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特許7082575施設モニタリング及び制御のためのリアルタイム移動式キャリアシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】施設モニタリング及び制御のためのリアルタイム移動式キャリアシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20220601BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20220601BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220601BHJP
   G01N 15/06 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H01L21/68 A ZIT
H01L21/02 Z
G05B19/418 Z
G01N15/06 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018556932
(86)(22)【出願日】2017-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 US2017029711
(87)【国際公開番号】W WO2017189770
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】62/329,810
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/496,461
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515235908
【氏名又は名称】トライコーン テック タイワン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ シー-アン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リ-ペン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ツォン-クァン エイ
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-527899(JP,A)
【文献】特開2008-008834(JP,A)
【文献】特表2005-513459(JP,A)
【文献】特表2016-500929(JP,A)
【文献】特開2004-047929(JP,A)
【文献】特開2012-094822(JP,A)
【文献】特開2008-282939(JP,A)
【文献】特開2000-088717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
G05B 19/418
G01N 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式キャリアモニタリング装置であって、
製造されている製品を内部に受け取るように構成され、かつ輸送システムによって製造施設内の複数の位置に移動されるように構成された、1又は2以上の移動式キャリアと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置する移動式キャリア制御システムと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置して前記移動式キャリア制御システムに結合された1又は2以上のセンサと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置して前記少なくとも1つのセンサ及び前記移動式キャリア制御システムに通信可能に結合された通信システムであって、前記1又は2以上のセンサからのデータを前記移動式キャリアから離れた位置に送信できる通信システムと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置して、前記移動式キャリア制御システム、前記1又は2以上のセンサ及び前記通信システムに電力を供給するように結合された電力システムと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置する試料採取システムであって、前記移動式キャリアの内部及び前記移動式キャリアの外部の少なくとも一方に流体的に結合された1又は2以上の試料採取管を含む試料採取システムと
を備える装置。
【請求項2】
各移動式キャリア内又は各移動式キャリア上に位置して、前記電力システム、前記通信システム及び前記移動式キャリア制御システムに結合されたモジュラー結合システムを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モジュラー結合システムは、電気的結合部、流体結合部、通信結合部又は機械的結合部を含むことができる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1又は2以上のセンサは、
分子状汚染物質分析器、
1又は2以上の温度プローブを含む温度センサ、
気流センサ、
水(H2O)、酸素、温度及び湿度のうちの1つ又は2つ以上を測定するセンサ、
振動センサ、
粒子センサ、
カメラ、
物理的特性又は化学的特性をモニタするためのセンサ、
位置センサ、又は、
内部位置センサ、
を含むことができる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記通信システムは、前記移動式キャリアから離れた前記位置と無線又は有線で通信することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記試料採取システムは、前記1又は2以上の試料採取管に流体的に結合されたキャニスタを更に備える、
求項に記載の装置。
【請求項7】
前記試料採取システムは、前記キャニスタの内部に流体的に結合されたポンプを更に備える、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記試料採取システムは、部に吸着剤を含むトラップサンプラーであって前記1又は2以上の試料採取管に流体的に結合されたトラップサンプラーを更に備える、
求項に記載の装置。
【請求項9】
前記試料採取システムは、
前記トラップサンプラーの内部に流体的に結合されたポンプ、及び、
前記トラップサンプラーに熱的に結合されて前記トラップサンプラーの内部の吸着剤を加熱するヒータ、
の少なくとも一方を更に備える、請求項に記載の装置。
【請求項10】
モニタリングシステムであって、
