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特許7082571高純度トリシリルアミン、その製造方法、及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】高純度トリシリルアミン、その製造方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 21/082 20060101AFI20220601BHJP
   B01J 31/14 20060101ALI20220601BHJP
   B01J 31/12 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
C01B21/082 C
B01J31/14 M
B01J31/12 M
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018531566
(86)(22)【出願日】2016-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 US2016067143
(87)【国際公開番号】W WO2017106625
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】62/269,286
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521208055
【氏名又は名称】ナタ セミコンダクター マテリアルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バリー・エム・ケトラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー・エイ・マドック
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ディー・レッケン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディー・テルゲンホフ
(72)【発明者】
【氏名】シャオビン・ヅォウ
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-162543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0094470(US,A1)
【文献】特表2019-501159(JP,A)
【文献】国際公開第2015/048237(WO,A1)
【文献】特開2015-010035(JP,A)
【文献】HILL, M. S. et al.,Hetero-dehydrocoupling of silanes and amines by heavier alkaline earth catalysis,Chem. Sci.,2013年,Vol. 4,pp. 4212-4222
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/082
B01J 21/00-38/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5ppmw未満のハロゲンを含むか又は含まない、式:N(SiH のトリシリルアミン
【請求項2】
前記トリシリルアミンが、1ppmw未満のハロゲンを含むか又は含まない、請求項1に記載のトリシリルアミン
【請求項3】
シリルアミンの製造方法であって、前記方法が、反応させてシリルアミンと副生成物とを形成させるのに十分な、-20℃~150℃の温度及び102kPa超の圧力を含む条件下で、アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とを組み合わせることを含み、アミノシラン官能性を有する前記化合物は、式(I)
N(R(SiH2-a(I),
[式中、Rは、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、及びポリシロキサンからなる群から選択される有機ポリマー、C1~20ヒドロカルビル基、又は-SiR であり、Rは、C1~6ヒドロカルビルであり、Rは、C1~20ヒドロカルビル基、H、又は-SiR3であり、Rは、上記に定義されるとおりのものであり、添字aは、0又は1であり、但し、R及びRは、Rがフェニルである場合にRはフェニルではないことを除き、同じであっても異なっていてもよい。]のものである、製造方法。
【請求項4】
生成物がトリシリルアミン、N(SiHである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度が、0℃~75℃である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
がアルキルであり、各Rが独立して、R又はHである、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
が炭素原子を3~6個有する分枝状アルキルであり、各Rが独立して、R又はHである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の前記化合物が、式(II)
-N(R(H)(SiH2-a-b (II)
[式中、RはH、C1~20ヒドロカルビル、又は-Si(Rであり、RはC1~6ヒドロカルビルであり、添字a及びbは、独立して0又は1であり、かつa+b<2である。]の基を1つ以上含む、有機ポリマーであり、式(II)の前記基は、前記有機ポリマーのペンダント位、末端位、又はペンダント位及び末端位にある、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
溶媒が、前記アンモニア及び前記化合物と組み合わせられる、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
シリルアミンの製造方法であって、前記方法が、
i)
A)一級アミン又は二級アミンを含む化合物と、
B)モノシラン(SiH)と、
C)マグネシウム又はホウ素を含む触媒と、を組み合わせることであって、
A)、B)及びC)が、アミノシラン化合物及び水素を生成するのに十分な、0~300℃の温度と0~3500kPa(g)の圧力を含む条件下で組み合わされる、組み合わせること、並びに
ii)アンモニアとi)で製造された前記アミノシラン化合物とを十分な、-20~150℃の温度と102kPaより高い圧力を含む条件下で組み合わせてシリルアミン及び副生成物を形成すること、を含む、製造方法。
【請求項11】
iii)i)において、ii)において形成された前記副生成物を組み合わせることを更に含み、ここで、ii)で生成された前記副生成物が、前記A)の一級アミン又は二級アミンを含む化合物としてi)において組み合わせられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記一級アミン又は二級アミンを含む化合物が、式(III)
N(R2-a (III)
[式中、Rは、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、及びポリシロキサンから選択される有機ポリマー基、C1~20ヒドロカルビル、又は-SiR であり、RはC1~6ヒドロカルビルであり、各Rは、独立して、C1~20ヒドロカルビル、H、-SiH、又はSiR であり、各Rは、独立して、上記のとおりのものであり、添字aは、0又は1であり、
前記アミノシラン化合物は式(I)によるものであり、
N(R(H)(SiH2-a-c (I),
各R、R、及び添字aが、独立して、式(III)について定義されたとおりのものであり、cは0又は1であり、a+c<2であり、
