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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】自動車の車体要素の接続
(51)【国際特許分類】
   B62D 27/02 20060101AFI20220601BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B62D27/02
F16B11/00 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019563774
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018066622
(87)【国際公開番号】W WO2018234477
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】17177311.2
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504274505
【氏名又は名称】シーカ・テクノロジー・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムンツィンガー ノア
(72)【発明者】
【氏名】スーベイ ドニ
(72)【発明者】
【氏名】ライネッガー ウルス
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-511308(JP,A)
【文献】特開2001-193715(JP,A)
【文献】特表2010-513129(JP,A)
【文献】実開平05-094003(JP,U)
【文献】特表2008-531951(JP,A)
【文献】特開2014-080145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 27/00
B62D 29/00
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の接続式車体要素(1、4)のシステムの要素によって実施される自動車の車体要素(1、4)を接続する方法であって、前記方法は、
第1の車体要素(1)を設ける工程であって、前記第1の車体要素(1)は、前記第1の車体要素(1)の表面上に少なくとも1つのチャネル(3)を有し、前記第1の車体要素(1)の前記表面は前記チャネル(3)に隣接する肩部(6)を形成する、工程と、
第2の車体要素(4)を設ける工程と、
前記第1の車体要素(1)の前記チャネル(3)及び前記肩部(6)と前記第2の車体要素(4)との間に開放空洞が形成されるように前記第1の車体要素(1)及び前記第2の車体要素(4)を配置する工程と、
前記チャネル(3)内に接着剤(8)を導入する工程と、
前記第1の車体要素(1)を前記第2の車体要素(4)に結合するために、少なくとも部分的に前記チャネル(3)内、及び少なくとも部分的に前記肩部(6)上に前記接着剤(8)を広げる工程であって、前記肩部(6)上の前記接着剤(8)の少なくとも部分硬化によって、前記肩部(6)上に前記接着剤(8)を広げる前記工程は停止される、工程と、
を含み
前記自動車の接続式車体要素(1、4)の前記システムは、
前記車体要素(1)の表面上に前記チャネル(3)を有する前記第1の車体要素(1)であって、前記肩部(6)が前記チャネル(3)に隣接して形成されている、前記第1の車体要素(1)と、
前記第2の車体要素(4)と、
少なくとも部分的に前記チャネル(3)内に、及び少なくとも部分的に前記肩部(6)上に配置され、前記第1の車体要素(1)を前記第2の車体要素(4)に接着結合する前記接着剤(8)と、を含み、
前記第1の車体要素(1)の前記表面の前記肩部(6)に直接的に隣接する接続領域(15)は前記接着剤(8)を含まず、前記肩部(6)と前記第2の車体要素(4)との間の第1の空間と、前記接続領域(15)と前記第2の車体要素(4)との間の第2の空間とは、互いに向かって開放されており、
前記肩部(6)と前記第2の車体要素(4)との間の距離(9)は、1~3mmである、方法。
【請求項2】
前記第1の車体要素(1)は異形材(profile)、鋳物、又はパネル形状の要素であり、前記第2の車体要素(4)は異形材(profile)、鋳物、又はパネル形状の要素である、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記第1の車体要素(1)及び/又は前記第2の車体要素(4)は、少なくとも部分的に、金属、プラスチック、又は繊維強化プラスチックからなる、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
チャネル幅(17)は5~300mmである、及び/又はチャネル深さ(18)は0.5~10mmである、及び/又はチャネル長さは50~500mmである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
