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特許7082738薬剤情報提供装置、サーバ、媒体、薬剤情報提供方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】薬剤情報提供装置、サーバ、媒体、薬剤情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20220602BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020207057
(22)【出願日】2020-12-14
(62)【分割の表示】P 2016023660の分割
【原出願日】2016-02-10
(65)【公開番号】P2021101331
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】596079138
【氏名又は名称】東日本メディコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 崇
【審査官】塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-150703(JP,A)
【文献】くすりの適正使用協議会,くすりの絵文字「ピクトグラム」活用マニュアル,2007年12月版,一般社団法人 くすりの適正使用協議会,2007年12月,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20130619213849/https://www.rad-ar.or.jp/02/08_pict/manual.pdf>,[online],[令和4年3月30日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に提供される薬剤の情報を取得する薬剤情報取得手段と、
前記患者に提供される前記薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが、第1の言語で表された文字を含むピクトグラムを取得する図像取得手段と、
前記薬剤情報取得手段によって取得された前記薬剤の情報と、前記図像取得手段によって取得された前記文字を含むピクトグラムとに基づいて、前記患者に対して薬剤に関する情報を提供するための薬剤情報提供手段と、
を備え、
前記薬剤情報提供手段は、前記第1の言語とは異なる第2の言語で表された前記薬剤の情報と、前記第1の言語で表された前記文字を含むピクトグラムとを有する前記薬剤に関する情報を提供し、
前記文字を含むピクトグラムには優先順位が設定され、前記薬剤に関する情報が表される領域の大きさ及び前記優先順位に応じて、前記薬剤に関する情報が表される領域に配置可能な前記文字を含むピクトグラムを表示する
ことを特徴とする薬剤情報提供装置。
【請求項2】
前記薬剤の情報と、前記図像取得手段によって取得された前記文字を含むピクトグラムに基づいて、薬剤説明書を作成する作成手段を備え、
前記薬剤情報提供手段は、前記作成手段によって作成された前記薬剤説明書を、前記薬剤に関する情報として提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤情報提供装置。
【請求項3】
前記薬剤情報取得手段は、前記患者に対して発行された処方箋の情報に基づいて、前記薬剤の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤情報提供装置。
【請求項4】
前記文字を含むピクトグラムが表す前記注意事項は、前記薬剤の服用に関する注意事項、飲み合わせに関する注意事項、又は、服用後の注意事項の少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の薬剤情報提供装置。
【請求項5】
前記文字を含むピクトグラムは、ユニバーサルデザインされた絵柄を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の薬剤情報提供装置。
【請求項6】
前記薬剤情報提供手段は、前記薬剤に関する情報を画面表示又は印刷によって提供する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の薬剤情報提供装置。
【請求項7】
第2の言語で表された患者に提供される薬剤の情報と、前記第2の言語とは異なる第1の言語で表された文字を含むピクトグラムとを有する薬剤に関する情報を提供する薬局端末と通信可能に構成されたサーバであって、
前記薬局端末からの要求に応じて、前記第2の言語で表された前記薬剤の情報と、当該薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが前記第1の言語で表された前記文字を含むピクトグラムとを前記薬局端末に提供し、
