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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】防災情報システム及び防災情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20220601BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G08B27/00 C
H04M11/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018179745
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020052594
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】門馬 康太郎
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-245579(JP,A)
【文献】特開平11-316781(JP,A)
【文献】特開2014-041507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0124843(US,A1)
【文献】特開2013-020448(JP,A)
【文献】国土交通省 関東地方整備局 ほか,みんなでタイムラインプロジェクトを始動,[online],2016年10月24日,[令和4年4月27日検索], インターネット<URL:http://www.city.joso.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/50/mytimeline.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B19/00-31/00
G16Z99/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自治体が管理する防災情報サーバと自治体の住民が所持する端末とを備えた防災情報システムにおいて、
前記端末は、災害のフェーズ別に策定された、該端末の使用者個人の防災行動計画である個人タイムラインを保持しており、
前記防災情報サーバは、災害のフェーズを示すフェーズ情報を配信し、
前記端末は、前記防災情報サーバからフェーズ情報を受信したことに応じて、該フェーズ情報に対応する個人タイムラインを表示することを特徴とする防災情報システム。
【請求項2】
請求項1に記載の防災情報システムにおいて、
前記防災情報サーバは、自治体の住民に宛てた防災行動計画である自治体タイムラインを更に配信し、
前記端末は、前記個人タイムラインの表示に加えて、前記防災情報サーバから受信した自治体タイムラインの表示を行うことを特徴とする防災情報システム。
【請求項3】
請求項2に記載の防災情報システムにおいて、
前記端末は、使用者の属性情報を保持しており、
前記防災情報サーバから配信される自治体タイムラインには、住民の属性毎のタイムラインが含まれており、
前記端末は、前記個人タイムラインの表示に加えて、前記属性毎のタイムラインのうちの該端末の使用者の属性情報に対応したタイムラインの表示を行うことを特徴とする防災情報システム。
【請求項4】
請求項2に記載の防災情報システムにおいて、
前記端末は、位置情報を取得する機能を有しており、
前記防災情報サーバから配信される自治体タイムラインには、住民の所在エリア毎のタイムラインが含まれており、
前記端末は、前記個人タイムラインの表示に加えて、前記所在エリア毎のタイムラインのうちの該端末の位置情報に対応したタイムラインの表示を行うことを特徴とする防災情報システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の防災情報システムにおいて、
前記端末は、表示したタイムラインの実行状況の入力を使用者から受け付けて、前記防災情報サーバに送信することを特徴とする防災情報システム。
【請求項6】
自治体が管理する防災情報サーバと自治体の住民が所持する端末とを用いて実施される防災情報提供方法において、
前記端末は、災害のフェーズ別に策定された、該端末の使用者個人の防災行動計画である個人タイムラインを保持しており、
前記防災情報サーバが、前記防災情報として、災害のフェーズを示すフェーズ情報を配信し、