前記チャネル(3)は前記第1の車体要素(1)の周囲全体に延び、したがって、前記チャネル(3)自体で閉じている、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記チャネル(3)は分岐を有する、及び/又は前記チャネル(3)は、主要チャネルと前記主要チャネルに接続されたサイドチャネルとを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
ャネル幅(17)と同一方向に測定した前記肩部(6)の幅は30mm未満である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項8】
ャネル幅(17)と同一方向に測定した前記接続領域(15)の幅は1mm超である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項9】
前記肩部(6)と前記接続領域(15)とは同一平面内にある、請求項1~のいずれか一項に記載の方法
【請求項10】
前記チャネル(3)への導入時、前記接着剤(8)は接着剤タンク(24)からポンプ(25)によって運ばれる、及び/又は
前記チャネル(3)への導入時、前記接着剤(8)は充填開口部(2)を通って前記第2の車体要素(4)に運ばれる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも120℃の温度を適用することにより前記接着剤(8)を硬化させる工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の接続式車体要素のシステム、及び自動車の車体要素を接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出異形材、鋳物又はパネルなどの車体要素は接続のために互いに結合されることが多い。まず、第1の要素に適用される接着剤を接着剤ビードとして使用し、その後、2つの車体要素を結合することができるように、結合される第2の要素をこの接着剤ビード上に置く。しかしながら、このような既知の方法は、結合される車体要素の取り扱い及び接着剤の適用が、第1に、複雑であり、第2に、ある程度の制約を有するという欠点がある。例えば、この方法を用いて入れ子状の要素を互いに結合することは困難である。これは、第1の要素に適用された接着剤ビードは第2の要素を取り付けるときにかき取られる場合があるため、要素を互いに結合するための所望の位置にもはや存在しない場合があることが理由である。
【0003】
自動車の車体構造物の要素、特に、入れ子状の車体要素を結合するための更なる方法では、液体接着剤を閉鎖チャンバに注入することで、結合される要素を互いに結合することになっている。この方法の欠点は、液体接着剤用の空間を予め画定する流体密に閉鎖された空洞を作成しなければならないことである。これは、例えば、シールにより実現することができ、且つ非常に小さな製造公差を持つ要素を必要とする。このため、そのようなシステムは製造が複雑且つ高コストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、したがって、自動車の車体要素をより経済的に且つより簡単なハンドリングで互いに接続することを可能にする、自動車の接続式車体要素の改良されたシステム、又は自動車の車体要素を接続するための改良された方法を提供する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、まず、第1の車体要素と第2の車体要素とを含む、自動車の接続式車体要素のシステムによって達成される。第1の車体要素は、車体要素の表面上に少なくとも1つのチャネルを有し、肩部は、チャネルに隣接して形成されている。システムは、少なくとも部分的にチャネル内に、及び少なくとも部分的に肩部上に配置され、第1の車体要素を第2の車体要素に接着結合する接着剤を更に含む。ここで、第1の車体要素の表面の肩部に直接的に隣接する接続領域は接着剤を含まず、肩部と第2の車体要素との間の第1の空間と、接続領域と第2の車体要素との間の第2の空間とは、互いに向かって開放されている。
【0006】
ここで提案される解決策は、第1に、自動車の車体要素の接続において、接着剤のための流体密に閉鎖された空間を設ける必要がなく、取り扱いがより簡単で、流体密に閉鎖された中間空間を有しないより安価な開放システムを使用することができるという利点を有する。したがって、シールを有しない車体要素を使用してもよく、多大なコスト優位性に相当する。更に、本発明は、接着剤のための流体密に閉鎖された空間を設ける必要がないため、より大きな製造公差を持つ部品であっても互いに結合又は接続することが可能である。このことも、既知のシステムに比べて大きなコストメリットに相当する。なぜなら、結果的に、システムの様々な要素をより安価に且つ大きな製造公差を伴って製作することができるからである。また、閉鎖空間に接着剤を充填することには困難、特に接着剤による閉鎖空洞内の空気の変位を伴うが、これにより回避され得ることから、車体要素を接続するプロセスの実施がより容易になる。
【0007】
本発明の中心概念は、適切な接着剤を使用することにより、自動車の車体要素を接続するために開放システムを使用してもよいことである。すなわち、第1の車体要素の適切な寸法のチャネル及び肩部が設けられているという前提で、適切な接着剤により自己密封システムを作成することができることが確認されている。