製造されている製品を内部に受け取るように構成され、かつ輸送システムによって製造施設内の複数の位置に移動されるように構成された、1又は2以上の移動式キャリアと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置する移動式キャリア制御システムと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置して前記移動式キャリア制御システムに結合された1又は2以上のセンサと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置して前記少なくとも1つのセンサ及び前記移動式キャリア制御システムに通信可能に結合された通信システムであって、前記1又は2以上のセンサからのデータを前記移動式キャリアから離れた位置に送信できる通信システムと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置して、前記移動式キャリア制御システム、前記1又は2以上のセンサ及び前記通信システムに電力を供給するように結合された電力システムと、
各移動式キャリア内又は各移動式キャリア上に位置して、前記電力システム、前記通信システム及び前記移動式キャリア制御システムに結合されたモジュラー結合システムと、
各移動式キャリアの内部又は外部に位置する試料採取システムであって、前記移動式キャリアの内部及び前記移動式キャリアの外部の少なくとも一方に流体的に結合された1又は2以上の試料採取管を含む試料採取システムと、
を備える移動式キャリアモニタリング装置、並びに
前記移動式キャリアの前記モジュラー結合システムに適合するモジュラー結合システムを含むスマートステーション、
を備えるモニタリングシステム。
【請求項11】
前記移動式キャリアの前記モジュラー結合システム及び前記スマートステーションの前記モジュラー結合システムは、電気的結合部、流体結合部、通信結合部又は機械的結合部を含むことができる、請求項10に記載のモニタリングシステム。
【請求項12】
前記スマートステーションは、スマートステーションオペレーティングシステムと、検出システム、試料採取システム、電源システム及び有線又は無線通信システムのうちの少なくとも1つとを含み、前記検出システム、前記試料採取システム、前記電源システム、前記有線又は無線通信システム及び前記スマートステーションオペレーティングシステムのうちの少なくとも1つは、前記スマートステーションの前記モジュラー結合システムに結合される、請求項10に記載のモニタリングシステム。
【請求項13】
前記スマートステーション内の検出システム及び前記移動式キャリア内の前記1又は2以上のセンサは、
分子状汚染物質分析器、
1又は2以上の温度プローブを含む温度センサ、
気流センサ、
水(H2O)、酸素、温度及び湿度のうちの1つ又は2つ以上を測定するセンサ、
振動センサ、
粒子センサ、
カメラ、
物理的特性又は化学的特性をモニタするためのセンサ、
位置センサ、又は、
内部位置センサ、
を含むことができる、請求項12に記載のモニタリングシステム。
【請求項14】
前記移動式キャリアの前記通信システム及び前記スマートステーションの前記通信システムは、前記移動式キャリア又は前記スマートステーションから離れた位置と無線又は有線で通信することができる、請求項10に記載のモニタリングシステム。
【請求項15】
前記移動式キャリア及び前記スマートステーションの少なくとも一方の前記試料採取システムは、前記1又は2以上の試料採取管に流体的に結合されたキャニスタを更に備える、
求項12に記載のモニタリングシステム。
【請求項16】
前記試料採取システムは、前記キャニスタの内部に流体的に結合されたポンプを更に備える、請求項15に記載のモニタリングシステム。
【請求項17】
前記移動式キャリア及び前記スマートステーションの少なくとも一方の前記試料採取システムは、部に吸着剤を含むトラップサンプラーであって前記1又は2以上の試料採取管に流体的に結合されたトラップサンプラーを更に備える、
求項12に記載のモニタリングシステム。
【請求項18】
前記試料採取システムは、
前記トラップサンプラーの内部に流体的に結合されたポンプ、及び、
前記トラップサンプラーに熱的に結合されて前記トラップサンプラーの内部の吸着剤を加熱するヒータ、
の少なくとも一方を更に備える、請求項17に記載のモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2017年4月25日に出願された米国特許出願第15/496,461号、及び2016年4月29日に出願された米国仮特許出願第62/329,810号の特許協力条約(PCT)第8条に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
開示する実施形態は、一般に施設モニタリング(facility monitoring)に関し、具体的には、限定するわけではないが、施設モニタリング及び制御のためのリアルタイム移動式キャリアシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
企業又は工場の内部モニタリングシステムは、一般に大型の定置式機械及び検出システムであり、このため検出範囲がこれらの位置の直近の周囲領域に限られる。これらの検出器の多くは、大型施設を十分にカバーするために必要とされるが、高価であるとともに、他の設備が必要とする又は他の設備のために使用した方が良い可能性がある床面積を占有してしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、別途規定しない限り様々な図全体を通じて同じ要素を同じ参照符号によって示す以下の図を参照しながら、本発明の非限定的かつ非包括的な実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】半導体製造施設をモニタするための移動式キャリアシステムの実施形態の図面である。
図1B】半導体製造施設をモニタするための移動式キャリアシステムの実施形態の図面である。
図2】移動式キャリアを用いたモニタリングシステムの実施形態の図面である。
図3】センサ又は収集システムを含んでいない空の移動式キャリアの実施形態の3次元図である。
図4A】1又は2以上の温度モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図4B】1又は2以上の温度モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図4C】1又は2以上の温度モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図5】1又は2以上の気流モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図6】1又は2以上の湿度、酸素、水及び/又は温度モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図7】1又は2以上の振動モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図8】1又は2以上の粒子モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図9】1又は2以上のモニタリングカメラを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図10】物理的特性をモニタするための1又は2以上のセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図11】1又は2以上の位置モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図12A】1又は2以上の内部位置モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図12B】1又は2以上の内部位置モニタリングセンサを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図13】試料収集システムを含む移動式キャリアの実施形態のブロック図である。
