉄筋(登録商標)を用いている。
また、間詰めコンクリート8には、プレキャスト部材である合成床版A1、A2と同等以上の圧縮強度を有するコンクリートを使用する。
【0023】
上記のように構成した本実施形態の合成床版の継手構造Bにおいては、従来の貫通孔を有する鋼製の帯状補強板などの特殊な部材を必要とせず、接合方法が単純であり、従来と比較し、施工の手間や時間を大幅に低減することが可能になる。また、継手構造Bのコストも低減することができる。
【0024】
次に、図3及び図4を参照し、本発明の第2実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様の構成に対して同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0025】
本実施形態の継手構造Bは、図3及び図4に示すように、第1実施形態の継手構造と同様、先端部に拡幅部10aを備えて機械式定着部を有する鉄筋10と、隣り合う合成床版A1、A2の底鋼板1同士を接合するための添接板4、ナット5、ワッシャ6、高力ボルト7と、間詰めコンクリート8とを備えて構成されている。
【0026】
一方、本実施形態の継手構造Bにおいては、高力ボルト7として片面高力ボルトと、該片面高力ボルトを仮固定する固定リング16とを用い、合成床版A1、A2の底鋼板1の端部側に、工場において予め片面高力ボルト7が固定リング16で固定して取り付けられている。なお、固定リング16は、高力ボルト7が搬送時や施工時に落下しないようにする目的で取り付けられる薄型のナットなどで構成されている。
【0027】
このように構成した本実施形態の継手構造Bにおいては、高力ボルト7を取り付けるための下部からの作業を不要にでき、全て上部からの作業によって、隣り合う合成床版A1、A2を接合することが可能になる。
具体的には、施工現場において、固定リング16の外径に合わせた貫通孔が形成された添接板4を配設し、その上方からワッシャ6及びナット5を締結することにより隣り合う合成床版A1、A2を接合する。なお、固定リング16の厚さ(高さ)が、添接板4よりも厚い場合は、ワッシャ6の貫通孔の直径を固定リング16の外径に合わせればよい。
【0028】
よって、本実施形態の合成床版の継手構造Bにおいては、下部からの作業が必要ないので足場を省略することが可能となり、手間や時間をさらに大幅に低減でき、継手構造Bのコストも低減することができる。
【0029】
次に、図5から図10を参照し、本発明の第3実施形態に係るプレキャスト合成床版の継手構造について説明する。本実施形態では、第1、第2実施形態と同様の構成に対して同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0030】
本実施形態の継手構造Bは、図5から図7に示すように、第1、第2実施形態の継手構造と同様、先端部に拡幅部10aを備えて機械式定着部を有する鉄筋10と、隣り合う合成床版A1、A2の底鋼板1同士を接合するための添接板4、ナット5、ワッシャ6、高力ボルト7と、間詰めコンクリート8とを備えて構成されている。
【0031】
一方、本実施形態の継手構造Bにおいては、合成床版A1、A2の底鋼板1の端部側の内面側の所定位置に予めナット(袋ナット/長ナットなど)5が溶接などして固定して取り付けられている。さらに、底鋼板1に取り付けたナット5が埋設され、ナットを埋設した部分の上方の凹部11に機械式定着部を有する鉄筋10が露出するように形成されている。すなわち、ナット5を埋設した下方部分の接合端面3に対し、機械式定着部を有する鉄筋10が露出する上方部分の接合端面3が内側に後退して設けられ、これにより、合成床版A1、A2の端部の上方部分には、上面から下方に凹む凹部(切欠部)11が形成されている。
【0032】
そして、本実施形態の継手構造Bでは、図8から図10に示すように、隣り合う一方の合成床版A1を所定位置に配置し、他方の合成床版A2を互いのナット5を埋設した下方部分の接合端面3が突き合うようにスライド移動させて所定位置に配置する。この段階で、隣り合う合成床版A1、A2の底鋼板1に添接板4を重ね合わせ、添接板4の下方から各合成床版A1、A2の下方部分に埋設されたナット5にワッシャ6とともに高力ボルト7を取り付ける。最後に、隣り合う合成床版A1、A2の凹部11に間詰めコンクリート8を打設する。
【0033】
これにより、本実施形態の継手構造Bにおいては、従来の貫通孔を有する鋼製の帯状補強板などの特殊な部材を必要とせず、接合方法が単純であり、従来と比較し、施工の手間や時間を大幅に低減することが可能になる。また、継手構造Bのコストも低減することができる。
【0034】
なお、図5から図10に示すように、H形鋼の鉄骨桁12の上に合成床版A1、A2を設置し、鉄骨桁12の上フランジ12aの下面から高力ボルト7をナット5に螺合し、鉄骨桁12のフランジ12aに合成床版A1、A2を固定して合成床版A1、A2同士を接合するようにしてもよい。
【0035】
以上、本発明に係るプレキャスト合成床版の継手構造の第1、第2、第3実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0036】
例えば、機械式定着部を有する鉄筋はTヘッド工法鉄筋のように拡幅部10aがT型に形成されているものでなくともよく、他の形状の機械式定着部を有していてもよい。
【0037】
また、第1、第2、第3実施形態の合成床版の継手構造Bに対し、図11から図13に示すように、隣り合う合成床版A1、A2の接合端面3からそれぞれに突出して主筋の延設方向に所定の間隔をあけて並設される複数の機械式定着部を有する鉄筋10に上方から係合させて、これら複数の機械式定着部を有する鉄筋10を繋ぐ補強プレート13を設け、複数の機械式定着部を有する鉄筋10と補強プレート13を間詰めコンクリート8で埋設するように構成してもよい。
さらに、補強プレート13に替えて、あるいは補強プレート13とともに、図14図15に示すように、複数の機械式定着部を有する鉄筋10を繋ぐように追加の主筋(補強鉄筋)14を設けて構成してもよい。
【0038】
そして、このように補強プレート13、追加の主筋14を設けた場合には、隣り合う一方の合成床版A1と他方の合成床版A2の機械式定着部を有する鉄筋10が重なる継手長Lをさらに短くすることができる。鉄筋10の径をdとすると、例えば、第1、第2、第3実施形態の合成床版の継手構造Bでは15d程度の継手長Lが必要になるのに対し、補強プレート13、追加の主筋14を設けた場合には5d程度の継手長Lにすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 底鋼板
2 コンクリート
3 接合端面
4 添接板
5 ナット
6 ワッシャ
7 高力ボルト(片面高力ボルト)
8 間詰めコンクリート
10 機械式定着部を有する鉄筋(Tヘッド工法鉄筋)
10a 拡幅部
11 凹部
12 鉄骨桁
12a フランジ
13 補強プレート
14 追加の主筋(補強鉄筋)
A プレキャスト合成床版
B 継手構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15