前記文字を含むピクトグラムには優先順位が設定され、前記薬剤に関する情報が表される領域の大きさ及び前記優先順位に応じて、前記薬剤に関する情報が表される領域に配置可能な前記文字を含むピクトグラムを表示することを特徴とするサーバ。
【請求項8】
薬剤情報提供装置が実行する薬剤情報提供方法であって、
患者に提供される薬剤の情報を取得する薬剤情報取得ステップと、
前記患者に提供される前記薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが、第1の言語で表された文字を含むピクトグラムを取得する図像取得ステップと、
前記薬剤情報取得ステップにおいて取得された前記薬剤の情報と、前記図像取得ステップにおいて取得された前記文字を含むピクトグラムとに基づいて、前記患者に対して薬剤に関する情報を提供するための薬剤情報提供ステップと、
を含み、
前記薬剤情報提供ステップでは、前記第1の言語とは異なる第2の言語で表された前記薬剤の情報と、前記第1の言語で表された前記文字を含むピクトグラムとを有する前記薬剤に関する情報を提供し、
前記文字を含むピクトグラムには優先順位が設定され、前記薬剤に関する情報が表される領域の大きさ及び前記優先順位に応じて、前記薬剤に関する情報が表される領域に配置可能な前記文字を含むピクトグラムを表示する
ことを特徴とする薬剤情報提供方法。
【請求項9】
コンピュータを、
患者に提供される薬剤の情報を取得する薬剤情報取得手段、
前記患者に提供される前記薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが、第1の言語で表された文字を含むピクトグラムを取得する図像取得手段、
前記薬剤情報取得手段によって取得された前記薬剤の情報と、前記図像取得手段によって取得された前記文字を含むピクトグラムとに基づいて、前記患者に対して薬剤に関する情報を提供するための薬剤情報提供手段、
として機能させ、
前記薬剤情報提供手段は、前記第1の言語とは異なる第2の言語で表された前記薬剤の情報と、前記第1の言語で表された前記文字を含むピクトグラムとを有する前記薬剤に関する情報を提供し、
前記文字を含むピクトグラムには優先順位が設定され、前記薬剤に関する情報が表される領域の大きさ及び前記優先順位に応じて、前記薬剤に関する情報が表される領域に配置可能な前記文字を含むピクトグラムを表示する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
第2の言語で表された患者に提供される薬剤の情報と、前記第2の言語とは異なる第1の言語で表された文字を含むピクトグラムとを有する薬剤に関する情報を提供する薬局端末と通信可能に構成されたサーバが実行する薬剤情報提供方法であって、
前記薬局端末からの要求に応じて、前記第2の言語で表された前記薬剤の情報と、当該薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが前記第1の言語で表された前記文字を含むピクトグラムとを前記薬局端末に提供する薬剤情報提供ステップを含み、
前記文字を含むピクトグラムには優先順位が設定され、前記薬剤に関する情報が表される領域の大きさ及び前記優先順位に応じて、前記薬剤に関する情報が表される領域に配置可能な前記文字を含むピクトグラムを表示することを特徴とする薬剤情報提供方法。
【請求項11】
第2の言語で表された患者に提供される薬剤の情報と、前記第2の言語とは異なる第1の言語で表された文字を含むピクトグラムとを有する薬剤に関する情報を提供する薬局端末と通信可能に構成されたサーバを構成するコンピュータを、
前記薬局端末からの要求に応じて、前記第2の言語で表された前記薬剤の情報と、当該薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが前記第1の言語で表された前記文字を含むピクトグラムとを前記薬局端末に提供する薬剤情報提供手段として機能させ、
前記文字を含むピクトグラムには優先順位が設定され、前記薬剤に関する情報が表される領域の大きさ及び前記優先順位に応じて、前記薬剤に関する情報が表される領域に配置可能な前記文字を含むピクトグラムを表示することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤情報提供装置、サーバ、媒体、薬剤情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬局においては、患者から提出された処方箋を基に、例えば、特許文献1に開示されるようなレセコン機能と薬歴管理機能とを備えたコンピュータ等を用いて、患者に対して薬剤情報の提供を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-118535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示される技術では、多言語に対応しておらず、多言語に対応する場合には、提供される薬剤情報を翻訳する必要がある。そのため、既存のシステムを多言語に対応させるためには、翻訳作業やデータの改修作業等に多大な労力が必要であった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、薬剤情報の提供に関し、簡易に多言語に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の薬剤情報提供装置は、
