(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】改善された冷却構造を有するバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20220601BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220601BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220601BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20220601BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220601BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20220601BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20220601BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/647
H01M10/625
H01M50/211
H01M50/289
(21)【出願番号】P 2020528094
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2019002747
(87)【国際公開番号】W WO2019235724
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0066302
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ウォン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ダル-モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ユン-ク・イ
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106527(JP,A)
【文献】特表2018-518032(JP,A)
【文献】特表2019-502232(JP,A)
【文献】特表2019-507469(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015214185(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3316340(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3331060(EP,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0000378(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0048564(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0132514(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0142445(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0270095(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272508(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0229010(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191567(US,A1)
【文献】米国特許第6465123(US,B1)
【文献】国際公開第2013/103254(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/062863(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーセルが積層されて形成されたセル積層体と、
前記セル積層体を収容し、前記セル積層体の下部、両側部、前後方及び上部をそれぞれ覆う下部ハウジング、一対の側部ハウジング、一対の前後方ハウジング及び上部ハウジングで構成されるモジュールハウジングと、
を含み、
前記下部ハウジングは、
長手方向に沿って少なくとも一辺領域の内部に流路を形成する孔区間を有するベースプレートであって、前記セル積層体の下面を全体的に覆うベースプレートと、
前記ベースプレートに予め決められた間隔毎に配置された複数のスペーサであって、前記セル積層体を前記ベースプレートの表面から離隔するように支持して前記セル積層体と前記ベースプレートとの間に空いた空間を形成する複数のスペーサと、
を含み、
前記孔区間は、冷却媒体が前記空いた空間に供給されるように前記空いた空間と連通
し、