但し、i)で生成された前記アミノシラン化合物は、前記一級アミン又は二級アミンを含む化合物が有する基以外の、少なくとも1つ以上の窒素を結合した-SiH基を有する]によるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記一級アミン又は二級アミンを含む式(III)の化合物が、式(II)
-N(R(H)(SiH2-a-b (II)
[式中、各Rは、独立して、C1~20ヒドロカルビル、H、-SiH、又は-SiR であり、各Rは、独立して、C1~6ヒドロカルビルであり、添字aは、0又は1であり、添字bは1又は2であり、a+b<3であり、式(II)の前記基は、前記有機ポリマーのペンダント位、末端位、又はペンダント位及び末端位にある]の基を1つ以上含む、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、及びポリシロキサンから選択される有機ポリマーであり、
前記式(I)のアミノシラン化合物が、式(IV)
-N(R(H)(SiH2-a-c (IV)
[式中、各R及び各添字aは、独立して上記に記載のとおりのものであり、添字cは0又は1であり、a+cは0又は1である]の基を1つ以上含む有機ポリマーであり、式(IV)の前記基は、前記有機ポリマーのペンダント位、末端位、又はペンダント位及び末端位にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
が炭素原子を3~6個有する分枝状アルキルであり、各RがRである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒が、式R Mg[式中、各Rは、独立して、C1~20ヒドロカルビルである]の化合物、又は式Mg(NR [式中、各Rは、独立して、1~10個の炭素原子又はトリメチルシリルを有するヒドロカルビルである]の化合物を含むプレ触媒を組み合わせることにより形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒が、式BR [式中、各Rは、独立してルイス酸基である]を有するホウ素触媒である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が、ホウ素トリスペンタフルオロベンゼンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
i)がD)アルカン溶媒を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記組み合わせることが、圧力反応器内でのものである、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記シリルアミンを回収することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
ケイ素含有膜の形成方法であって、請求項1に記載のトリシリルアミンを、基材の存在下で成膜条件にかけて、基材上のケイ素含有膜を形成することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
本発明は、一般に、トリシリルアミンと、5ppmw未満のハロゲンとを含む組成物、シリルアミンを製造する方法、かかるトリシリルアミン組成物を用いてフィルムを製造する方法、及びかかるトリシリルアミン組成物から製造されるフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
トリシリルアミン(TSA)は、光起電及び電子用途におけるケイ素含有膜の堆積のための前駆体としての使用を含む工業用途を有する。TSAの製造に重要な工業プロセスは、モノクロロシランをアンモニアと反応させることを含む。このプロセスは、TSAの他、アンモニウムクロライド等の塩素含有副生成物を生成する。これらの副生成物は、TSAの最終用途に望ましくない。例えば、TSAを用いた化学蒸着プロセスにおけるケイ素含有膜の形成プロセスにおいて、ハロゲンは有害である。そのため、それらの用途では、可能な限りハロゲン量を抑えることが望ましい。
【0004】
また、TSAは、ジシリルアミン(dislylamine)を反応させ、副生成物であるアンモニアを除去することにより製造されてきた。しかし、ハロゲンはジシリルアミンの製造プロセスでも導入され得ることから、かかるプロセスにより製造されたTSAにもハロゲンは存在する。
【0005】
これまでに、TSAの製造後にハロゲンを除去するプロセスが開発されている。しかし、TSAからハロゲンを減少させることは難しく、用いられるプロセスにより、TSAの製造コストが顕著に増大し、副生成物が増加し、収率が低下し、かつハロゲンを完全に除去することはできない恐れがある。
【0006】
したがって、低ハロゲン又はハロゲンフリーのTSA組成物、並びに低ハロゲン又はハロゲンフリーのTSA組成物を収率良く製造するための経済的なプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、トリシリルアミンと、5ppmw未満のハロゲンとを含む組成物に関する。
【0008】
本発明は更に、反応させてシリルアミンと副生成物とを形成させるのに十分な条件下で、アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とを組み合わせることを含む、シリルアミンの製造方法に関し、かかる化合物は、式(I)
N(R(SiH2-a (I)、
[式中、Rは有機ポリマー、C1-20ヒドロカルビル基、又は-SiR であり、各Rは、独立して、C1-6ヒドロカルビルであり、各Rは、独立して、C1-20ヒドロカルビル基、H、又は-SiR であり、各Rは、独立して、上記に定義されるとおりのものであり、添字aは、0又は1であり、但し、R及びRは、Rがフェニルである場合にRはフェニルではないことを除き、同じであっても異なっていてもよい。]のものである。
【0009】
本発明は、シリルアミンの更なる製造方法を更に目的とし、かかる方法は、
i)
A)一級アミン又は二級アミンを含む化合物と、
B)モノシラン(SiH)と、
C)マグネシウム又はホウ素を含む触媒と、を組み合わせることであって、
A)、B)及びC)が、アミノシラン化合物及び水素を生成するのに十分な条件下で組み合わされる、組み合わせること、並びに
ii)アンモニアとi)で製造されたアミノシラン化合物とを十分な条件下で組み合わせてシリルアミン及び副生成物を形成すること、を含む。
【0010】
本発明は、更に、ケイ素含有膜の形成方法に関し、方法は、トリシリルアミンと5ppmw未満のハロゲンとを含む組成物を、基材の存在下での成膜条件にかけて、基材上にケイ素含有膜を形成することを含む。
【0011】
本発明は、トリシリルアミンと5ppmw未満のハロゲンとを含む組成物を、基材の存在下での成膜条件にかけて、基材上にケイ素含有膜を形成することを含む方法により形成されるケイ素含有膜を更に目的とする。
【0012】
本発明のTSA組成物は、低ハロゲンである、又はハロゲンを含まない。したがって、本発明の組成物は、既存のTSA組成物よりも改善された特性を有する高純度のケイ素含有膜を生成する。本発明の方法は、化学蒸着により、改善されたフィルム特性を有するハロゲン含有量が低減されたアミノシラン及びTSA組成物を、経済的かつ収率良く製造する。更に、本発明の方法は、ハロゲンを含有しない又はごく少量で含有するTSA組成物を、経済的に製造する。更に、本発明の方法は、本発明のTSA組成物から、改善された特性を有するフィルムを製造する。
【0013】
TSAの製造方法は、ハロゲンをごく少量で含有する又は含有しないTSA組成物の製造に使用され得る。製造されたTSAは、化学蒸着プロセスにおいてケイ素含有膜を製造するために使用され得る。本発明のフィルムは、電子及び光起電用途において使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本明細書で使用するとき、ppmwは、百万重量部当たりの重量部(重量/重量)についての略称を表示する。
