IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプティブ・テクノロジーズ・リミテッドの特許一覧

特許7082641インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ
<>
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図1
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図2
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図3A
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図3B
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図4
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図5
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図6
  • 特許-インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】インジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだ
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/26 20060101AFI20220601BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20220601BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B23K35/26 310D
B23K35/26 310A
C22C28/00 B
C22C13/00
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020083093
(22)【出願日】2020-05-11
(62)【分割の表示】P 2017557925の分割
【原出願日】2016-05-12
(65)【公開番号】P2020124747
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/168,054
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/161,966
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518405522
【氏名又は名称】アプティブ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アンタヤ,スティーヴン・シー
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509944(JP,A)
【文献】国際公開第2011/145591(WO,A1)
【文献】特表2014-515872(JP,A)
【文献】特開2000-141078(JP,A)
【文献】特開昭61-014096(JP,A)
【文献】国際公開第03/021664(WO,A1)
【文献】特開平06-015476(JP,A)
【文献】特開2016-165751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/26
C22C 28/00
C22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金成分の合計量を100重量%として、
38~42重量%のスズ;
0重量%より多く1重量%以下の銅;
48~52重量%のインジウム;
4~5重量%の銀;
1.3~2.6重量%のニッケル;および
2.4~3.7重量%の鉄;
からなる、合金。
【請求項2】
合金が1.3~2.3重量%のニッケルおよび2.7~3.7重量%の鉄を含有する、請求項1に記載の合金。
【請求項3】
合金が1.6~2.6重量%のニッケルおよび2.4~3.4重量%の鉄を含有する、請求項1に記載の合金。
【請求項4】
合金が109℃の固相線温度および115℃の液相線温度を有する、請求項1~3のいずれかに記載の合金。
【請求項5】
ガラス部材(10);
ガラス部材(10)上の銀を含有する電気接点表面(16);ならびに
ガラス部材(10)上の電気接点表面(16)に、請求項1~4のいずれかに記載の合金の層(20)で、はんだ付けされている電気コネクター(18、30);
を含む、ガラス部材(10)上の電気接続部。
【請求項6】
合金成分の合計量を100重量%として、
合金の重量の38~42%を提供するようにスズを加える段階;
合金の重量の0重量%より多く1重量%以下を提供するように銅を加える段階;
合金の重量の48~52%を提供するようにインジウムを加える段階;
合金の重量の4~5%を提供するように銀を加える段階;
合金の重量の1.3~2.6%を提供するようにニッケルを加える段階;および
合金の重量の2.4~3.7%の鉄を提供するように鉄を加える段階;
からなる、合金の形成方法。
【請求項7】
ニッケルを加える段階および鉄を加える段階が、合金の重量の4.5~5.5%を提供するようにニッケル-鉄合金を加えることにより遂行され、該ニッケル-鉄合金が、34~44重量%のニッケルおよび56~66重量%の鉄を含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、特許協力条約第8条に基づき2015年5月15日提出の米国仮特許出願第62/161966号および2015年5月29日提出の米国仮特許出願第62/168054号の優先権の利益を主張するものである。これらの各々の開示内容全体を、本明細書中で参考として援用する。
【0002】