前記空いた空間を流れる前記冷却媒体は、前記セル積層体と接触する、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記複数のスペーサは、前記ベースプレートの長手方向の一側と他側とにそれぞれ備えられ、両端部が前記ベースプレートの両辺領域に接するように前記ベースプレートの幅方向に沿って延設された第1スペーサ及び第2スペーサを含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記複数のスペーサは、前記第1スペーサ及び第2スペーサと離隔してその間に備えられる少なくとも1つの第3スペーサをさらに含む、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記ベースプレートの前記少なくとも一辺領域は、相互対向する両辺領域に該当する第1側面部と第2側面部とに定義され、
前記孔区間は、
前記ベースプレートの外部から前記第1スペーサと前記第3スペーサとの間に位置した第1空いた空間まで連通するように前記第1側面部に形成される第1区間と、
前記第1空いた空間から前記第3スペーサと前記第2スペーサとの間に位置した第2空いた空間まで連通するように前記第2側面部に形成される第2区間と、
前記第2空いた空間から前記ベースプレートの外部まで連通するように前記第1側面部に形成される第3区間と、
を含む、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記第3スペーサは、冷却媒体が通過するように内部を貫通する第3スペーサ流路を備える、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサは、それぞれ内部を貫通する第1スペーサ流路及び第2スペーサ流路を備え、
前記孔区間と前記第1スペーサ流路とを連結する第1クーリングパイプと、前記孔区間と前記第2スペーサ流路とを連結する第2クーリングパイプとをさらに含む、請求項2、3、及び5のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記ベースプレートの前記少なくとも一辺領域は、相互対向する両辺領域に該当する第1側面部と第2側面部とに定義され、
前記第1側面部及び前記第2側面部は前記ベースプレートの他の部分より高く形成され、前記側部ハウジングの下端部に下方に突設された結合突起と型合わせられるように設けられた結合溝をさらに備える、請求項1~6のいずれか一
項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記第1側面部及び前記第2側面部は、前記セル積層体の最外郭の前記バッテリーセルに当接するように前記セル積層体に向かって延びた形態で突出した漏水防止顎をさらに備える、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記セル積層体と前記複数のスペーサとの間には、前記セル積層体と前記複数のスペーサとの間に冷却媒体が漏れないように接着剤が介在される、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記ベースプレートの前記孔区間の一側及び他側にそれぞれ連結されて冷却媒体を前記空いた空間に流出入させる供給管及び排出管をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールが複数個連結されて具現されるバッテリーパック。
【請求項12】
請求項11に記載のバッテリーパックを備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された冷却構造を有するバッテリーモジュールに関し、より具体的には、冷却のための絶縁油を用いるが、このような絶縁油がバッテリーセルと直接接触する冷却構造を有することで、向上した冷却効率を有するバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2018年6月8日出願の韓国特許出願第10-2018-0066302号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池は、ニッケル系列の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物及び炭素材をそれぞれ正極活物質及び負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板とがセパレータを介在して配置された電極組立体、及び電極組立体を電解液とともに密封収納する外装材、すなわち電池ケースを備える。
【0005】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状によって、電極組立体が金属缶に収納されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートからなるパウチに収納されているパウチ型二次電池とに分けられる。
【0006】
近年、携帯型電子機器のような小型装置だけでなく、自動車や電力貯蔵装置のような中大型装置にも二次電池が広く適用されている。このような中大型装置に適用される場合、容量及び出力を高めるため複数の二次電池が電気的に連結される。特に、このような中大型装置には、積層が容易であるという長所から、パウチ型セルが多く用いられる。
【0007】
しかし、パウチ型セルは、一般にアルミニウム及びポリマー樹脂からなるラミネートシートの電池ケースで包装されているため、機械的剛性が低い。したがって、複数のパウチ型セルを含んでバッテリーモジュールを構成するとき、二次電池を外部の衝撃などから保護し、その動きを防止し、積層を容易にするため、フレームを用いる場合が多い。