【0016】
本明細書で使用するとき、「検出不能量」とは、出願時に公開されている又は既知である方法に用いる組成物中に、検出され得る量のハロゲンが存在しないことを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「プレ触媒」は、その他の化合物の混合物と組み合わせたときに、その他の化合物のうちのいずれかと反応して、混合物中のその他の反応物間の別の反応のための触媒を形成する化合物を意味する。
【0018】
組成物は、トリシリルアミンと、5ppmw未満のハロゲンとを含む。
【0019】
トリシリルアミンは、下式(SiHNを有する。
【0020】
この組成物は、5ppmw未満、あるいは1ppmw未満、あるいは0.1ppmw未満の量で、あるいは検出不能量で、ハロゲンを含み、あるいはハロゲンを全く含まない。
【0021】
トリシリルアミンを含む組成物中のハロゲンの量は、元素分析などの当該技術分野において知られている方法を用いて測定される。例えば、誘導結合プラズマ質量分析法などの質量分析と組み合わせた原子吸着(火炎イオン化又は黒鉛炉)又は誘導結合プラズマ原子発光分光法を用いてハロゲン量を求めることもできる。当業者であれば、トリシリルアミンを含む組成物中(is a composition)のハロゲンの量を測定する方法をご存知であろう。
【0022】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、あるいは、フッ素、塩素、又は臭素、あるいは塩素又は臭素、あるいは塩素を含む。
【0023】
シリルアミンの製造方法であって、方法は、反応させてシリルアミンと副生成物とを形成させるのに十分な条件下で、アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とを組み合わせることを含み、アミノシラン官能性を有するかかる化合物は、次式(I)
N(R(SiH2-a(I)、
[式中、Rは、有機ポリマー、C1-20ヒドロカルビル基又は-SiR であり、各Rは、独立して、C1-6ヒドロカルビルであり、Rは、C1-20ヒドロカルビル基、H、又は-SiR であり、各Rは、独立して上記に定義のとおりのものであり、添字aは0又は1であり、但し、R及びRは、Rがフェニルである場合にはRはフェニルではないことを除き、同じであっても異なっていてもよい。]のものである、製造方法。
【0024】
で表される有機ポリマーとしては、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、及びポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されず、かかるポリマーは、直鎖状、分枝状、星状の構造、又は有機ポリマーについて当該技術分野において既知の任意のその他の構造を有していてもよい。有機ポリマーは、当該技術分野において既知の方法によって製造され得る。アミノシラン官能性を有するモノマーと共重合させることにより、アミノシラン官能性をポリマーに含めることができる。例えば、ビニル官能性又はアリル官能性を有するアミノシランは、他の有機ビニル、エステル又はアクリル系モノマーが挙げられるがこれらに限定されないその他の有機モノマーと共重合させることができる。あるいは、アミノシラン官能性は、存在するポリマーの主鎖上の基と反応する官能基を有するアミノシランの反応を介して、ポリマー上にグラフトされ得る。例えば、Si-Hを有するアミノシランは、ヒドロシル化反応において、ポリマーの不飽和基と反応し得る。当業者であれば、式(I)で定義されるとおりのアミノシラン官能性を有するポリマーの製造方法を認識されているであろう。アミノシラン官能性を含む有機ポリマーは市販されている。
【0025】
により表わされるヒドロカルビル基は、典型的には、1~20個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子、あるいは3個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を有する非環式ヒドロカルビル基は、直鎖構造又は分枝構造を有し得る。Rにより表されるヒドロカルビル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、イコシル;シクロペンチル、シクロヘキシル、及びメチルシクロヘキシルなどのシクロアルキル;フェニル及びナフチルなどのアリール;トリル及びキシリルなどのアルカリル、ベンジル及びフェネチル(penethyl)などのアラルキル;ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、オクテニルなどのアルケニル;スチリル及びシンナミルなどのアリールアルケニル、エチニル及びプロイニル(proynyl)などのアルキニル;が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
で表されるヒドロカルビル基は、Rについて記載されるとおりのものである。
【0027】
によって表されるヒドロカルビル基は、典型的には1~6個の炭素原子、あるいは1~3個の炭素原子、あるいは1~3個の炭素原子、あるいは1個、あるいは2個、あるいは3個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を有する非環式ヒドロカルビル基は、直鎖構造又は分枝構造を有し得る。Rにより表されるヒドロカルビル基の例としては、Rについて上に定義したとおりのものであり、かつ1~6個の炭素原子を有するものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
添え字「a」は0又は1、あるいは0、あるいは1であってよい。
【0029】
及びRで表される基は、R及びRの両方共がフェニルであることはないという条件で、同じであっても異なっていてもよい。R及びRがフェニルである場合、アミノシラン官能性を含む化合物の融点は室温を超え、高温の要件、カラム詰まり、並びに得られるアミン及び生成物の分離が困難になることに起因して(これらは、全て安全性についてより高次の問題を生じ得る)、製造において材料の取り扱い性に関する問題が生じることになる。
【0030】
アミノシラン官能性を含む化合物の例としては、メチルアミノシラン、エチルアミノシラン、イソプロピルアミノ(ispropylamino)シラン、プロピルアミノシラン、1-メチルプロピルアミノシラン、ペンチルアミノシラン、1-メチルブチルアミノシラン、ヘキシルアミノシラン、フェニルアミノシラン、シクロヘキシルアミノシラン、ヘプチルアミノシラン、オクチルアミノシラン、ノニルアミノシラン、デシルアミノシラン、ウンデシルアミノシラン、デシルアミノシラン、ペンタデシルアミノシラン、オクタデシルアミノシラン、コシルアミノシラン、ジメチルアミノシラン、ジエチルアミノシラン、ジイソプロピルアミノシラン(diispropylamino silane)、ジプロピルアミノシラン、ジ-1-メチルプロピルアミノシラン、ジペンチルアミノシラン、ジ-1-メチルブチルアミノシラン、ジヘキシルアミノシラン、ジシクロヘキシルアミノシラン、ジヘプチルアミノシラン、ジオクチルアミノシラン、ジノニルアミノシラン、ジデシルアミノシラン、ジウンデシルアミノシラン、ドデシルアミノシラン、ジペンタデシルアミノシラン、ジオクタデシルアミノシラン、ジコシルアミノシラン、メチルエチルアミノシラン、メチルプロピルアミノシラン、メチルイソプロピルアミノシラン、メチルブチルアミノシラン、1-メチルプロピルメチルアミノシラン、メチルフェニルアミノシラン、メチルシクロヘキシルアミノシラン、メチルオクチル(ocytly)アミノシラン、1-メチルヘプチルメチルアミノシラン、エチルエチルアミノシラン、エチルプロピルアミノシラン、エチルイソプロピルアミノシラン、エチルブチルアミノシラン、1-メチルプロピルエチルアミノシラン、エチルフェニルアミノシラン、エチルシクロヘキシルアミノシラン、エチルオクチル()アミノシラン、1-メチルヘプチルエチルアミノシラン、プロピルブチルアミノシラン、イソプロピルブチルアミノシラン、プロピルイソブチルアミノシラン、イソプロピルイソブチルアミノシラン、プロピルペンチルアミノシラン、イソプロピルペンチルアミノシラン、プロピルフェニルアミノシラン、イソプロピルフェニルアミノシラン、イソプロピルシクロヘキシルアミノシラン、プロピルオクチルアミノシラン、プロピルドデシルアミノシランが挙げられるがこれらに限定されない。アミノシラン官能性を含む化合物を形成する方法の一例を以下に記載する。下記の例では、一級アミン又は二級アミンをモノシラン(SiH)と反応させる。アミノシラン官能性を含む化合物のいくつかは市販されている。
