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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ディスプレイ投影方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20220601BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220601BHJP
   G03H 1/22 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 F
G03H1/22
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020204347
(22)【出願日】2020-12-09
(62)【分割の表示】P 2018199479の分割
【原出願日】2014-07-28
(65)【公開番号】P2021056526
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】61/860,203
(32)【優先日】2013-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/979,248
(32)【優先日】2014-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ゴーニー,ダグラス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,マーティン ジェイ.
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-294138(JP,A)
【文献】特開2010-145431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0016335(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 , 21/14
H04N 5/74
G03H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ投影方法であって、
第1ビームスプリッタによって、光を主要光経路とハイライト経路とに沿って分離することと、
第1空間光変調器によって、前記ハイライト経路に沿った前記光を変調することにより、投影画像の一部である少なくとも1つのハイライト部分に照射するためのハイライト光を生成することと、
前記第1空間光変調器によって、前記ハイライト光の少なくとも一部を、前記ハイライト経路に沿って第2ビームスプリッタに送ることと、
前記第2ビームスプリッタによって、前記ハイライト経路からの前記ハイライト光の前記一部と、前記主要光経路からの前記光とを結合することにより、結合光を形成することと
第2空間光変調器によって、前記結合光を変調することにより、前記投影画像を形成することと、
を包含する、方法。
【請求項2】
コントローラによって、前記少なくとも1つのハイライト部分の画像データを含む、前記投影画像の画像データを受け取ることと、
前記コントローラによって制御信号を前記第1空間光変調器に送ることにより、前記第2ビームスプリッタにおいて前記主要光経路からの前記光と結合されるための前記ハイライト光の前記一部を送り、前記少なくとも1つのハイライト部分を含む前記投影画像を形成することと、
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光源から出射された前記光を、回転偏光子によって偏光させることと、
前記コントローラによって制御信号を前記回転偏光子に送ることにより、前記主要光経路から前記ハイライト経路へ分離されるべき光の量を制御することと、
をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
光源から出射された前記光を、固定偏光子によって偏光させることと、
前記コントローラによって制御信号を前記第1空間光変調器に送ることにより、前記ハイライト経路から捨てられる光の量を制御することと、
をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
光源から出射された前記光を、偏光子によって偏光させることと、
前記偏光子からの前記光を、ビーム拡大器によって拡大することと、
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1空間光変調器は、MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)アレイおよびインテグレーティングロッドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1空間光変調器は、部分ビームスプリッタおよびレンズを有するホログラフィック空間光変調器である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年7月30日に出願された米国仮特許出願第61/860、203号および2014年4月14日に出願された米国仮特許出願号61/979、248号に基づく優先権を主張する。それぞれの特許出願の全文を本願に参考のため援用する。
