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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】バーチャルリアリティアクセサリ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 510
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019527320
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 FR2017053158
(87)【国際公開番号】W WO2018091850
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-10-28
(31)【優先権主張番号】1661148
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505026125
【氏名又は名称】インリア・インスティテュート・ナショナル・ドゥ・ルシェルチェ・アン・インフォマティック・エ・アン・アートマティック
【氏名又は名称原語表記】INRIA INSTITUT NATIONAL DE RECHERCHE EN INFORMATIQUE ET EN AUTOMATIQUE
(73)【特許権者】
【識別番号】519175927
【氏名又は名称】アルダン,ジェローム
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルダン,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】レキュイエ,アナトール
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-053264(JP,A)
【文献】特開2015-035039(JP,A)
【文献】JAN GUGENHEIMER ET AL,GyroVR,USER INTERFACE SOFTWARE AND TECHNOLOGY,ACM,2016年10月16日,227-232,http://dl.acm.org/ft_gateway.cfm?id=2984535&ftid=1816879
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮面の形態を有するヘッドセット(4)を備えるバーチャルリアリティアクセサリであって、
前記ヘッドセット(4)に取り付けられて前記ヘッドセット(4)に特定の方向でトルクを加える少なくとも4つのジャイロアクチュエータ(10)であって、前記ジャイロアクチュエータ(10)の各々が、前記ヘッドセット(4)の2つの対称軸に対して、対をなして実質的に対称に、前記仮面の角部に配置された少なくとも4つのジャイロアクチュエータ(10)と、
前記少なくとも4つのジャイロアクチュエータ(10)の各々に接続され、バーチャルリアリティシミュレーションにおけるユーザの動きに関する触覚フィードバックが生成されるように、それぞれの制御コマンドに従って前記少なくとも4つのジャイロアクチュエータ(10)を同時に制御するよう構成されたコントローラ(12)と、
を備えることを特徴とする、
バーチャルリアリティアクセサリ。
【請求項2】
前記ヘッドセット(4)は、バーチャルリアリティシミュレーション装置(8)のための装着部(6)を備える、
請求項に記載のバーチャルリアリティアクセサリ。
【請求項3】
前記ヘッドセット(4)は、前記バーチャルリアリティシミュレーション装置(8)を受容する、
請求項に記載のバーチャルリアリティアクセサリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャルリアリティの分野に関し、より詳細には、バーチャルリアリティシミュレーションに適したアクセサリに関する。
【背景技術】
【0002】