患者に提供される薬剤の情報を取得する薬剤情報取得手段と、
前記薬剤が提供される患者の使用言語を取得する使用言語取得手段と、
前記患者に提供される前記薬剤の使用時期、使用方法、又は注意事項の少なくともいずれかが、前記使用言語取得手段によって取得された前記使用言語で表された図像を取得する図像取得手段と、
前記薬剤情報取得手段によって取得された前記薬剤の情報と、前記図像取得手段によって取得された前記図像とに基づいて、前記患者に対して薬剤に関する情報を提供するための薬剤情報提供手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、薬剤情報の提供に関し、簡易に多言語に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤情報提供システムSの概要を示す模式図である。
図2】薬剤説明書の作成例を示す模式図である。
図3】図像を説明するための模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る薬局端末1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図5図4の薬局端末1の機能的構成のうち、薬剤情報提供処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
図6図5の機能的構成を有する図4の薬局端末1が実行する薬剤情報提供処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
[薬剤情報提供システムの概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤情報提供システムSの概要を示す模式図である。
【0011】
薬剤情報提供システムSは、図1に示すように、薬局端末1と、薬歴情報管理サーバ2と、薬剤情報管理サーバ3と、を含む。
【0012】
薬局端末1は、処方箋に記載された情報を用いて、薬歴情報管理サーバ2及び薬剤情報管理サーバ3から、処方される薬剤の情報を取得し、取得した薬剤の情報に基づいて、薬剤の服用方法や注意事項等の薬剤に関する情報が記載された文書(以下、「薬剤説明書」という。)を作成する。
また、薬局端末1は、作成した薬剤説明書をディスプレイやプリンタを介して出力する。
【0013】
薬歴情報管理サーバ2は、患者の薬歴情報を管理し、薬局端末1からの要求に応じて、患者の個人情報や薬歴情報を薬局端末1に提供する。
【0014】
薬剤情報管理サーバ3は、各種薬剤に関する情報を蓄積し、薬局端末1からの要求に応じて、要求された薬剤の薬剤情報を薬局端末1に提供する。
【0015】
このように構成される薬剤情報提供システムSにおいては、処方箋から薬剤説明書を自動作成する機能を有する。作成された薬剤説明書は、画面やプリンタに出力されて、服薬指導時等に、患者に提供される。
【0016】
ここで、薬剤情報提供システムSによって提供される薬剤説明書について説明する。
図2は、薬剤説明書の作成例を示す模式図である。
薬剤説明書は、薬剤師が患者に服薬指導を行う際に、説明資料として用いられ、患者に提供される。また、患者は服薬指導時や服用時等に、薬剤説明書を参照する。即ち、薬剤師は、作成された薬剤説明書を用いて服薬指導等を行い、薬剤説明書を受け取った患者は、薬剤説明書を参照して薬剤の服用を行う。
【0017】
このような薬剤説明書は、具体的には、図2に示すように、
薬剤の名称や組成・性状を示す項目C1、
薬剤の作用と効果を示す項目C2、
医師・薬剤師への伝達事項の伝達を患者に促す項目C3、
薬剤の服用方法、服用時期、注意事項等を示す図像(ピクトグラム)が掲載される図像表示の項目C4、
生活における注意を示す項目C5、
薬剤の副作用に関する情報を示す項目C6、
薬剤の保管方法等を示す項目C7
を含んで構成される。
【0018】
ここで、図像表示の項目に掲載される図像について、具体的に説明する。
図3は、図像を説明するための模式図である。
図像表示の項目に掲載される図像は、図3(a)に示すように、図像本体と、図像の説明により構成される。
