(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/08 20060101AFI20220601BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41M1/12
(21)【出願番号】P 2018107542
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 猛志
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-071847(JP,A)
【文献】特開2012-250374(JP,A)
【文献】特開2003-089187(JP,A)
【文献】特開平04-197684(JP,A)
【文献】特開2014-108569(JP,A)
【文献】特開2008-198730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/08
B41M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するマスクに沿って移動して前記マスク上の塗布材を前記開口を介して基板に印刷を行うスキージと、
前記マスクの識別情報を読み取る読取部と、
印刷位置に第1マスクが配置された状態において、前記第1マスクを使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクの識別情報の前記読取部による読み取り結果に基づいて、前記次の基板生産における前記第2マスクの使用の適否を判断する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産における使用に適していない場合、前記第1マスクを用いた基板生産を停止させずに、通知を行うように構成され、
前記制御部は、前記第2マスクの使用回数、テンションおよび歪みのうち少なくとも1つに基づいて、前記第2マスクの状態を判断するとともに、前記第2マスクが前記次の基板生産において使用する正しい種類の前記マスクであるものの、前記第2マスクの状態が基板生産に適していない状態である場合、前記第2マスクが前記次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている、印刷装置。
【請求項2】
開口を有するマスクに沿って移動して前記マスク上の塗布材を前記開口を介して基板に印刷を行うスキージと、
前記マスクの識別情報を読み取る読取部と、
印刷位置に第1マスクが配置された状態において、前記第1マスクを使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクの識別情報の前記読取部による読み取り結果に基づいて、前記次の基板生産における前記第2マスクの使用の適否を判断する制御部と、
装置本体を覆う筐体の内部に配置され、基板生産に使用していない前記第2マスクを収容するマスク収容部と、
前記マスク収容部にアクセスするために設けられた前記筐体の開口部を覆うカバーと、を備え、
前記制御部は、前記読取部による前記第2マスクの識別情報の読み取り結果に基づいて、前記カバーの開閉の状態を制御するように構成されている、印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産における使用に適していない場合、前記第1マスクを用いた基板生産を停止させずに、通知を行うように構成されている、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産において使用する正しい種類の前記マスクでない場合、前記第2マスクが前記次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている、請求項1または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産において使用する正しい種類の前記マスクであるものの、前記第2マスクの状態が基板生産に適していない状態である場合、前記第2マスクが前記次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2マスクの使用回数、テンションおよび歪みのうち少なくとも1つに基づいて、前記第2マスクの状態を判断するように構成されている、請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
装置本体を覆う筐体の内部に配置され、基板生産に使用していない前記第2マスクを収容するマスク収容部と、
前記マスク収容部にアクセスするために設けられた前記筐体の開口部を覆うカバーと、を備え、
前記制御部は、前記読取部による前記第2マスクの識別情報の読み取り結果に基づいて、前記カバーの開閉の状態を制御するように構成されている、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産における使用に適していない場合、前記カバーを開放させないように制御するように構成されている、請求項2または7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記カバーを閉塞状態でロックするロック機構を備え、
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産における使用に適していない場合、前記ロック機構により前記カバーを閉塞状態でロックするように構成されている、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
印刷位置に位置する前記第1マスクを前記マスク収容部に収容するとともに、前記マスク収容部に収容された前記第2マスクを印刷位置に移動させるマスク移動機構を備え、
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産に適しているものの、前記マスク移動機構により前記第2マスクを印刷位置に移動させることができない場合、前記カバーを開放させないように制御するように構成されている、請求項2、7~9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産に適しているものの、前記マスク移動機構により前記第2マスクを印刷位置に移動させることができない場合、手動で前記第1マスクと前記第2マスクとを交換するよう通知を行うように構成されている、請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
基板生産に使用していない前記第2マスクを収容するマスク収容部と、印刷位置に位置する前記第1マスクを前記マスク収容部に収容するとともに、前記マスク収容部に収容された前記第2マスクを印刷位置に移動させるマスク移動機構とを含む、マスク交換ユニットと、を備え、