【0002】
本発明は、表示システム、より具体的にはハイライト変調を用い得る二段または多段変調投影表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の多段変調プロジェクタシステムでは、典型的には、プロジェクタ内部の光学系により変調された映像をスクリーンに照らす、単一の光源が存在する。そのような従来の多段変調プロジェクタシステムでは、ハイライト変調器が、MEMSアレイまたは他の何らかの機械的ビームステアリング手段であることが典型的である。ハイライト変調器は、その個々のステアリング要素に届く光を、後続する光経路内の任意の場所へ向けることができる。ほんの一例を挙げると、ハイライト変調器は、投影画像のうち、画像の周辺部よりも高い輝度を有する部分に対して、より多くの光を向けることができ得る。この結果、その一部が「ハイライトされる」ことになる。
【0004】
これらの二段/多段変調器プロジェクタシステムにおいて、ハイライト変調器を少なくとも1つ有するそのようなプロジェクタシステムを構成することが可能である。ここで、ハイライト変調器は、必ずしも(1つまたは複数の)可動ミラーに頼ることのない非機械的ビームステアリングを用い得る。
【発明の概要】
【0005】
ある表示システムの実施形態およびそれらの製造方法を、本明細書に開示する。
【0006】
ある実施形態では、プロジェクタ表示システムは、光源と、コントローラと、前記光源により照射され、かつ、ホログラフィックイメージングモジュールを有する第1ホログラフィック変調器と、前記第1ホログラフィック変調器から伝達するように構成されたレンズと、前記レンズからの光により照射され、かつ、前記レンズからの光を変調することができ、複数のミラーを有する第2変調器と、を備えるプロジェクタ表示システムであって、前記コントローラは、プロセッサと、前記プロセッサに対応付けられたメモリであって、かつ、前記プロセッサがプロセッサ読み取り可能な命令を読み込む時に、以下の命令:画像データを受け取り、前記第1ホログラフィック変調器が、前記光源からの光のうち所望の部分を前記第2変調器上へ割り当て得るように、前記第1ホログラフィック変調器へ制御信号を送信し、前記光源からの光の前記所望の部分が変調されることにより、前記所望の画像を投影用に形成するように、前記第2変調器へ制御信号を送信すること、をプロセッサに実行させるプロセッサ読み取り可能な命令をさらに含むメモリと、をさらに有する、プロジェクタ表示システムである。
【0007】
別の実施形態では、プロジェクタ表示システムは、光源と、コントローラと、前記光源によって照射され、かつ、前記光源からの光を所望の偏光にする偏光子と、前記偏光子からの前記光を拡大するビーム拡大器と、光を選択的に主要光経路とハイライト経路とに沿って分離できる第1部分ビームスプリッタと、前記ハイライト経路に沿った前記光を受け取り、かつ、前記ハイライト経路に沿った前記光を変調することにより所望のハイライト光を生成する、空間光変調器と、前記主要光経路および前記ハイライト経路からの光を結
合できる第2部分ビームスプリッタと、を備えるプロジェクタ表示システムであって、前記コントローラは、プロセッサと、前記プロセッサに対応付けられたメモリであって、かつ、前記プロセッサがプロセッサ読み取り可能な命令を読み込む時に、以下の命令:潜在的にハイライト部分を少なくとも1つ含む画像データを受け取り、前記第2部分ビームスプリッタにおいて前記主要光経路からの光と結合することにより前記ハイライト部分を形成する、所望の量のハイライトを前記空間光変調器が送り得るように、前記空間光変調器へ制御信号を送信すること、をプロセッサに実行させるプロセッサ読み取り可能な命令をさらに含むメモリと、をさらに有する、プロジェクタ表示システムである。
【0008】
本願システムのその他の特徴および利点は、以下の詳細な記述において、本願に示す図面と関連して読まれることにより、提示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
代表的な実施形態が、図面の参照図に例示されている。ここで開示されている実施形態および図は、限定的というよりむしろ例示的と考えられるべきであるように意図されている。
図1図1は、ハイライト変調器を利用し得る2つの可動ミラーの組み合わせを用いた、二段/多段変調器プロジェクタ表示システムの一実施形態である。
図2図2は、本願の原理に従って構成された、光ビームステアリングのための少なくとも1つの非機械的手段としてホログラフィックイメージングモジュールを用いる、二段/多段変調器プロジェクタ表示システムの一実施形態である。
図3図3は、図2の表示システムで所望のビームステアリングを及ぼす、ホログラフィックイメージング用のホログラムの作成システムおよび/または方法の一実施形態である。
図4図4は、図2の表示システムで所望のビームステアリングを及ぼす、ホログラフィックイメージングの作成システムの別の実施形態である。
図5A図5Aは、本願の原理に従って構成された、主要光経路およびハイライト経路間の光のバランス調節に偏光子を用い得る、二段/多段変調器プロジェクタ表示システムの一実施形態である。
