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特許7082545情報処理方法、情報処理装置およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220601BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20220601BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T7/00 350B
G06T7/00 650B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018145357
(22)【出願日】2018-08-01
(65)【公開番号】P2020021326
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓也
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-182086(JP,A)
【文献】特開2015-143979(JP,A)
【文献】特開2012-123642(JP,A)
【文献】特開2011-28659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサのセンシングデータを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果および第2センサを用いた第2物体検出結果を取得し、
前記第1センサおよび前記第2センサのセンシング空間における特定の領域について、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果との一致度を判定し、
判定することで得られた前記一致度に応じて、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択し、
前記物体検出モデルにおける検出対象の物体は、互いに種類が異なる第1物体及び第2物体を含み、
前記特定の領域は、互いに異なる第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、前記物体検出モデルにおいて前記第1物体を検出対象とする領域であり、
前記第2領域は、前記物体検出モデルにおいて前記第2物体を検出対象とする領域である
情報処理方法。
【請求項2】
さらに、
前記一致度に応じて、前記第2物体検出結果を前記物体検出モデルの学習のための正解データとして選択する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記特定の領域は、さらに、前記物体検出モデルにおける検出対象の物体に応じた領域である
請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記検出対象の物体は、車両であり、
前記検出対象の物体に応じた領域は、前記センシング空間において道路に対応する領域である
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記検出対象の物体は、人であり、
前記検出対象の物体に応じた領域は、前記センシング空間において歩道に対応する領域である
請求項3または4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記第1センサおよび前記第2センサは移動体に保持され、
前記情報処理方法は、さらに、
地図情報と前記移動体の位置を示す位置情報とを取得し、
前記地図情報と前記位置情報とから道路又は歩道と判定される領域を前記特定の領域に決定する
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記第1センサおよび前記第2センサは移動体に保持され、
前記情報処理方法は、さらに、
画像を取得し、
取得した前記画像への画像認識を用いて道路又は歩道と判定される領域を前記特定の領域に決定する
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記学習用データとしての選択では、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果とが一致しない又は前記一致度が低い場合、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択する
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
第1センサのセンシングデータを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果および第2センサを用いた第2物体検出結果を取得する取得部と、
前記第1センサおよび前記第2センサのセンシング空間における特定の領域について、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果との一致度を判定する判定部と、
判定することで得られた前記一致度に応じて、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択する選択部と、を備え
前記物体検出モデルにおける検出対象の物体は、互いに種類が異なる第1物体及び第2物体を含み、
前記特定の領域は、互いに異なる第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、前記物体検出モデルにおいて前記第1物体を検出対象とする領域であり、
前記第2領域は、前記物体検出モデルにおいて前記第2物体を検出対象とする領域である
情報処理装置。
【請求項10】
第1センサのセンシングデータを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果および第2センサを用いた第2物体検出結果を取得し、
前記第1センサおよび前記第2センサのセンシング空間における特定の領域について、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果との一致度を判定し、
判定することで得られた前記一致度に応じて、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択
前記物体検出モデルにおける検出対象の物体は、互いに種類が異なる第1物体及び第2物体を含み、
前記特定の領域は、互いに異なる第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、前記物体検出モデルにおいて前記第1物体を検出対象とする領域であり、
前記第2領域は、前記物体検出モデルにおいて前記第2物体を検出対象とする領域である
