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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ワクチン組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/00 20060101AFI20220601BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A61K39/00 G
A61K47/26
A61K47/38
A61K9/14
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021070090
(22)【出願日】2021-04-19
(62)【分割の表示】P 2018513898の分割
【原出願日】2016-09-16
(65)【公開番号】P2021119153
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】62/219,215
(32)【優先日】2015-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】393030626
【氏名又は名称】株式会社新日本科学
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】治田 俊志
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0291115(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0273120(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0238797(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00
A61K 9/00
A61K 47/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原;
トレハロースである第1のサッカライド;
マンニトールである第2のサッカライド;および
微結晶セルロースを含む第3のサッカライド
を含み、
該第1のサッカライド対該第2のサッカライドの重量比が約1:1~約1:5であるか、または該第1のサッカライド対該第2のサッカライドのモル比が約1:2~約1:10である、固形形態であるワクチン組成物。
【請求項2】
ヒトに鼻腔内投与された場合に血清免疫応答を生じる、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項3】
ヒトに鼻腔内投与された場合に血清免疫グロブリンG(IgG)抗体の産生を促進する、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項4】
ヒトに鼻腔内投与された場合に粘膜免疫応答を生じる、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項5】
ヒトに鼻腔内投与された場合に粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)抗体の産生を促進する、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項6】
ヒトに鼻腔内投与された場合に細胞性免疫応答を生じる、請求項1記載のワクチン組成物。
【請求項7】
約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4ある第1のサッカライド対第2のサッカライドの重量比を有する、請求項1~6のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項8】
1:2、または約2:7である第1のサッカライド対第2のサッカライドのモル比を有する、請求項1~6のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項9】
第1のサッカライドの少なくとも80重量%が、X線粉末回折解析によって測定した場合に非結晶形態で存在する、請求項1~のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項10】
第2のサッカライドの少なくとも20重量%が、X線粉末回折解析によって測定した場合に結晶形態で存在する、請求項1~のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項11】
微結晶セルロースが、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定した場合に約10ミクロン~約100ミクロンの平均粒径を有する、請求項1~10のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項12】
抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原、またはそれらの組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項13】
抗原が、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、ファージ、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項14】
抗原が、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス(Rhinovirus)、コロナウイルス(Coronavirus)、アデノウイルス(Adenovirus)、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルス(Parvovirus)B19、エンテロウイルス(Enterovirus)、ムンプスウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項15】
抗原が、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス(Rotavirus)、ノーウォークウイルス、サポウイルス、アストロウイルス(Astrovirus)、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項16】
抗原がインフルエンザスプリットウイルスを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項17】
抗原がインフルエンザビロソームを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項18】
抗原が不活化全粒子インフルエンザウイルスを含む、請求項1~11のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項19】
アジュバントをさらに含む、請求項1~18のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項20】
第1のサッカライドと第2のサッカライドの総量が、約50mg~約100mgである、請求項1~19のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項21】
第1のサッカライドと第2のサッカライドの総量が、約50mg、約75mg、または約100mgである、請求項20記載のワクチン組成物。
【請求項22】
約1:1~約1:4である第1のサッカライドと第2のサッカライドとの重量比を有する、請求項1~6、および9~21のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項23】
抗原がスプリットウイルス抗原であり、第1のサッカライドと第2のサッカライドとが約1:1~約1:4の重量比を有し、第1のサッカライドと第2のサッカライドの総量が約100mgである、請求項1~6、および9~21のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項24】
抗原がビロソーム抗原であり、第1のサッカライドと第2のサッカライドとが約1:1の重量比を有し、第1のサッカライドと第2のサッカライドの総量が約100mgである、請求項1~6、および9~21のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項25】
抗原がビロソーム抗原であり、第1のサッカライドと第2のサッカライドとが約1:1~約1:2の重量比を有し、第1のサッカライドと第2のサッカライドの総量が約75mgである、請求項1~6、および9~21のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項26】
抗原がビロソーム抗原であり、第1のサッカライドと第2のサッカライドとが約1:2の重量比を有し、第1のサッカライドと第2のサッカライドの総量が約50mgである、請求項1~6、および9~21のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項27】
抗原が不活性全粒子ウイルス抗原であり、第1のサッカライドと第2のサッカライドとが約1:1の重量比を有し、前記第1のサッカライドと前記第2のサッカライドの総量が約100mgである、請求項1~6、および9~21のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項28】
ワクチン組成物が、固形のケーキの形態である、請求項1~27のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項29】
ワクチン組成物が、固形の粉末形態である、請求項1~27のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項30】
固体を形成させるためにアニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程であって、該液体が、抗原、トレハロースを含む第1のサッカライド、およびマンニトールを含む第2のサッカライドを含む、工程;ならびに
該固体を、微結晶セルロースを含む第3のサッカライドと混合する工程
を含み、
該第1のサッカライド対該第2のサッカライドの重量比が約1:1~約1:5であるか、または該第1のサッカライド対該第2のサッカライドのモル比が約1:2~約1:10である、
組成物を作製するための方法。
【請求項31】
鼻腔内投与のための、請求項1~29のいずれか一項記載のワクチン組成物。
【請求項32】
請求項1~29のいずれか一項記載のワクチン組成物を含む、器具。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
いくつかの局面において、本開示は、抗原;第1のサッカライド;第2のサッカライド;および微結晶セルロースを含む第3のサッカライドを含み、第1のサッカライド対第2のサッカライドの重量比が約3:2~約1:10であるか、または第1のサッカライド対第2のサッカライドのモル比が約3:1~約1:5である、組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は粉末組成物である。いくつかの態様において、組成物は、1種、2種、3種、4種、またはそれ以上の抗原を含む。いくつかの態様において、組成物は、一価ワクチンまたは多価ワクチンである。いくつかの態様において、組成物は、二価ワクチン、三価ワクチン、または四価ワクチンである。いくつかの態様において、ワクチンは、インフルエンザワクチンである。いくつかの態様において、乾燥粉末組成物は、6重量%未満の含水率を有する。いくつかの態様において、含水率は、カールフィッシャー法によって測定される。いくつかの態様において、第1のサッカライド、第2のサッカライド、および第3のサッカライドは、すべて異なっている。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、血清免疫応答を生じる。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、血清免疫グロブリンG(IgG)抗体の産生を促進する。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、粘膜免疫応答を生じる。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)抗体の産生を促進する。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、細胞性免疫応答を生じる。いくつかの態様において、組成物は、粘膜送達に適している。いくつかの態様において、組成物は、鼻腔内送達に適している。いくつかの態様において、組成物は、ケーキの形態で存在する。いくつかの態様において、組成物は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:7である第1のサッカライド対第2のサッカライドの重量比を有する。いくつかの態様において、組成物は、約2:1、約1:1、約2:3、約1:2、または約2:7である第1のサッカライド対第2のサッカライドのモル比を有する。いくつかの態様において、第1のサッカライドは、オリゴ糖または多糖を含む。いくつかの態様において、第1のサッカライドは、二糖を含む。いくつかの態様において、第2のサッカライドは、単糖を含む。いくつかの態様において、第1のサッカライドの少なくとも80重量%は、非結晶形態で存在する。いくつかの態様において、第2のサッカライドの少なくとも20重量%は、結晶形態で存在する。いくつかの態様において、第1のサッカライドは、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、プルラン、ラフィノース、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、第2のサッカライドは、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、微結晶セルロースは、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定した場合に約10ミクロン~約100ミクロンの平均粒径を有する。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原、またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、ファージ、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス(Rhinovirus)、コロナウイルス(Coronavirus)、アデノウイルス(Adenovirus)、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルス(Parvovirus)B19、エンテロウイルス(Enterovirus)、ムンプスウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス(Rotavirus)、ノーウォークウイルス、サポウイルス、アストロウイルス(Astrovirus)、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、百日咳菌(Bordetella pertussis)トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、チフス菌(Salmonella typhi)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、インフルエンザスプリットウイルスを含む。いくつかの態様において、抗原は、インフルエンザビロソームを含む。いくつかの態様において、抗原は、不活化全粒子インフルエンザウイルスを含む。いくつかの態様において、組成物はアジュバントをさらに含む。いくつかの態様において、組成物はアジュバントを含まない。
【0002】
いくつかの局面において、本開示は、アニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程を含む、本明細書において開示される任意の組成物を作製するための方法を提供する。いくつかの局面において、本開示は、固体を形成させるためにアニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程であって、該液体が、抗原、第1のサッカライド、および第2のサッカライドを含む、工程;ならびにその固体を、微結晶セルロースを含む第3のサッカライドと混合する工程を含む、組成物を作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、第1のサッカライド、第2のサッカライド、および第3のサッカライドは、すべて異なっている。いくつかの態様において、乾燥は、第1の乾燥および第2の乾燥を含む。いくつかの態様において、第1のサッカライドおよび第2のサッカライドの総量は、液体1mL当たり40mgより多い。いくつかの態様において、第1のサッカライドおよび第2のサッカライドの総量は、液体1mL当たり約50mg、約75mg、または約100mgである。いくつかの態様において、液体は、塩をさらに含む。いくつかの態様において、液体は、液体の約0.25重量%~約3重量%の範囲内の塩濃度を有する。いくつかの態様において、液体は、液体の約0.25重量%、約0.5重量%、または約1重量%の範囲内の塩濃度を有する。いくつかの態様において、液体のpHは、約7~約8の範囲である。いくつかの態様において、液体のpHは、約7.4である。いくつかの態様において、液体は、緩衝剤を含む。いくつかの態様において、液体は、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素カリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む緩衝剤を含む。いくつかの態様において、液体は、リン酸緩衝生理食塩水を含む。いくつかの態様において、アニーリングは、約-20℃~約-28℃の温度で行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、約-23℃で行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、約1時間~約5時間にわたり行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、約3時間にわたり行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約-15℃~約-40℃の温度で行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約-35℃で行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約30時間~約90時間にわたり行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約54時間にわたり行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約25℃~約60℃の温度で行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約30℃で行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約1時間~約10時間にわたり行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約4時間にわたり行われる。いくつかの態様において、乾燥は、約105mTorrまたはそれ以下の減圧下で行われる。いくつかの態様において、方法は、約-30℃で液体を事前凍結する工程をさらに含む。
【0003】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の方法によって製造された組成物を提供する。
【0004】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の方法によって作製された組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、感染症を予防する。いくつかの態様において、方法は、粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)免疫応答を促進する。いくつかの態様において、方法は、血清免疫グロブリンG(IgG)免疫応答を促進する。いくつかの態様において、方法は、細胞性免疫応答を促進する。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象は、その必要がある対象である。いくつかの態様において、投与は、粘膜投与である。いくつかの態様において、投与は、鼻腔内投与である。
【0005】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の組成物を含む器具を提供する。いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の方法によって作製された任意の組成物を含む器具を提供する。いくつかの態様において、器具は、粘膜使用向けである。いくつかの態様において、器具は、鼻腔内使用向けである。いくつかの態様において、器具は、単回使用向けに構成されている。
【0006】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の器具中の組成物を対象の鼻孔、例えば、1つまたは2つの鼻孔に放出する工程を含む、対象に対して該器具を使用する方法を提供する。いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0007】
参照による組み入れ
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれが参照によりそっくりそのまま組み入れられることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
[本発明1001]
抗原;
第1のサッカライド;
第2のサッカライド;および
微結晶セルロースを含む第3のサッカライド
を含み、
該第1のサッカライド対該第2のサッカライドの重量比が約3:2~約1:10であるか、または該第1のサッカライド対該第2のサッカライドのモル比が約3:1~約1:5である、組成物。
[本発明1002]
粉末組成物である、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1003]
1種、2種、3種、4種、またはそれ以上の抗原を含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1004]
一価ワクチンまたは多価ワクチンである、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1005]
二価ワクチン、三価ワクチン、または四価ワクチンである、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1006]
ワクチンがインフルエンザワクチンである、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1007]
前記組成物の総重量に基づき6重量%未満の含水率を有する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1008]
含水率が、カールフィッシャー法によって測定される、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1009]
第1のサッカライド、第2のサッカライド、および第3のサッカライドがすべて異なっている、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1010]
ヒトに鼻腔内投与された場合に血清免疫応答を生じる、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1011]
ヒトに鼻腔内投与された場合に血清免疫グロブリンG(IgG)抗体の産生を促進する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1012]
ヒトに鼻腔内投与された場合に粘膜免疫応答を生じる、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1013]
ヒトに鼻腔内投与された場合に粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)抗体の産生を促進する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1014]
ヒトに鼻腔内投与された場合に細胞性免疫応答を生じる、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1015]
粘膜送達に適している、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1016]
鼻腔内送達に適している、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1017]
