(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】立方晶窒化ホウ素多結晶体
(51)【国際特許分類】
C04B 35/5831 20060101AFI20220601BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20220601BHJP
B23B 27/20 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
C04B35/5831
B23B27/14 B
B23B27/20
(21)【出願番号】P 2020522361
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2018078259
(87)【国際公開番号】W WO2019076903
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-20
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517007574
【氏名又は名称】エレメント シックス (ユーケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】カン アンティオネッテ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー ホリー サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】ギーキー ダグラス
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-250278(JP,A)
【文献】特開平05-170550(JP,A)
【文献】特開平05-221730(JP,A)
【文献】特開昭62-197357(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104774591(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/5831
B23B 27/14
B23B 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク形状で、10mmと25mmの間から選択される直径及び4mm~25mmから選択される高さを有する、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体であって、前記立方晶窒化ホウ素多結晶体は、
平均粒子サイズ200nmから1000nmの立方晶窒化ホウ素多結晶粒;
2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;
から成り
波長1064nmにおける吸収係数が100cm
-1未満であ
り、少なくとも50%の立方晶窒化ホウ素多結晶粒が双晶である、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
【請求項2】
12mmと16mmの間から選択される直径及び8mm~12mmから選択される高さを有する、請求項1
に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
【請求項3】
1.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、1.0質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;0.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、0.2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;及び0.1質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒のいずれかを含む、請求項1
又は2のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
【請求項4】
荷重1kgの下で3800HK1より大きいヌープ硬度;荷重1kgの下で4000HK1より大きいヌープ硬度;35GPaより大きいビッカース硬度;40GPaより大きいビッカース硬度;45GPaより大きいビッカース硬度;及び50GPaより大きいビッカース硬度のいずれかを有する、請求項1から
3のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
【請求項5】
波長700nmにおける吸収係数が100cm
-1未満;及び波長500nmにおける吸収係数が150cm
-1未満のいずれかを有する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
【請求項6】
波長1064nmにおける吸収係数が50cm
-1未満;及び波長1064nmにおける吸収係数が30cm
-1未満のいずれかである、請求項1から
5のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
【請求項7】
六方晶窒化ホウ素粒子を含むグリーン体を提供する工程であって、該グリーン体は六方晶窒化ホウ素の理論密度の少なくとも95%の密度を有し;
該グリーン体を
8.0GPaから8.5GPaの圧力及び
2200℃から2300℃の温度で焼結プロセスに供し、六方晶窒化ホウ素を転換して
請求項1から6に記載の半透明な立方晶窒化ホウ素多結晶材料を形成する工程、を含む、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体を製造する方法。
【請求項8】
六方晶窒化ホウ素粒子が、0.1質量%以上、0.4質量%以下から選択される酸素含有量を有する、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