前記端末が、前記防災情報サーバからフェーズ情報を受信したことに応じて、該フェーズ情報に対応する個人タイムラインを表示することを特徴とする防災情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時におけるタイムライン(防災行動計画)の実行を支援する防災情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイムラインの管理及び実行を支援するソフトウェアが存在し、防災関係機関向けに提供されている。タイムラインとは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画であり、「防災行動計画」とも称される。これまでは、国、自治体、企業等がタイムラインを策定していたが、防災意識の向上から個人のタイムラインを策定する動きが広まっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、災害発生時に利用者に対して避難誘導情報を提供する際、利用者の身体能力を考慮した避難誘導情報を提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-045519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
個人のタイムラインの考え方が広まる一方で、現状では個人が策定したタイムラインの実行を支援するソフトウェアは無く、災害時には自治体から情報(防災行政無線等)を収集し、自身で保管しているタイムラインと照らし合わせて行動しなければならない。
【0006】
本発明は、上記のような従来の事情に鑑みて為されたものであり、個人のタイムラインの実行を支援する防災情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、防災情報システムを以下のように構成した。
すなわち、自治体が管理する防災情報サーバと自治体の住民が所持する端末とを備えた防災情報システムにおいて、前記端末は、災害のフェーズ別に策定された、該端末の使用者個人の防災行動計画である個人タイムラインを保持しており、前記防災情報サーバは、災害のフェーズを示すフェーズ情報を配信し、前記端末は、前記防災情報サーバからフェーズ情報を受信したことに応じて、該フェーズ情報に対応する個人タイムラインを表示することを特徴とする。
【0008】
ここで、一構成例として、前記防災情報サーバは、災害のフェーズ別に策定された、自治体の住民に宛てた防災行動計画である自治体タイムラインを更に配信し、前記端末は、前記個人タイムラインの表示に加えて、前記防災情報サーバから受信した自治体タイムラインの表示を行う構成としてもよい。
【0009】
また、前記端末は、使用者の属性情報を保持しており、前記防災情報サーバから配信される自治体タイムラインには、住民の属性毎のタイムラインが含まれており、前記端末は、前記個人タイムラインの表示に加えて、前記属性毎のタイムラインのうちの該端末の使用者の属性情報に対応したタイムラインの表示を行う構成としてもよい。
【0010】
また、前記端末は、位置情報を取得する機能を有しており、前記防災情報サーバから配信される自治体タイムラインには、住民の所在エリア毎のタイムラインが含まれており、前記端末は、前記個人タイムラインの表示に加えて、前記所在エリア毎のタイムラインのうちの該端末の位置情報に対応したタイムラインの表示を行う構成としてもよい。
【0011】
また、前記端末は、表示したタイムラインの実行状況の入力を使用者から受け付けて、前記防災情報サーバに送信する構成としてもよい。
【0012】
また、本発明は、上記のような防災情報サーバと端末とを用いて実行される防災情報提供方法として把握することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、個人のタイムラインの実行を支援する防災情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る防災情報システムの構成例を示す図である。
図2図1の防災情報システムによるタイムライン実行支援の処理シーケンスの例を示す図である。
図3図1の情報端末によるタイムライン表示の処理フローの例を示す図である。
