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特許7082771天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレートの採掘方法
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  • 特許-天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレートの採掘方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレートの採掘方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/26 20060101AFI20220602BHJP
   E21C 50/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
E21B43/26
E21C50/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020132173
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2021139269
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】202010128589.9
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517138247
【氏名又は名称】インスティチュート オブ ジオロジー アンド ジオフィジックス, チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシズ
【氏名又は名称原語表記】Institute of Geology and Geophysics, Chinese Academy of Sciences
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ ショウディン
(72)【発明者】
【氏名】リ シアオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン スジン
(72)【発明者】
【氏名】スン イミン
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214880(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/159594(JP,A1)
【文献】特開2018-178374(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/104448(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0333892(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106545325(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110469313(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/26
E21C 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸と、前記井戸に連通されているフラクチャリング割れ目とを含む天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造において、
前記フラクチャリング割れ目は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置し、
前記フラクチャリング割れ目には、酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられており、
前記井戸は、垂直坑井及び/又は水平坑井を含み、
前記フラクチャリング割れ目の幅は、0.1~100mmであり、
前記フラクチャリング割れ目の長さは、10~300mであり、
前記フラクチャリング割れ目の数は、1つ又は複数を含み、
前記フラクチャリング割れ目の長さ方向と前記井戸の長さ方向との間の角度は、45°~140°である、ことを特徴とする減圧法による天然ガスハイドレートの採掘に用いられる天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造。
【請求項2】
前記フラクチャリング割れ目は、穿孔及び高圧ガス破砕によって得られたものであり、
前記酸化カルシウムは、水硬性石灰を含み、
前記酸化カルシウム粉末の粒度は、0.001~10mmであり、
前記酸化カルシウム粉末を含有するガスの酸化カルシウムの濃度は、5~90kg/kgであり、
前記ガスの圧力は、1~60MPaである、ことを特徴とする請求項1に記載の採掘構造。
【請求項3】
前記ガスは、空気を含み、
前記井戸の直径は、100~800mmであり、
前記井戸中にも酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられ、
前記井戸が減圧された後、前記フラクチャリング割れ目において、前記天然ガスハイドレート貯留層の水と酸化カルシウムが水酸化カルシウムを形成し、
前記井戸が減圧された後、前記フラクチャリング割れ目において、前記水酸化カルシウムと前記天然ガスハイドレート貯留層の堆積物が硬質充填物を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の採掘構造。
【請求項4】
1)天然ガスハイドレートの埋蔵領域に掘削プラットフォームを配設し、井戸が天然ガスハイドレート貯留層に入るように掘削作業を行うステップと、
2)天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸に穿孔作業を行い、井戸周囲の天然ガスハイドレート貯留層中に穿孔割れ目を形成するステップと、
3)井戸より天然ガスハイドレート貯留層へ酸化カルシウム粉末を含有するガスのフラクチャリングを行うことにより、酸化カルシウム粉末を含有するガスが穿孔割れ目に入るようにするステップと、