図14】試料収集システムを含む移動式キャリアの別の実施形態のブロック図である。
図15】複数の移動式キャリアシステムを用いてモニタリングを行う実施形態の図面である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
移動式キャリア(mobile carriers)を用いたリアルタイムな施設モニタリング及び制御のための装置、システム及び方法の実施形態について説明する。実施形態を理解できるように具体的な詳細について説明するが、当業者であれば、説明する詳細のうちの1つ又は2つ以上を伴わずに、又は他の方法、コンポーネント、材料などを用いて本発明を実施することもできると認識するであろう。場合によっては、周知の構造、材料又は動作について詳細に図示又は説明していないこともあるが、このような構造、材料又は動作も本発明の範囲に含まれる。
【0007】
本明細書全体を通じて、「1つの実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」との言及は、説明する特徴、構造又は特性を少なくとも1つの説明する実施形態に含めることができることを意味する。このため、「1つの実施形態では(in one embodiment)」又は「ある実施形態では(in an embodiment)」との表現が出現しても、必ずしもこれらが全て同じ実施形態を参照するとは限らない。さらに、このような特定の特徴、構造又は特性は、1又は2以上の実施形態においてあらゆる好適な形で組み合わせることもできる。
【0008】
以下、複数の検出システムを備えた工場内部モニタリングシステムにおいて使用できる移動式キャリアシステムの実施形態を開示する。開示する実施形態は、検出範囲を拡大して自動化用途を増やす。また、いくつかの実施形態では、移動式キャリアシステムを、集中制御方法、データ伝送方法、充電方法及びモジュラー交換方法を提供するスマートステーションと併用することができる。スマートステーションは、移動式キャリアシステムの有用性を高め、さらに多くの検出項目又は検出システムを含む。
【0009】
移動式キャリアシステムの実施形態は、検出システム、及び/又は電力システム、及び/又は無線又は有線通信伝送システム、及び/又は一連のモジュラー入力及び出力接続システムを含むことができる。スマートステーションの実施形態は、一連のモジュラー入力及び出力接続システム、及び/又は電源システム、及び/又は無線又は有線通信伝送システム、及び/又はステーションオペレーティングシステム、及び/又は一連の検出システムを含むことができる。
【0010】
移動式キャリアシステムの実施形態は、複数の検出システムと共に使用することができる。1つの実施形態では、移動式キャリアシステムが、伝送路又は伝送軌道に沿って異なる位置に移動して特定の測定点データを獲得する。移動式キャリアシステムは、特定の位置に移動し、移動式キャリアの検出システムを設備に引き渡して、検出システムが設備の測定を行うようにすることもできる。また、移動式キャリアシステムの実施形態は、特定の位置に移動し、キャリアの内部又は外部からキャリアシステム内にデータ又は検体などの資料を収集して、検体を測定のために特定の分析機械に搬送することもできる。
【0011】
移動式キャリアシステムの実施形態は、自己構築型(すなわち、内蔵又は自給式)電力システムを用いて動作することができる。自己構築型電力システムを充電する必要がある時には、キャリアシステムがスマートベースステーションに移動し、ベースステーションが電力供給及び充電を行うことができる。移動式キャリアシステムの実施形態は、データ又は制御メッセージをデータ分析及び処理のために集中制御システムに送信できる無線又は有線通信伝送システムによって検出及び制御を行う。集中制御システムからの出力は、システム管理者又はユーザに提供することができ、これらの人物は、統合情報を使用して対応する方法又は戦略を決定することができる。
【0012】
移動式キャリアシステムの実施形態とスマートステーションの実施形態は、モジュラー入力/出力(I/O)結合システムによって接続することができる。I/O結合システムの全てのモジュラー結合部は、イーサネット(登録商標)や、スマートベースステーションと移動式キャリアとの間で検体又はガス試料を移送できるようにする1又は2以上のチューブなどの異なるI/O機能を提供する。モジュラーI/O結合システムは、便利な交換を提供し、設計変更時間を短縮し、ユーザが独自のシステムを素早く設計するのに役立つこともできる。スマートベースステーションは、複数の検出システム(下記を参照)と一体化することができる。移動式キャリアシステムから搬送された検体は、スマートステーション内の設備によって検出することができる。
【0013】
図1A及び図1Bに、製造施設100をモニタする移動式キャリアシステムの実施形態を示す。製造ライン100は、例えば半導体製造において使用することができるが、他の実施形態では他の目的で図示の設備とは異なる設備と共に使用することもできる。
【0014】
図1Aには、製造ライン100の全体的レイアウトを示す。製造ライン100は、建物、建物内の部屋又は区画、又は他の何らかのタイプのエンクロージャとすることができるエンクロージャ102内に位置する。エンクロージャ102内には、1又は2以上の工程設備モジュール104が位置する。各工程設備モジュール104は、ロードポートを含むとともに1又は2以上のチャンバを含むことができ、各チャンバは、その特定の工程設備モジュール104が実施する製造手順に関連する異なる機能を実行する。
【0015】
一般に、製造工程は多くの手順を含み、各工程設備モジュールは、全体的な製造工程における手順の一部のみを実行する。この結果、製造ライン100上で製造されている製品(items being manufactured)(半導体製造施設では、プロセッサ、メモリ、MEMSチップ、光学チップなどを含む半導体ウェハ)は、その工程の全ての手順が行われるまで1つの工程設備モジュールから別の工程設備モジュールに移動しなければならない。軌道110は、施設102内を蛇行して進んで移動式キャリア106(したがって移動式キャリア内で搬送される製造されている製品)(図1Bを参照)を複数の工程設備モジュールに搬送し、図示の実施形態は、P1~P7で表す7つの工程設備モジュール104を有するが、他の実施形態は異なる数を有することができる。輸送システムは、製造されている製品が特定のエンクロージャ102内の全ての工程設備モジュール104を通過した後に可動キャリアと共にエンクロージャ102から出る。
