(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置による処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 12/04 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
G06F12/04 530
(21)【出願番号】P 2018108454
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亮司
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ウィン ヴァン ニャット
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0208808(US,A1)
【文献】特開2010-098352(JP,A)
【文献】特開2010-226672(JP,A)
【文献】特開2012-044240(JP,A)
【文献】国際公開第2013/111593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06F 12/00 - 12/06
G06F 13/16 - 13/18
H04N 7/12
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記圧縮処理回路は、前記判定回路によって圧縮処理対象の前記画像ブロックの領域に前記タイル境界が含まれると判定された場合、前記画像処理回路によって画像処理された前記圧縮処理対象の画像ブロックを圧縮しないように構成されている、
半導体装置。
【請求項2】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記圧縮処理回路は、前記判定回路によって圧縮処理対象の前記画像ブロックの領域に前記タイル境界が含まれないと判定された場合、前記画像処理回路によって画像処理された前記圧縮処理対象の画像ブロックを圧縮するように構成されている、
半導体装置。
【請求項3】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記画像処理回路は、前記対象画像を前記タイル毎に符号化して符号化ストリームを生成するとともに、前記符号化ストリームに対応する局所復号画像を生成する、符号化回路であって、
前記圧縮処理回路は、前記符号化回路によって符号化処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行うように構成されている、
半導体装置。
【請求項4】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記画像処理回路は、前記対象画像を前記タイル毎に復号化して復号化画像を生成する復号化回路であって、
前記圧縮処理回路は、前記復号化回路によって復号化処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行うように構成されている、
半導体装置。
【請求項5】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記判定回路によって圧縮処理対象の前記画像ブロックの領域に前記タイル境界が含まれると判定された場合、
前記画像処理回路は、前記圧縮処理対象の画像ブロックのうち前記タイル境界によって分割された一方の領域の画像に対して画像処理を行った後に、他方の領域の画像に対して画像処理を行うように構成され、
前記圧縮処理回路は、画像処理された前記一方の領域の画像を圧縮せずにメモリに書き込んだ後、画像処理された前記他方の領域の画像を圧縮せずに前記メモリに書き込むように構成されている、
半導体装置。
【請求項6】
前記圧縮処理回路は、画像処理された前記一方の領域の画像に加えて前記他方の領域の画像に代わるダミー画像を前記メモリに書き込んだ後、画像処理された前記他方の領域の画像を、圧縮せずに、前記メモリの前記ダミー画像が書き込まれた記憶領域に上書きするように構成されている、
請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記画像処理回路は、さらに、前記一方の領域の画像と前記他方の領域の画像との境界領域に対してフィルタ処理を行うように構成され、
前記圧縮処理回路は、画像処理された前記一方の領域の画像を圧縮せずにメモリに書き込んだ後、前記フィルタ処理の結果のうち前記一方の領域の画像に対するフィルタ処理の結果を圧縮せずに前記メモリの対応する記憶領域に上書きし、かつ、画像処理されかつフィルタ処理された前記他方の領域の画像を圧縮せずに前記メモリに書き込むように構成されている、
請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項8】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記判定回路によって、隣接する前記画像ブロックである第1画像ブロック及び第2画像ブロックの境界線上に前記タイル境界が存在すると判定された場合、
前記画像処理回路は、前記第1及び前記第2画像ブロックのそれぞれに対して画像処理を行った後に、前記第1及び前記第2画像ブロックの境界領域に対してフィルタ処理を行うように構成され、