ケーキの形態で存在する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1018]
約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:7である第1のサッカライド対第2のサッカライドの重量比を有する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1019]
約2:1、約1:1、約2:3、約1:2、または約2:7である第1のサッカライド対第2のサッカライドのモル比を有する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1020]
第1のサッカライドがオリゴ糖または多糖を含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1021]
第1のサッカライドが二糖を含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1022]
第2のサッカライドが単糖を含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1023]
第1のサッカライドの少なくとも80重量%が非結晶形態で存在する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1024]
第2のサッカライドの少なくとも20重量%が結晶形態で存在する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1025]
第1のサッカライドが、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、プルラン、ラフィノース、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1026]
第2のサッカライドが、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1027]
微結晶セルロースが、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定した場合に約10ミクロン~約100ミクロンの平均粒径を有する、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1028]
抗原が、ウイルス抗原、細菌抗原、またはそれらの組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1029]
抗原が、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、ファージ、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1030]
抗原が、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス(Rhinovirus)、コロナウイルス(Coronavirus)、アデノウイルス(Adenovirus)、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルス(Parvovirus)B19、エンテロウイルス(Enterovirus)、ムンプスウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1031]
抗原が、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス(Rotavirus)、ノーウォークウイルス、サポウイルス、アストロウイルス(Astrovirus)、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1032]
抗原が、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1033]
抗原が、百日咳菌(Bordetella pertussis)トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)b型、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、チフス菌(Salmonella typhi)、ペスト菌(Yersinia pestis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、またはそれらの任意の組合せを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1034]
抗原がインフルエンザスプリットウイルスを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1035]
抗原がインフルエンザビロソームを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1036]
抗原が不活化全粒子インフルエンザウイルスを含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1037]
アジュバントをさらに含む、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1038]
アジュバントを含まない、前記本発明のいずれかの組成物。
[本発明1039]
アニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程を含む、前記本発明のいずれかの組成物を作製するための方法。
[本発明1040]
固体を形成させるためにアニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程であって、該液体が、抗原、第1のサッカライド、および第2のサッカライドを含む、工程;ならびに
該固体を、微結晶セルロースを含む第3のサッカライドと混合する工程
を含む、組成物を作製するための方法。
[本発明1041]
第1のサッカライド、第2のサッカライド、および第3のサッカライドがすべて異なっている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1042]
乾燥が、第1の乾燥および第2の乾燥を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1043]
第1のサッカライドおよび第2のサッカライドの総量が、液体1mL当たり40mgより多い、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1044]
第1のサッカライドおよび第2のサッカライドの総量が、液体1mL当たり約50mg、約75mg、または約100mgである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1045]
液体が、塩をさらに含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1046]
液体が、該液体の総重量の約0.25重量%~約3重量%の範囲内の塩濃度を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1047]
液体が、該液体の総重量の約0.25重量%、約0.5重量%、または約1重量%の範囲内の塩濃度を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1048]
液体が約7~約8の範囲内のpHを有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1049]
液体が約7.4のpHを有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1050]
液体が緩衝剤を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1051]
液体が、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素カリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む緩衝剤を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1052]
液体がリン酸緩衝生理食塩水を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1053]
アニーリングが、約-20℃~約-28℃の温度で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1054]
アニーリングが、約-23℃で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1055]
アニーリングが、約1時間~約5時間にわたり行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1056]
アニーリングが、約3時間にわたり行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1057]
第1の乾燥が、約-15℃~約-40℃の温度で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1058]
第1の乾燥が、約-35℃で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1059]
第1の乾燥が、約30時間~約90時間にわたり行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1060]
第1の乾燥が、約54時間にわたり行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1061]
第2の乾燥が、約25℃~約60℃の温度で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1062]
第2の乾燥が、約30℃で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1063]
第2の乾燥が、約1時間~約10時間にわたり行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1064]
第2の乾燥が、約4時間にわたり行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1065]
乾燥が、約105mTorrまたはそれ以下の減圧下で行われる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1066]
約-30℃で液体を事前凍結する工程をさらに含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1067]
前記本発明のいずれかの方法によって製造される組成物。
[本発明1068]
前記本発明のいずれかの組成物を対象に投与する工程を含む、方法。
[本発明1069]
前記本発明のいずれかの方法によって作製される組成物を対象に投与する工程を含む、方法。
[本発明1070]
感染症を予防する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1071]
粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)免疫応答を促進する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1072]
血清免疫グロブリンG(IgG)免疫応答を促進する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1073]
細胞性免疫応答を促進する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1074]
対象がヒトである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1075]
対象が、その必要がある対象である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1076]
投与が粘膜投与である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1077]
投与が鼻腔内投与である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1078]
前記本発明のいずれかの組成物を含む、器具。
[本発明1079]
前記本発明のいずれかの方法によって作製される組成物を含む、器具。
[本発明1080]
粘膜使用向けである、前記本発明のいずれかの器具。
[本発明1081]
鼻腔内使用向けである、前記本発明のいずれかの器具。
[本発明1082]
単回使用向けに構成されている、前記本発明のいずれかの器具。
[本発明1083]
前記本発明のいずれかの器具中の組成物を対象の鼻孔に放出する工程を含む、対象に対して該器具を使用する方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】凍結乾燥された抗原の望ましいケーキ外観および望ましくないケーキ外観を示す。
図2】凍結乾燥された抗原のケーキ外観に対するトレハロース/マンニトール比の影響を示す。
図3】凍結乾燥された抗原のケーキ外観に対するアニーリングの影響を示す。
図4】アニーリングを用いておよび用いずに凍結乾燥された粉末のX線粉末回折パターンを示す。
図5】アニーリングを用いて凍結乾燥された粉末中のマンニトールの結晶化度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
態様の説明
詳細な説明
他に規定されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において説明されるものと同様または等価な任意の方法および材料を、本明細書における製剤または単位用量の実践または試験において使用できるが、いくつかの方法および材料を以下に説明する。別段の言及がない限り、本明細書において使用または企図される技術は、標準的手法である。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定的ではない。
【0010】
本発明の1つまたは複数の態様の詳細は、添付の図面、特許請求の範囲、および本明細書の説明において説明される。本明細書において開示および企図される本発明の態様の他の特徴、目的、および利点は、明示的に除外されない限り、他の任意の態様と組み合わせることができる。
【0011】
別段の定めがない限り、オープンな用語、例えば、「含む(contain)」、「含んでいる(containing)」、「含む(include)」、および「含んでいる(including)」などは、含むこと(comprising)を意味する。
【0012】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」は、本明細書において使用されて、文脈において特に規定がない限り、単数または複数、例えば1つまたは複数の指示内容を含む。したがって、反対の記載がない限り、本出願において説明する数値パラメーターは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0013】
別段の定めがない限り、本明細書のいくつかの態様は、数値的な範囲を企図する。別段の定めがない限り、数値的範囲が提供される場合、この範囲は、その範囲の両端の値を含む。別段の定めがない限り、数値的範囲は、その中のすべての値および部分範囲を、まるで完全に詳しく書かれたかのように含む。
【0014】
別段の定めがない限り、「約」という用語は、参照される数値のプラス15%またはマイナス15%を意味する。
【0015】
ケーキの「望ましい外観」という用語は、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもない外観、例えば、均一または完全な構造を意味する。
【0016】
「アニーリング」という用語は、結晶の形成を可能にするために、ある物質を所定の期間、凍結温度より高い温度で維持する処理、例えば、(大きな氷晶が成長できるように)試料を凍った状態で保ち続けながら、一定期間、昇温された温度で該試料を維持することを意味する。
【0017】
I 概観
いくつかの局面において、本開示は、抗原;第1のサッカライド;第2のサッカライド;および微結晶セルロースを含む第3のサッカライドを含み、第1のサッカライド対第2のサッカライドの重量比が約3:2~約1:20、例えば、約3:2~約1:10、約3:2~約1:11、約3:2~約1:12、約3:2~約1:13、約3:2~約1:14、約3:2~約1:15、約3:2~約1:16、約3:2~約1:17、約3:2~約1:18、もしくは約3:2~約1:19であるか、または第1のサッカライド対第2のサッカライドのモル比が約3:1~約1:10、例えば、約3:1~約1:5、約3:1~約1:6、約3:1~約1:7、約3:1~約1:8、もしくは約3:1~約1:9である、組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は粉末組成物である。1つの態様において、組成物は、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはそれ以上の抗原を含む。いくつかの態様において、組成物は、一価ワクチンである。いくつかの態様において、組成物は、多価ワクチンである。いくつかの態様において、組成物は、二価ワクチンである。いくつかの態様において、組成物は、三価ワクチンである。いくつかの態様において、組成物は、四価ワクチンである。いくつかの態様において、組成物は、五価ワクチンである。いくつかの態様において、ワクチンは、インフルエンザワクチンである。いくつかの態様において、乾燥粉末組成物は、6重量%未満、例えば、5.3%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、約0.1~5%、約0.1~4%、約0.1~3%、約0.1~2%、または約0.1~1%の含水率を有する。いくつかの態様において、含水率は、カールフィッシャー法によって測定される。いくつかの態様において、第1のサッカライド、第2のサッカライド、および第3のサッカライドは、すべて異なっている。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、血清免疫応答を生じる。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、血清免疫グロブリンG(IgG)抗体の産生を促進する。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、粘膜免疫応答を生じる。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)抗体の産生を促進する。いくつかの態様において、ヒトに鼻腔内投与された場合に、組成物は、細胞性免疫応答を生じる。いくつかの態様において、組成物は、粘膜送達に適している。いくつかの態様において、組成物は、鼻腔内送達に適している。いくつかの態様において、組成物は、ケーキの形態で存在する。いくつかの態様において、組成物は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:11、約1:12、約1:13、約1:14、約1:15、約1:16、約1:17、約1:18、約1:19、または約1:20である第1のサッカライド対第2のサッカライドの重量比を有する。いくつかの態様において、組成物は、約2:1、約1:1、約2:3、約1:2、約2:5、約1:3、約2:7、約1:2、約2:9、約1:5、約2:11、約1:6、約2:13、約1:7、約2:15、約1:8、約2:17、約1:9、約2:19、または約1:10である第1のサッカライド対第2のサッカライドのモル比を有する。いくつかの態様において、第1のサッカライドは、オリゴ糖または多糖を含む。いくつかの態様において、第1のサッカライドは、二糖を含む。いくつかの態様において、第2のサッカライドは、単糖を含む。いくつかの態様において、第1のサッカライドの少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、または98重量%は、非結晶形態で存在する。いくつかの態様において、第2のサッカライドの少なくとも20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、または95重量%は、結晶形態で存在する。いくつかの態様において、第1のサッカライドは、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、プルラン、ラフィノース、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、第2のサッカライドは、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、微結晶セルロースは、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定した場合に、約10ミクロン~約100ミクロン、例えば約10~20ミクロン、約10~30ミクロン、約10~40ミクロン、約10~50ミクロン、約10~60ミクロン、約10~70ミクロン、約10~80ミクロン、約10~90ミクロン、または約15ミクロン、約20ミクロン、約25ミクロン、約30ミクロン、約35ミクロン、約40ミクロン、約45ミクロン、約50ミクロン、約55ミクロン、約60ミクロン、約65ミクロン、約70ミクロン、約75ミクロン、約80ミクロン、約85ミクロン、約90ミクロン、もしくは約95ミクロンの平均粒径を有する。いくつかの態様において、抗原は、ウイルス抗原、細菌抗原、またはそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、ファージ、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、ムンプスウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、アストロウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、狂犬病ウイルス、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌、またはそれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様において、抗原は、インフルエンザスプリットウイルスを含む。いくつかの態様において、抗原は、インフルエンザビロソームを含む。いくつかの態様において、抗原は、不活化全粒子インフルエンザウイルスを含む。いくつかの態様において、組成物はアジュバントをさらに含む。いくつかの態様において、組成物はアジュバントを含まない。
【0018】