【0016】
図1Bには、製造ライン100をモニタする移動式キャリアシステム150の実施形態を示す。製造されている製品は、しばしば密閉されたミクロ環境である内部に当該製造されている製品を含めて搬送する移動式キャリア108を用いて工場内を動き回る。移動式キャリアモニタリングシステムは、製造されている製品を搬送するために使用されるものと同じ移動式キャリア108を用いて、製造施設内の状態をモニタするために使用できるセンサ、分析器及び試料採取装置(sampling devices)も搬送する。異なる実施形態では、移動式キャリア108が、センサ及び/又は試料採取装置のみを搬送することも、或いは製造されている製品とセンサ及び/又は試料採取装置の両方を搬送することもできる。図示のような半導体施設の実施形態では、移動式キャリア108が、半導体ウェハの搬送に使用されるという理由でフープ(Front-Opening Unified Pods:FOUPs)、ウェハコンテナ又は基板コンテナと呼ばれる。しかしながら、他の実施形態では、他のタイプの可動キャリアを使用することもできる。
【0017】
輸送システムは、各可動キャリア内で搬送される製品に異なる製造手順が行われるように、各移動式キャリア108を製造施設の1つの工程設備モジュール104のロードポートから別の工程設備モジュールのロードポートに搬送して回る。図示の実施形態では、輸送システムが、天井軌道式吊り上げシステム(overhead track-and-hoist system)である。軌道110に沿って、車輪付きの電動式キャリッジ112が動く。各車輪付きキャリッジ112には、移動式キャリア108をz方向に持ち上げるとともに、複数のキャリアを収容できるロードポート上に配置できるように移動式キャリア108をy方向に(すなわち、ページの内外に)動かすこともできるホイスト114が取り付けられる。移動式キャリアシステムの他の実施形態は、自動輸送システム、無人搬送車(AGV)、天井走行式無人搬送車(overhead hoist transfer)及びFront Opening Unified Pods(OHT及びFOUP)、無人航空機(UFV)などの他のシステム、並びに半導体産業、パネル産業及び物流などで使用される他のモビリティシステムからその移動性を獲得することができる。
【0018】
モニタリングシステム150では、1又は2以上の移動式キャリア108の各々が、その内部又は外部に位置する1又は2以上のセンサ、試料採取システム、或いは試料採取システムとセンサの両方を有するように構成することができる。センサ及び試料採取システムは、輸送システムによって施設102内を動き回る際に移動式キャリアの内部又は外部の状態を定量的又は定性的に検出し、測定し、又は別様に特性化するために使用することができる。
【0019】
各移動式キャリア108は、スマートステーション106(図2を参照)又は施設内の工程設備モジュール104のロードポートと結合することができる。各移動式キャリア108は、1又は2以上の移動式キャリアからデータを受け取った時に施設102内の全体的状態をモニタすることができる集中データ/制御センタと有線又は無線で通信することができる。スマートステーション106及び工程設備モジュール104は、データ/制御センタ116と無線又は有線で通信して、移動式キャリアがスマートステーション106又は工程設備モジュール104に結合した時に、移動式キャリア108内のセンサ又はサンプラーからのデータを移動式キャリア自体が直接にではなくスマートステーション又は工程設備モジュールがデータ/制御センタに送信することもできる。データ/制御センタ116は、異常状態の検出時にこれらのデータを工場内に送信して追跡できるように、警告システム又は緊急対応チーム118と無線又は有線で通信することもできる。データ/制御センタ116は、やはり無線又は有線で工程設備モジュールと通信して、モニタリング測定値に応答して工程を調整できる制御信号を送信することもできる。
【0020】
図2に、スマートステーション202及び移動式キャリア204を含むモニタリングシステム200の実施形態を示す。1つの実施形態では、スマートステーション202を固定式とすることができるが、他の実施形態では、例えば車輪付きキャビネットに収容することによって移動式にすることもできる。
【0021】
スマートステーション202はハウジング203を含み、その内部に検出及び/又は試料採取システム206、電源システム208、ステーションオペレーティングシステム210及び有線又は無線通信システム212が配置される。検出及び/又は試料採取システム206、電源システム208、ステーションオペレーティングシステム210及び有線又は無線通信システム212は、移動式キャリア204上のモジュラー結合システム(modular coupling system)224に対応するように設計されたモジュラー結合システム214に全て結合される。図示の実施形態は、これらのコンポーネントとモジュラー結合システム214との間にバス型結合部を有するが、他の実施形態では、これらの結合を異なる形で行うこともでき、バスである必要はない。
【0022】
検出及び/又は試料採取システム206は、スマートステーション202内に位置して、モジュラー結合システム214の少なくとも1つの個別結合器(individual coupler)に結合される。検出及び/又は試料採取システム206は、検出システム、試料採取システム、又は検出システムと試料採取システムの両方とすることができる。システム206は、検出用の場合には、スマートステーションの内部又は外部の状態、或いは移動式キャリア204が施設102内を動き回っている時に環境をサンプリングした場所の状態を定量的又は定性的に検出し、測定し、又は別様に特性化する検出器又は分析器を含むことができる。移動式キャリア204の実施形態で使用される後述する検出器は、いずれもスマートステーション202の実施形態でも使用することができる。検出及び/又は試料採取システム206は、試料採取システムとして動作する際には、スマートステーション202の周囲の環境をサンプリングし、その後にスマートステーション自体の内部検出器又は分析器を用いて試料を分析することも、或いは収集した試料をモジュラー結合システム214経由で移動式キャリア204に移送し、その後に移動式キャリア204が自機の検出システムを用いて分析を行うこともできる。1つの実施形態では、試料採取システム206を、図13及び図14について後述する試料採取システムと同様のものとすることができる。
【0023】
電源システム208は、スマートステーション202内に位置し、モジュラー結合システム214内の少なくとも1つの個別結合器に結合される。電源システムは、スマートステーション202内の他のコンポーネントに電力を供給できるとともに、移動式キャリアがスマートステーションにドッキングした時には、移動式キャリア204内のコンポーネントに直接電力を供給するために、或いはこの例では電力システム218である移動式キャリアの独自の電力システムを充電するために使用することもできる。ある実施形態では、電源システム208を、例えばスマートステーションが存在する施設の電源などの外部電源(図示せず)に結合することもできる。