【0031】
組み合わせることは、反応器内で、アンモニアとアミノシラン官能性を有する化合物とを接触させることによりなされる。当業者であれば、アンモニアとアミノシラン官能性を有する化合物とを接触させる方法をご存知であろう。
【0032】
この方法は、反応器内で行われる。反応器は、アンモニアと、アミノシラン官能性を含む化合物とを反応させるのに好適である。例えば、本方法は、Parr反応器又は封管で実施することができる。また、冷却した反応器(chilled reactor)を用いてもよい。当業者であれば、かかる方法に適した反応器の選択方法について認識されるであろう。
【0033】
この組み合わせは、このアンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物との反応を生じるのに十分な条件下でのものである。「十分な条件」は、反応を生じさせる温度及び圧力であり、あるいは-20~150℃の温度かつ0~300kPa(g)の圧力、あるいは0~50℃の温度かつ45~250kPa(g)の圧力である。一般に、必要とされる圧力は、温度の上昇に伴って上昇する。当業者であれば、反応のための温度条件及び圧力条件の選択方法をご存知であろう。
【0034】
組み合わせることは、反応物を撹拌することを更に含み得る。撹拌は、反応混合物中の反応物と追加含有成分とを混合及び共に接触させることを増進し得る。
【0035】
アンモニアとアミノシラン官能性を有する化合物とを組み合わせることは、不活性雰囲気又は非不活性雰囲気下で行うことができる。例えば、反応器は、接触させる前に、及び/又は接触前に窒素をパージする前に、真空下に配置され得る。
【0036】
アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とは、典型的には、アンモニアの、アミノシラン官能性を有する化合物に対するモル比、0.1~100、あるいは1~10、あるいは0.20~1、あるいは0.25~1、あるいは0.30~1で組み合わせられる。
【0037】
アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とは、任意の順序で組み合わせることができる。典型的には、アミノシラン官能性を有する化合物は、反応器に加えられた後、アンモニアと一緒に加圧される。
【0038】
組み合わせる時間は、温度によって変更することができる。典型的には、組み合わせることは、数秒~最大数日まで、あるいは5分間~5時間、あるいは15分間~2時間である。組み合わせることは、1つ以上の反応物が消失するまで又は生成物が発現するまで実施され得る。反応物及び生成物の発現及び消失は、例えば、29Si NMR及び/又はH核磁気共鳴(NMR)分光法などが挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の方法により監視され得る。
【0039】
方法は、アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とを溶媒中で組み合わせることを更に含み得る。溶媒の例としては、エーテル系溶媒、アルカン類、芳香族系溶媒等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
この方法は、シリルアミン、あるいはトリシリルアミン、及び副生成物を形成する。副生成物は、アミノシラン官能性を有する化合物のアミノシラン官能性をかかる方法で反応させた後に残存するアミンである。本方法では、アミノシラン官能性を有する化合物のアミノシラン官能性は、水素原子により置き換えられてアミンを生成する。一実施形態では、副生成物は、下式(III)の一級アミン又は二級アミンである。
【0041】
本方法により形成されたシリルアミンを回収してもよい。シリルアミンは、蒸留等の一般的な分離技術により、副生成物及び未反応のアミノシランから回収してもよい。当業者であれば、シリルアミンの回収方法についてご存知であろう。
【0042】
シリルアミンの製造方法であって、方法は、
i)
A)一級アミン又は二級アミンを含む化合物と、
B)モノシラン(SiH)と、
C)マグネシウム又はホウ素を含む触媒と、を組み合わせることであって、
A)、B)及びC)が、アミノシラン化合物及び水素を生成するのに十分な条件下で組み合わされる、組み合わせること、並びに
ii)アンモニアとi)で製造されたアミノシラン化合物とを十分な条件下で組み合わせてシリルアミン及び副生成物を形成すること、を含む。
【0043】
一級アミン又は二級アミンを含む化合物A)、モノシラン(SiH)B)、及び触媒C)は、アミノシラン化合物及び水素を形成するのに十分な条件下で組み合わされ、かかる触媒は、マグネシウム又はホウ素を含む。
【0044】
一実施形態では、一級アミン又は二級アミンを有する化合物は、任意の一級アミン又は二級アミンである。別の実施形態において、一級アミン又は二級アミンを有する化合物は、次式(III)
N(R2-a (III)
[式中、Rは有機ポリマー、C1-20ヒドロカルビル、又は-SiR であり、各Rは、独立して、C1-6ヒドロカルビルであり、Rは、C1-20ヒドロカルビル、H、-SiH、又はSiR であり、Rは、上記のとおりのものであり、添字aは、0又は1、あるいは0、あるいは1である]によるものである。
【0045】
、R、及びRで表される基は、アミノシラン官能性を有する化合物について上記のとおりのものである。
【0046】
第一級及び第二級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン(ispropylamine)、プロピルアミン、1-メチルプロピルアミン、ペンチルアミン、1-メチルブチルアミン、ヘキシルアミン、フェニルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、デシルアミン、ペンタデシルアミン、オクタデシルアミン、コシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン(diispropylamine)、ジプロピルアミン、ジ-1-メチルプロピルアミン、ジペンチルアミン、ジ-1-メチルブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ドデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジコシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、1-メチルプロピルメチルアミン、メチルフェニルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、メチルオクチルアミン(methylocytlyamine)、1-メチルヘプチルメチルアミン、エチルエチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、1-メチルプロピルエチルアミン、エチルフェニルアミン、エチルシクロヘキシルアミン、エチルオクチルアミン(ethylocytlyamine)、1-メチルヘプチルエチルアミン、プロピルブチルアミン、イソプロピルブチルアミン、プロピルイソブチルアミン、イソプロピルイソブチルアミン、プロピルペンチルアミン、イソプロピルペンチルアミン、プロピルフェニルアミン、イソプロピルフェニルアミン、イソプロピルシクロヘキシルアミン、プロピルオクチルアミン、プロピルドデシルアミンが挙げられるがこれらに限定されない。当業者は、一級アミン又は二級アミンの製造方法をご存知であろう。これらの化合物の多くは市販されている。