前記圧縮処理回路は、画像処理された前記第1画像ブロックを圧縮せずにメモリに書き込んだ後、前記第1及び前記第2画像ブロックの境界領域に対するフィルタ処理結果のうち、前記第1画像ブロックの領域に対するフィルタ処理結果を圧縮せずに前記メモリの対応する記憶領域に上書し、かつ、画像処理されかつフィルタ処理された前記第2画像ブロックを圧縮して前記メモリに書き込むように構成されている、
半導体装置。
【請求項9】
複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、
前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、
を備え
、
前記画像処理回路は、前記画像ブロックのうち前記タイル境界によって分割された一方の領域の画像に対して画像処理を行った後に、他方の領域の画像に対して画像処理を行うように構成され、
前記圧縮処理回路は、前記画像処理回路によって前記タイル境界における画像のフィルタ処理が行われない場合、前記判定回路による判定結果に関わらず、画像処理された前記一方の領域の画像と、前記他方の領域の画像に代わる第1ダミー画像と、からなる圧縮単位の第1分割画像ブロックを圧縮してメモリに書き込んだ後、画像処理された前記他方の領域の画像と、前記一方の領域の画像に代わる第2ダミー画像と、からなる圧縮単位の第2分割画像ブロックを圧縮して前記メモリに書き込むように構成されている、
半導体装置。
【請求項10】
前記メモリから読み出された圧縮後の前記第1及び前記第2分割画像ブロックをそれぞれ伸張した後、伸張された前記一方の領域の画像及び伸張された前記他方の領域の画像を結合させることによって前記画像ブロックを再生する伸張処理回路をさらに備えた、
請求項
9に記載の半導体装置。
【請求項11】
バスと、
前記バスに接続された請求項1
~10の何れか一項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の出力結果が前記バスを介して書き込まれるメモリと、
を備えた半導体システム。
【請求項12】
複数のタイルによって分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理し、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定処理を行い、
画像処理された前記画像ブロックに対して、判定結果に応じた圧縮処理を行う、
半導体装置による処理方法であって、
前記圧縮処理では、前記判定処理において圧縮処理対象の前記画像ブロックの領域に前記タイル境界が含まれると判定された場合、画像処理された前記圧縮処理対象の画像ブロックを圧縮しない、
半導体装置による処理方法。
【請求項13】
複数のタイルによって分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理し、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定処理を行い、
画像処理された前記画像ブロックに対して、判定結果に応じた圧縮処理を行う、
半導体装置による処理方法であって、
前記圧縮処理では、前記判定処理において圧縮処理対象の前記画像ブロックの領域に前記タイル境界が含まれないと判定された場合、画像処理された前記圧縮処理対象の画像ブロックを圧縮する、
半導体装置による処理方法。
【請求項14】
複数のタイルによって分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理し、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定処理を行い、
画像処理された前記画像ブロックに対して、判定結果に応じた圧縮処理を行う、
半導体装置による処理方法であって、
前記画像処理では、前記対象画像を前記タイル毎に符号化して符号化ストリームを生成するとともに、前記符号化ストリームに対応する局所復号画像を生成し、
前記圧縮処理では、符号化処理された前記画像ブロックに対して、前記判定結果に応じた圧縮処理を行う、
半導体装置による処理方法。
【請求項15】
複数のタイルによって分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理し、
前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、タイル境界が含まれるか否かを判定する判定処理を行い、
画像処理された前記画像ブロックに対して、判定結果に応じた圧縮処理を行う、
半導体装置による処理方法であって、
前記画像処理では、前記対象画像を前記タイル毎に復号化して復号化画像を生成し、
前記圧縮処理では、復号化処理された前記画像ブロックに対して、前記判定結果に応じた圧縮処理を行う、
半導体装置による処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び半導体装置による処理方法に関し、例えば、回路規模を増大させることなく効率よく画像データの圧縮処理を行うのに適した半導体装置及び半導体装置による処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置は、例えば、動画像を構成する各画像(フレーム)を符号化して符号化ストリームを生成する。ここで、画像処理装置は、符号化ストリームの各画像に対応する局所復号画像を、書き込みバスを介して外部メモリに書き込むとともに、外部メモリに書き込まれた別の局所復号画像を、読み出しバスを介して読み出して、符号化対象の画像の予測に用いている。