いくつかの局面において、本開示は、アニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程を含む、本明細書において開示される任意の組成物を作製するための方法を提供する。いくつかの局面において、本開示は、固体を形成させるためにアニーリングを用いて液体を凍結乾燥する工程であって、該液体が、抗原、第1のサッカライド、および第2のサッカライドを含む、工程;ならびにその固体を、微結晶セルロースを含む第3のサッカライドと混合する工程を含む、組成物を作製するための方法を提供する。いくつかの態様において、第1のサッカライド、第2のサッカライド、および第3のサッカライドは、すべて異なっている。いくつかの態様において、乾燥は、第1の乾燥および第2の乾燥を含む。いくつかの態様において、第1のサッカライドおよび第2のサッカライドの総量は、液体1mL当たり40mgより多く、例えば、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、もしくは200mgより多いか、または約45~200mg、約45~150mg、もしくは約45~100mgであるか、または約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、もしくは約200mgである。いくつかの態様において、第1のサッカライドおよび第2のサッカライドの総量は、液体1mL当たり約50mg、約75mg、または約100mgである。いくつかの態様において、液体は、塩をさらに含む。いくつかの態様において、液体は、液体の約0.25重量%~約3重量%、約0.1~10重量%、約0.1~5重量%、約0.1~4重量%、約0.1~3重量%、約0.1~2重量%、または約0.1~1重量%の範囲内の塩濃度を有する。いくつかの態様において、液体は、液体の約1重量%、0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、1.5重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、または10重量%の範囲内の塩濃度を有する。いくつかの態様において、液体は、約7~約8、約6~8、約6~9、約5~8、約5~9、または約5~10の範囲内のpHを有するである。いくつかの態様において、液体は、約7.4、約5、約5.5、約6、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7、約7.2、約7.6、約7.8、約8、約8.5、約9、約9.5、または約10のpHを有する。いくつかの態様において、液体は、緩衝剤を含む。いくつかの態様において、液体は、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸二水素カリウムからなる群より選択される少なくとも1つを含む緩衝剤を含む。いくつかの態様において、液体は、リン酸緩衝生理食塩水を含む。いくつかの態様において、アニーリングは、約-20℃~約-28℃、約-20℃~約-40℃、-20℃~約-50℃、-20℃~約-60℃、-20℃~約-70℃、約-10℃~約-20℃、約-10℃~約-30℃、約-10℃~約-40℃、-10℃~約-50℃、-10℃~約-60℃、または-10℃~約-70℃の温度で行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、約-23℃、約-5℃、約-10℃、約-15℃、約-20℃、約-25℃、約-30℃、約-35℃、約-40℃、約-45℃、約-50℃、約-60℃、または約-70℃で行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、約1時間~約5時間、または約1~10時間行われる。いくつかの態様において、アニーリングは、約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、または約10時間にわたり、行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約-15℃~約-40℃、約-15℃~約-50℃、約-15℃~約-60℃、約-15℃~約-70℃、-25℃~約-40℃、約-25℃~約-50℃、約-25℃~約-60℃、または約-25℃~約-70℃の温度で行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約-35℃、約-5℃、約-10℃、約-15℃、約-20℃、約-25℃、約-30℃、約-40℃、約-45℃、約-50℃、約-60℃、または約-70℃で行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約30時間~約90時間、約10~150時間、約10~100時間、約20~90時間、約30~80時間、約40~70時間、または約50~60時間にわたり、行われる。いくつかの態様において、第1の乾燥は、約54時間、約3時間、約5時間、約10時間、約15時間、約20時間、約25時間、約30時間、約35時間、約40時間、約45時間、約50時間、約55時間、約60時間、約65時間、約70時間、約75時間、約80時間、約85時間、約90時間、約95時間、約100時間、約110時間、約120時間、約130時間、約140時間、または約150時間にわたり、行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約25℃~約60℃、約20℃~約30℃、約20℃~約35℃、20℃~約40℃、20℃~約45℃、または20℃~約50℃の温度で行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約30℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、または約60℃で行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約1時間~約10時間、約3~5時間、約2~6時間、または約1~7時間にわたり、行われる。いくつかの態様において、第2の乾燥は、約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、または約10時間にわたり、行われる。いくつかの態様において、乾燥は、約105mTorrまたはそれ以下の減圧下で行われる。いくつかの態様において、方法は、約-30℃、約-5℃、約-10℃、約-15℃、約-20℃、約-25℃、約-35℃、約-40℃、約-45℃、約-50℃、約-60℃、または約-70℃で液体を事前凍結する工程をさらに含む。
【0019】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の方法によって製造された組成物を提供する。
【0020】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の方法によって作製された組成物を対象に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、感染症を予防する。いくつかの態様において、方法は、粘膜分泌型免疫グロブリンA(sIgA)免疫応答を促進する。いくつかの態様において、方法は、血清免疫グロブリンG(IgG)免疫応答を促進する。いくつかの態様において、方法は、細胞性免疫応答を促進する。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象は、その必要がある対象である。いくつかの態様において、投与は、粘膜投与である。いくつかの態様において、投与は、鼻腔内投与である。
【0021】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の組成物を含む器具を提供する。いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の方法によって作製された任意の組成物を含む器具を提供する。いくつかの態様において、器具は、粘膜使用向けである。いくつかの態様において、器具は、鼻腔内使用向けである。いくつかの態様において、器具は、単回使用向けに構成されている。いくつかの態様において、器具は、複数回使用向けに構成されている。
【0022】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される任意の器具中の組成物を対象の鼻孔、例えば、1つまたは2つの鼻孔に放出する工程を含む、対象に対して該器具を使用する方法を提供する。いくつかの態様において、対象はヒトである。
【0023】
いくつかの局面において、本明細書において開示される組成物は、固形形態(例えば粉末形態)で存在し、対応する液状形態において見られるような抗原能力を保持している。いくつかの局面において、本明細書において開示される組成物または凍結乾燥された抗原は、望ましい外観、例えば、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもない(例えば、均一な構造を有している)こと;十分に乾燥していること;細粉をもたらす、容易に砕けやすいケーキであること;および適切な耐湿性を含む、ケーキ特徴を有することができる。いくつかの局面において、本明細書において開示される組成物は、器具から均一かつ広範囲に送達され得る。
【0024】
いくつかの局面において、本明細書において開示されるワクチン組成物は、耐湿性を高めることができ、液状形態と比べて粉末形態で抗原能力を保つことができ、かつ粘膜表面に均一に送達されることができる。いくつかの態様において、効果的な粘膜送達のための(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物、調製方法、および上記の要件を満たすことにつながるワクチンの粘膜送達によって促進される粘膜免疫応答および全身免疫応答を介して感染症を予防するための方法が、本明細書において提供される。
【0025】
いくつかの局面において、組成物または凍結乾燥された抗原を調製するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、調製方法は、1種または複数種の作用物質(例えば、サッカライドおよび緩衝液)と共に1種または複数種の抗原(例えば、不活化全粒子インフルエンザウイルス)を含む液状抗原混合物を作製する段階を含んでよい。液状抗原混合物を凍結乾燥(例えば、アニーリング段階を含む)して、凍結乾燥された抗原を作製することができる。凍結乾燥された抗原は、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物にとって望ましいケーキ特徴、例えば、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもないこと;十分に乾燥していること;細粉をもたらす、容易に砕けやすいケーキであること;および適切な耐湿性を有することができる。粘膜送達用に使用される賦形剤は、水不溶性でありゲル形成しない賦形剤である微結晶セルロースであってよい。賦形剤は、粉末の流動性を向上させ、凍結乾燥された抗原の耐湿性を高め、粘膜表面に粉末を均一かつ広範囲に送達し、送達器具から粉末を効果的に送達し、かつ粘膜表面での粉末の滞留時間を延長することができる。
【0026】
いくつかの局面において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、室温で安定であることができる。このことは、液状インフルエンザワクチンと比べて進歩している。液状インフルエンザワクチンは室温で不安定であり、費用がかかる冷却条件下での保管および流通(例えば、コールドチェーン流通)を必要とし得る。トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される第1のサッカライド、およびマンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される第2のサッカライドを含む液状抗原混合物が、調製される。本明細書において説明される方法は、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される第1のサッカライド、およびマンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される第2のサッカライドを用いて、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物にとって望ましいケーキ特徴、例えば、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもないこと;および十分に乾燥していること;細粉をもたらす、容易に砕けやすいケーキであること;ならびに適切な耐湿性を有している凍結乾燥された抗原を提供することができる。
【0027】
いくつかの局面において、粉末化された抗原は、急速凍結段階を用いずに凍結乾燥機器の内部で完了される、凍結段階、アニーリング段階、および乾燥段階を含む、凍結乾燥方法によって製造され得る。凍結乾燥された抗原は、1種または複数種の賦形剤、例えば、水不溶性でありゲル形成しない経鼻担体(例えば微結晶セルロース)および/または流動化剤(例えば三塩基性リン酸カルシウム)と混合され得る。賦形剤は、凍結乾燥された抗原の流動性を向上させ、凍結乾燥された抗原の耐湿性を高め、送達器具から(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を均一かつ広範囲に送達することができる。
【0028】
いくつかの局面において、本明細書において提供される方法は、ワクチンの有効性を高めることを可能にできる。これらの方法は、局所的免疫応答、例として、(例えば粘膜sIgAを含む)粘膜免疫応答を促進できる乾燥ワクチン粉末組成物を作製するための段階を含むことができる。sIgAは、変異インフルエンザウイルス(例として、パンデミックインフルエンザワクチンとして使用され得る(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物)および/または遺伝的浮動を経験したウイルスに対する交差防御を提供することができる。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物、例えば、鼻用の乾燥インフルエンザ粉末製剤は、遠位の粘膜部位の保護を誘導することができる。例えば、鼻粘膜に本開示のワクチンを導入することにより、保護(例えば、上気道、下気道、胃腸管、および腟におけるsIgA産生)をもたらすことができる。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、(例えば、血清IgGを産生する)全身免疫応答を促進することができる。いくつかの態様において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物はアジュバントを含まない。
【0029】
いくつかの局面において、本開示は、1種または複数種のウイルス抗原または細菌抗原;トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される、粉末化された液状抗原に添加される第1のサッカライド;マンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される、粉末化された液状抗原に添加される第2のサッカライド;および粉末化された抗原と混合するために添加される賦形剤としての、比表面積が少なくとも1.3m2/gであり平均粒径が100ミクロン未満である微結晶セルロースを含む、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を提供する。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、またはファージである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、またはムンプスウイルスである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、またはアストロウイルスである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、または狂犬病ウイルスである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌である。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、不活化全粒子インフルエンザウイルス抗原である。いくつかの態様において、前記第1のサッカライドおよび前記第2のサッカライドの総量は、液状抗原混合物1mL当たり50mgより多い。いくつかの態様において、前記第2のサッカライドは、液状抗原混合物中に添加される第1のサッカライドに対して重量%で1:0.8~1:3の間の比で添加される。いくつかの態様において、前記液状抗原は、塩濃度が0.25~3%(重量/体積)であるリン酸緩衝生理食塩水に溶かされている。いくつかの態様において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、さらにアジュバントを含む。いくつかの態様において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、鼻腔内送達用である。
【0030】
いくつかの局面において、本開示は、以下を含む、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製するための方法を提供する:1種または複数種の抗原、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される第1のサッカライド、およびマンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される第2のサッカライドを含む液状調製物を調製する工程、ならびに、急速凍結段階を用いずアニーリング段階を用いて前記液状抗原混合物を凍結乾燥する工程;ならびに、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製するために、凍結乾燥された抗原を、賦形剤としての比表面積が少なくとも1.3m2/gであり平均粒径が100ミクロン未満である少なくとも微結晶セルロースと混合する工程。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、またはファージである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、またはムンプスウイルスである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、またはアストロウイルスである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、もしくはE型肝炎ウイルス、または狂犬病ウイルスである。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌である。いくつかの態様において、前記1種または複数種の抗原の少なくとも1つは、不活化全粒子インフルエンザウイルス抗原である。いくつかの態様において、前記第1のサッカライドは、液状抗原混合物1mL当たり5~250mgの量で添加される。いくつかの態様において、前記第2のサッカライドは、液状抗原混合物中に添加される第1のサッカライドに対して1:0.8~1:3の重量比で添加される。いくつかの態様において、前記第1のサッカライドの大部分は、抗原を凍結乾燥した後に非結晶として形成される。いくつかの態様において、前記第2のサッカライドの少なくとも20重量%は、抗原を凍結乾燥した後に結晶として形成される。いくつかの態様において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、アジュバントを含まない。いくつかの態様において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、鼻腔内送達用である。
【0031】
いくつかの局面において、本開示は、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を対象に投与することによって、抗原に対する対象の感染を防御する方法であって、該粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物が、1種または複数種の抗原を含み、該(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物中の粉末化された抗原が、急速凍結段階を用いずアニーリング段階を用いる凍結乾燥方法によって作製される、方法を提供する。いくつかの態様において、防御は、対象における抗原に対する粘膜sIgA免疫応答ならびに血清IgG免疫応答の促進に基づいている。いくつかの態様において、防御は、対象における抗原に対する粘膜sIgA免疫応答および細胞性免疫応答ならびに血清IgG免疫応答の促進に基づいている。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、またはファージを含む。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、またはムンプスウイルスを含む。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、またはアストロウイルスを含む。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、もしくはE型肝炎ウイルス、または狂犬病ウイルスを含む。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌を含む。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、不活化全粒子インフルエンザウイルス抗原を含む。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、不活化全粒子インフルエンザウイルス抗原を含む。いくつかの態様において、前記粉末ワクチン組成物は、アジュバントを含まない。いくつかの態様において、前記(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、鼻腔内送達用である。
【0032】
いくつかの局面において、本開示は、本明細書において開示される方法によって作製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物用の鼻腔内送達器具を提供する。
【0033】
いくつかの局面において、本開示は、例えば乾燥粉末状の鼻腔内投与用のワクチン組成物およびそれらの調製方法に関する。いくつかの態様において、ワクチン組成物は、粘膜免疫ならびに全身免疫を効果的に誘導する。いくつかの態様において、本明細書のワクチン組成物は、粘膜送達のために使用される。いくつかの態様において、本明細書のワクチン組成物は、湿気に対する耐性が高い。いくつかの態様において、本明細書のワクチン組成物は、粉末形態で、対応する液状ワクチン組成物と比べて同等または上回る抗原能力を有している。いくつかの態様において、本明細書のワクチン組成物は、粘膜に均一または不均一に送達される。
【0034】
1種または複数種の抗原、抗原の粉末化に必要とされるサッカライド、抗原の粉末化のための1種または複数種の緩衝液、および粘膜送達のための1種または複数種の賦形剤を含む(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物が、本明細書において開示される。抗原は、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、およびファージであってよい。抗原は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、またはムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、またはアストロウイルス、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、もしくはE型肝炎ウイルス、または狂犬病ウイルス、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌であってよい。抗原の粉末化のために使用されるサッカライドは、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される第1のサッカライド、およびマンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される第2のサッカライドであってよい。抗原の粉末化のために使用される緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。粘膜送達用に使用される賦形剤は、非水溶性でありゲル形成しない賦形剤である微結晶セルロースであってよい。本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、室温および60%の相対湿度において少なくとも12ヶ月間、安定であることができる。
【0035】
抗原、サッカライド、および緩衝液を含む液状抗原混合物を調製する工程;急速凍結段階も噴霧凍結段階も用いない、凍結段階、アニーリング段階、および乾燥段階を含む、該液状抗原混合物を凍結乾燥する工程; (例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製するために、凍結乾燥された抗原を1種または複数種の賦形剤と混合する工程を含む、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製するための方法もまた、本明細書において提供される。抗原は、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、およびファージであってよい。抗原は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、またはムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、またはアストロウイルス、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、もしくはE型肝炎ウイルス、または狂犬病ウイルス、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌であってよい。抗原の粉末化のために使用されるサッカライドは、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される第1のサッカライド、およびマンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される第2のサッカライドであってよい。抗原の粉末化のために使用される緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。粘膜送達用に使用される賦形剤は、非水溶性でありゲル形成しない賦形剤である微結晶セルロースであってよい。凍結乾燥された抗原は、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物にとって望ましいケーキ特徴、すなわち、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもないこと;十分に乾燥していること;細粉をもたらす、容易に砕けやすいケーキであること;および適切な耐湿性、の内の1つまたは複数を有することができる。粘膜送達用に使用される賦形剤は、非水溶性でありゲル形成しない賦形剤であることができる微結晶セルロースであってよい。賦形剤は、粉末の流動性を向上させ、凍結乾燥された抗原の耐湿性を高め、粘膜表面に粉末を均一かつ広範囲に送達し、送達器具から粉末を効果的に送達し、かつ粘膜表面での粉末の滞留時間を延長することができる。本明細書の方法によって製造される(例えば乾燥粉末状の)いくつかのワクチン組成物は、アジュバントを含まない。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、室温および60%の相対湿度において少なくとも12ヶ月間、安定であることができる。