六方晶窒化ホウ素粒子が、0.3質量%以下及び0.2質量%以下から選択される酸素含有量を有する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
焼結工程において、最大圧力及び温度が、少なくとも3分間、少なくとも5分間及び少なくとも10分間のいずれかの間、保持される、請求項
7から
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
焼結工程の前に、六方晶窒化ホウ素粒子を冷間静水圧プレスし、グリーン体を高密度化する工程を更に含む、請求項
7から
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
冷間静水圧プレス工程が0.2GPaと4GPaの間の圧力で実施される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
冷間静水圧プレス工程が0.4GPaより大きいと0.6GPaより大きいのいずれかの圧力で実施される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
グリーン体が、六方晶窒化ホウ素粒子から成る、請求項
7から
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
六方晶窒化ホウ素粒子を含むグリーン体を提供する工程の前に、六方晶窒化ホウ素粒子をアンモニアガス中、900℃と1100℃の間の温度で窒化する工程を更に含む、請求項
7から
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体を含むデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明分野)
本発明は、立方晶窒化ホウ素多結晶体及び立方晶窒化ホウ素多結晶体を製造する方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶超硬材料、例えば多結晶ダイヤモンド(PCD)及び多結晶立方晶窒化ホウ素(PcBN)は、例えば、岩石、金属、セラミックス、複合材及び木材含有材料のような硬材料又は研磨剤の切断、機械加工、掘削又は分解するための広く様々な道具において使うことができる。
研磨コンパクトは、切断、ミリング加工、研削、掘削及びその他の研磨操作において広く使われている。それらは一般に第2相マトリックスに分散した超硬研磨粒子を含有する。マトリックスは、金属、セラミックス又はサーメットであってよい。超硬研磨粒子は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、シリコンカーバイド又は窒化ケイ素及びこれらに類するものであってよい。これらの粒子は高圧高温のコンパクト製造過程の間に互いに結合し、多結晶体を形成してもよく、又は第2相材料のマトリックスを通じて結合し、焼結多結晶体を形成してもよい。そのような多結晶体は一般に多結晶ダイヤモンド又は多結晶立方晶窒化ホウ素として知られ、ダイヤモンド又はcBNを超硬研磨剤としてそれぞれ含む。ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素研磨コンパクトの例が、米国特許番号第 3,745,623号及び 5,328,875号に記載されている。
【0003】
米国特許番号第4,334,928号は、工具に用いるための、20~80体積%の立方晶窒化ホウ素から本質的になり、残部が、周期表のIVaまたはVa遷移金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物およびケイ化物、それらの混合物およびそれらの固溶体化合物からなる群から選択される少なくとも1つのバインダー化合物材料のマトリックスであるところの焼結コンパクトを記載している。該マトリックスは、連続結合構造を、焼結体中で形成し、高圧窒化ホウ素は、連続マトリックスに散在する。本文献に概略記載された方法は全て、例えばボールミル、粉砕機及びこれらに類するもののような機械的にミリング加工/混合する技術を用いて所望の材料を組み合わせることを含む。
【0004】
例えば、多結晶ダイヤモンド(PCD)及びPcBNのような多結晶超硬材料は、例えば、岩石、金属、セラミックス、複合材及び木材含有材料のような硬材料又は研磨剤を切断、機械加工、掘削又は分解するための広く様々な道具において用いることができる。焼結多結晶体は、工具挿入体として、研磨剤又は刃を形成するために用いてもよい。
PCDは、鉄鋼材料に関しては、化学的に安定ではない。このことは、PCDを鉄のような鉄鋼材料を機械加工するために用いることができないことを意味する。この場合、PcBNが典型的にはPCDの代わりに用いられる。しかしながら、PcBNはPCDほど硬い又は耐摩耗ではなく、これは主として、cBNに加えてマトリックス相から成るためである。したがって、マトリックス相を低減または完全に除くことが望ましい。
【0005】
バインダー無しで調製されたPcBNが報告されている。例えば、CN104774591Aは六方晶窒化ホウ素(hBN)の高圧高温(HPHT)処置によってhBNからバインダー相を全く含まないPcBN体に転換することで調製されたバインダーを含まないPcBN研磨剤を記載している。JP2004200278 は、9.5GPaの圧力及び1700~1900℃の温度を用いて調製されたバインダーを含まないPcBNを記載している。非常に高い圧力は、この製品を商業プロセスにスケールアップすることが難しく、小さなサンプルのみを製造することができるであろうことを意味する。そのようなPcBN体の十分に大きな断片を製造し、有用な工具挿入体を形成することは非常に難しいことが証明されている。
【発明の概要】
【0006】
(発明の概要)
バインダー相を含まない実質的にcBNから成るPcBN体を提供することが目的である。