[0002]本発明は、はんだ、とりわけインジウム-スズ-銀ベースの無鉛はんだに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]自動車などの車両のフロントガラスおよびリヤウィンドウは、ガラス内またはガラス上に置かれた電気機器をしばしば包含する。典型的には、電気機器はアンテナおよびデフロスターである。そのような電気機器への電気的接続を提供するために、小さな金属コーティング部分をガラスに施用して、電気機器に電気的に接続される金属化表面を作製する。その後、鉛に接続するための電気コネクターまたは鉛自体を、金属化表面上にはんだ付けする。電気コネクターは一般に、鉛(Pb)を含有するはんだでガラスの金属化表面にはんだ付けされる。環境に関する懸念および/またはさまざまな国における規制命令に起因して、ほとんどの産業では、現在、はんだ付けの用途に無鉛はんだを用いているか、無鉛はんだを用いる方針を立てている。いくつかの産業で採用されている一般的な無鉛はんだは、高いスズ(Sn)含量、例えば80%を超えるスズを含有する。本明細書中に記載する自動車用ガラスに用いられる無鉛はんだは、2001年7月3日にJohn Pereiraに交付された米国特許公報第6253988号(以下、“Pereira”)に開示されている。いくつかの無鉛はんだのなかで、Pereiraは、64.35%~65.65%インジウム(In)、29.7%~30.3%スズ(Sn)、4.05%~4.95%銀(Ag)、0.25%~0.75%銅(Cu)の重量百分率を有するはんだを開示している(以下、“65インジウムはんだ”とよぶ)。
【0004】
[0004]自動車用ガラスに機器をはんだ付けする場合、他の施用では存在しない問題に直面する。自動車用ガラスは脆い傾向があり、他の施用での使用に適した一般的な高スズ無鉛はんだは、典型的には自動車用ガラスのひび割れを引き起こすことがある。セラミックおよびケイ素などの材料はいくつかの点で自動車用ガラスに似ているように見えるかもしれないが、セラミックまたはケイ素機器へのはんだ付けに適したいくつかのはんだは、自動車用ガラスへのはんだ付けには適していない。この場合のガラスと銅のように熱膨張率係数(CTE)に実質的な差異を有する2つの材料のはんだ付けでは、形成後のはんだ接合部の冷却中、またはこれに続く温度逸脱中のいずれかに、はんだに応力がかかる。はんだは、はんだ付け工程中に自動車用ガラスのひび割れを引き起こさない、十分に低い融点(液相線)を有する必要がある。これは、より高い融点および対応するより高い処理温度ではCTEの不整合が増大し、冷却中により大きな応力がかかるためである。しかしながら、はんだの融点は、車の通常の使用中、例えば、車が窓が閉まった状態で日向にあるとき、または他の極端な厳しい環境条件下にあるときに、溶融を起こさないように十分に高い必要がある。しかしながら、インジウムを含有するはんだは、通常は他のはんだよりはるかに低い融点を有する。例えば、65インジウムはんだは、鉛はんだの固相線温度160℃と比較して109℃の固相線温度、および鉛はんだの液相線温度224℃と比較して127℃の液相線温度を有する。いくつかの車両メーカーは、ガラス製品は、高温、例えば、ある車両メーカーでは110℃、他の車両メーカーでは120℃に、性能を低下させることなく、耐えることができるべきであると望んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許公報第6253988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0005]したがって、現在入手可能な組成物より高い高温に耐えることができる一方、この施用領域に望ましい他のすべての特性を達成することができる、ガラス上で用いるのに適した無鉛はんだが必要とされている。
【0007】
[0006]背景の節で論じた対象は、背景の節での記載内容を受けて従来技術に過ぎないとみなすべきではない。同様に、背景の節に記載した問題点、または背景の節の対象と関連する問題点は、従来技術でこれまでに認められているとみなすべきではない。背景の節の対象は異なるアプローチを示しているに過ぎず、それ自体も発明であることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]本発明の態様に従って、インジウム-スズ-銀ベースのはんだを提供する。第1の態様は、はんだとしての使用に適した合金であって、約40重量%のスズ、約0.5重量%の銅、約50重量%のインジウム、約4.5重量%の銀、約1.8重量%~約2.1重量%のニッケル、および約2.9重量%~約3.2重量%の鉄を包含する元素混合物を有する合金である。合金は、約1.8重量%のニッケルおよび約3.2重量%の鉄を含有することができる。あるいは、合金は、約2.1重量%のニッケルおよび約2.9重量%の鉄を含有することができる。
【0009】
[0008]第2の態様は、はんだとしての使用に適した合金であって、約14重量%~約15重量%のスズ、約1重量%のアンチモン、約1重量%の銅、約5重量%~約6重量%の銀、約1重量%~約3重量%のニッケル、約1重量の亜鉛、および約75重量%のインジウムを包含する元素混合物を有する合金である。合金は、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有することができる。あるいは、合金は、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有することができる。
【0010】
[0009]第3の態様は、はんだとしての使用に適した合金であって、約75重量%のスズ、約5重量%の銀、および約20重量%のインジウムを包含する元素混合物を有する合金である。
【0011】
[0010]第4の態様は、はんだとしての使用に適した合金であって、約7重量%のスズ、約3重量%の銀、および約90重量%のインジウムを包含する元素混合物を有する合金である。
【0012】