図5B図5Bは、本願の原理に従って構成された、非機械的ビームステアリング変調器を使い、主要光経路およびハイライト経路間の光のバランス調節に偏光子を用い得る、二段/多段変調器プロジェクタ表示システムのさらに別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明を通じて、より完全に当業者に理解してもらうために、具体的な詳細が述べている。しかしながら、開示を不必要に不明瞭にするのを避けるために、周知の要素は、図示または説明しなかった場合がある。したがって、説明および図面は、限定的というよりむしろ例示的な意味でとらえられるべきである。
【0011】
本明細書において、「コンポーネント」、「システム」、「インターフェース」、「コントローラ」等の用語は、コンピュータ関連の要素であり、ハードウェア、(例えば実行中の)ソフトウェアおよび/またはファームウェアのどれかを参照するもの、と意図されている。例えば、これらの用語のいずれも、プロセッサ上で稼働するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能コード、プログラム、および/またはコンピュータであってもよい。実例として、サーバ上を稼働するアプリケーションおよびサーバの両方が、コンポーネントおよび/またはコントローラとなってもよい。1つ以上のコンポーネント/コントローラが、プロセッサに内在してもよく、そして、コンポーネント/コントローラは、1つのコンピュータ上に局在してもよく、かつ/または、2つ以上のコンピュータ間に分散されてもよい。
【0012】
請求項に記載された主題は図面を参照して説明されており、図面には全体を通して同一の参照番号が同一要素の参照に使われている。以下の記述では、説明目的のため、発明の主題が完全に理解されるように、多くの具体的な詳細が明らかにされている。しかしながら、請求項に記載された主題がこれらの具体的な詳細なしに実施され得るるということは明白であろう。他の例では、発明の主題の説明を容易にするために、周知の構造および素子はブロック図形式で示されている。
【0013】
序説
現在の二段/多段変調器プロジェクタ表示システムは、投影スクリーンに最終的な投影画像を形成するために照射光が通過する、2つ以上の変調段を備えている。大抵において、そのような変調段は機械的なビームステアリング構造、例えば、DMD、MEMSまたはある機械作動ミラーの組を備えている。図1は、機械的ビームステアリング変調器を用いる二段/多段変調器プロジェクタ表示システムの実施形態を示す。
【0014】
プロジェクタシステム100は、投影画像の意図された観察者にとって最終的な投影画像が十分に明るくなるように、プロジェクタシステムに所望の照射光を供給する光源102を用いる。光源102は、どのような適切な光源を備えてもよく、キセノンランプ、(
1つまたは複数の)レーザ、LED、コヒーレントな光源、部分コヒーレントな光源を含
むが、これらに限定されない。
【0015】
光104は、第1変調器106を照射し、そして、第1変調器106は一組のオプションとしての光学コンポーネントを介して、第2変調器110を照射し得る。第2変調器110からの光は、投影レンズ112(または他の適切な光学コンポーネント)により投影されることにより、スクリーン114上に最終的な投影画像を形成し得る。第1および第2変調器は、入力画像および/または入力ビデオデータを受け取り得るコントローラ116により制御されてもよい。所望の最終的な投影画像114を達成するために、コントローラ116は、入力画像信号/入力ビデオデータ信号および、第1および第2変調器への出力制御信号/出力データ信号に、特定の画像処理アルゴリズム、ガマットマッピング(gamut mapping)アルゴリズムまたは他のそのような適切な処理を実行してもよい。さらに、いくつかのプロジェクタシステムにおいては、最終的な投影画像の画質を更に制御するために、光源に応じて光源102を変調すること(制御線は図示せず)も可能であり得る。
【0016】
第1変調器106および第2変調器110は、それぞれ一組の機械的可動ミラー106aおよび110aを、例えばDMDまたはMEMSアレイを形成し得るように、備えてもよい。これらのミラーは、コントローラ116から受け取った制御信号に従って、動かされるなどして作動されてもよい。そのような機械的作動により、光は所望に第1および第2変調器によって操作され得る。
【0017】
二段変調プロジェクタおよび表示システムは、
(1)「SERIAL MODULATION DISPLAY HAVING BINARY LIGHT MODULATION STAGE」という表題で、2012年2月28日に発行された、Ward等の米国特許番号第8,125,702号、
(2)「PROJECTION DISPLAYS」という表題で、2013年6月13日に公開された、Whitehead等の米国特許出願第20130148037号、
(3)「CUSTOM PSFs USING CLUSTERED LIGHT SOURCES」という表題で、2011年9月22日に公開された、Wallener等の米国特許出願第20110227900号、
(4)「SYSTEMS AND METHODS FOR ACCURATELY REPRESENTING HIGH CONTRAST IMAGERY ON HIG
H DYNAMIC RANGE DISPLAY SYSTEMS」という表題で、2013年5月2日に公開された、Shields等の米国特許出願第20130106923号、
