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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】フロート式逆止弁の閉弁検査器具
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/04 20060101AFI20220601BHJP
   F16K 15/18 20060101ALI20220601BHJP
   F16K 31/18 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G01M3/04 H
F16K15/18 A
F16K31/18 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018160046
(22)【出願日】2018-08-29
(65)【公開番号】P2020034369
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小池 正
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-121533(JP,A)
【文献】特開平8-136389(JP,A)
【文献】実開昭57-44438(JP,U)
【文献】特開2009-2700(JP,A)
【文献】特開2001-263518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00-3/40
F16K 15/00-15/20
F16K 31/18-31/34
F16K 37/00
G01L 7/00-23/32,27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流通孔を有する弁座、該弁座の下流側に設けられ、前記流通孔を開閉するフロートを有する弁機構を備えたフロート式逆止弁の閉弁検査を行うフロート式逆止弁の閉弁検査器具であって、
第1の脚、該第1の脚よりも長さが短い第2の脚を有し、前記第1の脚の端部は液体の供給口であり、前記第2の脚の端部は前記供給口から供給された液体の排出口であるU字管と、
一端が前記排出口に接続された筒状に形成され、前記弁機構の下流側が前記排出口側に位置するように前記弁機構が、他端から挿入されて装着される装着部とを備え、
前記第1の脚側と前記第2の脚側との液体の所定の水頭差によって、前記フロートが前記流通孔を閉鎖するように構成されている
ことを特徴とするフロート式逆止弁の閉弁検査器具。
【請求項2】
請求項1に記載のフロート式逆止弁の閉弁検査器具において、
前記弁機構は、中心軸が上下流方向に延びる円柱状に形成され、下流側端部に前記弁座が取り付けられると共に、外周面に雄ねじ部が形成された取付部材を有しており、
前記装着部は、内周面に設けられ、前記取付部材の雄ねじ部と螺合することによって前記弁機構が装着される雌ねじ部を有している
ことを特徴とするフロート式逆止弁の閉弁検査器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフロート式逆止弁の閉弁検査器具において、
前記装着部は、外部から前記フロートの動作を視認可能に透明部材により形成されている
ことを特徴とするフロート式逆止弁の閉弁検査器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、フロート式逆止弁の閉弁検査を行う閉弁検査器具に関する。
【背景技術】
【0002】
排水管や排水口に設けられるフロート式逆止弁が知られている。例えば特許文献1に開示されているように、フロート式逆止弁は、流通孔を有する弁座、弁座の下流側に設けられ、弁座の流通孔を開閉するフロートを有する弁機構を備えている。フロート式逆止弁では、下流側から液体が逆流した場合、フロートが液体の流れによって弁座に着座し流通孔を閉鎖する。これにより、液体の逆流が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-185386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したようなフロート式逆止弁は、劣化等により弁座やフロートを交換した際、設定された液体圧力の下で確実にフロートが流通孔を閉鎖するかどうかの閉弁検査を行う必要があるところ、この閉弁検査を簡易に行いたいという要望があった。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、閉弁検査を簡易に行うことができるフロート式逆止弁の閉弁検査器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願のフロート式逆止弁の閉弁検査器具は、液体の流通孔を有する弁座、該弁座の下流側に設けられ、前記流通孔を開閉するフロートを有する弁機構を備えたフロート式逆止弁の閉弁検査を行うものである。