[0011]本発明の他の一態様に従って、ガラス部材上の電気接続部を提供する。第5の態様は、ガラス部材と、該ガラス部材上の銀を含有する電気接点表面と、該ガラス部材上の電気接点表面に、約40重量%のスズ、約0.5重量%の銅、約50重量%のインジウム;約4.5重量%の銀、約1.8重量%~約2.1重量%のニッケル、および約2.9重量%~約3.2重量%の鉄を包含する元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層で、はんだ付けされている電気コネクターとを包含する、ガラス部材上の電気接続部である。合金は、約1.8重量%のニッケルおよび約3.2重量%の鉄を含有することができる。あるいは、合金は、約2.1重量%のニッケルおよび約2.9重量%の鉄を含有することができる。
【0013】
[0012]第6の態様は、ガラス部材と、該ガラス部材上の銀を含有する電気接点表面と、該ガラス部材上の電気接点表面に、約14重量%~約15重量%のスズ、約1重量%のアンチモン、約1重量%の銅、約5重量%~約6重量%の銀、約1重量%~約3重量%のニッケル、約1重量%の亜鉛、および約75重量%のインジウムを包含する元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層で、はんだ付けされている電気コネクターとを包含する、ガラス部材上の電気接続部である。合金は、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有することができる。あるいは、合金は、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有することができる。
【0014】
[0013]第7の態様は、ガラス部材と、該ガラス部材上の銀を含有する電気接点表面と、該ガラス部材上の電気接点表面に、約75重量%のスズ、約5重量%の銀、および約20重量%のインジウムを包含する元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層で、はんだ付けされている電気コネクターとを有する、ガラス部材上の電気接続部である。
【0015】
[0014]第8の態様は、ガラス部材と、該ガラス部材上の銀を含有する電気接点表面と、該ガラス部材上の電気接点表面に、約7重量%のスズ、約3重量%の銀、および約90重量%のインジウムを包含する元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層で、はんだ付けされている電気コネクターとを包含する、ガラス部材上の電気接続部である。
【0016】
[0015]本発明のさらに他の一態様に従って、インジウム-スズ-銀ベースのはんだの形成方法を提供する。第9の態様は、スズ、銅、インジウム、銀、ニッケル、および鉄を一緒に混合して合金を形成することによる、はんだとしての使用に適した合金の形成方法である。該方法は、合金の重量の約40%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約0.5%を提供するように銅を加える段階、合金の重量の約50%を提供するようにインジウムを加える段階、合金の重量の約4.5%を提供するように銀を加える段階、合金の重量の約1.8%~約2.1%を提供するようにニッケルを加える段階、および合金の重量の約2.9%~約3.2%の鉄を提供するように鉄を加える段階を包含する。ニッケルを加える段階および鉄を加える段階は、合金の重量の約5%を提供するようにニッケル-鉄合金を加えることにより遂行してもよく、該ニッケル-鉄合金は、約36重量%~約42重量%のニッケルおよび約58重量%~約64重量%の鉄を含む。得られる合金は、約1.8重量%のニッケルおよび約3.2重量%の鉄を含有することができる。あるいは、得られる合金は、約2.1重量%のニッケルおよび約2.9重量%の鉄を含有することができる。
【0017】
[0016]第10の態様は、スズ、アンチモン、銅、インジウム、銀、ニッケル、および亜鉛を一緒に混合して合金を形成することによる、はんだとしての使用に適した合金の形成方法である。該方法は、合金の重量の約14%~約15%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約1%を提供するようにアンチモンを加える段階、合金の重量の約1%を提供するように銅を加える段階、合金の重量の約5%~約6%を提供するように銀を加える段階、合金の重量の約1%~約3%を提供するようにニッケルを加える段階、合金の重量の約1%を提供するように亜鉛を加える段階、および合金の重量の約75%を提供するようにインジウムを加える段階を包含する。得られる合金は、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有することができる。あるいは、該合金は、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有することができる。
【0018】
[0017]第11の態様は、スズ、インジウム、および銀を一緒に混合して合金を形成することによる、はんだとしての使用に適した合金の形成方法である。該方法は、合金の重量
の約75%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約5%を提供するように銀を加える段階、および合金の重量の約20%を提供するようにインジウムを加える段階を包含する。
【0019】
[0018]第12の態様は、スズ、インジウム、および銀を一緒に混合して合金を形成することによる、はんだとしての使用に適した合金の形成方法である。該方法は、合金の重量の約7%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約3%を提供するように銀を加える段階、および合金の重量の約90%を提供するようにインジウムを加える段階を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0019]ここで、本発明を、例として添付図面を参照して説明する。