第1の態様に従うと、
立方晶窒化ホウ素多結晶粒、
2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒を含み、
波長1064nmにおける吸収係数が100cm-1未満である、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体が提供される。
【0007】
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、吸収係数が、波長1064nmにおいて5cm-1と100cm-1の間、波長1064nmにおいて10cm-1と100cm-1の間、及び波長1064nmにおいて20cm-1と100cm-1の間であってもよい。
少なくとも50%の立方晶窒化ホウ素粒が双晶であってよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、ディスク形状で、10mmと25mmの間から選択される直径及び4mm~25mmから選択される高さを有してもよい。これらの寸法は、多結晶体の実際の適用範囲を、特に機械加工の分野において広げる。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は12mmと16mmの間から選択される直径及び8mm~12mmから選択される高さを有してもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は立方晶窒化ホウ素多結晶粒及び2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒から成ってもよい。
【0008】
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、1.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、1.0質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、0.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、0.2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、及び0.1質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒のいずれかを含んでもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、荷重1kgの下で3800HK1より大きいヌープ硬度、荷重1kgの下で4000HK1より大きいヌープ硬度、35GPaより大きいビッカース硬度、40GPaより大きいビッカース硬度、45GPaより大きいビッカース硬度及び50GPaより大きいビッカース硬度のいずれを有してもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、波長700nmにおける吸収係数が100cm-1未満及び波長500nmにおける吸収係数が150cm-1未満のいずれであってもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、波長1064nmにおける吸収係数が50cm-1未満、波長1064nmにおける吸収係数が30cm-1未満のいずれであってもよい。
【0009】
第2の態様に従うと、
立方晶窒化ホウ素多結晶粒、
2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒を含み、
波長350nmにおける吸収係数が100cm-1未満である、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体が提供される。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、吸収係数が、波長350nmにおいて5cm-1と100cm-1の間であってよく、波長350nmにおいて10cm-1と100cm-1の間であってよく、波長350nmにおいて20cm-1と100cm-1の間であってよい。
少なくとも50%の立方晶窒化ホウ素粒が双晶であってもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、ディスク形状で、10mmと25mmの間から選択される直径及び4mm~25mmから選択される高さを有してもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は12mmと16mmの間から選択される直径及び8mm~12mmから選択される高さを有してもよい。
【0010】
立方晶窒化ホウ素多結晶体は立方晶窒化ホウ素多結晶粒と2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒から成ってもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、1.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、1.0質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;0.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、0.2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;及び0.1質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒のいずれかを含んでもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、荷重1kgの下で3800HK1より大きいヌープ硬度;荷重1kgの下で4000HK1より大きいヌープ硬度;35GPaより大きいビッカース硬度;40GPaより大きいビッカース硬度;45GPaより大きいビッカース硬度;及び50GPaより大きいビッカース硬度、のいずれを有してもよい。