【0008】
接着剤は、冷却時、非硬化状態と硬化状態との間に急激な遷移を有するように構成されている。これにより、本明細書に記載される開放システムの構成要素がこのような適切な接着剤と結合することを可能にする。
【0009】
チャネルは、チャネル内を流れる接着剤が比較的ゆっくりと冷却されるような寸法にされている。これは特に、チャネルの表面積がチャネルの体積と比較して相対的に小さくなるように構成されることで実現される。
【0010】
これに対し、肩部と第2の車体要素との間の領域では、接着剤は比較的より素早く冷却される。これは特に、この領域では、表面積がこの領域の体積と比較して相対的に大きく設計されることで実現される。
【0011】
ここで、このような開放システムの寸法決めは、加熱された状態で適用された接着剤がチャネル内よりも肩部上でより素早く冷却されるという結果を有する。このことは、チャネル内よりも肩部上での接着剤のより迅速な硬化、したがって、信頼性の高い自己閉鎖式システムにつながる。
【0012】
ここで、そのようなチャネルを第1の車体要素の表面上に適切に設けることにより、チャネル内に導入された接着剤を第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間空間に分配することができ、肩部領域をチャネルに隣接して適切に設けることによる自己閉鎖式システムが作成される。
【0013】
「開放(open)」又は「開放空洞(open cavity)」という用語は、本発明の状況では、「流体透過性」又は「密閉されない」を意味する。
【0014】
例示的実施形態では、第1の車体要素は異形材、鋳物、又はパネル形状の要素であり、第2の車体要素は異形材、鋳物、又はパネル形状の要素である。
【0015】
自動車の車体は、通常、このような要素から構成される。互いに接続されるこのような要素の様々な組み合わせが発生し得る。本発明の主な利点は、本明細書で提案される車体要素を接続するためのシステムを、広く異なる要素に、それらの形状、材料、又は製造方法に関係なく、例外なく適用できることである。したがって、本システムは、自動車の車体構造に例外なく適用されてもよい。
【0016】
「パネル形状の要素(panel-shaped element)」という用語は、本発明の状況では、金属製の要素とプラスチック又は繊維強化プラスチック製の要素との両方を明示的に含む。したがって、この用語は、ただ単に形状を意味するものであり、要素の材料を意味するものではない。
【0017】
「異形材(profile)」という用語は、本発明の状況では、様々な手法で製作された要素を明示的に含む。例えば、これは、押出異形材、内部高圧成形異形材、又は圧延されたパネル形状の要素を意味する。
【0018】
「鋳物(casting)」という用語は、本発明の状況では、様々な手法で製作された要素を明示的に含む。例としては、デッドモールド鋳造(dead-mold casting)、インゴット鋳造、又は連続ストランド鋳造により作製された要素である。
【0019】
例示的実施形態では、第1の車体要素及び/又は第2の車体要素は、少なくとも部分的に、金属、プラスチック、又は繊維強化プラスチックからなる。
【0020】
好ましい改良形態では、第1の車体要素及び/又は第2の車体要素は、少なくとも部分的に、ポリアミド、特に、PA6.6(ナイロン)からなる。
【0021】
好ましい改良形態では、第1の車体要素及び/又は第2の車体要素は、少なくとも部分的に、鋼、アルミニウム、若しくはマグネシウム、又はこれら金属の組み合わせからなる。
【0022】
別の好ましい改良形態では、第1の車体要素及び/又は第2の車体要素は、少なくとも部分的に、CFRP(carbon fiber reinforced plastics:炭素繊維強化プラスチック)、GFRP(glass fiber reinforced plastics:ガラス繊維強化プラスチック)、又はSMC(sheet molding compound:シートモールディングコンパウンド)の群の繊維強化プラスチックからなる。
【0023】
本明細書で提案されるシステムの利点の1つは、特に、異なる材料及び材料の組み合わせを互いに接続できることである。
【0024】
例示的実施形態では、肩部と第2の車体要素との間の距離は、0.2~5mm、好ましくは0.5~4mm、特に好ましくは1~3mmである。
【0025】
このような肩部と第2の車体要素との間の距離により、接着剤はチャネルの領域内よりも第1の車体要素と第2の車体要素との間のこの開放空洞の領域においてより素早く冷却され、したがって、硬化されることが確実となるため、接着剤はチャネル内には分配されるが、肩部の領域内で冷却及び硬化され、それにより空洞を密閉する。
【0026】
この領域における接着剤の所望の密閉効果を達成するために、肩部と第2の車体要素との間の距離は、接着剤の組成及び適用パラメータ(例えば、温度又は押出速度)に応じて異なるように選択してもよい。また、肩部と第2の車体要素との間のこの距離を使用して、第1の車体要素と第2の車体要素との間の接着面積に影響を及ぼしてもよく、距離が大きくなるほど接着面積は広くなり、距離が小さくなるほど接着面積は狭くなる。車体要素間の機械的接続をできるだけ強固にすることに優先を置くかどうか、又はできるだけ少ない接着剤を使用すべきかどうかに応じて、ここでは適切な解決策を選択してもよい。