前記制御部は、前記第2マスクが前記次の基板生産における使用に適していない場合、前記マスク移動機構により前記マスク収容部に収容された前記第2マスクを印刷位置に移動させないように制御するように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置および印刷装置の使用方法に関し、特に、マスクを使用して基板に印刷を行う印刷装置および印刷装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスクを使用して基板に印刷を行う印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、開口を有するメタルマスク(マスク)に沿って移動してメタルマスク上の塗布材を開口を介して基板に印刷を行うスキージと、複数のメタルマスクが格納されるストッカとを備える自動スクリーン印刷装置(印刷装置)が開示されている。この特許文献1の自動スクリーン印刷装置には、ストッカに格納されるメタルマスクの識別情報を読み取る読取装置が設けられている。また、この自動スクリーン印刷装置では、ストッカに格納されたメタルマスクの識別情報に基づいて、搬入された基板に適するメタルマスクを特定して、ストッカから該当するメタルマスクを引き出して印刷に使用するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたスクリーン印刷装置(印刷装置)では、ストッカに複数のメタルマスク(マスク)を格納して準備しておくことができるものの、次の基板生産(印刷)に適したメタルマスクがストッカに格納されていない場合には、次の基板生産を行うことができないという不都合がある。この場合、作業者により、次の基板生産に適したメタルマスクが供給されるまでは、次の基板生産を開始することができないため、基板生産の効率が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、次の基板生産に適したマスクが用意されないことに起因して基板生産の効率が低下するのを抑制することが可能な印刷装置および印刷装置の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による印刷装置は、開口を有するマスクに沿って移動してマスク上の塗布材を開口を介して基板に印刷を行うスキージと、マスクの識別情報を読み取る読取部と、印刷位置に第1マスクが配置された状態において、第1マスクを使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクの識別情報の読取部による読み取り結果に基づいて、次の基板生産における第2マスクの使用の適否を判断する制御部と、を備え、制御部は、第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、第1マスクを用いた基板生産を停止させずに、通知を行うように構成され、制御部は、第2マスクの使用回数、テンションおよび歪みのうち少なくとも1つに基づいて、第2マスクの状態を判断するとともに、第2マスクが次の基板生産において使用する正しい種類のマスクであるものの、第2マスクの状態が基板生産に適していない状態である場合、第2マスクが次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による印刷装置では、上記のように構成することによって、第1マスクを使用して基板生産を行っている間に、次の基板生産に使用するために準備された第2マスクの使用の適否が分かる。これにより、第2マスクが次の基板生産の使用に適さない場合でも、第1マスクを使用した基板生産を行っている間に適したマスクに交換すれば、第1マスクを使用した基板生産(印刷)に続けて、第2マスクを使用した次の基板生産(印刷)を行うことができる。その結果、次の基板生産に適したマスクが用意されないことに起因して基板生産の効率が低下するのを抑制することができる。また、第1マスクを使用した基板生産を行っている間であれば、作業者は任意の時間に第2マスクを適したマスクに交換すればよいので、作業者の手の空いている時間に交換作業を行うことができる。その結果、作業者の交換作業の自由度を向上させることができる。
この発明の第2の局面による印刷装置は、開口を有するマスクに沿って移動してマスク上の塗布材を開口を介して基板に印刷を行うスキージと、マスクの識別情報を読み取る読取部と、印刷位置に第1マスクが配置された状態において、第1マスクを使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクの識別情報の読取部による読み取り結果に基づいて、次の基板生産における第2マスクの使用の適否を判断する制御部と、装置本体を覆う筐体の内部に配置され、基板生産に使用していない第2マスクを収容するマスク収容部と、マスク収容部にアクセスするために設けられた筐体の開口部を覆うカバーと、を備え、制御部は、読取部による第2マスクの識別情報の読み取り結果に基づいて、カバーの開閉の状態を制御するように構成されている。
【0009】
上記第2の局面による印刷装置において、好ましくは、制御部は、第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、第1マスクを用いた基板生産を停止させずに、通知を行うように構成されている。このように構成すれば、次の基板生産に用いるマスクの再準備を作業者に促しつつ、第1マスクを用いた基板生産を続けることができるので、基板生産の効率が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、第2マスクが次の基板生産において使用する正しい種類のマスクでない場合、第2マスクが次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている。このように構成すれば、正しい種類のマスクへの交換を効果的に促すことができるので、第1マスクを使用した基板生産の終了までに正しいマスクに交換することにより、続けて基板生産(印刷)を行うことができる。
【0011】
上記第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、第1マスクを用いた基板生産を停止させずに、通知を行う構成において、好ましくは、制御部は、第2マスクが次の基板生産において使用する正しい種類のマスクであるものの、第2マスクの状態が基板生産に適していない状態である場合、第2マスクが次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている。このように構成すれば、同種類のマスクが複数ある場合に、基板生産(印刷)により適したマスクを使用するように促すことができるので、基板生産(印刷)の精度を向上させることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、第2マスクの使用回数、テンションおよび歪みのうち少なくとも1つに基づいて、第2マスクの状態を判断するように構成されている。このように構成すれば、第2マスクの使用回数が多い場合や、第2マスクのテンションが小さい場合や、第2マスクの歪みが大きい場合などに、第2マスクが基板生産(印刷)に適さないと判断することができるので、マスクの状態に応じて基板生産により適したマスクへの交換を促すことができる。
【0013】
