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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-31
(45)【発行日】2022-06-08
(54)【発明の名称】基地局アンテナ装置およびそのアダプタ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20220601BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20220601BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H04B1/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021504338
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 KR2019009332
(87)【国際公開番号】W WO2020022834
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0088114
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0090815
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン マン カン
(72)【発明者】
【氏名】デ ミュン パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョウン ソク ヤン
(72)【発明者】
【氏名】イン ホ キム
(72)【発明者】
【氏名】カン ソク チェ
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0179244(US,A1)
【文献】特表2017-537535(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0352042(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0149115(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
H01Q 1/24
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱ポールに対して前方へ所定距離離隔した離隔空間を有するように上下に設けられたアンテナモジュールと、
前記離隔空間に位置するように前記アンテナモジュールに着脱可能に設置されるRRHと、
前記アンテナモジュールと前記RRHとの電気的な信号接続および分離を媒介するアダプタとを含み、
前記アダプタは、
マウンティングパネルと、
前記アンテナモジュールと接続されるように前記マウンティングパネルに備えられた統合接続部と、
前記RRHと接続されるように前記マウンティングパネルに備えられた分岐接続部とを含み、
前記統合接続部には、前記アンテナモジュールとの分離を防止するためのロッキング部がさらに備えられている、基地局アンテナ装置。
【請求項2】
前記分岐接続部は、前記RRHに備えられたポートの個数に対応する個数で備えられ、
前記統合接続部は、前記分岐接続部の個数に対する最小公倍数で備えられている、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項3】
前記分岐接続部および前記統合接続部は、コネクティング構造体を含み、
前記コネクティング構造体は、DCCコネクタを含む、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項4】
前記ロッキング部は、
前記アダプタの側端部にヒンジ回動可能に備えられたロッキングレバーと、
前記ロッキングレバーに連動して直線移動するように備えられ、先端部が前記アンテナモジュールのアンテナ側接続部側に挿入されて係止されるロッキングロッドとを含む、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項5】
前記ロッキングロッドの外周面には、防水のための少なくとも1つのロッドシーリングが介在している、請求項4に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナモジュールには、ヒンジ固定部が左右に貫通したヒンジホール形態で備えられ、
前記RRHには、前記ヒンジ固定部に挿入されるヒンジ結合棒が備えられ、
前記RRHは、前記ヒンジ結合棒が前記ヒンジ固定部に挿入締結された状態で、前記ヒンジ結合棒を基準として下端部が回動する、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項7】