バーチャルリアリティは、目覚ましい成長を遂げている分野であり、マスマーケットの対象になりつつある。しかしながら、特にバーチャルリアリティシミュレータを使用するユーザの健康に関する課題等、克服すべき多くの課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実際、ユーザがバーチャルリアリティシミュレーションに没頭しているとき、シミュレーション内の動きを感知するユーザ自身の視覚と、擬似的な不動状態を感知するユーザ自身の前庭系との間で矛盾が生じることが多い。最も好ましい場合は、この矛盾はユーザ自身の没入度の低さによって引き起こされる。しかしながら、最悪の場合、この矛盾はユーザの具合を悪くさせることがある。この現象は、「シミュレータ酔い」として知られている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この状況を改善する。この目的のために、本発明は、ヘッドセットを備えるバーチャルリアリティアクセサリを提供する。該アクセサリは、ヘッドセットに取り付けられてヘッドセットに特定の方向でトルクを加える少なくとも1つのジャイロアクチュエータと、ジャイロアクチュエータに接続され、バーチャルリアリティシミュレーションにおけるユーザの動きに関する触覚フィードバックが生成されるように、制御コマンドに従ってジャイロアクチュエータを制御するよう構成されたコントローラとを備えることを特徴とする。
【0005】
該アクセサリは、携帯可能であり、ユーザ自身の動きを妨げることなくユーザの没入度を改善することができ、シミュレーションの場における物理的環境への固定を必要としないので、特に有利である。
【0006】
別の変形例によれば、本発明によるアクセサリは、以下の特徴のうちの1つまたは2つ以上を有することができる:
・ アクセサリは、ヘッドセットに取り付けられてヘッドセットに特定の方向でトルクをそれぞれ加える4つのジャイロアクチュエータを備え、コントローラは、各ジャイロアクチュエータに接続され、バーチャルリアリティシミュレーションにおけるユーザの動きに関する触覚フィードバックが生成されるように、それぞれの制御コマンドに従ってジャイロアクチュエータを同時に制御するよう構成される。
・ ヘッドセットは、バーチャルリアリティシミュレーション装置のための装着部を備える。
・ ヘッドセットは、バーチャルリアリティシミュレーション装置を受容する。
・ ヘッドセットは、仮面の形態を有する。
・ アクセサリは、ヘッドセットの2つの対称軸に対して、対をなして実質的に対称に配置された4つのジャイロアクチュエータを備える。
・ ジャイロアクチュエータは、仮面の角部にそれぞれ配置される。
・ ヘッドセットは、ユーザの眼球領域を覆うことなく、ユーザの頭蓋部に装着されるよう設計されたシェルを有する。
・ アクセサリは、ヘッドセットの2つの実質的に直交する対称軸に対して、対をなして実質的に対称に配置された4つのジャイロアクチュエータを備える。
・ ジャイロアクチュエータは、ユーザの頭蓋部の角部に実質的に対応する位置においてシェル上に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な且つ添付の図面に示された実施例に関する以下の説明からより明確になるであろう。
図1】本発明の第1の実施形態によるバーチャルリアリティアクセサリを着用したユーザを示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の側面図である。
図4図1の上面図である。
図5】本発明の第2の実施形態によるバーチャルリアリティアクセサリを着用したユーザを示す斜視図である。
図6図5の正面図である。
図7図5の側面図である。
図8図5の上面図である。
図9図1図8に示すアクセサリのうちの1つに使用することができるジャイロアクチュエータを示す図である。
図10図1図8に示すアクセサリのうちの1つに使用することができるジャイロアクチュエータを示す図である。
図11図1図8に示すアクセサリのうちの1つに使用することができるジャイロアクチュエータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面および以下の説明は、特定の特徴を有する要素の大部分を網羅している。したがって、それらを、本発明をよりよく理解するためだけでなく、その定義に貢献するためにも適宜使用することができる。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態によるバーチャルリアリティアクセサリ2を着用したユーザを示す斜視図である。以下の図1の説明において、図2図4も参照する。
【0010】
バーチャルリアリティアクセサリ2は、仮面の形態を有するヘッドセット4を備える。ヘッドセットは、Oculus Rift(登録商標)またはHTC Vive(登録商標)のような市販されているバーチャルリアリティヘッドセットと同様のものであり、ユーザの頭蓋部を完全に覆うことなく、ユーザの頭蓋部の一部である眼球領域を基本的に覆う。
【0011】