【0047】
モノシランはSiHである。当業者であれば、モノシランの製造方法をご存知であろう。
【0048】
触媒はマグネシウム又はホウ素を含む。ホウ素触媒は、下式BR によるものであり、式中、各Rは、独立して、C1-10置換又は非置換ヒドロカルビル、あるいはC4-8置換又は非置換ヒドロカルビル、あるいは炭素原子6個のヒドロカルビル、あるいは置換フェニルである。ヒドロカルビル基Rに対する置換を含む置換基としては、ハロゲン、あるいは、F、Cl、又はBr、あるいはF又はCl(F of Cl)、あるいはFである。
【0049】
ホウ素を含む触媒の例としては、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリフェニルボラン、及びトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、触媒は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0050】
マグネシウムを有する触媒は、次式(R N)Mg[式中、各Rは、独立して、炭素原子を1~20個有するヒドロカルビル基、あるいは1~12個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは2~4個、あるいは3個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である]により表されるビス(ジヒドロカルビルアミノ)マグネシウムである。Rにより表されるヒドロカルビル基は、上記式(I)中のRについて上記のとおりのものである。
【0051】
マグネシウムを含む触媒の例としては、ビス(ジメチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジエチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジイソプロピルアミノ(diispropylamino))マグネシウム、ビス(ジプロピルアミノ)マグネシウム、ビス(ジ-1-メチルプロピルアミノ)マグネシウム、ビス(ジペンチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジ-1-メチルブチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジヘキシルアミノ)マグネシウム、ビス(ジシクロヘキシルアミノ)マグネシウム、ビス(ジヘプチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジオクチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジノニルアミノ)マグネシウム、ビス(ジデシルアミノ)マグネシウム、ビス(ジウンデシルアミノ)マグネシウム、ビス(ドデシルアミノ)マグネシウム、ビス(ジペンタデシルアミノ)マグネシウム、ビス(ジオクタデシルアミノ)マグネシウム、ビス(ジコシルアミノ)マグネシウムが挙げられるがこれらに限定されない。
【0052】
一実施形態では、触媒は、組み合わせた後に触媒C)を形成するプレ触媒と組み合わせることによりA)及びB)と組み合わされる。プレ触媒は、式R Mg[式中、Rは、独立して、触媒Cに)ついて上記のとおりのもの、又は式Mg(NR のビス(ジヒドロカルビルアミノ)マグネシウムであり、各Rは、独立して、1~10個の炭素原子を有するヒドロカルビル又はトリメチルシリルである]のジヒドロカルビルマグネシウムである。
【0053】
で表わされるヒドロカルビル基は、1~10個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子を有する。Rで表されるヒドロカルビル基の例は、必要数の炭素原子を有する、Rについて上記のとおりのものである。一実施形態では、Rにより表される基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、及びそれらの異性体などと行った、1~6個の炭素原子を有するアルキルが挙げられるがこれらに限定されない。別の実施形態では、Rにより表される基は、トリメチルシリルである。
【0054】
式R Mgによるプレ触媒の例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム(diispropylmagnesium)、ジプロピルマグネシウム、ジ-1-メチルプロピルマグネシウム、ジペンチルマグネシウム、ジ-1-メチルブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジシクロヘキシルマグネシウム、ジヘプチルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム、ジノニルアミンマグネシウム、ジデシルマグネシウム、ジウンデシルマグネシウム、ドデシルマグネシウム、ジペンタデシルアミンマグネシウム、ジオクタデシルマグネシウム、ジコシルマグネシウムが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、プレ触媒のRは、炭素原子を2~6個有する分枝状アルキル基、あるいはジイソプロピルマグネシウム、あるいはジブチルマグネシウム、あるいはジ-イソブチルマグネシウム、あるいはジ-n-ブチルマグネシウムである。
【0055】
式Mg(NR によるプレ触媒の例としては、ビス(ジイソプロピルアミノ)マグネシウム、ビス(ジエチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジフェニルアミノ)マグネシウム、ビス(ジオクチルアミノ)マグネシウム、ビス(ジトリメチルシリルアミノ)マグネシウム、並びに上記の触媒について掲載した物質が挙げられるがこれらに限定されない。
【0056】
ジヒドロカルビルマグネシウムは、当該技術分野において既知の方法により調製され得る。例えば、ジヒドロカルバリルマグネシウムは、ヒドロカルビルマグネシウムハライドの溶液に少なくとも当量のジオキサンを添加することにより調製することができる。
【0057】
A)、B)及びC)を、十分な条件下で組み合わせて、アミノシラン化合物及び水素を形成する。本明細書で使用するとき、「十分な条件」は、温度及び圧力並びに反応を進行させる時間を意味し、
あるいは0~300℃の温度、あるいは20~200℃の温度、あるいは75~125℃の温度、大気圧より下から大気圧より上までの圧力、あるいは大気圧より下から3500kPa(g)、あるいは0kPa(g)~3500kPa、あるいは5kPa(g)~2100kPa(g)、あるいは250~1800kPa(g)の圧力下、並びに1分間~2日間、あるいは1時間~8時間を意味する。
【0058】
A)、B)及びC)を組み合わせることは、不活性雰囲気又は非不活性雰囲気下で実施することができる。例えば、組み合わせるための反応器は、接触させる前に、及び/又は接触前に窒素をパージする前に、真空下に配置され得る。