前記ヒンジ固定部のヒンジホールの内部には、前記ヒンジ結合棒との摩擦力を低減する複数のベアリングボールが介在している、請求項6に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項8】
前記RRHの下端部が前記アンテナモジュールに接近回動する時、前記アダプタの前記統合接続部が前記アンテナモジュールに備えられたアンテナ側接続部に挿入接続される、請求項7に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項9】
前記統合接続部は、
前記アンテナモジュールに単一個数で備えられた単一のアンテナ側接続部に接続されるように単一個数で備えられている、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項10】
前記統合接続部は、
前記アンテナモジュールの左側および右側にそれぞれ形成された第1アンテナ側接続部および第2アンテナ側接続部に接続されるように2つ備えられている、請求項1に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項11】
前記単一のアンテナ側接続部または前記第1アンテナ接続部および第2アンテナ接続部と前記統合接続部との間には、防水のための少なくとも1つのシーリングパッドが介在している、請求項9または10に記載の基地局アンテナ装置。
【請求項12】
マウンティングパネルと、
前記マウンティングパネルの側端部に備えられるが、支柱ポールに対して前方へ所定距離離隔した離隔空間を有するように上下に設けられたアンテナモジュールと接続されるように備えられた統合接続部と、
前記マウンティングパネルの上端部に備えられるが、前記離隔空間に位置するように前記アンテナモジュールに設けられ、上端部および下端部のいずれか1つが前記アンテナモジュールに対してヒンジ結合され、前記上端部および下端部の残りの1つが前記ヒンジを中心に回動しながら前記アンテナモジュールの一部に電気的な信号接続および分離可能に着脱されるRRHと接続されるように備えられた分岐接続部と、
前記アンテナモジュールとの分離を防止するためのロッキング部とを含む、基地局アンテナ装置のアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局アンテナ装置およびそのアダプタ(ANTENNA APPARATUS FOR BASE STATION AND ADAPTOR OF THE SAME)に関し、より詳しくは、組立および設置が容易な基地局アンテナ装置およびそのアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムにおいて、「基地局」とは、セル内で携帯端末の電波を中継するシステムをいう。基地局は、主にビルの屋上などに設置され、携帯端末の電波を中継する。したがって、セル単位で基地局が存在し、このような基地局は、携帯端末と交換局との間におけるインターフェース機能以外にも、着発信信号の送出、通話チャネルの指定、通話チャネルの監視などをセル単位で制御する。基地局に採用されるアンテナ装置は、垂直または水平にビームチルティング可能な制御アンテナが多いという利点から普及されてきた。
【0003】
移動通信サービスの大衆化に伴い、より安定してサービスを提供できる無線ネットワーク環境を提供するアンテナ装置の普及が拡大しており、移動通信サービスは有線通話のみを可能にしていた2G(2Generation)から3Gおよび4Gと、pre-5Gを経て、最近は5Gが定着化している傾向にある。このような5G移動通信のためのアンテナ装置が既存の4Gおよびpre-5Gとともに実装され、その設置位置を共有することができる。
【0004】
しかし、従来の基地局アンテナ装置は、アンテナモジュールと中継器(RRH、Remote Radio Head)の仕様がそれぞれ異なっていて、アンテナモジュールに提供されるそれぞれの周波数帯域別のアンテナとRRHとの連結組立が非常に難しくて、設置時間および費用が大きくかさむ問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、支柱ポールにアンテナモジュールと中継器を設けるために用いられる部品を最小化および共用化して、基地局アンテナ装置の設置時間および設置費用を最小化し、維持/補修にも便利な基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、支柱ポールに装着される基地局アンテナ装置の設置空間を最小化することはもちろん、縮小された設置空間内でもアンテナモジュールとRRHとの接続結合が容易となるように設計された基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供することを他の目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、アンテナモジュールに対するRRHの接続を媒介するアダプタの接続部位が任意離脱しないようにして安定性を向上させることができる基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供することをさらに他の目的とする。