【0007】
本願のフロート式逆止弁の閉弁検査器具は、U字管と、装着部とを備えている。前記U字管は、第1の脚、該第1の脚よりも長さが短い第2の脚を有している。前記第1の脚の端部は液体の供給口であり、前記第2の脚の端部は前記供給口から供給された液体の排出口である。前記装着部は、一端が前記排出口に接続された筒状に形成され、前記弁機構の下流側が前記排出口側に位置するように前記弁機構が、他端から挿入されて装着されるものである。そして、本願のフロート式逆止弁の閉弁検査器具は、前記第1の脚側と前記第2の脚側との液体の所定の水頭差によって、前記フロートが前記流通孔を閉鎖するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本願のフロート式逆止弁の閉弁検査器具によれば、フロート式逆止弁の閉弁検査を簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るフロート式逆止弁の概略構成を示す断面図である。
図2図2は、実施形態に係る弁機構の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、実施形態に係る保持部材の概略構成を示す断面図である。
図4図4は、実施形態に係るフロート式逆止弁を上方から視て示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係るフロート式逆止弁を下方から視て示す図である。
図6図6は、実施形態に係る閉弁検査器具の概略構成を示す断面図である。
図7図7は、実施形態に係る閉弁検査器具の弁機構を装着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0011】
本実施形態の閉弁検査器具は、フロート式逆止弁の閉弁検査を行うものである。フロート式逆止弁の閉弁検査は、設定された液体圧力(設計圧力)の下でフロートが弁座の流通孔を閉鎖するかどうかを確認する検査である。
【0012】
〈フロート式逆止弁〉
閉弁検査器具の検査対象であるフロート式逆止弁の一例について図1図5を参照しながら説明する。フロート式逆止弁1(以下、単に逆止弁1とも言う。)は、地面や工場等の床面(以下、設置面101と言う。)に設けられた排液口102(または排水口)に設置される。設置面101に零れたり排出されたりした汚染水等の液体は、排液口102から排出される。
【0013】
逆止弁1は、排液口102の内部に設けられ、上流側(設置面101側)からの液体の流れは許容する一方、下流側からの液体の流れ(逆流)は阻止する。図1において、上側が上流側で下側が下流側である。即ち、本実施形態では、上下流方向は上下方向と一致している。逆止弁1は、保持部材10と、弁機構20とを備えている。
【0014】
保持部材10は、設置対象部である排液口102に固定され、内部を液体が流通する円筒状に形成されている。保持部材10は、中心軸が上下流方向に延びる状態で設けられている。保持部材10は、円形の排液口102に挿入され、例えば接着剤によって排液口102に固定されている。
【0015】
保持部材10は、上流側端である上端13が設置面101と面一となるように、排液口102に挿入されている。図3にも示すように、保持部材10は、上流側から順に、大径部11および小径部12が形成されている。大径部11の内径は、小径部12の内径よりも大きい。
【0016】
図2にも示すように、弁機構20は、弁座21と、取付部材22と、挟持部材23と、フロート25と、収容部30とを有している。弁機構20は、保持部材10の内部に設けられている。
【0017】
弁座21は、円環状の板部材であり、液体の流通孔21aを有している。弁座21は、例えば樹脂系の材料により形成されている。弁座21は、中心軸が上下流方向に延びる状態で設けられている。
【0018】