図4図1の情報端末によるタイムライン表示の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る防災情報システムについて、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る防災情報システムの構成例を示してある。本例の防災情報システムは、自治体が運用している防災情報サーバ1と、自治体の住民が所持している情報端末3とを連動させることで、個々の住民が自身で策定した防災行動計画である個人タイムラインの実行を支援する。
【0016】
情報端末3としては、スマートフォンやiPhone(登録商標)等の携帯型端末が主に使用される。なお、携帯電話やタブレットPC等の他のタイプの端末を情報端末3に使用しても構わず、インターネット等の通信回線を用いて防災情報サーバ1と通信することが可能であればよい。
【0017】
防災情報サーバ1は、自治体の庁舎内等に設置されており、自治体の職員等によって操作される。防災情報サーバ1は、災害の予兆がある場合又は災害の発生時に、職員等の操作に応じて、自治体の住民が所持している複数の情報端末3へ防災情報を一斉に配信する。防災情報サーバ1から配信される防災情報には、災害の種類(洪水、台風、地震など)及びそのフェーズ(段階)を示すフェーズ情報と、自治体の全ての住民に宛てた防災行動計画である自治体タイムラインとが含まれる。以下では、災害の「種類」と「フェーズ」を明示的に区別して記載する場合を除き、「フェーズ」を災害の種類も含む用語として用いる。
【0018】
災害のフェーズ情報は、災害の種類に応じて異なり得る。例えば、洪水の場合は、洪水予報の発表をフェーズ情報として使用することができる。具体例を挙げると、○○川の洪水に関するフェーズ情報としては、○○川氾濫注意情報、○○川氾濫警戒情報、○○川氾濫危険情報、○○川氾濫発生情報などを使用することができる。○○川氾濫注意情報は、○○川が氾濫注意水位に到達し、更に水位の上昇が見込まれる場合に発せられる洪水予報であり、氾濫の発生に対する注意を求める段階である。○○川氾濫警戒情報は、○○川が一定時間後に氾濫危険水位に到達が見込まれる場合、あるいは避難判断水位に到達し、さらに水位の上昇が見込まれる場合に発せられる洪水予報であり、避難準備などの氾濫発生に対する警戒を求める段階である。○○川氾濫危険情報は、○○川が氾濫危険水位に到達した場合に発せられる洪水予報であり、いつ氾濫してもおかしくない状態で、避難等の氾濫発生に対する対応を求める段階である。○○川氾濫発生情報は、○○川で氾濫の発生時に発せられる洪水予報(氾濫水の予報)であり、氾濫水への警戒を求める段階である。
【0019】
同様に、台風の場合は、台風予報の発表をフェーズ情報として使用することができる。この場合、「△日後台風が到達する可能性があります。」といった発表もフェーズ情報となり得る。また、地震の場合は、「地震速報」や「避難所の開設」等の発表をフェーズ情報として使用することができる。どのような情報をフェーズ情報に使用するかは、システム的に予め規定しておいてもよいし、防災情報サーバ1の操作者が設定してもよい。
【0020】
自治体タイムラインには、住民の属性毎のタイムラインと、住民の所在エリア毎のタイムラインとが含まれる。住民の属性毎のタイムラインは、例えば、高齢者に宛てたタイムライン、障がい者や妊婦などの他の要配慮者に宛てたタイムライン、これらに該当しない住民に宛てたタイムラインなどで構成される。住民の所在エリア毎のタイムラインは、河川の近辺や土砂災害の可能性がある付近といった、特定のエリアに所在している住民に宛てたタイムラインである。
【0021】
これらの自治体タイムラインは、災害のフェーズ別に策定されており、情報端末3へ災害のフェーズ情報を配信する際に併せて配信される。災害のフェーズ情報は、災害のフェーズが変化する毎に送信されるが、自治体タイムラインは、その災害の1段階目のフェーズ情報の送信時に全てのフェーズのものを送信しておくことで、以降の送信を省略することができる。なお、フェーズ情報を送信する際に、そのフェーズ情報に対応する自治体タイムラインのみを選択して送信するように構成しても構わない。あるいは、全ての災害の種類及びフェーズの自治体タイムラインを予め配信しておく構成とすることもできる。
【0022】
情報端末3は、図1に示すように、GPS(Global Positioning System)2から位置情報を受信するGPS受信部4と、防災情報サーバ1から災害のフェーズ情報及び自治体タイムラインを受信するデータ受信部5と、タイムラインの表示に関する処理を行う表示情報処理部6と、タイムラインに関する各種のデータを記憶する記憶部7と、タイムラインを表示する表示部8とを備えている。これらの機能(特に、表示情報処理部6の機能)は、情報端末3にインストールされたタイムライン表示用のアプリケーションによって実現することができる。