【0008】
本発明の技術的課題は、以上に言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による基地局アンテナ装置の一実施例は、支柱ポールに対して前方へ所定距離離隔した離隔空間を有するように上下に設けられたアンテナモジュールと、前記離隔空間に位置するように前記アンテナモジュールに設けられるが、上端部および下端部のいずれか1つが前記アンテナモジュールに対してヒンジ結合され、上端部および下端部の残りの1つが前記ヒンジを中心に回動しながら前記アンテナモジュールの一部に電気的な信号接続および分離可能に着脱されるRRHと、前記アンテナモジュールと前記RRHとの電気的な信号接続および分離を媒介するアダプタとを含む。
【0010】
ここで、前記アダプタは、前記アンテナモジュールと接続されるように側端部に備えられた統合接続部を備え、前記RRHと接続されるように上端部に備えられた分岐接続部を備え、前記統合接続部には、前記アンテナモジュールとの分離を防止するためのロッキング部がさらに備えられる。
【0011】
また、前記分岐接続部は、前記RRHに備えられたポートの個数に対応する個数で備えられ、前記統合接続部は、前記分岐接続部の個数に対する最小公倍数で備えられる。
【0012】
また、前記分岐接続部および前記統合接続部は、コネクティング構造体を含み、前記コネクティング構造体は、DCCコネクタを含むことができる。
【0013】
また、前記ロッキング部は、前記アダプタの側端部にヒンジ回動可能に備えられたロッキングレバーと、前記ロッキングレバーに連動して直線移動するように備えられ、先端部が前記アンテナモジュールのアンテナ側接続部側に挿入されて係止されるロッキングロッドとを含むことができる。
【0014】
また、前記ロッキングロッドの外周面には、防水のための少なくとも1つのロッドシーリングが介在してもよい。
【0015】
また、前記アンテナモジュールには、ヒンジ固定部が左右に貫通したヒンジホール形態で備えられ、前記RRHには、前記ヒンジ固定部に挿入されるヒンジ結合棒が備えられ、前記RRHは、前記ヒンジ結合棒が前記ヒンジ固定部に挿入締結された状態で、前記ヒンジ結合棒を基準として下端部が回動可能である。
【0016】
また、前記ヒンジ固定部のヒンジホールの内部には、前記ヒンジ結合棒との摩擦力を低減する複数のベアリングボールが介在してもよい。
【0017】
また、前記RRHの下端部が前記アンテナモジュールに接近回動する時、前記アダプタの前記統合接続部が前記アンテナモジュールに備えられたアンテナ側接続部に挿入接続可能である。
【0018】
また、前記統合接続部は、前記アンテナモジュールに単一個数で備えられた単一のアンテナ側接続部に接続されるように単一個数で備えられる。
【0019】
また、前記統合接続部は、前記アンテナモジュールの左側および右側にそれぞれ形成された第1アンテナ側接続部および第2アンテナ側接続部に接続されるように2つ備えられる。
【0020】
また、前記単一のアンテナ側接続部または前記第1アンテナ接続部および第2アンテナ接続部と前記統合接続部との間には、防水のための少なくとも1つのシーリングパッドが介在してもよい。
【0021】
本発明による基地局アンテナ装置のアダプタは、マウンティングパネルと、前記マウンティングパネルの側端部に備えられるが、支柱ポールに対して前方へ所定距離離隔した離隔空間を有するように上下に設けられたアンテナモジュールと接続されるように備えられた統合接続部と、前記マウンティングパネルの上端部に備えられるが、前記離隔空間に位置するように前記アンテナモジュールに設けられ、上端部および下端部のいずれか1つが前記アンテナモジュールに対してヒンジ結合され、前記上端部および下端部の残りの1つが前記ヒンジを中心に回動しながら前記アンテナモジュールの一部に電気的な信号接続および分離可能に着脱されるRRHと接続されるように備えられた分岐接続部と、前記アンテナモジュールとの分離を防止するためのロッキング部とを含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明による基地局アンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0023】
第一、アンテナモジュールと中継器の設置時間および設置費用を最小化できる効果を有する。
【0024】
第二、縮小された設置空間内でアンテナモジュールとRRHとの接続結合が容易なことから、空間活用性を増大させることができる効果を有する。
【0025】
第三、アンテナモジュールとRRHとの接続部位が強固な接続力を維持するため、任意離脱による分離に対する不安定性を解消できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による基地局アンテナ装置の第1実施例を示す斜視図である。