上記第1の局面による印刷装置において、好ましくは、装置本体を覆う筐体の内部に配置され、基板生産に使用していない第2マスクを収容するマスク収容部と、マスク収容部にアクセスするために設けられた筐体の開口部を覆うカバーと、を備え、制御部は、読取部による第2マスクの識別情報の読み取り結果に基づいて、カバーの開閉の状態を制御するように構成されている。このように構成すれば、第2マスクの基板生産(印刷)の適否に基づいて、カバーの開放を制限することができるので、第2マスクの基板生産の適否に応じて、マスク収容部へのアクセスを制限することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、カバーを開放させないように制御するように構成されている。このように構成すれば、次の基板生産に適さない第2マスクがカバーが開放された開口部を介してマスク収容部に誤って収容されるのを抑制することができる。
【0015】
第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、カバーを開放させない構成において、好ましくは、カバーを閉塞状態でロックするロック機構を備え、制御部は、第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、ロック機構によりカバーを閉塞状態でロックするように構成されている。このように構成すれば、第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合には、カバーを開けることができなくなるので、次の基板生産に適さない第2マスクがマスク収容部に誤って収容されるのを効果的に抑制することができる。
【0016】
上記マスク収容部とカバーとを備える構成において、好ましくは、印刷位置に位置する第1マスクをマスク収容部に収容するとともに、マスク収容部に収容された第2マスクを印刷位置に移動させるマスク移動機構を備え、制御部は、第2マスクが次の基板生産に適しているものの、マスク移動機構により第2マスクを印刷位置に移動させることができない場合、カバーを開放させないように制御するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、第1マスクと第2マスクとのサイズが異なる場合などで、第2マスクをマスク収容部から印刷位置に自動で移動させることができない場合には、マスク収容部に第2マスクが配置されないようにすることができるので、作業者に無駄な段取り作業を行わせることを抑制することができる。
【0017】
この場合、好ましくは、制御部は、第2マスクが次の基板生産に適しているものの、マスク移動機構により第2マスクを印刷位置に移動させることができない場合、手動で第1マスクと第2マスクとを交換するよう通知を行うように構成されている。このように構成すれば、自動で第1マスクと第2マスクとを交換することができない場合に、作業者に手動で交換するように促すことができるので、第1マスクを使用した基板生産中において、作業者が後で第2マスクへの段取り替えを行う必要があることを予め把握することができる。
【0018】
上記第1または第2の局面による印刷装置において、好ましくは、基板生産に使用していない第2マスクを収容するマスク収容部と、印刷位置に位置する第1マスクをマスク収容部に収容するとともに、マスク収容部に収容された第2マスクを印刷位置に移動させるマスク移動機構とを含む、マスク交換ユニットと、を備え、制御部は、第2マスクが次の基板生産における使用に適していない場合、マスク移動機構によりマスク収容部に収容された第2マスクを印刷位置に移動させないように制御するように構成されている。このように構成すれば、次の基板生産(印刷)に適さない第2マスクがマスク収容部に収容された場合でも、第2マスクが印刷位置に移動されないので、印刷位置に正しいマスクを配置する際に、適さないマスクを取り除く必要がない。その結果、作業者に無駄な段取り作業を行わせることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、次の基板生産に適したマスクが用意されないことに起因して基板生産の効率が低下するのを抑制することが可能な印刷装置および印刷装置の使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態による印刷装置の全体構成の概要を示した平面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った側面断面図である。
【
図3】一実施形態による印刷装置の概要を示した正面図である。
【
図4】一実施形態による印刷装置のマスク収容部を示した図である。
【
図5】一実施形態による印刷装置の制御的な構成を示したブロック図である。
【
図6】一実施形態による印刷装置の概略を示した斜視図である。
【
図7】一実施形態による印刷装置のカバーの開閉を説明するの図である。
【
図8】一実施形態による印刷装置の次の基板生産の予約を説明するための図である。
【
図9】一実施形態による印刷装置の基板生産計画リストの一例を示した図である。
【
図10】一実施形態による印刷装置のマスク情報リストの一例を示した図である。
【
図11】一実施形態による印刷装置のマスクの交換動作を説明するための図である。
【
図12】一実施形態による印刷装置の印刷動作処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】一実施形態による印刷装置の次の基板生産の準備処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
(印刷装置の構成)
図1~
図11を参照して、本発明の一実施形態による印刷装置100の構成について説明する。
図1に示すように、印刷装置100は、一対のコンベア12により基板B(
図2参照)をX1方向に搬送し、印刷位置Wにおいて基板Bに半田を印刷する装置である。基板Bは、部品(電子部品)が実装されるプリント基板である。また、半田は、基板B上に部品を接合するための接合材である。また、以下の説明では、一対のコンベア12(ベルトコンベア)による基板Bの搬送方向(X1方向)およびその逆方向(X2方向)をX方向とし、水平面内においてX方向に略直交する方向をY方向とする。また、X方向およびY方向に略直交する方向をZ方向(上下方向)とする。なお、半田は、特許請求の範囲の「塗布材」の一例である。
【0025】
印刷装置100は、搬入コンベア13により基板Bを搬入し、搬入した基板Bの表面に対してマスクMに形成された印刷パターンPaにより印刷作業を行った後、印刷作業が行われた基板Bを搬出コンベア14により搬出するように構成されている。ここで、マスクMは、平面視において(Z1方向側から見て)矩形形状の平板形状を有する。マスクMは、印刷パターンPaを形成する複数の開口P1と、複数の開口P1以外の領域である非開口部P2とを有する。また、マスクMには、外周部にフレームFが取り付けられている。
【0026】
印刷装置100は、
図2に示すように、基台2と、印刷テーブルユニット3と、カメラユニット4と、マスククランプ部材5と、スキージユニット6と、マスク交換ユニット7と、検知センサ8と、制御装置9(
図5参照)とを備えている。なお、制御装置9は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0027】