図像本体は、言語の違いを問わずに視覚的に意味を認識可能なデザイン(ユニバーサルデザイン)の図像(ピクトグラム)である。この図像としては、薬剤情報提供システムSで使用するために専用にデザインされたものや、国や自治体等の公共機関によって社会的に共通して使用するためにデザインされたもののいずれを用いることも可能である。
また、用いられる図像によっては、図像本体が絵柄のみで構成されずに、図像を補足する文言(以下、「図像本体内の文言」という。)を含んで構成される。
【0019】
具体的には、図3(b)に示すように、図像P1の場合には、内服薬であることを、薬を飲む仕草で表した図像本体と、図像本体の意味の理解を助ける「内服薬(くすりをのむ)」という図像の説明で構成される。
また、図像本体は、基本的に絵柄のみで構成されるが、図像によっては図像を補足する文言が記載される。例えば、図像P5の場合には、図像本体内に、薬剤と共に飲用することが禁止された「グレープフルーツジュース」の文字が記載される。
【0020】
本実施形態の薬剤情報提供システムSでは、処方箋から薬剤説明書を作成して提供することができる上に、近年増加傾向にある訪日外国人(日本語が理解できない外国人)に対応して、図像を患者の使用言語に翻訳して掲載した薬剤説明書が作成される。即ち、本実施形態の薬剤情報提供システムSでは、図像の説明と、図像本体内の文言とが使用言語に翻訳された薬剤説明書が作成される。
図2に示す薬剤説明書においては、図像表示の項目を図3(b)に示すように、患者の使用言語に対応して、標準の言語(本実施形態においては、日本語)の図像が、患者の使用言語に翻訳された図像に変更される。
具体的には、使用言語が英語の場合には、図像P1において、日本語の「内服薬(くすりをのむ)」の図像の説明が、英語に翻訳された「Oral medicine(Drink medicine)」等の文言で表示される。
【0021】
本実施形態の薬剤説明書においては、使用言語に翻訳された図像を患者が確認することで、薬剤説明書の内容を、ユニバーサルデザインとされた図像本体で直感的に理解し、さらに翻訳された図像の説明や図像本体内の文言によってより正確に理解することができ、その結果として、薬剤に関する種々の情報を把握することができる。
また、本実施形態の薬剤説明書においては、患者の使用言語に不慣れな薬剤師であっても、ユニバーサルデザインとされた図像本体で患者に内容を理解させ、薬剤の説明を円滑に行うことができる。
即ち、薬剤情報提供システムSによって出力された薬剤説明書によれば、図像を介して説明ができるために、説明側(薬剤師)と説明を受ける側(患者)の双方が共通の言語を理解している必要がなく、患者に薬剤についての理解を促すことができる。
【0022】
また、既存の服薬情報が掲載される文書を翻訳する場合には、既存の医療情報提供システムに組み込むために多大な労力を必要とするが、図像のみを翻訳対象とすることで、既存の医療情報提供システムを簡易に多言語に対応させることができる。
【0023】
[ハードウェア構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る薬局端末1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
薬局端末1は、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)として構成される。
【0024】
薬局端末1は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、撮像部16と、入力部17と、出力部18と、記憶部19と、通信部20と、ドライブ21と、を備えている。
【0025】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部19からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0026】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0027】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、撮像部16、入力部17、出力部18、記憶部19、通信部20及びドライブ21が接続されている。
【0028】
撮像部16は、図示はしないが、光学レンズ部と、イメージセンサと、を備えている。
【0029】
光学レンズ部は、被写体を撮影するために、光を集光するレンズ、例えばフォーカスレンズやズームレンズ等で構成される。
フォーカスレンズは、イメージセンサの受光面に被写体像を結像させるレンズである。ズームレンズは、焦点距離を一定の範囲で自在に変化させるレンズである。
光学レンズ部にはまた、必要に応じて、焦点、露出、ホワイトバランス等の設定パラメータを調整する周辺回路が設けられる。
【0030】