【0027】
例示的実施形態では、チャネル幅は5~300mm、好ましくは10~70mm、特に好ましくは10~30mmである。
【0028】
例示的実施形態では、チャネル深さは0.5~10mm、好ましくは1~8mm、特に好ましくは2~5mmである。
【0029】
例示的実施形態では、チャネル長さは50~500mm、好ましくは70及び400mm、特に好ましくは100~300mmである。
【0030】
このようなチャネルの寸法決めは、結果的に、接着剤がチャネル内を流れる際に、接着剤がチャネルの実質的に全長にわたって分配されるほどゆっくりと冷却され、それにより、第1の車体要素と第2の車体要素とを互いに確実に結合することができるという利点を有する。
【0031】
チャネルは一定の断面を有してもよい。しかしながら、代替的実施形態では、チャネルは非一定の断面も有してよい。チャネルの長さ、幅、及び深さは非一定に作製されてもよい。したがって、例えば、端部がチャネルの中央(例えば、充填開口部の下)ほど深くないチャネル、又は平面図で楕円形を有するチャネルも製作され得る。
【0032】
当然、チャネルはその全長にわたって線形である必要はなく、また、湾曲していても、様々な方向変化を有していてもよい。
【0033】
一般に、チャネルは、第1の車体要素と第2の車体要素との間を結合するために設けられた中間領域内に接着剤を大まかに分配する役割を果たす。したがって、それぞれの用途の要件に応じた異なるチャネル幾何学的形状が有利であり得る。
【0034】
接着剤の組成及び適用パラメータに応じて、前記領域内のチャネルの寸法は、最適な結果を達成するように適合されてもよい。第1の車体要素と第2の車体要素との間の空間内における接着剤の所望の分配が達成された後にのみ接着剤がチャネル内で完全に冷却される又は硬化されることが望ましい。
【0035】
例示的実施形態では、チャネルは、V字形若しくはU字形の断面、又は角度を成した若しくは半円状の形態若しくは断面を有する。
【0036】
例示的実施形態では、チャネルは実質的にW字形の断面を有する。特に、チャネルの床は上昇部を有する。このような上昇部は、曲線的、波状、縁が鋭い、又は不規則な形態であってよい。
【0037】
チャネルのこのような実質的にW字形の断面は、それにより、このようなチャネルの床の上昇部のないチャネルに比べて必要な接着剤の量を削減することができるという利点を有する。
【0038】
更なる例示的実施形態では、チャネルは不規則な形状の断面を有する。例えば、チャネルの床は、したがって、その中で硬化された接着剤がくさび形の断面を有するように勾配した状態で構成されていてもよい。この幾何学的形状によってくさび効果を達成することができるため、接着剤のこのようなくさび形の断面及びこれに対応して相補的に形成されたチャネルの床のくさび形の断面は、結合された車体要素の引っ張り荷重の向上を実現することができる。したがって、例えば、引っ張り荷重に関して、第1の車体要素は第2の車体要素により良好に結合され得る。
【0039】
同様に、要素間の更に良好な接続を達成するために、チャネルの断面はまた、アンダカット又は他のキャッチによって形成されてもよい。
【0040】
チャネルの適切な断面の形態は、接着剤がチャネル内をどれほど素早く流れるべきか、及び接着剤がチャネル内でどれほど素早く冷却される、したがって、硬化されるべきかに応じて選択してもよい。原則的に、接着剤がより素早く冷却されるほど、接着剤と第1の車体要素との間の接触面積は大きくなる。したがって、接着剤は矩形断面の形態よりも半円状の形態においてよりゆっくりと冷却される。
【0041】
例示的実施形態では、チャネルは、第1の車体要素の長手方向を横断するように又は実質的に横断するように延びる。
【0042】
代替的実施形態では、チャネルは、第1の車体要素の長手方向に沿って又は実質的に沿って延びる。
【0043】
更なる例示的実施形態では、チャネルは第1の車体要素の周囲全体に延び、したがって、それ自体で閉じている。
【0044】
更なる例示的実施形態では、チャネルは分岐を有する。
【0045】
更なる例示的実施形態では、チャネルは、主要チャネルと主要チャネルに接続されたサイドチャネルとを含む。第1の車体要素の表面上のチャネル(単数又は複数)の配置及び設計は、第1の車体要素が第2の車体要素に結合される場所に依存する。この目的のために、補強要素の周囲全体に延びるチャネルが設けられてもよく、互いに別々に形成されたいくつかのチャネルが設けられてもよく、又は分岐若しくはサイドチャネルを有するチャネルが設けられてもよい。特に、サイドチャネルは、第1の車体要素と第2の車体要素との間の接着剤面積を拡大するために使用してもよい。
【0046】
例示的実施形態では、チャネル幅と同一方向に測定した肩部の幅は、30mm未満、好ましくは20mm未満、特に好ましくは10mm未満、特に好ましくは5mm未満である。
【0047】
これらの寸法を有する肩部を設けることで、第2の車体要素に対する第1の車体要素の、少量の接着剤を要する結合を実現できるという利点を有する。また、この手法では、肩部以外の領域は第1の車体要素を第2の車体要素に結合するようになっていないため既定の形状を有する必要がないことから第1の車体要素のより高い設計の自由度が得られる。形成される肩部が小さくなるほど第1の車体要素の設計の自由度が高くなる。