【0003】
しかしながら、この画像処理装置では、画像が大容量である場合、画像処理装置と外部メモリとの間のバスの帯域が大幅に消費されてしまうため、効率よく画像処理を行うことができないという問題があった。
【0004】
このような問題に対する解決策が特許文献1に開示されている。特許文献1には、符号化されたデータを圧縮したうえでメモリに書き込む半導体装置の構成が開示されている。それにより、この半導体装置は、当該半導体装置とメモリとの間のバスの帯域の消費を抑制することができるため、効率よく画像処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、画像処理装置は、符号化対象の画像を複数のタイルに分割してタイル毎に画像処理(例えば符号化処理)を行っている。この画像処理装置に特許文献1の圧縮処理の技術を適用した場合、当該画像処理装置は、例えば2つのタイルに跨がって設けられた圧縮単位の画像ブロックに対する圧縮処理を、当該2つのタイルの画像処理が共に完了した後にしか行うことができない。そのため、この画像処理装置は、一方のタイルの画像処理完了後から他方のタイルの画像処理が完了するまでの間に一方のタイルの画像処理結果を保持するための保持回路を備える必要があり、回路規模を増大させてしまうという問題があった。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置は、複数のタイルに分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理する画像処理回路と、前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、前記タイル境界が含まれるか否かを判定する判定回路と、前記画像処理回路によって画像処理された前記画像ブロックに対して、前記判定回路による判定結果に応じた圧縮処理を行う圧縮処理回路と、を備える。
【0008】
他の実施の形態によれば、半導体装置による処理方法は、複数のタイルによって分割された対象画像を当該タイル毎に画像処理し、前記対象画像の圧縮単位である画像ブロックの領域に、前記タイル境界が含まれるか否かを判定する判定処理を行い、画像処理された前記画像ブロックに対して、判定結果に応じた圧縮処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
前記一実施の形態によれば、回路規模を増大させることなく、効率よく圧縮処理を行うことが可能な半導体装置及び半導体装置による処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる画像処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】対象画像DVinの一部の領域P1を模式的に示す図である。
【
図3】対象画像DVinの一部の領域P2を模式的に示す図である。
【
図4】対象画像DVinの一部の領域P3を模式的に示す図である。
【
図5】対象画像DVinの一部の領域P3にダミー領域を挿入した場合のイメージ図である。
【
図6】圧縮の有無による画像ブロックのメモリ上での配置の違いを示す図である。
【
図7】実施の形態4にかかる画像処理システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0013】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかる画像処理システム(半導体システム)SYS1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる画像処理システムSYS1は、動画像を構成する各画像(フレーム)の符号化処理及び圧縮処理を行うシステムである。以下、具体的に説明する。
【0014】
図1に示すように、画像処理システムSYS1は、符号化回路(画像処理回路)11と、判定回路12と、圧縮処理回路13と、伸張処理回路14と、バス15と、バス16と、メモリ17と、を備える。なお、画像処理システムSYS1の構成要素のうちメモリ17以外の構成要素によって画像処理装置(半導体装置)1が構成されている。
【0015】
符号化回路11は、符号化対象の画像(以下、対象画像と称す)DVinを符号化することによって符号化ストリームBSoutを生成する部である。具体的には、符号化回路11は、タイル分割部111と、減算器112と、直交変換部113と、量子化部114と、可変長符号化部115と、逆量子化部116と、逆直交変換部117と、加算器118と、フィルタ119と、動き予測部120と、を備える。
【0016】
タイル分割部111は、対象画像DVinを符号化単位である複数の矩形状のタイルに分割する。なお、符号化回路11による各タイルの符号化処理は、実際には、各タイルを構成する複数の処理ブロックの単位で細分化して行われる。例えば、HEVC(High Efficiency Video Coding)では、各タイルを構成する複数のCTB(Coding Tree Block)の単位で符号化処理が行われる。また、VP9では、各タイルを構成する複数のSuperblockの単位で符号化処理が行われる。なお、当然ながら、CTBやSuperblockの単位で符号化処理が行われる場合に限られず、それ以外でも、各タイルを構成する複数の処理ブロック単位で符号化処理が行われることができる。