立方晶窒化ホウ素多結晶体は、波長700nmにおける吸収係数が100cm-1未満;及び波長500nmにおける吸収係数が150cm-1未満のいずれであってもよい。
【0011】
第3の態様に従うと、立方晶窒化ホウ素多結晶体を製造する方法が提供される。該方法は、
六方晶窒化ホウ素粒子を含むグリーン体を提供する工程、該グリーン体は六方晶窒化ホウ素の理論密度の少なくとも95%の密度を有する;
該グリーン体を少なくとも7.7GPaの圧力及び少なくとも2100℃の温度で焼結プロセスに供し、六方晶窒化ホウ素を転換して立方晶窒化ホウ素多結晶材料を形成する工程、を含む。
六方晶窒化ホウ素粒子は、0.1質量以上、0.4質量%以下から選択される酸素含有量を有してよい
六方晶窒化ホウ素粒子は、0.3質量%以下及び0.2質量%以下から選択される酸素含有量を更に有してよい。
温度は2100℃と2300℃の間及び2200℃と2300℃の間のいずれから選択されてよい。
圧力は、7.7GPaから8.5GPa、及び8.0GPaから8.5GPaのいずれから選択されてよい。
【0012】
焼結工程は、最大圧力及び温度を、少なくとも3分間、少なくとも5分間及び少なくとも10分間のいずれかの間、保持していてよい。
該方法は、焼結工程の前に、六方晶窒化ホウ素粒子を冷間静水圧プレスし、グリーン体を高密度化する工程を含んでもよい。該冷間静水圧プレスは、圧力0.2GPaと4GPaの間の圧力において更に行われてもよい。該冷間静水圧プレスは、圧力0.4GPaより大きいと0.6GPaより大きいのいずれかの圧力において更に行われてもよい。
グリーン体は、不可避的な不純物を除いて、六方晶窒化ホウ素粒子から成ってもよい。
該方法は更に、六方晶窒化ホウ素粒子を含むグリーン体を提供する工程の前に、六方晶窒化ホウ素粒子をアンモニアガス中、900℃と1100℃の間の温度で窒化する工程を含んでもよい。この方法では、グリーン体が六方晶窒化ホウ素粒子から成る方法において不可避的な不純物が残る場合がある。
【0013】
第4の態様に従うと、上記第1の態様又は第2の態様のいずれかに記載される立方晶窒化ホウ素多結晶体を含むデバイスが提供される。
該デバイスは、機械加工工具、伸線ダイス、光伝送要素及び熱拡散要素のための任意の挿入体を更に含んでもよい。
本発明をよりよく理解し、どのように発明が実施されるかを示すため、本発明の実施形態がここに添付の図を参照しつつ、例示としてのみ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、hBNからcBNへの直接転換を実行する工程を列挙したフロー図である。
【
図3】
図3はhBN粉末A-Dから例1、2、3及び4に詳説された合成を経て焼結されたcBNディスクのラマンスペクトルを示す。
【
図4】
図4は例5、6、8及び11から得られたラマンスぺクトルを示す。
【
図7】
図7は例6、8及び11のUV-可視吸収スペクトルを示す。
【
図8】
図8は例13、14及び15から得られたラマンスペクトルを示す。
【
図9】
図9は様々な例の材料について異なる波長で測定された吸収係数を示す。
【
図10】
図10は、様々な例の材料について異なる波長で測定された透過率データを示す。
【
図11】
図11は、様々な例の材料についてのヌープ硬度値を示す。
【
図12】
図12は、様々な例の材料について測定された音速を示す。
【
図13】
図13は、様々な例のPcBN材料を用いて作られた工具挿入体の摩耗試験結果を示す。
【
図14】
図14は、例のPcBN材料を用いて作られた工具挿入体のフランク摩耗試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(詳細な説明)
六方晶窒化ホウ素(hBN)の立方晶窒化ホウ素(cBN)への直接転換が7.7GPaを超える圧力及び2100℃を超える温度で行うことができることがわかっている。この材料はバインダー相を有さず、ほぼ全てのhBNがcBNに転換する。最終PcBN材料のhBN含有量は2質量%以下である。hBN含有量が非常に低いことから、結果として得られるPcBN材料は半透明であり、波長1064nmで100cm-1未満の吸収係数を示す。以前のhBNからcBNへの直接転換で調製されたバインダー無しPcBN材料は黒色であり、これは著しい量の転換していないhBNがcBN粒間の粒子境界に残っていることにより引き起こされたと考えられている。
【0016】
図1は、プロセスを図示したフロー図である。以下の番号は
図1の番号に対応する。
S1.hBNグリーン体が提供される。これは例えば、0.2と4.0GPa間の圧力(最小圧力0.4又は0.6GPaがよりよい結果を与えよう)で冷間静水圧プレスを行うことによって調製されてよい。hBN粉末の酸素含有量が、酸素0.1質量%を超え、酸素0.4質量%以下である場合が有利であると考えられている。これは、遊離酸素又は、例えば、水又は-OH基のようなその他の形態中の酸素を含む。特定の理論に縛られることを望むものではないが、少量の酸素及び/又は水が、hBNからcBNへの転換において触媒として作用することが可能である。
S2.hBNからcBNへの直接転換は、HPHTプロセス中、少なくとも7.7GPaの圧力及び少なくとも2100℃の温度を用いて行われる。温度は2300℃まで、圧力は8.5GPaまで有効であることがわかっている。焼結プロセスは少なくとも3分間続いてよい。
【0017】
結果として得られるcBN粒の高いレベルでの双晶形成がいくつかのサンプルで観察されている。これは直接転換プロセス間のcBNの核形成中に起こると考えられる。完全な転換が起こっておらず、いくつか非転換hBNが残っている非常に短い実施(run)において観察されるためである。