【0048】
代替的実施形態では、チャネル幅と同一方向に測定した肩部の幅は、30~150mm、好ましくは40~120mm、特に好ましくは50~100mmである。
【0049】
しかしながら、これら寸法を有する肩部を設けることで、第2の車体要素に対する第1の車体要素の、より広い接着剤面積を有する結合を実現することができ、第1の車体要素と第2の車体要素との間の機械的により安定な接続につながるという利点を有する。
【0050】
肩部の適切な幅は、したがって、要件及び開始状況に応じて選択してもよい。肩部上における接着剤の広がりが停止されることを確実とするために、例えば、接着剤組成物の対応する適合によって、又はチャネルに接着剤を導入する際の接着剤温度若しくは押出速度の変更によって、又は肩部と構造要素との間の距離の適合によって接着剤の硬化挙動に影響を及ぼしてもよい。
【0051】
例示的実施形態では、チャネル幅と同一方向に測定した接続領域の幅は、1mm超、好ましくは20mm超、特に好ましくは30mm超、特に好ましくは40mm超である。
【0052】
例示的実施形態では、肩部と接続領域とは同一平面内にある。
【0053】
代替的実施形態では、肩部と接続領域とは同一平面内にない。
【0054】
接続領域は接着剤で覆われていないため、この接続領域の形態は結合には無関係である。必須の因子は、肩部と第2の車体要素との間の第1の空間と、接続領域と第2の車体要素との間の第2の空間とが互いに向かって開放されていることのみである。
【0055】
第1の車体要素の接続領域は、第1の車体要素及び第2の車体要素の幾何学的形状に応じて適切に構成されてもよい。
【0056】
好ましい実施形態では、第1の車体要素又は第2の車体要素は、チャネルに接着剤を導入するための充填開口部を有する。
【0057】
このような充填開口部の利点は、接着剤がチャネル内に直接的に導入され得ることである。
【0058】
好ましい改良形態では、充填開口部はチャネル内に直接開口している。充填開口部は、チャネルの長さ及び/又は幅に対して中心に配置されてもよい。
【0059】
更に、充填開口部は、チャネルも含む第1の車体要素に配置されてもよい、又は充填開口部は第2の車体要素に配置されてもよい。原則的に、充填開口部の配置は、(接着剤が導入される状況において)車体要素にどれほどアクセスしやすいかによる。
【0060】
例示的実施形態では、接着剤を導入する前に第1の車体要素と第2の車体要素とを予め固定するために、第1の車体要素と第2の車体要素とを少なくとも部分的に互いに接続する。好ましい実施形態では、車体要素は、単方向又は双方向式の機械的接合方法によって、特に、リベット締め、溶接、ねじ止め、又はボルト締めによって予め固定される。
【0061】
更なる例示的実施形態では、第1の車体要素及び/又は第2の車体要素は、第1の車体要素又は第2の車体要素を対応する他の車体要素に対して支持するための少なくとも1つの要素を含む。好ましい実施形態では、この要素は、第1の車体要素又は第2の車体要素内の突出部として構成される。
【0062】
第1の車体要素を第2の車体要素に対して固定する及び/又は支持するためのこのような要素は、接着剤が硬化する及び/又は固化する前に、車体要素が所期の位置に留まるという利点を有する。
【0063】
例示的実施形態では、第1の車体要素及び第2の車体要素は両方とも異形材である。例えば、これらの異形材は、小さい方の異形材を大きい方の異形材に挿入することができるように、異なる大きさの断面を有する。ここでは、チャネルは小さい方の異形材又は大きい方の異形材のいずれかに設けられてもよく、これは、本発明の意味においては、大きい方の異形材は第1の車体要素又は第2の車体要素のいずれかであってもよいことを意味する。
【0064】
更なる例示的実施形態では、第1の車体要素及び第2の車体要素は、それぞれ、異形材及びパネル形状の要素として形成されている。同じくここでは、チャネルはパネル形状の要素又は異形材のいずれかに設けられてもよい。したがって、これに応じて、異形材は第1の車体要素又は第2の車体要素である。
【0065】
更なる例示的実施形態では、第1の車体要素及び第2の車体要素はそれぞれ、鋳物及び異形材として形成されている。例えば、鋳物は、異形材を挿入することができる開口部を有してもよい。同じく、チャネルは異形材又は鋳物のいずれかに設けられてもよい。このことは同じく、本発明の意味においては、鋳物が第1の車体要素又は第2の車体要素であってもよいことを意味する。
【0066】
更なる例示的実施形態では、第1の車体要素及び第2の車体要素は両方とも鋳物である。例えば、鋳物の一方は、第2の鋳物の一部を挿入することができる開口部を有してもよい。同じく、チャネルは一方又は他方の鋳物に設けられてもよい。したがって、本発明の意味においては、開口部を有する鋳物は、第1の車体要素又は第2の車体要素のいずれかである。
【0067】
更なる例示的実施形態では、第1の車体要素及び第2の車体要素は両方ともパネル形状の要素である。チャネルは第1のパネル形状の要素又は第2のパネル形状の要素のいずれかに設けられてもよい。したがって、本発明の意味においては、第1のパネル形状の要素又は第2のパネル形状の要素は、第1の車体要素又は第2の車体要素である。