情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、学習用データとするセンシングデータを選択する情報処理方法、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の種類のセンサのうち、あるセンサの検出結果を教師データとして別のセンサの出力から物体の認識を実行するための機械学習の教師あり学習データを自動的に収集するデータベース構築システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-102838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、教師データとなるセンサの検出結果の精度又は正確性(以下、単に精度とも称する。)が悪い場合には当該センサの検出結果が学習データとして採用されないため、精度が低いセンサを用いて学習データを得ることが難しい。
【0005】
そこで本開示では、精度が低いセンサによる検出結果を用いても所望の物体を検出するための学習用データを得ることができる情報処理方法、情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理方法は、第1センサのセンシングデータを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果および第2センサを用いた第2物体検出結果を取得し、前記第1センサおよび前記第2センサのセンシング空間における特定の領域について、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果との一致度を判定し、判定することで得られた前記一致度に応じて、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択する。
【0007】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る情報処理方法、情報処理装置およびプログラムは、精度が低いセンサによる検出結果を用いても所望の物体を検出するための学習用データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る情報処理システムの外観図を示す図である。
図2図2は、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る車両のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態1に係る情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図5A図5Aは、第1物体検出結果の一例を示す図である。
図5B図5Bは、第2物体検出結果の一例を示す図である。
図5C図5Cは、第2物体検出結果の他の一例を示す図である。
図6図6は、カメラの撮像範囲とLIDARの検知範囲とが重複する領域を示す図である。
図7図7は、判定部による道路が存在する領域を判定する処理の具体例について説明するための概略図である。
図8図8は、道路が存在する領域を画像データが示す画像上に投影した概略図である。
図9図9は、判定部による歩道が存在する領域を判定する処理の具体例について説明するための概略図である。
図10図10は、歩道が存在する領域を画像データが示す画像上に投影した概略図である。
図11A図11Aは、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定する処理について説明するための図である。
図11B図11Bは、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定する処理について説明するための図である。
図12図12は、情報処理システムにおける動作の一例を示すシーケンス図である。
図13図13は、実施の形態2に係る車両の機能構成の一例を示す図である。
図14図14は、実施の形態2に係る車両の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、データベース構築システムに関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0011】
近年、自動運転、監視カメラ、ロボットなどの分野において、カメラによって撮像された画像に対する、ディープラーニングなどの機械学習を用いた物体検出が活用されている。このような物体検出には、機械学習に用いる教師データが大量に必要となる。このため、さまざまなカメラで撮像された大量の画像が収集され、収集された画像に対して、人が正解を付与することで教師データを生成している。
【0012】
しかしながら、人が画像に対して正解を付与することにはコストがかかるため、単純に得られた全ての大量の画像から教師データを生成することは好ましくない。また、コストを考慮することなく、大量の画像の全てに対して正解を付与した教師データが得られたとしても、得られた大量の教師データについて機械学習を実行する必要があるため、機械学習にかかる処理負荷が大きくなり、また、処理時間も長くなる。よって、効率よく機械学習を行うためには、大量の画像の中から機械学習に有効な画像を選択することが必要である。
【0013】
ここで、機械学習には利用される大量の画像は、互いに異なるさまざまな状況で撮像された複数の画像により構成されること、つまり、多様性のある複数の画像により構成されることが必要である。言い換えると、互いに似た状況で撮像された複数の画像を用いるよりも、互いに異なる状況で撮像された複数の画像を用いる方が、効率のよい機械学習を実現するために効果的である。
【0014】
上述したように、特許文献1のデータベース構築システムでは、第一のセンサの出力データに基づく信頼度の高い物体の認識データを教師データと、第二のセンサにより得られた出力データである入力データとを対応付けることで教師あり学習データを収集している。
【0015】
しかしながら、第一のセンサの出力データに基づく物体の認識データの信頼度が高くない場合には、誤った教師データを生成するおそれがある。例えば、物体の認識データの信頼度は、第一のセンサの品質に依存するため、第一のセンサには一定以上の品質が要求されることとなる。つまり、従来技術では、精度が低いセンサによる検出結果を用いると、効率のよい機械学習を実現するための学習用データを得ることが難しい。従来技術では、認識データの信頼度が高くない場合は、当該認識データを教師データとして採用しないことも開示されている。しかし、これでは、精度が低いセンサが用いられたときに学習用データを得ることができなくなるおそれがある。
【0016】
このような問題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、第1センサのセンシングデータを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果および第2センサを用いた第2物体検出結果を取得し、前記第1センサおよび前記第2センサのセンシング空間における特定の領域について、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果との一致度を判定し、判定することで得られた前記一致度に応じて、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択する。
【0017】