【0017】
減算器112は、タイル分割部111から一つずつ順番に出力されるタイル(以下、符号化対象タイルと称す)から、動き予測部120から出力された対応する予測タイルを減算することにより、差分タイルを出力する。なお、差分タイルは、符号化対象タイルから空間的な冗長性及び時間的な冗長性を取り除いたものである。
【0018】
直交変換部113は、各差分タイルに対してDCT(Discrete Cosine Transform)を施すことによってDCT係数を出力する。量子化部114は、直交変換部113から出力されたDCT係数を量子化する。なお、本実施の形態では、直交変換部113が、各差分タイルに対してDCTを施す場合を例に説明しているが、これに限られない。直交変換部113は、各差分タイルに対してDST(Discreate Sign Transform)等の他の種類の直交変換処理を施すように構成されても良い。
【0019】
可変長符号化部115は、量子化部114によって量子化されたDCT係数に対して可変長の符号化を行う。
【0020】
逆量子化部116は、量子化されたDCT係数に対して逆量子化を行う。逆直交変換部117は、逆量子化部116によって逆量子化されたDCT係数に対して逆DCTを施すことによって、差分復号タイルを出力する。なお、差分復号タイルは、減算器112から出力される差分タイルに対応する情報である。
【0021】
加算器118は、予測タイルと、差分復号タイルと、を加算する。フィルタ119は、加算器118の出力結果に対してフィルタ処理を施すことによって、局所復号タイルを出力する。例えば、フィルタ119は、タイル境界の凹凸を滑らかにするためのフィルタ処理を行う。
【0022】
ここで、符号化回路11は、対象画像DVinを構成する複数の符号化対象タイルのそれぞれに対して同様の処理を行うことによって、対象画像DVinが符号化された符号化ストリームBSoutを出力するとともに、複数の局所復号タイルからなる局所復号画像LDIを出力する。
【0023】
判定回路12は、タイル分割部111による分割情報、及び、圧縮処理回路13による圧縮情報に基づいて、局所復号画像LDI(より詳しくは局所復号画像LDIの元となった対象画像DVin)の圧縮単位である各画像ブロックにタイル境界X1が含まれているか否かを判定する。なお、タイル分割部111による分割情報には、例えば、各タイルの位置及びサイズの情報が含まれる。また、圧縮処理回路13による圧縮情報には、例えば、各画像ブロックの位置及びサイズの情報が含まれる。なお、各画像ブロックの位置及びサイズは、メモリ17の格納先アドレスから取得することもできる。
【0024】
圧縮処理回路13は、局所復号画像LDIの圧縮単位である各画像ブロックに対して、判定回路12による判定結果に応じた圧縮処理を行う。例えば、判定回路12によって圧縮処理対象の画像ブロックにタイル境界X1が含まれていないと判定された場合、圧縮処理回路13は、当該画像ブロックを圧縮する。それに対し、判定回路12によって圧縮処理対象の画像ブロックにタイル境界X1が含まれていると判定された場合、圧縮処理回路13は、当該画像ブロックを圧縮しない。圧縮処理回路13によって圧縮処理(圧縮しない処理を含む)された画像ブロックは、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。メモリ17に書き込まれた画像ブロックは、符号化回路11に設けられた動き予測部120による画像間予測(フレーム間予測)に用いられる。
【0025】
伸張処理回路14は、メモリ17からバス16を介して読み出された複数の画像ブロックのうち、圧縮処理回路13によって圧縮された画像ブロックに対して伸張処理を行う。そして、伸張処理回路14は、これら複数の画像ブロックを結合させることによって局所復号画像LDIを再生する。
【0026】
符号化回路11において、動き予測部120は、符号化対象タイルと、局所復号画像LDIのうち符号化対象タイルに対応する領域のタイル(参照タイル)と、を比較することによって、タイル間の画像の動きを予測し、予測された画像の動きを補償するタイルを予測タイルとして出力する。この予測タイルは、既に説明したように、減算器112及び加算器118に供給される。
【0027】
このように、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、タイル境界X1が含まれる画像ブロックについては圧縮を行わないため、タイル境界X1を挟んで形成された2つのタイルの一方のタイルの符号化完了後、他方のタイルの符号化が完了するまで、の間に、一方のタイルの符号化結果を保持するための保持回路を備える必要がない。また、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、タイル境界X1が含まれない画像ブロックについては圧縮を行うため、画像処理装置1とメモリ17との間のバス15の帯域の消費を抑制することができ、その結果、効率よく画像処理を行うことができる。即ち、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、回路規模を増大させることなく、効率よく画像処理を行うことができる。
【0028】
(画像処理装置1による処理内容の具体例)
続いて、画像処理装置1による判定処理及び圧縮処理の詳細について、
図2を用いて説明する。
【0029】