【0068】
更なる例示的実施形態では、第1の車体要素及び第2の車体要素はそれぞれ、パネル形状の要素及び鋳物である。例えば、U字形の断面を有する2つのパネル形状の要素は、互いに溶接又は結合されて空洞を形成してもよい。鋳物は、例えば、この空洞内に配置されてもよい。同じく、チャネルはパネル形状の要素又は鋳物のいずれかに配置されてもよい。したがって、本発明の意味においては、鋳物は第1の車体要素又は第2の車体要素である。
【0069】
また、3つ以上の車体要素を互いに結合してもよいことは自明である。
【0070】
本明細書で提案されるシステムの必須の利点は、チャネル及び肩部をあらゆる任意の要素に設けることができるため、非常に異なる形状の車体要素を互いに接続できることである。このことは、本明細書で提案される自動車の接続式車体要素のシステムの柔軟な使用を可能にする。
【0071】
最初に挙げた目的は、更に、自動車の車体要素を接続する方法によって達成される。当該方法は、第1の車体要素を設ける工程であって、第1の車体要素は、第1の車体要素の表面上に少なくとも1つのチャネルを有し、第1の車体要素の表面はチャネルに隣接する肩部を形成する、工程と、第2の車体要素を設ける工程と、第1の車体要素のチャネル及び肩部と第2の車体要素との間に開放空洞が形成されるように第1の車体要素及び第2の車体要素を配置する工程と、チャネル内に接着剤を導入する工程と、第1の車体要素を第2の車体要素に結合するために、少なくとも部分的にチャネル内、及び少なくとも部分的に肩部上に接着剤を広げる工程であって、肩部上に接着剤を広げる工程は停止される、工程と、を含む。
【0072】
本明細書で提案される方法は、同じく、本明細書で提案される接続式車体要素のシステムに関して既に記載したものと同様の利点を提供する。特に、車体要素を結合するための方法は、したがって、より経済的であり且つより簡単なハンドリングを伴うように構成されてもよい。
【0073】
例示的実施形態では、肩部上に接着剤を広げる工程は肩部上の接着剤の少なくとも部分硬化によって停止される。
【0074】
例示的実施形態では、当該方法は、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも140℃、特に好ましくは少なくとも160℃の温度を適用することにより接着剤を硬化させる更なる工程を含む。
【0075】
例えば、接着剤は、車体の電気泳動堆積塗装(EDP:electrophoretic deposition painting)で通常使用されるオーブン内で硬化されてもよい。そのようなオーブンでは、通常、120℃~220℃の温度が一般的である。このような温度は、本発明に関連して使用され得る接着剤の硬化に特に適している。接続式車体要素及び硬化された接着剤を有する車体はいずれの場合においても、堆積塗装及び後続の塗料硬化のための熱印加のプロセスを経るため、堆積塗装後に接着剤を硬化させるためにオーブン内でのこの熱印加を使用すると特に有利である。
【0076】
例示的実施形態では、チャネルへの導入時、接着剤は接着剤タンクからポンプによって運ばれる。
【0077】
例示的実施形態では、チャネルへの導入時、接着剤は、第1の車体要素又は第2の車体要素の充填開口部を通して運ばれる。
【0078】
第1の車体要素又は第2の車体要素に充填開口部を設けることは、この手法において、接着剤を、例えば、ロボットによりチャネル内に容易に導入できるという利点を有する。
【0079】
接着剤
以下に記載する接着剤組成物は、本発明に関連して使用してもよい例示的な接着剤である。
【0080】
熱硬化性一成分型エポキシ化合物を表1に従い生成した。
【0081】
【表1】
【0082】
粘度向上剤(「D-1」)の生成
150gのポリTHF2000(水酸基価57mg/gKOH)及び150 Liquiflex H(水酸基価46mg/gKOH)を減圧下にて105℃で30分間乾燥させた。温度を90℃に低下させた後、61.5gのIPDI及び0.14gのジブチルスズジラウレートを添加した。2.0時間後にNCO含有量が3.10%で一定に維持されるまで減圧下にて90℃で反応を実施した(算出されたNCO含有量:3.15%)。次に、ブロック剤として96.1gのカルダノールを添加した。遊離NCOが認められなくなるまで減圧下にて105℃で攪拌を継続した。次いで、生成物を粘度向上剤D-1として使用した。以下の原料を使用した。
【0083】
【表2】
【0084】
マスターバッチの生成
その軟化点77℃を約40℃上回る(約100~140℃)ポリエステルポリオールを液体エポキシ樹脂と、透明な混合物が得られるまで約30分間混合した(マスターバッチの総重量に対して約33wt.%のポリエステルポリオール)。次に、マスターバッチを約100℃まで冷却した。
【0085】
熱硬化性一成分型エポキシ化合物の生成
エポキシ化合物の他の成分を混合して、好ましくは約50~90℃の温度の均質質量にした。混合物が均質になるとすぐにマスターバッチを液状で添加し(マスターバッチの温度は100℃)、直ちに混合した。
【0086】