【0059】
A)、B)及びC)を組み合わせることは、1つ以上の反応物が消失するまで又はオルガノアミノシランが発現するまで実施され得る。反応物及び生成物の発現及び消失は、例えば、29Si NMR及び/又はH核磁気共鳴(NMR)分光法などが挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の方法により監視され得る。
【0060】
一実施形態では、形成されるアミノシラン化合物は、任意の一級アミン又は二級アミンとモノシランとを組み合わせることにより形成され得る任意のアミノシランである。別の実施形態では、形成されるアミノシラン化合物は、上記のシリルアミンの製造方法における、式(I)のアミノシラン官能性を有する化合物である。
【0061】
A)、B)及びC)は、i)において任意の順序で組み合わせることができる。一実施形態では、A)及びC)はB)が組み合わせられる前に組み合わせられ、あるいはB)及びC)はA)がB)及びC)と組み合わせられる前に組み合わせられ、あるいはA)及びB)が組み合わせられた後C)が組み合わせられる。
【0062】
A)及びB)は、A)のB)に対するモル比、0.001~1000で、あるいは0.01~100、あるいは0.1~10、あるいは0.33~3で組み合わせられる。
【0063】
マグネシウム又はホウ素を含む触媒を、触媒有効量で組み合わせる。マグネシウム又はホウ素を含む触媒の触媒有効量は、特定濃度のA)とB)との反応を触媒する量を意味し、あるいはA)の重量に対し、最大で10%(重量/重量)、あるいは0.0001~5重量%、あるいは0.01~2重量%(重量/重量)、あるいは0.1~1%(重量/重量)の触媒量である。
【0064】
A)、B)及びC)は、更にD)溶媒と組み合わされてもよい。溶媒、D)は、反応の温度及び圧力条件下で液体である。一実施形態では、D)は、非電子供与性、あるいは交互非電子供与性炭化水素、あるいはアルカンである。非電子供与性炭化水素又はアルカン溶媒は、5~18個、あるいは6~10個の炭素原子を含む。電子供与性溶媒をD)として使用することもできるものの、非電子供与性のものが好ましい。
【0065】
溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、イソカン(isocane)、及びこれらの異性体などのアルカンが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、i)における組み合わせることは、ヘキサン、ヘプタン、又はオクタンを含む。
【0066】
溶媒D)は、任意の順序で組み合わせることができる。典型的には、溶媒D)は、B)と組み合わせる前にA)及びC)に、あるいはB)と組み合わせる前にC)、次にA)に組み合わせられる。
【0067】
A)、B)及びC)、そして存在する場合にはD)は、i)において反応器で組み合わせられる。当業者であれば、A)、B)、C)及びD)を組み合わせるための反応器の選択方法をご存知であろう。例えば、Parr反応器などの圧力反応器を用いることができる。
【0068】
i)において製造されたアミノシランは精製されてよく、さもなければii)において使用する前に他の材料により処理又は他の材料と組み合わせてもよい。
【0069】
i)で製造されたアンモニア及びアミノシラン化合物は、十分な条件下でii)と組み合わせられ、シリルアミン及び副生成物を形成する。
【0070】
ii)で形成されたシリルアミンは、i)で製造されたアミノシラン化合物をアンモニアと組み合わせることにより形成された任意のシリルアミンであり、あるいはシリルアミンは、ジシリルアミン((SiHNH)、又はトリシリルアミン((SiHN)、あるいはトリシリルアミンである。
【0071】
ii)で形成されたシリルアミンは、シリルアミンの重量に対し5ppmw未満、あるいは1ppmw未満、あるいは0.1ppmwのハロゲン、あるいは臭素又は塩素、あるいは塩素を有する。一実施形態では、シリルアミンは検出不能量のハロゲンを含有しない。
【0072】
一実施形態では、ii)で形成されるシリルアミンは、5ppmw未満のハロゲンを有するトリシリルアミンを含む組成物について上記のとおりのものである。
【0073】
ii)で形成された副生成物は、少なくとも一級アミン又は二級アミンを含む。一実施形態では、副生成物は、上記式(III)の一級アミン又は二級アミンを含む。
【0074】
i)のアミノシラン化合物はii)で、シリルアミン及び副生成物を形成するのに十分な条件下でアンモニアと組み合わせられる。シリルシランを形成するのに十分な条件は、アンモニアと、アミノシラン官能性を有する化合物とを組み合わせることを含む、シリルアミンの製造方法について上記のとおりのものであり、ここで、アミノシラン官能性を有する化合物は、式(I)による。異なる組み合わせ工程で使用される条件は、本明細書に記載の任意のその他の接触工程(stop)(複数可)及び/又は分離工程で使用される条件と同一であっても異なっていてもよい。
【0075】
i)で製造されるアンモニア及びアミノシランは、アンモニアの、アミノシラン官能性を有する化合物に対するモル比、0.1~100、あるいは1~10、あるいは0.25~1で組み合わせられる。
【0076】
i)で製造したアンモニアとアミノシランを、i)で組み合わせることについて記載したとおりに反応器中で組み合わせる。工程i)及び(ii)には同じ反応器を使用してもよく、あるいは別の反応器を使用してもよい。
【0077】
一実施形態では、i)で形成されたアミノシランは、ii)において組み合わせる前に回収される。アミノシランは、形成された水素及び残存する任意の出発物質からアミノシランを分離することによし回収することができる。例えば、アミノシランは、蒸留、デカンテーション、蒸発、抽出、濾過、凍結乾燥、ガスクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、分割(partitioning)、相分離、逆相液体クロマトグラフィ、ストリッピング揮発、及び洗浄により回収することができる。当業者であれば、アミノシランの回収方法についてご存知であろう。
【0078】
本方法は、ii)で生成されるシリルアミンを回収することを更に含んでよい。シリルアミンは、副生成物及び未反応のアミノシランから、蒸留、デカンテーション、蒸発、抽出、濾過、凍結乾燥、ガスクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、分割、相分離、逆相液体クロマトグラフィ、ストリッピング揮発、及び洗浄などの1つ以上の一般的な分離手法によって回収され得る。当業者であれば、シリルアミンの回収方法をご存知であろう。
【0079】
本方法は、iii)i) において、A)のとおりii)において形成された、一級アミン又は二級アミン副生成物を回収し、組み合わせることを更に含む。一級アミン又は二級アミン副生成物は、蒸留などの当該技術分野で既知の手法により回収され得る。一級アミン又は二級アミン副生成物は、上記i)において、A)を組み合わせることについて記載されたとおり、i)において組み合わせられ得る。
【0080】
ケイ素含有膜の形成方法であって、トリシリルアミンと5ppmw未満のハロゲンとを含む組成物を、基材の存在下で成膜条件にかけて、基材上のケイ素含有膜を形成することを含む、方法。
【0081】
トリシリルアミンと5ppmwのハロゲンとを含む組成物は上記のとおりのものである。
【0082】
成膜条件は、原子層成長法及びプラズマ増強原子層堆積などの化学蒸着プロセスにおいて当該技術分野において一般的に使用されるものである。
【0083】
基材は、炭素、ケイ素及び二酸化ケイ素などといった、ケイ素含有膜を成膜させるのに一般的に使用される任意の基材であってよい。
【0084】