【0036】
本明細書において提供される別の方法は、抗原を含む(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を対象に投与することによって、対象における抗原に対する粘膜免疫応答ならびに全身免疫応答を促進する方法であり、その際、アニーリング段階を用い急速凍結段階も噴霧凍結段階も用いずに凍結乾燥し、次いで、粘膜送達のための賦形剤を混合することによって、乾燥粉末製剤が作製される。粘膜免疫応答によって産生されるsIgA抗体は、投与部位で、かつ/または投与部位以外の粘膜部位で、刺激され得る。投与は鼻腔内であってよい。抗原は、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、およびファージであってよい。抗原は、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルス、メタニューモウイルス、ボカウイルス、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス、パルボウイルスB19、エンテロウイルス、またはムンプスウイルス、ヒトパピローマウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サポウイルス、またはアストロウイルス、西ナイルウイルス、デングウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ラッサウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、もしくはE型肝炎ウイルス、または狂犬病ウイルス、百日咳菌トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルス・インフルエンザb型、結核菌、肺炎連鎖球菌、チフス菌、ペスト菌、コレラ菌であってよい。抗原の粉末化のために使用されるサッカライドは、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される第1のサッカライド、およびマンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される第2のサッカライドであってよい。抗原の粉末化のために使用される緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。粘膜送達用に使用される賦形剤は、非水溶性でありゲル形成しない賦形剤である微結晶セルロースであってよい。賦形剤は、粉末の流動性を向上させ、凍結乾燥された抗原の耐湿性を高め、粘膜表面に粉末を均一かつ広範囲に送達し、送達器具から粉末を効果的に送達し、かつ粘膜表面での粉末の滞留時間を延長することができる。本明細書の方法によって製造される(例えば乾燥粉末状の)いくつかのワクチン組成物は、アジュバントを含まない。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、室温および60%の相対湿度において少なくとも12ヶ月間、安定であることができる。
【0037】
本明細書において開示される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の投与用の器具も、本明細書において提供される。
【0038】
II 凍結乾燥された抗原を作製する際に使用するための液状抗原混合物
いくつかの局面において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物に含まれる凍結乾燥された抗原を作製するために、液状抗原混合物を最初に作製してよい。液状抗原混合物は、1種または複数種の抗原、1種または複数種のサッカライド、および1種または複数種の緩衝液を含んでよい。
【0039】
いくつかの局面において、液状抗原混合物の体積は、約0.1mL、1.0mL、10mL、25mL、50mL、100mL、250mL、500mL、1L、10L、50L、100L、250L、500L、または1000Lであってよい。液状抗原混合物の体積は、約0.1mL、1.0mL、10mL、25mL、50mL、100mL、250mL、500mL、1L、10L、50L、100L、250L、500L、または1000Lより多くてもよい。液状抗原混合物の体積は、約0.01~1mL、約1~10mL、約10~50mL、約50~100mL、約1~1000mL、約100~1000mL、約1~10L、約10~50L、約50~100L、約100~500L、約100~1000L、または約1~1000Lであってよい。
【0040】
A 抗原成分
いくつかの局面において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製する方法を用いて、弱毒化生ウイルス、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、サブユニット抗原、ビロソーム、抗原タンパク質、抗原ペプチド、抗原タンパク質を含むウイルス様粒子、抗原ペプチドを含むウイルス様粒子、低温馴化生ウイルス、死滅全細菌、弱毒化細菌、細菌トキソイド、細菌の抗原性多糖、ヌクレオチド、およびファージを含むワクチンを製造することができる。
【0041】
いくつかの局面において、培養細胞中での増殖にウイルスを順応させると、天然の宿主に対する病原性が徐々に失われる場合がある。病原性は、例えば点変異の蓄積によって与えられ得る。遺伝子工学を用いて、例えば、温度感受性変異体の作製、欠失変異体の作製、部位特異的変異誘発、または組換え生ウイルスの作製により、ウイルス弱毒化を達成することができる。
【0042】
いくつかの局面において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製する方法を用いて、不活化全粒子ウイルスを含むワクチンを製造することができる。不活化ウイルスは、例えば、紫外線、低pH(例えば、酸、例えば、カプリル酸)、低温殺菌、溶媒/界面活性剤、チオシアン酸ナトリウム、ホルマリン、β-プロピオラクトン、またはエチレンイミンを用いることによって作製することができる。紫外線は、核酸二量体を作り出すことによって、DNAをすっかり損傷させることができ、これにより、遺伝物質の複製を妨害することによってウイルスを不活化することができる。一部のウイルスは、pHの低い溶液に曝露されると変性する。この方法は、エンベロープウイルスに対して使用される場合に特に有効であり得る。低温殺菌は、温度によって誘導される変性によってウイルスを不活化することができる。溶媒/界面活性剤による不活化は、脂質コートに包まれたウイルスに対してのみ有効である。使用される界面活性剤は、典型的にはTriton-X 100である。チオシアン酸ナトリウムは、ウイルスのタンパク質コートを変性させて、ウイルスを不活性にすることができる。ホルマリンは、ウイルスコートの表面タンパク質を化学的に改変することができ、それにより感染を防ぐことができる。エチレンイミンおよびβ-プロピオラクトンは、タンパク質コートの大部分を未改変のままにしつつ、ウイルスの核酸に作用することができる。不活化により、ウイルスの免疫原性を維持しつつ、ウイルスの感染性を消失させることができる。不活化ウイルスの複数回の適用を対象に対して行うことができる。
【0043】
いくつかの局面において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製する方法を用いて、1種または複数種の病原体に由来する1種または複数種の抗原を含むワクチン(例えばワクチンタンパク質)を製造することができる。抗原タンパク質は、ワクチンが製造される対象である任意の病原体に由来してよい。例えば、ワクチンがインフルエンザウイルスを標的とする場合、抗原タンパク質は、ヘマグルチニン(HA)および/またはノイラミニダーゼ(NA)であってよい。ヘマグルチニンは、抗原性糖タンパク質であり、インフルエンザAウイルスの主要表面タンパク質である。これは、細胞表面のシアル酸を含む受容体に結合することにより、インフルエンザウイルスと感染される細胞との結合を媒介する。細胞表面に結合されたウイルス粒子は、エンドソーム中に貪食される。エンドソーム内部で、HAはウイルス膜とエンドソーム膜の融合を媒介して、細胞中にウイルスゲノムを放出する。構造的には、HAは、3つの同一のモノマーからなり、これらがまとまって、らせん状のコイルになっている。機能ブロッキング抗体は、HAの細胞結合機能または膜融合機能のいずれかを阻害し得る。ノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルスの表面に存在する別の糖タンパク質である。NAは、糖タンパク質からシアル酸基を切断することによって機能する酵素である。この切断は、ウイルスの凝集を防止すること、および細胞表面から子孫ウイルスを遊離させること、という2つの機能を果たすと思われる。
【0044】
いくつかの態様において、ワクチン抗原は、HA1、HA2、HA3、HA4、HA5、HA6、HA7、HA8、HA9、HA10、HA11、HA12、HA13、HA14、HA15、またはHA16であってよい。いくつかの態様において、ワクチン抗原は、NA1、NA2、NA3、NA4、NA5、NA6、NA7、NA8、またはNA9であってよい。HA亜型および/またはNA亜型から調製されるワクチンは、個々にまたは任意の組合せで使用され得る。例えば、様々なHA抗原およびNA抗原の2種もしくはそれ以上が、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の製造時に混合されてもよく、または個々のHA抗原およびNA抗原の乾燥粉末製剤が組み合わせられてもよい。抗原タンパク質は、病原体に由来する表面タンパク質であってよい。抗原タンパク質は、組換えによって製造することができる。例えば、関心対象の抗原をコードする核酸を原核細胞(例えば細菌)、真核細胞(例えば、酵母細胞および昆虫細胞)に導入することができ、タンパク質を発現させ、それらの細胞から精製することができる。病原体がウイルスである場合、ビリオンの必須ではない構成要素は、(例えば、エーテルおよび界面活性剤を用いて)除去することができる。
【0045】
いくつかの態様において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製する方法を用いて、ビロソームワクチンを製造することができる。ビロソームワクチンは、天然ウイルスの遺伝物質を含まない再構成されたウイルスエンベロープでできたウイルス様粒子を含む。インフルエンザビロソームは、HAタンパク質およびNAタンパク質が挿入された単層のリン脂質二重層からなる小胞である。ビロソームは遺伝物質を有していないため、感染性ではない。
【0046】
いくつかの態様において、液状抗原混合物中の抗原タンパク質(例えば、抗原または抗原を含む成分)の濃度は、約0.05mg/mL~10mg/mL、約0.1mg/mL~10mg/mL、約0.1mg/mL~5mg/mL、約0.1mg/mL~2.5mg/mL、約0.1mg/mL~1mg/mL、約0.1mg/mL~0.5mg/mL、約0.5mg/mL~1mg/mL、約0.05mg/mL~1mg/mL、または約0.05mg/mL~2.5mg/mLであってよい。液状抗原混合物中の抗原タンパク質(例えば、抗原または抗原を含む成分)の濃度は、約0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、1.0mg/mL、1.1mg/mL、1.2mg/mL、1.3mg/mL、1.4mg/mL、1.5mg/mL、1.6mg/mL、1.7mg/mL、1.8mg/mL、1.9mg/mL、2.0mg/mL、2.5mg/mL、3mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、4.5mg/mL、5mg/mL、5.5mg/mL、6mg/mL、6.5mg/mL、7.0mg/mL、8.0mg/mL、8.5mg/mL、9mg/mL、または10mg/mLであってよい。液状抗原混合物中の抗原タンパク質(例えば、抗原または抗原を含む成分)の濃度は、約0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、1.0mg/mL、1.1mg/mL、1.2mg/mL、1.3mg/mL、1.4mg/mL、1.5mg/mL、1.6mg/mL、1.7mg/mL、1.8mg/mL、1.9mg/mL、2.0mg/mL、2.5mg/mL、3mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、4.5mg/mL、5mg/mL、5.5mg/mL、6mg/mL、6.5mg/mL、7.0mg/mL、8.0mg/mL、8.5mg/mL、9mg/mL、または10mg/mLより高くてよい。
【0047】
いくつかの態様において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を用いて、1種または複数種のインフルエンザウイルスによる感染を予防および/または治療することができる。インフルエンザウイルスは、5つの属、すなわちインフルエンザウイルスA、インフルエンザウイルスB、インフルエンザウイルスC、イサウイルス(Isavirus)、およびトゴトウイルス(Thogotovirus)を含む、ウイルスのオルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae)科に属する。ドーリ(Dhori)ウイルスは、トゴトウイルス属の種である。インフルエンザウイルスは、ヒトおよび他の種に感染することができる。インフルエンザウイルスA型は、ヒト、トリ、ブタ、ウマ、アザラシ、および他の動物に感染することができる。野生のトリは、これらのウイルスの天然宿主であり得る。インフルエンザウイルスA型は、亜型に分けることができ、ウイルス表面の2種のタンパク質、すなわちヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)に基づいて名付けることができる。例えば、「H7N2ウイルス」は、HA7タンパク質およびNA2タンパク質を有しているインフルエンザA亜型を表す。同様に、「H5N1」ウイルスは、HA5タンパク質およびNA1タンパク質を有している。いくつかの態様において、HA亜型およびNA亜型の任意の組合せが本明細書において開示される。任意の数のHA亜型(HA1、HA2、HA3、HA4、HA5、HA6、HA7、HA8、HA9、HA10、HA11、HA12、HA13、HA14、HA15、およびHA16)を任意の数のNA亜型(NA1、NA2、NA3、NA4、NA5、NA6、NA7、NA8、およびNA9)と組み合わせて、感染症を予防または治療するためのワクチンを製造することができる。HA亜型およびNA亜型はまた、感染を予防または治療するためのワクチン中で個々に使用されてもよい。異なる亜型ワクチンを、使用時に順次または同時に組み合わせて、感染症を予防または治療することができる。いくつかのインフルエンザA亜型(例えば、H1N1、H1N2、およびH3N2)は、現在、人間の全身循環中に存在している。他の亜型を、他の動物種において発見することができる。例えば、H7N7ウイルスおよびH3N8ウイルスは、ウマの疾患を引き起こす場合があり、H3N8はまた、イヌの疾患を引き起こすことも最近示されている(http://www.cdc.gov/flu/avian/gen-info/flu-viruses)。
【0048】
いくつかの局面において、抗ウイルス剤を用いて、高リスク群(例えば、病棟にいる個体、高齢者の世話をする施設にいる個体、または免疫抑制された個体)を保護することができる。抗ウイルス剤の有望な用途は、例えばトリH5N1が原因であるかインフルエンザウイルスの別の株(例えばH1N1)が原因であるかを問わず、将来的なパンデミックの拡大および深刻さを限定することである。H5N1ウイルス、H7N7ウイルス、およびH7N3ウイルスを含む、亜型H5および亜型H7のトリインフルエンザAウイルスは、高い病原性に関連付けられており、これらのウイルスへのヒト感染は、軽度の疾患(例えば、H7N3、H7N7)から重症で致死的な疾患(例えば、H7N7、H5N1)まで様々である。極めて軽度の症状(例えば結膜炎)からインフルエンザに似た疾患を含む、低病原性ウイルスへの感染に起因するヒト疾患が文書に記録されている。ヒトに感染した低病原性ウイルスの例には、H7N7、H9N2、およびH7N2が含まれる。(http://www.cdc.gov/flu/avian/gen-info/flu-viruses)。
【0049】
いくつかの態様において、インフルエンザBウイルスは、ヒトにおいて発見することができ、アザラシに感染することもできる。インフルエンザAウイルスとは違って、これらのウイルスは亜型に基づいて分類されていない。インフルエンザBウイルスは、ヒトの病的状態および死亡の原因となり得るが、通常は、インフルエンザAウイルスより重症度の低いエピデミックに関連付けられている。インフルエンザB型ウイルスは、ヒトのエピデミックの原因となり得るが、パンデミックを引き起こしたことはない。(http://www.cdc.gov/flu/avian/gen-info/flu-viruses)。
【0050】
いくつかの態様において、インフルエンザC型ウイルスは、ヒトの軽度の疾患の原因となり得、エピデミックもパンデミックも引き起こさない。これらのウイルスはまた、イヌおよびブタに感染することもできる。これらのウイルスは亜型に基づいて分類されていない。(http://www.cdc.gov/flu/avian/gen-info/flu-viruses)。
【0051】
いくつかの態様において、本明細書において説明される方法および組成物は、任意のウイルスによる感染の予防および/または治療に有用であり得、これらのウイルスには、例えば、次のものが含まれる:エーベルソン白血病ウイルス、エーベルソンマウス白血病ウイルス、エーベルソンウイルス、急性喉頭気管気管支炎ウイルス、アデレードリバーウイルス、アデノ随伴ウイルス群、アデノウイルス(Adenovirus)、アフリカウマ病ウイルス、アフリカブタ熱ウイルス、AIDSウイルス、アリューシャンミンク病パルボウイルス、アルファレトロウイルス(Alpharetrovirus)、アルファウイルス(Alphavirus)、AVL関連ウイルス、アマパリウイルス、アフトウイルス(Aphthovirus)、アクアレオウイルス(Aquareovirus)、アルボウイルス(Arbovirus)、アルボウイルスC、アルボウイルスA群、アルボウイルスB群、アレナウイルス(Arenavirus)群、アルゼンチン出血熱ウイルス、アルゼンチン出血熱ウイルス、アルテリウイルス(Arterivirus)、アストロウイルス(Astrovirus)、アテリンヘルペスウイルス群、オーエスキー病ウイルス、アウラウイルス、オースダック(Ausduk)病ウイルス、オーストラリアコウモリリッサウイルス、アビアデノウイルス(Aviadenovirus)、トリ赤芽球症ウイルス、トリ感染性気管支炎ウイルス、トリ白血病ウイルス、トリ白血症ウイルス、トリリンパ腫症ウイルス、トリ骨髄芽球症ウイルス、トリパラミクソウイルス、トリ肺脳炎ウイルス、トリ細網内皮症ウイルス、トリ肉腫ウイルス、トリC型レトロウイルス群、アビヘパドナウイルス(Avihepadnavirus)、アビポックスウイルス(Avipoxvirus)、Bウイルス、B19ウイルス、ババンキウイルス、ヒヒヘルペスウイルス、バキュロウイルス、バーマフォレストウイルス、ベバルウイルス、ベリマー(Berrimah)ウイルス、ベータレトロウイルス(Betaretrovirus)、ビルナウイルス(Birnavirus)、ビットナーウイルス、BKウイルス、ブラッククリークカナルウイルス、ブルータングウイルス、ボリビア出血熱ウイルス、ボルナ病ウイルス、羊ボーダー病ウイルス、ボルナウイルス、ウシアルファヘルペスウイルス1型、ウシアルファヘルペスウイルス2型、ウシコロナウイルス、ウシ一過性熱ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、ウシ白血病ウイルス、ウシ白血症ウイルス、ウシ乳頭炎ウイルス、ウシパピローマウイルス、ウシ丘疹性口内炎ウイルス、ウシパルボウイルス、ウシ合胞体ウイルス、ウシC型オンコウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、バギークリークウイルス、弾丸型ウイルス群、ブニヤンベラウイルススーパーグループ、ブニヤウイルス(Bunyavirus)、バーキットリンパ腫ウイルス、ブワンバ熱、CAウイルス、カリシウイルス(Calicivirus)、カリフォルニア脳炎ウイルス、ラクダ痘ウイルス、カナリア痘ウイルス、イヌ科ヘルペスウイルス、イヌコロナウイルス、イヌジステンパーウイルス、イヌヘルペスウイルス、イヌ微小ウイルス、イヌパルボウイルス、カノデルガジトウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ヤギ脳炎ウイルス、ヤギヘルペスウイルス、カプリポックスウイルス(Capripox virus)、カルジオウイルス(Cardiovirus)、テンジクネズミ科ヘルペスウイルス1型、オナガザル科(Cercopithecid)ヘルペスウイルス1型、オナガザルヘルペスウイルス1型、オナガザルヘルペスウイルス2型、チャンディプラウイルス、チャングイノラウイルス、ブチナマズウイルス、シャルルヴィルウイルス、水痘ウイルス、チクングニアウイルス、チンパンジーヘルペスウイルス、チャブレオウイルス、シロザケウイルス、球菌ウイルス、ギンザケレオウイルス、こう疹ウイルス、コロラドダニ熱ウイルス、コルチウイルス(Coltivirus)、コロンビアSKウイルス、風邪ウイルス、伝染性膿瘡ウイルス、伝染性膿疱性皮膚炎ウイルス、コロナウイルス(Coronavirus)、コリパルタウイルス、コリーザウイルス、牛痘ウイルス、コクサッキーウイルス、CPV(cytoplasmic polyhedrosis virus)、コオロギ麻痺ウイルス、クリミア-コンゴ出血熱ウイルス、クループ関連ウイルス、クリプトウイルス(Cryptovirus)、サイポウイルス(Cypovirus)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、サイトメガロウイルス群、細胞質多角体病ウイルス、シカパピローマウイルス、デルタレトロウイルス、デングウイルス、デンソウイルス(Densovirus)、デペンドウイルス(Dependovirus)、ドーリウイルス、ジプロルナ(diplorna)ウイルス、ショウジョウバエCウイルス、アヒルB型肝炎ウイルス、アヒル肝炎ウイルス1型、アヒル肝炎ウイルス2型、デュオウイルス(duovirus)、ドゥベンヘイグウイルス、翅変形ウイルスDWV、東部ウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳脊髄炎ウイルス、EBウイルス、エボラウイルス、エボラ様ウイルス、エコーウイルス、エコーウイルス、エコーウイルス10型、エコーウイルス28型、エコーウイルス9型、エクトロメリアウイルス、EEEウイルス、EIAウイルス、EIAウイルス、脳炎ウイルス、脳心筋炎群ウイルス、脳心筋炎ウイルス、エンテロウイルス(Enterovirus)、酵素上昇ウイルス、酵素上昇ウイルス(LDH)、流行性出血熱ウイルス、動物間流行性出血性疾患ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ウマアルファヘルペスウイルス1型、ウマアルファヘルペスウイルス4型、ウマヘルペスウイルス2型、ウマ流産ウイルス、ウマ動脈炎ウイルス、ウマ脳症ウイルス、ウマ伝染性貧血ウイルス、ウマモルビリウイルス、ウマ鼻肺炎ウイルス、ウマライノウイルス、ユーベナング(Eubenangu)ウイルス、ヨーロッパヘラジカパピローマウイルス、ヨーロッパブタ熱ウイルス、エバグレーズウイルス、ヤッチ(Eyach)ウイルス、ネコヘルペスウイルス1型、ネコカリシウイルス、ネコ線維肉腫ウイルス、ネコヘルペスウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ネコ伝染性腹膜炎ウイルス、ネコ白血病/肉腫ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ネコ合胞体ウイルス、フィロウイルス(Filovirus)、フランダーズウイルス、フラビウイルス(Flavivirus)、口蹄疫ウイルス、フォートモーガンウイルス、フォーコーナーズハンタウイルス、トリアデノウイルス1型、鶏痘ウイルス、フレンドウイルス、ガンマレトロウイルス(Gammaretrovirus)、GB肝炎ウイルス、GBウイルス、風疹ウイルス、ゲタウイルス、テナガザル白血病ウイルス、腺熱ウイルス、ヤギ痘ウイルス、ゴールデンシンナーウイルス、ゴノメタウイルス、ガチョウパルボウイルス、顆粒病ウイルス、グロスウイルス、ジリスB型肝炎ウイルス、A群アルボウイルス、グアナリトウイルス、モルモットサイトメガロウイルス、モルモットC型ウイルス、ハンターンウイルス、ハンタウイルス(Hantavirus)、ホンビノスガイレオウイルス、野ウサギ線維腫ウイルス、HCMV(human