熱硬化性一成分型エポキシ化合物を60℃の温度及び50ml/分の注入速度で注入した。
【0087】
本発明の詳細及び利点を、例示的実施形態との関連から、概略図を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】自動車の車体の例示的な図である。
図2a】例示的な第1の車体要素の概略断面図である。
図2b】例示的な第1の車体要素及び第2の車体要素の概略図である。
図3a-3c】例示的な第1の車体要素の概略図である。
図4a-4f】第1の車体要素と第2の車体要素との様々な例示的な組み合わせの概略図である。
図5a-5c】第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間空間への接着剤の例示的な導入の概略図である。
図6】導入デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、自動車の車体10を概略的に示す。車体10は、例えば、ピラー14及びクロスストラット12などの様々な構造体を含む。これらの及び車体10の他の構造体は、適切な手法で互いに接続されていなければならない。特に、異形材、鋳物、及びパネル形状の要素は互いに接続されていてもよい。
【0090】
図2aは、第1の車体要素1の抜粋部の断面を概略的に示す。第1の車体要素1は、その表面上にチャネル3を有する。チャネル3に隣接する第1の車体要素1の表面は肩部6を形成する。肩部6に隣接しているのは対応する接続領域15である。第1の車体要素1を第2の車体要素(図2aには図示せず)に接続する際、接着剤がチャネル3内及び肩部6上に広げられる。
【0091】
図2bは、第1の車体要素1及び第2の車体要素4の抜粋部の断面を概略的に示す。第1の車体要素1は、この場合も、第1の車体要素1の表面上に形成されたチャネル3を含む。チャネル3は、チャネル幅17及びチャネル深さ18を有する。この例示的実施形態では、チャネル3の断面は矩形である。この場合も、肩部6がチャネル3に隣接して形成されている。肩部6は肩部幅26を有する。接続領域15は肩部6に隣接して配置されている。
【0092】
ここでは、第2の車体要素4は第1の車体要素1に対して、第1の車体要素1の肩部6と第2の車体要素4の表面との間に距離9が存在するように配置されている。
【0093】
この例示的実施形態では、第2の車体要素4は、直径22を有する充填開口部2を有する。この充填開口部2を通して接着剤(この図では示さず)をチャネル3内に導入することができる。
【0094】
代替的実施形態(図示せず)では、充填開口部はまた、第1の車体要素1内に配置されてもよい。アクセス性に応じて、充填開口部を第1の車体要素又は第2の車体要素内に配置すると有利であり得る。
【0095】
図3a~図3cは、例示的な第1の車体要素1の様々な実施形態を示す。第1の車体要素1は各場合において長手方向軸線21を有する。少なくとも1つのチャネル3が第1の車体要素1の表面上に配置されている。また、第1の車体要素1は、チャネル3に隣接する対応する肩部6を有し、接続領域15が肩部6に直接的に隣接して配置されている。この例示的実施形態では、第1の車体要素1は異形材として設計されている。
【0096】
図3aの例示的な第1の車体要素1は、第1の車体要素1の周囲全体に延び、それ自体で閉じているチャネル3を有する。この例示的実施形態のチャネル3もまた、第1の車体要素1の長手方向軸線21を横断するように配置されている。
【0097】
図3bの例示的実施形態では、第1の車体要素1は、それぞれ第1の車体要素1の周囲全体に延びる2つのチャネル3を有する。また、2つの連続チャネル3はサイドチャネルによって互いに接続されている。
【0098】
図3cに示される第1の車体要素1の例示的実施形態もまた、第1の車体要素1の周囲全体に延びるチャネル3を有する。図3aの例示的実施形態とは対照的に、図3cの例示的実施形態では、連続チャネル3はまた、接着剤が第1の車体要素1上により広範囲に分配され得るように、第1の車体要素1の各長側面上にサイドチャネルを有する。
【0099】
図4a~図4fは、第1の車体要素1と第2の車体要素4との異なる例示的な組み合わせを示す。多くのその他の組み合わせ(図示せず)が可能なことは自明である。
【0100】
図4aでは、第1の車体要素1及び第2の車体要素4の両方が異形材として形成されている。この例示的実施形態では、第1の車体要素1は第2の車体要素4よりも大きな直径を有する。車体要素を接続するために、第2の車体要素4は第1の車体要素1に挿入されてもよい。第1の車体要素1は1つの表面上にチャネル3を有する。第1の車体要素1はまた、充填開口部2を有する。したがって、第1の車体要素1を第2の車体要素4に結合するために、接着剤が充填開口部2を通してチャネル3内に導入されてもよい。代替的実施形態では、チャネル3及び/又は充填開口部2は、小さい方の異形材にも配置してよい。
【0101】
図4bに示される例示的実施形態は、パネル形状の要素として形成された第1の車体要素1と、異形材として形成された第2の車体要素4とを有する。この例示的実施形態では、パネル形状の第1の車体要素1はチャネルを有する。チャネル3に接着剤を導入するための充填開口部はこの図では明らかとされない。
【0102】