イメージセンサは、光電変換素子や、AFE(Analog Front End)等から構成される。
光電変換素子は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光電変換素子等から構成される。光電変換素子には、光学レンズ部から被写体像が入射される。そこで、光電変換素子は、被写体像を光電変換(撮像)して画像信号を一定時間蓄積し、蓄積した画像信号をアナログ信号としてAFEに順次供給する。
AFEは、このアナログの画像信号に対して、A/D(Analog/Digital)変換処理等の各種信号処理を実行する。各種信号処理によって、ディジタル信号が生成され、撮像部16の出力信号として出力され、撮像画像のデータとして、CPU11や図示しない画像処理部等に適宜供給される。
【0031】
入力部17は、各種釦等を備え、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。また、入力部17は、マイク、スキャナを備え、音声、文字、図形、処方箋等の情報を電子データとして入力する。
【0032】
出力部18は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ等で構成され、文字、画像、音声等を出力する。
【0033】
記憶部19は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種画像のデータを記憶する。
【0034】
通信部20は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(図示せず)との間で行う通信を制御する。
【0035】
ドライブ21には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ21によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部19にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部19に記憶されている画像のデータ等の各種データも、記憶部19と同様に記憶することができる。
【0036】
ここで、外部サーバである薬歴情報管理サーバ2及び薬剤情報管理サーバ3について説明する。
薬歴情報管理サーバ2は、レセプト用コンピュータと、電子薬歴管理用コンピュータとが一体型となったサーバとして構成される。薬歴情報管理サーバ2には、薬局端末1から薬剤師の個別IDとパスワードを使ってログインすることで管理データにアクセス可能であり、対象となる患者の薬歴、既往歴、使用言語等の情報を提供することができる。
【0037】
また、薬剤情報管理サーバ3は、各種薬剤の薬剤情報が格納されたデータベースを管理するサーバとして構成され、薬局端末1からの問い合わせに応じて薬剤情報を提供する。また、薬剤情報管理サーバ3では、薬剤に対応した図像(標準の言語で表された図像)と、その図像が各種言語に翻訳された図像とが管理されている。
【0038】
[機能構成]
図5は、図4の薬局端末1の機能的構成のうち、薬剤情報提供処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0039】
薬剤情報提供処理とは、患者から取得した処方箋を基に、処方箋が記載された言語と異なる言語を使用する患者でも理解可能な薬剤説明書を提供する一連の処理をいう。
【0040】
薬剤情報提供処理が実行される場合には、図5に示すように、CPU11において、処方箋情報取得部51と、使用言語取得部52と、薬剤情報取得部53と、図像取得部54と、薬剤説明書作成部55と、出力制御部56と、が機能する。
また、記憶部19の一領域には、処方箋情報記憶部71と、薬剤説明書情報記憶部72と、が設定される。
処方箋情報記憶部71には、処方箋を読み込んで取得した処方箋の情報(例えば、処方日時、患者氏名、処方薬剤名、処方薬剤量等)が記憶される。
薬剤説明書情報記憶部72には、作成された薬剤説明書のデータが記憶される。
【0041】
処方箋情報取得部51は、紙媒体に印刷された処方箋をスキャナ等の入力部17を介して読み取ることにより、患者の氏名と、処方する薬剤名等の処方箋に記載された情報を取得する。
また、処方箋情報取得部51は、取得した処方箋の情報を処方箋情報記憶部71に記憶させる。
【0042】
使用言語取得部52は、通信部20を介して、薬歴情報管理サーバ2に対して問い合わせを行うことにより、処方箋情報取得部51によって取得された患者の使用言語を取得する。
【0043】
薬剤情報取得部53は、通信部20を介して、薬剤情報管理サーバ3に対して問い合わせを行うことにより、処方箋情報取得部51によって取得され処方薬剤名に対応する薬剤情報を取得する。
【0044】