【0023】
記憶部7に記憶されるデータとしては、情報端末3の使用者個人の防災行動計画である個人タイムラインと、使用者の属性情報とが挙げられる。個人タイムラインは、自治体タイムラインと同様に災害のフェーズ別に策定される。個人タイムラインとしては、「水道を止める」「お隣のおじいちゃんに声をかける」等の、住民自身が必要と考える詳細な行動内容を策定することができる。属性情報には、情報端末3の使用者の年齢や、情報端末3の使用者が要配慮者である場合の配慮情報(例えば、要配慮者の種類)などの情報が含まれる。
【0024】
情報端末3の使用者は、端末上で動作する上記アプリケーションを操作して、個人タイムラインや属性情報を設定することができる。なお、個人タイムラインの雛形を幾つかのバリエーションを持たせて用意しておけば、個人タイムラインを策定する手間を軽減することが可能となる。
【0025】
情報端末3は、自治体が管理する防災情報サーバ1と連動して動作する上記アプリケーションにより、情報端末3に関連する各種のタイムラインをプッシュ通知する。すなわち、データ受信部5により災害のフェーズ情報を受信したことに応じて、表示処理部6が、記憶部7に記憶されている個人タイムラインと共に、防災情報サーバ1から受信した自治体タイムラインを表示部8に表示させる処理を行う。
【0026】
ここで、表示部8による表示対象となるタイムラインは、災害のフェーズ別に策定された個人タイムライン及び自治体タイムラインのうち、防災情報サーバ1から受信したフェーズ情報に対応するものである。なお、自治体タイムラインは、使用者の属性毎のタイムラインと使用者の所在エリア毎のタイムラインがあるので、その中から必要なものを更に選別して表示される。すなわち、属性毎のタイムラインのうちの情報端末3の使用者の属性情報に対応したタイムラインと、所在エリア毎のタイムラインのうちの情報端末3の位置情報に対応したタイムラインとが表示される。
【0027】
図2には、本例の防災情報システムによるタイムライン実行支援の処理シーケンスの例を示してある。
情報端末3の操作者12は、タイムライン表示用のアプリケーションのインストール時に、操作者12の年齢や配慮情報を含む属性情報の登録と、個人タイムラインの登録とを行う(ステップS11)。これらの情報は、情報端末3の記憶部7に保存される(ステップS12)。また、情報端末3は、自身のアドレス情報を防災情報サーバ1に送信して、情報端末3を防災情報の配信先として登録させる(ステップS13)。これらの設定はアプリケーションのインストール時に行うことが望ましいが、インストール後の任意のタイミングで設定しても構わない。
【0028】
災害発生時(あるいは、災害の予兆がある場合)には、防災情報サーバ1の操作者11は、災害のフェーズ情報を入力する(ステップS21)。防災情報サーバ1は、入力された災害のフェーズ情報及び自治体タイムラインを、防災情報として、配信先に登録された各情報端末3へ配信する(ステップS22)。
【0029】
情報端末3は、防災情報サーバ1から災害のフェーズ情報を受信すると、図3を参照して後述するように、表示するタイムラインを決定し(ステップS23)、タイムラインを表示してプッシュ通知する(ステップS24)。
このような処理により、自治体の住民のそれぞれが所持する情報端末3に対し、一括してタイムラインを通知することができる。また、情報端末3の操作者12は、自身がどのような行動を取るべきかを、情報端末3に表示されたタイムラインを確認して把握することができる。
【0030】
その後、情報端末3は、表示した各タイムラインについて使用者から実行状況の入力を受け付ける(ステップS25)。情報端末3に入力されたタイムラインの実行状況の情報は、防災情報サーバ1に送信される(ステップS26)。防災情報サーバ1は、配信先に登録された複数の情報端末3から収集したタイムラインの実行状況を統計処理し、その結果を表示して防災情報サーバ1の操作者11に提供する(ステップS27)。
【0031】
このような処理により、防災情報サーバ1の操作者11は、住民の避難状況(例えば、何割の人が避難しており、残りの何割が準備中であるか)等を大まかに把握することが可能となる。なお、災害対策全体を把握できればよいため、自治体タイムラインの統計処理で十分であり、個人タイムラインは統計処理しなくて構わない。
【0032】
図3には、本例の防災情報システムによるタイムライン表示の処理フローの例を示してある。なお、図3の処理フローは、図2の処理シーケンスのステップS22~S24に対応している。