本実施形態において、ヘッドセット4は、バーチャルリアリティシミュレーション装置8を受容する装着部6を有する。好ましくはユーザがスクリーンの画像のみを感知して他の光源を感知しないように、装着部6によって、ユーザの目がバーチャルリアリティシミュレーション装置8のスクリーンに直接さらされる。バーチャルリアリティアクセサリ2とバーチャルリアリティシミュレーション装置8とが、ヘッドマウントディスプレイを構成する。したがって、バーチャルリアリティシミュレーション装置8は、シミュレーションを表示するためのスクリーンを1つまたは2つ以上備えることができ、任意選択でシミュレーション計測手段を備えることができる。
【0012】
あるいは、ヘッドセット4は、装着部を有さなくてもよい。この場合、バーチャルリアリティシミュレーション装置8自体が装着要素を有する。これにより、ユーザの目の高さに合わせて後者をユーザの頭蓋部に配置することができる。
【0013】
また、バーチャルリアリティアクセサリ2は、4つのジャイロアクチュエータ10を備える。各ジャイロアクチュエータは、フライホイールと、実質的に一定の速度でサーボ制御するための制御電子回路を含む、フライホイールの駆動モータと、制御電子回路を含む駆動モータと直交する軸方向に配置され、組立体を回転可能にする歳差運動モータと、駆動モータと歳差運動モータとを接続する自在継手とを備える。
【0014】
ここに記載する実施例において、フライホイールは、円筒形またはトロイダル形の重りのような形態を有して作製され得る。また、駆動モータは、フライホイールの回転速度を2000rpm~40000rpm程度まで上げることができる。
【0015】
ここに記載する実施例において、ジャイロアクチュエータ10は、ヘッドセット4の4つの角部に配置される。これにより、各ジャイロアクチュエータ10は、特有の制御コマンドに従って制御されて、配置される位置においてヘッドセット4に対するトルクを加えることができる。そのため、このコマンドは、各アクチュエータの所望のトルクおよび歳差運動角に従った歳差運動モータの作動方法を確立する。
【0016】
また、バーチャルリアリティアクセサリ2は、コントローラ12を備える。コントローラ12の機能は、ジャイロアクチュエータ10をそれぞれの制御コマンドに従って同時に制御して、それらが生成するトルクによってユーザに触覚フィードバックを提供するものである。ここに記載する実施例において、コントローラ12は、ヘッドセット4に組み込まれる。ジャイロアクチュエータ10およびコントローラ12には、図示しないバッテリによって電気的に電力が供給される。バッテリとして、ヘッドセット4またはリモートコントローラに組み込まれる任意選択のバッテリを使用することができる。また、コントローラ12は、ヘッドセット4から遠隔操作され得る。あるいは、電源は、有線または無線の外部電源であり得る。
【0017】
ここに記載する実施例において、コントローラ12は、バーチャルリアリティシミュレーション装置8から加速度データを受信し、これらのデータを各ジャイロアクチュエータ10に対するコマンドに変換する。あるいは、アクチュエータ10のすべての制御値計算がバーチャルリアリティシミュレーション装置8によって実行され、コントローラ12の機能としてジャイロアクチュエータ10のそれぞれが同期制御されるように、コントローラ12を簡素化することもできる。コントローラ12は、有線または無線の任意選択の適切な手段を介して、プロプライエタリまたは非プロプライエタリのプロトコル等によって、バーチャルリアリティシミュレーション装置8に接続され得る。
【0018】
本出願人は、バーチャルリアリティシミュレーションにおける触覚フィードバックの適用に関して、ジャイロアクチュエータが多くの利点を提供することを見出した。実際、アクチュエータは、連続的且つ大きな力を有するトルクを生成する能力を有し、リアクションホイールとは異なって、飽和効果なしに利用可能な有用なエネルギー振幅比を示す。
【0019】
さらに、ジャイロアクチュエータによって、移動の方向を妨げることなくまた制限することなく、連続的なトルクが生成され得る。また、外部からの機械的な支持を必要としないため、バーチャルリアリティアクセサリ2は、バーチャルリアリティシミュレーションに特に適していると言える。
【0020】
例えば、バーチャルリアリティシミュレーション装置8によって視覚的にレンダリングされた加速度は、ヘッドセット4によってユーザの頭蓋部に加えられる且つ加速度に比例する力に基づいて、バーチャルリアリティアクセサリ2によって再現され得る。あるいは、加えられる力は、加速度に正比例せずに、加速度および/または速度から算出される。
【0021】