cytomegalovirus)、赤血球吸着ウイルス2型、センダイウイルス、出血熱ウイルス、ヘンドラウイルス、ヘニパウイルス(Henipaviruses)、ヘパドナウイルス(Hepadnavirus)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス群、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、デルタ肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、F型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、非A非B型肝炎ウイルス、肝炎ウイルス、肝炎ウイルス(非ヒト)、肝脳脊髄炎レオウイルス3型、ヘパトウイルス(Hepatovirus)、サギB型肝炎ウイルス、ヘルペスBウイルス、単純ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヘルペスウイルス、ヘルペスウイルス7型、ヘルペスウイルス・アテレス(Herpesvirus ateles)、ヒトヘルペスウイルス(Herpesvirus hominis)、ヘルペスウイルス感染、リスザルヘルペスウイルス(Herpesvirus saimiri)、ブタヘルペスウイルス(Herpesvirus suis)、水痘ヘルペスウイルス、ハイランド(Highlands)Jウイルス、ヒラメラブドウイルス、ブタコレラウイルス、ヒトアデノウイルス2型、ヒトアルファヘルペスウイルス1型、ヒトアルファヘルペスウイルス2型、ヒトアルファヘルペスウイルス3型、ヒトBリンパ球向性ウイルス、ヒトベータヘルペスウイルス5型、ヒトコロナウイルス、ヒトサイトメガロウイルス群、ヒト泡沫状ウイルス、ヒトガンマヘルペスウイルス4型、ヒトガンマヘルペスウイルス6型、ヒトA型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス1群、ヒトヘルペスウイルス2群、ヒトヘルペスウイルス3群、ヒトヘルペスウイルス4群、ヒトヘルペスウイルス6型、ヒトヘルペスウイルス8型、ヒト免疫不全ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型、ヒト免疫不全ウイルス2型、ヒトパピローマウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルスI型、ヒトT細胞白血病ウイルスII型、ヒトT細胞白血病ウイルスIII型、ヒトT細胞リンパ腫ウイルスI型、ヒトT細胞リンパ腫ウイルスII型、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス1型、ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス2型、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型、ヒトTリンパ球向性ウイルスII型、ヒトTリンパ球向性ウイルスIII型、イクノウイルス(Ichnovirus)、乳児胃腸炎ウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、伝染性造血器壊死症ウイルス、伝染性膵臓壊死症ウイルス、インフルエンザウイルスA型、インフルエンザウイルスB型、インフルエンザウイルスC型、インフルエンザウイルスD型、インフルエンザウイルスpr8、昆虫イリデッセントウイルス、昆虫ウイルス、イリドウイルス、日本Bウイルス、日本脳炎ウイルス、JCウイルス、フニンウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、ケメロボウイルス、キルハムラットウイルス、クラマスウイルス、コロンゴウイルス、韓国型出血熱ウイルス、クンバ(kumba)ウイルス、キサヌール森林病ウイルス、キジラガーシュウイルス、ラクロスウイルス、乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス、ラゴスコウモリウイルス、ラングールウイルス、ウサギパルボウイルス、ラッサ熱ウイルス、ラッサウイルス、ラット潜伏性ウイルス、LCMウイルス、リーキー(Leaky)ウイルス、レンチウイルス(Lentivirus)、レポリポックスウイルス(Leporipoxvirus)、白血病ウイルス、ロイコウイルス、ランピースキン病ウイルス、リンパ節症関連ウイルス、リンホクリプトウイルス(Lymphocryptovirus)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、リンパ増殖性ウイルス群、マチュポウイルス、仮性狂犬病ウイルス、哺乳類B型オンコウイルス群、哺乳類B型レトロウイルス、哺乳類C型レトロウイルス群、哺乳類D型レトロウイルス、乳腺腫瘍ウイルス、マプエラウイルス、マルブルクウイルス、マルブルク様ウイルス、マソン・ファイザー・サルウイルス、マストアデノウイルス(Mastadenovirus)、マヤロウイルス、MEウイルス、麻疹ウイルス、メナングルウイルス、メンゴウイルス、メンゴウイルス(Mengovirus)、ミデルブルグウイルス、搾乳者結節ウイルス、ミンク腸炎ウイルス、マウス微小ウイルス、MLV関連ウイルス、MMウイルス、モコラウイルス、モルシポックスウイルス(Molluscipoxvirus)、伝染性軟属腫ウイルス、サルBウイルス、サル痘ウイルス、モノネガウイルス(Mononegavirales)、モルビリウイルス(Morbillivirus)、マウントエルゴンコウモリウイルス、マウスサイトメガロウイルス、マウス脳脊髄炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、マウスKウイルス、マウス白血病ウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、マウス微小ウイルス、マウス肺炎ウイルス、マウス灰白髄炎ウイルス、マウスポリオーマウイルス、マウス肉腫ウイルス、マウス痘ウイルス、モザンビークウイルス、ムカンボウイルス、粘膜病ウイルス、ムンプスウイルス、ネズミ科ベータヘルペスウイルス1型、ネズミ科サイトメガロウイルス2型、マウスサイトメガロウイルス群、マウス脳脊髄炎ウイルス、マウス肝炎ウイルス、マウス白血病ウイルス、マウス小結節誘発ウイルス、マウスポリオーマウイルス、マウス肉腫ウイルス、ムロメガロウイルス(Muromegalovirus)、マリーバレー脳炎ウイルス、粘液腫ウイルス、ミクソウイルス(Myxovirus)、ミクソウイルス・マルチフォルム(Myxovirus multiforme)、ミクソウイルス・パロチチジス(Myxovirus parotitidis)、ナイロビヒツジ病ウイルス、ナイロウイルス(Nairovirus)、ナニルナウイルス(Nanirnavirus)、ナリバ(Nariva)ウイルス、ンデュモ(Ndumo)ウイルス、ニースリングウイルス、ネルソン湾ウイルス、神経向性ウイルス、新世界アレナウイルス、新生児肺臓炎ウイルス、ニューカッスル
病ウイルス、ニパウイルス、非細胞変性ウイルス、ノーウォークウイルス、核多角体病ウイルス(NPV)、ニップルネック(nipple neck)ウイルス、オニョンニョンウイルス、オッケルボウイルス、腫瘍ウイルス、腫瘍ウイルス様粒子、オンコルナウイルス、オルビウイルス(Orbivirus)、オルフウイルス、オロポーシェウイルス、オルトヘパドナウイルス(Orthohepadnavirus)、オルトミクソウイルス(Orthomyxovirus)、オルトポックスウイルス(Orthopoxvirus)、オルトレオウイルス(Orthoreovirus)、オルンゴ(Orungo)、ヒツジパピローマウイルス、ヒツジカタル熱ウイルス、ヨザルヘルペスウイルス、パリアムウイルス、パピローマウイルス(Papillomavirus)、ウサギパピローマウイルス(Papillomavirus sylvilagi)、パポバウイルス(Papovavirus)、パラインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス3型、パラインフルエンザウイルス4型、パラミクソウイルス(Paramyxovirus)、パラポックスウイルス(Parapoxvirus)、パラワクシニアウイルス、パルボウイルス(Parvovirus)、パルボウイルスB19、パルボウイルス群、ペスチウイルス(Pestivirus)、フレボウイルス(Phlebovirus)、アザラシジステンパーウイルス、ピコドナウイルス(Picodnavirus)、ピコルナウイルス(Picornavirus)、ブタサイトメガロウイルス、鳩痘ウイルス、ピリ(Piry)ウイルス、ピクスナ(Pixuna)ウイルス、マウス肺炎ウイルス、ニューモウイルス(Pneumovirus)、灰白髄炎ウイルス、ポリオウイルス、ポリドナウイルス(Polydnavirus)、多角体ウイルス、ポリオーマウイルス、ポリオーマウイルス(Polyomavirus)、ウシポリオーマウイルス(Polyomavirus bovis)、オナガザルポリオーマウイルス(Polyomavirus cercopi theci)、ヒトポリオーマウイルス(Polyomavirus hominis)2型、ポリオーマウイルス・マカカエ(Polyomavirus maccacae)1型、ネズミポリオーマウイルス(Polyomavirus muris)1型、ネズミポリオーマウイルス2型、ヒヒポリオーマウイルス(Polyomavirus papionis)1型、ヒヒポリオーマウイルス2型、ウサギポリオーマウイルス(Polyomavirus sylvilagi)、ポンギンヘルペスウイルス1型、ブタ流行性下痢ウイルス、ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、ブタパルボウイルス、ブタ伝染性胃腸炎ウイルス、ブタC型ウイルス、ポックスウイルス、ポックスウイルス、痘瘡ウイルス、プロスペクトヒルウイルス、プロウイルス(Provirus)、偽牛痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、オウムポックスウイルス、ウズラポックスウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、ウサギ腎空胞形成ウイルス、ウサギパピローマウイルス、狂犬病ウイルス、アライグマパルボウイルス、アライグマポックスウイルス、ラニケットウイルス、ラットサイトメガロウイルス、ラットパルボウイルス、ラットウイルス、ラウシャーウイルス、組換えワクシニアウイルス、組換えウイルス、レオウイルス、レオウイルス1型、レオウイルス2型、レオウイルス3型、爬虫類C型ウイルス、呼吸器感染ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、呼吸器ウイルス、細網内皮症ウイルス、ラブドウイルス(Rhabdovirus)、ラブドウイルス・カルピア(Rhabdovirus carpia)、ラジノウイルス(Rhadinovirus)、ライノウイルス(Rhinovirus)、リジディオウイルス(Rhizidiovirus)、リフトバレー熱ウイルス、ライリーウイルス、牛疫ウイルス、RNA腫瘍ウイルス、ロスリバーウイルス、ロタウイルス(Rotavirus)、はしかウイルス、ラウス肉腫ウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、ルビウイルス(Rubivirus)、ロシア秋季脳炎ウイルス、SA11サルウイルス、SA2ウイルス、サビアウイルス、サギヤマウイルス、サイミリンヘルペスウイルス1型、唾液腺ウイルス、サシチョウバエ熱ウイルス群、サンジンバウイルス、SARSウイルス、SDAV(sialodacryoadenitis virus)、アザラシ痘ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ソウルウイルス、羊痘ウイルス、ショープ線維腫ウイルス、ショープ乳頭腫ウイルス、サル泡沫状ウイルス、サルA型肝炎ウイルス、サルヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルス、サルパラインフルエンザウイルス、サルT細胞リンパ球向性ウイルス、サルウイルス、サルウイルス40、シンプレックスウイルス(Simplexvirus)、シンノンブレウイルス、シンドビスウイルス、天然痘ウイルス、南アメリカ出血熱ウイルス、スズメ痘ウイルス、スプマウイルス(Spumavirus)、リス線維腫ウイルス、リスザルレトロウイルス、SSV1ウイルス群、STLV(simian T lymphotropic virus)I型、STLV(simian T lymphotropic virus)II型、STLV(simian T lymphotropic virus)III型、丘疹性口内炎ウイルス、顎下腺ウイルス、ブタアルファヘルペスウイルス1型、ブタヘルペスウイルス2型、スイポックスウイルス(Suipoxvirus)、スワンプ熱ウイルス、豚痘ウイルス、スイスマウス白血病ウイルス、TACウイルス、タカリベウイルス群、タカリベウイルス、タナ痘ウイルス、タテラポックスウイルス、テンチレオウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルス、タイラーウイルス、トゴトウイルス、トッタパラヤンウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、チオマンウイルス、トガウイルス(Togavirus)、トロウイルス(Torovirus)、腫瘍ウイルス、ツパイアウイルス、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス、シチメンチョウ痘ウイルス、C型レトロウイルス、D型オンコウイルス、D型レトロウイルス群、潰瘍性疾患ラブドウイルス、ウナウイルス、ウークニエミウイルス群、ワクシニアウイルス、空胞化ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、水痘ウイルス(Varicellovirus)、バリコラウイルス、大痘瘡ウイルス、痘瘡ウイルス、バシンギシュー(Vasin Gishu)病ウイルス、VEEウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス、ベネズエラ出血熱ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ベシクロウイルス(Vesiculovirus)、ビリュイスクウイルス、毒ヘビレトロウイルス、ウイルス性出血性敗血症ウイルス、ビスナマエディウイルス、ビスナウイルス、ハタネズミポックスウイルス、VSV(vesicular stomatitis virus)、ウォーラルウイルス、ウォレゴーウイルス、いぼウイルス、WEEウイルス、西ナイルウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳脊髄炎ウイルス、ワタロアウイルス、冬季嘔吐症ウイルス、ウッドチャックB型肝炎ウイルス、ウーリーモンキー肉腫ウイルス、創傷腫瘍ウイルス、WRSVウイルス、ヤバサル腫瘍ウイルス、ヤバウイルス、ヤタポックスウイルス(Yatapoxvirus)、黄熱病ウイルス、およびヤグボグダノバク(Yug Bogdanovac)ウイルス。
【0052】
いくつかの態様において、本明細書において開示される組成物は、本明細書において開示される任意のタンパク質抗原(例えばウイルス)のDNAまたはRNAである抗原を含む。
【0053】
B 他の成分
いくつかの局面において、本開示は、抗原成分(例えば、ウイルス、タンパク質)の三次元配置の一部またはすべてを維持できるワクチンを調製するための方法を提供する。したがって、本明細書において提供される方法は、病原体またはその構成要素上の抗原決定基が完全な状態で維持されているワクチンの製造を可能にすることができる。例えば、ワクチン中のタンパク質の三次元構造を保持することにより、それに対して免疫応答を誘発させることができる「立体構造的」エピトープの保持を可能にすることができる。「立体構造的」エピトープは、タンパク質フォールディングに依拠し、通常、直鎖形態のアミノ酸から全面的に構成されるわけではないものである。さらに、ワクチンを製造するための本明細書において提供される方法は、抗原能力(例えば、免疫応答を誘導する能力)の保持をもたらすことができ、その結果、所与の量のワクチンに対する反応における免疫応答のレベルは、病原体または他の天然に存在する抗原供給源に曝露された場合と比べて、少なくとも約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、または50%である。さらに、本明細書において提供される方法は、中に含まれる特定の抗原が、本明細書において説明される凍結乾燥方法に供される全抗原タンパク質の高レベルの抗原能力(例えば、少なくとも約100%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、53%、52%、51%、または50%)を保持しているワクチンの製造を可能にすることができる。
【0054】
いくつかの局面において、液状抗原混合物の成分は、いくつかの機能を果たすように選択することができる。例えば、1つの成分は、ワクチンが開発される対象の抗原に対する安定性を与えるために使用され得る。主として、このような成分は、その後の凍結乾燥工程の間の抗原分解を防止することができる。これらの成分は、任意の安定化分子または化合物、例えば、糖、アミノ酸、および/またはポリマーを含み得る。典型的には、抗原安定化剤は、全面的または部分的に水溶性である。
【0055】
いくつかの態様において、適切な抗原安定剤は、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を調製するのに望ましくないケーキ特徴、例えば、収縮(例えば凹形)、亀裂、コラプス、またはメルトバック、および細粉を生じない十分に乾燥しておらず硬いケーキ、ならびに本明細書において説明される工程における低い耐湿性をもたらさない。液状抗原混合物を製造するのに使用され得る例示的な糖には、トレハロース、マンニトール、イヌリン、スクロース、および/またはプルランなどが含まれる。使用され得る例示的なアミノ酸には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、グルタミン酸、およびリジンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。例示的なポリマーはポリエチレングリコール(PEG)であるが、使用され得る他のポリマーには、デキストラン、ヒト血清アルブミン(HSA)、非加水分解ゼラチン、メチルセルロース、キサンタンガム、カラギナン、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、シアル酸付加された多糖、アクチン、ミオシン、微小管、ダイニン、キネチン、ポリビニルピロリドン、および/または加水分解ゼラチンなどが含まれ得る。表面活性剤は、例えば、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール、ソルビタンモノラウラート(Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween 80)、および/またはポリエチレンとポリプロピレングリコールのブロック共重合体(プルロニック)などであってよい。
【0056】
いくつかの態様において、本発明の方法においてこれらの安定剤の内の1種または複数種を使用すると、細粒および低吸湿性粉末を形成する凍結乾燥された抗原を得ることができる。例えば、一般的な凍結乾燥方法が適用された場合、粘膜送達組成物に適用するのが難しい硬いケーキを有する大きなサイズの粒子の凍結乾燥された抗原が製造される(非特許出版物1)。さらに、抗原保護剤としてトレハロースを使用する他の技術により、粘膜送達組成物に適用するのが容易である細かいサイズの粒子の凍結乾燥された抗原が提供され、これは、急速凍結する段階を用いる凍結乾燥方法が適用される場合に製造される(特許公報2)。しかし、粘膜送達器具から送達され、かつ対象に送達されるまで抗原能力を保持するのに必要である粉末形態を保つために耐湿性が不可欠であるにもかかわらず、この技術によって提供される凍結乾燥された抗原の耐湿性は、トレハロースの吸湿性の形態が原因で十分ではない。
【0057】
いくつかの態様において、抗原保護剤として非晶形態で存在する(トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオースプルラン、またはラフィノースより選択される)第1のサッカライド、抗原保護剤として非晶形と結晶形の両方で存在する(マンニトール、ソルビトール、グルコース、またはガラクトースより選択される)第2のサッカライド、および耐湿性を高めるための作用物質、ならびにリン酸緩衝生理食塩水を含む液状抗原混合物を、アニーリング段階を用いて凍結乾燥して、少なくとも20重量%の第2のサッカライドを結晶形態で配合する方法が、本明細書において提供される。このような方法により、粘膜送達用の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物にとって望ましいケーキ特徴、例えば、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもないこと、および十分に乾燥し、細粉をもたらす、容易に砕けやすいケーキであること、および適切な耐湿性、ならびに高い抗原能力を有している、凍結乾燥された抗原を製造することができる。さらに、この方法は、凍結乾燥機器の外で行われる急速凍結のような付加的段階を必要としない。
【0058】
いくつかの態様において、液状抗原混合物1mL当たり、例えば、約1mg~250mg、約5mg~250mg、約5mg~150mg、約5mg~100mg、約10mg~100mg、約10mg~75mg、約5mg~75mg、または約10mg~50mgの第1のサッカライドが添加されてよい。第1のサッカライドは、液状抗原混合物1mL当たり、約1mg、2.5mg、5mg、7.5mg/mL、10mg、12.5mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、45mg、50mg、60mg、80mg、100mg、150mg、200mg、または250mg、添加されてよい。
【0059】
いくつかの態様において、第2のサッカライドは、例えば、約1:0.8、1:0.9、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:21、1:22、1:23、1:24、1:25、1:26、1:27、1:28、1:29、または1:3の第2のサッカライド対第1のサッカライドの比で、添加されてよい。
【0060】
いくつかの態様において、凍結乾燥のために使用される液状抗原混合物は、1種または複数種のpH 緩衝剤を含んでよい。pH緩衝剤は、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、ヒスチジン、HEPES、ACES、ADA、ADA、ジナトリウム塩、ADAモノナトリウム塩、AMPSO、2-アミノエタノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、3-アミノ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム塩、BES、ビシン、ビス‐トリス、ビス‐トリスHCl、ビス‐トリスプロパン、CAPS、CAPSO、CHES、DIPSO、DIPSOナトリウム塩、グリシンアミドHCl、グリシン、HEPPS、HEPPSO、MES、MOPS、MOPSO、PIPES、TAPS、TAPSO、TES、トリシン、トリエタノールアミン、イミダゾール、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、および/または炭酸塩であってよい。緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水であってよい。pH値は、約pH3~約pH8の間、約pH4~8の間、約pH5~8の間、約pH6~8の間、または約pH6.0、61、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、または8.0で維持されてよい。緩衝液の塩濃度は、約0.25重量%~約3重量%であってよい。液状抗原混合物は、1種または複数種の抗原、2種またはそれ以上のサッカライド、および1種または複数種の緩衝液を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。液状抗原混合物は、1種または複数種の抗原、1種または複数種の抗原保護剤、1種または複数種の耐湿性を高める作用物質、および1種または複数種の緩衝液を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなってよい。
【0061】
いくつかの態様において、本明細書において説明される方法によって(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製するのに使用される液状抗原混合物は、1種または複数種の他の薬物、増量剤、および/または徐放性ポリマーを含んでよい。本明細書において開示される組成物において有用な他の薬物には、例えば、浸透補助剤、うっ血除去薬、細気管支弛緩剤、去痰薬、および鎮痛薬などが含まれ得る。増量剤には、例えば、ラクトース、マンニトール、および/またはヒドロキシエチルデンプン(HES)が含まれ得る。組成物の徐放性半透性ポリマーマトリックスには、例えば、ポリ乳酸、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタミン酸の共重合体、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、またはリポソームが含まれ得る。
