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特許7082672タバコ製品を包装する方法および機械ならびにパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】タバコ製品を包装する方法および機械ならびにパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
B65D85/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020542751
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 GB2019050314
(87)【国際公開番号】W WO2019155200
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】1802166.7
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ホルフォード、スティーヴン
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526586(JP,A)
【文献】特表2009-526668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0202681(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015013734(DE,A1)
【文献】特開平08-039176(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0113865(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0334634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ産業製品の束を収容するための基部と、開いた位置と閉じた位置の間で基部に対して回転可能な蓋とを包装機が板材のシートを折り曲げて形成し、この蓋は前壁とこの蓋前壁の内面上に位置する後面を有する蓋前壁フラップを有し、取り出し開口部を画定するバリアー材のセクションに亘って延びるラベルが接着剤で蓋前壁フラップの前面に接着されるようになっていて、前記セクションが蓋をその開いた位置の方へ回転させた際に持ち上げられ、取り出し開口部を開く、バリアー材に包まれたタバコ産業製品の束を板材のシートに包装する方法であって、
蓋前壁フラップをその後面が蓋前壁の内面上に位置するように折り曲げることと、
蓋前壁の内面に蓋前壁フラップを接着することと、
ラベルを蓋前壁フラップの前面に接着するために使用される接着剤に対する蓋前壁フラップの受容性を向上させるために、蓋前壁の内面に対して折り曲げられ接着されている蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含む方法。
【請求項2】
板材は蓋前壁フラップの前記前面である表面層またはコーティングを含み、前記方法は、その表面層またはコーティングの少なくとも一部を取り除くために蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含むことを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項3】
レーザーを使用して蓋前壁フラップの前面を非機械的処理することを含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
レーザーの定格出力は100ワットであり、前記方法はその定格出力の50%~100%でレーザーを作動させることを含むことを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項5】
処理中、蓋前壁フラップの前面に対してレーザーを移動させることを含むことを特徴とする請求項または記載の方法。
【請求項6】
複数のレーザーを使用して蓋前壁フラップの前面を処理することを含むことを特徴とする請求項乃至いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
蓋前壁フラップの前面を化学薬品で非機械的に処理することを含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
蓋前壁フラップの前面をプラズマを使用して非機械的に処理することを含むことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
包装されたタバコ産業製品の束を板材のシートに包装するための包装機であって、
基部と、基部に貼り付けられ、開いたそして閉じた位置の間で回転可能であり、また蓋前壁と前および後面を有する蓋前壁フラップを有する蓋とを形成するために束の周囲で板材のシートを折り曲げるための折り曲げユニットであって、蓋前壁フラップをその後面が蓋前壁の内面上に位置するように折り曲げ、折り曲げられた蓋前壁フラップを蓋前壁の内面に接着するように構成されている折り曲げユニットと、