【0024】
ステーションオペレーティングシステム210は、スマートステーション202内に位置して、この実施形態では検出及び/又は試料採取システム206、電源システム208及び有線又は無線通信システム212であるスマートステーション202内の他のコンポーネントに結合されるとともに、モジュラー結合システム214内の少なくとも1つの個別結合器にも結合される。1つの実施形態では、ステーションオペレーティングシステム210のハードウェアを、スマートステーション内の他のコンポーネントとデータを交換してコンポーネントの機能を制御するとともに、移動式キャリアがスマートステーションにドッキングした時に移動式キャリアと通信できるようにする命令を有するソフトウェアと、プロセッサ、メモリ、ストレージなどとを含む汎用コンピュータとすることができる。ステーションオペレーティングシステム210は、スマートステーション202内の他のコンポーネント又は移動式キャリア204内のコンポーネントからデータを受け取り、処理し、及び/又は解釈するために使用することもできる。他の実施形態では、ステーションオペレーティングシステム210を、やはり必要な機能を実行させる命令を有するソフトウェアを含む特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用コンピュータとすることもできる。
【0025】
有線/無線通信システム212は、スマートステーション202内に位置して、この実施形態では検出及び/又は試料採取システム206、電源システム208及びステーションオペレーティングシステム210であるスマートステーション202内の他のコンポーネントに結合されるとともに、モジュラー結合システム214内の少なくとも1つの個別結合器にも結合される。有線/無線通信システム212は、スマートステーション202内の他のコンポーネントと通信してデータを交換するとともに、移動式キャリア204がスマートステーション202にドッキングした時に通信システム220と通信して移動式キャリアとデータを交換することもできる。通信システム212は、データ/制御システム116(図1Bを参照)などの他の外部コンポーネントと有線又は無線で通信可能に結合してデータを交換することもできる。
【0026】
モジュラー結合システム214は、移動式キャリアがスマートステーションにドッキングした時にスマートステーション202内のコンポーネントを移動式キャリア204内のコンポーネントに結合するために使用される。したがって、移動式キャリアのモジュラー結合システム224は、モジュラー結合システム214に実質的に適合し、モジュラー結合システム214の各個別結合器は、モジュラー結合システム224内に同じ機能のための対応する個別結合器を有する。図示の実施形態では、結合システム214が3つの結合部214a~214cを含むが、他の実施形態では異なる数の結合部を含むこともできる。結合システム214内の個別結合器は、電気的結合部、流体結合部、通信結合部又は機械的結合部を含むことができる。例えば、1つの実施形態では、1つの個別結合器214、したがって対応する結合器224を通信用とし、別の個別結合器を、試料採取システム216から検出システム206への流体試料の移送を可能にする流体結合部とすることができる。別の実施形態では、1つの個別結合器214、したがって対応する結合器224を、移動式キャリア204がスマートステーション202にドッキングした時に移動式キャリアを適所にしっかりと保持する機械的結合器とすることができる。さらに他の実施形態では、個別結合器が複数の機能を有することができ、例えば1対の個別結合器が流体結合部と機械的結合部の両方として機能することができる。モジュラー結合システム214及び224は、従来の接続インターフェースと比べて素早い接続及び切断を可能にする。
【0027】
移動式キャリア204は、スマートステーション202と同様の一連のコンポーネントを有する。これらのコンポーネントは、基本的に製造工程で使用される移動式キャリアであるハウジング205内に位置する(図3を参照)。図示の実施形態では、スマートステーション202内の各コンポーネントが移動式キャリア204内に対応するコンポーネントを有し、移動式キャリア204内のコンポーネントは、検出及び/又は試料採取システム216、電源システム218、制御システム222及び有線又は無線通信システム220を含む。しかしながら、移動式キャリア204の他の実施形態は、スマートステーション202内のコンポーネントに対応する一連のコンポーネントを必要としない。いくつかの実施形態では、移動式キャリア204を専用モニタリングシステムとすることができ、すなわちモニタリングシステムを構成するコンポーネントのみを搬送して製造されている製品を搬送することができない。しかしながら、他の実施形態では、移動式キャリア204が、モニタリングシステムと製造されている製品の両方を搬送することもできる。
【0028】
移動式キャリア204では、検出及び/又は試料採取システム216が検出/試料採取システム206と同様の機能を有して同様のコンポーネントを含むことができ、制御システム222がステーションオペレーティングシステム210と同様の機能を有して同様のコンポーネントを含むことができ、有線又は無線通信システム220が無線通信システム212と同様の機能を有して同様のコンポーネントを含むことができる。1つの実施形態では、主な相違点が電力システム218にある。移動式キャリア204は移動式であるため、1つの実施形態では、電力システム218が、その電力を施設の電源などの外部電源から引き出す電力システムではなく、充電式又は交換式バッテリなどの自給式電力システムである。また、電力システム218が自給式である実施形態では、移動式キャリア204内の他のコンポーネントを、スマートステーション202内の類似する相手方よりも消費電力が小さくなるように選択することが望ましい。
【0029】
スマートステーション202の場合と同様に、移動式キャリア204のコンポーネントも、スマートステーション202上のモジュラー結合システム214に適合するように設計されたモジュラー結合システム224に結合される。図示の実施形態では、結合システム224が3つの結合部224a~224cを含むが、他の実施形態では異なる数の結合部を含むこともできる。結合システム224内の個別結合器も、電気的結合部、流体結合部、通信結合部又は機械的結合部を含むことができる。図示の実施形態では、個別結合器224の数が個別結合器214の数と一致するが、他の実施形態では、対応する結合器が他方に見つからない個別結合器がいずれも不要であるならば、結合器の数が正確に一致する必要はない。
【0030】