このように、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度から学習用データを選択することにより、学習用データの有効性は第1センサおよび第2センサそれぞれの精度、特に第2センサの精度の影響を受けにくくなる。他方で、当該一致度のみを用いた判定では、センサの特性の違い等により検出対象(言い換えると学習対象)外の物体が要因で学習用データが選択されるおそれがある。これに対し、本態様によれば、第1センサおよび第2センサのセンシング空間における特定の領域について、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定するため、例えば物体検出の検出対象が存在する確率の高い領域における、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定することができる。これにより、検出対象外の物体が要因で学習用データが選択されることを抑制することができる。したがって、精度が低いセンサによる検出結果を用いても、所望の物体を検出するための学習用データを得ることができる。
【0018】
また、さらに、前記一致度に応じて、前記第2物体検出結果を前記物体検出モデルの学習のための正解データとして選択してもよい。
【0019】
このため、情報処理方法では、第1物体検出結果および第2物体検出結果の一致度が所定値以上である場合に、画像データに対して第2物体検出結果を正解データとして自動的に付与することができる。
【0020】
また、前記特定の領域は、さらに、前記物体検出モデルにおける検出対象の物体に応じた領域であってもよい。
【0021】
このため、一致度の判定の対象とする第1物体検出結果と第2物体検出結果とを、物体検出モデルにおける検出対象の物体に応じた領域に含まれる第1物体検出結果および第2物体検出結果により確実に絞り込むことができる。これにより、検出対象外の物体が要因で学習用データが選択されることをより確実に抑制することができる。
【0022】
また、前記検出対象の物体は、車両であり、前記検出対象の物体に応じた領域は、前記センシング空間において道路に対応する領域であってもよい。
【0023】
このため、一致度の判定の対象とする第1物体検出結果と第2物体検出結果とを、検出対象である車両に応じた領域、つまり、道路が存在する領域に含まれる第1物体検出結果および第2物体検出結果に絞り込むことができる。これにより、車両以外の物体が要因で学習用データが選択されることをより確実に抑制することができる。
【0024】
また、前記検出対象の物体は、人であり、前記検出対象の物体に応じた領域は、前記センシング空間において歩道に対応する領域であってもよい。
【0025】
このため、一致度の判定の対象とする第1物体検出結果と第2物体検出結果とを、検出対象である人に応じた領域、つまり、歩道が存在する領域に含まれる第1物体検出結果および第2物体検出結果に絞り込むことができる。これにより、人以外の物体が要因で学習用データが選択されることをより確実に抑制することができる。
【0026】
また、前記第1センサおよび前記第2センサは移動体に保持され、前記情報処理方法は、さらに、地図情報と前記移動体の位置を示す位置情報とを取得し、前記地図情報と前記位置情報とから道路又は歩道と判定される領域を前記特定の領域に決定してもよい。
【0027】
これによれば、地図情報と移動体の位置を示す位置情報とから道路又は歩道と判定される領域を特定するため、検出対象としての車両または人が含まれる可能性が高い領域をより確実に特定することができる。
【0028】
また、前記第1センサおよび前記第2センサは移動体に保持され、前記情報処理方法は、さらに、画像を取得し、取得した前記画像への画像認識を用いて道路又は歩道と判定される領域を前記特定の領域に決定してもよい。
【0029】
これによれば、画像に対する画像認識を実行することで、道路又は歩道と判定される領域を特定するため、検出対象としての車両または人が含まれる可能性が高い領域を実際の状況に即して特定することができる。
【0030】
また、前記学習用データとしての選択では、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果とが一致しない又は前記一致度が低い場合、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択してもよい。
【0031】
これによれば、物体検出モデルが学習できていない可能性が高いセンシングデータを学習用データとして選択することができる。
【0032】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0033】
以下、本発明の一態様に係る情報処理方法、情報処理装置およびプログラムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0034】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
(実施の形態1)
以下、図1図9を用いて、実施の形態1を説明する。
【0036】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係る情報処理システムの外観図を示す図である。
【0037】
具体的には、図1において、情報処理装置100、車両200、通信ネットワーク300および移動通信システムの基地局310が示されている。例えば、情報処理システム1は、これらの構成要素のうち、情報処理装置100および車両200を備える。なお、図1では、車両200は、1台が示されているが、2台以上でもよく、1台以上であれば何台でもよい。
【0038】
情報処理装置100は、車両200が備えるカメラ205により撮像された複数の画像を取得し、取得した複数の画像の中から機械学習のための学習用データを選択する装置である。情報処理装置100は、例えば、サーバである。
【0039】
車両200は、カメラ205およびLIDAR(Light Detection and Ranging)206を備え、カメラ205およびLIDAR206により得られた画像データを用いて得られる物体検出または物体認識の結果を用いて、自動運転または運転支援を行う車両200である。なお、車両200は、カメラ205およびLIDAR206を備えていればよく、必ずしも自動運転または運転支援を行う機能を有していなくてもよい。また、車両200は、移動体の一例であり、車両200以外の移動体であってもよい。
【0040】
通信ネットワーク300は、インターネットなどの汎用のネットワークであってもよいし、専用のネットワークであってもよい。基地局310は、例えば、第3世代移動通信システム(3G)、第4世代移動通信システム(4G)、または、LTE(登録商標)などのような移動通信システムで利用される基地局である。
【0041】
次に、情報処理装置100のハードウェア構成の具体例について図2を用いて説明する。
【0042】
図2は、実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