上述の方法は大きなPcBN体が製造されることを可能とする。直径10mmから18mm、及び高さ4mmから15mmを有するディスクが製造される。
【実施例】
【0018】
全ての例はhBN粉末を用いて製造された。異なるhBN粉末が表1に列挙されているように、試験された。
【表1】
【0019】
例1を調製するため、hBN粉末Aをグリーン体を形成するよう圧縮し、HPHT装置の中で高い圧力及び温度サイクルに3分間供し、hBNをcBN多結晶固体片に直接転換した。最初、圧力を7GPaと7.5GPaの間、温度を2100℃と2300℃の間で変化させ、PcBNの焼結ディスクを製造した。
焼結ディスクから収集されたラマンスペクトルが、cBNの存在及びディスク中の結晶性の質をS/N比から確認するために用いた。X線回折(XRD)スペクトルもまた立方晶相の存在を確認するために用いられた。このXRDデータはまた、少量の転換されていないhBNを、
図2に示されるように、明らかにした。
図2のXRDスペクトルはcBN111ピークを50.75 2θ°に、少量の残渣hBNのピークを31.22 2θ°に示す。
【0020】
例2から4では、例1に詳説された手順を繰り返したが、それぞれhBN粉末B-Dを用いて製造した。これらから製造されたcBNディスクからの典型的なラマンスペクトルを
図3に示す。
例1から4から製造されたディスクは、その色において、不透明及び黒/ダークグレイであった。例2及び3は、高い熱伝導性を示し、(Netzsch (RTM) レーザーフラッシュ装置LFA 467 HyperFlash(登録商標)を用い25℃で測定して)200 W m
-1 K
-1 を超えていた。高い熱伝導性は高速精密機械加工の高度抵抗性スーパーアロイ(HRSA)への適用において望ましい性質である。機械加工プロセスにおいて生成した熱をより速やかに放散又は分散することを可能とするからである。
例1から4において当初行われた作業から、粉末Dは、結晶性が低いことを示す輪郭が不明瞭でノイズが多いラマンスペクトルを与えたことから、更なる研究からは外された。
【0021】
例5については、粉末Aは例1から4と同じプロセスに供したが、温度は2200℃に、圧力は7.5GPaに固定した。結果として得られたPcBNディスクは半透明であった。
例6について、粉末Aを例5と同じプロセスに供したが、8GPaの圧力を用いた。結果として得られたPcBNディスクは半透明であった。
例7について、粉末Bを例5で用いられたのと同じプロセスに供した。結果として得られたディスクはいくらかcBNを含有したが、多くの転換していないhBNが残った。
例8について、粉末Bを例6で用いられたのと同じプロセスに供した。結果として得られたPcBNディスクは半透明で青みがかった色調であった。
例9について、粉末Cを例5で用いられたのと同じプロセスに供した。結果として得られたPcBNディスクは半透明で黄/オレンジがかった色調であった。
例10について、粉末Eを例5で用いられたのと同じプロセスに供した。結果として得られたディスクはいくらかcBNを含有したが、多くの転換していないhBNが残った。
【0022】
例11について、粉末Eを例6で用いられたのと同じプロセスに供した。製造されたcBNディスクは半透明で青/緑がかった色調であった。
例5、6、8、9及び11において観察された半透明性は、全て特許請求の範囲のスコープ内であるが、これは製造されたcBNの高い純度及び残渣hBN及び多孔性のような散乱中心の減少のためである。
図4に示される、これら例から取得したラマンスペクトルは、散乱の欠如から生じる良いS/N比から、転換cBNの質の良い結晶性を示す。これらディスクの表面から取られたXRDスペクトルからもまた、これらサンプルにおいては立方晶相が支配的であり、hBNはほとんど残っていないことを確認した。
これら例の微細構造はまた、識別可能な多孔性がないこと及びcBN粒中の多量の双晶を示した。
図5の走査電子顕微鏡(SEM)画像は、例6について大量の双晶粒を示し、
図6のSEM画像は同様に例8の大量の双晶粒を示す。双晶はヌープ微小硬度を増加させるため、多くの機械加工への適用において有利である。平均粒子サイズ200nmから1000nmが観察された。
【0023】
例6及び8は、低圧で合成された先のサンプル(例1及び2)よりも高い熱伝導性を有した。熱伝導性は、例6及び8では、それぞれ、約200 及び 250 Wm
-1K
-1 と測定された。このことは、例6及び8について、より低い多孔性及びより低い不純物を意味する。
PcBN焼結ディスクの半透明性は、UV-可視光吸収によって定量することができる。例6、8及び11について、200nmと3200nmの間の吸収スペクトルが
図7に示されている。これから、例6、8及び11についての700nmにおけるモル吸収係数α
(700
nm)が、それぞれ91.9cm
-1、89.7cm
-1及び24.4cm
-1であると算出された。
製造された片の任意の方向についての平均最大寸法は8.3mmであり、平均体積は、0.2cm
3であった。この体積は、精密作業片の大規模製造のためには非実際的かつ非効率的である。
【0024】
各HPHTサイクルから、取り出された材料の最小直径が13mmである、より大きな材料片を得るため、HPHT容器により多くの量のhBNを配置した。より多量のhBN粉末の完全な直接転換のため、より長いHPHTサイクルが求められた。また、HPHTサイクルに供する前のhBN粉末の高密度化は、HPHTサイクルを通じて高圧を保持することを可能とすることがわかった。
例12において、hBN粉末Bを、圧力3GPa程度で、セラミックカップ中で冷間静水圧プレス(CIP)サイクルに供し、HPHT焼結前に密集化させた。グリーン体はhBNの理論密度の95%よりも高い密度を有し、低い多孔性を示した。より高圧を使用することにより、hBNの理論密度の98%よりも高い密度に達することができる。次いで、高密度化粉末のブロックを例5と同じHPHTサイクルに、圧力7.5GPaで供した。しかしながら、サイクル時間(加熱及び温度維持を含む)は3分から10分に延長した。結果として得られたディスクは黒く不透明であり、したがって、本願特許請求の範囲のスコープ外である。ラマン分光法及びXRDによって、hBNからcBNへの転換が起こり、サンプル中に少量のhBNが残ったことが確認された。