図2】支柱ポールに設けられたアンテナモジュールにRRHを設ける様子を示す分解斜視図である。
図3図2の分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置およびそのアダプタを用いた結合過程を示す側面図である。
図5】本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置の構成のうち、アンテナモジュールおよびRRHの結合の様子を示す背面斜視図である。
図6】本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置のアダプタがRRHに結合された状態を示す斜視図である。
図7図6の分解斜視図である。
図8】本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置のアダプタを示す斜視図および一部分解斜視図である。
図9】本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置の構成のうち、アンテナモジュールに対するアダプタの接合の様子を示す斜視図である。
図10図9の断面図である。
図11】本発明による基地局アンテナ装置の第2実施例を示す背面斜視図である。
図12A図11の構成のうち、アンテナモジュールに対するアダプタの接合の様子を示す正面側分解斜視図である。
図12B図11の構成のうち、アンテナモジュールに対するアダプタの接合の様子を示す背面側分解斜視図である。
図13図11の切開斜視図である。
図14A図11の構成のうち、アンテナモジュール、RRHおよびその接続を媒介するアダプタの正面側分解斜視図である。
図14B図11の構成のうち、アンテナモジュール、RRHおよびその接続を媒介するアダプタの背面側分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明による基地局アンテナ装置およびそのアダプタの実施例を、添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0028】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0029】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。これらの用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、特に断らない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0030】
図1は、本発明による基地局アンテナ装置の第1実施例を示す斜視図であり、図2は、支柱ポールに設けられたアンテナモジュールにRRHを設ける様子を示す分解斜視図であり、図3は、図2の分解斜視図である。
【0031】
まず、本発明による基地局アンテナ装置の理解のために、基地局アンテナ装置(antenna unit)の構成について詳しく説明する。本実施例で説明されるアンテナモジュール20は、少なくとも1つの周波数帯域を有するアンテナモジュールを総称する概念である。また、本実施例で説明される中継器は、RRH30(Remote Radio Head)(以下、「RRH30」と称する)であって、アンテナモジュール20に提供されるそれぞれの周波数帯域別のアンテナに連結され、アンテナおよび基地局の送受信を行う装置を称する。RRH30は、移動通信システムの基地局と移動通信端末との間において、弱くなった信号を受けて増幅または再送信するか、歪まれた波形を定形化し、タイミングを再調整するなどの機能をする中継装置をいう。
【0032】
本発明による基地局アンテナ装置の実施例は、図1に示すように、支柱ポール1にアンテナモジュール20とRRH30が同時に設けられる。より詳しくは、アンテナモジュール20は、支柱ポール1に上下に予め結合された上側アンテナ結合ブラケット3aおよび下側アンテナ結合ブラケット3bを介して支柱ポール1の前方側に結合できる。アンテナモジュール20の背面部には、支柱ポール1に備えられた上側アンテナ結合ブラケット3aおよび下側アンテナ結合ブラケット3bと相互結合されるための上側結合段23aおよび下側結合段23bが備えられる。支柱ポール1に結合された上側アンテナ結合ブラケット3aおよび下側アンテナ結合ブラケット3bの少なくとも1つは、支柱ポール1に対してアンテナモジュール20の上端または下端のヒンジ結合位置を前方に所定角度チルティング回動させる回動ブラケット形態で備えられる。したがって、アンテナモジュール20を上下方向にチルティング回動させることができるため、アンテナビームの方向性の調節が容易である。
【0033】
ここで、アンテナモジュール20は、上下に長くスリムなボックス形態で備えられるが、支柱ポール1に対して前方へ所定距離離隔空間を有するように支柱ポール1と平行に設けられる。