【0008】
フレームは、カートリッジなどの他の多様な用語でも称されるが、通常、中央部分が空いている四角のプレート状で構成される場合が多く、このとき、4つの辺がパウチ型セルの外周部を囲むように構成される。そして、このようなフレームは、バッテリーモジュールを構成するため複数が積層された形態で用いられ、パウチ型セルはフレームが積層されたときに生じる内部の空いた空間に位置し得る。
【0009】
一方、
図1を参照すると、従来のバッテリーモジュール構造が示されている。このような従来のバッテリーモジュール構造は、複数のフレーム2を用いて複数のパウチ型セル1を積層する場合、一対のパウチ型セル1それぞれの外側面上にプレート状の冷却フィン3を適用することで冷却効率を高める。
【0010】
二次電池は、夏場のように高温環境で使用される場合があり、また、二次電池自体からも熱が発生し得る。このとき、複数の二次電池が積層されていると、二次電池の温度がさらに高くなり得るが、この温度が適正の温度よりも高くなれば二次電池の性能が低下し得、酷い場合は爆発や発火のおそれもある。したがって、バッテリーモジュールを構成するとき、パウチ型セル1の面と接触するように冷却フィン3を適用し、冷却フィン3をその下部に位置した冷却プレート4と接触させることで、バッテリーモジュールの全体的な温度上昇を防止する構成が多く用いられる。
【0011】
しかし、通常金属材質で構成される冷却フィン3を対面するパウチ型セル1の間に介在させてバッテリーモジュールを構成する場合、冷却フィン3とパウチ型セル1の表面との間で、材質の相違による接触熱抵抗が非常に大きくなり、またこのように単に金属の伝導性に依存する冷却方式だけでは、大きい発熱が発生する状況で十分な冷却が行われないおそれがあるという問題がある。
【0012】
したがって、このような接触熱抵抗を減少させ、また単なる熱伝導方式の外に、より効率的に熱を放出できる冷却方式が適用されたバッテリーモジュール構造に対する開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷却のための冷却媒体とバッテリーセルとが直接接触可能な冷却構造を適用したバッテリーモジュールを提供することで、高容量及び/または高出力のバッテリーモジュールの適用による発熱量の増加にも効率的に冷却を行うことを目的とする。
【0015】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、他の課題は下記の発明の説明から当業者に明確に理解できるでしょう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、複数のバッテリーセルが積層されて形成されたセル積層体と、前記セル積層体を収容し、前記セル積層体の下部、両側部、前後方及び上部をそれぞれ覆う下部ハウジング、一対の側部ハウジング、一対の前後方ハウジング及び上部ハウジングで構成されるモジュールハウジングと、を含み、前記下部ハウジングは、長手方向に沿って少なくとも一辺領域の内部に流路を形成する孔区間を有するベースプレートであって、前記セル積層体の下面を全体的に覆うベースプレートと、前記ベースプレートに予め決められた間隔毎に配置された複数のスペーサであって、前記セル積層体を前記ベースプレートの表面から離隔するように支持して前記セル積層体と前記ベースプレートとの間に空いた空間を形成する複数のスペーサと、を含み、前記孔区間は冷却媒体が前記空いた空間に供給されるように前記空いた空間と連通する。
【0017】
前記複数のスペーサは、前記ベースプレートの長手方向の一側と他側とにそれぞれ備えられ、両端部が前記ベースプレートの両辺領域に接するように前記ベースプレートの幅方向に沿って延設された第1スペーサ及び第2スペーサを含み得る。
【0018】
前記複数のスペーサは、前記第1スペーサ及び第2スペーサと離隔してその間に備えられる少なくとも1つの第3スペーサをさらに含み得る。
【0019】
前記ベースプレートの前記少なくとも一辺領域は、相互対向する両辺領域に該当する第1側面部と第2側面部とに定義され、前記孔区間は、前記ベースプレートの外部から前記第1スペーサと前記第3スペーサとの間に位置した第1空いた空間まで連通するように前記第1側面部に形成される第1区間と、前記第1空いた空間から前記第3スペーサと前記第2スペーサとの間に位置した第2空いた空間まで連通するように前記第2側面部に形成される第2区間と、前記第2空いた空間から前記ベースプレートの外部まで連通するように前記第1側面部に形成される第3区間と、を含み得る。
【0020】
前記第3スペーサは、冷却媒体が通過するように内部を貫通する第3スペーサ流路を備え得る。
【0021】
前記第1スペーサ及び前記第2スペーサは、それぞれ内部を貫通する第1スペーサ流路及び第2スペーサ流路を備え、前記孔区間と前記第1スペーサ流路とを連結する第1クーリングパイプと、前記孔区間と前記第2スペーサ流路とを連結する第2クーリングパイプとをさらに含み得る。
【0022】
前記ベースプレートの前記少なくとも一辺領域は、相互対向する両辺領域に該当する第1側面部と第2側面部とに定義され、前記第1側面部及び前記第2側面部は前記ベースプレートの他の部分より高く形成され、前記側部ハウジングの下端部に下方に突設された結合突起と型合わせられるように設けられた結合溝をさらに備え得る。