取付部材22は、中心軸が上下流方向に延びる円柱状に形成されている。取付部材22には、下流側端部に弁座21が取り付けられている。また、取付部材22の中央には、上下流方向に貫通して弁座21の流通孔21aと連通する液体の流入孔22aが設けられている。流入孔22aは、流通孔21aと同軸に設けられている。取付部材22の下面(下流側面)には、流入孔22aの縁部が凹んで成る円環状の段差部22bが設けられている。弁座21は、段差部22bに嵌め込まれている。
【0019】
挟持部材23は、円環状の板部材であり、例えば金属製である。挟持部材23は、中心軸が上下流方向に延びる状態で設けられている。挟持部材23は、取付部材22の下面に取り付けられ、取付部材22との間で弁座21を挟持している。挟持部材23は、外径が取付部材22の外径と同じである。なお、挟持部材23の内径は、弁座21の内径(即ち、流通孔21a)よりも若干大きい。
【0020】
フロート25は、球状に形成されており、例えば金属製である。フロート25は、弁座21の下方(下流側)に設けられている。フロート25は、弁座21に離着座して流通孔21aを開閉する弁体である。つまり、フロート25は、弁座21から離座することで流通孔21aを開放し、弁座21に着座することで流通孔21aを閉鎖する。フロート25は、下流側から液体が逆流した際、液体の流れによって上昇し弁座21に着座するように構成されている。
【0021】
収容部30は、弁座21の下方(下流側)に設けられ、フロート25を上下動自在に収容している。収容部30は、複数(本実施形態では、4本)の軸部材31と、底板33とを有している。
【0022】
複数の軸部材31は、フロート25の周囲に設けられている。軸部材31は、上下流方向に延びている。軸部材31は、上流側端部から順に、円形部31a、多角形部31cおよび円形部31bが形成されている。円形部31a,31bは、横断面が円形に形成されている。多角形部31cは、横断面が多角形(本実施形態では、六角形)に形成されている。多角形部31cは、外形の大きさが円形部31a,31bよりも大きい。
【0023】
軸部材31は、上流側の円形部31aが挟持部材23および取付部材22を貫通し、多角形部31cの端面が挟持部材23に接している。貫通した円形部31aの上端部には、ナット32が締結されている。つまり、挟持部材23は、軸部材31およびナット32によって取付部材22に固定されている。取付部材22および挟持部材23は、軸部材31の多角形部31cとナット32とによって挟持されている。
【0024】
底板33は、複数の軸部材31の下流側端部(下端部)に設けられている。具体的に、軸部材31は、下流側の円形部31bが底板33を貫通し、多角形部31cの端面が底板33の上面に接している。貫通した円形部31bの下端部には、ナット32が締結されている。つまり、底板33は、軸部材31およびナット32によって固定されている。
【0025】
こうして配置された複数の軸部材31および底板33の内方に、フロート25が収容されている。底板33は、フロート25の下限位置を規定するものである。図5にも示すように、底板33の中央には、円形の貫通孔33aが設けられている。貫通孔33aの孔径は、フロート25の外径よりも小さい。貫通孔33aは、下降したフロート25の一部が入る孔である。つまり、貫通孔33aは下降したフロート25が着座する孔である。
【0026】
逆止弁1は、弁機構20を回転させることによって弁機構20が保持部材10の内部に着脱されるように構成されている。
【0027】
具体的に、取付部材22は、外周面に設けられた雄ねじ部22cを有している。保持部材10は、内周面に設けられ、弁機構20を回転させることによって雄ねじ部22cと螺合する雌ねじ部15を有している。より詳しくは、雌ねじ部15は、保持部材10における大径部11の内周面に設けられている。こうして、弁機構20を回転させて雄ねじ部22cと雌ねじ部15とを螺合させることにより、弁機構20が保持部材10の内部に取り付けられる。
【0028】
取付部材22の流入孔22aは、挿入し回転させることによって弁機構20を回転させる工具の挿入孔を兼用している。図4に示すように、流入孔22aは、平面視で多角形状(本実施形態では、六角形状)に形成されている。工具(本実施形態では、六角棒スパナ(六角レンチとも言う。))を流入孔22aに挿入し該工具を回転させることによって、弁機構20が回転される。こうして、弁機構20を回転させることによって、弁機構20を保持部材10に着脱することができる。
【0029】
保持部材10の大径部11には、Oリング18が設けられている。具体的に、大径部11の内周面には、周方向に亘って溝17が形成されており、溝17にOリング18が嵌め込まれている。Oリング18は、弁機構20における挟持部材23の外周面と接している。これにより、保持部材10の内周面と弁機構20との間がOリング18によってシールされる。