情報端末3は、防災情報サーバ1から災害のフェーズ情報及び自治体タイムラインを受信すると(ステップS31)、表示情報処理部6において以下の処理を行う。
【0033】
まず、記憶部7から属性情報(使用者の年齢及び配慮情報)を取得する(ステップS32)。
そして、取得した属性情報に基づいて、使用者の年齢が所定の設定値以上か(すなわち、老人であるか)を判定し(ステップS33)、該当する場合には、自治体タイムラインに含まれる住民の属性毎のタイムラインから「高齢者へのタイムライン」を取得してメモリに記憶する(ステップS34)。
また、取得した属性情報に基づいて、使用者が要配慮者であるかを判定し(ステップS35)、該当する場合には、自治体タイムラインに含まれる住民の属性毎のタイムラインから「要配慮者へのタイムライン」を取得してメモリに記憶する(ステップS36)。
また、取得した属性情報に基づいて、使用者の年齢が所定の設定値以下、かつ、使用者が要配慮者でないかを判定し(ステップS37)、該当する場合には、自治体タイムラインに含まれる住民の属性毎のタイムラインから「高齢者・要配慮者以外の方へのタイムライン情報」を取得してメモリに記憶する(ステップS38)。
【0034】
次に、GPS受信部4から情報端末3の位置情報を取得する(ステップS39)。
そして、取得した位置情報に基づいて、情報端末3が河川の近くかを判定し(ステップS40)、該当する場合には、自治体タイムラインに含まれる住民の所在エリア毎のタイムラインから「河川付近のタイムライン」を取得してメモリに記憶する(ステップS41)。
また、取得した位置情報に基づいて、情報端末3が土砂災害警戒区域内かを判定し(ステップS42)、該当する場合には、自治体タイムラインに含まれる住民の所在エリア毎のタイムラインから「土砂災害に関するタイムライン」を取得してメモリに記憶する(ステップS43)。
【0035】
次に、防災情報サーバ1から受信した災害のフェーズ情報に対応する個人タイムラインを記憶部7から取得する(ステップS44)。
そして、これまでの処理で取得・記憶した個人タイムライン及び自治体タイムラインを表示部8に表示させ(ステップS45)、プッシュ通知を行う(ステップS46)。
以上の処理により、情報端末3の使用者に通知すべき各種のタイムラインを適切に選択して表示することが可能となる。
【0036】
なお、防災情報サーバ1に新たなフェーズ情報が入力されると、上記の処理が繰り返されて、最新のフェーズ情報に応じたタイムラインの表示に更新される。これにより、災害のフェーズの変化に伴って、情報端末3でのタイムラインの表示を更新させることが可能となる。なお、自治体タイムラインは、災害の1段階目のフェーズ情報の受信時に防災情報サーバ1から既に取得しているので、改めて取得し直さなくても構わない。
【0037】
図4には、情報端末3によるタイムラインの表示例を示してある。画面20Aは、「○○川氾濫警戒情報発令」時のタイムラインの表示例を示している。本例では、現在のフェーズのタイムラインの表示領域21の上側に前フェーズのタイムラインの表示領域22を設けてあり、下側に次フェーズのタイムラインの表示領域23を設けてあり、画面の上下スワイプにより前後のフェーズのタイムラインを確認できるように構成してある。画面20Bは、画面20Aの表示時に上下スワイプを行って次フェーズのタイムラインである「○○川氾濫危険情報発令」時のタイムラインの表示に切り替えた場合の表示例である。画面20A’は、画面20Aの表示時にタイムラインの実行状況を入力した場合の表示例である。同図に示すように、実行済みのチェックを入れたタイムラインは、取り消し線等を付して、未実行のタイムラインと明確に区別できるようにすることが好ましい。
【0038】
また、前フェーズのタイムラインの表示領域22に示すように、前フェーズにおいて未完了のタイムラインがあればその旨を表示し、未完了のタイムラインがなければ全タイムライン完了済みである旨を表示することが好ましい。これにより、使用者は前タイムラインに実行漏れがあることを容易に認識できる。
さらに、現在のフェーズのタイムラインの表示領域21には、自治体のタイムラインであって個人の属性に応じたタイムライン「△△市が決めたタイムライン」と、個人が設定したタイムライン「あなたが決めたタイムライン」と、位置情報に基づくタイムライン「あなたの状態に基づくタイムライン」がすべて表示される。これにより、使用者は自分が取るべき行動を漏れなく知ることができ、災害時に適切な行動を支援できる。ここで、3つのタイムラインすべてを情報端末3に表示する態様としては、図4のように一画面にすべて表示させる例だけでなく、スクロールや画面切り替えで表示させる態様も含むことは言うまでもない。