図2は、画像DVinの一部の領域P1を模式的に示す図である。
図2の例では、対象画像DVinの一部の領域P1が、符号化単位である矩形状のタイルT1,T2に分割されている。また、
図2の例では、対象画像DVinの一部の領域P1が、圧縮単位である矩形状の画像ブロックB1~B12に分割されている。
【0030】
例えば、画像DVinの一部の領域P1では、まず、タイルT1の領域に対して符号化処理が行われ、その後、タイルT2の領域に対して符号化処理が行われる。具体的には、まず、4行に分割されたタイルT1の領域のうち、1行目の領域E1から領域E2、2行目の領域E3から領域E4、3行目の領域E5から領域E6、及び、4行目の領域E7から領域E8にかけて、連続して符号化処理が行われる。その後、4行に分割されたタイルT2の領域のうち、1行目の領域E9から領域E10、2行目の領域E11から領域E12、3行目の領域E13から領域E14、及び、4行目の領域E15から領域E16にかけて、連続して符号化処理が行われる。
【0031】
また、符号化処理と並行して圧縮処理が行われる。
まず、判定回路12は、画像ブロックB1の領域にタイルT1、T2の境界線(以下、タイル境界と称す)X1が含まれているか否かの判定を行う。本例では、判定回路12は、画像ブロックB1の領域にタイル境界X1が含まれていないと判定する。それにより、圧縮処理回路13は、符号化処理された画像ブロックB1を圧縮する。圧縮された画像ブロックB1は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。画像ブロックB2~B4においても同様の処理が行われる。
【0032】
次に、判定回路12は、画像ブロックB5の領域にタイル境界X1が含まれているか否かの判定を行う。本例では、判定回路12は、画像ブロックB5の領域にタイル境界X1が含まれていると判定する。それにより、圧縮処理回路13は、画像ブロックB5の領域のうち、先に符号化処理されたタイルT1側の領域E2の画像データ(以下、画像データE2と称す)の圧縮を行わない。この圧縮されていない画像データE2は、ダミーの画像データ(以下、ダミーデータと称す)D9とともに、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。なお、ダミーデータD9は、まだ符号化処理されていないタイルT2側の領域E9の画像データの代わりのデータである。したがって、ダミーデータD9を付加せずに画像データE2のみがメモリ17に書き込まれても良い。画像ブロックB6~B8においても同様の処理が行われる。
【0033】
その後、タイルT2の領域E9の符号化処理が完了すると、符号化処理されたタイルT2側の領域E9の画像データ(以下、画像データE9と称す)は、圧縮されずに、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。このとき、メモリ17にダミーデータD9が書き込まれている場合には、ダミーデータD9は、画像データE9によって上書きされる。ここで、画像データE2及びダミーデータD9は圧縮されずにメモリ17に格納されているため、ダミーデータD9の格納先アドレスの算出は容易である。なお、画像データE9は、符号化回路11から圧縮処理回路13を経由してメモリ17に書き込まれてもよいし、符号化回路11からメモリ17に直接書き込まれてもよい。画像ブロックB6~B8においても、それぞれ領域E11,13,E15の符号化処理の完了後に同様の処理が行われる。
【0034】
次に、判定回路12は、画像ブロックB9の領域にタイルT1、T2の境界線であるタイル境界X1が含まれていないと判定する。それにより、圧縮処理回路13は、符号化処理された画像ブロックB9を圧縮する。圧縮された画像ブロックB9は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。画像ブロックB10~B12においても同様の処理が行われる。
【0035】
このように、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、タイル境界X1が含まれる画像ブロック(例えば画像ブロックB5)の圧縮を行わないため、タイル境界X1を挟んで形成されたタイルT1,T2の一方のタイルT1の符号化完了後、他方のタイルT2の符号化が完了するまで、の間に、一方のタイルT1の符号化結果を保持するための保持回路を備える必要がない。また、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、タイル境界X1が含まれない画像ブロック(例えば画像ブロックB1)については圧縮を行うため、画像処理装置1とメモリ17との間のバス15の帯域の消費を抑制することができ、その結果、効率よく画像処理を行うことができる。即ち、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、回路規模を増大させることなく、効率よく画像処理を行うことができる。
【0036】
なお、特許文献1の画像処理装置において、保持回路を設けることなく全ての画像ブロックの圧縮を行うことを目的として、画像ブロック間の境界線上にタイル境界X1が位置するように強引に調整しようとすると、タイルのサイズが統一されない等の問題がある。仮に、画像ブロック間の境界線上にタイル境界X1が位置するように調整された場合でも、タイル境界X1の画像にはフィルタ処理が行われるのが一般的である。そのため、タイル境界X1を挟んで設けられた2つのタイルの一方のタイルの画像処理が完了してから、他方のタイルの画像処理が完了し、かつ、タイル境界X1の画像に対してフィルタ処理が行われるまで、の間に、一方のタイルの画像処理結果を保持するための保持回路を備える必要がある。そのため、依然として回路規模が増大してしまうという問題がある。