図像取得部54は、通信部20を介して、薬剤情報管理サーバ3に対して問い合わせを行うことにより、使用言語取得部52によって取得された使用言語に対応する図像を取得する。例えば、使用言語が英語の場合には、図像取得部54は、薬剤情報管理サーバ3から、標準の日本語の図像に代えて、患者の使用言語である英語に翻訳された図像(図像本体と、図像の説明)を取得する。
【0045】
薬剤説明書作成部55は、薬剤情報取得部53によって取得された薬剤情報と、図像取得部54によって取得された使用言語に対応した図像(図像本体と、図像の説明)から薬剤説明書を作成する。作成された薬剤説明書のデータは、薬剤説明書情報記憶部72に記憶される。その結果、図像表示の項目が患者の使用言語に翻訳された薬剤説明書が作成される。このとき、薬剤説明書の領域には限りがあるため、薬剤に対応する図像に優先順位を持たせ、図像を配置可能な領域の大きさに応じて、薬剤説明書作成部55が図像の使用個数を調整することとしてもよい。
【0046】
出力制御部56は、薬剤説明書作成部55によって作成された薬剤説明書を、画面出力したりプリントアウトしたりするように出力部18を制御する。これにより、薬剤説明書が患者に提供されることになる。
【0047】
[薬剤情報提供処理の流れ]
図6は、図5の機能的構成を有する図4の薬局端末1が実行する薬剤情報提供処理の流れを説明するフローチャートである。
【0048】
薬剤情報提供処理は、ユーザによる入力部17への薬剤情報提供処理開始の操作により開始される。
【0049】
ステップS11において、処方箋情報取得部51は、紙媒体に印刷された処方箋をスキャナ等の入力部17を介して読み取ることにより、患者の氏名と、処方する薬剤名等の処方箋に記載された情報を取得する。取得された処方箋の情報は、処方箋情報記憶部71に記憶される。
【0050】
ステップS12において、使用言語取得部52は、通信部20を介して、薬歴情報管理サーバ2に対して問い合わせを行うことにより、処方箋情報取得部51によって取得された患者の使用言語を取得する。
【0051】
ステップS13において、薬剤情報取得部53は、通信部20を介して、薬剤情報管理サーバ3に対して問い合わせを行うことにより、処方箋情報取得部51によって取得された処方薬剤名に対応する薬剤情報を取得する。
【0052】
ステップS14において、図像取得部54は、通信部20を介して、薬剤情報管理サーバ3に対して問い合わせを行うことにより、使用言語取得部52によって取得された使用言語に対応する図像を取得する。例えば、使用言語が英語の場合には、図像取得部54は、薬剤情報管理サーバ3から、英語に翻訳された図像(図像本体と、図像の説明)を取得する。
【0053】
ステップS14において、薬剤説明書作成部55は、薬剤情報取得部53によって取得された薬剤情報と、図像取得部54によって取得された使用言語に対応した図像(図像本体と、図像の説明)から薬剤説明書を作成する。作成された薬剤説明書のデータは、薬剤説明書情報記憶部72に記憶される。
【0054】
ステップS15において、出力制御部56は、薬剤説明書作成部55によって作成された薬剤説明書を、画面出力したりプリントアウトしたりするように出力部18を制御する。これにより、薬剤説明書が患者に提供されることになる。
その後、薬剤情報提供処理は終了する。
【0055】
このように、本実施形態の薬剤説明書においては、使用言語に翻訳された図像を患者が確認することで、薬剤説明書の内容を、ユニバーサルデザインとされた図像本体で直感的に理解し、さらに翻訳された図像の説明や図像本体内の文言によってより正確に理解することができ、その結果として、薬剤に関する種々の情報を把握することができる。
また、本実施形態の薬剤説明書においては、患者の使用言語に不慣れな薬剤師であっても、ユニバーサルデザインとされた図像本体で患者に内容を理解させ、薬剤の説明を円滑に行うことができる。
即ち、薬剤情報提供システムSによって出力された薬剤説明書によれば、図像を介して説明ができるために、説明側(薬剤師)と説明を受ける側(患者)の双方が共通の言語を理解している必要がなく、患者に薬剤についての理解を促すことができる。
【0056】
また、既存の服薬情報が掲載される文書を翻訳する場合には、既存の医療情報提供システムに組み込むために多大な労力を必要とするが、図像のみを翻訳対象とすることで、既存の医療情報提供システムを簡易に多言語に対応させることができる。
したがって、薬剤情報提供システムSにおいては、薬剤情報の提供に関し、簡易に多言語に対応することができる。
【0057】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0058】
上述の実施形態では、患者の使用言語の情報や薬剤情報を外部サーバから取得するように構成したがこれに限られず、予め薬局端末1で記憶しておくように構成してもよい。この場合、薬局端末1単独で、患者の使用言語に対応する薬剤説明書を出力することができる。