(5)「HIGH DYNAMIC RANGE DISPLAYS USING FILTERLESS LCD(S) FOR INCREASING CONTRAST AND RESOLUTION」という表題で、2011年11月17日に公開された、Erinjippurath等の米国特許出願第20110279749号
そして
(6)「REFLECTORS WITH SPATIALLY VARYING REFLECTANCE/ABSORPTION GRADIENTS FOR COLOR
AND LUMINANCE COMPENSATION」という表題で、2012年5月31日に公開された、Kwongの米国特許出願第20120133689号
を含む同一出願人にかかる特許および特許出願に記述されている。これらすべての特許および特許出願の全文を本願に援用する。
【0018】
さらに、
(1)「HIGH LUMINANCE PROJECTION DISPLAYS AND ASSOCIATED METHODS」という表題で、2014年2月13日に公開された、Damberg等の米国特許出願第20140043352号、
(2)「HOLOGRAPHIC DISPLAY」という表題で、2010年6月24日に公開された、Kroll等の米国特許出願第20100157399号、
(3)「COMPACT HOLOGRAPHIC DISPLAY DEVICE」という表題で、2010年2月25日に公開された、Kroll等の米国特許出願第20100046050号、
(4)「HOLOGRAPHIC IMAGE DISPLAY SYSTEMS」という表題で、2012年1月12日に公開された、Cable等の米国特許出願第20120008181号、
(5)「LASER IMAGE PROJECTION SYSTEM APPLICABLE TO THE MARKING OF OBJECTS AND METHOD FOR GENERATING HOLOGRAMS」という表題で、2012年7月26日に公開された、De Echaniz等の米国特許出願第20120188620号
のような、プロジェクタ表示システムを構築するためのホログラフィック投影の利用および照射光のフーリエ性質を開示する文献がある。これらすべての特許出願の全文を本願に援用する。
【0019】
非機械的ビームステアリングの実施形態
機械的変調器に対するものとして、非機械的ビームステアリング変調器は、MEMS素子を必要とせず、代わりにLCD変調器のようなより一般的なイメージング素子を活用してもよい。特に、可動ミラー配置を備えない変調器段を少なくとも1つ以上持つことが望ましくあり得る。
【0020】
図2は、少なくとも1つの非機械的ビームステアリングモジュールを備える、適切なプロジェクタシステム(200)の一実施形態を示す。プロジェクタシステム200は、例えば同じ波長および位相の光であるレーザ、LED、コヒーレントまたは部分コヒーレントな光源を(1つまたは複数)有し得る、光源202を備える。光源202から生成される光がどのようなものであれ、光ビームに影響を及ぼすためのホログラフィック画像と十分に相互作用さえすればよい。
【0021】
光源202からの光は、第1ホログラフィック変調器204を照射する。第1変調器2
04は、ホログラフィック画像をその上に形成でき、光源202からの光と相互作用できる、LCDパネルまたは他のどのようなモジュールを備えてもよい。第1変調器204は、コントローラ201からそのホログラフィック画像を受け取ってもよく、そしてコントローラ201の方は、入力画像データからホログラフィックデータおよび/または制御信号を得るか、または、必要であれば、入力画像データに付随し得る入力データストリームからホログラフィックデータを受け取るかすればよい。本明細書においてさらに述べるように、ホログラフィックデータは繰り返しプロセスを通じて得られてもよく、ここで繰り返しプロセスは、コントローラに内在するか、または、外部プロセスからコントローラへ送られてもよい。
【0022】
第1変調器204を通過する光は、レンズ(および/または光学系部分)206を照射してもよい。レンズ206は、照射光に対してフーリエ変換を及ぼすことにより、所望のビームステアリングが第2変調器208で及ぼされるようにし得る。レンズ206からの光は、プロジェクタシステムが投影画像内における任意の所望部分にハイライト照射を実行できるような、所望の空間的・時間的形態でビームステアリングされ得る。例えば、もし最終的な投影画像内に所望な鏡面反射(または、他の部分よりも高い輝度を有する他の任意の適切な部分)が存在すれば、ホログラフィック画像処理を用いる非機械的ビームステアリングは、タイミング良くビームを操作して、最終的な投影画像中のハイライト部分に追加的な照射をすることが可能である。
【0023】
第2変調器208は、どのような公知の変調器でもよく、例えば、それは、DMD、MEMSおよび/または任意の可動ミラーの組であり、変調器208によって変調(コントローラ201からの制御信号に従って)された光が、投影レンズ210で処理され、そして最終的に視聴のためにスクリーン212に投影され得る。
【0024】
ホログラフィックデータ処理の実施形態