図2に示すように、情報処理装置100は、ハードウェア構成として、プロセッサ101と、メインメモリ102と、ストレージ103と、通信IF(Interface)104とを備える。
【0044】
プロセッサ101は、ストレージ103等に記憶された制御プログラムを実行するプロセッサである。
【0045】
メインメモリ102は、プロセッサ101が制御プログラムを実行するときに使用するワークエリアとして用いられる揮発性の記憶領域である。
【0046】
ストレージ103は、制御プログラム、または、画像データ、点群データなどの各種データを保持する不揮発性の記憶領域である。
【0047】
通信IF104は、通信ネットワークを介して車両200と通信する通信インタフェースである。通信IF104は、例えば、有線LANインタフェースである。なお、通信IF104は、無線LANインタフェースであってもよい。また、通信IF104は、LANインタフェースに限らずに、通信ネットワークとの通信接続を確立できる通信インタフェースであれば、どのような通信インタフェースであってもよい。
【0048】
次に、車両200のハードウェア構成の具体例について図3を用いて説明する。
【0049】
図3は、実施の形態1に係る車両のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図3に示すように、車両200は、ハードウェア構成として、プロセッサ201と、メインメモリ202と、ストレージ203と、通信IF(Interface)204と、カメラ205と、LIDAR206と、IMU(Inertial Measurement Unit)207と、GNSS(Global Navigation Satellite System)208とを備える。
【0051】
プロセッサ201は、ストレージ203等に記憶された制御プログラムを実行するプロセッサである。プロセッサ201は、車両200の自動運転または運転支援を行うためのECUに用いられるプロセッサを含んでいてもよい。
【0052】
メインメモリ202は、プロセッサ201が制御プログラムを実行するときに使用するワークエリアとして用いられる揮発性の記憶領域である。
【0053】
ストレージ203は、制御プログラム、または、画像データ、点群データなどの各種データを保持する不揮発性の記憶領域である。
【0054】
通信IF204は、通信ネットワーク300を介して情報処理装置100と通信する通信インタフェースである。つまり、通信IF204は、通信ネットワーク300に通信接続できる通信インタフェースであればよい。具体的には、通信IF204は、移動通信システムの基地局310との通信接続により、通信ネットワーク300と通信接続する通信インタフェースである。通信IF204は、例えば、第3世代移動通信システム(3G)、第4世代移動通信システム(4G)、または、LTE(登録商標)などのような移動通信システムで利用される通信規格に適合した無線通信インタフェースであってもよい。また、通信IF204は、例えば、IEEE802.11a、b、g、n、ac規格に適合した無線LAN(Local Area Network)インタフェースであってもよく、図示しないルータ(例えば、モバイル無線LANルータ)との通信接続により、通信ネットワーク300と通信接続する通信インタフェースであってもよい。
【0055】
カメラ205は、車両200に保持され、レンズなどの光学系およびイメージセンサを有する光学センサであり、第1センサの一例である。
【0056】
LIDAR206は、車両200に保持され、車両200の水平方向において360度全方位、および、垂直方向において所定の角度(例えば30度)の角度範囲の検出範囲にある物体との距離を検出するレーザセンサである。LIDAR206は、距離センサであり、第2センサの一例である。LIDAR206は、周囲にレーザを発し、周囲の物体に反射されたレーザを検知することで、LIDAR206から物体までの距離を計測する。LIDAR206は、例えば、センチメートルオーダーで当該距離を計測する。このように、LIDAR206は、車両200の周囲の地形表面の複数の点それぞれの3次元座標を検出する。つまり、LIDAR206は、周囲の地形表面の複数の3次元座標を検出することで、車両200の周囲の物体を含む地形の3次元形状を検出する。このように、LIDAR206では、複数の点の3次元座標で構成される点群データであって、車両200の周囲の物体を含む地形の3次元形状を示す点群データが得られる。なお、第2センサは、LIDARに限らずに、ミリ波レーダ、超音波センサ、ToF(Time of Flight)カメラ、ステレオカメラなどのような距離センサであってもよい。
【0057】
IMU207は、加速度センサおよびジャイロセンサを含むセンサ機器である。加速度センサは、車両200の異なる3方向のそれぞれにかかる加速度を検出するセンサである。ジャイロセンサは、車両200の異なる3方向を軸とした3軸周りそれぞれの回転における角速度を検出するセンサである。
【0058】
GNSS208は、GPS(Global Positioning System)衛星を含む人工衛星から当該GNSS208の位置を示す情報を受信する。つまり、GNSS208は、車両200の現在位置を検出する。
【0059】
次に、情報処理システム1の機能構成について図4を用いて説明する。
【0060】
図4は、実施の形態1に係る情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。なお、図4では、図1における通信ネットワーク300および基地局310を省略している。
【0061】
まず、車両200の機能構成について説明する。
【0062】
車両200は、機能構成として、検出部210と、記憶部220と、送信部230とを備える。
【0063】
検出部210は、車両200の第1センサとしてのカメラ205によりセンシングされたセンシングデータである画像データと、車両200の第2センサとしてのLIDAR206によりセンシングされたセンシングデータである点群データと、を検出する。
【0064】
検出部210は、複数の異なるタイミングでカメラ205により撮像された複数の画像データを検出する。例えば、複数の画像データは、カメラ205が撮像することにより得られた動画像または複数の静止画像を示すデータである。検出部210は、複数の異なるタイミングでLIDAR206により検出された複数の点群データを検出する。LIDAR206により得られる点群データは、複数の点のそれぞれを示す3次元座標に時刻が対応付けられていてもよいし、LIDAR206のレーザが1周または複数周するなど所定の単位で得られる点群毎に時刻が対応付けられてもよいし、複数の区切られた時間単位で取得された点群毎に時刻が対応付けられてもよい。
【0065】
検出部210は、複数の画像データを、複数の画像データを構成する複数のフレーム、または、複数の静止画像のそれぞれと、当該フレームまたは当該静止画像を撮像した時刻である撮像タイミングとを対応付けて記憶部220に記憶させる。また、検出部210は、複数の点群データのそれぞれと、当該点群データを検出した時刻である検出タイミングとを対応付けて記憶部220に記憶させる。複数の画像データと、複数の点群データとの、検出タイミングに応じた対応付けでは、一方のデータが得られたタイミングに最も近いタイミングで得られた他方のデータとを対応付けてもよいし、所定の時間間隔において検出された複数の画像データと、複数の点群データとを対応付けてもよい。