4)井戸に減圧作業を行った後、水を汲み上げて天然ガスを採収するステップと、を含み、
前記ステップ1)、2)及び3)によって請求項1乃至3のいずれか一項に記載の天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造が形成されていることを特徴とする減圧法による天然ガスハイドレートの採掘に用いられる天然ガスハイドレート貯留層の採掘方法。
【請求項5】
前記採掘方法は、In-situ 熱補充-圧力低下式充填採掘方法であり、
前記天然ガスハイドレートの埋蔵領域は、海域における天然ガスハイドレートの埋蔵領域を含み、
前記掘削プラットフォームは、海洋掘削プラットフォームを含む、ことを特徴とする請求項に記載の採掘方法。
【請求項6】
前記井戸は、水平坑井及び/又は垂直坑井を含み、
前記垂直坑井の掘削作業は、具体的には、井戸がそれぞれ海水及び地表上地層を通った後、天然ガスハイドレート貯留層に入るようにし、
前記水平坑井は、垂直部及び水平部を含み、
前記水平坑井の掘削作業は、具体的には、井戸の垂直部がそれぞれ海水及び地表上地層を通った後、天然ガスハイドレート貯留層に入った後、天然ガスハイドレート貯留層に水平部の掘削を行う、ことを特徴とする請求項に記載の採掘方法。
【請求項7】
坑井仕上げを行った後、さらに、前記ステップ2)を行い、
前記穿孔は、均一穿孔、スパイラル位相穿孔及びウォータージェット穿孔の1つ又は複数を含み、
前記穿孔割れ目は、具体的には、均一に分布した複数の穿孔割れ目であり、
前記穿孔割れ目は、前記水平坑井の垂直部及び/又は水平部に分布する、ことを特徴とする請求項に記載の採掘方法。
【請求項8】
前記フラクチャリングの圧力は1~60MPaであり、
前記穿孔及びフラクチャリングは、マルチクラスター穿孔及び多段階フラクチャリング作業であってもよく、
前記減圧作業は、具体的に、フラクチャリングを停止した後、井戸の坑口圧力を低減させ、
前記減圧後、井戸の坑口圧力は、1MPa以上である、ことを特徴とする請求項に記載の採掘方法。
【請求項9】
前記の水を汲み上げるのは、井戸の竪坑内の天然ガスハイドレート貯留層の水、及び天然ガスハイドレートの分解により生成された水を汲み上げることであり、
前記天然ガスハイドレートの分解により生成された天然ガスは、井戸の竪坑から坑口に輸送されてガス生産を行い、
前記採掘方法は、さらに、フラクチャリングステップを繰り返し、及び/又は坑口圧力を引き続き低減し、ガス生成速度を増加又は維持する方法を含む、ことを特徴とする請求項に記載の採掘方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年2月28日に出願された出願番号202010128589.9の中国特許出願に基づく優先権の利益を主張し、当該出願の内容は援用によりここに組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、天然ガスハイドレート採掘の分野に関し、天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及び天然ガスハイドレートの採掘方法に関し、特に、天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレートの採掘方法に関する。
【背景技術】
【0003】
天然ガスハイドレート(Natural Gas Hydrate/Gas Hydrate)は、白い固体物質であり、「可燃性氷」(Combustible ice)又は「固状ガス」及び「ガス状氷」とも称され、氷と類似する結晶物質である。それは、非常に強力な燃焼力を持ち、主に水分子と炭化水素系ガス分子(主にメタン)からなり、一定の条件下(適当な温度、圧力、ガス飽和度、水の塩分濃度、pH値など)で水と天然ガスが中高圧及び低温の条件下で混合される時にからなる、氷のような、非化学量論的なかご状結晶化合物(水分子中の酸素原子は、電気陰性度が大きく、高圧下でそれに近づく水分子中の水素原子を引き寄せて水素結合を形成し、かご状構造を形成する)である。温度が上昇するか、又は圧力が低下すると、メタンガスが放出され、固体水和物が崩壊する傾向がある。天然ガスハイドレートは、自然界で大陸の永久凍土、島の斜面、活動又は非活動的大陸縁の隆起部、極大陸棚、及び海といくつかの内陸湖の深層水環境に広く分布し、mCH4・nHOで表されることができ、mは、水和物中のガス分子を示し、nは、水和指数(即ち、水分子の数)を示す。天然ガスハイドレートは、物理的特性から、密度が氷の密度に近く、わずかに低く、天然ガスを構成する成分は、例えば、CH、C、C、C10などのホモログ及びCO、N、HSなどは、単一または複数の天然ガスハイドレートを形成できる。
【0004】
2013年6月から9月までに、中国は初めて高純度天然ガスハイドレートのサンプルを広東省沿岸の珠江口盆地の東部海域で掘削し、且つ、掘削によりかなりの埋蔵量を取得している。2017年5月、中国初回の海域天然ガスハイドレート(可燃性氷)の試験採取に成功している。2017年11月3日、国務院は、天然ガスハイドレートを新たな鉱物種とすることを正式承認している。天然ガスハイドレートは、豊富な埋蔵量を持つ新しいタイプのエネルギーであり、中国以外は、ロシア、米国、カナダ、日本などの国々で天然ガスハイドレートの試験採取を行ったが、現在使用されているさまざまな採掘方法で得られた天然ガスの1日あたりの平均出力は、商業開発のニーズを満たすにはほど遠い。現在使用されている天然ガスハイドレート採掘方法では、試験採取による天然ガスの生産量が最も高いのは減圧法であるが、減圧法でも採掘貯留層のガス生成速度が低く、天然ガスハイドレートの分解により貯留層構造の不安定及び接触体積不足などの問題がある。
【0005】