上述したように、ホログラフィックデータは、オンボードまたはオフラインプロセスで入力画像データから得られてもよい。図3は、繰り返し処理システム300(Gerchberg-Saxtonアルゴリズムと呼ばれ、http://en.wikipedia.org/wiki/Gerchberg%E2%80%93Saxton_algorithmに記載がある)の実施形態を示す。繰り返し処理システム300によって、ホログラフィックデータは入力画像データから得られてもよい。
【0025】
入力画像302は、表示システムによってモデル化および/または描画されるべき、所望の画像であると仮定する。ホログラフィック処理システム300は、画像データ302を回路へ入力し、逆フーリエ変換プロセス306を通して入力画像302のホログラフィック表現310を作る。
【0026】
理解されるように、ホログラフィック画像310は、人間の観察者には乱雑でおそらく無秩序な画像として見え得るが、実際には、入力画像の情報内容を取り込んでいる(ただし周波数ドメインにおいてであるが)。この周波数情報(例えば、フーリエ係数)は、光源202(312)からの光の振幅モデルと一緒に処理ブロック314へ入力され得る。処理ブロック314の出力は、フーリエ変換プロセス316へ入力されて、302の近似である結果物320を生成し得る。302と320との差分を処理ブロック304で計算し、これを、306へと送られる画像を改善するために用いる。このプロセスを、302と320の誤差が許容範囲になるまで繰り返す。いったんこれが達成されれば、310は、204へ適用されるホログラフィックデータとして使える。
【0027】
前述したように、このプロセスは、入力画像データに基づいてコントローラ201においてリアルタイムに実行されてもよく、または、何らかのオフラインプロセスを介してコ
ントローラへ供給されてもよい。
【0028】
図4は、本願の原理に従って構成された、ホログラム画像生成器400の一実施形態である。生成器400はレーザ光源402(または、何らかの適切なコヒーレントまたは部分コヒーレント光源)を備えてもよい。光は、光源402からの光強度を調節するためにオプションとしての1つ以上の偏光子404を透過してもよい。これは、システム一般の必要条件ということではないが、一種のグローバルディミング機能を与え得ることに留意すべきである。光は、適宜光学要素406により拡げられてもよい。この光を1/2波長板408を通過させることによって、偏光ビームスプリッタ410に使われるよう所望に光を偏光させてもよい。スプリッタ410により、408からの偏光は空間光変調器(SLM)412に到達し、その後412で反射された光は414へと向きを変えられる。SLM412は、適用されたホログラフィックデータに従って、408からの光を位相シフトする。レンズ414は、位相シフト光に逆フーリエ変換を行うことによって、画像キャプチャ416において所望の画像を生成する。画像キャプチャ416は、カメラとして示されているが、多段変調システムにおいては後続の変調器であってもよい。
【0029】
ビームステアリングに対する回転偏光板の実施形態
ホログラフィック手段によるビームステアリングとは別に、二段/多段変調投影表示システムに適切たり得る他の非機械的ビームステアリングモジュールも存在する。
【0030】
以下の文献に、ビームステアリングを及ぼす手段として、回転偏光子を利用する記述がある。
(1)「COMPACT LASER PROJECTION SYSTEMS AND
METHODS」という表題で、2013年10月10日に公開された、BARANEC等の米国特許出願第20130265554号、
(2)
「BEAM STEERING DEVICES INCLUDING STACKED
LIQUID CRYSTAL POLARIZATION GRATINGS AND RELATED METHODS OF OPERATION」という表題で、2012年7月26日に公開された、Escuti等の米国特許出願第20120188467号
これらすべての特許出願の全文を本願に援用する。
【0031】
図5Aは、本明細書において述べた所望のビームステアリングを及ぼす(例えば、固定または回転)偏光板を用い得る、一実施形態を示している。一実施形態では、投影表示システム500は、レーザ(または、何らかのコヒーレントまたは部分コヒーレントな)光源502、偏光回復光学(PRO)504、回転偏光子506、ビームフォーミング/拡大レンズ508、インテグレーティングロッド(または、代わりにビーム拡大器)510、部分ビームスプリッタ512a、ミラー514、MEMSアレイ516、レンズ518、積層ロッドアレイ(stack rod array)520、部分ビームスプリッタ512b、DMDアレイ522を備えてもよい。
【0032】
アレイ522は、最終画像の最終投影にさらに光処理をする、第2および/または追加的な変調器として(そして更なる光学要素および/またはコンポーネントを通る可能性もあるが)、機能し得る。502から512aまでのコンポーネントは、直接512bへの光経路を与える。この光経路は例えば、最終的な投影画像に対し、所望の照射光の実質的にすべてを提供する主要ビームとなる。しかしながら、(1つまたは複数の)インテグレーティングロッド510からの光の偏光に応じて、第2光経路(例えば、要素514へと下りる)を、例えば、512bで主要ビームと結果的に再結合されるハイライト照射経路として用いることにより、例えば、所望の光量および位置でハイライト照射光を提供し得る