図1】[0020]図1は、一態様に従った、電動式デフロスターを包含する自動車のリヤウィンドウの内面図である。
図2】[0021]図2は、図1のリヤウィンドウ上の電気接点にはんだ付けされている電気コネクターの側面図であり、一態様に従ったリヤウィンドウ、電気接点およびはんだが断面で示されている。
図3A】[0022]図3Aは、一態様に従った本発明のはんだ組成物ではんだ付けすることができる電力コネクターの略図である。
図3B図3Bは、一態様に従った本発明のはんだ組成物ではんだ付けすることができる電力コネクターの略図である。
図4】[0023]図4は、一態様に従った本発明のはんだ組成物でフロントガラス上にはんだ付けされている電力コネクターの略図である。
図5】[0024]図5は、一態様に従った本発明のはんだ組成物の態様の温度サイクル試験における1サイクル中の時間の関数としての温度のグラフである。
図6】[0025]図6は、一態様に従った本発明のはんだ組成物の性能を試験するためにフォースゲージを採用した引張試験の略図である。
図7】[0026]図7は、一態様に従った本発明のはんだ組成物の性能を試験するために重りを採用した引張試験の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0027]本発明は、ガラス内またはガラス上に電気機器を電気的に接続するために電機部材をガラスにはんだ付けするのに適したはんだ組成物を提供する。図1を参照すると、ガラス部材(10)、例えば自動車のリヤウィンドウ10(例えば欧州ではバックライトともよばれる)を、非限定的な例示的例として採用している。リヤウィンドウ10は窓用デフロスター12を包含し、該デフロスターは、リヤウィンドウ10内に埋め込まれているかリヤウィンドウ10の内側表面上に付着している電気抵抗性の霜取りライン14からなる。霜取りライン14は、リヤウィンドウ10の内側表面上に設置されている一対の電気接点ストリップ(電気接点表面、バスバーともよばれる)16に電気的に接続している。電気接点ストリップ16は、リヤウィンドウ10の内側表面上に付着している伝導性コーティングからなる。典型的には、電気接点ストリップ16は、銀含有材料から形成される。
【0022】
[0028]リヤウィンドウ10は、同様に、または代替的に、ラジオ信号を受信するために用いられるアンテナ24、例えば、ラジオ受信機(図示していない)に接続されていて、リヤウィンドウ10内に埋め込まれているかリヤウィンドウ10の内側表面上に付着している導電性アンテナ素子26を有するアンテナを、包含することができる。アンテナ素子26は、リヤウィンドウ10の内側表面上に設置されている電気接点ストリップ16に電気的に接続している。電気接点ストリップ16は、リヤウィンドウ10の内側表面上に付着している伝導性コーティングからなる。典型的には、電気接点ストリップ16は、銀含
有材料から形成される。
【0023】
[0029]自動車用ガラスに機器をはんだ付けする場合、他の用途では存在しない問題に直面する。自動車用ガラス上での無鉛はんだの使用に関する相手先商標製品の製造会社(OEM)のいくつかの懸念に対処するために、CLEPA(欧州自動車部品工業会)などの自動車用ガラス供給者らは、温度サイクル、一定の気候湿度、湿度に伴う気候温度、および高温保管を含む、いくつかの試験を開発してきた。はんだの融点に関するOEMの懸念に対処するために、試験の1つは、コネクターにはんだ付けされたガラス試料を105℃で500時間保管し、この間に500グラムの重りを各コネクターからつり下げることを包含していたが、試験期間中にガラスから外れたコネクターはなかった。しかしながら、欧州自動車工業会(ACEA)などのOEMは、温度は115℃~120℃という高温になる可能性があると提案している。
【0024】
[0030]本発明のはんだ組成物は、上記OEMの懸念に対処するために開発された。図2を参照すると、標準的はんだ付け技術、例えば、抵抗はんだ付け機器、またはフレーム、マイクロフレーム、焼き鏝、熱風、および誘導加熱などを用いて、電力コネクター18またはアンテナコネクター30をリヤウィンドウ10上の各電気接点ストリップ16にはんだ付けするために、本発明のはんだ組成物の層20が採用されている。はんだ付けは周囲空気雰囲気中で行うことができ、不活性ガス環境は必要ない。その後、電力ライン22を電力コネクター18に電気的に接続して窓用デフロスター12に電力を供給することができ、または、アンテナライン28をアンテナコネクター30に電気的に接続して、アンテナ24とラジオ受信機の間に接続を提供することができる(図1参照)。はんだ付けの性能試験および結果を以下に示す。
【0025】
[0031]はんだとしての使用に適したインジウム-スズ-銀ベースの合金の第1の態様を、以下で合金Iとよぶ。これは、約40重量%のスズ、約0.5重量%の銅、約50重量%のインジウム、約4.5重量%の銀、約1.8重量%~約2.1重量%のニッケル、および約2.9重量%~約3.2重量%の鉄を包含する元素混合物である。合金Iは、約1.8重量%のニッケルおよび約3.2重量%の鉄を含有することができる。あるいは、合金Iは、約2.1重量%のニッケルおよび約2.9重量%の鉄を含有することができる。
【0026】
[0032]本明細書中で用いる場合、“約X%”は、元素の百分率が、合金の25重量%未満を構成する元素の場合は±0.5重量%変動する可能性があり、または、合金の25重量%超を構成する元素の場合は±2重量%変動する可能性があることを、意味することができる。
【0027】
[0033]合金Iは、約40重量%のスズ、約0.5重量%の銅、約4.5重量%の銀、および約5重量%のニッケル-鉄合金[該ニッケル-鉄合金は、約36重量%~約42重量%のニッケルおよび約58重量%~約64重量%の鉄を含む]、約50重量%のインジウムの混合物として特徴付けることもできる。特定の一態様によると、ニッケル-鉄合金は約36重量%のニッケルおよび約64重量%の鉄を含む。この特定の鉄-ニッケル合金は、一般に商品名INVARで知られる。他の特定の一態様によると、ニッケル-鉄合金は約42重量%のニッケルおよび約58重量%の鉄を含む。この特定の鉄-ニッケル合金は、商品名ALLOY 42またはNILO 42で知られる。合金Iは、約109.18℃の固相線温度および約115.39℃の液相線温度を有する。