図3に、空の移動式キャリア300、すなわち図2に示すコンポーネントをいずれも含んでいない移動式キャリアの実施形態を示す。この時、空の移動式キャリア300は事実上ハウジング205であり、その内部にはモニタリングシステムのコンポーネントが配置される(図2を参照)。移動式キャリア300は六面体であり、この例では立方体であるが、他の実施形態では、円筒形、三角形などの異なる形状を有することもできる。移動式キャリア300は、上部及び底部の外面316と側面314とを含む外観を有する。後述するように、製造されている製品及び図2に示すモニタリングシステムのコンポーネントを収容するために単一の内部チャンバ304を使用することができるが、移動式キャリアの他の実施形態は、複数の内部チャンバを含むこともできる。内部チャンバ304は、床面306、壁部308、後壁310及び天井312によって取り囲まれる。側壁318は、移動式キャリア300の外面と内壁との間の空間を占め、この側壁は、中実とすることも、中空とすることも、絶縁することも、或いはコンポーネント又はコンポーネント間の接続部を収容するために使用することもできる。移動式キャリア300は、側壁318の一方に取り付けられたヒンジを用いて前面に取り付けられて内部チャンバ304を閉鎖するドア(図示せず)を含むこともできる。このドアは、内部チャンバ304を外部環境から気密的又は非気密的に密閉することができる。
【0031】
図4A図14は、異なるタイプの検出システム、試料採取システム、或いは検出システムと試料採取システムとを有する移動式キャリアの実施形態を説明するものである。これらの図には、図面が煩雑になるのを避けるために検出/試料採取システムのみを示しているが、たとえ図示していなくても、当然ながら図2に示して上述したような移動式キャリアの他のコンポーネント、及びコンポーネント間のあらゆる必要な相互接続部も存在する。また、これらについては個別に説明しているが、説明するセンサを単独で使用する必要はなく、あらゆる組み合わせで使用することができる。例えば、移動式キャリアは、図4A図12Bのセンサのうちの1つ又は2つ以上を図13及び図14に示す試料採取システムと対にすることができる。最後に、これらの図に示す移動式キャリアについては、半導体製造に使用されるFOUPなどの移動式キャリアの文脈で図示し説明するが、他の実施形態では、異なるタイプのキャリアを使用することもできる。
【0032】
図4A及び図4Bには、1又は2以上の温度モニタリングセンサを含む移動式キャリア400の実施形態を示す。移動式キャリア400では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。移動式キャリアの内部には、温度センサ406が位置してウェハの温度を測定する。図示の実施形態では、温度センサが床面306に位置して最下部のウェハの温度を測定した後に、1又は2以上の温度センサ406がウェハ間に位置して上部のウェハの温度を測定することができる。いくつかの実施形態では、単一のウェハ404、又はキャリアの容量を下回るいくつかのウェハの温度しか測定できないが、他の実施形態では全てのウェハの温度を測定することもできる。
【0033】
図4Bには、温度センサ406がウェハの温度を測定できるようにする機構の実施形態を示す。スライダ410の内部には温度プローブ408が位置し、熱伝導パッド412と熱的に接触する。スライダ410はスリーブ414内に保持され、スリーブに対して上下に移動することができる。スリーブ414内には、パッド412がウェハに接触するようにスライダ410をウェハ404に向けて押し進めるために使用される低力ばね416も保持される。温度プローブ408は、熱伝導パッド412を通じてウェハ404の温度を測定し、プローブ408と回路との間の結線を介してその測定値を処理回路に送信する。
【0034】
図4Cには、温度モニタリングセンサを含む移動式キャリア450の実施形態を示す。移動式キャリア450は、多くの点で移動式キャリア400と類似する。移動式キャリア450では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。移動式キャリア450と400との間の主な相違点は、移動式キャリア450が、その床面306近くに位置する単一の温度検知モジュール406を含む点である。温度検知モジュール406は、複数のウェハ404に配置された複数の温度検知プローブ452にワイヤ454によって結合される。図示の実施形態では、ワイヤ454が移動式キャリア300の側壁318を通じて配線されるが、他の構成は、ワイヤを図示のものとは異なる形で、例えばキャリアの外部に沿って配線することができる。図示の実施形態では、温度検知プローブ452を図4Bで説明したプローブと同じものとすることができるが、他の実施形態では異なる種類のプローブとすることもできる。この構成では、温度検知モジュール406が、キャリア内の全てのウェハまでを含むキャリア内の複数のウェハの温度を検出することができる。
【0035】
図5には、1又は2以上の気流モニタリングセンサを含む移動式キャリア500の実施形態を示す。移動式キャリア500では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。キャリアの内部には気流センサ502が位置して、内部における方向及び速度などの気流量を測定する。図示の実施形態では、気流センサ502が床面、天井、壁部及び後壁に位置するが、他の実施形態では、全ての内壁に気流センサを配置する必要はなく、図示のものよりも多くの又は少ない気流センサを使用することができる。気流センサ504は、キャリア外部の底部、上部及び側面にも位置して、移動式キャリア400の外側の、或いは移動式キャリア400が接続された工程設備内又はその付近の方向及び速度などの気流量を測定することができる。他の実施形態では、全ての外面に気流センサを配置する必要はなく、図示のものよりも多くの又は少ない気流センサを使用することができる。1つの実施形態では、キャリアがその空気パージ/清浄化工程中に工程設備モジュールのロードポートにドッキングした時に気流センサがキャリア内の気流をモニタすることができる。この気流情報は、移動式キャリアの最適な清浄化工程を実現するようにパージ気流の圧力又は総体積を調整するために使用することができる。
【0036】
図6には、湿度、酸素、水及び/又は温度モニタリングセンサを含む移動式キャリア600の実施形態を示す。移動式キャリア600では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。H2O(水)、酸素、温度又は湿度センサ602は、キャリア内の床面又はその付近に位置する。
【0037】
センサ602は、センサ及びキャリア内部に流体的に結合されてキャリアの内部から測定のために空気を吸い込む試料採取管(sampling tubes)604を含む。センサ602は、例えば施設からの周囲空気、又はキャリア600が結合された工程設備モジュールからの空気などの、キャリア外部からの空気を測定のために吸い込むことができるように底部側壁を貫いて延びてセンサを移動式キャリアの外部に流体的に結合する試料採取管606も含む。したがって、このセンサは、キャリア内、機械内又はキャリアの外部環境内のH2O/酸素/温度及び湿度状態を検出することができる。他の実施形態では、内部及び外部試料採取管の経路が図示のものとは異なり、例えばキャリア300の側壁318を通じて試料採取管604又は606を経路指定することができ、他の実施形態は、内部空気と外部空気を両方ともサンプリングする必要がない。