【0023】
前記第1側面部及び前記第2側面部は、前記セル積層体の最外郭の前記バッテリーセルに当接するように前記セル積層体に向かって延びた形態で突出した漏水防止顎をさらに備え得る。
【0024】
前記セル積層体とスペーサとの間には、前記セル積層体とスペーサとの間に冷却媒体が漏れないように接着剤が介在され得る。
【0025】
前記ベースプレートの孔区間の一側及び他側にそれぞれ連結されて冷却媒体を前記空いた空間に流出入させる供給管及び排出管をさらに含み得る。
【0026】
本発明の他の様態によれば、上述したバッテリーモジュールが複数個連結されて具現されるバッテリーパックが提供される。
【0027】
本発明のさらに他の様態によれば、前記バッテリーパックを備える自動車が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、冷却のための冷却媒体とバッテリーセルとが直接接触可能な冷却構造を適用したバッテリーモジュールを提供することで、高容量及び/または高出力のバッテリーモジュールの適用による発熱量の増加にも効率的に冷却を行うことができてバッテリーモジュールの性能向上をもたらすだけでなく、温度上昇によるバッテリーセルの発火/爆発などの安全事故を予防する効果も奏することができる。
【0029】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来のバッテリーモジュールに採用された冷却構造を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの外観を示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールにおいて、セル積層体、下部ハウジング、側部ハウジングを示した斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による冷却媒体の流れを誘導する下部ハウジングの構造を示した図である。
【
図6】
図2のA-A’及びE-E’に沿った断面図である。
【
図7】
図6のベースプレートの両側辺領域の拡大図である。
【
図8】
図2のB-B’及びD-D’に沿った断面図である。
【
図9】
図8のベースプレートの両側辺領域の拡大図である。
【
図11】
図10のベースプレートの両側辺領域の拡大図である。
【
図12】
図5に対応する図であって、本発明の他の実施形態による冷却媒体の流れを誘導する下部ハウジングの構造を示した図である。
【
図14】本発明の他の実施形態による第1~第3スペーサの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0032】
まず、
図2及び
図3を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの構成要素を概略的に説明する。
【0033】
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの外観を示した斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの分解斜視図である。
【0034】
これら図面を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10は、セル積層体100及びこれを収容するモジュールハウジング20を含む形態で具現される。また、前記モジュールハウジング20は、下部ハウジング200、一対の側部ハウジング300、一対の前後方ハウジング400及び上部ハウジング500を含む。
【0035】
セル積層体100は、複数のバッテリーセル110を積層して得られるものであって、ここで用いられるバッテリーセル110は充放電可能な二次電池であれば特に制限されず、例えば、パウチ型バッテリーセル110が適用され得る。
【0036】
バッテリーセル110は、それぞれ、一側及び他側に延びる一対の電極リード111を備え、このような電極リード111は正極リード及び負極リードを含む。積層されたそれぞれのバッテリーセル110同士の間は、後述するように、セル積層体100の下部に接触する絶縁油などの冷却媒体がセル積層体100を構成するバッテリーセル110間の空間を通って上部に浸透できないように、接着剤などによって堅固に固定/密閉されることが望ましい。
【0037】
また、電極リード111は、セル積層体100を構成するバッテリーセル110が互いに直列連結、並列連結、または直列と並列との混合方式の連結を成すように、配置/連結され得る。
【0038】
下部ハウジング200は、セル積層体100の下面を全体的に覆い、長手方向に沿って少なくとも一辺領域の内部に中空構造として流路を形成する孔区間213を備えたベースプレート210、及びセル積層体100を前記ベースプレート210の表面から離隔するように支持して前記セル積層体100とベースプレート210との間に空いた空間S1、S2を形成する複数のスペーサ220を含む形態で具現され得る。
【0039】
ここで、前記空いた空間S1、S2は、セル積層体100、スペーサ220及びベースプレート210で囲まれて密閉された空間を意味する。このような空いた空間S1、S2と孔区間213とを連通させて冷却媒体を空いた空間に供給する。
【0040】