【0033】
図5Aは、次の変調段に直接到達する均一光の量と、ハイライト変調器に到達した後に個別的なビン(bin)(例えば、セグメント構成体520として示している)へと仕分けられる光の量とを、偏光を利用して制御することを示し、そして、結果として生じる不均一な光フィールドが、次の変調段に適用され得ることを示している。また、理解されるように、MEMS素子516は、それに到達する光を520の個別のセグメントへと仕分けるために使われてもよい。別の実施形態において、例えば、非機械的ビームステアリングでは、516、518、520を要素410、412、414に置換することも可能である。
【0034】
動作中において、502からのレーザ光は、光学系部分504および506を照射する。その光は、コントローラ(不図示)からの制御信号の下で回転させられてもよい、回転偏光子506を照射する。506は502からの光を偏光し、その偏光方向を偏光ビームスプリッタ512aに対し調節する。504は、偏光効率を改善するために用いられ得る、オプションとしての偏光再利用サブシステムである。510は、光をより均一にして変調器516および522で使用可能にするために使われる。512aは、510から到達する光の一部を514へ送り、そして残りを512bへ送る。それぞれの部分の量は、506により設定された偏光方向に依存する。514は、512aから516へ光の向きを変えるために使われるオプションとしての折り返しミラー(fold mirror)である。516は、独立制御が可能なミラーを有するMEMS素子であり、これらミラーに届いた光を、インテグレーティングロッド520の任意のセグメントへ送ることができる。再生される画像のより明るい領域に対応するセグメントに対しては、より多くの光が向けられる。518は、516上のミラーから反射された光を、セグメント化されたインテグレーティングロッド520中に結像するために用いられる、レンズである。512bは、512aからの均一な光フィールドおよび520からの典型的には不均一な光フィールドを、次の変調器522上に結合するために用いられる。522は、512bからの結合された光フィールドを変調することによって、所望の画像を作成する。典型的には、図1の112および114と同様に522に続く投影レンズ系およびスクリーンが存在し、これらが所望の画像を実現するために使われる。
【0035】
コントローラ(不図示)は、生成したい所望の画像を分析し、その画像を生成するために506、516、522へ制御を与える。506は、522において画像の生成のために必要となる、均一照射の確立に必要な光量を振り分けるために、使うことができる。残りの光は516へ送られる。516に対する制御により、520の各々のセグメントへどれくらいの光が送られるかが決まる。画像のより明るい部分に対しては、より多くの光が、その場所に対応するセグメントへ送られる。所望の画像を作成するために、512bからの結合された光フィールドは、変調器522に送られる制御により補正を受ける。光源502が必要以上の光を有する場合は、502の強度を減らすか、または、516を用いて不使用の光を520の外部へ送ることによりその光が522に到達しないようにすればよい。
【0036】
別の実施形態では、偏光子506は固定要素であってもよく、ハイライト経路へと分離された光量は、例えば主要光経路へ90%、ハイライト経路へ10%のように、光全体に対する実質的に固定されたパーセンテージであってもよい。主要光と再結合されるハイライト光の量は、所望の量のハイライト光を光ダンプに捨て去るか、またはハイライト経路に渡して主要光経路で再結合されるようにするかによって、制御されてもよい。
【0037】
図5Bは、ハイライト経路において非機械的ビームステアリングモジュールを用い得るプロジェクタ表示システムの、さらにもう1つの実施形態である。この実施形態では、要
素514からの光はビームスプリッタ516bを通り、SLM517bへ送られてもよい。この光は、上の図2、3、4を参照して上記で述べたように、ホログラフィック的に変調され得る。レンズ518bが前述したように適切なフーリエ変換を与えてもよく、その結果生じる光は所望なハイライトを与えることができ、これがビームスプリッタ512bで主要光経路上へ結合され得る。
【0038】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明を、添付の図面とともに読まれることにより本発明の原理を例示するよう、提示した。本発明をそのような実施形態に関連して説明したが、本発明はいかなる実施形態にも限定されないことが、理解される。本発明の範囲は請求項によってのみ限定され、本発明は多数の代替物、改変、および均等物を包含している。本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を本説明において述べた。これらの詳細は例示目的で提供したのであり、本発明は請求項に基づいて、これら具体的な詳細のうちのいくつかまたは全てが無くても、実施し得る。明瞭さのため、本発明に関連する技術分野において公知である技術的題材は詳細に説明しないことによって、本発明が不用意に不明瞭になることを避けた。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B