トリシリルアミン及び5ppmw未満のハロゲンを含有する組成物を堆積させることにより基材上に形成された膜は、上記のとおりのものである。
【0085】
本発明のシリルアミンは、低ハロゲン含有である、又はハロゲンを含有しない。本発明の方法は、経済的かつ収率よく、ハロゲン含有量の低い又は全く含まないシリルアミンを製造した。更に、シリルアミンは、ケイ素含有膜を製造するために低ハロゲン材料を必要とする化学堆積プロセスにおいて使用することができる。
【0086】
本発明の方法により製造された、本発明のシリルアミンは、ケイ素含有膜を製造するための化学蒸着プロセスにおいて使用される。本発明は、追加の利点を有しても用いてもよく、そのうちのいくつかが以下に記載される。
【0087】
「発明(invention)」又は同等な表現(例えば、本発明(the present invention)、この発明(this invention)、又は本発明(the invention))への任意の言及は、それらの典型的な発明の実施形態又は態様を意味するものであり、発明の範囲を過度に限定するために使用するものではない。マーカッシュ形式の群への任意の言及は、異なる方法で同等に表現することができる。例えば、要素A、B、及びCのマーカッシュ形式の群は、「A、B、及びCから選択される要素」、「A、B、及びCからなる群から選択される要素」、又は「要素A、B、又はC」として同等に表現することができる。マーカッシュ形式の群は、属、その亜属、及びその1つ以上の特定の要素の2つ以上を含むことができる。マーカッシュ形式の群のそれぞれは、特定の発明の実施形態に個々に又は集合的に依拠し、特定の発明の実施形態に対する適切な支持を提供することができる。
【0088】
「代わりに/あるいは(alternatively)」の任意の使用は、独立した実施形態を示すものとする。冠詞「a」、「an」、及び「the」はそれぞれ、1つ又はそれ以上を指す。比較例におけるような「比較」への任意の言及は、例示を目的とするのみであり、従来技術からの何かを意味しないものとする。「接触させること」又は「組み合わせること」についての任意の言及は、物理的接触状態にすることを意味する。指定された個別の数より大きい(例えば、>50、又は≧50)におけるような「より大きい」への任意の言及は、その上側端点として絶対最大値(例えば、100%)、又は場合によって絶対最大値がない場合は実際的最大値(例えば、10,000繰り返し単位、又は10,000,000g/mol)を含む範囲又は部分的範囲を包含する。あるいは、上側端点は、絶対最大値より小さい(例えば、>100%)、又は実際的最大値より小さい(例えば、<10,000繰り返し単位、又は<10,000,000g/mol)場合がある。指定された個別の数より小さい(例えば、<10、又は≦10)におけるような「より小さい/未満」への任意の言及は、その下側端点として絶対最小値(例えば、ゼロ(0))、又は場合によって絶対最小値がない場合は実際的最小値(例えば、ゼロより大きい(>0))を含む範囲又は部分的範囲を包含する。例えば、実際的最小値>0は、表現「10重量%より小さい濃度で存在する」の文脈から明白である。あるいは、下側端点は、絶対最小値より大きい(例えば、>0%)場合がある。「であってもよい、し得る、ことができる(may)」の使用は、選択肢を与えるものであり、必須とするものではない。本明細書に依拠した任意の範囲は、範囲内の端点並びに整数及び/又は小数値を含む全ての範囲及び部分的範囲を表現し意図している。開示された範囲若しくは部分的範囲の端点の間の開示された端点又は個々の数値は、特定の発明の実施形態に依拠し、特定の発明の実施形態に対して適切な支持を提供し得る。「それの(thereof)」への任意の言及は、言及している直前の要素、部材、特徴、限定、リスト、又は群を指すものとし、かつそれらにより置き換えて変更することができる。
【0089】
量、濃度、又は量の比についての任意の言及は重量に対するものである。用語「副生成物」についての言及は、1種2種以上の反応物の化学変換の二次生成物を意味する。「パーセント」又は「%」としての「濃度」の言及は、重量%を意味し、かつ記載の材料の製造に使用される全成分の合計重量に基づくものであり、合計100重量%とする。「膜」又は「コーティング」についての言及は、1つの次元にて制限された物質を意味する。制限された次元は「厚さ」を特徴とし得る。材料特性(例えば、粘度)又は材料特性を測定するための試験方法への任意の言及は、摂氏23度(℃)かつ101.3キロパスカル(kPa)で測定されたその特性であってよく、又は実施される方法であるものとする。分子の「分子質量」に対する言及は、モル当たりのグラムで表される分子量(MW)を意味する。「精製する(purify)」ことについての任意の言及は、所望の含有成分の濃度を(≦100%に至るまで)増加させること、あるいは所望の含有成分の濃度が増加したかどうかに関わらず、1種又は2種以上の望まない含有成分の濃度を(≧0%に至るまで)低下させること、あるいはその両方、を意味する。「分離」についての言及は、物理的に離れるようにすること、したがってその結果として、もはや直接接触していないことを意味する。「基材」についての言及は、その上に他の材料を受け入れることができる、少なくとも1つの表面を有する物理的支持体を意味する。「媒質(vehicle)」についての言及は、溶解し得るかどうかに関わらず、他の材料の担体、受容媒体、分散媒体、上清、又は溶媒とし機能する材料を意味する。媒質は、液体であってもよい。
【0090】
化学元素、化学元素の群(単数又は複数)、又は元素周期表への任意の言及は、2013年5月1日付けでIUPACにより発行された化学元素、群(単数又は複数)、及び元素周期表を意味するものとする;iupac.org/reports/periodic_table/を参照のこと)。IUPACは、国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)(IUPAC Secretariat,Research Triangle Park,North Carolina,USA)である。任意の化学用語の意図する意味は、IUPACによって公表される定義である。「触媒」に対する任意の言及は、担持又は非担持であってよく、複合触媒であってもなくてもよい、均一又は不均一触媒を意味する。均一触媒は、反応物及び任意の媒質と溶液を形成する。不均一触媒は、反応物及び/又は反応において存在する任意の媒質に溶解しない。「組成(composition)」に対する任意の言及は、その構成元素の実験式によって定義することができる化学物質を意味する。ヒドロカルビレン、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、フェニレン等の、接尾辞「エン(en)」で終了する有機基名は、直鎖、分枝鎖、又は環状であってもよい二価のラジカル基を意味する。例えば、非置換の(C)ヒドロカルビレンとしては、シクロプロピレン、メチルエチレン、及びプロピレンが挙げられ、ここでシクロプロピレンは、シクロプロパン-1,2-ジイルを意味し;メチルエチレンは、1-メチル-エタン-1,2-ジイル(すなわち、プロパン-2,3-ジイル)又は2-メチル-エタン-1,2-ジイル(すなわち、プロパン-1,2-ジイル)を意味し;及びプロピレンは、プロパン-1,3-ジイルを意味する。C-H官能性を含有する任意の有機基は、独立して、1つ以上の置換基により非置換又は置換であってよい。有機基は、一価(monovalent)(1価の自由原子価を有する)、二価(divalent)(2価の自由原子価を有する)、三価(trivalent)(3価の自由原子価を有する)、又は四価(tetravalent)(4価の自由原子価を有する)であってもよく、一価(univalent)、二価(bivalent)、三価(trivalent)、及び四価(quadravalent)としても知られる。一価の有機基の例は、オルガニル基又はオルガノヘテリル基である。オルガニル基の例は、ヒドロカルビル基及びヘテロヒドロカルビル基である。オルガノヘキシル基の例は、ヒドロカルビルアミノ基及びヒドロカルビルオキシ基である。二価の有機機の例は、オルガニレン基及びオルガノへテリレン基である。オルガニレン基の例は、ヒドロカルビレン基及びヘテロヒドロカルビレン基である。オルガノへテリレン基の例は、ヒドロカルビレンアミノ基及びヒドロカルビレンオキシ基である。ヘテロヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビレン、オルガノヘテリル及びオルガノヘテロレン基は、O、N、S、及びPから選択される1種以上のヘテロ原子を含み;あるいは、O、N、又はSを含み;あるいは、O又はNを含み;あるいは、Nを含み;あるいはOとする。