【0066】
検出部210は、例えば、カメラ205およびLIDAR206などにより実現される。
【0067】
記憶部220は、検出部210により検出された複数の画像データを、複数の画像データのそれぞれの撮像タイミングと共に記憶する。また、記憶部220は、検出部210により検出された複数の点群データを、複数の点群データのそれぞれの検出タイミングと共に記憶する。記憶部220は、例えば、ストレージ203により実現される。
【0068】
送信部230は、記憶部220に記憶された複数の画像データおよび複数の点群データを情報処理装置100に送信する。送信部230は、例えば、1日毎、1週間毎などのように、定期的に検出部210により検出された複数の画像データおよび複数の点群データを情報処理装置100に送信してもよい。また、送信部230は、例えば、車両200がドライバーの自宅などの当該車両200の保管場所に駐車されているときに、駐車までの間の走行により得られた複数の画像データおよび複数の点群データを、情報処理装置に送信してもよい。また、送信部230は、このときに、まだ情報処理装置100に送信していない複数の画像データおよび複数の点群データがあれば、当該複数の画像データおよび当該複数の点群データを、情報処理装置100に送信してもよい。
【0069】
送信部230は、例えば、プロセッサ201、メインメモリ202、ストレージ203、通信IF204などにより実現される。
【0070】
次に、情報処理装置100の機能構成について説明する。
【0071】
情報処理装置100は、機能構成として、取得部110と、記憶部120と、判定部130と、選択部150とを備える。
【0072】
取得部110は、複数の画像データおよび複数の点群データを車両200から取得する。取得部110は、複数の画像データに対して、記憶部120に記憶されている物体検出モデルを用いた検出処理を行うことで第1物体検出結果を取得する。また、取得部110は、複数の点群データのそれぞれに対して所定の処理を実行することにより得られた結果を、第2センサを用いた第2物体検出結果として取得する。取得部110は、例えば、所定の処理を実行することで、複数の点群データから地面を検出した点群を除いた後の点群を1以上の物体毎に分離した点群データを、第2物体検出結果として取得する。なお、第2物体検出結果は、1以上の物体毎に分離した点群データが占める3次元上の領域、または、1以上の物体毎に分離した点群データを画像データが示す画像に投影したときの2次元上の領域により構成されてもよい。また、第2物体検出結果は、点群データに所定の処理を実行することにより得られた結果に限らずに、点群データそのものであってもよい。
【0073】
ここで、取得部110による第1物体検出結果および第2物体検出結果を取得する処理の具体例について図5A図5Cを用いて説明する。
【0074】
図5A図5Cは、第1物体検出結果および第2物体検出結果の一例を示す図である。図5Aは、画像データが示す画像400における第1物体検出結果の一例を示す図である。図5Bは、画像データが示す画像400における第2物体検出結果の一例を示す図である。図5Cは、画像データが示す画像400における第2物体検出結果の他の一例を示す図である。図5Bおよび図5Cでは、第2物体検出結果は、説明の便宜上、第2物体検出結果である点群データを画像400上に投影した図で示しているが、実際には、画像400上に投影されていない点群データである。また、図5Bは、精度の高いセンサを用いて検出された結果の一例を示し、図5Cは、図5Bで示される第2物体検出結果が得られたセンサよりも精度の低いセンサを用いて検出された結果の一例を示す。なお、図5Bの第2物体検出結果が得られたセンサと、図5Cの第2物体検出結果が得られたセンサとは、いずれかが第2センサとして車両200に配置されていればよい。図5Bおよび図5Cを示しているのは、精度の高いセンサによる第2物体検出結果を用いた場合と、精度の低いセンサによる第2物体検出結果を用いた場合とを比較するためである。
【0075】
図5Aに示すように、取得部110は、画像400に対して物体検出モデルを用いた検出処理を行うことで画像400上の物体を検出し、画像400上における物体が位置する領域を示す枠などの情報を、複数の第1物体検出結果411~414として取得する。また、図5Bに示すように、取得部110は、精度の高いセンサにより取得された点群データに対して所定の処理を実行することで、複数の第2物体検出結果421~426を取得する。また、図5Cに示すように、取得部110は、精度の低いセンサにより取得された点群データに対して所定の処理を実行することで、複数の第2物体検出結果431~439を取得する。
【0076】
なお、取得部110は、例えば、プロセッサ101、メインメモリ102、ストレージ103、通信IF104などにより実現される。
【0077】
記憶部120は、物体を検出する検出処理に用いられる物体検出モデルを記憶している。物体検出モデルは、検出処理に用いられるだけでなく、物体がどんな物体であるかを認識する認識処理に用いられる物体認識モデルであってもよい。記憶部120は、例えば、ストレージ103などにより実現される。
【0078】
判定部130は、カメラ205およびLIDAR206のセンシング空間における領域について、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定する判定処理を行う。まず、判定部130は、例えば、図6に示すように、上記センシング空間において、カメラ205が撮像可能な撮像範囲R1と、LIDAR206が検知可能な検知範囲R2とが重複する領域R3を、判定処理に用いる特定の領域として特定する。
【0079】
なお、図6は、カメラの撮像範囲とLIDARの検知範囲とが重複する領域を示す図である。
【0080】
また、判定部130は、重複する領域のうち、記憶部120に記憶されている物体検出モデルにおける検出対象の物体に応じた領域を、判定処理に用いる特定の領域として特定してもよい。判定処理に用いる特定の領域は、例えば、車両200から取得した画像データが示す画像における2次元状の領域である。
【0081】
検出対象の物体は、例えば、車両である。つまり、検出対象の物体は、車両200の周囲の車両である。この場合、検出対象の物体に応じた領域は、センシング空間において道路が存在する領域である。
【0082】
図7は、判定部による道路が存在する領域を判定する処理の具体例について説明するための概略図である。図7は、道路が交差点である場合の一例であり、上方から車両および道路を見た場合の図である。
【0083】
図7に示すように、検出対象の物体に応じた領域を、道路が存在する領域とする場合、判定部130は、車両200が存在する位置から車両200の前方に一定の領域501を道路が存在する領域であると判定してもよい。なお、ここで、車両200の前方とは、例えば、車両200の走行方向における前方である。
【0084】