【0034】
アンテナモジュール20と支柱ポール1との間の離隔空間にはRRH30が設けられる。そのため、RRH30の前後方向の厚さは、最大離隔空間が形成するアンテナモジュール20と支柱ポール1との間の前後の隔離距離を超えないように設計されることが好ましい。
【0035】
RRH30は、内部構成品の作動時に発熱する発熱素子が備えられることから、外部への放熱手段を必要とする。したがって、RRH本体31の背面には、内部の熱を後方に放熱する複数の後方放熱フィン32が備えられ、RRH本体31の前面には、内部の熱を前方に放熱する複数の前方放熱フィン33が備えられる。RRH30の後方放熱フィン32および前方放熱フィン33は、それぞれアンテナモジュール20と支柱ポール1との間の離隔空間を活用して内部の熱を外部に円滑に放熱することができる。
【0036】
RRH30は、1つのアンテナモジュール20の背面に上下に2つ以上多段結合できるが、本発明の実施例では、説明の便宜のために、1つのアンテナモジュール20の背面には単数のRRH30が設けられると限定して説明する。
【0037】
RRH30は、アンテナモジュール20の背面に対して一定間隔を維持するように相互対面して配置される。すなわち、RRH30とアンテナモジュール20は、面対面(face-to-face)で向かい合うように配置される。
【0038】
後述するが、アンテナモジュール20の背面には、RRH30との電気的信号接続のためのアンテナ側接続部25が1つ以上設けられ、RRH30の下部には、アンテナモジュール20とRRH30との間の相互電気的信号接続を媒介するアダプタ100がさらに備えられ、アダプタ100によって直接接続されると同時に、その接続構造が固定機能を兼ねるように備えられる。
【0039】
すなわち、アンテナモジュール20の背面には、後述するアダプタ100の構成のうち、統合接続部120を介してRRH30と電気的な信号接続が可能となるように少なくとも1つのアンテナ側接続部25が備えられる。アンテナ側接続部25は、統合接続部120に対応する個数で設けられ、統合接続部120が突出形態で備えられた場合、アンテナ側接続部25は、雌雄結合形態で接続される溝形態で備えられる。
【0040】
アンテナモジュール20は、第4世代移動通信(4G)またはpre-5Gや第5世代移動通信(5G)サービスが可能なアンテナであり得る。アンテナモジュール20は、図1図3に示すように、上下に長い形状に備えられ、複数の外部面のうち、前方面と側面は、別のカバー部材(図面符号表記せず)によってそれぞれ遮蔽可能である。
【0041】
アンテナモジュール20の背面には、RRH30との結合のためのヒンジ固定部26が備えられる。ヒンジ固定部26は、アンテナモジュール20の背面側中間部分に左右に貫通したヒンジホール形態で備えられる。ヒンジ固定部26は、下方にヒンジホール側が開口した開口スリット27が形成される。
【0042】
そして、RRH30の上端部には、アンテナモジュール20に備えられたヒンジ固定部26のヒンジホールに挿入されるヒンジ結合棒35が備えられる。ヒンジ結合棒35は、RRH30の上端部に固定されたヒンジ取付ブラケットを介して固定できる。
【0043】
ヒンジ固定部26のヒンジホールの内側には、ヒンジ結合棒35との摩擦力を最小化するための複数のベアリングボール28が介在してもよい。すなわち、複数のベアリングボール28は、ヒンジホールの外周を形成しながら、回動するヒンジ結合棒35の外周面の回動を案内する役割を果たす。
【0044】
RRH30は、図3に示すように、ヒンジ結合棒35が左側または右側で水平に移動してヒンジ固定部26に挿入される動作でヒンジ締結できる。RRH30のヒンジ結合棒35がヒンジ固定部26に完全にヒンジ締結されると、ヒンジ固定部26の左右両端にそれぞれ備えられた固定キャップ29a、29bを介してヒンジ結合棒35の外部離脱が防止できる。
【0045】
すなわち、本発明による基地局アンテナ装置の一実施例は、図1図3に示すように、支柱ポール1にアンテナモジュール20を結合させた状態で、上述した離隔空間に相当する部位にRRH30を設けるために、支柱ポール1からアンテナモジュール20を分離させる必要なく、簡便にヒンジ結合棒35をヒンジ固定部26に挿入してヒンジ締結させる方式で結合可能なため、RRH30自体の維持および補修時に作業効率を向上させることができる。
【0046】
RRH30は、上端部がヒンジ結合棒35を介してアンテナモジュール20の背面にヒンジ締結されることで、ヒンジ固定部26を回転中心として下端部が後方側に所定角度ヒンジ回動可能である。
【0047】
RRH30の下端部には、アンテナモジュール20と電気的な信号接続のために設けられた複数のポート39が備えられる。以下、本発明による基地局アンテナ装置の一実施例では、RRH30の下端部に4つのポート39が備えられるものと前提して説明し、それぞれのポート39に接続される、後述するアダプタの分岐接続部130も4つ備えられるものと前提して説明する。