【0025】
例13、14及び15において、hBN先駆体粉末B、A及びEは、例12と同じCIP及びHPHT焼結プロセスに供したが、最大圧力8GPaを用いた。結果として得られたPcBNディスクは半透明であり、したがって、全て本願特許請求の範囲のスコープ内である。ラマンスペクトルによって、結晶性の質の良いcBNのみの存在が、高いS/N比から確認された。例13、14及び15のラマンスペクトルを
図8に示す。XRDスペクトル(示されていない)データからまた、cBNのみの存在が確認された。
例16において、hBN粉末Cを例13と同じプロセスに供した。このサンプルでは、材料の単一固体片を製造することができなかった。特定の理論に縛られることを望むものではないが、これはhBN粉末中の高い酸素含有量によって引き起こされたものであろうと考えられる。
【0026】
例13、14及び15は、任意の方向についての最大寸法の最小値は13mm、最小体積は0.7cm
3及び平均密度は3.469g cm
-3を有した。この密度はcBNの理論密度(3.475g cm
-3)の99.8%である。
半透明性の指標を提供するため、吸収スペクトルから算出される吸収係数に関して定量化した。
図9は様々なサンプルの吸収係数を示す。サンプルの吸収スペクトルは200nmと1500nmの間でPerkin Elmer (RTM) UV-Vis/NIR Lamba 19 分光光度計を用い、860nmで検出器を変更し(200< λ <860 nmについてはPMT、860< λ <3200 nmについてはPbS)、319nmで光源を変更し(200< λ <319 nm については重水素ランプ、319< λ <3200 nmについてはハロゲンランプ)、吸収モードにおいて、スキャン速度60nm /分及び近赤外(NIR)感度3で測定した。粒子境界に黒色を与える残渣hBNを粒子境界に含むホットプレスされたcBNからなる熱間圧縮サンプル(hot compacted sample (HC))をまた調製した。黒色サンプル、HCは、他のサンプルよりもはるかに高い吸収係数をほとんどの波長において有していたことがわかる。
様々な波長における吸収係数の詳細が表2に与えられる。
【0027】
【0028】
例14a及び14bを例14と同じ方法で、焼結圧力7.5GPaを両方ともに用いて調製した。例14a及び14bは同じ公称条件(nominal condition)の下だが、異なる繰り返し回数(run)で調製した。
図11は様々な例のヌープ硬度値を示す。例6は1kg荷重の下で3600 HK1(38Gpa)程度のヌープ硬度値を有し、例8は1kg荷重の下で4000 HK1(40Gpa)程度のヌープ硬度値を有した。例13は1kg荷重の下で4000 HK1(40Gpa)を超えるヌープ硬度値を有した。
ビッカース硬度もまた特定の例について測定し、結果を表3に示した。
【0029】
【0030】
焼結前のhBN粉末の窒化効果について、hBN粉末の酸素含有量を減少させる効果について試験するため調査した。例13を6バッチ(例13aから13fと名付けた)製造した。
焼結前に、例13d、13e及び13fのhBN粉末を、窒素下で温度900℃まで速度5℃で加熱した。該粉末を1000℃に4時間保持し、フローレート2リットル/分で窒素をアンモニアガスによって置き換えた。該粉末は続いて室温まで冷却した。その他のサンプルの窒化は、アンモニアフローレートが3リットル/分と6リットル/分の間及び温度が900℃及び1100℃の間で1~4時間の間、行われた。
窒化した例は、窒化されていないサンプルよりも半透明性がはるかに低く、灰色から黒色であり、粉末はより低い測定酸素含有量(0.038質量%と0.131質量%の間)を有していた。
【0031】
窒化サンプルと対照サンプル(例13a、b及びc)を伝わる音速を測定し、
図12に示す。音速は、音響励振パルスをサンプルを通じて送り、サンプルの厚さを考慮してパルスが検出器に戻ってくるまでの時間を記録することによって作動する「オリンパス (RTM) 38DL plus」を用いて測定した。
窒化例の音速は、窒化されていない例の音速に比較してはるかに遅かったことがわかる。このことは、サンプルが完全には焼結していないこと及び隣接するcBN粒子の間に、他のサンプルのものよりも少ない程度の結合があることを示している。
特定の理論に縛られることを望むものではないが、窒化サンプルは全てのhBNがcBNには転換しなかったと考えられる(このことは、例の色の違いによって支持される)。(例えば、JP2003192443 及び WO2015194728に記載されているように)酸素の低減は、転換率の改善に有利に働くことが示唆される。窒化はhBN粉末中の酸素/水を置き換えるが、この場合、酸素/水の低減は0.1質量%未満であり、有利ではなく、hBNからcBNへの完全な転換は起こらなかった。上述のとおり、水はcBNの核形成の触媒として作用する可能性がある。この研究から、酸素レベルが0.1質量%と0.4質量%の間、特にhBN粉末中の酸素0.1質量%と0.2質量%の間がhBNからcBNへの転換に十分な触媒を提供するために好適であることが示唆される。
【0032】
バインダー無しのPcBN材料は上述のとおり製造され、多くの適用がある。堅さと靱性とがそれらを例えば、機械装置、旋盤及び伸線ダイスのような機械的応用に適したものとしている。半透明性によってそれらは光学的応用に用いることが可能となる。熱伝導性はそれらをヒートシンク/熱拡散的適用に用いることを可能とする。