【0062】
いくつかの態様において、本明細書において説明されるワクチンは、アジュバントを含めずに作ることができる。したがって、最終的なワクチンは、病原体/抗原、安定剤、耐湿性を高めるための作用物質、および緩衝液のみを用いて製造することができ、次いで凍結乾燥される。凍結乾燥後、ワクチンは、最終的なワクチン製品を製造する前にアジュバントを添加する必要なく、担体と組み合わせることができる。あるいは、製剤は、アジュバント、すなわち、ワクチンの免疫応答を良くするためにワクチンに添加される物質を含んでもよい。アジュバントは、凍結乾燥の前または後に添加することができる。アジュバントの例には、無機塩、例えば、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムもしくはリン酸カルシウムのゲル、オイルエマルジョン、および表面活性剤をベースとする製剤、例えばMF59(微小溶液化された、界面活性剤によって安定化された水中油型エマルジョン)、QS21(精製サポニン)、AS02([SBAS2](水中油型+MPL+WS-21))、モンタニドISA-51およびISA-720(安定化された油中水型エマルジョン);微粒子アジュバント(例えば、ビロソーム(インフルエンザヘマグルチニンを組み入れた単層リポソーム媒体))、AS04([SBAS4] MPLを含むAl塩)、ISCOMS(サポニンと脂質の構造化複合体)、ポリラクチド-co-グリコリド(PLG);微生物に由来する物質(天然および合成)、例えば、モノホスホリルリピドA(MPL)、Detox(MPL+M.フレイ(M. Phlei)細胞壁骨格)、AGP[RC-529](合成アシル化単糖)、DC_Chol(自己組織化してリポソームになることができる類脂質性免疫賦活薬)、OM-174(リピドA誘導体)、CpGモチーフ(免疫賦活性CpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチド)、改変LTおよびCT(非毒性のアジュバント効果を提供するための遺伝子改変細菌毒素);内因性のヒト免疫調節薬、例えばhGM-CSFまたはhIL-12(タンパク質またはコードされたプラスミドのいずれかとして投与され得るサイトカイン)、イムダプチン(C3dタンデムアレイ);金粒子などの不活性媒体;ならびにスクアレンが含まれる。液状抗原混合物および最終的な(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、アジュバントを含まなくてもよい。
【0063】
いくつかの局面において、本明細書において開示される組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含む。本明細書において開示される薬学的組成物のための例示的な薬学的に許容される賦形剤には、結合剤、崩壊剤、スーパー崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、充填剤、矯味剤、流動促進剤、吸収剤、可溶化剤、キレート剤、乳化剤、増粘剤、分散剤、安定剤、懸濁化剤、吸着薬、顆粒化剤、保存剤、緩衝剤、着色剤、および甘味剤、またはそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるわけではない。結合剤の例には、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルポキシメチルセルロースナトリウム、セラトニア、キトサン、綿実油、デキストラート、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、ベヘン酸グリセリル、ガラクトマンナン多糖、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、イヌリン、ラクトース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポリ酸化エチレン、ポリメタクリラート、アルギン酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、ヒマワリ油、植物油、トコフェルソラン、ゼイン、またはそれらの組合せが含まれる。崩壊剤の例には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ラクトース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、アルギン酸ナトリウム、デンプン、またはそれらの組合せが含まれる。滑沢剤の例には、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸マグネシウム、鉱油、パルミチン酸、ミリスチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸亜鉛、安息香酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組合せが含まれる。希釈剤の例には、タルク、アルギン酸アンモニウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、セルロース、酢酸セルロース、トウモロコシデンプン、デキストラート、デキストリン、デキストロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、フマル酸、パルミトステアリン酸グリセリル、イソマルト、カオリン、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、微結晶セルロース、ポリデキストロース、ポリメタクリラート、シメチコン、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、スクロース、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、トラガカントゴム、トレハロース、キシリトール、またはそれらの組合せが含まれる。
【0064】
III 凍結乾燥された抗原を作製するための凍結乾燥方法
いくつかの局面において、液状抗原混合物は、凍結乾燥方法によって粉末に変換することができる。凍結乾燥(lyophilization)としても公知である凍結乾燥は、材料を凍結し、次いで、周囲の圧力を下げて、材料中の凍った水を固相から気相に直接的に昇華させることによって機能する。いくつかの態様において、本明細書において開示される凍結乾燥方法は、アニーリングを用いて凍結する段階、および乾燥する段階を含んでよい。
【0065】
A アニーリングを用いて凍結する段階
いくつかの局面において、液状抗原混合物は、凍結乾燥機器中で予冷されたトレーの上で、一定の期間、凍結する。
【0066】
いくつかの態様において、予冷温度は、例えば、約-50℃、-45℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、-20℃、-15℃、または-10℃であってよい。予冷温度は、例えば、約-50℃、-45℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、-20℃、-15℃、または-10℃より低くてよい。予冷温度は、例えば、約-50℃~-10℃、約-40℃~-20℃、または約-35℃~-25℃であってよい。
【0067】
いくつかの態様において、液状抗原混合物は、設定された予冷温度で、例えば、約1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間、放置されてよい。液状抗原混合物は、設定された予冷温度で、例えば、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間より長い間、放置されてよい。液状抗原混合物は、設定された予冷温度で、例えば、1~24時間、1~12時間、1~6時間、1.5~6時間、または1.5~3時間、放置されてよい。
【0068】
いくつかの態様において、第1の凍結の後、凍結された液状抗原混合物をアニーリングして、少なくとも20重量%の結晶形の第2のサッカライドを形成させることができる。凍結乾燥された粉末の耐湿性を高めるためにマンニトール-トレハロース-塩化ナトリウムをベースとする製剤を用いる凍結乾燥方法が提供された(非特許出版物3)。この先行技術では、アニーリング段階を用いて、マンニトールの大部分を結晶形態で形成させて、耐湿性を高める。いくつかの態様において、アニーリングにより、少量、例えば、少なくとも20%の第2のサッカライドを結晶形態で形成させて、結晶形による抗原能力の不活化を最小限にする。結晶形の第2のサッカライドは、例えば、液状抗原混合物中に添加される第2のサッカライドの20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、または80重量%より多くてよい。
【0069】
いくつかの態様において、アニーリング温度は、例えば、約-28℃、-27℃、-26℃、-25℃、-24℃、-23℃、-22℃、-21℃、-20℃、-19℃、または-18℃であってよい。アニーリング温度は、例えば、約-28~-18℃、約-25℃~-20℃、または約-24℃~-22℃であってよい。凍結された抗原混合物は、設定されたアニーリング温度で、例えば、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間、放置されてよい。凍結された抗原混合物は、設定されたアニーリング温度で、例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間より長い間、放置されてよい。凍結された抗原混合物は、設定されたアニーリング温度で、例えば、1~24時間、1~12時間、または2~6時間、放置されてよい。アニーリングは、第2の凍結段階の後に、再び行われてもよい。
【0070】
いくつかの態様において、アニーリングの後に、凍結された抗原混合物を凍結乾燥機器中で再び凍結させることができる。第2の凍結温度は、例えば、約-50℃、-45℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、または-20℃であってよい。第2の凍結温度は、例えば、約-50℃、-45℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、または-20℃より低くてよい。第2の凍結温度は、例えば、約-50℃~-20℃、約-50℃~-30℃、または約-50℃~-40℃であってよい。
【0071】
凍結された抗原混合物は、設定された第2の凍結温度で、例えば、約1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間、放置されてよい。液状抗原混合物は、設定された予冷温度で、例えば、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間より長い間、放置されてよい。液状抗原混合物は、設定された予冷温度で、例えば、1~24時間、1~12時間、1~6時間、1.5~6時間、または1.5~3時間、放置されてよい。
【0072】
B 乾燥する段階
いくつかの局面において、第2の凍結の後に、凍結された液状抗原混合物を凍結乾燥機器中で乾燥することができる。乾燥は、1つまたは複数の段階(例えば、同じ圧力で異なる温度)で行われてよい。
【0073】
いくつかの態様において、一次乾燥 (第1の乾燥)は、例えば、約-45℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、-20℃、-15℃、または-10℃で行われてよい。一次乾燥は、例えば、約-45℃~-10℃、約-45℃~-20℃、または約-45℃~-30℃で行われてよい。
【0074】
いくつかの態様において、一次乾燥 (第1の乾燥)は、例えば、約10mtorr~300mtorr、約25mtorr~300mtorr、約50mtorr~250mtorr、または約50mtorr~200mtorrであってよい。凍結乾燥は、約10mtorr、20mtorr、30mtorr、40mtorr、50mtorr、60mtorr、70mtorr、80mtorr、90mtorr、100、mtorr、110mtorr、120mtorr、130mtorr、140mtorr、150mtorr、160mtorr、170mtorr、180mtorr、190mtorr、200mtorr、210mtorr、220mtorr、230mtorr、240mtorr、250mtorr、260mtorr、270mtorr、280mtorr、290mtorr、または300mtorrで行われてよい。凍結乾燥は、約10mtorr、20mtorr、30mtorr、40mtorr、50mtorr、60mtorr、70mtorr、80mtorr、90mtorr、100mtorr、110mtorr、120mtorr、130mtorr、140mtorr、150mtorr、160mtorr、170mtorr、180mtorr、190mtorr、200mtorr、210mtorr、220mtorr、230mtorr、240mtorr、250mtorr、260mtorr、270mtorr、280mtorr、290mtorr、または300mtorrより高い圧力で行われてよい。
【0075】
いくつかの態様において、一次乾燥 (第1の乾燥)の実施期間は、例えば、約4時間~96時間、約6時間~96時間、約12時間~96時間、約24時間~96時間、約48時間~96時間、または約48時間~72時間であってよい。一次乾燥の実施期間は、例えば、6時間より長く、8時間より長く、12時間より長く、18時間より長く、24時間より長く、36時間より長く、48時間より長く、72時間より長く、または96時間より長くてよい。
【0076】
いくつかの態様において、一次乾燥の後に、第2の乾燥は、例えば、約-10℃、-5℃、0℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、または40℃で行われてよい。一次乾燥は、例えば、約-10℃~40℃、約0℃~40℃、または約10℃~35℃で行われてよい。
【0077】
いくつかの態様において、二次乾燥は、例えば、例えば、約10mtorr~300mtorr、約25mtorr~300mtorr、約50mtorr~250mtorr、または約50mtorr~200mtorrであってよい。凍結乾燥は、約10mtorr、20mtorr、30mtorr、40mtorr、50mtorr、60mtorr、70mtorr、80mtorr、90mtorr、100mtorr、110mtorr、120mtorr、130mtorr、140mtorr、150mtorr、160mtorr、170mtorr、180mtorr、190mtorr、200mtorr、210mtorr、220mtorr、230mtorr、240mtorr、250mtorr、260mtorr、270mtorr、280mtorr、290mtorr、または300mtorrで行われてよい。凍結乾燥は、約10mtorr、20mtorr、30mtorr、40mtorr、50mtorr、60mtorr、70mtorr、80mtorr、90mtorr、100mtorr、110mtorr、120mtorr、130mtorr、140mtorr、150mtorr、160mtorr、170mtorr、180mtorr、190mtorr、200mtorr、210mtorr、220mtorr、230mtorr、240mtorr、250mtorr、260mtorr、270mtorr、280mtorr、290mtorr、または300mtorrより高い圧力で行われてよい。
【0078】
いくつかの態様において、二次乾燥の実施期間は、例えば、約1時間~12時間、約2時間~12時間、約2時間~12時間、約3時間~12時間、約3時間~10時間、または約3時間~8時間であってよい。二次乾燥の実施期間は、例えば、1時間より長く、2時間より長く、3時間より長く、4時間より長く、6時間より長く、8時間より長く、10時間より長く、12時間より長く、または24時間より長くてよい。
【0079】
いくつかの態様において、凍結乾燥の後に、気密容器に入れた(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を、約4~25℃の温度で保管(保存)することができる。保存条件の相対湿度は、約0%~70%、約0%~60%、約0%~50%、約0%~40%、約0%~30%、約0%~20%、約0%~10%、または約0%~5%であってよい。保存の相対湿度は、約80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、24%、23%、22%、21%、60%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%より低くてよい。
【0080】
いくつかの態様において、本明細書の組成物または凍結乾燥された抗原の含水率は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%であってよい。いくつかの態様において、組成物または凍結乾燥された抗原の含水率は、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、または0.01%未満であってよい。
【0081】
IV 担体/賦形剤
いくつかの局面において、本明細書において説明される凍結乾燥方法によって製造される凍結乾燥された抗原を、1種または複数種の付加的な賦形剤と混合して、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を作製することができる。このような賦形剤には、薬学的に許容される賦形剤、例えば、耐湿性を高めるための、流動性を高めるための、粘膜送達器具から均一かつ広範囲に送達されるように助けるための、および粘膜表面での抗原の滞留時間を延長するための賦形剤が含まれる。適切な賦形剤は、微結晶セルロースのような生理学的に許容される非水溶性でありゲル形成しない物質であってよい。微結晶セルロースは、比表面積が少なくとも1.3m2/gであり平均粒径が100ミクロン未満である特定の微結晶セルロースであってよい。任意の微結晶セルロースを使用することができるものの、いくつかの態様において、本出願のワクチンを製造するのに使用される微結晶セルロースは、CEOLUS(登録商標)PH-F20JPまたはAVICEL(登録商標)PH-105であってよい。
【0082】
いくつかの態様において、微結晶セルロースの平均粒径は、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定することができる。担体(例えば、微結晶セルロース)の平均粒径は、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、約26ミクロン、約27ミクロン、約28ミクロン、約29ミクロン、約30ミクロン、約31ミクロン、約32ミクロン、約33ミクロン、約34ミクロン、約35ミクロン、約36ミクロン、約37ミクロン、約38ミクロン、約39ミクロン、約40ミクロン、約41ミクロン、約42ミクロン、約43ミクロン、約44ミクロン、約45ミクロン、約46ミクロン、約47ミクロン、約48ミクロン、約49ミクロン、または約50ミクロンであってよい。いくつかの態様において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物用の担体として使用される微結晶セルロースは、例えば、レーザー光回折、ふるい分け、またはより分けによって測定した場合に18ミクロン~50ミクロンの間である平均粒径を有してよい。
【0083】
いくつかの態様において、担体(例えば微結晶セルロース)は、有用な粒径分布のものになるように調製することができる。担体の調製物は、例えば、5~150ミクロン、5~100ミクロン、5~75ミクロン、10~50ミクロンの粒径分布、または任意の含まれる部分範囲の粒径分布を有していてよい。特定の態様において、担体は、5~150ミクロンの粒径分布、5~100ミクロンの粒径分布、または5~75ミクロンの粒径分布を有していてよい。
【0084】
いくつかの局面において、本明細書の組成物の平均粒径は、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定することができる。いくつかの態様において、組成物の平均粒径は、約10ミクロン、約11ミクロン、約12ミクロン、約13ミクロン、約14ミクロン、約15ミクロン、約16ミクロン、約17ミクロン、約18ミクロン、約19ミクロン、約20ミクロン、約21ミクロン、約22ミクロン、約23ミクロン、約24ミクロン、約25ミクロン、約26ミクロン、約27ミクロン、約28ミクロン、約29ミクロン、約30ミクロン、約31ミクロン、約32ミクロン、約33ミクロン、約34ミクロン、約35ミクロン、約36ミクロン、約37ミクロン、約38ミクロン、約39ミクロン、約40ミクロン、約41ミクロン、約42ミクロン、約43ミクロン、約44ミクロン、約45ミクロン、約46ミクロン、約47ミクロン、約48ミクロン、約49ミクロン、または約50ミクロンであってよい。いくつかの態様において、本明細書の組成物は、約5~150ミクロン、約5~100ミクロン、約5~75ミクロン、約10~150ミクロン、約10~100ミクロン、約10~75ミクロン、約10~50ミクロン、約10~30ミクロンの粒径分布、または任意の含まれる部分範囲の粒径分布を有していてよい。いくつかの態様において、組成物は、10ミクロン未満の粒径分布を有していてよい。いくつかの態様において、組成物は、10ミクロンより大きな粒径分布を有していてよい。いくつかの態様において、組成物または担体(例えば微結晶セルロース)の平均粒径は、約51マイクロメートル、約52マイクロメートル、約53マイクロメートル、約54マイクロメートル、約55マイクロメートル、約56マイクロメートル、約57マイクロメートル、約58マイクロメートル、約59マイクロメートル、約60マイクロメートル、約61マイクロメートル、約62マイクロメートル、約63マイクロメートル、約64マイクロメートル、約65マイクロメートル、約66マイクロメートル、約67マイクロメートル、約68マイクロメートル、約69マイクロメートル、約70マイクロメートル、約71マイクロメートル、約72マイクロメートル、約73マイクロメートル、約74マイクロメートル、約75マイクロメートル、約76マイクロメートル、約77マイクロメートル、約78マイクロメートル、約79マイクロメートル、約80マイクロメートル、約81マイクロメートル、約82マイクロメートル、約83マイクロメートル、約84マイクロメートル、約85マイクロメートル、約86マイクロメートル、約87マイクロメートル、約88マイクロメートル、約89マイクロメートル、約90マイクロメートル、約91マイクロメートル、約92マイクロメートル、約93マイクロメートル、約94マイクロメートル、約95マイクロメートル、約96マイクロメートル、約97マイクロメートル、約98マイクロメートル、約99マイクロメートル、約100マイクロメートル、約110マイクロメートル、約120マイクロメートル、約130マイクロメートル、約140マイクロメートル、約150マイクロメートル、約160マイクロメートル、約170マイクロメートル、約180マイクロメートル、約190マイクロメートル、または約200マイクロメートルであってよい。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物または担体(例えば微結晶セルロース)は、25マイクロメートル、39マイクロメートル、または57マイクロメートルの平均粒径を有してよい。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物または担体(例えば微結晶セルロース)は、約10~200マイクロメートル、約20~200マイクロメートル、約30~200マイクロメートル、約40~200マイクロメートル、約50~200マイクロメートル、約60~200マイクロメートル、約70~200マイクロメートル、約80~200マイクロメートル、約90~200マイクロメートル、約100~200マイクロメートル、約110~200マイクロメートル、約120~200マイクロメートル、約130~200マイクロメートル、約140~200マイクロメートル、約150~200マイクロメートル、約160~200マイクロメートル、約170~200マイクロメートル、約180~200マイクロメートル、約190~200マイクロメートルの粒径分布、または任意の含まれる部分範囲の粒径分布を有していてよい。本明細書において説明される粉末は、粒径の付加的粒径分布、例えば、10~100マイクロメートル、20~100マイクロメートル、30~100マイクロメートル、40~100マイクロメートル、50~100マイクロメートル、60~100マイクロメートル、70~100マイクロメートル、80~100マイクロメートル、90~100マイクロメートル、10~50マイクロメートル、10~60マイクロメートル、20~60マイクロメートル、30~70マイクロメートル、40~80マイクロメートル、50~90マイクロメートル、60~100マイクロメートル、70~110マイクロメートル、80~120マイクロメートル、90~130マイクロメートル、100~140マイクロメートル、110~150マイクロメートル、120~160マイクロメートル、130~170マイクロメートル、140~180マイクロメートル、150~190マイクロメートル、160~200マイクロメートル、または任意の含まれる部分範囲の粒径を有していてよい。担体および/またはワクチンは、例えば、10~50マイクロメートル、11~50マイクロメートル、12~50マイクロメートル、13~50マイクロメートル、14~50マイクロメートル、15~50マイクロメートル、16~50マイクロメートル、17~50マイクロメートル、18~50マイクロメートル、19~50マイクロメートル、20~50マイクロメートル、21~50マイクロメートル、22~50マイクロメートル、23~50マイクロメートル、24~50マイクロメートル、25~50マイクロメートル、26~50マイクロメートル、27~50マイクロメートル、28~50マイクロメートル、29~50マイクロメートル、30~50マイクロメートルの粒径分布、または任意の含まれる部分範囲の粒径を有していてよい。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物または担体(例えば微結晶セルロース)は、19~60マイクロメートルの粒径分布、または19~50マイクロメートルの粒径分布を有していてよい。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物または担体(例えば微結晶セルロース)は、約10マイクロメートル未満、約20マイクロメートル未満、約30マイクロメートル未満、約40マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約60マイクロメートル未満、約70マイクロメートル未満、約80マイクロメートル未満、約90マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満の平均粒径を有することができるか、かつ/または約20マイクロメートルより大きい、約30マイクロメートルより大きい、約40マイクロメートルより大きい、約50マイクロメートルより大きい、約60マイクロメートルより大きい、約70マイクロメートルより大きい、約80マイクロメートルより大きい、約90マイクロメートルより大きい、約100マイクロメートルより大きい、約110マイクロメートルより大きい、約120マイクロメートルより大きい、約130マイクロメートルより大きい、約140マイクロメートルより大きい、約150マイクロメートルより大きい、約160マイクロメートルより大きい、約170マイクロメートルより大きい、約180マイクロメートルより大きい、約190マイクロメートルより大きい、もしくは約200マイクロメートルより大きい粒子を最小化することができる。