【0048】
図4は、本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置およびそのアダプタを用いた結合過程を示す側面図であり、図5は、本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置の構成のうち、アンテナモジュールおよびRRHの結合の様子を示す背面斜視図であり、図6は、本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置のアダプタがRRHに結合された状態を示す斜視図であり、図7は、図6の分解斜視図であり、図8は、本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置のアダプタを示す斜視図および一部分解斜視図である。
【0049】
本発明による基地局アンテナ装置の実施例は、アンテナモジュール20とRRH30との電気的な信号接続および分離を媒介するアダプタ100をさらに含むことができる。
【0050】
以下、図1図10により参照されたアダプタ100を、後述する図11図14Aにより参照されたアダプタ200と区分するために、前者は「第1実施例によるアダプタ100」と定義し、後者は「第2実施例によるアダプタ200」と定義する。
【0051】
第1実施例によるアダプタ100は、図4図8に示すように、左右方向に長く垂直配置されたマウンティングパネル110と、マウンティングパネル110の側端部にアンテナモジュール20との電気的な信号接続のために設けられた統合接続部120と、マウンティングパネル110の上端部にRRH30との電気的な信号接続のために設けられた分岐接続部130とを含むことができる。
【0052】
このような構成からなる第1実施例によるアダプタ100は、図4および図5に示すように、上端部の分岐接続部130がRRH30に結合された状態でRRH30を離隔空間内で上端部のヒンジ結合棒35を基準として下端部を前方に回動させる動作によりアンテナモジュール20に電気的な接続および機構的な固定の役割を果たすことができる。
【0053】
より詳しくは、分岐接続部130は、上述したマウンティングパネル110の上端部にRRH30の下端部に備えられたポート39の個数に対応する個数で備えられた複数のコネクティング構造体135と、複数のコネクティング構造体135がそれぞれ載置されるように備えられた載置パネル131とを含むことができる。複数のコネクティング構造体135には、複数の載置パネル131にねじ締結のための少なくとも2以上のねじ締結ホール136が形成される。締結ねじ132は、載置パネル131を貫通してねじ締結ホール136に締結されることで、複数のコネクティング構造体135を載置パネル131に強固に固定させることができる。
【0054】
載置パネル131の上面には、RRH30の各ポート39に接続されるコネクティング構造体135がそれぞれ載置結合できる。コネクティング構造体135は、RRH30との電気的な信号接続および分離を実質的に媒介する構成であって、各ポート39ごとに1つずつ備えられ、ポート39別の電気的な信号送受信の役割を果たす。ここで、コネクティング構造体135は、DCCコネクタを含むことができる。しかし、コネクティング構造体135がDCCコネクタに限定されるものではなく、RRH30の各ポート39と電気的な信号接続が可能な連結構造であれば、いかなる構造の採用も可能であろう。
【0055】
第1実施例によるアダプタ100のRRH30に対する結合は、各ポート39に対するDCCコネクタの強固な結合により別の固定部材を備えなくても上述した電気的な信号接続および機構的な接続が同時に行われるが、各ポート39とDCCコネクタとの接続力(または結合力)だけで所望の固定力が得られない場合には、別の固定部材(図示せず)を備えて強固な機構的な接続力を確保することができる。
【0056】
一方、マウンティングパネル110の側端部には、アンテナモジュール20の背面に備えられた少なくとも1つのアンテナ側接続部25に接続されるように、アンテナモジュール20の背面側に突出して少なくとも1つの統合接続部120が備えられる。
【0057】
統合接続部120は、図示しないが、マウンティングパネル110の内側にRRH30の各ポート39と接続される分岐接続部130のDCCコネクタで備えられたコネクティング構造体135を介して送受信する独立した信号ラインを構築することができる。したがって、統合接続部120の露出面には、各信号ラインに連結され、アンテナ側接続部25に通電可能な複数のコネクティング構造体125が備えられる。ここで、複数のコネクティング構造体125は、分岐接続部130に適用されたものと同一のDCCコネクタであり得る。しかし、コネクティング構造体125がDCCコネクタに限定されるものではなく、PICWの連結構造が採用されても構わない。
【0058】