【0028】
[0034]固相線温度は、実質的に、合金が溶融し始める温度と定義される。固相線温度未満において、物質は、溶融相のない完全な固体である。液相線温度は、結晶(非溶融金属または合金)が溶融物と共存することができる最高温度である。液相線温度を超えると、材料は均質であり、溶融物のみからなる。はんだ処理温度は、はんだ付け技術によって決
定される数度ほど、液相線温度より高い。
【0029】
[0035]はんだとしての使用に適したインジウム-スズ-銀ベースの合金の第2の態様を、以下で合金IIとよぶ。これは、約14重量%~約15重量%のスズ、約1重量%のアンチモン、約1重量%の銅、約5重量%~約6重量%の銀、約1重量%~約3重量%のニッケル、約1重量の亜鉛、および約75重量%のインジウムを包含する元素混合物である。合金IIは、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有することができ、これを以下で合金IIAとよぶ。あるいは、合金IIは、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有することができ、これを以下で合金IIBとよぶ。合金IIAは、122.41℃の固相線温度および約135.66℃の液相線温度を有する。合金IIBは、約123.68℃の固相線温度および約138.38℃の液相線温度を有する。
【0030】
[0036]はんだとしての使用に適したインジウム-スズ-銀ベースの合金の第3の態様を、以下で合金IIIとよぶ。これは、約75重量%のスズ、約5重量%の銀、および約20重量%のインジウムを包含する元素混合物である。合金IIIは、約177.26℃の固相線温度および約188.29℃の液相線温度を有する。
【0031】
[0037]はんだとしての使用に適したインジウム-スズ-銀ベースの合金の第4の態様を、以下で合金IVとよぶ。これは、約7重量%のスズ、約3重量%の銀、および約90重量%のインジウムを包含する元素混合物である。合金IVは、約134.58℃の固相線温度および約139.58℃の液相線温度を有する。
【0032】
[0038]本発明の他の態様は、図1および2に示すように、ガラス部材と、該ガラス部材上の銀を含有する電気接点表面と、該ガラス部材上の電気接点表面にはんだ層ではんだ付けされている電気コネクターとを包含する、ガラス部材上の電気接続部を対象とする。この電気接続部の4つの異なる態様において、はんだは合金I、II、IIIまたはIVのいずれか1つであることができる。
【0033】
[0039]本発明のさらに他の態様は、はんだとしての使用に適した合金の形成方法を対象とする。合金Iの形成に関するこの方法の第1の態様によると、該方法は、合金の重量の約40%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約0.5%を提供するように銅を加える段階、合金の重量の約50%を提供するようにインジウムを加える段階、合金の重量の約4.5%を提供するように銀を加える段階、合金の重量の約1.8%~約2.1%を提供するようにニッケルを加える段階、および合金の重量の約2.9%~約3.2%の鉄を提供するように鉄を加える段階を包含する。特定の一態様において、合金Iは1.8重量%のニッケルおよび3.2重量%の鉄を包含する。他の特定の一態様において、合金Iは2.1重量%のニッケルおよび2.9重量%の鉄を包含する。
【0034】
[0040]ニッケルを加える段階および鉄を加える段階は、合金の重量の約5%を提供するようにニッケル-鉄合金を加えることにより遂行してもよく、該ニッケル-鉄合金は、約36重量%~約42重量%のニッケルおよび約58重量%~約64重量%の鉄を含む。特定の一態様において、ニッケル-鉄合金は36%のニッケルおよび64%の鉄を包含し(INVAR)、他の特定の一態様において、ニッケル-鉄合金は42%のニッケルおよび58%の鉄を包含する(ALLOY 42)。これは、第1の量のニッケルおよび第2の量の鉄を別個に秤量して加えるのではなく、単一量の市販のニッケル-鉄合金を秤量して加えることによって、合金Iに元素を加えるプロセスを単純化するという利益を提供する。
【0035】
[0041]合金IIの形成に関するこの方法の第2の態様によると、該方法は、合金の重量
の約14%~約15%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約1%を提供するようにアンチモンを加える段階、合金の重量の約1%を提供するように銅を加える段階、合金の重量の約5%~約6%を提供するように銀を加える段階、合金の重量の約1%~約3%を提供するようにニッケルを加える段階、合金の重量の約1%を提供するように亜鉛を加える段階、および合金の重量の約75%を提供するようにインジウムを加える段階を包含する。特定の一態様にしたがって、合金IIは、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有する。他の特定の一態様にしたがって、合金IIは、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有する。
【0036】
[0042]合金IIIの形成に関するこの方法の第3の態様によると、該方法は、合金の重量の約75%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約5%を提供するように銀を加える段階、および合金の重量の約20%を提供するようにインジウムを加える段階を包含する。
【0037】
[0043]合金IVの形成に関するこの方法の第4の態様によると、該方法は、合金の重量の約7%を提供するようにスズを加える段階、合金の重量の約3%を提供するように銀を加える段階、および合金の重量の約90%を提供するようにインジウムを加える段階を包含する。