また、この場合、判定部130は、地図情報と車両200の位置を示す位置情報とを取得し、取得した地図情報で示される道路の位置と位置情報で示される車両200の位置とから道路が存在する領域502を判定してもよい。なお、情報処理装置100の記憶部120は、地図情報を記憶しており、取得部110は、記憶部120から地図情報を取得し、車両200から車両200のGNSS208により検出された車両200の位置を示す位置情報を取得する。また、取得部110は、外部の情報処理装置から地図情報を取得してもよい。
【0085】
なお、図7では、道路が交差点である場合の例を示しているため、地図情報と位置情報とで特定される、道路が存在する領域502の形状はクロス状の形状であるが、道路が交差点でない場合には前後方向に延びる直線状の形状である。
【0086】
図8は、道路が存在する領域を画像データが示す画像上に投影した概略図である。
【0087】
判定部130は、図8に示すように、道路が存在する領域として特定した、前方に一定の領域501を、画像データが示す画像400上に投影することで、画像400上において道路が存在する領域440を特定してもよい。
【0088】
また、判定部130は、取得部110により取得された画像データへの画像認識を用いて道路が存在する領域を判定してもよい。これにより、判定部130は、図8に示すような、画像400上における、道路が存在する領域440を特定してもよい。
【0089】
判定部130は、上記の3つの方法のうちの2以上を組み合わせることにより、道路が存在する領域を判定してもよい。
【0090】
検出対象の物体は、例えば、人である。この場合、検出対象の物体に応じた領域は、センシング空間において歩道が存在する領域である。
【0091】
図9は、判定部による歩道が存在する領域を判定する処理の具体例について説明するための概略図である。図9は、道路が交差点である場合の一例であり、上方から車両および歩道を見た場合の図である。
【0092】
図9に示すように、検出対象の物体に応じた領域を、歩道が存在する領域とする場合、判定部130は、車両200が存在する位置から車両200の両側方から前方に向かって延びる2本の一定の領域511を歩道が存在する領域であると判定してもよい。なお、ここで、車両200の側方とは、例えば、車両200の走行方向における左右の両側方である。また、この場合、判定部130は、地図情報と車両200の位置を示す位置情報とを取得し、取得した地図情報で示される歩道の位置と位置情報で示される車両200の位置とから歩道が存在する領域512を判定してもよい。なお、情報処理装置100の記憶部120は、地図情報を記憶しており、取得部110は、記憶部120から地図情報を取得し、車両200から車両200のGNSS208により検出された車両200の位置を示す位置情報を取得する。また、取得部110は、外部の情報処理装置から地図情報を取得してもよい。
【0093】
なお、図9では、道路が交差点である場合の例を示しているため、地図情報と位置情報とで特定される、歩道が存在する領域512の形状は4つのL字状の形状であるが、道路が交差点でない場合には2本の一定の領域511と同様に前後方向に延びる直線状の形状である。
【0094】
図10は、歩道が存在する領域を画像データが示す画像上に投影した概略図である。なお、図10における画像データが示す画像600は、図5A図5Cにおける画像データが示す画像400とは異なる画像である。
【0095】
判定部130は、図10に示すように、特定した、歩道が存在する2本の一定の領域511を、画像データが示す画像600上に投影することで、画像600上において歩道が存在する領域601を特定してもよい。
【0096】
また、判定部130は、取得部110により取得された画像データへの画像認識を用いて歩道が存在する領域を判定してもよい。これにより、判定部130は、図10に示すような、画像600上における、歩道が存在する領域601を特定してもよい。
【0097】
判定部130は、上記の3つの方法のうち2以上を組み合わせることにより、歩道が存在する領域を判定してもよい。
【0098】
なお、検出対象の物体に応じた領域は、センシング空間において道路が存在する領域である、または、歩道が存在する領域であるとしたが、センシング空間において道路または歩道が存在する領域であってもよい。
【0099】
判定部130は、判定処理に用いる特定の領域を特定した後で、特定した領域における、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定する。具体的には、判定部130は、取得した複数の画像データのそれぞれについて、当該画像データが示す画像のうちの特定した領域において、当該画像データが撮像されたタイミングにおいて検出された点群データを当該画像上の対応する2次元座標に投影する。そして、判定部130は、点群データを画像上に投影した複数の2次元座標である第2物体検出結果と、画像に対して検出処理を行うことで得られた画像上における物体が検出された領域である第1物体検出結果とを比較し、第1物体検出結果に第2物体検出結果が重なっている重なり度合い(つまり、重なり率)を一致度として判定する。
【0100】
図11Aおよび図11Bは、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定する処理について説明するための図である。図11Aは、図5Aで示す第1物体検出結果と、図5Bで示す第2物体検出結果とを画像400の領域401で重畳させた図である。図11Bは、図5Aで示す第1物体検出結果と、図5Cで示す第2物体検出結果とを画像400の領域401で重畳させた図である。なお、画像400の領域401とは、画像400全体が占める領域である。
【0101】
図11Aに示すように、画像400上の領域440において、複数の第1物体検出結果411~414と、複数の第2物体検出結果421~424とは、互いに重なっていることが分かる。判定部130は、例えば、第2物体検出結果が、第1物体検出結果に対する所定の割合(例えば5割など)より大きく重なっている場合に、両者が重なっていると判定する。一方で、画像400上の領域440には、複数の第1物体検出結果と重なっていない複数の第2物体検出結果425、426があることも分かる。このため、図11Aの場合、第1物体検出結果では検出されていない物体が、第2物体検出結果には2つ含まれることが分かる。
【0102】
また、図11Bに示すように、画像400上の領域440において、複数の第1物体検出結果411~414と、複数の第2物体検出結果431~433とは、互いに重なっていることが分かる。一方で、画像400上の領域440には、複数の第1物体検出結果と重なっていない複数の第2物体検出結果434~436があることもわかる。なお、第2物体検出結果434は、領域440と重なっている領域が、当該第2物体検出結果434に占める割合が所定の割合より少ないため、領域440と重なっていない他の第2物体検出結果437~439と同様に除外されもよい。これにより、図11Bの場合も、第1物体検出結果では検出されていない物体が、第2物体検出結果には2つ含まれることが分かる。
【0103】