【0030】
保持部材10の内周面には、弁機構20の上下流方向(上下方向)の位置決めを行う段差部16が設けられている。段差部16は、大径部11の内周面と小径部12の内周面との間に形成される段差である。弁機構20は、挟持部材23の下面が段差部16に接することによって、上下流方向の位置決めがされる。なお、本実施形態では、雌ねじ部15の長さ(上下流方向の長さ)を規定することによって、弁機構20の上下流方向の位置決めを行うようにしてもよい。
【0031】
図1に示すように、弁機構20は、保持部材10の上流側端である上端13から突出しないように、保持部材10の内部に設けられている。即ち、弁機構20は、設置面101から上方に突出しないように設けられている。また、弁機構20は、保持部材10の下流側端である下端14から突出しないように、保持部材10の内部に設けられている。つまり、弁機構20の全部が、保持部材10の内部に収容されている。
【0032】
上記のように構成された逆止弁1では、液体の流れがない場合、または、上流側から液体が流入する場合、フロート25は底板33まで下降した状態(図1に実線で示す状態)になる。つまり、流通孔21aは開放された状態になる。そのため、上流側の液体は、流入孔22aから流入し流通孔21aを介して下流側に排出される。一方、下流側から液体が逆流した場合、フロート25は液体の流れによって上昇し弁座21に着座する(図1に二点鎖線で示す状態)。これにより、流通孔21aが閉鎖されるので、液体の逆流が防止される。
【0033】
〈閉弁検査器具〉
本実施形態の閉弁検査器具70について図6および図7を参照しながら説明する。閉弁検査器具70は、U字管71と、装着部80とを備えている。
【0034】
U字管71は、互いに長さが異なる2つの脚72,74を有するU字形の管である。具体的に、U字管71は、第1の脚72および第2の脚74と、該2つの脚72,74の間に繋がる曲がり部73とを有している。第2の脚74は、第1の脚72よりも長さが十分に短い。
【0035】
U字管71の一端である第1の脚72の端部は、液体の供給口72aである。供給口72aは、水等の液体が供給される。U字管71の他端である第2の脚74の端部は、供給口72aから供給された液体の排出口74aである。排出口74aは、供給口72aから供給された液体が排出される。
【0036】
装着部80は、一端がU字管71の排出口74aに接続された円筒状に形成されている。装着部80は、上述したフロート式逆止弁1の弁機構20の下流側(図2において下側)が排出口74a側に位置するように、弁機構20が他端(図6において上上側の端部)から挿入されて装着される。
【0037】
装着部80は、中心軸が上下方向(鉛直方向)に延びる状態で設けられている。装着部80は、上端側から順に、大径部81、小径部82および接続部83が形成されている。装着部80の大径部81および小径部82は、上述した保持部材10の大径部11および小径部12と同様に構成されている。つまり、装着部80は、保持部材10の下端14に接続部83が連続して形成された構成となっている。
【0038】
具体的に、大径部81の内径は、小径部82の内径よりも大きい。装着部80は、内周面に設けられ、弁機構20における取付部材22の雄ねじ部22cと螺合する雌ねじ部84を有している。より詳しくは、雌ねじ部84は、装着部80における大径部81の内周面に設けられている。図7に示すように、弁機構20を回転させて雄ねじ部22cと雌ねじ部84とを螺合させることにより、弁機構20が装着部80の内部に取り付けられる(装着される)。その際、工具を流入孔22aに挿入し該工具を回転させることによって、弁機構20を回転させることができる。
【0039】
装着部80の大径部81には、保持部材10と同様、Oリング87が設けられている。Oリング87は、弁機構20における挟持部材23の外周面と接している。これにより、装着部80の内周面と弁機構20との間がOリング87によってシールされる。
【0040】
装着部80の内周面には、保持部材10と同様、弁機構20の上下方向の位置決めを行う段差部86が設けられている。段差部86は、大径部81の内周面と小径部82の内周面との境界に形成される段差である。弁機構20は、挟持部材23の下面が段差部86に接することによって、上下方向の位置決めがされる。なお、本実施形態では、雌ねじ部84の長さ(上下方向の長さ)を規定することによって、弁機構20の上下方向の位置決めを行うようにしてもよい。