折り曲げられた蓋前壁フラップが蓋前壁の内面に接着された後に、蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理する処理ユニットと、
可撓性のラベルを蓋前壁フラップの処理された前面に接着させるための接着ユニットとを含む包装機。
【請求項10】
処理ユニットはレーザーを含むことを特徴とする請求項9記載の包装機。
【請求項11】
レーザーの定格出力は100ワットであることを特徴とする請求項10記載の包装機。
【請求項12】
レーザーをその定格出力の50%~100%で駆動するように動作可能なコントローラーを含むことを特徴とする請求項11記載の包装機。
【請求項13】
処理中に蓋前壁フラップに対してレーザーを移動させる駆動ユニットを含むことを特徴とする請求項10乃至12いずれか1項記載の包装機。
【請求項14】
処理ユニットは複数のレーザーを含むことを特徴とする請求項10乃至13いずれか1項記載の包装機。
【請求項15】
処理ユニットは蓋前壁フラップを化学的に処理するように構成されていることを特徴とする請求項9記載の包装機。
【請求項16】
処理ユニットは蓋前壁フラップをプラズマを使用して処理するように構成されていることを特徴とする請求項9記載の包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバリアー材で包装されたタバコ産業製品の束を板材のシートに包装する方法、タバコ産業製品の束を含むパッケージ、包まれたタバコ産業製品の束を板材のシートに包装するための包装機および表面層またはコーティングを有する板材のシートの表面の接着剤に対する受容性を向上させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコを含む喫煙品などのタバコ産業製品はパッケージに収容される。通常、パッケージは基部とヒンジ式蓋を形成するために折り曲げられるボール紙などの板から作製される外方紙パッケージを有する。内方フレームを基部から突出するように基部に貼り付けて蓋を閉じた際に蓋の中に収容されるようにしてもよい。
【0003】
タバコ産業製品の束は、可撓性のバリアー材に包まれた一群のタバコ産業製品を含んでもよく、このバリアー材は取り出し開口部を形成するためにバリアー材の残りの部分から分離可能なセクションを有する。可撓性のラベルが上記セクションおよび蓋に貼り付けられ、蓋をその開いた位置に回転させると、該セクションがこの可撓性ラベルと一緒に持ち上げられ、取り出し開口部を開口し、そこからタバコ産業製品が取り出される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で説明する実施態様では、タバコ産業製品の束を収容するための基部と、開いた位置と閉じた位置の間で基部に対して回転可能な蓋とを包装機が板材のシートを折り曲げて形成し、この蓋は前壁とこの蓋前壁の内面上に位置する後面を有する蓋前壁フラップを有し、取り出し開口部を画定するバリアー材のセクションに亘って延びるラベルが接着剤で蓋前壁フラップの前面に接着されるようになっていて、前記セクションが蓋をその開いた位置の方へ回転させた際に持ち上げられ、取り出し開口部を開く、バリアー材に包まれたタバコ産業製品の束を板材のシートに包装する方法が提供され、
この方法は、
ラベルを蓋前壁フラップの前面に接着するために使用される接着剤に対する蓋前壁フラップの受容性を向上させるために蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含む。
【0005】
本発明の方法は、蓋前壁フラップをその後面が蓋前壁の内面上に位置するように設置した後、その前面を非機械的に処理することを含んでもよい。
【0006】
本発明の方法は、蓋前壁フラップの後面を蓋前壁の内面に接着させた後、蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含んでもよい。
【0007】
板材は蓋前壁フラップの前記前面である表面層またはコーティングを含んでもよく、本発明の方法は、その表面層またはコーティングの少なくとも一部を取り除くために蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含んでもよい。
【0008】
好ましくは本発明の方法はレーザーを使用して蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含む。
【0009】
レーザーの定格出力は、100ワットでもよく、本発明の方法はその定格出力の50%~100%でレーザーを作動させることを含んでもよい。
【0010】
本発明の方法は処理中に蓋前壁フラップの前面に対してレーザーを移動させることを含んでもよい。
【0011】
本発明の方法は複数のレーザーを使用して蓋前壁フラップの前面を処理することを含んでもよい。
【0012】