機械的特性について試験するため、例6、8、13及び14を用いて工具挿入体を、それらを三角形に切断し、その三角形を超硬工具にろう付けすることによって調製した。挿入体は、面取り幅200μm、面取り角度20°、砥石10μmを伴うCNGA12040852020ジオメトリを有した。加えて、例13a及び14cは例13及び14とそれぞれ同じ条件で調製され、続いて真空下、傾斜率5℃/分で900℃で維持されるまで、アニールした。続いてサンプルを、室温まで空冷する前に、900℃で2時間保持した。対照サンプル、CSもまた提供した。CSは商業グレードのPcBNで、バインダー相に90%cBNを含む。
【0033】
工具の摩耗率をVanadus 10 スチールワークピースを用い、切削速度100m/分、送り量0.1mm/回転(revolution)、及び切込み量0.2mmで測定し、フランク摩耗キズ(flank wear scar)(Vb)を測定した。摩耗キズが小さいほど、耐摩耗性が高く、より長い工具寿命につながることが期待される。
図13及び14から、バインダー無しPcBN材料は全て対照サンプルよりも低い摩耗率を有し、改善された耐摩耗性を有することを示唆していると見て取れる。
半透明性は、PcBN中のhBN残渣の量の指標であり、そのことは結果として得られるPcBNの機械的特性によい効果を有すると考えられる。上述の議論はバインダー無しPcBNの機械的特性を参照しているが、半透明性は、これまでPcBNタイプの材料が利用されなかった適用を可能とすることが理解されよう。例えば、低い吸収係数はレーザー又はレーザー誘導加工における適用を可能とするであろう。「光伝送素子」という用語は、本明細書で用いられる場合、電磁放射、特に紫外、可視、または赤外スペクトルにおける伝達を可能とする任意のタイプのデバイスを指す。
【0034】
(定義)
本明細書で用いられる場合、「超硬材料」とは、ビッカース硬度が少なくとも28GPaを有する材料である。ダイヤモンド及び立方晶窒化ホウ素(cBN)材料が超硬材料の例である。
本明細書で用いられる場合、PcBN(立方晶窒化ホウ素多結晶)材料は、超硬材料のタイプであって立方晶窒化ホウ素(cBN)粒を含むものを指す。典型的には、cBN粒は金属又はセラミックスを含むマトリックス中に分散されている。しかしながら、本願明細書は、マトリックス又はバインダー相を有しないPcBNに係るものであり、しばしば「バインダー無しPcBN」として参照される。「バインダー材料」はマトリックス材料であって、完全にまたは部分的に多結晶構造中の細孔、隙間、隙間領域を埋めるものを意味すると理解される。
【0035】
粒の質量のマルチモードのサイズ分布は、粒が1を超えるピークを有するサイズ分布を有し、各ピークがそれぞれの「モード」に対応することを意味すると理解される。マルチモードの多結晶体は、1を超えるソースの複数の粒を提供し、各ソースは実質的に異なる平均サイズを有する粒を含み、ソースからの粒又は粒子を共にブレンドすることによって製造されてよい。一つの実施形態において、PcBN構造はマルチモード分布を有するcBN粒を含んでよい。
【0036】
本発明は特に実施形態を参照しつつ示し、記載されているが、当業者であれば、形態及び詳細に係る様々な変更を、添付の特許請求の範囲に規定される本発明のスコープから乖離することなく行うことができることを理解するであろう。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕
立方晶窒化ホウ素多結晶粒;
2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;を含み
波長1064nmにおける吸収係数が100cm
-1
未満である、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔2〕
少なくとも50%の立方晶窒化ホウ素多結晶粒が双晶である、前記〔1〕に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔3〕
ディスク形状で、10mmと25mmの間から選択される直径及び4mm~25mmから選択される高さを有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔4〕
12mmと16mmの間から選択される直径及び8mm~12mmから選択される高さを有する、前記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔5〕
立方晶窒化ホウ素多結晶粒と2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒から成る、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔6〕
1.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、1.0質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;0.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、0.2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;及び0.1質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒のいずれかを含む、前記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔7〕
荷重1kgの下で3800HK1より大きいヌープ硬度;荷重1kgの下で4000HK1より大きいヌープ硬度;35GPaより大きいビッカース硬度;40GPaより大きいビッカース硬度;45GPaより大きいビッカース硬度;及び50GPaより大きいビッカース硬度のいずれかを有する、前記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔8〕
波長700nmにおける吸収係数が100cm