【0085】
いくつかの態様において担体(例えば微結晶セルロース)の比表面積は、1.3m2/g、1.4m2/g、1.5m2/g、1.6m2/g、1.7m2/g、1.8m2/g、1.9m2/g、2.0m2/g、2.1m2/g、2.2m2/g、2.3m2/g、2.4m2/g、2.5m2/g、2.6m2/g、2.7m2/g、2.8m2/g、2.9m2/g、3.0m2/g、3.2m2/g、3.4m2/g、3.6m2/g、3.8m2/g、4.0m2/g、4.2m2/g、4.4m2/g、4.6m2/g、4.8m2/g、5.0m2/g、5.2m2/g、5.4m2/g、5.6m2/g、5.8m2/g、6.0m2/g、6.2m2/g、6.4m2/g、6.6m2/g、6.8m2/g、7.0m2/g、7.2m2/g、7.4m2/g、7.6m2/g、7.8m2/g、8.0m2/g、8.2m2/g、8.4m2/g、8.6m2/g、8.8m2/g、9.0m2/g、9.2m2/g、9.4m2/g、9.6m2/g、9.8m2/g、10.0m2/g、11.0m2/g、11.5m2/g、12.0m2/g、12.5m2/g、13.0m2/g、13.5m2/g、14.0m2/g、14.5m2/g、15.0m2/g、15.5m2/g、16.0m2/g、16.5m2/g、17.0m2/g、17.5m2/g、18.0m2/g、18.5m2/g、19.0m2/g、19.5m2/g、または20.0m2/gである。担体の比表面積は、例えば、約1.3m2/g、1.2m2/g、1.4m2/g、1.6m2/g、1.8m2/g、2m2/g、もしくは10m2/gより大きいか、または約1.3m2/g~約2m2/gであってよい。いくつかの態様において、比表面積は、BET理論に基づく気体吸着法によって測定される。
【0086】
いくつかの態様において、担体は、例えばV型混合機のような容器混和またはボルテックス混和によって混合することによって添加することができる。混合の実施期間は、例えば、約1分~300分、約1分~240分、約1分~180分、または約5分~180分であってよい。混合の実施期間は、例えば、約1分、2分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、120分、180分、240分、または300分より長くてよい。混合の実施期間は、例えば、約1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、75分、90分、120分、180分、240分、または300分であってよい。
【0087】
V ワクチン組成物
いくつかの局面において、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、凍結乾燥された抗原を担体賦形剤と混合することによって調製される。
【0088】
いくつかの態様において、乾燥粉末ワクチン製剤の平均粒径は、例えば、より分け、ふるい分け、またはレーザー光回折によって測定することができる。乾燥粉末ワクチン製剤の平均粒径は、例えば、約18ミクロン~500ミクロン、約18ミクロン~300ミクロン、約18ミクロン~200ミクロン、または約18ミクロン~150ミクロンの間であってよい。いくつかの態様において、本明細書において説明される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、例えば、レーザー光回折、ふるい分け、またはより分けによって測定した場合に20ミクロン、50ミクロン、75ミクロン、100ミクロン、または150ミクロンの平均粒径を有してよい。
【0089】
いくつかの態様において、気密容器に入れた(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を、約4~25℃の温度で保管(保存)することができる。保存条件の相対湿度は、約0%~70%、約0%~60%、約0%~50%、約0%~40%、約0%~30%、約0%~20%、約0%~10%、または約0%~5%であってよい。保存の相対湿度は、約80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、24%、23%、22%、21%、60%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%より低くてよい。
【0090】
いくつかの態様において、ワクチン組成物の含水率は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%であってよい。
【0091】
いくつかの態様において、粘膜送達器具からのワクチン組成物の送達重量は、60%、70%、80%、または90%より多くてよい。
【0092】
VI 安定性
いくつかの局面において、気密容器中の本明細書において説明される凍結乾燥された抗原および気密容器中の本明細書において説明されるようにして調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、室温(25℃および60%相対湿度)で少なくとも約1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、13ヶ月間、14ヶ月間、15ヶ月間、16ヶ月間、17ヶ月間、18ヶ月間、19ヶ月間、20ヶ月間、21ヶ月間、22ヶ月間、23ヶ月間、24ヶ月間、25ヶ月間、26ヶ月間、27ヶ月間、28ヶ月間、29ヶ月間、30ヶ月間、31ヶ月間、32ヶ月間、33ヶ月間、34ヶ月間、35ヶ月間、または36ヶ月間、安定であることができる。気密容器中の本明細書において説明される凍結乾燥された抗原および気密容器中の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の安定性はまた、加速条件(45℃および75%相対湿度)でも、長期間にわたって安定であることができる。加速条件下で、気密容器中の本明細書において説明される凍結乾燥された抗原および(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、少なくとも約1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、13ヶ月間、14ヶ月間、15ヶ月間、16ヶ月間、17ヶ月間、18ヶ月間、19ヶ月間、20ヶ月間、21ヶ月間、22ヶ月間、23ヶ月間、24ヶ月間、25ヶ月間、26ヶ月間、27ヶ月間、28ヶ月間、29ヶ月間、30ヶ月間、31ヶ月間、32ヶ月間、33ヶ月間、34ヶ月間、35ヶ月間、または36ヶ月間、安定であることができる。気密容器中の本明細書において説明される凍結乾燥された抗原および気密容器中の本明細書において説明されるようにして調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、他の温度(例えば、-20℃~55℃)および相対湿度(0%~100%)で安定であることができる。いくつかの態様において、組成物中の抗原の約80%~100%(例えば、約90%~100%または約95~100%)、例えば、約80%、約90%、約95%、または約100%は、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した場合に、一定期間、例えば、少なくとも約30日、約60日、約90日、約6ヶ月、約1年、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、または約5年の間、完全なままである。いくつかの態様において、含水率は、組成物において一定期間、少なくとも約30日、約60日、約90日、約6ヶ月、約1年、約18ヶ月、約2年、約3年、約4年、または約5年の間、不変のままであるか、または10%より高くならない。
【0093】
安定性とは、本明細書において使用される場合、保管条件下の凍結乾燥された抗原および乾燥ワクチン粉末のいくつかの特徴に関係し得る。1つのこのような特徴は、抗原能力、例えば、ワクチンの抗原成分の抗原性の保持である。例えば、凍結乾燥された抗原およびHAを含む乾燥粉末インフルエンザワクチン組成物の安定性のこの特徴は、動物における免疫原性試験に由来する血液試料を用いて、HAアッセイ法によって赤血球凝集(HA)反応性を、単純放射免疫拡散(SRD)アッセイ法、または赤血球凝集抑制アッセイ法もしくは中和アッセイ法によってHA含有量を測定することによって、明らかにすることができる。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物は、特定条件下で特定の期間(例えば、加速条件下で18ヶ月)後に(最初の能力と比べて)少なくとも50%の抗原性を保持している場合、安定とみなされる。
【0094】
VII 投与の経路および手段
いくつかの態様において、器具は、1回量の(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物のかなりの割合を対象の粘膜(例えば、鼻の粘膜)上に送達するように構成することができる。場合によっては、器具は、器具内に存在する(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の量のかなりの割合を対象の粘膜上に送達するように構成され得る。場合によっては、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物またはそのかなりの部分が、器具の1回の使用後に送達され得る。場合によっては、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物またはそのかなりの部分を、器具の複数回の使用、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、または10回の使用後に送達することができる。場合によっては、器具の複数回の使用が、器具の1回の利用に相当し得る。本明細書において説明される方法、器具、および組成物に基づくと、器具によって送達される(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物のかなりの割合とは、1回量に含まれる量または器具中に存在する量などの(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の量の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.9%、99.95%、または100%を包含する。
【0095】
いくつかの態様において、本明細書の組成物は、鼻腔内投与、口腔内投与、または経口投与向けである。いくつかの態様において、本明細書の組成物は、液体中に溶解されるか、または懸濁される。いくつかの態様において、本明細書の組成物は、まるごと飲み込まれるように製剤化され得る。いくつかの態様において、本明細書の組成物は、剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、ゲル剤、ロリポップ)、非経口薬、脊髄内輸液、吸入剤、スプレー式点鼻薬、経皮パッチ、イオン導入輸送、吸収ゲル剤、液剤、液状タンニン酸、坐剤、注射剤(例えば、静脈内、筋肉内)、点滴静注、他の製剤、または対象を治療するためのそれらの組合せとして、製剤化される。いくつかの態様において、本明細書の組成物は、単一の経口剤形、例えば、薬学的に許容される賦形剤を含む、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、持続放出カプセル剤、タンニン酸錠剤、経口崩壊錠剤、多層錠剤、発泡性錠剤、ビーズ剤、液剤、経口懸濁剤、噛み砕けるロゼンジ、経口液剤、ロゼンジ、ロリポップ、経口シロップ、滅菌済みの包装された散剤、他の経口剤形、またはそれらの組合せとして製剤化される。いくつかの態様において、本明細書の組成物または活性物質は、即時放出、急速放出、制御放出、持続放出、またはそれらの組合せ向けに製剤化される。
【0096】
VIII 免疫に対する乾燥粉末製剤の効果
いくつかの局面において、本明細書において開示される方法または組成物は、局所的免疫応答を促進するために使用することができる。局所的免疫応答は、末梢リンパ組織において起こり得る。例えば、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を粘膜に投与して、粘膜免疫において役割を果たし得る粘膜関連リンパ組織(MALT)を刺激することができる。粘膜の例には、口腔内粘膜、食道粘膜、胃粘膜、腸粘膜、鼻粘膜、嗅覚器粘膜、口粘膜、気管支粘膜、子宮粘膜、子宮内膜(子宮の粘膜)、膣粘膜、および陰茎粘膜が含まれる。特に、鼻咽頭関連リンパ組織(NALT)を標的とすることができる。NALTは、Tヘルパー1細胞およびTヘルパー2細胞、ならびにIgAに方向付けされたB細胞の発生において役割を果たすことができる。鼻腔内免疫感作により、粘膜免疫区画および全身免疫区画の両方において抗原特異的な防御免疫を誘導することができる。
【0097】
いくつかの局面において、本明細書において開示される方法または組成物を用いて、粘膜免疫系の主要抗体である分泌型IgA(sIgA)の産生を促進することができる。sIgAは、2個または4個の単量体、J鎖ポリペプチド、および分泌成分と呼ばれるポリペプチド鎖から構成される二量体または四量体である。J鎖ポリペプチドは、血清IgAおよび分泌IgAの両方の重合を促進することができる。分泌成分は、粘膜の上皮細胞によって産生される70kDaポリペプチドであり、粘膜分泌においてタンパク質分解酵素の影響をsIgAが受けにくくすることによって、sIgAを保護することができる。sIgAは、抗原サンプリングのために設計された組織化された粘膜リンパ器官中で最初に刺激された前駆体に由来する粘膜プラズマ細胞によって、局所的に産生され得る。最初の誘発後、前駆細胞は局部のリンパ節、リンパ液、および血液を介して通過して、粘膜部位の広範囲に行き渡り、それによって、投与(例えば鼻腔投与)部位以外の粘膜部位の保護をもたらすことができる。局所のプラズマ細胞から分泌された後、sIgAは、上皮細胞表面受容体に結合することができ、その複合体は、上皮細胞を通過して分泌液中へと入ることができ、そこで、抗原の取込みを阻害する非炎症性免疫バリヤとして働くことができる。
【0098】
いくつかの局面において、本明細書において開示される方法または組成物はまた、IgG応答を促進することもできる。このような促進により、例えば、本明細書において開示されるワクチンによって誘導されるsIgAによって提供される保護を逃れるか、または回避する病原体に反応する体液性応答を開始することによって、付加的な保護層をもたらすことができる。したがって、いくつかの態様において、本明細書において開示されるワクチンは、粘膜抗体応答および体液性抗体応答の両方を誘導することができる。
【0099】
IX 凍結乾燥された製品の評価
いくつかの局面において、凍結乾燥された抗原および粉末のケーキが、目視検査される。いくつかの態様において、望ましいケーキ外観は、収縮、亀裂、コラプス、またはメルトバックの内の1つまたは複数を有していない。
【0100】
いくつかの局面において、HAアッセイ法を用いて、HA抗原の血球凝集特性を評価する。凍結乾燥された抗原の試料を、例えば、1.0倍、1.2倍、1.4倍、および1.7倍に希釈し、希釈した各試料をさらに希釈、例えば、2.0倍に段階希釈し、次いで、マイクロタイタープレート中で等体積の鶏卵RBCと混合し、鶏卵RBCに対する凝集反応をスクリーニングする。ワクチンの凍結乾燥された抗原のHA反応性は、HAアッセイ方法を用いて、凍結乾燥を行わない液状形態のワクチンと比べた場合の残存HA力価として測定される。凍結乾燥された抗原の残存HA力価(%)は、凍結乾燥を行わない液状形態抗原のHA力価に対する凍結乾燥された抗原のHA力価の比率として計算される。
【0101】
いくつかの局面において、ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌する。
【0102】
いくつかの局面において、凍結乾燥された抗原および粉末の含水率は、カールフィッシャー法によって測定される。
【実施例
【0103】
実施例1:様々な比のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥された抗原(インフルエンザスプリットワクチン抗原)および粉末の調製および試験
この実施例では、様々な比のトレハロースおよびマンニトールを含む種々の凍結乾燥されたインフルエンザスプリットワクチン抗原および粉末を調製し、試験して、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、含水率、およびHA反応性を評価した。
【0104】
実施例1A:様々な比のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥されたインフルエンザスプリットワクチン抗原および粉末の調製
この実験では、様々な比のトレハロースおよびマンニトールを、所望の凍結乾燥方法において使用して、凍結乾燥された抗原および粉末を作製し、次いで、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、含水率、およびHA反応性を検査した。凍結乾燥のためのガラスバイアルにおいて、適切な体積の塩濃度1%のpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 1%PBS)を添加して最終体積1mLを調製し、次いで、pH7.4 1%PBSに溶かした500mg/mLのトレハロース二水和物(Wako pure chemical industries, Ltd.)および1%PBSに溶かした150mg/mLのD(-)-マンニトール(Wako pure chemical industries, Ltd.)を、下記に示すようにバイアルに添加した。
【0105】
350μLのインフルエンザスプリットワクチン(インフルエンザHAワクチン「SEIKEN」、三価、A/California/7/2009(H1N1)pdm09、A/New York/39/2012(H3N2)、B/Massachusetts/2/2012、90μg HA/mLを超えるヘマグルチニン、Denka Seiken co, Ltd.)を各バイアルに添加し、それを混合して、液状抗原混合物を得た。さらに、(インフルエンザスプリットワクチンの代わりに)350μLのpH7.4 1%PBSを各バイアルに添加し、それを混合して、液状非抗原混合物を得た。液状抗原混合物および液状非抗原混合物を凍結乾燥して、下記に示す条件で凍結乾燥された抗原および粉末を調製した(Labconco Corp.)。
【0106】
実施例1B:実施例1Aで調製された凍結乾燥された抗原および粉末の検査
実施例1Aで調製された凍結乾燥された抗原および粉末を、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、含水率、およびHA反応性について検査した。凍結乾燥された抗原および粉末のケーキならびにそれらの目視検査の結果を図2に示している。図2に示すように、凍結乾燥された粉末の場合は1:1、1:3、1:4、および0:1のトレハロース/マンニトール比の組成物、ならびに凍結乾燥された抗原の場合は1:1、1:3、および1:4のトレハロース/マンニトール比の組成物が、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもない望ましいケーキ外観を生じる。ケーキ外観、ケーキ破砕性、含水率、および赤血球凝集(HA)アッセイ法の結果を表1に要約する。HAアッセイ法は、HA抗原の血球凝集特性を評価するのに使用される診断ツールである。凍結乾燥された抗原の試料を、1.0倍、1.2倍、1.4倍、および1.7倍に希釈し、希釈した各試料をさらに2.0倍に段階希釈し、次いで、マイクロタイタープレート中で等体積の鶏卵RBCと混合し、鶏卵RBCに対する凝集反応をスクリーニングした。ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌した。凍結乾燥された抗原および粉末の含水率は、カールフィッシャー法によって測定した。スプリットインフルエンザワクチンの凍結乾燥された抗原のHA反応性は、HAアッセイ方法を用いて、スプリットインフルエンザワクチン(凍結乾燥を行わない液状形態)と比べた場合の残存HA力価として測定した。凍結乾燥された抗原の残存HA力価(%)は、凍結乾燥を行わない液状形態抗原のHA力価に対する凍結乾燥された抗原のHA力価の比率として計算した。
【0107】
【表1】
【0108】
表1に示したように、砕けやすいケーキの状態である凍結乾燥された抗原および粉末は、望ましいケーキ外観と相互に関係しており、これらの凍結乾燥された抗原および粉末の含水率は5.3%未満であった。さらに、マンニトールだけでなくトレハロースを用いて凍結乾燥された抗原の残存HA力価は、50%を超えていた。これらの結果から、1:1~1:4のトレハロース/マンニトール比で調製されたサッカライド総量が100mgの組成物が、粘膜送達用の望ましい凍結乾燥された抗原および粉末を得るのに有用であることが示される。
【0109】
実施例2:アニーリング段階を用いるおよび用いない、凍結乾燥された粉末の調製および試験
この実施例では、様々な比のトレハロースおよびマンニトールを含む種々の凍結乾燥された粉末を、アニーリング段階を用いる凍結乾燥方法およびアニーリング段階を用いない凍結乾燥方法を用いて調製し、試験して、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、含水率、およびX線粉末回折を評価した。
【0110】
実施例2A:アニーリング段階を用いるおよび用いない、凍結乾燥された粉末の調製
この実験では、様々な比のトレハロースおよびマンニトールを、アニーリング段階を用いる凍結乾燥方法およびアニーリング段階を用いない凍結乾燥方法において使用して、凍結乾燥された粉末を作製し、次いで、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、および含水率を検査した。凍結乾燥のためのガラスバイアルにおいて、適切な体積の塩濃度1%のpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 1%PBS) を添加して最終体積1mLを調製し、次いで、pH7.4 1%PBSに溶かした500mg/mLのトレハロース二水和物(Wako pure chemical industries, Ltd.)および1%PBSに溶かした150mg/mLのD(-)-マンニトール(Wako pure chemical industries, Ltd.)を、下記に示すようにバイアルに添加した。
【0111】
これらのバイアルを混合して、液状非抗原混合物を得た。液状非抗原混合物を凍結乾燥して、下記に示す条件で凍結乾燥された粉末を調製した(Labconco Corp.)。
【0112】
実施例2B:実施例2Aで調製された凍結乾燥された粉末の検査