【0038】
図7には、1又は2以上の振動モニタリングセンサを含む移動式キャリア700の実施形態を示す。移動式キャリア700では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。キャリアの内部チャンバには、キャリアの床面又はその付近に3軸振動センサ702が位置して、移動式キャリアの振動、内部の部品(例えば、ウェハ)の振動、移動式キャリア700が接続された工程設備モジュールの振動、及び環境内の振動を検出する。例えば、振動センサ702は、キャリア700が軌道110に沿って移動する(図1Bを参照)際に3軸振動を検出して動作安定性をチェックするために使用することができる。キャリア700の他の実施形態は、図示のものよりも多くの振動センサを有することができ、図示のものとは異なる振動センサを有することができ、振動センサを図示のものとは異なるように配置することができる。
【0039】
図8には、1又は2以上の粒子モニタリングセンサを含む移動式キャリア800の実施形態を示す。移動式キャリア800では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。粒子センサ802は、キャリアの内部チャンバ内の床面又はその付近に位置する。センサ802は、センサ及びキャリアの内部に流体的結合されてキャリアの内部から測定のために空気を吸い込む試料採取管804を含む。センサ802は、例えば施設からの周囲空気、又はキャリアが結合された工程設備モジュールからの空気などの、外部からの空気を測定のために吸い込むことができるように底部側壁318を貫いて延びてセンサをキャリアの外部に流体的に結合する試料採取管806も含む。したがって、このセンサは、キャリア内部の粒子汚染、或いはキャリア外部の機械内又は環境内の粒子汚染を検出することができる。他の実施形態では、内部及び外部試料採取管の経路が図示のものとは異なり、例えばキャリア300の側壁318を通じて試料採取管804又は806を経路指定することができ、他の実施形態は、内部空気と外部空気を両方ともサンプリングする必要がない。
【0040】
図9には、1又は2以上のカメラを含む移動式キャリア900の実施形態を示す。移動式キャリア900では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。キャリアの内部チャンバの様々な位置にカメラを配置することができ、例えば1又は2以上の側壁にカメラ904を配置することができ、又は内部チャンバの隅部にカメラ906を配置することができ、又は床面又は天井にカメラを配置することもできる。キャリアの外面にカメラ902を配置することもできる。カメラ902、904及び906は、例えばキャリア内の状態を視覚的に検出し、キャリアの経路を視覚的に検出し、又はキャリアが接続された工程設備モジュールの状態を視覚的に検出するために使用することができる。
【0041】
図10は、製品の膜厚などの物理的特性又は化学的特性をモニタするための1又は2以上のセンサを含む移動式キャリア1000の実施形態のブロック図である。移動式キャリア1000では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。図示の実施形態では、移動式キャリア300の内部チャンバに物理的/化学的特性測定モジュール又はセンサ1002が位置して、ウェハ404のうちの1つ又は2つ以上に堆積した材料の物理的特性(例えば、膜厚、トポグラフィー、反射率)又は化学的特性(組成、不純物)をモニタする。しかしながら、別の実施形態では、ウェハのうちの1つ又は2つ以上を移動式キャリア内で測定するのではなく、スマートステーションに逆搬送してスマートステーションに移送して測定できるように、測定のためにウェハを受け取るように構成されたスマートステーション1004内に測定モジュール1002が位置する。
【0042】
図11には、製造施設内の移動式キャリア1100の位置を特定及び/又は記録するために使用できる1又は2以上の位置モニタリングセンサを含む移動式キャリア1100の実施形態を示す。位置モニタリングセンサは、工程設備モジュール、機械部品の位置、並びに施設内の内部又は外部環境の検出又はサンプリングを行う位置を特定及び/又は記録することもできる。図示してはいないが、移動式キャリア1100の内部には1又は2以上の半導体ウェハを積み重ねて工程設備モジュール間を搬送することができる。
【0043】
1つの実施形態では、自機の位置を、したがって移動式キャリア1100の位置を特定する全地球測位システム(GPS)ユニット1102がキャリア内の床面に位置するが、他の実施形態では、衛星1104からの信号を受け取って自機の位置を特定できる限り、GPSユニット1102をユニットの外側、又は内側の他の箇所に配置することもできる。
【0044】
別の実施形態では、施設内に位置する1又は2以上のRFIDタグ1106を読み取ることによってキャリア1100の位置を特定できる無線周波数識別(RFID)リーダを屋根などのキャリアの上面に配置することができる。図示の実施形態では、キャリアの移動に使用される輸送システムの軌道110(図1Bを参照)上の既知の位置にRFIDタグ1106を配置して、RFIDリーダ1104がRFIDタグ1106を検出した時に、その軌道沿いの位置がRFIDタグの位置と実質的に同じであることが分かるようにすることができる。他の実施形態では、RFIDタグ1106を施設内の異なる位置に配置することもできる。
【0045】
さらに別の実施形態では、施設内に位置する1又は2以上のバーコード1110を読み取ることによってキャリア1100の位置を特定できるバーコードリーダ1108をキャリア外部の上面などに配置することができる。図示の実施形態では、輸送システムの軌道110上の既知の位置にバーコード1110を配置して、バーコードリーダ1108がバーコード1110を検出した時に、その軌道沿いの位置がバーコードの位置と実質的に同じであることが分かるようにすることができる。他の実施形態では、バーコード1110を施設内の異なる位置に配置することもできる。マシンビジョンなどの他の検出方法を用いて移動式キャリア1100の位置を特定することもできる。
【0046】
図12A及び図12Bには、1又は2以上の内部位置モニタリングセンサを含む移動式キャリア1200の実施形態を示しており、図12Aは上面図であり、図12Bは側面図である。移動式キャリア1200では、移動式キャリア300の内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。しかしながら、場合によっては、例えば破線輪郭のウェハ404によって示すようにウェハ404がキャリア内で位置ずれしてキャリアの後壁に近づき過ぎた結果破損する可能性がある。
【0047】
ウェハの破損を防ぐために、キャリア内に内部モニタリングシステムを配置して内部のウェハの位置を検出することができる。図示の実施形態では、キャリアの後壁沿いの床面に光源1202を配置して、キャリアの後壁沿いの天井に位置する検出器1204に光を向けるようにすることができる。この構成では、光源1202が放出したビームが遮断されなければウェハ404は正しい位置に存在するが、ビームが部分的又は完全に遮断された場合にはウェハのうちの1つが位置ずれしている。図示の実施形態には1つの検出器しか示していないが、他の実施形態では、移動式キャリアの内部チャンバ内のさらなる位置において複数の検出器及び他のタイプの検出器を使用することもできる。