実際、自動車における加速時には、体が支持体(座席)に固定され、車両の加速に応じて加速される。頭蓋部が慣性力を受けると、それに応じて、頭蓋部を後方向に回転させるトルクが生成される。同様の現象が、減速時、ブレーキ時またはターン時に発生する。
【0022】
したがって、バーチャルリアリティアクセサリ2によって、車両内でユーザが着座しているときに受けるのと同様の方法で、頭蓋部にトルク力が加えられる。
【0023】
ここに記載する実施例では、4つのジャイロアクチュエータを使用してフィードバックにおける曖昧さを回避しているが、3次元の動きに基づいた触覚フィードバックをユーザに提供する場合は3つのアクチュエータで十分であり、ロールやピッチをシミュレートするだけであれば1つのアクチュエータで十分である。
【0024】
図5は、本発明の第2の実施形態によるバーチャルリアリティアクセサリ2を着用したユーザを示す斜視図である。以下の図5の説明において、図6図8も参照する。
【0025】
第2の実施形態は、第1の実施形態と共通するいくつかの特徴を有する。したがって、以下では相違点のみを説明し、機能的に類似する特徴には同一の参照符号を付する。
【0026】
本実施形態における主な相違点は、バーチャルリアリティアクセサリ2がバーチャルリアリティシミュレーション装置8とは機械的に異なるように設計されていることである。本実施形態において、装着部6は設けられない。したがって、ヘッドセット4は、ユーザの眼球領域から離間して、頭蓋部の大部分または略すべてを覆うシェル14を備える。
【0027】
これにより、バーチャルリアリティアクセサリ2に、より多くのバーチャルリアリティシミュレーション装置8との互換性をもたせることができ、ジャイロアクチュエータ10の位置の自由度をより高めることができる。
【0028】
ここに記載する実施例において、バーチャルリアリティシミュレーション装置8は、ヘッドセット4と干渉することなくユーザの顔面上に配置されるヘッドマウントディスプレイである。
【0029】
本実施形態において、ジャイロアクチュエータ10は、ヘッドセット4の2つの実質的に直交する対称軸に対して、対をなして実質的に対称に、頭蓋部の4つの「角部」に配置される。これらの軸は、図5において点線で示されている。これらのジャイロアクチュエータ10が配置されることよって、触覚フィードバックをより精密に制御することができ、且つより強固にヘッドセットをユーザの頭蓋部に装着することができるようになる。
【0030】
図9図12は、特定のジャイロアクチュエータ10を示す様々な図である。図9は、ジャイロアクチュエータ10の斜視図である。図10は、図9の矢印Xにおける側面図である。図11は、図10の軸XI-XIに沿った断面図である。図12は、ジャイロアクチュエータを下から見た、図9と同様の図である。
【0031】
ジャイロアクチュエータ10は、フライホイールとして機能するロータ20を備える。ロータ20は、ブラシレスモータ22によって駆動される。ブラシレスモータ22は、ヒートシンクとして機能するラジエータ26と熱的に結合された電力部品を有する埋込み型の電子機器の形態で組み込まれたコントローラ24によって制御される。
【0032】
電力および制御信号は、回転する整流子27を介してコントローラ24に送られる。ブラシレスモータ22、コントローラ24およびラジエータ26から構成された組立体が、自在継手28に取り付けられる。自在継手28は、ローリングベアリング32および34によって、支持体30にピボット接続される。
【0033】
また、ジャイロアクチュエータは、ステッピング型の歳差運動モータ36を備える。これにより、自在継手28の軸に固定されたギヤ38を介して、自在継手28が駆動され得る。ギヤ機構38は、歳差運動モータ36の支持体としても機能するケーシング40によって保護される。
【0034】
上記において、バーチャルリアリティシミュレーション装置について言及した。これらの装置は、シミュレーションに必要な計算の大部分を実行することができ、主に別のコンピュータに接続されるディスプレイとすることもできる。さらに、本発明の範囲を逸脱しないバーチャルリアリティの概念は、(例えば自動車等の)バーチャル世界での動きにおけるシミュレーションであろうと(例えば作業ロボットの)遠隔制御であろうと、ユーザの動きに関するシミュレーションを包含する。また、これらのバーチャルリアリティシミュレーション装置は、ディスプレイに加えて、シミュレートされた環境を再現するために設けられた触覚要素、聴覚要素、視覚要素のような要素を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12