印刷テーブルユニット3は、基台2上に設けられ、基板Bを保持するとともに、マスクMに対して位置合わせするように構成されている。具体的には、印刷テーブルユニット3は、X軸移動機構と、Y軸移動機構と、R軸移動機構と、Z軸移動機構と、印刷テーブル11と、一対のコンベア12(
図1参照)と、を含む。
【0028】
X軸移動機構は、駆動源としてX軸駆動部31(
図5参照)を有し、印刷テーブル11をX方向に移動させる。Y軸移動機構は、駆動源としてY軸駆動部32(
図5参照)を有し、印刷テーブル11をY方向に移動させる。R軸移動機構は、駆動源としてR軸駆動部33(
図5参照)を有し、印刷テーブル11をZ方向に延びる回転軸線周りに回転移動させる。Z軸移動機構は、駆動源としてZ軸駆動部34(
図5参照)を有し、印刷テーブル11をZ方向に移動させる。
【0029】
印刷テーブル11は、テーブル本体111と、テーブル本体111上に設けられる一対のブラケット部材112と、複数のバックアップピン113が配置された支持板114と、支持板114をZ方向に移動させる支持板駆動部115とを有する。一対のブラケット部材112の各上部には、コンベア12(
図1参照)が設けられている。バックアップピン113は、支持板駆動部115により支持板114がZ1方向(上方向)に移動されることによって、基板Bを下方から支持するように構成されている。
【0030】
図1に示すように、一対のコンベア12は、X方向に沿って延びるように設けられている。また、一対のコンベア12は、Y方向に所定距離を隔てて互いに平行に配置されている。また、一対のコンベア12は、搬送する基板Bの幅に対応させてY方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、一対のコンベア12は、基板幅軸駆動部12a(
図5参照)により、Y方向の間隔(幅)が調整されるように構成されている。
【0031】
カメラユニット4は、
図2および
図3に示すように、マスクMおよび基板Bを撮像するように構成されている。具体的には、カメラユニット4は、カメラX軸移動機構41と、カメラY軸移動機構42と、基板カメラ43aおよびマスクカメラ43bを有する撮像部43とを有する。カメラX軸移動機構41は、X軸モータ41aと、X方向に延びるボールねじ41bとを有する。カメラY軸移動機構42は、Y軸モータ42aと、Y方向に延びるボールねじ42bとを有する。基板カメラ43aは、基板Bを撮像して、基板Bの印刷テーブル11に対する相対位置を認識するように構成されている。マスクカメラ43bは、マスクMを撮像して、マスクMの位置を認識するように構成されている。
【0032】
このように、印刷装置100では、基板カメラ43aおよびマスクカメラ43bを用いてマスクMに対する基板Bの相対位置を認識させた後、印刷テーブルユニット3のX軸移動機構、Y軸移動機構およびR軸移動機構によってマスクMに対する基板Bの相対位置(水平面内の位置および傾き)が正確に位置決めされる。そして、印刷装置100では、マスクMに対する基板Bの相対位置を正確に位置決めした状態で、印刷テーブルユニット3のZ軸移動機構によって基板Bが上昇されてマスクMの下面に当接される。これにより、マスクMに対して基板Bの版合わせが行われる。
【0033】
マスククランプ部材5は、
図3に示すように、マスクMを用いて基板Bに印刷パターンPaにより半田を印刷する際、マスクMを印刷位置Wに保持するように構成されている。具体的には、マスククランプ部材5は、マスクMのX1方向側の端部を保持する第1マスク保持部51と、マスクMのX2方向側の端部を保持する第2マスク保持部52と、第1マスク保持部51に設けられ、マスクMをX2方向側に押圧する押圧部(図示せず)とを有する。
【0034】
スキージユニット6は、
図2および
図3に示すように、Y方向に往復移動することにより、マスクMの上面上に供給された半田をマスクMの上面に沿って掻きながら移動させるように構成されている。具体的には、スキージユニット6は、スキージ61と、スキージ61を印刷方向(Y方向)に移動させるスキージY軸駆動部62と、スキージ61を上下方向(Z方向)に移動させるスキージZ軸駆動部63と、スキージ61をX方向に延びる回転軸線周りに回転させるスキージR軸駆動部64(
図5参照)とを含む。
【0035】
スキージ61は、X方向に延びるように形成されている。スキージ61は、マスクMに対して所定の印圧(荷重)をかけながらマスクMに供給された半田を印刷するように構成されている。スキージ61は、開口P1を有するマスクMに沿って移動してマスクM上の半田(塗布材)を開口P1を介して基板Bに印刷を行うように構成されている。スキージY軸駆動部62は、Y軸モータ62aと、Y方向に延びるボールねじ62bとを有する。スキージZ軸駆動部63は、Z軸モータ63aと、ベルト63bと、Z方向に延びるボールねじ63cとを有する。
【0036】
また、スキージユニット6は、
図2に示すように、マスクMをY方向にスライド移動させて、マスクMを交換する交換動作を行うマスク摺動子65を含む。マスク摺動子65は、Z方向(上下方向)に移動可能なスライド部65aと、スライド部65aを収容する収容部65bとを有する。マスク摺動子65は、たとえばエアシリンダにより構成されており、スライド部65aはエアシリンダのロッドにより構成され、収容部65bはエアシリンダのシリンダにより構成されている。なお、マスク摺動子65は、特許請求の範囲の「マスク移動機構」の一例である。
【0037】
マスク摺動子65は、スキージY軸駆動部62によるスキージ61のY方向の移動に伴って、一体的にY方向に移動するように構成されている。また、マスク摺動子65は、印刷位置WのマスクMのフレームFに水平方向(Y方向)にスライド部65aが当接可能な位置まで、スライド部65aが収容部65bから突出するようにZ2方向(下方向)に移動する。マスク摺動子65は、印刷位置WのマスクMのフレームFに水平方向(Y方向)にスライド部65aが当接しない位置まで、スライド部65aが収容部65b内に収容されるようにZ1方向(上方向)に移動する。
【0038】
このように、スキージ61とマスク摺動子65とは、スキージユニット6に一体的に設けられている。また、スキージユニット6の移動により、スキージ61およびマスク摺動子65は一体的にY方向に移動するように構成されている。そして、マスク摺動子65のスライド部65aは、マスクMのフレームFにY1方向またはY2方向から当接してマスクMをY1方向またはY2方向に移動させる。つまり、マスク摺動子65は、印刷位置Wに位置する第1マスクM1をマスク収容部(第2マスク収容部72)に収容するとともに、マスク収容部(第1マスク収容部71)に収容された第2マスクM2を印刷位置Wに移動させるように構成されている。
【0039】
マスク交換ユニット7は、
図2および