【0037】
<実施の形態2>
本実施の形態では、画像処理装置1による判定処理及び圧縮処理の他の例について、
図3を用いて説明する。
【0038】
図3は、符号化対象の画像DVinの一部の領域P2を模式的に示す図である。
図3の例では、対象画像DVinの一部の領域P2が、符号化単位である矩形状のタイルT1,T2に分割されている。また、
図3の例では、対象画像DVinの一部の領域P2が、圧縮単位である矩形状の画像ブロックB1~B8に分割されている。
【0039】
ここで、
図3の例では、隣接する画像ブロックB1,B5の境界線上にタイル境界X1が存在している。同様に、隣接する画像ブロックB2,B6の境界線上、隣接する画像ブロックB3,B7の境界線上、及び、隣接する画像ブロックB4,B8の境界線上に、タイル境界X1が存在している。
【0040】
例えば、画像DVinの一部の領域P2では、まず、タイルT1の領域に対して符号化処理が行われ、その後、タイルT2の領域に対して符号化処理が行われる。具体的には、まず、4行に分割されたタイルT1の領域のうち、1行目の領域E1から領域E2、2行目の領域E3から領域E4、3行目の領域E5から領域E6、及び、4行目の領域E7から領域E8にかけて、連続して符号化処理が行われる。その後、4行に分割されたタイルT2の領域のうち、1行目の領域E9から領域E10、2行目の領域E11から領域E12、3行目の領域E13から領域E14、及び、4行目の領域E15から領域E16にかけて、連続して符号化処理が行われる。
【0041】
まず、判定回路12は、隣接する画像ブロックB1,B5の境界線上にタイル境界X1が存在すると判定する。それにより、圧縮処理回路13は、符号化処理された画像ブロックB1を圧縮しない。この圧縮されていない画像ブロックB1は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。画像ブロックB2~B4においても同様の処理が行われる。
【0042】
その後、タイルT2に属する画像ブロックB5の符号化処理が完了すると、フィルタ119によって、符号化処理された画像ブロックB1,B5の境界領域に対するフィルタ処理が行われる。その後、フィルタ処理された境界領域のうち、画像ブロックB1側の領域に対するフィルタ処理結果は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。このとき、メモリ17に格納された画像ブロックB1のうち画像ブロックB2との境界領域は、フィルタ処理結果によって上書きされる。ここで、画像ブロックB1は圧縮されずにメモリ17に格納されているため、フィルタ処理結果によって上書きされる記憶領域のアドレスの算出は容易である。なお、フィルタ処理結果は、符号化回路11から圧縮処理回路13を経由してメモリ17に書き込まれても良いし、符号化回路11からメモリ17に直接書き込まれても良い。画像ブロックB6~B8においても、それぞれ画像ブロックB2~B4との境界領域に対するフィルタ処理の完了後に同様の処理が行われる。
【0043】
また、圧縮処理回路13は、符号化処理され、かつ、フィルタ処理された画像ブロックB5を圧縮する。圧縮された画像ブロックB5は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。画像ブロックB6~B8においても、同様の処理が行われる。
【0044】
このように、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、隣接する画像ブロックの境界線上にタイル境界X1が存在する場合でも、実施の形態1の場合と同様に、回路規模を増大させることなく、効率よく画像処理を行うことができる。
【0045】
<実施の形態3>
本実施の形態では、画像処理装置1による判定処理及び圧縮処理の他の例について、
図4~
図6を用いて説明する。なお、本実施の形態では、タイル境界X1における画像のフィルタ処理が不要であるものとする。
【0046】
図4は、符号化対象の画像DVinの一部の領域P3を模式的に示す図である。なお、
図4に示す領域P3のタイルT1,T2及び画像ブロックB1~B12の関係については、
図2に示す領域P1の場合と同様であるため、その説明を省略する。また、
図5は、対象画像DVinの一部の領域P3にダミー領域を挿入した場合のイメージ図である。
図6は、圧縮の有無による画像ブロックのメモリ上での配置の違いを示す図である。
【0047】
圧縮処理回路13は、タイル境界X1における画像のフィルタ処理が不要である場合、圧縮処理対象の画像ブロックの領域にタイル境界X1が含まれているか否かに関わらず、当該画像ブロックを圧縮する。
【0048】
例えば、圧縮処理回路13は、判定回路12によって画像ブロックB5の領域にタイル境界X1が含まれていると判定された場合でも、当該画像ブロックB5を圧縮する。
【0049】