本発明の方法は、レーザーを使用した処理に加えてまたはこれとは別に化学薬品またはプラズマで蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理することを含んでもよい。
【0013】
本発明の別の実施態様では、タバコ産業製品の束を収容するための容器を形成するために使用する板材のシートの表面層またはコーティングを有する表面の接着剤に対する受容性を向上させる方法が提供され、この方法はその表面層またはコーティングの少なくとも一部を取り除くために板材のシートを非機械的に処理することを含む。
【0014】
本発明の方法はレーザーを使用して板材のシートを非機械的に処理することを含んでもよい。
【0015】
本発明の方法はレーザーの使用に加えてまたはこれとは別に化学薬品またはプラズマで板材のシートを非機械的に処理することを含んでもよい。
【0016】
本発明の別の態様では、折り曲げられた板材のシートから形成された容器に収容されるバリアー材に包まれたタバコ産業製品の束を含み、前記容器は基部と蓋とを含み、蓋は蓋前壁とこの蓋前壁の内面上に位置する後面を有する蓋前壁フラップとを有し、蓋は開いたおよび閉じた位置の間で基部に対して回転可能であるパッケージが提供され、
蓋前壁フラップの前面は、その表面の接着剤に対する受容性を向上させるために非機械的に処理され、
可撓性のラベルが前記蓋前壁フラップの非機械的に処理された前面と取り出し開口部を画定するバリアー材のセクションに接着されて、このセクションが蓋を開いた位置に回転させた際に持ち上げられ、取り出し開口部を開くようになっている。
【0017】
板の前面は表面層またはコーティングを含んでもよく、蓋前壁フラップの前面の非機械的処理によって表面層またはコーティングの少なくとも一部を除去する。
【0018】
表面層またはコーティングは金属加工された表面層であってもよい。板材のシートはTransmet板であってもよい。
【0019】
本発明の別の態様では包装されたタバコ産業製品の束を板材のシートに包装するための包装機が提供され、この包装機は、
基部と、基部に貼り付けられ、開いたそして閉じた位置の間で回転可能であり、また蓋前壁と前および後面を有する蓋前壁フラップを有する蓋とを形成するために束の周囲で板材のシートを折り曲げるための折り曲げユニットであって、蓋前壁フラップを折り曲げて後面が蓋前壁の内面上に位置するように構成されている折り曲げユニットと、
蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理する処理ユニットと、
可撓性のラベルを蓋前壁フラップの処理された前面に接着させるための接着ユニットとを含む。
【0020】
処理ユニットは折り曲げユニットが蓋前壁フラップの後面が蓋前壁の内面上に位置するように蓋前壁フラップを折り曲げた後、蓋前壁フラップの前面を非機械的に処理するように構成してもよい。
【0021】
処理ユニットはレーザーを含んでもよい。レーザーの定格出力は100ワットでもよい。レーザーはその定格出力の50%~100%の間で調整してもよい。
【0022】
本発明の包装機は処理中に蓋前壁フラップに対してレーザーを移動させる駆動ユニットを含んでもよい。処理ユニットは複数のレーザーを含んでもよい。
【0023】
処理ユニットは蓋前壁フラップを化学的にまたはプラズマを使用して処理するように構成してもよい。
【0024】
本発明の別の態様ではタバコ産業製品の束を収容するための容器の形成に使用するための表面層またはコーティングを有する板材のシートの接着剤に対する受容性を向上させるための装置が提供され、この装置は表面層またはコーティングの少なくとも一部を除去するために板材のシートを非機械的に処理するための処理ユニットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
図1】本発明の実施態様による蓋が開いているパッケージの斜視図であり、ラベルのタブ領域の下方縁部が蓋前壁フラップの前面に貼り付けられている。
図2図1のパッケージの上方部分の側部断面図である。
図3】タバコ産業製品の束が収容される容器を形成するために折り曲げ可能な板材のシートの部分平面図である。および
図4】蓋前壁フラップがレーザーまたは他の非機械的処理装置を使用していかに処理されるかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1はヒンジ式蓋2および束6を形成するためにバリアー材5に包まれた一群の紙巻きタバコ4を含む基部3を有する板紙またはボール紙などの板材から製せられた硬質のパッケージ1の例を示している。取り出し開口部7がバリアー材5に形成されている。取り出し開口部7は、紙巻きタバコ4に触れられるようにバリアー材5の分離可能なセクション8が持ち上げられた際に形成される。バリアー材5は金属化プラスチックまたはプラスチック/金属箔ラミネート材料から作製してもよい。
【0027】