判定部130は、例えば、全ての第1物体検出結果の数に対する、第2物体検出結果と重なっている第1物体検出結果の数の割合を一致度として判定してもよいし、第1物体検出結果に重なっている、第2物体検出結果を構成する点群の数を一致度として判定してもよいし、第1物体検出結果に重なっている、第2物体検出結果を構成する点群の数を、当該第1物体検出結果を構成する画素の数で除して得られた値を一致度として判定してもよい。全ての第1物体検出結果の数に対する、第2物体検出結果と重なっている第1物体検出結果の数の割合を一致度とする場合、図11Aの例と、図11Bの例とでは、一致度は互いに同じになる。
【0104】
このように、検出対象の物体が存在する確率が高い領域440に絞り込んで、第1物体検出結果および第2物体検出結果の一致度を判定するため、物体検出に関係しない第2物体検出結果434、437~439を一致度の判定対象から除外することができる。よって、センサの精度の高い低いにかかわらず、ほぼ同様の一致度を得ることができる。
【0105】
判定部130は、例えば、プロセッサ101、メインメモリ102、ストレージ103などにより実現される。
【0106】
選択部140は、判定部130による判定により得られた一致度に応じて、画像データを物体検出モデルの学習用データとして選択する。選択部140は、具体的には、第1物体検出結果と第2物体検出結果とが一致しない場合、または、判定部130で判定された一致度が低い場合、センシングデータとしての画像データを物体検出モデルの学習用データとして選択する。選択部140は、例えば、判定することで得られた一致度が所定値未満の画像データを物体検出モデルの学習用データとして選択し、当該一致度が所定値以上の画像データを学習用データとして選択しなくてもよい。これにより、選択部140は、第1物体検出結果と第2物体検出結果とが一致していない度合いが大きい画像データを学習用データとして選択するため、第1物体検出結果および第2物体検出結果の少なくともいずれかに検出結果に誤りがある場合の画像データを学習用データとして選択することができる。よって、効率のよい機械学習を実行するための画像データを選択することができる。
【0107】
また、選択部140は、一致度に応じて、第2物体検出結果を物体検出モデルの学習のための正解データとして選択してもよい。つまり、選択部140は、判定することで得られた一致度が所定値以上の点群データによる第2物体検出結果を正解データとして選択し、選択した第2物体検出結果を画像データに付与してもよい。これにより、情報処理装置100は、第1物体検出結果および第2物体検出結果の一致度が所定値以上である場合に、画像データに対して第2物体検出結果を正解データとして自動的に付与することができる。
【0108】
選択部140は、例えば、プロセッサ101、メインメモリ102、ストレージ103などにより実現される。
【0109】
[1-2.動作]
次に、実施の形態1に係る情報処理システム1の動作について説明する。
【0110】
図12は、情報処理システムにおける動作の一例を示すシーケンス図である。
【0111】
まず、車両200では、検出部210は、車両200のカメラ205によりセンシングされたセンシングデータである画像データと、車両200のLIDAR206によりセンシングされたセンシングデータである点群データと、を検出する(S11)。検出部210により検出された画像データおよび点群データは、記憶部220に記憶される。
【0112】
次に、車両200の送信部230は、記憶部220に記憶されている画像データおよび点群データを、通信ネットワーク300を介して情報処理装置100に送信する(S12)。
【0113】
情報処理装置100では、取得部110が車両200により送信された画像データおよび点群データを取得する(S21)。
【0114】
次に、情報処理装置100の取得部110は、画像データに対して記憶部120に記憶されている物体検出モデルを用いた検出処理を実行することで第1物体検出結果を取得し、点群データに対して所定の処理を実行することで第2物体検出結果を取得する(S22)。
【0115】
そして、情報処理装置100の判定部130は、カメラ205およびLIDAR206のセンシング空間における領域について、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定する(S23)。
【0116】
その後、情報処理装置100の選択部140は、判定部130により判定された一致度に応じて、画像データを物体検出モデルの学習用データとして選択する(S24)。
【0117】
なお、ステップS11、S12、S21~S24の各処理部による処理の詳細は、図4図11Bを用いた車両200の機能構成、および、情報処理装置100の機能構成の説明において説明しているため、省略する。
【0118】
[1-3.効果など]
本実施の形態に係る情報処理方法は、カメラ205の画像データを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果、および、LIDAR206を用いた第2物体検出結果を取得し、カメラ205およびLIDAR206のセンシング空間における特定の領域について、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定し、判定することで得られた一致度に応じて、画像データを物体検出モデルの学習用データとして選択する。
【0119】
これによれば、カメラ205およびLIDAR206のセンシング空間における領域R3について、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定するため、物体検出の検出対象が存在する確率の高い領域における、第1物体検出結果と第2物体検出結果との一致度を判定することができる。これにより、検出対象外の物体が要因で学習用データが選択されることを抑制することができる。したがって、精度が低い第2センサによる検出結果を用いても、所望の物体を検出するための学習用データを容易に得ることができる。
【0120】
また、本実施の形態に係る情報処理方法において、特定の領域は、さらに、物体検出モデルにおける検出対象の物体に応じた領域であってもよい。このため、一致度の判定の対象とする第1物体検出結果と第2物体検出結果とを、物体検出モデルにおける検出対象の物体に応じた領域に含まれる第1物体検出結果および第2物体検出結果により確実に絞り込むことができる。これにより、検出対象外の物体が要因で学習用データが選択されることをより確実に抑制することができる。
【0121】
また、本実施の形態に係る情報処理方法において、検出対象の物体は、車両であり、検出対象の物体に応じた領域は、センシング空間において道路に対応する領域であってもよい。このため、一致度の判定の対象とする第1物体検出結果と第2物体検出結果とを、検出対象である車両に応じた領域、つまり、道路が存在する領域に含まれる第1物体検出結果および第2物体検出結果に絞り込むことができる。これにより、車両以外の物体が要因で学習用データが選択されることをより確実に抑制することができる。
【0122】