図4に示すように、複数(2つ)のマスクMを収容可能に構成されている。具体的には、マスク交換ユニット7は、第1マスク収容部71と、第2マスク収容部72と、昇降部73とを含む。また、マスク交換ユニット7は、マスク摺動子65を含む。第1マスク収容部71および第2マスク収容部72は、各々1枚のマスクMを収容可能に構成されている。第1マスク収容部71および第2マスク収容部72は、上下方向に並んで配置されている。第1マスク収容部71は、第2マスク収容部72に対して上方に配置された上段の収容部である。第2マスク収容部72は、第1マスク収容部71に対して下方に配置された下段の収容部である。昇降部73は、第1マスク収容部71および第2マスク収容部72を上下方向に移動させるように構成されている。マスク交換ユニット7は、昇降部73が基台2に取り付けられている。マスク交換ユニット7は、第2マスク収容部72が昇降部73に取り付けられている。マスク交換ユニット7は、第1マスク収容部71が第2マスク収容部72に取り付けられている。これにより、第1マスク収容部71および第2マスク収容部72は、昇降部73による昇降に伴い一体的に昇降する。第1マスク収容部71および第2マスク収容部72は、第1マスク収容部71にマスクMを出し入れするための下降位置と、第2マスク収容部72にマスクMを出し入れするための上昇位置との間で、Z方向(上下方向)に移動可能に構成されている。
【0040】
第1マスク収容部71は、装置本体を覆う筐体10の内部に配置され、基板生産に使用していない第2マスクM2を収容するように構成されている。
【0041】
検知センサ8は、
図2に示すように、マスククランプ部材5とマスク交換ユニット7とに跨った状態のマスクMを検知するように構成されている。検知センサ8は、第1マスク収容部71および第2マスク収容部72にそれぞれ設けられている。具体的には、第1マスク収容部71に設けられた検知センサ8は、印刷位置Wと第1マスク収容部71との間でマスクMを移動させる際、マスククランプ部材5と第1マスク収容部71とに跨った状態で停止したマスクMを検知するように構成されている。第2マスク収容部72に設けられた検知センサ8は、印刷位置Wと第2マスク収容部72との間でマスクMを移動させる際、マスククランプ部材5と第2マスク収容部72とに跨った状態で停止したマスクMを検知するように構成されている。検知センサ8は、たとえば、透過型のセンサであり、光を照射する投光部と、投光部から照射された光を受光する受光部とを有する。
【0042】
制御装置9は、
図5に示すように、主制御部9aと、記憶部9bと、駆動制御部9cと、IO制御部9dと、カメラ制御部9eとを有する。主制御部9aは、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶部9bは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含み、基板データG1、マシンデータG2および印刷プログラムを記憶している。主制御部9aは、記憶部9bに記憶された印刷プログラムに基づいて印刷装置100の各部を制御する機能を有する。ここで、基板データG1は、基板Bの種類の情報、基板Bのサイズの情報、基板Bの種類に対応するマスクMの情報および基板Bの種類毎の印刷枚数の情報などを含む。マシンデータG2は、スキージユニット6のY方向の移動限界位置の情報、および、カメラユニット4のX方向およびY方向それぞれの移動限界位置の情報などを含む。
【0043】
主制御部9aは、駆動制御部9cにより、スキージユニット6を制御するように構成されている。具体的には、駆動制御部9cにより、スキージY軸駆動部62、スキージZ軸駆動部63およびスキージR軸駆動部64の駆動が制御されて、スキージ61がY方向およびZ方向に移動されるとともに、スキージ61がX方向に延びる回転軸線回りに回転される。
【0044】
主制御部9aは、駆動制御部9cにより、印刷テーブルユニット3を制御するように構成されている。具体的には、主制御部9aは、駆動制御部9cにより、X軸駆動部31、Y軸駆動部32、R軸駆動部33およびZ軸駆動部34を駆動させて、X方向、Y方向およびZ方向に基板Bを移動させるとともに、Z方向に延びる回転軸線周りに基板Bを回転させる。また、主制御部9aは、駆動制御部9cにより、支持板駆動部115を駆動させて、支持板114を移動させることにより、バックアップピン113をZ方向(上下方向)に移動させる。また、主制御部9aは、駆動制御部9cにより、基板幅軸駆動部12aを駆動させて、一対のコンベア12のY方向の間隔(幅)を調整させる。また、主制御部9aは、駆動制御部9cにより、基板搬送軸駆動部15を駆動させて、基板BをX方向に搬送させる。
【0045】
主制御部9aは、駆動制御部9cにより、カメラユニット4を制御するように構成されている。具体的には、主制御部9aは、駆動制御部9cにより、カメラX軸移動機構41およびカメラY軸移動機構42を駆動させて、X方向およびY方向に撮像部43(基板カメラ43aおよびマスクカメラ43b)を移動させる。
【0046】
主制御部9aは、カメラ制御部9eにより、カメラユニット4を制御するように構成されている。具体的には、主制御部9aは、カメラ制御部9eにより、基板カメラ43aによる基板Bの撮像動作を制御する。主制御部9aは、カメラ制御部9eにより、マスクカメラ43bによるマスクMの撮像動作を制御する。
【0047】
また、主制御部9aは、IO制御部9dにより、スキージユニット6を制御するように構成されている。具体的には、主制御部9aは、IO制御部9dにより、マスク摺動子65のスライド部65aの昇降動作を制御する。
【0048】
また、主制御部9aは、IO制御部9dにより、マスク交換ユニット7を制御するように構成されている。具体的には、主制御部9aは、IO制御部9dにより、昇降部73によるマスク交換ユニット7の第1マスク収容部71および第2マスク収容部72の昇降動作を制御する。また、主制御部9aは、IO制御部9dにより、カバーロック機構74のロック/解除を切り替える制御を行う。また、主制御部9aは、IO制御部9dにより、マスククランプ部材5と第1マスク収容部71とに跨った状態で停止したマスクMを検知した際の検知センサ8の検知信号を受信するように構成されている。主制御部9aは、IO制御部9dにより、マスククランプ部材5と第2マスク収容部72とに跨った状態で停止したマスクMを検知した際の検知センサ8の検知信号を受信するように構成されている。
【0049】
また、主制御部9aは、表示部91に、画像を表示させる制御を行う。具体的には、主制御部9aは、表示部91に操作用画面、動作状況の情報を示す画面、通知画面、警告画面などを表示させる制御を行う。表示部91は、たとえば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどのディスプレイを含む。また、主制御部9aは、入力部92を介して、作業者からの指示を受け付けるように構成されている。入力部92は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネルを含む。
【0050】
また、主制御部9aは、読取部93により読み取ったマスクMの識別情報Iの情報を取得するように構成されている。読取部93は、
図6に示すように、装置本体のY1側に配置されている。読取部93は、マスクM(第2マスクM2)の識別情報Iを読み取るように構成されている。読取部93は、たとえば、バーコードリーダ、RFリーダなどの読取装置を含む。識別情報Iは、マスクMの固有の識別情報を含んでいる。識別情報Iは、マスクMに付されている。
【0051】
図6に示すように、印刷装置100は、筐体10に覆われている。なお、
図1~
図3は、印刷装置100の構成を説明するために、筐体10を省略して図示している。また、