ラベル9がセクション8上を延び、これに貼り付けられ、バリアー材5に面したその下面にラベル9をセクション8に確実に接着したままにするには充分な強度の繰り返し接着する感圧接着剤を有する。繰り返し接着する接着剤の代わりとして、永久接着剤を取り外し可能なセクション8に重なるラベル9の下面の部分に塗布してもよい。しかしながら、ラベル9が取り外し可能なセクション8を越えて延びる場合、その下面には繰り返し接着する接着剤が塗布される。
【0028】
確実に良好に接着されるように内部フレーム(図示せず)をそれがバリアー層5の下で紙巻きタバコ4の周囲を部分的に延びるように束6の中に設けてもよい。内部フレームは取り出し開口部7の周囲でラベル9によって掛かる再封止の際の圧力に対してバリアー材5の下で反応面を提供する。
【0029】
タブを含んでもよいラベル9の前壁の下方縁部の領域10(図2参照)は、蓋2を開けると同時にラベル9が剥がされて、取り出し開口部7を露出させるように蓋2の前壁11に貼り付けられる。特に図1および2に示すように蓋2が開いた位置にあるとき、バリアー材5のセクション8は後ろに引っ張られ、取り出し開口縁部7を露出させ、消費者が簡単に束6から紙巻きタバコ4を取り出すことができるようにする。セクション8は取り外し可能であってもよいが、当然のことながら取り出し開口部7を露出させた際にバリアー材5の残りの部分に少なくとも部分的に貼り付いたままであってもよい。
【0030】
ラベル9の外面12の一部は、蓋2を開いた位置に回転させた際に(図2に最も明確に示されているように)その部分がラベル9の残りの部分に対して折り曲げられるように永久接着剤を使用して蓋2に貼り付けられる。
【0031】
蓋2をヒンジ13を中心にその開いた位置に枢動させると、ラベル9が取り外し可能なセクション8と一緒にバリアー材5から離れるようにめくられるまたは巻かれる。パッケージ1が初めて開けられる場合、取り外し可能な領域8もまた蓋2を開いた際に取り外し可能な領域8をバリアー材5の残りから分離する脆弱化された線に沿ってバリアー材5の残りから離れてもよい。
【0032】
当然のことながら蓋2をヒンジ13を中心に回転させてその閉じた位置に戻すと、ラベル9がバリアー層5上を巻き戻され、バリアー層5の取り外し可能な領域8が取り出し開口部7内の元の位置に戻る。ラベル9の周辺領域14の繰り返し剥がすことができるコーティングによってパッケージ1を繰り返し封止するために取り出し開口部7を囲むバリアー層5に繰り返し接着する。
【0033】
蓋2は前壁14と、蓋前壁フラップ15とを含み、この蓋前壁フラップは蓋前壁フラップ15の前面18を露出させたままにして蓋前壁フラップ15の後面16を蓋前壁14の内面17上に位置するように蓋前壁14と蓋前壁フラップ15の間で折り曲げ線「F」を中心に実質的に180度、前壁14に対して折り曲げられる。
【0034】
蓋前壁フラップ15の後面16は蓋前壁14の内面17に永久的に接着されてもよい。折り曲げ線Fを中心に蓋前壁フラップ15を折り曲げることによって蓋前壁14の外面19および蓋前壁フラップ15の前面18上の折り曲げ線Fの周囲に印刷することができる。ラベル9の外面は蓋前壁フラップ15の前面18に接着される。
【0035】
蓋および基部が形成される板材のシートは金属加工またはコーティングされた外側表面層を有してもよい。この面は消費者に見える外側の面である。例えば、板材はTransmet板であってもよく、これは板紙用のフィルム無しの金属ラミネートであり、明るい金属仕上げの基材に印刷受容コーティングを供する。TransmetラミネートはAPIグループが製造している。これとは別に板材は、Metpolであってもよく、これはポリマー層でコーティングされた金属化層を有する。
【0036】
当然のことながら折り曲げ線「F」を中心に蓋前壁フラップ15を折り曲げた結果として、ラベル9が接着する蓋前壁フラップ15の前面18は、金属加工された、またそうでなければコーティング表面を有する。この表面またはコーティングは、接着剤が材料に浸透しないまたは良好な接着を形成するほど充分に浸透しないので、接着剤に対して親和性または受容性が低い。TransmetおよびMetpol板は両方とも外表面層が非孔性であり、従って接着剤を吸収しにくいことからこの問題を抱えている。
【0037】
本発明の実施態様では蓋前壁フラップ15の前面18を非機械的に処理して接着剤に対する受容性または親和性を向上させ、蓋前壁フラップ15とラベルとの接着を良好にする。
【0038】
蓋前壁フラップ15を非機械的に処理することで表面層またはコーティングの全てまたは一部を除去し、これによりその下の接着剤に対してはるかに高い親和性を有する板を露出させる。従って、ラベル9は、処理された表面に接着される。当然のことながら、この非機械的処理は、蓋前壁フラップの前面のすべてに行ってもよい。これとは別に非機械的処理はそのいくつかの部分に行ってもよい。
【0039】