【実施例
【0038】
はんだの性能試験および結果
I.温度サイクル試験
[0044]試験試料は、電力コネクターおよびアンテナコネクター18、30が合金IIおよび合金IVではんだ付けされているフロントガラスであった。相対する末端にある2つの相隔たるはんだパッド19の間に伸長する隆起した細長いブリッジ部分をそれぞれ有するブリッジ端子電力コネクター18aおよび18bの略図を、それぞれ図3Aおよび図3Bに示す。電力コネクター18aおよび18bを、以下で電力コネクター18とよぶ。各はんだパッド19の面積は約64mmで、図4に示すように、はんだ組成物は約0.5mmの厚さを有していた。はんだインゴットを圧延してはんだリボンにし、該はんだリボンを銅基材上に連続的な縞模様にリフローし、はんだの縞模様を均一寸法に削ぎ、標準的工具類を用いて端子をスタンピングして形成し、はんだ表面に融剤を施用し、そして、約750ワット-秒~約1050ワット-秒、例えば約900ワット-秒のエネルギー入力で抵抗はんだ付け機器を用いてリヤウィンドウ10上の電気接点ストリップ16の標的領域に電力コネクター18をはんだ付けした後、電力コネクター18をリヤウィンドウ10上の所定の位置に約8秒~約12秒間の期間、例えば約10秒間にわたり保持しつつ冷却することにより、電力コネクター18をリヤウィンドウ10上にはんだ付けした。
【0039】
[0045]図5に例示するこの試験では、気候制御(climate controlled)チャンバーの温度を、8時間の合計時間の間に、周囲温度(約20℃)から-40℃、-40℃で90分間保持し、続いて120分かけて105℃に上昇させた後、周囲温度に戻して循環させ、図5に示す各矢印で示したように、-40℃の段階の最後から開始し105℃の段階の最後に終了する14Vでの電流負荷を、電力ライン22を介して施用した。20サイクル後、図6に示すように、引張試験300(周囲温度における)において、各電力コネクター18を、はんだ層20およびリヤウィンドウ10に概して垂直な方向に、はんだパッド19の間のほぼ中間点において電力コネクター18にフック320で接続され、ハンドル330によって手動で操作されるデジタルフォースゲージ310で50ニュートンの力まで、3秒間引っ張った。この試験の間に不具合は生じなかった。
II.ヒートソーク試験
[0046]試験試料は、電力およびアンテナコネクター18、30が合金IIおよび合金IVではんだ付けされているフロントガラスであった。図7に例示するこの試験400では
、気候制御チャンバーの温度を96時間にわたり105℃で保持し、1時間おきに15分間にわたり14Vでの電流負荷を電力ライン22を介して施用した。電力コネクター18を、はんだ層20およびリヤウィンドウ10に概して垂直な方向で、96時間全体の間に重力加速度として垂直に下方に方向付けられた10ニュートンの機械的負荷(はんだパッド19の間のほぼ中間点に置かれたフック420により重り410を電力コネクター18に接続することにより施用される)に付した。アンテナコネクター30を、同様に3ニュートンの機械的負荷に付した。96時間の試験の後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、デジタルフォースゲージ(Mark-10 Long Island,ニューヨーク州,モデルBG50)で280~360ニュートンの力まで3秒間引っ張った(周囲温度において)。この試験の間に、電力コネクター18の不具合は生じなかった。アンテナコネクター18を同様に30~70ニュートンの力で試験した。合金IVではんだ付けした18個のアンテナコネクター18のうち10個に不具合が生じた。
III.高温保管試験
[0047]試験試料は、電力およびアンテナコネクター30、18が合金IIおよび合金IVではんだ付けされているフロントガラスであった。この試験では、気候制御チャンバーの温度(比較的乾いた湿度においてであるが、制御されていない)を120℃一定で24時間維持し、電力コネクター18に電気的または機械的負荷はかけなかった。24時間終了後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、デジタルフォースゲージで210~290ニュートンの力まで3秒間引っ張った(周囲温度において)。アンテナコネクター30は、各アンテナコネクター18を50~75ニュートンの力で引っ張ることにより同様に試験した。この試験の間に電力またはアンテナコネクター18、30の不具合は生じなかった。
IV.電気負荷をかけての長期試験
[0048]試験試料は、電力およびアンテナコネクター18、30が合金IIではんだ付けされているフロントガラスであった。この試験では、気候制御チャンバーの温度(湿度は比較的乾いていたが制御されていない)を105℃一定で500時間維持し、500時間全体にわたり14Vでの電流負荷をかけた。500時間終了後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、デジタルフォースゲージで50ニュートンの力まで3秒間引っ張った(周囲温度において)。この試験の間に不具合は生じなかった。
V.熱衝撃試験
[0049]試験試料は、電力およびアンテナコネクター18、30が合金IVではんだ付けされているフロントガラスであった。この試験において、1サイクルは、電気的または機械的負荷をかけることなく試料を気候制御チャンバーで1時間にわたり105℃に加熱した後、該試料を冷水(約23℃以下、冷蔵庫からのもの)に完全に浸すことからなっていた。各サイクルの後、試料を圧縮空気で乾燥した。5サイクル後およびその後10サイクル後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、デジタルフォースゲージで17-~290ニュートンの力まで3秒間引っ張った(周囲温度において)。アンテナコネクター18は、50~80ニュートンの力まで同様に試験した。この試験の間に不具合は生じなかった。