図7に示すように、筐体10のY1方向側の側面には、開口部10bが設けられている。開口部10bは、マスク収容部(第1マスク収容部71および第2マスク収容部72)にアクセスするために筐体10に設けられている。開口部10bは、通常運転時には、カバー10aにより覆われている。カバー10aは、マスク収容部(第1マスク収容部71および第2マスク収容部72)のマスクMを交換する場合に開放される。カバー10aは、カバーロック機構74により、閉塞状態でロックされるように構成されている。なお、カバーロック機構74は、特許請求の範囲の「ロック機構」の一例である。
【0052】
ここで、本実施形態では、制御装置9は、印刷位置Wに第1マスクM1が配置された状態において、第1マスクM1を使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクM2の識別情報Iの読取部93による読み取り結果に基づいて、次の基板生産における第2マスクM2の使用の適否を判断するように構成されている。具体的には、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、第1マスクM1を用いた基板生産を停止させずに、通知を行うように構成されている。つまり、制御装置9は、表示部91に、第2マスクM2が使用に適していないことを表示させる制御を行うように構成されている。
【0053】
たとえば、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産において使用する正しい種類のマスクMでない場合、第2マスクM2が次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている。この場合、表示部91には、第2マスクM2が正しい種類ではないことと、正しい種類のマスクMの情報が表示される。
【0054】
また、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産において使用する正しい種類のマスクMであるものの、第2マスクM2の状態が基板生産に適していない状態である場合、第2マスクM2が次の基板生産に適していないことを通知するように構成されている。この場合、表示部91には、第2マスクM2が正しい種類ではあるものの、基板生産に適していない状態であることが表示される。制御装置9は、第2マスクM2の使用回数、テンションおよび歪みのうち少なくとも1つに基づいて、第2マスクM2の状態を判断するように構成されている。つまり、使用回数が所定の回数よりも多い場合、テンションが所定の値より小さい場合や、歪みが大きい場合に、制御装置9は、第2マスクM2の状態が基板生産に適していない状態であると判断する。
【0055】
また、制御装置9は、読取部93による第2マスクM2の識別情報Iの読み取り結果に基づいて、カバー10aの開閉の状態を制御するように構成されている。具体的には、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、カバー10aを開放させないように制御するように構成されている。たとえば、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、カバーロック機構74によりカバー10aを閉塞状態でロックするように構成されている。
【0056】
また、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産に適しているものの、マスク摺動子65により第2マスクM2を印刷位置Wに移動させることができない場合、カバー10aを開放させないように制御するように構成されている。マスク摺動子65により第2マスクM2を印刷位置Wに移動させることができない場合は、たとえば、第1マスクM1と第2マスクM2とのX方向の幅が異なり、搬送機構の幅の調整が必要な場合である。また、第2マスクM2の大きさが所定の範囲外であり、マスク摺動子65によりY方向に移動させることができない場合である。
【0057】
また、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産に適しているものの、マスク摺動子65により第2マスクM2を印刷位置Wに移動させることができない場合、手動で第1マスクM1と第2マスクM2とを交換するよう通知を行うように構成されている。この場合、表示部91には、第2マスクM2をマスク収容部(第1マスク収容部71)に配置することができないことと、第1マスクM1と第2マスクM2とを手動で交換することの通知とが表示される。
【0058】
また、制御装置9は、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、マスク摺動子65によりマスク収容部(第1マスク収容部71)に収容された第2マスクM2を印刷位置Wに移動させないように制御するように構成されている。たとえば、基板生産の予定が変更して、第1マスク収容部71に配置された第2マスクM2が、正しい種類のマスクMではなくなった場合には、第2マスクM2は、印刷位置Wに移動されない。この場合、表示部91には、第2マスクM2が正しい種類ではないことと、正しい種類のマスクMの情報とが表示される。
【0059】
制御装置9は、予約やリストに基づいて次の基板生産の情報を取得する。たとえば、現在の基板生産中に次回以降の基板生産(基板の種類)が予約される。予約の方法は、印刷装置100から直接予約したり、生産計画から予めリスト形式で予約したりする。
【0060】
基板生産の予約を指定により行う場合、
図8に示すように、表示された基板の種類から、選択して予約を行う。また、リストにより予約する場合は、生産計画に基づいて、生産順がリスト化されたテーブルを、外部の装置から取得して予約がされる。生産計画のリストには、
図9に示すように、順番と、品種と、面(表裏)と、プログラム名と、生産枚数とが格納されている。
【0061】
また、制御装置9は、基板生産プログラムとして、
図10に示すようなマスク情報のリストを保有している。つまり、基板生産の種類が決定すれば、使用されるマスクMの種類が特定される。マスクMは、複数ラインでの生産に備えて、あるいは、バージョン違いなどにより、同一種類のマスクが複数用意される場合がある。そのため、マスク情報のリストには、各固有のマスクMを特定するマスクID情報が格納されている。また、マスク情報のリストには、使用回数、テンション(所定の力を付加した場合の変形量)、サイズ、基準となる座標位置が、マスク毎に紐付られて格納されている。使用回数は、1枚印刷毎に更新してもよいし、一連の基板生産が終了後、マスクMの交換時に更新されてもよい。テンションは、印刷装置100に、テンションメータを設け、自動的に更新してもよいし、オフラインで測定して更新してもよい。
【0062】
(マスク交換)
図11を参照して、マスク摺動子65によるマスクMの交換について説明する。
【0063】
図11(A)に示すように、マスク交換ユニット7を上昇させる。これにより、第2マスク収容部72の高さ位置と、印刷位置Wにおいて使用したマスクMの高さ位置とが略同じ位置になる。そして、マスク摺動子65により、印刷位置WのマスクMをY1方向に移動させる。この場合、マスクMのフレームFがY1方向に押圧されて、マスクMが第2マスク収容部72に向けて移動される。
【0064】