【0041】
装着部80の接続部83は、ねじ穴85が設けられており、ねじ穴85を介して外部と大径部81の内部とが連通している。ねじ穴85には、U字管71の排出口74aが螺合により接続されている。装着部80は、U字管71の排出口74aから排出された液体が、大径部81の内部に流入するように構成されている。
【0042】
装着部80は、外部からフロート25の動作を視認可能に透明部材により形成されている。装着部80は、例えば透明な樹脂材料により形成されている。
【0043】
図7に示すように、閉弁検査器具70は、第1の脚72側と第2の脚74側との液体の所定の水頭差Hによって、フロート25が弁座21の流通孔21aを閉鎖するように構成されている。水頭差Hは、第1の脚72側の水頭Haと、第2の脚74側(即ち、弁機構20の弁座21の下面)の水頭Hbとの差であり、逆止弁1の設計圧力に相当する値である。
【0044】
閉弁検査では、供給口72aから液体が供給される。液体を供給していくと、やがて、装着部80において液位がフロート25の近傍まで達する。さらに、供給口72aから液体を供給し続けると、装着部80では、液位の上昇に伴って、フロート25が上昇し弁座21に着座する。この時点では、水頭差は所定の水頭差Hに達していない。そして、水頭差が所定の水頭差Hに達するまで液体を供給する。この時点で、フロート25に設計圧力が作用する。この状態で、装着部80において液体の漏れが生じるか否かを確認する。漏れが生じていない場合は、設計圧力の下で確実にフロート25が流通孔21aを閉鎖していると判断することができる。なお、液体の供給後において、水頭Haの低下や水頭差Hの縮小が起きた場合にも、液体の漏れが生じていると判断することができる。
【0045】
以上のように、上記実施形態の閉弁検査器具70は、U字管71と、装着部80とを備えている。U字管71は、第1の脚72、第1の脚72よりも長さが短い第2の脚74を有し、第1の脚72の端部は液体の供給口72aであり、第2の脚74の端部は供給口72aから供給された液体の排出口74aである。装着部80は、一端が排出口74aに接続された筒状に形成され、弁機構20の下流側が排出口74a側に位置するように弁機構20が、他端から挿入されて装着される。そして、閉弁検査器具70は、第1の脚72側と第2の脚74側との液体の所定の水頭差Hによって、フロート25が流通孔21aを閉鎖するように構成されている。
【0046】
上記の構成によれば、供給口72aから液体を供給する(注ぐ)だけでよいため、簡易に閉弁検査を行うことができる。また、現場において、弁座21やフロート25を交換し、閉弁検査を行うことができる。上記実施形態の閉弁検査器具70は、特に小型の逆止弁について有効である。
【0047】
また、上記実施形態の閉弁検査器具70において、装着部80は、内周面に設けられ、弁機構20の取付部材22の雄ねじ部22cと螺合することによって弁機構20が装着される雌ねじ部84を有している。この構成によれば、容易に弁機構20を装着部80に着脱させることができるので、閉弁検査がより簡易となる。
【0048】
また、上記実施形態の閉弁検査器具70において、装着部80は、外部からフロート25の動作を視認可能に透明部材により形成されている。そのため、フロート25による流通孔21aの閉鎖状態をより正確に確認することができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、U字管71も装着部80と同様に透明部材で形成するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、U字管と装着部とを一体形成するようにしてもよい。
【0051】
また、装着部は、非透明部材で形成するようにしてもよく、その場合でも、弁機構20の流入孔22aから液体の漏れがあるかどうかを確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本願に開示の技術は、フロート式逆止弁の閉弁検査器具について有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 フロート式逆止弁
20 弁機構
21 弁座
21a 流通孔
22 取付部材
22c 雄ねじ部
25 フロート
70 閉弁検査器具
71 U字管
72 第1の脚
72a 供給口
74 第2の脚
74a 排出口
80 装着部
84 雌ねじ部
H 水頭差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7