前記冷却媒体は、供給管230及び排出管240を孔区間213の入口及び出口にそれぞれ連結することで、バッテリーモジュール10の内外に供給及び排出され得る。例えば、
図4のように、供給管230は、バッテリーモジュール10の前方からベースプレート210の孔区間213の入口に連結され、排出管240は、バッテリーモジュール10の後方から孔区間213の出口に連結され得る。バッテリーモジュール10の内部における冷却媒体の流れについて詳しくは後述する。
【0041】
一対の側部ハウジング300は、それぞれセル積層体100の両側部を覆う部品であって、セル積層体100を構成するバッテリーセル110のうち両側の最外郭に配置されるバッテリーセル110の広い面と対面する。このような一対の側部ハウジング300は、セル積層体100を両側から加圧することで、セル積層体100を構成するバッテリーセル110同士の間にギャップが生じないようにする機能も果たすことができる。
【0042】
一対の前後方ハウジング400は、それぞれバスバーフレーム410、絶縁カバー420及び前後方カバー430を含む形態で具現され得る。
【0043】
バスバーフレーム410は、セル積層体100の前方または後方からセル積層体100に結合されるものであって、バスバーフレーム410には電極リード111が挿入され、バッテリーセル110同士の電気的連結のための電極リード111の曲げ作業を容易にする。すなわち、電極リード111は、バスバーフレーム410に形成された挿入スリットを通って挿入されてから曲げられ、隣接した電極リード111同士の溶接などによって結合する。
【0044】
絶縁カバー420は、バスバーフレーム410に挿入され曲げられて互いに結合した電極リード111のうち、互いに接触してはならない電極リード111同士が接触することを防止するために適用される部品であって、バスバーフレーム410上に結合されて外部の要因によって短絡が発生することを防止する。
【0045】
前後方カバー430は、絶縁カバー420上に結合される部品であって、セル積層体100、バスバーフレーム410及び絶縁カバー420などの内部部品を保護する機能を果たす。
【0046】
上部ハウジング500は、セル積層体100の上部に配置され、上述したバスバーフレーム410を通って挿入され曲げられて電極リード111と電気的に連結されるセンシングアセンブリ510、及びセンシングアセンブリ510の上部に結合されて上部ハウジング500の最外層を構成するトッププレート520を含む形態で具現され得る。
【0047】
次いで、
図2及び
図3と共に
図4~
図11を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10の冷却構造についてより詳しく説明する。
【0048】
以下、
図4及び
図5に示したように、前記ベースプレート210において長手方向に沿って相互対向する両辺領域に該当する部分を第1側面部211と第2側面部212とに定義する。
【0049】
前記第1側面部211及び第2側面部212は、ベースプレート210の他の部分(板面)よりも高く形成され得る。セル積層体100は、第1側面部211と第2側面部212との間で下面がスペーサ220によって支持されてベースプレート210の表面から離隔し、両側面が側部ハウジング300によって支持される。
【0050】
図6及び
図7を参照すると、本実施形態による側部ハウジング300は、下端部に下方に突設された結合突起310を備える。そして、ベースプレート210の第1側面部211及び第2側面部212は、それぞれ、前記結合突起310と型合わせられるように設けられた結合溝Gを備える。このような結合溝Gに結合突起310を挿入/固定することで、側部ハウジング300をベースプレート210の第1側面部211及び第2側面部212に固定することができる。勿論、本実施形態と異なり、第1側面部211及び第2側面部212に結合突起310を設け、側部ハウジング300に結合溝Gを設けて、これらを固定結合させてもよい。
【0051】
前記第1側面部211及び第2側面部212は、例えば、冷却媒体を空いた空間S1、S2に閉じ込めるフェンスのような役割を果たし、特にセル積層体100と接する個所に漏水防止顎Pをさらに備える。漏水防止顎Pは、
図7に示したように、セル積層体100の最外郭のセルに当接するように、セル積層体100に向かって水平方向に延びた形態で提供され得る。このような漏水防止顎Pは、ベースプレート210とセル積層体100との間に隙間が生じて冷却媒体が漏水/漏油することを防止することができる。望ましくは、前記漏水防止顎Pに沿って接着剤がさらに介在されてもよい。
【0052】
また、スペーサ220は、セル積層体100の下面の形状に対応するように製作され得る。パウチ型バッテリーセル110の特性上、パウチ型バッテリーセル110から構成されたセル積層体100の下面が扁平でない点を考慮して、単位スペーサ220の上面をセル積層体100の下面の形状に合わせて製作することで、単位スペーサ220とセル積層体100の下面との間のギャップを無くすことができる。
【0053】
そして、前記セル積層体100とスペーサ220と間には、セル積層体100とスペーサ220との間に絶縁油などの冷却媒体が漏れないように接着剤が介在され、このような接着剤はセル積層体100とスペーサ220との間を結合/固定するだけでなく、ガスケットとしての機能も果たすようになる。
【0054】