図4cは、第1の車体要素と第2の車体要素との組み合わせの更なる例示的実施形態を示す。ここでは、第1の車体要素1は鋳物として形成されており、第2の車体要素4は異形材として形成されている。この例示的実施形態では、チャネル3は鋳物内に配置されている。充填開口部2はまた、鋳物内に配置されている。
【0103】
図4dは、例示的な第1の車体要素1と例示的な第2の車体要素4との更なる組み合わせを示す。この例示的実施形態では、第1の車体要素1は鋳物として形成されており、第2の車体要素4もまた、鋳物として形成されている。
【0104】
この例示的実施形態では、チャネルは、チャネルの底13が勾配した状態で形成された非対称断面を有する。その結果、チャネル3内で硬化された接着剤と鋳物1との両方がこの領域にくさび形の断面を有する。第1の車体要素1を第2の車体要素4に結合した後、ここで、第1の車体要素1に第1の車体要素1の長手方向軸線の方向に作用する力が加えられる場合、接着剤のくさび形の断面及び第1の車体要素1のくさび形の断面により、第2の車体要素4内における第1の車体要素1のより良好な固定を実現する。
【0105】
図4eは、第1の車体要素1及び第2の車体要素4の更なる例示的実施形態を示す。この例示的実施形態では、第1の車体要素1及び第2の車体要素4の両方がパネル形状の要素として形成されている。第1の車体要素1は、この場合も、その表面にチャネル3を有する。
【0106】
図4fは、第1の車体要素1と第2の車体要素4との組み合わせの更なる例示的実施形態を示す。この例示的実施形態では、第1の車体要素1は鋳物として形成されており、第2の車体要素4は互いに接続されたパネル形状の要素からなる。この例示的実施形態では、U字形の断面を有する2つのパネルはフランジ7において互いに結合されている又は溶接されている。ここでは、鋳物1は、得られた空洞内に配置されている。この例示的実施形態では、この場合も第1の車体要素1の表面上に形成された2つのチャネル3が見てとれる。この例示的実施形態の充填開口部2は第2の車体要素4に形成されている。
【0107】
図5a~図5cは、第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間空間に接着剤8を導入する例示的プロセスを示す。図5aは、接着剤8の導入開始後間もなくの状況を示す。図5bは、既に導入されている接着剤8がチャネル3に沿ってほとんど広がっており、同時にチャネル3内に新たな接着剤8がなお導入されている状況を示す。図5cは、最終的に、接着剤8が中間空間内に完全に導入され、提案される手法で第1の車体要素が第2の車体要素に結合された状況を示す。
【0108】
接着剤8は、充填開口部2を通ってチャネル3内に導入される。液体接着剤8は大半がチャネル3の方向に広がり、少なくとも部分的に第1の車体要素の肩部6上に流れる。肩部6と第2の車体要素との間の距離はチャネル3の床と第2の車体要素との間の距離よりも小さいため、接着剤8はチャネル3の領域内よりも肩部の領域内でより素早く冷却され、この冷却の結果、硬化する。これは、肩部6の領域内の接着剤8の自己密封機能につながる。ここでは、システムは、接着剤8が肩部6の領域を越えて流れないように構成されているため、接続領域15は接着剤8を含まないままである。
【0109】
また、この例示的実施形態では、第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間領域内における接着剤8の広がりの進行状況を確認するための検査用開口部5が設けられている。
【0110】
図5a及び図5bでは、接着剤8は検査用開口部5までまだ広がっていない。しかしながら、図5cは、接着剤8が提案する手法で第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間空間を満たすことで、検査用開口部5に到達している状況を示す。
【0111】
図5a~図5cに示される例示的実施形態は、例えば、パネル形状の要素として形成された第1の車体要素及び第2の車体要素を含んでもよい。このような第1の車体要素と第2の車体要素との組み合わせに対応する側面図は図4eに示される。
【0112】
図6は、第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間領域(この図では見えない)に接着剤を導入するためのデバイスを示す。ポンプ25は接着剤を、接着剤タンク24から第1の車体要素の充填開口部2を通して第1の車体要素と第2の車体要素との間の中間空間に運ぶ。この例示的実施形態では、第1の車体要素1のチャネルは、第2の車体要素4で完全に覆われているために見えない。
【符号の説明】
【0113】
1 第1の車体要素
2 充填開口部
3 チャネル
4 第2の車体要素
5 検査用開口部
6 肩部
7 フランジ
8 接着剤
9 肩部と第2の車体要素との間の距離
10 車体
12 クロスストラット
13 チャネルの底
14 柱
15 接続領域
17 チャネル幅
18 チャネル深さ
21 長手方向軸線
22 充填開口部の直径
24 接着剤タンク
25 ポンプ
26 肩部幅
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5a
図5b
図5c
図6