【実施例
【0091】
下記の実施例は、本発明の方法をよりよく説明するために示されるものであり、添付の「特許請求の範囲」内において示される発明を制限するものと考えられるべきではない。別途の記載がない限り、実施例中に記載される全ての部及び比率(%)は重量に基づくものである。別途の記載がない限り、室温又は周囲温度は23℃である。以下の表に、実施例で使用される略語を記載する。
【0092】
【表1】
【0093】
ガスクロマトグラフィ熱伝導率検出器(GC-TCD)装置及び条件:キャピラリーカラムは、長さ30m、内径0.32mmで、厚さ0.25μmの固定相をキャピラリーカラムの内面上のコーティングの形状で含み、ここで、固定相は、フェニルメチルシロキサンで構成された。キャリアガスには、流量毎分105mmでヘリウムガスを使用した。GC装置はAgilentのモデル7890Aのガスクロマトグラフとした。入口温度は200℃である。GC実験温度プロファイルは、50℃で2分間の灼熱処理(保持)、15℃/分の速度で250℃までの昇温、及びその後の250℃で10分間の灼熱処理(保持)からなる。GC-TDCは、以下の実施例において生成物及び反応物を特性評価するために使用した。
【0094】
実施例1-DIPAC合成
温度をTCSの沸点未満に維持するため、凝縮器を取り付け、DIPA:TCSのモル比1:7~1:10でTSCを含有させたフラスコに、周囲温度及び圧力で、滴下漏斗からDIPAを滴下した。反応温度を20℃から30℃に上昇した。プレートフィルタを使用して反応混合物を濾過し、副生成物塩を除去した。その後、反応混合物を100℃に加熱してTCSを除去し、DIPAC生成物を残した。
【0095】
比較例1-DIPACをLiAlHで還元することによるDIPASの合成
DIPACとDIPBとの冷却混合物を入れて-20℃に冷却した反応器に、ジエチルエーテル中20% LiAlH混合物を滴下漏斗により段階的に滴下して加えた。温度は10℃未満に維持した。DIPACのDIPBに対する質量比は3:1であった。25%(重量/重量)過剰のLiAlHを使用した。全てのLiAlHを反応器に供給したところで、反応を2時間-11℃に維持した。その後、1.3kPaにまで真空引きし、反応器ポットの温度を77℃に上昇させて、反応により生成されたDIPASを凝縮器を介しポットから留去した。DIPASの58%の収率が達成された。
【0096】
比較例2-DIPACをLiAlHで還元することによるDIPASの合成
DIPACとDIPBとの冷却混合物を入れて-20℃に冷却した反応器に、ジエチルエーテル中20% LiAlH混合物を滴下漏斗により段階的に滴下して加えた。温度は10℃未満に維持した。DIPACのDIPBに対する質量比は5:1であった。15~20%(重量/重量)過剰のLiAlHを使用した。全てのLiAlHを反応器に供給したところで、反応を10日間-0℃に維持した。ある1バッチに対しては、1.3kPaにまで真空引きし、反応器ポットの温度を40℃に上昇させて、DIPASを留去した。別のバッチについては、0.9kPaにまで真空引きし、還流を確立し、反応器ポットの温度を72℃にまで上昇させて、DIPASを留去した。第1及び第2のバッチの収率は、それぞれ62%(重量/重量)及び63%(重量/重量)であった。
【0097】
実施例2-デヒドロカップリングによるDIPASの合成
250mLのPARR反応器に、11gのn-デカン、7.02gのDIPA、0.4mLの1.0Mジ-n-ブチルマグネシウムを添加した。反応器のヘッドスペースを真空引きし、モノシランガスで1500kPaに再加圧した。その後、PARR反応器を80℃+/-8℃に加熱し、24時間保持した後、周囲温度まで冷却する。反応器を冷却した後、ヘッドスペースをパージし、反応物を分析したところ、78.75% DiPAS、20.41% DIPA、及び0.84%ビス(ジイソプロピルアミノ)シランと、溶媒とからなる粗生成物18.672gが生成され、DIPASの収率66.3%(重量/重量)が得られた。
【0098】
実施例3-デヒドロカップリングによるDIPASの合成
250mL PARR反応器に、10.01g DiPB、7.01g DIPA、0.30g B(Cを添加した。反応器のヘッドスペースを真空引きし、モノシランガスで655kPaに再加圧した。その後、PARR反応器を80℃+/-8℃に加熱し、4.5時間保持した後、周囲温度まで冷却する。反応器を冷却した後、ヘッドスペースをパージし、反応物を分析したところ、0.96%(重量/重量)DiPAS、98.53%(重量/重量)DIPA、0.51%(重量/重量)ビス(ジイソプロピルアミノ)シランと溶媒とからなる16.98gの粗生成物が製造されていたことが判明した。DIPASの0.7%の収率(重量/重量)はDIPA充填に基づくものであった。
【0099】
実施例4-DIPASによるアミン交換によるTSA合成
250mL PARR反応器に、83.4gのDIPB混合した27.1gの90%(重量/重量)DIPASを充填し、更に追加の83.0gのDIPBを反応器に供給してDIPASのライン(line)をはっきりとさせた。反応器のヘッドスペースを真空引きし、無水アンモニアで241kPaに再加圧した。15分後に圧力を8psiに低下させた。次にPARR反応器を63℃に加熱し、保持した。ヘッドスペースをパージし、反応物を分析したところ、DIPB中のTSAの収率は35%であることが判明した。
【0100】
実施例5-DIPASによるアミン交換によるTSA合成
-10℃に冷却した250mLのPARR反応器に320gのDIPASを充填した。反応器のヘッドスペースを真空引きした後、このヘッドスペースを無水アンモニアにより107kPaに再加圧した。アンモニア消費が終わるまで、反応器へのアンモニア供給を継続し、圧力を107kPaに維持した。15分後に圧力を8psiに低下させた。次にPARR反応器を63℃に加熱し、保持した。ヘッドスペースをパージし、反応物を分析したところ、DIPB中のTSAの収率は35%であることが判明した。反応器ポットの温度は13℃まで上昇し、安定した。反応混合物をGCで分析したところ、ジシリルアミン(DSA)に対し85%(重量/重量)のDIPASを観察した。88% 160gを反応器に充填した。次に、反応器を40℃で2時間加熱した後、0℃で12時間冷却した。次に、反応生成物をGCで分析したところ、DSAからTSAへの28%(重量/重量)の変換率が観察された。
【0101】
次に、反応生成物を50℃で7時間加熱したところ、DSAからTSAへの変換率は56%まで増加した。次に、反応物を30℃で16時間保持した後、70℃で2.5時間保持したところ、DSAからTSAへの変換率は87%に増加した。次に、反応物を0℃で48時間保持した後、70℃で2時間保持したところ、DSAからTSAへの変換率は91%に増加した。反応生成物TSAを55℃、32kPaでオーバーヘッド留去した。最終的なTSA収率80%が達成された:223gの純度42%のTSA(46% DIPA)。最後に、反応生成物を純度94%(重量/重量)のTSAに留去した。