一方、前記スペーサ220は、互いに分離した形態で離隔して配置される複数の単位スペーサ220からなり得る。例えば、前記スペーサ220は、
図5に示したように、ベースプレート210の長手方向の一側端部に備えられる第1スペーサ221、ベースプレート210の長手方向の他側端部に備えられる第2スペーサ222、及び第1スペーサ221及び第2スペーサ222と離隔し、これらの間に備えられる第3スペーサ223を含み得る。
【0055】
ただし、このような単位スペーサ220の個数は、図示された3つに限らず、2つまたはそれ以上の個数で備えられてもよい。すなわち、第3スペーサ223は省略されてもよく、第1スペーサ221と第2スペーサ222と間に第3スペーサ223を含めた1つ以上の単位スペーサ220が互いに離隔して配置されてもよい。ただし、以下では説明の便宜上、単位スペーサ220が3つである場合を挙げて説明する。
【0056】
前記単位スペーサ220は、ベースプレート210の幅方向に沿って並べた形態であって、両端部がベースプレート210の両辺領域、すなわち、第1側面部211及び第2側面部212に接するように配置される。セル積層体100は、前記単位スペーサ220上に載置されてその下面がベースプレート210の表面に接しない。これによって、セル積層体100とベースプレート210との間には、所定の空いた空間S1、S2が形成される。
【0057】
図4~
図11を参照して前記空いた空間S1、S2を見ると、前記空いた空間S1、S2は、セル積層体100及びベースプレート210によって上下が塞がれ、第1スペーサ221及び第2スペーサ222によって前後が塞がれ、第1側面部211及び第2側面部212によって左右が塞がれていることが分かる。そして、空いた空間S1、S2は、第3スペーサ223によって第1空いた空間S1と第2空いた空間S2とに区画され得る。前記第3スペーサ223は、セル積層体100に安定的な支持力を提供する構成要素であって、バッテリーセル110のサイズに応じて加減され得る。
【0058】
このような空いた空間S1、S2に冷却媒体を供給するための冷却媒体移動経路として、ベースプレート210の第1側面部211及び/または第2側面部212が活用される。上述したように、第1側面部211及び第2側面部212は、内部にベースプレート210の長手方向に沿って流路を形成して、空いた空間S1、S2と連通する孔区間213を備える。そして、孔区間213は、予め指定された位置毎に開口Oを有し、前記開口Oを通って冷却媒体が空いた空間S1、S2に流れ込むことができるように、空いた空間S1、S2と連通している。
【0059】
本実施形態による孔区間213は、
図5に示したように、第1側面部211に形成される第1区間213aと第3区間213c、そして第2側面部212に形成される第2区間213bを含む。
【0060】
前記第1区間213aは、孔区間213の入口から第1スペーサ221と第3スペーサ223と間に位置した第1空いた空間S1の一側までつながっている流路区間である。供給管230を通って外部から流れ込んだ冷却媒体は、第1区間213aに沿って移動し、第1区間213aの開口を通って第1空いた空間S1へと流れる。
【0061】
第2区間213bは、第1空いた空間S1から第3スペーサ223と第2スペーサ222との間に位置した第2空いた空間S2までつながっている流路区間である。第2区間の開口Oは2つであって、第1空いた空間S1と第2空いた空間S2に対向するように形成されている。このような第2区間213bは、第1空いた空間S1の冷却媒体を第3スペーサ223を迂回して第2空いた空間S2に移動させる流路区間であると言える。
【0062】
第3区間213cは、第2空いた空間S2から孔区間213の出口までつながっている流路区間である。第2空いた空間S2の冷却媒体は、前記第3区間213cに沿って移動して排出管240を通って外部へと排出される。
【0063】
すなわち、冷却媒体の流れをまとめると、冷却媒体は、供給管230、第1区間213a、第1空いた空間S1、第2区間213b、第2空いた空間S2、第3区間213c、排出管240の順に移動する。このような冷却媒体の流れを有する本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10は、冷却媒体がバッテリーセル110に直接接触することで、従来に比べて高い冷却性能を示すことができる。
【0064】
一方、本実施形態では孔区間213が3つであるが、これは単位スペーサ220及び空いた空間S1、S2の個数によるものであって、孔区間213の個数は単位スペーサ220及び空いた空間S1、S2の個数に合わせて自在に加減可能である。そして、前記孔区間213の入口または出口には、供給管230または排出管240の代わりに、2つのバッテリーモジュール10を連結するための継手(図示せず)が連結されてもよい。例えば、複数のバッテリーモジュール10を連結してバッテリーパック(図示せず)を構成する場合、1つのバッテリーモジュール10の孔区間213の出口と他の1つのバッテリーモジュール10の孔区間213の入口とを継手で連結してもよい。
【0065】
以下、
図12~
図14を参照して、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10の冷却流路の構成を説明する。
【0066】