【0059】
また、上述の実施形態では、使用言語を処方箋から自動的に取得するように構成したが、薬剤師の患者へのヒアリング等から取得した使用言語を、入力部17を介して入力するように構成してもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では、予め翻訳された図像を用いたが、図像本体内の文言や図像の説明を差し替え可能にし、リアルタイムに翻訳するように構成してもよい。リアルタイムに翻訳することで、種々の言語に柔軟に翻訳して薬剤情報を提供することが可能となる。
【0061】
また、上述の実施形態では、薬剤の情報の図像のみを使用言語に翻訳したものを用いたが、所定の説明文において、図像が掲載される場合に、患者の使用言語に翻訳したものを用いるように構成してもよい。
【0062】
また、上述の実施形態において、薬剤情報管理サーバ3に格納する薬剤情報として、予め、標準の言語(例えば、日本語)の図像を含む薬剤説明書全体を格納するようにしてもよい。この場合には、薬剤説明書作成部55は、当該標準の言語の図像を含む薬剤説明書全体と、図像取得部54によって取得された使用言語に対応した図像(図像本体と、図像の説明)から、標準の言語の図像を使用言語に対応した図像で置き換えて、使用言語に対応した薬剤説明書を作成すればよい。
【0063】
また、上述の実施形態において、薬剤説明書を患者に提供することに関しては、現実に薬剤説明書を患者に提供することだけでなく、現実の提供の前段階である薬剤説明書を画面出力又はプリントアウトすることを含んでもよい。さらに、この薬剤説明書を患者に提供することに関しては、現実に薬剤説明書を患者に提供することを含まなくてもよく、現実の提供の前段階である薬剤説明書を画面出力又はプリントアウトすることだけでもよい。即ち、薬剤説明書を患者に提供することとは、薬剤説明書作成部55によって作成された薬剤説明書を患者に提供するために必要となる全部又はその一部の行為又は動作を意味する。
【0064】
また、上述の実施形態において、薬剤説明書は、患者に処方される薬剤に関する情報が記載された種々の媒体を表す一例であり、例えば、薬袋、薬剤情報提供文書、退院時薬剤情報管理指導文書、診療明細書、調剤明細書、領収書、診察券、レシート、治療に関する説明文書、薬剤に関する説明文書、お薬手帳等の各種手帳、患者個人に配布される各種カード、薬剤のヒートシール、紙またはビニール製の分包紙等、薬剤の処方に関連して患者に提供される文書に本発明を適用することができる。
【0065】
また、上述の実施形態では、本発明が適用される薬局端末1は、据え置き型のPCを例として説明したが、特にこれに限定されない。
例えば、本発明は、薬剤情報提供処理機能を有する電子機器一般に適用することができる。具体的には、例えば、本発明は、ノート型のパーソナルコンピュータ、プリンタ、テレビジョン受像機、ビデオカメラ、携帯型ナビゲーション装置、携帯電話機、スマートフォン、ポータブルゲーム機等に適用可能である。
【0066】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図5の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が薬局端末1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図5の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0067】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0068】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図4のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図4のROM12や、図4の記憶部19に含まれるハードディスク等で構成される。
【0069】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・薬局端末,2・・・薬歴情報管理サーバ,3・・・薬剤情報管理サーバ,11・・・CPU,12・・・ROM,13・・・RAM,14・・・バス,15・・・入出力インターフェース,16・・・撮像部,17・・・入力部,18・・・出力部,19・・・記憶部,20・・・通信部,21・・・ドライブ,31・・・リムーバブルメディア,51・・・処方箋情報取得部,52・・・使用言語取得部,53・・・薬剤情報取得部,54・・・図像取得部,55・・・薬剤説明書作成部,56・・・出力制御部,71・・・処方箋情報記憶部,72・・・薬剤説明書記憶部,S・・・薬剤情報提供システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6