【0039】
以上のように、本例の防災情報システムでは、情報端末3が、災害のフェーズ別に策定された、該端末の使用者個人の防災行動計画である個人タイムラインを保持しており、防災情報サーバ1が、災害のフェーズを示すフェーズ情報を配信し、情報端末3が、防災情報サーバ1からフェーズ情報を受信したことに応じて、該フェーズ情報に対応する個人タイムラインを表示するように構成されている。このような構成により、防災情報サーバ1から災害のフェーズ情報を送信するだけで、情報端末3に設定されている個人タイムラインの中から適切なものを選択して表示させることができる。したがって、自治体の各住民に、その人が策定した個人タイムラインの実行を促すことができる。
【0040】
また、本例の防災情報システムでは、防災情報サーバ1が、自治体の住民に宛てた防災行動計画である自治体タイムラインを更に配信し、情報端末3が、個人タイムラインの表示に加えて、防災情報サーバ1から受信した自治体タイムラインの表示を行うように構成されている。このような構成により、自治体の各住民に、自治体タイムラインを一括で通知することが可能となる。
【0041】
また、本例の防災情報システムでは、情報端末3が、使用者の属性情報を保持しており、防災情報サーバ1から配信される自治体タイムラインには、住民の属性毎のタイムラインが含まれており、情報端末3が、個人タイムラインの表示に加えて、属性毎のタイムラインのうちの該端末の使用者の属性情報に対応したタイムラインの表示を行うように構成されている。このような構成により、高齢者や要配慮者などの特定の属性を持つ住民と、それ以外の住民とでタイムラインの内容を分けることができ、例えば、高齢者や足の悪い人物に対して早めの非難を促すなど、適切な避難行動を促すことが可能となる。
【0042】
また、本例の防災情報システムでは、情報端末3が、位置情報を取得する機能を有しており、防災情報サーバ1から配信される自治体タイムラインには、住民の所在エリア毎のタイムラインとが含まれており、情報端末3が、個人タイムラインの表示に加えて、所在エリア毎のタイムラインのうちの該端末の位置情報に対応したタイムラインの表示を行うように構成されている。このような構成により、特定のエリアに所在している住民に対して追加のタイムラインを通知することができ、例えば、河川に近い位置にいる人物に対して早めの非難を促すなど、適切な避難行動を促すことが可能となる。
【0043】
また、本例の防災情報システムでは、情報端末3が、表示したタイムラインの実行状況の入力を使用者から受け付けて、防災情報サーバ1に送信するように構成されている。このような構成により、防災情報サーバ1側でタイムラインの実行状況を統計処理して、住民の避難状況等を大まかに把握することができるようになる。
【0044】
以上、本発明について実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された防災情報システムに限定されるものではなく、上記以外の防災情報システムにも広く適用できることは言うまでもない。また、上述した実施例では、個人のタイムラインを使用者が情報端末3で策定し設定する場合を説明したが、個人のタイムラインを防災情報サーバ1が情報端末3に配信してもよい。この場合、防災情報サーバ1は標準的な個人のタイムラインを情報端末3に配信し、使用者が必要に応じて編集して保存できるようにすることが好ましい。これにより、使用者は一から個人のタイムラインを作成する必要がなくなる。
また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法や方式、そのような方法や方式を実現するためのプログラム、そのプログラムを記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、自治体が管理する防災情報サーバと自治体の住民が所持する端末とを備えた種々の防災情報システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1:防災情報サーバ、 2:GPS、 3:情報端末、 4:GPS受信部、 5:データ受信部、 6:表示情報処理部、 7:記憶部、 8:表示部、 11:防災情報サーバの操作者、 12:情報端末の操作者
図1
図2
図3
図4