本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10を説明するが、上述した実施形態と異なる部分を重点的に説明し、上述した実施形態についての説明と重なる部分は詳細な説明を省略する。
【0067】
本発明の他の実施形態による第1スペーサ221、第2スペーサ222、第3スペーサ223は、それぞれ冷却媒体が通過できるように内部を貫通する流路を備える。第1スペーサ221~第3スペーサ223にそれぞれ対応する流路を第1スペーサ流路221a、第2スペーサ流路222a、第3スペーサ流路223aと称する。前記第1スペーサ流路221a~第3スペーサ流路223aは複数個形成され得る。
【0068】
また、本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール10は、第1スペーサ221の前方に設けられる第1クーリングパイプ250、及び第2スペーサ222の後方に設けられる第2クーリングパイプ260をさらに含み得る。
【0069】
第1クーリングパイプ250は、第1側面部211の一端に形成されている孔区間213と第1スペーサ221の前方に露出している複数の第1スペーサ流路221aとをそれぞれ個別的に連結する形態で提供される。これによって、冷却媒体が供給管230、孔区間213、第1クーリングパイプ250を通って第1スペーサ流路221aを通過し、第1空いた空間S1に流れ込むことができる。
【0070】
第2クーリングパイプ260は、第1側面部211の他端に形成されている孔区間213と第2スペーサ222の後方に露出している複数の第2スペーサ流路222aとをそれぞれ個別的に連結する形態で提供される。これによって、冷却媒体が第2空いた空間S2から第2スペーサ流路222aを通過し、第2クーリングパイプ260と孔区間213を通って排出管240から外部に排出できる。
【0071】
第3スペーサ223は、第1スペーサ流路221aを通って第1空いた空間S1に流れ込んだ冷却媒体を第2スペーサ222側に流すため、第3スペーサ223の内部を貫通する第3スペーサ流路223aを備える形態で提供され得る。
【0072】
したがって、本実施形態によるバッテリーモジュール10の冷却媒体の流れをまとめると、冷却媒体は、供給管230、前方の孔区間213、第1クーリングパイプ250、第1スペーサ流路221a、第1空いた空間S1、第3スペーサ流路223a、第2空いた空間S2、第2クーリングパイプ260、後方の孔区間213、排出管240の順に移動してバッテリーモジュール10の外部に排出できる。
【0073】
このような本実施形態は、冷却媒体が上述した実施形態と異なって、第3スペーサ223を迂回せずに通過できるため、ベースプレート210の第2側面部212に孔区間213を設けなくてもよい。また、孔区間213は、供給管230/第1クーリングパイプ250または第2クーリングパイプ260/排出管240の連結通路として比較的に短く形成されてもよい。
【0074】
上述したように、本発明によるバッテリーモジュール10は、セル積層体100とベースプレート210との間に部分的にスペーサ220を適用し、これによってセル積層体100とベースプレート210との間に形成される空いた空間S1、S2に冷却媒体を供給可能にすることで、セル積層体100を冷却媒体と直接接触させて冷却効率を極大化することができる。
【0075】
また、本発明によるバッテリーモジュール10は、このように冷却水、絶縁油などの液状の冷却媒体とバッテリーセル110とが直接接触する構造で生じ得る漏水/漏油の問題を解決できるように密封性を強化した構造を適用することで、製品の信頼性を高めることができる。
【0076】
また、上述したバッテリーモジュール10を複数個電気的に連結して具現する本発明の一実施形態によるバッテリーパック、及びこのようなバッテリーパックを備える自動車の場合も、このようなバッテリーモジュール10の長所を有して優れた性能を示すことができる。
【0077】
以上のように、本発明の望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者であれば多様に変形実施できることは勿論、そのような変更も特許請求の範囲の記載の範囲内であることは言うまでもない。
【0078】
一方、本明細書における上、下、左、右などのような方向を示した用語は、説明の便宜上使用されたものに過ぎず、観測者の位置や対象になる物の位置などによって変り得ることは本発明の当業者に自明である。
【符号の説明】
【0079】
1 パウチ型セル
2 フレーム
3 冷却フィン
4 冷却プレート
10 バッテリーモジュール
20 モジュールハウジング
100 セル積層体
110 パウチ型バッテリーセル、バッテリーセル
111 電極リード
200 下部ハウジング
210 ベースプレート
211 第1側面部
212 第2側面部
213 孔区間
213a 第1区間
213b 第2区間
213c 第3区間
220 単位スペーサ、スペーサ
221 第1スペーサ
221a 第1スペーサ流路
222 第2スペーサ
222a 第2スペーサ流路
223 第3スペーサ
223a 第3スペーサ流路
230 供給管
240 排出管
250 第1クーリングパイプ
260 第2クーリングパイプ
300 側部ハウジング
310 結合突起
400 前後方ハウジング
410 バスバーフレーム
420 絶縁カバー
430 前後方カバー
500 上部ハウジング
510 センシングアセンブリ
520 トッププレート