同時に、統合接続部120は、分岐接続部130のコネクティング構造体135の個数に対する最小公倍数の個数で備えられることが好ましい。例えば、分岐接続部130のコネクティング構造体135が2つ備えられた場合には、統合接続部120の個数は、分岐接続部130のコネクティング構造体135の最小公倍数である1つで備えられ、分岐接続部130のコネクティング構造体135が4つ備えられた場合には、統合接続部120の個数は、分岐接続部130のコネクティング構造体135の最小公倍数である2つで備えられる。
【0059】
参照として、第1実施例によるアダプタ100における統合接続部120は、分岐接続部130に備えられた4つのコネクティング構造体135すべてに対する独立した信号ラインを構築するように単数個で備えられたものと定義することができ、後述のように、第2実施例によるアダプタ200における統合接続部120は、分岐接続部130に備えられた4つのコネクティング構造体135のうちそれぞれ2つずつに対する独立した信号ラインを構築するように2つで備えられたものと定義することができる。
【0060】
第1実施例によるアダプタ100において、統合接続部120は、図8に示すように、マウンティングパネル110に対して直交して延びるが、アンテナモジュール20側に所定長さ延びた突出ブロック121と、突出ブロック121の先端部に備えられ、アンテナ側接続部25の枠部位に密着係止される型合わせ段付122と、型合わせ段付122の外側面に備えられ、複数のコネクティング構造体125がエンベデッド方式で挿入具備された接続段付123とを含むことができる。
【0061】
同時に、第1実施例によるアダプタ100は、統合接続部120に備えられるが、アンテナモジュール20との分離を防止するためのロッキング部140がさらに備えられる。
【0062】
ロッキング部140は、風のような外部環境による振動などによって、統合接続部120を介してアンテナ側接続部25と構築された電気的な信号接続が任意に断絶されるのを防止する役割を果たす。
【0063】
ロッキング部140は、図8に示すように、先端部が統合接続部120の突出ブロック121の一部に回動可能にヒンジ結合されたロッキングレバー141と、ロッキングレバー141の回動動作に連動して前後方向に直線移動するように備えられ、先端部がアンテナモジュール20のアンテナ側接続部25側に挿入されて係止されるロッキングロッド142とを含むことができる。
【0064】
RRH30の下端部を上述したヒンジ結合棒35を中心に回動させてアダプタの統合接続部120がアンテナ側接続部25に接続されて電気的な信号接続が完了すれば、前後方向に水平に備えられたロッキングレバー141を上端部のヒンジ結合部位を中心に下端部を前方に回動させると、ロッキングロッド142がアンテナ側接続部25の内部に突出して係止され、任意にアダプタ100の統合接続部120がアンテナ側接続部25から離脱するのを防止することができる。
【0065】
一方、ロッキングロッド142の外周面には、ロッキングロッド142の外周面とアンテナ側接続部25との間の隙間に水分が流入するのを防止できるように少なくとも1つのロッドシーリング140a、140bが介在してもよい。
【0066】
統合接続部120の突出ブロック121の下側には、ロッキングレバー141が前後方向に水平に備えられた場合、これを収容して保管するレバー収容溝127が上側に陥没して形成される。統合接続部120がアンテナ側接続部25に接続される前にはロッキングレバー141がレバー収容溝127に収容されて保管され、統合接続部120のアンテナ側接続部25に対する接続が完了すれば、これを強固に固定させるためにロッキングレバー141をレバー収容溝127から回動させて固定させる。
【0067】
図9は、本発明の第1実施例による基地局アンテナ装置の構成のうち、アンテナモジュールに対するアダプタの接合の様子を示す斜視図であり、図10は、図9の断面図である。
【0068】
アンテナモジュール20の背面には、図9に示すように、第1実施例によるアダプタ100の構成のうち、統合接続部120との電気的な信号接続が行われるようにアンテナ側接続部25が設けられる。
【0069】
アンテナ側接続部25は、図9に示すように、アンテナモジュール20の内側に所定深さ陥没した溝形態で備えられるが、枠および統合接続部120の型合わせ段付122が収容される内部溝の内側壁を形成する枠リブ25aと、アンテナ側接続部25の溝部の内側に介在して統合接続部120の接続段付123の外側面とアンテナ側接続部25の内側面との間を密封する第1シーリングパッド25bと、枠リブ25aの内側面に介在して統合接続部120の型合わせ段付122と枠リブ25aとの間を密封する第2シーリングパッド25cとを含むことができる。
【0070】
一方、統合接続部120がアンテナ側接続部25に接続された後には、図10に示すように、型合わせ段付122の外周面とアンテナ側接続部25の枠リブ25aの外周を含むように巻かれる外部シーリング25dがテーピングできる。
【0071】