また、本実施の形態に係る情報処理方法において、検出対象の物体は、人であり、検出対象の物体に応じた領域は、センシング空間において歩道に対応する領域であってもよい。このため、一致度の判定の対象とする第1物体検出結果と第2物体検出結果とを、検出対象である人に応じた領域、つまり、歩道が存在する領域に含まれる第1物体検出結果および第2物体検出結果に絞り込むことができる。これにより、人以外の物体が要因で学習用データが選択されることをより確実に抑制することができる。
【0123】
また、本実施の形態に係る情報処理方法において、カメラ205およびLIDAR206は車両200に保持され、当該情報処理方法は、さらに、地図情報と車両200の位置を示す位置情報とを取得し、地図情報と位置情報とから道路又は歩道と判定される領域を判定処理に用いる特定の領域に決定してもよい。これによれば、地図情報と車両200の位置を示す位置情報とから道路又は歩道と判定される領域を特定するため、検出対象としての車両または人が含まれる可能性が高い領域をより確実に特定することができる。
【0124】
また、本実施の形態に係る情報処理方法において、カメラ205およびLIDAR206は車両200に保持され、当該情報処理方法は、さらに、画像データを取得し、取得した画像データが示す画像への画像認識を用いて道路又は歩道と判定される領域を判定処理に用いる特定の領域に決定してもよい。これによれば、画像に対する画像認識を実行することで、道路又は歩道と判定される領域を特定するため、検出対象としての車両または人が含まれる可能性が高い領域を実際の状況に即して特定することができる。
【0125】
また、本実施の形態に係る情報処理方法において、学習用データの選択では、第1物体検出結果と第2物体検出結果とが一致しない又は一致度が低い場合、センシングデータとしての画像データを物体検出モデルの学習用データとして選択する。これによれば、物体検出モデルが学習できていない可能性が高いセンシングデータを学習用データとして選択することができる。
【0126】
(実施の形態2)
次に、図13および図14を用いて実施の形態2を説明する。
【0127】
実施の形態1に係る情報処理装置100は、車両200の外部のサーバであるとしたが、これに限らずに、車両200Aに搭載されていてもよい。
【0128】
図13は、実施の形態2に係る車両の機能構成の一例を示す図である。
【0129】
図13に示すように、車両200Aは、検出部210と、情報処理装置100とを備える。検出部210は、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。情報処理装置100Aは、検出部210から画像データおよび点群データを直接取得する点が実施の形態1に係る情報処理装置100と異なり、情報処理装置100Aのその他の構成は、情報処理装置100と同様であるため説明を省略する。
【0130】
図14は、実施の形態2に係る車両の動作の一例を示すフローチャートである。
【0131】
実施の形態2に係る車両200Aの動作は、実施の形態1に係る情報処理システム1の動作におけるステップS12が省略されたものと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0132】
本実施の形態に係る情報処理装置100Aは、車両200Aにおいて、撮像された複数の画像データから学習用データとする画像データを選択するため、例えば、選択した画像データのみを外部のサーバなどの情報処理装置に送信することができる。このため、車両200Aから外部のサーバへの通信量を削減することができ、通信負荷を低減することができる。
【0133】
[3.変形例]
上記実施の形態1または2に係る情報処理装置100、100Aでは、第1センサとしてカメラ205を用いているが、これに限らずに、第2センサとして採用される距離センサと異なる距離センサによる検出データを用いてもよい。また、情報処理装置100、100Aは、センシングデータとして画像データおよびLIDARの検出データの両方を採用してもよい。また、センシングデータとしては、他の光学センサによる検出データが採用されてもよい。なお、第1センサに距離センサによる検出データが用いられる場合、取得部110は、車両200に備えられるカメラであって、第1センサではないカメラによって撮像された画像データを取得し、判定部130が、画像データが示す画像に対して判定処理に用いる特定の領域を特定するための画像認識を実行してもよい。
【0134】
また、第2物体検出結果は、点群データに対して所定の処理を実行することで得られた結果としたが、これに限らずに、点群データから物体を検出するための物体検出モデルを用いて、点群データに対して検出処理を実行することで得られた結果であってもよい。また、第2センサがLIDARではなく、他の距離センサである場合には、他の距離センサにより得られたデータから物体を検出するための物体検出モデルを用いて、他の距離センサにより得られたデータに対して検出処理を実行することで得られた結果であってもよい。
【0135】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の情報処理方法および情報処理装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0136】
すなわち、このプログラムは、コンピュータに、第1センサのセンシングデータを入力とする物体検出モデルを用いた第1物体検出結果および第2センサを用いた第2物体検出結果を取得し、前記第1センサおよび前記第2センサのセンシング空間における特定の領域について、前記第1物体検出結果と前記第2物体検出結果との一致度を判定し、判定することで得られた前記一致度に応じて、前記センシングデータを前記物体検出モデルの学習用データとして選択する情報処理方法を実行させる。
【0137】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る情報処理方法、情報処理装置およびプログラムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本開示は、精度が低いセンサによる検出結果を用いても所望の物体を検出するための学習用データを得ることができる情報処理方法、情報処理装置およびプログラムなどとして有用である。
【符号の説明】
【0139】
1 情報処理システム
100、100A 情報処理装置
101、201 プロセッサ
102、202 メインメモリ
103、203 ストレージ
104、204 通信IF
110 取得部
120 記憶部
130 判定部
140 選択部
200、200A 車両
205 カメラ
206 LIDAR
207 IMU
208 GNSS
210 検出部
220 記憶部
230 送信部
300 通信ネットワーク
310 基地局
400 画像
401 画像の領域
411~414 第1物体検出結果
421~426、431~439 第2物体検出結果
440、502 道路が存在する領域
501、511 一定の領域
512、601 歩道が存在する領域
R1 撮像範囲
R2 検知範囲
R3 重複する領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14