VI.高湿度試験:一定の気候
[0050]試験試料は、電力およびアンテナコネクター18、30が合金IIではんだ付けされているフロントガラスであった。試料を環境チャンバー内で80℃の一定温度および>96%RHの湿度(蒸気が発生)に合計504時間にわたり暴露し、特定の温度および湿度に達した後10時間目に開始して15分間、その後、504時間の最後まで24時間ごとに15分間、14V(約22Aをもたらす)での電流負荷を電流コネクター18にかけた。504時間終了後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、デジタルフォースゲージで50ニュートンの力まで3秒間引っ張った(周囲温度において)。この試験の間に不具合は生じなかった。
VII.スクリーンウォッシャー液への耐性
[0051]試験試料は、電力およびアンテナコネクター18、30が合金IIおよび合金I
Vではんだ付けされているフロントガラスであった。この試験では、電力およびアンテナコネクター18、30を、23℃において、69.5%蒸留水、20%エタノール、10%イソプロパノール、0.5%エチレングリコール、および0.09%ラウリル硫酸ナトリウムで作製された模擬的フロントガラス用ウォッシャー溶液に浸したスポンジで、24時間湿らせた。24時間終了後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、フォースゲージで70~310ニュートンの力まで2秒間引っ張った(周囲温度において)。各アンテナコネクター30は、60~85ニュートンの力まで同様に試験した。この試験の間に不具合は生じなかった。
VII.塩水噴霧試験
[0052]試験試料は、電力およびアンテナコネクター18、30が合金IIではんだ付けされているフロントガラスであった。この試験では、試験試料を試験チャンバー内で塩水噴霧の霧に96時間暴露した。塩水濃度は5%で、pHは6.5~7.2であった。塩水の霧の温度は+35℃±2℃に設定し、タワー温度は+48℃に設定し、空気圧は16~18psiであった。96時間終了後、各電力コネクター18を、図6に示し上記したように、50ニュートンの力まで2秒間引っ張った(周囲温度において)。この試験の間に不具合は生じなかった。
【0040】
[0053]本発明のはんだ組成物は、無鉛合金であって、望ましい製造性を提供する一方、より高い使用温度のほか、強度および延性の両方に関する機械的特性、ならびに対象用途に必要な湿潤状態での物理的特性および安定性を達成するものである。望ましい製造性は、製造で生じやすい欠陥または不具合、および銀を含有する金属化電気接点表面のはんだ付けでしばしば起こる銀の滲出(掃去(scavenging))現象を軽減または排除することができるように、十分に低い処理温度を可能にすることを包含する。これは、インジウム-スズ-銀ベースの材料、あるいは、銅、ニッケルおよび鉄、またはアンチモン、銅および亜鉛と一緒に冶金学的に合金化するか、沈殿させるか、分散させることができる、インジウム-スズ-銀ベースの材料によって達成される。
【0041】
[0054]本出願で用いる場合、いくつかの態様において、実質的に上記材料からなるはんだ組成物は、特定の材料と、はんだ組成物およびはんだ組成物を包含する電気コネクターの基本的および新規特性に実質的に影響を及ぼさない材料に限定される。はんだ組成物の基本的および新規特性としては、本明細書中に記載する熱的(例えば、液相線および固相線温度)および機械的(例えば、上記性能試験)特性が挙げられる。
【0042】
[0055]環境に優しい無鉛材料の提供に加え、本発明のはんだは、自動車用ガラスに用いることができる無鉛はんだの提供、強度および延性の両方に必要な機械的特性の達成、ならびに、望ましい低い製造プロセス温度を保持しつつ、望ましい高い使用温度に耐えることなど、多くの利点を有する。
【0043】
[0056]本発明をその好ましい態様に関して記載してきたが、これに限定されることを意図してはおらず、むしろ以下の特許請求の範囲に説明する範囲のみに限定されるものとする。さらに、第1、第2などの用語の使用は、重要度の任意の順位を意味するのではなく、第1、第2などの用語は、1つの要素を他の要素と区別するために用いられる。さらに、1つの(a)、1つの(an)などの使用は、量の限定を意味するのではなく、少なくとも1つの参照事項の存在を意味する。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
約40重量%のスズ;
約0.5重量%の銅;
約50重量%のインジウム;
約4.5重量%の銀;
約1.8重量%~約2.1重量%のニッケル;および
約2.9重量%~約3.2重量%の鉄;
を含む、はんだとしての使用に適した合金。
[2]
合金が約1.8重量%のニッケルおよび約3.2重量%の鉄を含有する、[1]に記載の合金。
[3]
合金が約2.1重量%のニッケルおよび約2.9重量%の鉄を含有する、[1]に記載の合金。
[4]
合金が約109℃の固相線温度および約115℃の液相線温度を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の合金。
[5]
ガラス部材(10);
ガラス部材(10)上の銀を含有する電気接点表面(16);ならびに
ガラス部材(10)上の電気接点表面(16)に、約40重量%のスズ、約0.5重量%の銅、約50重量%のインジウム;約4.5重量%の銀、約1.8重量%~約2.1重量%のニッケル、および約2.9重量%~約3.2重量%の鉄を含む元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層(20)で、はんだ付けされている電気コネクター(18、30);
を含む、ガラス部材(10)上の電気接続部。
[6]
合金が約1.8重量%のニッケルおよび約3.2重量%の鉄を含有する、[5]に記載の電気接続部。
[7]
合金が約2.1重量%のニッケルおよび約2.9重量%の鉄を含有する、[5]に記載の電気接続部。
[8]