具体的には、圧縮処理回路13は、まず、先に符号化されたタイルT1側の領域E2の画像データ(以下、画像データE2と称す)と、ダミーデータD9と、からなる圧縮単位の画像ブロックB5_1を圧縮する。圧縮された画像ブロックB5_1は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。同様に、画像データE4,E6,E8とダミーデータD11,D13,D15とをそれぞれ組み合わせた画像ブロックB6_1,B7_1,B8_1が、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。
【0050】
その後、タイルT2側の領域E9の符号化処理が完了すると、圧縮処理回路13は、符号化処理されたタイルT2側の領域E9の画像データ(以下、画像データE9と称す)と、ダミーデータD2と、からなる圧縮単位の画像ブロックB5_2を圧縮する。圧縮された画像ブロックB5_2は、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。同様に、画像データE11,E13,E15とダミーデータD4,D6,D8とをそれぞれ組み合わせた画像ブロックB6_2,B7_2,B8_2が、バス15を介して、メモリ17に書き込まれる。
【0051】
画像ブロックB5の読み出しは以下の手順で行われる。まず、伸張処理回路14は、メモリ17からバス16を介して、圧縮された画像ブロックB5_1,B5_2を読み出す。その後、伸張処理回路14は、圧縮された画像ブロックB5_1,B5_2のそれぞれに対して伸長処理を行う。そして、伸張処理回路14は、伸長処理された画像ブロックB5_1,B5_2からそれぞれダミーデータD9,D2を除去し、残った画像データE2,E9を結合させることによって画像データB5を再生する。
【0052】
なお、圧縮された画像データB5_1,B5_2のメモリ17の格納先の先頭アドレスは、圧縮されずに格納された場合と同じ先頭アドレスとなるように設定されることが好ましい(
図6参照)。それにより、画像データB5_1,B5_2のアクセスが容易になる。あるいは、圧縮された画像データB5_1,B5_2をメモリ17に書き込む際に、画像データB5が画像データB5_1,B5_2の2つに分割されたことを示す情報、及び、画像ブロックB5_1,B5_2にダミーデータD9,D2が付加される前のそれぞれのデータサイズを補助情報として書き込むようにしてもよい。
【0053】
このように、本実施の形態にかかる画像処理装置1及びそれを備えた画像処理システムSYS1は、タイル境界X1における画像のフィルタ処理が不要である場合には、圧縮単位の画像ブロックのうちタイル境界X1によって分割された一方の領域をダミーデータとともに一つの画像ブロックとして圧縮するとともに、他方の領域をダミーデータとともに別の一つの画像ブロックとして圧縮する。それにより、本実施の形態にかかる画像処理装置1及び画像処理システムSYS1では、メモリ17の記憶容量を増やす必要があるものの、画像処理装置1とメモリ17との間のバスの帯域の消費を抑制することができる。
【0054】
<実施の形態4>
上記実施の形態1~3では、画像の符号化を行う画像処理装置1について説明した。それに対し、本実施の形態では、符号化ストリームの復号化を行う画像処理装置2について説明する。
【0055】
図7は、画像処理システム(半導体システム)SYS2の構成例を示すブロック図である。画像処理システムSYS2は、符号化ストリームBSinの復号化処理及び圧縮処理を行うシステムである。
【0056】
図7に示すように、画像処理システムSYS2は、復号化回路(画像処理回路)21と、判定回路22と、圧縮処理回路23と、伸張処理回路24と、バス25と、バス26と、メモリ27と、を備える。なお、画像処理システムSYS2の構成要素のうちメモリ27以外の構成要素によって画像処理装置(半導体装置)2が構成されている。
【0057】
復号化回路21は、復号化対象の符号化ストリームBSinを復号化することによって画像DVoutを生成する部である。具体的には、タイル分割部211と、可変長復号化部212と、逆量子化部213と、逆直交変換部214と、加算器215と、フィルタ216と、動き予測部217と、を備える。
【0058】
タイル分割部211は、復号化対象の符号化ストリームBSinを復号化単位である複数のタイルに分割する。なお、復号化回路21による各タイルの復号化処理は、実際には、各タイルを構成する複数の処理ブロックの単位で細分化して行われる。例えば、HEVC(High Efficiency Video Coding)では、各タイルを構成する複数のCTB(Coding Tree Block)の単位で復号化処理が行われる。また、VP9では、各タイルを構成する複数のSuperblockの単位で復号化処理が行われる。なお、当然ながら、CTBやSuperblockの単位で復号化処理が行われる場合に限られず、それ以外でも、各タイルを構成する複数の処理ブロック単位で復号化処理が行われることができる。
【0059】
可変長復号化部212は、タイル分割部211から一つずつ順番に出力されるタイル(以下、復号化対象タイルと称す)に対して可変長の復号化を行うことにより、量子化されたDCT係数を出力する。
【0060】
逆量子化部213は、量子化されたDCT係数に対して逆量子化を行う。逆直交変換部214は、逆量子化部213によって逆量子化されたDCT係数に対して逆DCTを施すことによって、差分復号タイルを出力する。
【0061】