-1
未満;及び波長500nmにおける吸収係数が150cm
-1
未満のいずれかを有する、前記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔9〕
波長1064nmにおける吸収係数が50cm
-1
未満;及び波長1064nmにおける吸収係数が30cm
-1
未満のいずれかである、前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔10〕
立方晶窒化ホウ素多結晶粒;
2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;を含み
波長350nmにおける吸収係数が100cm
-1
未満である、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔11〕
少なくとも50%の立方晶窒化ホウ素多結晶粒が双晶である、前記〔10〕に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔12〕
ディスク形状で、10mmと25mmの間から選択される直径及び4mm~25mmから選択される高さを有する、前記〔10〕又は〔11〕に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔13〕
12mmと16mmの間から選択される直径及び8mm~12mmから選択される高さを有する、前記〔10〕から〔12〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔14〕
立方晶窒化ホウ素多結晶粒と2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒から成る、前記〔10〕から〔13〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔15〕
1.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、1.0質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;0.5質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒、0.2質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒;及び0.1質量%を超えない六方晶窒化ホウ素粒のいずれかを含む、前記〔10〕から〔14〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔16〕
荷重1kgの下で3800HK1より大きいヌープ硬度;荷重1kgの下で4000HK1より大きいヌープ硬度;35GPaより大きいビッカース硬度;40GPaより大きいビッカース硬度;45GPaより大きいビッカース硬度;及び50GPaより大きいビッカース硬度のいずれかを有する、前記〔10〕から〔15〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔17〕
波長700nmにおける吸収係数が100cm
-1
未満;及び波長500nmにおける吸収係数が150cm
-1
未満のいずれかを有する、前記〔10〕から〔16〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体。
〔18〕
六方晶窒化ホウ素粒子を含むグリーン体を提供する工程であって、該グリーン体は六方晶窒化ホウ素の理論密度の少なくとも95%の密度を有し;
該グリーン体を少なくとも7.7GPaの圧力及び少なくとも2100℃の温度で焼結プロセスに供し、六方晶窒化ホウ素を転換して半透明な立方晶窒化ホウ素多結晶材料を形成する工程、を含む、半透明の立方晶窒化ホウ素多結晶体を製造する方法。
〔19〕
六方晶窒化ホウ素粒子が、0.1質量%以上、0.4質量%以下から選択される酸素含有量を有する、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕
六方晶窒化ホウ素粒子が、0.3質量%以下及び0.2質量%以下から選択される酸素含有量を有する、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕
温度が、2100℃と2300℃の間及び2200℃と2300℃の間のいずれかから選択される、前記〔18〕から〔20〕のいずれか1項に記載の方法。
〔22〕
圧力が、7.7GPaから8.5GPa、及び8.0GPaから8.5GPaのいずれかから選択される、前記〔18〕から〔21〕のいずれか1項に記載の方法。
〔23〕
焼結工程において、最大圧力及び温度が、少なくとも3分間、少なくとも5分間及び少なくとも10分間のいずれかの間、保持される、前記〔18〕から〔22〕のいずれか1項に記載の方法。
〔24〕
焼結工程の前に、六方晶窒化ホウ素粒子を冷間静水圧プレスし、グリーン体を高密度化する工程を更に含む、前記〔18〕から〔23〕のいずれか1項に記載の方法。
〔25〕
冷間静水圧プレス工程が0.2GPaと4GPaの間の圧力で実施される、前記〔24〕に記載の方法。
〔26〕
冷間静水圧プレス工程が0.4GPaより大きいと0.6GPaより大きいのいずれかの圧力で実施される、前記〔25〕に記載の方法。
〔27〕
グリーン体が、六方晶窒化ホウ素粒子から成る、前記〔18〕から〔26〕のいずれか1項に記載の方法。
〔28〕
六方晶窒化ホウ素粒子を含むグリーン体を提供する工程の前に、六方晶窒化ホウ素粒子をアンモニアガス中、900℃と1100℃の間の温度で窒化する工程を更に含む、前記〔18〕から〔26〕のいずれか1項に記載の方法。
〔29〕
前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の立方晶窒化ホウ素多結晶体を含むデバイス。