アンテナ側接続部25の内側面には、統合接続部120のコネクティング構造体125とそれぞれ電気的な信号接続が可能となるように対応コネクタ(図面符号表記せず)が備えられる。
【0072】
第1実施例によるアダプタ100は、上述のように、RRH30の4つのポート39にそれぞれ連結される4つのコネクティング構造体135からなる分岐接続部130および単数個の統合接続部120に備えられた4つのコネクティング構造体125が、アンテナモジュール20に備えられた単一のアンテナ側接続部25の各対応コネクタに連結されるように備えられることで、独立した信号ラインの連結が可能である。
【0073】
図11は、本発明による基地局アンテナ装置の第2実施例を示す背面斜視図であり、図12Aおよび図12Bは、図11の構成のうち、アンテナモジュールに対するアダプタの接合の様子を示す正面側分解斜視図および背面側分解斜視図であり、図13は、図11の切開斜視図であり、図14Aおよび図14Bは、図11の構成のうち、アンテナモジュール、RRH30およびその接続を媒介するアダプタの正面側分解斜視図および背面側分解斜視図である。
【0074】
本発明による基地局アンテナ装置の第2実施例は、図11図14Bに示すように、すでに説明された第1実施例による基地局アンテナ装置とその電気的な信号接続の過程は同一である。ただし、第2実施例による基地局アンテナ装置を第1実施例と区分するのは、これに適用されたアダプタ200の構成のうち、統合接続部220の個数および統合接続部220が接続されるアンテナモジュールのアンテナ側接続部25の個数、そしてその細部的な外形に差異があることに起因する。
【0075】
そのため、以下、第1実施例によるアダプタ100を基準として、第2実施例によるアダプタ200との差異点を中心に説明する。
【0076】
第2実施例において、マウンティングパネル210は、第1実施例のマウンティングパネル110が左右方向に垂直に配置されたのとは異なり、左右方向に水平配置されるという差異点がある。
【0077】
同時に、第2実施例における統合接続部220は、第1実施例の統合接続部120の個数が単数個であるのとは異なり、分岐接続部230の4つのコネクティング構造体235の最小公倍数である2つずつの信号ラインを担当できるように2つの統合接続部220が設けられる。
【0078】
このように第2実施例によるアダプタ200の場合、2つの統合接続部220およびこれに対応するアンテナ側接続部25の2箇所で電気的な信号接続および機構的な接続が行われることにより、第1実施例によるアダプタ100の場合より安定した接続力を維持できるという利点を有する。
【0079】
同時に、第1実施例における統合接続部120およびアンテナモジュール20のアンテナ側接続部25の外形は、第1実施例の統合接続部120がそれぞれ型合わせ段付122および接続段付123に段付いて形成され、第1実施例のアンテナ側接続部25がそれぞれ統合接続部120の型合わせ段付122および接続段付123が収容されるように備えられたのとは異なり、内部接続構造物が単純に外形上合致する構造で設けられる。
【0080】
その他、第2実施例によるアダプタ200は、第1実施例によるアダプタ100と同じく、ロッキング部240を備え、ロッキング部240を介してアンテナ側接続部25に強固に接続できる。
【0081】
以上、本発明による基地局アンテナ装置およびそのアダプタの実施例を、添付した図面を参照して詳しく説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例により限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは当然であろう。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、支柱ポールにアンテナモジュールと中継器を設けるために用いられる部品を最小化および共用化して、基地局アンテナ装置の設置時間および設置費用を最小化し、維持/補修にも便利な基地局アンテナ装置およびそのアダプタを提供する。
【符号の説明】
【0083】
1:支柱ポール 3a:上側アンテナ結合ブラケット
3b:下側アンテナ結合ブラケット 20:アンテナモジュール
25:アンテナ側接続部 25a:枠リブ
25b:第1シーリングパッド 25c:第2シーリングパッド
25d:外部シーリング 26:ヒンジ固定部
27:開口スリット 28:ベアリングボール
30:RRH 39:ポート
100:第1実施例によるアダプタ 110:マウンティングパネル
120:統合接続部 121:突出ブロック
122:型合わせ段付 123:接続段付
125:コネクティング構造体 127:レバー収容溝
130:分岐接続部 135:コネクティング構造体
140:ロッキング部 140a、140b:ロッドシーリング
141:ロッキングレバー 142:ロッキングロッド
200:第2実施例によるアダプタ
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14a
図14b