加算器215は、差分復号タイルと、動き予測部217から出力された対応する予測タイルと、を加算する。フィルタ216は、加算器215の出力結果に対してフィルタ処理を施すことによって、復号化されたタイル(復号化タイル)を出力する。例えば、フィルタ216は、タイル境界の凹凸を滑らかにするフィルタ処理を行う。
【0062】
ここで、復号化回路21は、復号化対象の符号化ストリームBSoutを構成する複数の復号化対象タイルのそれぞれに対して同様の処理を行うことによって、複数の復号化タイルからなる画像DVoutを出力する。
【0063】
判定回路22は、タイル分割部211による分割情報、及び、圧縮処理回路23による圧縮情報に基づいて、画像DVoutの圧縮単位である各画像ブロックに、タイル境界X1が含まれるか否かを判定する。なお、タイル分割部211による分割情報には、例えば、各タイルの位置及びサイズの情報が含まれる。また、圧縮処理回路23による圧縮情報には、例えば、各画像ブロックの位置及びサイズの情報が含まれる。なお、各画像ブロックの位置及びサイズは、メモリ27の格納先アドレスから取得することもできる。
【0064】
圧縮処理回路23は、画像DVoutの圧縮単位である各画像ブロックに対して、判定回路22による判定結果に応じた圧縮処理を行う。例えば、判定回路22によって圧縮処理対象の画像ブロックにタイル境界X1が含まれていないと判定された場合、圧縮処理回路23は、当該画像ブロックを圧縮する。それに対し、判定回路22によって圧縮処理対象の画像ブロックにタイル境界X1が含まれていると判定された場合、圧縮処理回路23は、当該画像ブロックを圧縮しない。圧縮処理回路23によって圧縮処理(圧縮処理しない処理を含む)された画像ブロックは、バス25を介して、メモリ27に書き込まれる。メモリ27に書き込まれた画像ブロックは、復号化回路21に設けられた動き予測部217による画像間予測(フレーム間予測)に用いられる。
【0065】
伸張処理回路24は、メモリ27からバス26を介して読み出された複数の画像ブロックのうち、圧縮処理回路23によって圧縮された画像ブロックに対して伸張処理を行う。そして、伸張処理回路24は、これら複数の画像ブロックを結合させることによって画像DVoutを再生する。
【0066】
復号化回路21において、動き予測部217は、復号化対象タイルと、画像DVoutのうち復号化対象タイルに対応する領域のタイル(参照タイル)と、を比較することによってタイル間の画像の動きを予測し、予測された画像の動きを補償するタイルを予測タイルとして出力する。この予測タイルは、既に説明したように、加算器215に供給される。
【0067】
このように、本実施の形態にかかる画像処理装置2及びそれを備えた画像処理システムSYS2は、タイル境界X1が含まれる画像ブロックについては圧縮を行わないため、タイル境界X1を挟んで形成された2つのタイルの一方のタイルの復号化完了後、他方のタイルの復号化が完了するまで、の間に、一方のタイルの復号化結果を保持するための保持回路を備える必要がない。また、本実施の形態にかかる画像処理装置2及びそれを備えた画像処理システムSYS2は、タイル境界X1が含まれない画像ブロックについては圧縮を行うため、画像処理装置2とメモリ27との間のバスの帯域の消費を抑制することができ、その結果、効率よく画像処理を行うことができる。即ち、本実施の形態にかかる画像処理装置2及びそれを備えた画像処理システムSYS2は、回路規模を増大させることなく、効率よく画像処理を行うことができる。
【0068】
なお、本実施の形態4にかかる画像処理装置2による判定処理及び圧縮処理については、上記実施の形態1~3にかかる画像処理装置1による判定処理及び圧縮処理の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
以上のように、上記実施の形態1~4にかかる画像処理装置及びそれを備えた画像処理システムは、タイル境界X1が含まれる画像ブロックについては圧縮を行わないため、タイル境界X1を挟んで形成された2つのタイルの一方のタイルの画像処理後、他方のタイルの画像処理が完了するまで、の間に、一方のタイルの画像処理結果を保持するための保持回路を備える必要がない。また、上記実施の形態1~4にかかる画像処理装置及びそれを備えた画像処理システムは、タイル境界X1が含まれない画像ブロックについては圧縮を行うため、画像処理装置とメモリとの間のバスの帯域の消費を抑制することができ、その結果、効率よく画像処理を行うことができる。即ち、上記実施の形態1~4にかかる画像処理装置及びそれを備えた画像処理システムは、回路規模を増大させることなく、効率よく画像処理を行うことができる。
【0070】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0071】
1 画像処理装置
2 画像処理装置
11 符号化回路
12 判定回路
13 圧縮処理回路
14 伸張処理回路
15 バス
16 バス
17 メモリ
21 復号化回路
22 判定回路
23 圧縮処理回路
24 伸張処理回路
25 バス
26 バス
27 メモリ
111 タイル分割部
112 減算器
113 直交変換部
114 量子化部
115 可変長符号化部
116 逆量子化部
117 逆直交変換部
118 加算器
119 フィルタ
120 動き予測部
211 タイル分割部
212 可変長復号化部
213 逆量子化部
214 逆直交変換部
215 加算器
216 フィルタ
217 動き予測部
SYS1 画像処理システム
SYS2 画像処理システム
T1,T2 タイル
X1 タイル境界