【0048】
図13には、試料収集システムを含む移動式キャリア1300の実施形態を示す。移動式キャリア1300では、1又は2以上の半導体ウェハ404が、移動式キャリアの内部に積み重ねられて工程設備モジュール間で搬送される。
【0049】
キャリア内の床面又はその付近には、試料採取ボトル又はキャニスタ1302が位置する。試料採取ボトル1302は、試料採取キャニスタの内部及びキャリアの内部に流体的に結合されてキャリアの内部から収集のために空気を吸い込む試料採取管1304を含む。試料採取ボトル1302は、例えば施設からの周囲空気、又はキャリアが結合された工程設備モジュールからの空気などの、キャリア外部からの空気を収集できるようにキャリアの床面を貫いて延びて試料採取ボトルの内部をキャリアの外部に流体的に結合する試料採取管1306も含む。試料採取管1306を使用しない実施形態では、移動式キャリアのドアを単純に開くことによって外部からの試料を収集することができる。他の実施形態では、内部及び外部試料採取管の経路が図示のものとは異なり、例えばキャリア1300の側壁を通じて試料採取管を経路指定することができ、他の実施形態は、内部空気と外部空気を両方ともサンプリングする必要がない。
【0050】
1つの実施形態では、試料を吸い込むことができるように試料採取ボトル1302を予め真空にしておくことができるが、別の実施形態では、試料採取キャニスタの内部にポンプ1308を流体的に結合してボトルに空気を吸い込むようにすることもできる。試料採取キャニスタ1302に収集された試料は、後で分析できるように、キャリア1300内の分析器又はセンサによって、或いは後で移動式キャリア1300がドッキングするスマートステーション内の分析器又はセンサなどの、キャリア1300から分離した分析器又はセンサによって保存することができる。移動式キャリア1300のさらに他の実施形態は、試料収集システムに加えてセンサを含むことができる。図示の実施形態は、移動式キャリアの内部に位置する気流センサ1310と、移動式キャリアの外部に位置する気流センサ1312とを含むが、他のいずれかのタイプのセンサを試料収集システムと併用することもできる。
【0051】
図14には、試料収集システムを含む移動式キャリア1400の別の実施形態を示す。移動式キャリア1400では、移動式キャリアの内部に1又は2以上の半導体ウェハ404が積み重ねられて工程設備モジュール間を搬送される。
【0052】
キャリアの内部チャンバ内の床面又はその付近には、内部に吸着剤1403を有するトラップサンプラー1402が位置する。様々な実施形態では、吸着剤1403が、粒状吸着剤、壁面被覆吸着剤又は連続充填吸着剤の組み合わせを含むことができる。各吸着剤は、1又は2種類以上の特定の化学物質に対する化学的親和性を有することができ、すなわち使用する正しい吸着剤は、吸収及び濃縮対象の化学物質の数及び性質に依存する。使用できる吸着剤の例としては、cabopack B、cabopack Xなどが挙げられる。
【0053】
トラップサンプラー1402は、移動式キャリアの内部からの空気を収集できるようにトラップサンプラーの内部を移動式キャリアの内部に流体的に結合する試料採取管1404を含むとともに、例えば施設からの周囲空気、又はキャリアが結合された工程設備モジュールからの空気などの、移動式キャリアの外部からの試料を収集できるように、移動式キャリアの床面を貫いて延びてトラップサンプラーの内部を移動式キャリアの外部に流体的に結合する試料採取管1406も含む。他の実施形態では、内部及び外部試料採取管の経路が図示のものとは異なり、例えばコンテナ1400の側壁を通じて試料採取管1304又は1306を経路指定することができ、他の実施形態は、内部空気と外部空気を両方ともサンプリングする必要がない。
【0054】
1つの実施形態では、試料を吸い込むことができるようにトラップサンプラー1402を予め真空にしておくことができるが、別の実施形態では、トラップサンプラーの内部にポンプ1408を流体的に結合してトラップサンプラーに空気を吸い込むようにすることもできる。トラップサンプラーにヒータ1410を熱的に結合して内部の吸着剤を加熱し、吸着剤によって取り込まれた化合物の放出に役立てることもできる。トラップサンプラー1402に収集されたサンプルは、後で分析できるように、キャリア1400内の分析器又はセンサによって、或いは後で移動式キャリアがドッキングするスマートステーション内の分析器又はセンサなどの、キャリア1400から分離した分析器又はセンサによって保存することができる。移動式キャリア1400のさらに他の実施形態は、試料収集システムに加えてセンサを含むことができる。図示の実施形態は、移動式キャリアの内部に位置する気流センサ1410と、移動式キャリアの外部に位置する気流センサ1412とを含むが、他のいずれかのタイプのセンサを試料収集システムと併用することもできる。
【0055】
図15には、複数の移動式キャリアシステムを用いてモニタリングを行う実施形態を示す。図示の例では、移動式キャリア1502が、分子状汚染物質(airborne molecular contamination)(AMC)検出器と位置センサとを含むことができる。移動式キャリア1502は、工程設備モジュール104を通過した時にAMC又は異常レベルのAMCを検出した場合、自機の位置と検出されたAMCレベルとをデータ/制御センタ116に送信することができる。この結果、移動式キャリア1502の位置を把握したデータ/制御センタ116は、試料採取システム(例えば、図13及び図14を参照)を含む付近の別の移動式キャリア1504に、工程設備モジュール104のロードポートにドッキングしてそのモジュール内の空気をサンプリングし、そのモジュールが移動式キャリア1502によって検出されたAMCの供給源であるかどうかを確認するように指示することができる。別の実施形態では、移動式キャリア1504が実際に工程設備モジュール104とドッキングする必要はなく、モジュール104の付近の空気のみを実際に採取することができる。
【0056】
要約書に記載した内容を含む上記の実施形態の説明は、完全であることや、或いは記載した形に本発明を限定することを意図したものではない。本明細書では、本発明の特定の実施形態及び具体例を例示目的で説明したが、当業者であれば認識するように、上記の詳細な説明に照らして本発明の範囲内で様々な同等の修正が可能である。
【0057】
以下の特許請求の範囲で使用する用語は、明細書及び特許請求の範囲に開示する特定の実施形態に本発明を限定するものとして解釈すべきではない。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲のみによって決定されるべきであり、特許請求の範囲は、確立された請求項解釈の原則を用いて解釈されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15