実施例2Aで調製された凍結乾燥された粉末を、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、および含水率について検査した。凍結乾燥された粉末のケーキおよびそれらの目視検査の結果を図3に示している。図3に示すように、アニーリング段階を用いて凍結乾燥され、トレハロース/マンニトール比が1:1、1:3、1:4、および0:1でサッカライド総量が100mgの、凍結乾燥された粉末の組成物、ならびに、アニーリング段階を用いずに凍結乾燥され、トレハロース/マンニトール比が1:3および1:4でサッカライド総量が100mgの、凍結乾燥された粉末の組成物が、収縮も、亀裂も、コラプスも、メルトバックもない望ましいケーキ外観を生じる。ケーキ外観、ケーキ破砕性、および含水率の結果を表2に要約する。ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌した。凍結乾燥された抗原および粉末の含水率は、カールフィッシャー法によって測定した。
【0113】
【表2】
【0114】
表2に示したように、砕けやすいケーキの状態である凍結乾燥された粉末は、望ましいケーキ外観と相互に関係しており、これらの凍結乾燥された粉末の含水率は5.3%以下であった。これらの結果から、アニーリング段階によって、粘膜送達用の望ましい凍結乾燥された粉末を得るのに有効なトレハロース/マンニトール比の範囲が広がったことが示される。
【0115】
さらに、凍結乾燥された粉末のX線粉末回折(XRPD)解析を行って、凍結乾燥された粉末中のトレハロースおよびマンニトールについて非晶および結晶の形成状態を評価した。XRPDパターンを図4に示している。トレハロースの結晶形を同定する特定のピークが観察されなかったことから、アニーリングを用いて凍結乾燥された粉末およびアニーリングを用いずに凍結乾燥された粉末中のトレハロースが非晶形態で配合されていることが判明した。その一方で、アニーリングを用いて凍結乾燥された粉末およびアニーリングを用いずに凍結乾燥された粉末について、マンニトールの結晶形を同定する特定のピークが観察された。図4から明らかであるように、アニーリングを用いて凍結乾燥された粉末中のマンニトールに対する特定のピークの高さは、アニーリングを用いない場合のものより高い。このことから、凍結乾燥方法におけるアニーリングは、マンニトールの結晶形を増やすのに有用であることが示される。凍結乾燥された粉末中のトレハロースに対するマンニトールの比率とマンニトール結晶に対応する高さの合計との関係を、図5に表している。マンニトールの結晶化度は、トレハロースに対するマンニトールの比率が低下するとともに、低下した。所望の凍結乾燥された粉末を得るための適切なトレハロース/マンニトール比におけるマンニトールの結晶化度は、アニーリングを用いて凍結乾燥されたマンニトール100%の凍結乾燥された粉末中のマンニトール結晶に対するピーク高さの合計を100%として表す場合、それぞれ、1:1の比(マンニトール含有量50%)の場合に約40%、1:4の比(マンニトール含有量80%)の場合に約80%である。
【0116】
実施例3:様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥された抗原(インフルエンザスプリットワクチン抗原)の調製および試験
この実施例では、様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを含む種々の凍結乾燥されたインフルエンザスプリットワクチン抗原を調製し、試験して、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を評価した。
【0117】
実施例3A:様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥されたインフルエンザスプリットワクチン抗原の調製
この実験では、様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを、所望の凍結乾燥方法において使用して、凍結乾燥された抗原を作製し、次いで、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を検査した。凍結乾燥のためのガラスバイアルにおいて、pH7.4 1%PBSに溶かした500mg/mLのトレハロース二水和物(Wako pure chemical industries, Ltd.)および1%PBSに溶かした150mg/mLのD(-)-マンニトール(Wako pure chemical industries, Ltd.)を、下記に示すようにバイアルに添加した。
【0118】
350μLのインフルエンザスプリットワクチン(インフルエンザHAワクチン「SEIKEN」、三価、A/California/7/2009(H1N1)pdm09、A/Victoria/361/2011(H3N2)、B/Wisconsin/1/2010、90μg HA/mLを超えるヘマグルチニン、Denka Seiken co, Ltd.)を各バイアルに添加し、塩濃度1%のpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 1%PBS)を添加して最終体積1mLをバイアル中で調整し、次いでそれを混合して、液状抗原混合物を得た。液状抗原混合物を凍結乾燥して、下記に示す条件で凍結乾燥された抗原および粉末を調製した(Labconco Corp.)。
【0119】
実施例3B:実施例3Aで調製された凍結乾燥された抗原の検査
実施例3Aで調製された凍結乾燥された抗原を、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性について検査した。ケーキ外観、ケーキ破砕性、およびHAアッセイ法の結果を表3に要約する。ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌した。スプリットインフルエンザワクチンの凍結乾燥された抗原のHA反応性は、HAアッセイ方法を用いて、スプリットインフルエンザワクチン(凍結乾燥を行わない液状形態)と比べた場合の残存HA力価として測定した。
【0120】
【表3】
【0121】
表3に示したように、砕けやすいケーキの状態である凍結乾燥された抗原は、望ましいケーキ外観と相互に関係している。さらに、1:2および1:3のトレハロース/マンニトール比で調製されたサッカライド総量が50mgより多い凍結乾燥された抗原の残存HA力価は、50%を超えていた。これらの結果から、約 1:1~1:3のトレハロース/マンニトール比で調製されたサッカライド総量が50mgより多い組成物が、粘膜送達用の望ましい凍結乾燥された抗原を得るのに有用であることが示される。
【0122】
実施例4:様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥された抗原(インフルエンザビロソームワクチン抗原)の調製および試験
この実施例では、様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを含む種々の凍結乾燥されたインフルエンザビロソームワクチン抗原を調製し、試験して、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を評価した。
【0123】
実施例4A:様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥されたインフルエンザビロソームワクチン抗原の調製
この実験では、様々な比および量のトレハロースおよびマンニトールを、所望の凍結乾燥方法において使用して、凍結乾燥された抗原を作製し、次いで、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を検査した。凍結乾燥のためのガラスバイアルにおいて、pH7.4 1%PBSに溶かした500mg/mLのトレハロース二水和物(Wako pure chemical industries, Ltd.)および1%PBSに溶かした150mg/mLのD(-)-マンニトール(Wako pure chemical industries, Ltd.)を、下記に示すようにバイアルに添加した。
【0124】
350μLのインフルエンザビロソームワクチン(Inflexal V、三価、A/California/7/2009(H1N1)様、A/Victoria/361/2011(H3N2)様、B/Massachusetts/2/2012様、90μg HA/mL、Crucell N.V.) を各バイアルに添加し、塩濃度1%のpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 1%PBS)を添加して最終体積1mLをバイアル中で調整し、次いでそれを混合して、液状抗原混合物を得た。液状抗原混合物を凍結乾燥して、下記に示す条件で凍結乾燥された抗原および粉末を調製した(Labconco Corp.)。
【0125】
実施例4B:実施例4Aで調製された凍結乾燥された抗原の検査
実施例4Aで調製された凍結乾燥された抗原を、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性について検査した。ケーキ外観、ケーキ破砕性、およびHAアッセイ法の結果を表4に要約する。ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌した。スプリットインフルエンザワクチンの凍結乾燥された抗原のHA反応性は、HAアッセイ方法を用いて、スプリットインフルエンザワクチン(凍結乾燥を行わない液状形態)と比べた場合の残存HA力価として測定した。
【0126】
【表4】
【0127】
表4に示したように、砕けやすいケーキの状態である凍結乾燥された抗原は、望ましいケーキ外観と相互に関係している。さらに、30mgのサッカライド総量を用いて調製された凍結乾燥された抗原ならびに1:1のトレハロース/マンニトール比および50mgのサッカライド総量を用いて調製された凍結乾燥された抗原は望ましくないケーキの状態であるものの、トレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥された抗原の残存HA力価は、50%を超えていた。これらの結果から、サッカライド総量が100mgで1:1のトレハロース/マンニトール比で調製された組成物、サッカライド総量が75mgで1:1~1:2のトレハロース/マンニトール比で調製された組成物、およびサッカライド総量が50mgで1:2のトレハロース/マンニトール比で調製された組成物が、粘膜送達用の望ましい凍結乾燥された抗原を得るのに有用であることが示される。
【0128】
実施例5:ある比のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥された抗原(インフルエンザ不活性全粒子ワクチン抗原)の調製および試験
この実施例では、ある比のトレハロースおよびマンニトールを含む種々の凍結乾燥されたインフルエンザ不活性全粒子ワクチン抗原を調製し、試験して、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を評価した。
【0129】
実施例5A:ある比のトレハロースおよびマンニトールを含む凍結乾燥されたインフルエンザ不活性全粒子ワクチン抗原の調製
この実験では、様々な比のトレハロースおよびマンニトールを、所望の凍結乾燥方法において使用して、凍結乾燥された抗原を作製し、次いで、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を検査した。凍結乾燥のためのガラスバイアルにおいて、pH7.4 1%PBSに溶かした500mg/mLのトレハロース二水和物(Wako pure chemical industries, Ltd.)および1%PBSに溶かした150mg/mLのD(-)-マンニトール(Wako pure chemical industries, Ltd.)を、下記に示すようにバイアルに添加した。
【0130】
350μLのインフルエンザ不活性全粒子ワクチン(A/Brisbane/59/2007(H1N1)、144μg HA/mL、Sinovac Biotech, Ltd.)を各バイアルに添加し、塩濃度1%のpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 1%PBS)を添加して最終体積1mLをバイアル中で調整し、次いでそれを混合して、液状抗原混合物を得た。液状抗原混合物を凍結乾燥して、下記に示す条件で凍結乾燥された抗原および粉末を調製した(Labconco Corp.)。
【0131】
実施例5B:実施例5Aで調製された凍結乾燥された抗原の検査
実施例5Aで調製された凍結乾燥された抗原を、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性について検査した。ケーキ外観、ケーキ破砕性、およびHAアッセイ法の結果を表5に要約する。ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌した。インフルエンザ不活性全粒子ワクチンの凍結乾燥された抗原のHA反応性は、HAアッセイ方法を用いて、スプリットインフルエンザワクチン(凍結乾燥を行わない液状形態)と比べた場合の残存HA力価として測定した。
【0132】
【表5】
【0133】
表5に示したように、サッカライド総量が100mgで1:1のトレハロース/マンニトール比で調製された組成物が、粘膜送達用の望ましい凍結乾燥された抗原を得るのに有用である。
【0134】
実施例6:(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物(インフルエンザビロソームワクチン抗原)の調製および試験
この実施例では、乾燥粉末インフルエンザビロソームワクチン組成物を調製し、試験して、それらの粉末外観、含水率、HA反応性、および粘膜送達器具からの送達重量を評価した。
【0135】
実施例6A:凍結乾燥されたインフルエンザビロソームワクチン抗原の調製
この実験では、凍結乾燥された抗原を、所望の凍結乾燥方法において使用し、次いで、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性を検査した。凍結乾燥のためのガラスバイアルにおいて、pH7.4 1%PBSに溶かした500mg/mLのトレハロース二水和物(Wako pure chemical industries, Ltd.)および1%PBSに溶かした150mg/mLのD(-)-マンニトール(Wako pure chemical industries, Ltd.)を、下記に示すようにバイアルに添加した。
【0136】
350μLのインフルエンザビロソームワクチン(Inflexal V、三価、A/California/7/2009(H1N1)様、A/Victoria/361/2011(H3N2)様、B/Massachusetts/2/2012様、90μg HA/mL、Crucell N.V.) を各バイアルに添加し、塩濃度1%のpH7.4リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 1%PBS)を添加して最終体積1mLをバイアル中で調整し、次いでそれを混合して、液状抗原混合物を得た。液状抗原混合物を凍結乾燥して、下記に示す条件で凍結乾燥された抗原および粉末を調製した(Labconco Corp.)。
【0137】
実施例6B:実施例6Aで調製された凍結乾燥された抗原の検査
実施例6Aで調製された凍結乾燥された抗原を、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、およびHA反応性について検査した。ケーキ外観、ケーキ破砕性、含水率、およびHAアッセイ法の結果を表6に要約する。ケーキ破砕性を評価して、凍結乾燥された抗原および粉末を入れたバイアルをボルテックスミキサーによって揺り動かすか、またはスパチュラを用いてバイアル中のケーキを撹拌した。凍結乾燥された抗原および粉末の含水率は、カールフィッシャー法によって測定した。インフルエンザビロソームワクチンの凍結乾燥された抗原のHA反応性は、HAアッセイ方法を用いて、(凍結乾燥を行わない液状形態の)スプリットインフルエンザワクチンと比べた場合の残存HA力価として測定した。
【0138】
【表6】
【0139】
表6に示したように、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物のために使用される望ましい凍結乾燥された抗原は、サッカライド総量が100mgで1:1のトレハロース/マンニトール比で調製された組成物から得られた。
【0140】
実施例6C:凍結乾燥されたインフルエンザビロソームワクチン抗原を用いる、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の調製
この実験では、下記に示すように、実施例6Aで調製された凍結乾燥された抗原を2種類の微結晶セルロースおよび三塩基性リン酸カルシウムとボルテックス混和によって混合することにより、(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を調製した。
【0141】
(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を、気密ガラスバイアル中に入れ、4℃、25℃、および40℃で保管した。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を、粉末外観の目視検査、含水率、HAアッセイ法、鼻送達器具からの送達重量(Fit-lizer A送達器具、SNBL, Ltd.)、またはマウスにおける免疫原性試験のために検査した。
【0142】
実施例6D:実施例6Cで調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の初期試験
実施例6Cで調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を、粉末外観の目視検査、含水率、HAアッセイ法、および鼻送達器具からの送達重量(Fit-lizer A送達器具、SNBL, Ltd.)のために検査した。HAアッセイ法は、HA抗原の血球凝集特性を評価するのに使用される診断ツールである。(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の試料を、1.0倍、1.2倍、1.4倍、および1.7倍に希釈し、希釈した各試料をさらに2.0倍に段階希釈し、次いで、マイクロタイタープレート中で等体積の鶏卵RBCと混合し、鶏卵RBCに対する凝集反応をスクリーニングした。試験結果を表7に挙げる。両方の試験試料について、優れた粉末外観、6%未満の含水率、および高レベルの送達重量が観察された。しかし、トレハロースおよびマンニトールを含めずに調製されたVF-2試料の残存HA力価は、抗原能力が低下しているために、低い(乾燥粉末インフルエンザビロソームワクチン組成物の残存HA力価は、抗原能力が保持されていない場合でも、約50%として検出される)。乾燥粉末ビロソームワクチン組成物の残存HA力価(%)は、トレハロース、マンニトール、および2種類の微結晶セルロース、ならびに三塩基性リン酸カルシウムと混合された、液状形態のビロソームワクチンのHA力価に対する乾燥粉末ビロソームワクチン組成物のHA力価の比率として計算した。液状形態のビロソームワクチンの試料中のトレハロース、マンニトール、および2種類の微結晶セルロース、ならびに三塩基性リン酸カルシウムの比および量は、乾燥粉末ビロソームワクチン組成物の試料中のものと同じである。
【0143】
【表7】
【0144】
実施例6E:実施例6Cで調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の安定性試験
4℃、25℃、および40℃で保管された、実施例6Cで調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物を、粉末外観の目視検査およびHAアッセイ法のために検査した。試験結果を表8に挙げる。4℃、25℃、および40℃で保管されたVF-1試料は、約30日後に細粉であった。それらの残存HA力価は、約30日または60日後に100%を超えていた。
【0145】
【表8】
【0146】
実施例6F:4℃、25℃、および40℃で保管された、実施例6Cで調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物のマウスでの免疫原性試験
実施例6Cで調製された(例えば乾燥粉末状の)ワクチン組成物の免疫原性を、BALB/cCRSlcマウスにおいて評価した。
【0147】
マウスに、VF-1、VF-2、および陽性対照を1回腹腔内投与した。液状形態のインフルエンザビロソームワクチン(完全なInflexal V)としての陽性対照は、トレハロース、マンニトール、および2種類の微結晶セルロース、ならびに三塩基性リン酸カルシウムと混合した。投与後28日目に、血液を採取し、血清を調製した。VF-1、VF-2、および陽性対照の免疫原性を、赤血球凝集抑制(HI)アッセイ法を用いて測定した。HIアッセイ法の結果から、GMTはそれぞれ、4℃で保管したVF-1については160.0、25℃で保管したVF-1については226.3、40℃で保管したVF-1については226.3、4℃で保管した陽性対照については139.3であることが示された。
【0148】
【表9】
【0149】
表9に示したように、4℃、25℃、および40℃で保管された28日目のVF-1は、160以上のHI力価を引き出すのに十分であった。したがって、VF1は、陽性対照と等しい免疫原性をマウスにおいて有している。この結果から、VF-1、すなわち本開示のインフルエンザビロソームワクチン抗原を含む乾燥粉末組成物は、4℃、25℃、および40℃で、少なくとも1ヶ月間、その抗原能力を保持していたことが示唆される。
【0150】
実施例7:様々な比の第1のサッカライドおよび第2のサッカライドを含む凍結乾燥された組成物の調製
様々な比の第1のサッカライドおよび第2のサッカライドを用いて、凍結乾燥された組成物を作製し、次いで、この凍結乾燥された組成物を、前述の実施例と同じプロトコールを用いて、それらのケーキ外観、細粒を生じる破砕性、含水率、およびHA反応性について検査した。第1のサッカライドは、トレハロース、イヌリン、スクロース、マルトース、イソマルトース、マルトトリオース、プルラン、ラフィノース、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のサッカライドを含む。第2のサッカライドは、マンニトール、ソルビトール、グルコース、ガラクトース、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択される1個、2個、3個、または4個のサッカライドを含む。
【0151】
実施例8:ワクチン組成物の免疫原性の比較
本明細書において開示されるワクチン組成物(例えば、鼻用粉末)を液体製剤と比較して試験して、免疫応答を誘発させる。上に説明したように、アニーリングおよび微結晶セルロース担体との混合を用いる凍結乾燥方法によって、ワクチンを調製する。同じ量の抗原を2群のカニクイザル、すなわち群1(本発明の組成物)および群2(液体製剤)に投与する。
【0152】
血清試料および鼻洗浄液試料における抗体レベルを、赤血球凝集抑制(HI)および酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定する。試料を例えば、37℃で15~18時間、受容体破壊酵素(RDE、Denka Seiken Co Ltd.、Tokyo、Japan)で処理し、次いで、56℃で1時間、加熱不活化する。これらの試料の2倍段階希釈系列を調製し、例えば、ウェル1つ当たり4赤血球凝集単位の濃度で、HA抗原(Denka Seiken)と混合し、例えば室温で1時間、インキュベートする。各ウェルに、ニワトリ赤血球、例えば、50μLの0.5%懸濁液を添加し、1時間後に赤血球凝集を評価する。赤血球凝集を阻害する試料の最高希釈率が、試料のHIタイトルである。
【0153】
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)による血清試料および鼻洗浄液試料における抗体力価は、以下のようにして測定する。ELISAプレートを、例えば4℃で17時間、抗原でコーティングし、洗浄し、例えば、室温で1時間、100μLのブロッキング溶液(リン酸緩衝液に溶かした0.5%ウシ血清アルブミン)中でブロックする。洗浄後、試験試料の2倍段階希釈物を0.5%BSAおよびPBS中で作製し、これらの希釈物をELISAプレートのウェルに添加する。37℃で1時間インキュベーションした後、プレートを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合型ヤギ抗サルIgGまたはHRP結合型ヒツジ抗サル分泌成分検出抗血清と共に37℃で1時間インキュベーションする。次いでこれらのプレートを洗浄し、37℃で15分間、o-フェニレンジアミン(OPD)と共にインキュベートし、100μLの1M硫酸(H2SO4)を添加することによって呈色反応を停止させる。試料をELISAリーダーにおいてOD492を用いて測定する。
【0154】
本発明の様々な態様を本明細書において示し説明してきたが、このような態様は単なる例として提供されるに過ぎないことが、当業者には明らかであろう。多数の変形、変更、および代用が、本発明から逸脱することなく、当業者にはすぐに思い浮かぶであろう。本明細書において説明する本発明の態様に対する様々な代替案を、本発明を実践する際に使用してよいことが、理解されるべきである。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定めること、およびこれらの特許請求の範囲内の方法および構造物ならびにそれらの等価物がそれに包含されることが、意図される。
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