第2マスク収容部72にマスクMが収容されると、
図11(B)に示すように、マスク交換ユニット7を下降させる。これにより、第1マスク収容部71の高さ位置と、印刷位置Wの高さ位置とが略同じ位置になる。
【0065】
マスク交換ユニット7が下降すると、
図11(C)に示すように、マスク摺動子65により、第1マスク収容部71に収容されたマスクMをY2方向に移動させる。この場合、マスクMのフレームFがY2方向に押圧されて、マスクMが印刷位置Wに向けて移動される。第1マスク収容部71からマスクMが引き出されると、マスク交換ユニット7を上昇させてマスクMの交換が完了する。
【0066】
(印刷動作処理)
図12を参照して、制御装置9による印刷動作処理について説明する。
【0067】
図12のステップS1において、A基板の生産(印刷)が行われる。なお、A基板という記載は、後で生産するB基板と種類を区別するための記載である。ステップS2において、プログラムによる生産枚数の生産が完了したか否かが判断される。生産が完了しなければ、ステップS1に戻り、生産が完了すれば、ステップS3に進む。
【0068】
ステップS3において、B基板のマスクMのプリセットが完了しているか否かが判断される。具体的には、マスク収容部(第1マスク収容部71)に次の基板生産で使用するのに適したマスクMがセットされているか否かが判断される。B基板のマスクMがプリセットされていれば、ステップS4に進み、B基板のマスクMがプリセットされていなければ、印刷動作処理が終了される。ステップS4において、A基板用のマスクMと、B基板用のマスクMとが自動交換される。具体的には、マスク摺動子65によりマスクMが移動されてマスク交換が行われる。
【0069】
(次の基板生産(印刷)の準備処理)
図13を参照して、制御装置9による次の基板生産(印刷)の準備処理について説明する。この次の基板生産(印刷)の準備処理は、
図12の印刷動作処理のステップS1~S2と並行して行われる。
【0070】
ステップS11において、次に生産(印刷)するB基板が指定(予約)されたか否かが判断される。次に生産するB基板が指定されるまで、ステップS11の判断が繰り返される。次に生産するB基板が指定されると、ステップS12に進み、B基板生産(印刷)用のマスクMの情報が取得される。具体的には、
図10に示すマスク情報のリストに基づいてマスクMの情報が取得される。
【0071】
ステップS13において、準備されたマスクMのID(識別情報I)がスキャンされたか否かが判断される。準備されたマスクMのIDがスキャンされるまで、ステップS13の判断が繰り返される。準備されたマスクMのIDがスキャンされると、ステップS14において、準備されたマスクMが正しい種類のマスクMであるか否かが判断される。正しい種類のマスクMであれば、ステップS16に進み、正しくない種類のマスクMであれば、ステップS15に進む。
【0072】
ステップS15において、正しい種類のマスクMに交換するように通知される。具体的には、表示部91にエラー通知が表示される。また、表示部91に、準備されたマスクMの種類と、正しいマスクMの種類とが通知される。その後、ステップS13に戻る。ステップS16において、準備されたマスクMが基板生産に適した状態のマスクMであるか否かが判断される。基板生産に適した状態のマスクMであれば、ステップS20に進み、基板生産に適した状態ではないマスクMであれば、ステップS17に進む。
【0073】
ステップS17において、使用に適さないマスクMであることが通知される。具体的には、表示部91にエラー通知が表示される。ステップS18において、使用することが選択されたか否かが判断される。具体的には、作業者は、使用に最適ではない場合でも、生産される基板の品質に問題ないと考える場合に、準備したマスクMを使用することを選択することができる。使用することが選択された場合、ステップS20に進み、使用しないことが選択された場合、ステップS19に進む。ステップS19において、適した状態のマスクMに交換するように通知される。具体的には、表示部91にエラー通知が表示される。また、表示部91に、適した状態のマスクMのマスクID情報が通知される。その後、ステップS13に戻る。
【0074】
ステップS20において、自動交換に適したマスクMであるか否かが判断される。自動交換に適したマスクMであれば、ステップS21に進み、自動交換に適さないマスクMであれば、ステップS22に進む。ステップS21において、カバー10aのロックが解除される。これにより、カバー10aを開放することが可能となり、マスク収容部(第1マスク収容部71)にマスクMをセット(プリセット)することが可能となる。その後、次の基板生産(印刷)の準備処理が終了される。
【0075】
ステップS22において、自動交換が不可のマスクMであることが通知される。具体的には、表示部91にエラー通知が表示される。その後、次の基板生産(印刷)の準備処理が終了される。
【0076】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、印刷位置Wに第1マスクM1が配置された状態において、第1マスクM1を使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクM2の識別情報Iの読取部93による読み取り結果に基づいて、次の基板生産における第2マスクM2の使用の適否を判断する制御装置9を設ける。これにより、第1マスクM1を使用して基板生産を行っている間に、次の基板生産に使用するために準備された第2マスクM2の使用の適否が分かる。その結果、第2マスクM2が次の基板生産の使用に適さない場合でも、第1マスクM1を使用した基板生産を行っている間に適したマスクMに交換すれば、第1マスクM1を使用した基板生産(印刷)に続けて、第2マスクM2を使用した次の基板生産(印刷)を行うことができる。これにより、次の基板生産に適したマスクMが用意されないことに起因して基板生産の効率が低下するのを抑制することができる。また、第1マスクM1を使用した基板生産を行っている間であれば、作業者は任意の時間に第2マスクM2を適したマスクMに交換すればよいので、作業者の手の空いている時間に交換作業を行うことができる。その結果、作業者の交換作業の自由度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、第1マスクM1を用いた基板生産を停止させずに、通知を行うように構成する。これにより、次の基板生産に用いるマスクMの再準備を作業者に促しつつ、第1マスクM1を用いた基板生産を続けることができるので、基板生産の効率が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産において使用する正しい種類のマスクMでない場合、第2マスクM2が次の基板生産に適していないことを通知するように構成する。これにより、正しい種類のマスクMへの交換を効果的に促すことができるので、第1マスクM1を使用した基板生産の終了までに正しいマスクMに交換することにより、続けて基板生産(印刷)を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産において使用する正しい種類のマスクMであるものの、第2マスクM2の状態が基板生産に適していない状態である場合、第2マスクM2が次の基板生産に適していないことを通知するように構成する。