処理はCO2レーザーなどのレーザーを使用して行ってもよい。レーザー20は100ワットの定格出力を有してもよく、表面層またはコーティングを除去しつつその下の板に損傷をほとんどまたは全く与えないようにするためにその出力の50%~90%の範囲で作動させてもよい。レーザー処理ユニット20が蓋前壁フラップ15の前面の方へレーザー光「L」を発している状態を示している図4にレーザーの使用例を示している。必要に応じて、レーザーは移動してもよい。例えば、レーザー20は図4の矢印「X」および「Y」で示すように移動してもよい。そうでなければレーザー処理ユニット20は、固定したままでもよく、蓋前壁フラップ15がその下を通過するようにしてもよい。レーザー処理ユニット20は、蓋前壁フラップ15を処理するのに充分な短い時間作動させてもよい。例えば、レーザー処理ユニット20は0.5秒程度の時間作動させてもよい。
【0040】
別の実施態様では 蓋前壁フラップ15は、化学薬品またはプラズマを使用して処理して表面の一部を除去してもよい。
【0041】
図4から当然のことながら処理は蓋前壁フラップ15が折り曲げユニット21によって蓋前壁14の内面17上に折り曲げられた後であって、接着剤を蓋前壁フラップ15の処理された面18に塗布する接着ユニット22の接着剤を塗布し、ラベル9を前面18にくっつける前におこなわれる。しかしながら、当然のことながらその処理は製造または包装工程の任意の時または段階で行ってもよい。例えば、非機械的処理は蓋前壁フラップ15を折り曲げる前に行ってもよい。
【0042】
また当然のことながら、蓋前壁フラップ15の一部だけを処理してもよく、あるいはフラップ全体を処理してもよい。処理される蓋前壁フラップ15の部分は表面層またはコーティングのすべてまたは一部のみが除去されるように処理してもよい。
【0043】
好ましい実施態様では処理はパッケージの組立中であって、折り曲げユニット21が蓋前壁14の内面に対して蓋前壁フラップ15を折り曲げた後であるが、シートのさらなる任意の折り曲げの前に包装機で行われる。蓋前壁14の内面17上に蓋前壁フラップ15を折ることを図3に例示し、蓋前壁フラップ15が蓋前壁14の下方縁部に沿って延びた折り曲げ線Fを中心に矢印「A」の方向に回転していることを示している。
【0044】
本発明は板材から表面コーティングまたは層を除去することを主に意図しているが、当然のことながら本発明は、表面層またはコーティングを有していない板にも適用可能であり、あらゆる遊離した物質または酸化物を除去し、接着に対してより受容的な新しい表面を露出させるようにしてもよい。
【0045】
蓋前壁フラップ15の前面18に貼り付けられた部分を有するラベル9は、包装された束6に適用される別の部材であってもよい。しかしながら、別の構成ではバリアー材5は積層体材料であってもよい。この場合、ラベル9はバリアー材5から一体に形成してもよく、積層体の1つ以上の層を含んでもよい。
【0046】
本明細書中で使用する「タバコ産業製品」なる用語は、紙巻きタバコ、シガリロ、シガー、パイプ用または手巻き紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係なく)などの燃焼性喫煙品、電子タバコなどの電子喫煙品、タバコ加熱製品などの燃焼させずに基材から化合物を放出する加熱装置および例えば液体または固体基材を含むハイブリッドシステムのような基材を組あわせたものからエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムを含む喫煙品を包含すると理解されるべきである。
【0047】
1つの実施態様ではタバコ産業製品は紙巻きタバコ、シガリロおよびシガーからなる群から選択される燃焼喫煙品である。
【0048】
1つの実施態様ではタバコ産業製品は非燃焼性喫煙品である。
【0049】
1つの実施態様ではタバコ産業製品は基材を燃やさずに加熱することによって化合物を放出する加熱装置である。基材は、タバコまたはニコチンを含むまたは含まない非タバコ製品であってもよい。1つの実施態様では加熱装置はタバコ加熱装置である。
【0050】
別の実施態様ではタバコ産業製品は基材を組あわせたものを燃やさずに加熱することによってエアロゾル発生させるハイブリッドシステムである。基材は、例えば固体、液体またはゲルであってもよく、これらはニコチンを含むまたは含まなくてもよい。1つの実施態様ではハイブリッドシステムは液体またはゲル基材と固体基材とを含んでもよい。固体基材は、例えばタバコまたはタバコまたはニコチンを含むまたは含まない非タバコ製品であってもよい。1つの実施態様ではハイブリッドシステムは液体またはゲル基材とタバコとを含んでもよい。
【0051】
本発明の実施態様はタバコ産業製品、例えば紙巻きタバコを参照して説明されている。しかしながら、当然のことながら本発明の方法およびパッケージは、これとは別に非タバコ産業関連製品に使用してもよい。
【0052】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、優れたタバコ産業製品の束を包装する方法、表面層またはコーティングを有する板材のシートの表面の接着剤に対する受容性を向上させる方法、バリアー材に包まれたタバコ産業製品の束を含むパッケージ、包まれたタバコ産業製品の束を包装するための包装機を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4