合金の重量の約40%を提供するようにスズを加える段階;
合金の重量の約0.5%を提供するように銅を加える段階;
合金の重量の約50%を提供するようにインジウムを加える段階;
合金の重量の約4.5%を提供するように銀を加える段階;
合金の重量の約1.8%~約2.1%を提供するようにニッケルを加える段階;および
合金の重量の約2.9%~約3.2%の鉄を提供するように鉄を加える段階;
を含む、はんだとしての使用に適した合金の形成方法。
[9]
ニッケルを加える段階および鉄を加える段階が、合金の重量の約5%を提供するようにニッケル-鉄合金を加えることにより遂行され、該ニッケル-鉄合金が、約36重量%~約42重量%のニッケルおよび約58重量%~約64重量%の鉄を含む、[8]に記載の方法。
[10]
約14重量%~約15重量%のスズ;
約1重量%のアンチモン;
約1重量%の銅;
約5重量%~約6重量%の銀;
約1重量%~約3重量%のニッケル;
約1重量の亜鉛;および
約75重量%のインジウム;
を含む、はんだとしての使用に適した合金。
[11]
合金が、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有する、[10]に記載の合金。
[12]
合金が、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有する、[10]に記載の合金。
[13]
合金が約122℃~約124℃の範囲の固相線温度および約136℃~約138℃の範囲の液相線温度を有する、[10]~[12]のいずれかに記載の合金。
[14]
ガラス部材(10);
ガラス部材(10)上の銀を含有する電気接点表面(16);ならびに
ガラス部材(10)上の電気接点表面(16)に、約14重量%~約15重量%のスズ、約1重量%のアンチモン、約1重量%の銅、約5重量%~約6重量%の銀、約1重量%~約3重量%のニッケル、約1重量%の亜鉛、および約75重量%のインジウムを含む元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層(20)で、はんだ付けされている電気コネクター(18、30);
を含む、ガラス部材上の電気接続部。
[15]
合金が、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有する、[14]に記載の電気接続部。
[16]
合金が約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有する、[14]に記載の電気接続部。
[17]
合金の重量の約14%~約15%を提供するようにスズを加える段階;
合金の重量の約1%を提供するようにアンチモンを加える段階;
合金の重量の約1%を提供するように銅を加える段階;
合金の重量の約5%~約6%を提供するように銀を加える段階;
合金の重量の約1%~約3%を提供するようにニッケルを加える段階;
合金の重量の約1%を提供するように亜鉛を加える段階;および
合金の重量の約75%を提供するようにインジウムを加える段階;
を含む、はんだとしての使用に適した合金の形成方法。
[18]
得られる合金が、約14重量%のスズ、5重量%の銀、および約3重量%のニッケルを含有する、[17]に記載の方法。
[19]
得られる合金が、約15重量%のスズ、6重量%の銀、および約1重量%のニッケルを含有する、[17]に記載の方法。
[20]
約75重量%のスズ;
約5重量%の銀;および
約20重量%のインジウム;
を含む、はんだとしての使用に適した合金。
[21]
合金が約177℃の固相線温度を有し、約188℃の液相線温度を有する、[20]に記載の合金。
[22]
ガラス部材(10);
ガラス部材(10)上の銀を含有する電気接点表面(16);ならびに
ガラス部材(10)上の電気接点表面(16)に、約75重量%のスズ、約5重量%の銀、および約20重量%のインジウムを含む元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層(20)で、はんだ付けされている電気コネクター(18、30);
を含む、ガラス部材上の電気接続部。
[23]
合金の重量の約75%を提供するようにスズを加える段階;
合金の重量の約5%を提供するように銀を加える段階;および
合金の重量の約20%を提供するようにインジウムを加える段階;
を含む、はんだとしての使用に適した合金の形成方法。
[24]
約7重量%のスズ;
約3重量%の銀;および
約90重量%のインジウム;
を含む、はんだとしての使用に適した合金。
[25]
合金が約135℃の固相線温度および約140℃の液相線温度を有する、[24]に記載の合金。
[26]
ガラス部材(10);
ガラス部材(10)上の銀を含有する電気接点表面(16);ならびに
ガラス部材(10)上の電気接点表面(16)に、約7重量%のスズ、約3重量%の銀、および約90重量%のインジウムを含む元素混合物を有し、はんだとしての使用に適した合金の層(20)で、はんだ付けされている電気コネクター(18、30);
を含む、ガラス部材上の電気接続部。
[27]
合金の重量の約7%を提供するようにスズを加える段階;
合金の重量の約3%を提供するように銀を加える段階;および
合金の重量の約90%を提供するようにインジウムを加える段階;
を含む、はんだとしての使用に適した合金の形成方法。
【符号の説明】
【0044】
10 ガラス部材
12 窓用デフロスター
14 霜取りライン
16 電気接点ストリップ
18 電力コネクター
18a ブリッジ端子電力コネクター
18b ブリッジ端子電力コネクター
19 はんだパッド
20 はんだ組成物の層
22 電力ライン
24 アンテナ
26 アンテナ素子
28 アンテナライン
30 アンテナコネクター
300 引張試験
310 デジタルフォースゲージ
320 フック
330 ハンドル
400 ヒートソーク試験
410 重り
420 フック
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7