これにより、同種類のマスクMが複数ある場合に、基板生産(印刷)により適したマスクMを使用するように促すことができるので、基板生産(印刷)の精度を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2の使用回数、テンションおよび歪みのうち少なくとも1つに基づいて、第2マスクM2の状態を判断するように構成する。これにより、第2マスクM2の使用回数が多い場合や、第2マスクM2のテンションが小さい場合や、第2マスクM2の歪みが大きい場合などに、第2マスクM2が基板生産(印刷)に適さないと判断することができるので、マスクMの状態に応じて基板生産により適したマスクMへの交換を促すことができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、読取部93による第2マスクM2の識別情報Iの読み取り結果に基づいて、カバー10aの開閉の状態を制御するように構成する。これにより、第2マスクM2の基板生産(印刷)の適否に基づいて、カバー10aの開放を制限することができるので、第2マスクM2の基板生産の適否に応じて、第1マスク収容部71および第2マスク収容部72へのアクセスを制限することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、カバー10aを開放させないように制御するように構成する。これにより、次の基板生産に適さない第2マスクM2がカバー10aが開放された開口部10bを介して第1マスク収容部71に誤って収容されるのを抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、カバーロック機構74によりカバー10aを閉塞状態でロックするように構成する。これにより、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合には、カバー10aを開けることができなくなるので、次の基板生産に適さない第2マスクM2が第1マスク収容部71に誤って収容されるのを効果的に抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産に適しているものの、マスク摺動子65により第2マスクM2を印刷位置Wに移動させることができない場合、カバー10aを開放させないように制御するように構成する。これにより、たとえば、第1マスクM1と第2マスクM2とのサイズが異なる場合などで、第2マスクM2を第1マスク収容部71から印刷位置Wに自動で移動させることができない場合には、第1マスク収容部71に第2マスクM2が配置されないようにすることができるので、作業者に無駄な段取り作業を行わせることを抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産に適しているものの、マスク摺動子65により第2マスクM2を印刷位置Wに移動させることができない場合、手動で第1マスクM1と第2マスクM2とを交換するよう通知を行うように構成する。これにより、自動で第1マスクM1と第2マスクM2とを交換することができない場合に、作業者に手動で交換するように促すことができるので、第1マスクM1を使用した基板生産中において、作業者が後で第2マスクM2への段取り替えを行う必要があることを予め把握することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置9を、第2マスクM2が次の基板生産における使用に適していない場合、マスク摺動子65により第1マスク収容部71に収容された第2マスクM2を印刷位置Wに移動させないように制御するように構成する。これにより、次の基板生産(印刷)に適さない第2マスクM2が第1マスク収容部71に収容された場合でも、第2マスクM2が印刷位置Wに移動されないので、印刷位置Wに正しいマスクMを配置する際に、適さないマスクMを取り除く必要がない。その結果、作業者に無駄な段取り作業を行わせることを抑制することができる。
【0088】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0089】
たとえば、上記実施形態では、第1マスクを使用した基板生産の次の基板生産に使用するために準備された第2マスクの識別情報を、作業者が読取部を操作して読み取る構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、印刷装置により自動で識別情報を読み取ってもよい。たとえば、マスク収容部に第2マスクが配置された場合に、識別情報を自動で読み取ってもよい。この場合、カメラユニットにより識別情報を撮影して読み取ってもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、マスク収容部を、2つのマスクを収容可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、マスク収容部を、1つまたは3つ以上のマスクを収容可能に構成してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、塗布材として半田を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、塗布材として半田以外を用いてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、筐体の開口部を覆うカバーをロック機構により閉塞状態でロックする構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カバーを自動で開閉する構成として、第2マスクが次の基板生産に適している場合に、開放するように構成してもよい。この場合、カバーは、シャッターにより構成されていてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、表示部の表示により通知を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、音声により通知してもよいし、外部の端末により通知してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、基板を搬送するレーンが1つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板を搬送するレーンが複数設けられていてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御装置(制御部)の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0096】
7 マスク交換ユニット
9 制御装置(制御部)
10 筐体
10a カバー
10b 開口部
51 スキージ
65 マスク摺動子(マスク移動機構)
71 第1マスク収容部(マスク収容部)
72 第2マスク収容部(マスク収容部)
74 カバーロック機構(ロック機構)
93 読取部
100 印刷装置
B 基板
I 識別情報
M マスク
M1 第1マスク
M2 第2マスク
P1 開口
W 印刷位置