従って、より効果的な天然ガスハイドレートの採掘方法を設計し、上記天然ガスハイドレートの採掘に存在する欠点を解決し、さらに天然ガスハイドレートの採掘の進展を促進し、大規模な商業開発のニーズを満たすことは、業界の多くの先見性を持つ研究者が注目している焦点になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、解決しようとする技術問題が、天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及び天然ガスハイドレートの採掘方法を提供し、特に、天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレートの採掘方法を提供することにある。本発明で提供される天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及び採掘方法は、特定のフラクチャリング割れ目の組成を有し、圧力低下領域を増やし、天然ガスハイドレートの分解熱を補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を高めることができ、現在で天然ガスハイドレートの圧力低下採掘におけるガス生成速度が低い欠点及び不足を克服することができ、しかもその方法は、操作が簡単であり、採掘コストが低く、大規模な商業的プロモーション及び応用に適する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸と、前記井戸に連通されているフラクチャリング割れ目と、を含む天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造において、
前記フラクチャリング割れ目は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置し、
前記フラクチャリング割れ目には、酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられている、天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造を開示している。
好ましくは、前記井戸は、垂直坑井及び/又は水平坑井を含み、
前記フラクチャリング割れ目の幅は、0.1~100mmであり、
前記フラクチャリング割れ目の長さは、10~300mであり、
前記フラクチャリング割れ目の数は、1つ又は複数を含み、
前記フラクチャリング割れ目の長さ方向と前記井戸の長さ方向との間の角度は、45°~140°である。
【0008】
好ましくは、前記フラクチャリング割れ目は、穿孔及び高圧ガス破砕によって得られ、
前記酸化カルシウムは、水硬性石灰を含み、
前記酸化カルシウム粉末の粒度は、0.001~10mmであり、
前記酸化カルシウム粉末を含有するガスの酸化カルシウムの濃度は、5~90kg/kgであり、
前記ガス的圧力は、1~60MPaである。
好ましくは、前記ガスは、空気を含み、
前記井戸の直径は、100~800mmであり、
前記井戸中にも酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられ、
前記井戸が減圧された後、前記フラクチャリング割れ目において、前記天然ガスハイドレート貯留層の水と酸化カルシウムが水酸化カルシウムを形成し、
前記井戸が減圧された後、前記フラクチャリング割れ目において、前記水酸化カルシウムと前記天然ガスハイドレート貯留層の堆積物は、硬質充填物を形成する。
【0009】
本発明は、
1)天然ガスハイドレートの埋蔵領域に掘削プラットフォームを配設し、井戸が天然ガスハイドレート貯留層に入るように掘削作業を行うステップと、
2)天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸に穿孔作業を行い、井戸周囲の天然ガスハイドレート貯留層中に穿孔割れ目を形成するステップと、
3)井戸より天然ガスハイドレート貯留層に酸化カルシウム粉末を含有するガスのフラクチャリングを行うことにより、酸化カルシウム粉末を含有するガスが穿孔割れ目に入るようにするステップと、
4)井戸に減圧作業を行った後、水を汲み上げて天然ガスを採収するステップと、を含む天然ガスハイドレート貯留層の採掘方法を開示している。
【0010】
好ましくは、前記採掘方法は、In-situ 熱補充-圧力低下式充填採掘方法であり、
前記天然ガスハイドレートの埋蔵領域は、海域における天然ガスハイドレートの埋蔵領域を含み、
前記掘削プラットフォームは、海洋掘削プラットフォームを含む。
好ましくは、前記井戸は、水平坑井及び/又は垂直坑井を含み、
前記垂直坑井の掘削作業は、具体的には、井戸がそれぞれ海水及び地表上地層を通った後、天然ガスハイドレート貯留層に入るようにし、
前記水平坑井は、垂直部及び水平部を含み、
前記水平坑井の掘削作業は、具体的には、井戸の垂直部がそれぞれ海水及び地表上地層を通った後、天然ガスハイドレート貯留層に入った後、天然ガスハイドレート貯留層に水平部の掘削を行う。
【0011】
好ましくは、坑井仕上げを行った後、さらに、前記ステップ2)を行い、
前記穿孔は、均一穿孔、スパイラル位相穿孔及びウォータージェット穿孔の1つ又は複数を含み、
前記穿孔割れ目は、具体的には、均一に分布した複数の穿孔割れ目であり、
前記穿孔割れ目は、前記水平坑井の垂直部及び/又は水平部に分布する。
好ましくは、前記フラクチャリングの圧力は1~60MPaであり、
前記穿孔及びフラクチャリングは、マルチクラスター穿孔及び多段階フラクチャリング作業であってもよく、
前記減圧作業は、具体的に、フラクチャリングを停止した後、井戸の坑口圧力を低減させ、
前記減圧後に、井戸の坑口圧力は、1MPa以上である。
【0012】
好ましくは、前記の水を汲み上げるのは、井戸の竪坑内の天然ガスハイドレート貯留層の水、及び天然ガスハイドレートの分解により生成された水を汲み上げることであり、
前記天然ガスハイドレートの分解により生成された天然ガスは、井戸の竪坑から坑口に輸送されてガス生産を行い、
前記採掘方法は、さらに、フラクチャリングステップを繰り返し、及び/又は坑口圧力を引き続き低減し、ガス生成速度を増加又は維持する方法を含む。
【0013】
本発明は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸と、前記井戸に連通されているフラクチャリング割れ目とを含む天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造において、前記フラクチャリング割れ目は天然ガスハイドレート貯留層中に位置し、前記フラクチャリング割れ目には酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられている天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造を開示されている。従来技術と比較しては、本発明は、従来の天然ガスハイドレート貯留層採掘方法、特に減圧採掘法に存在する問題については、本発明の研究より、天然ガスハイドレートの分解に大量の熱を吸収する必要があるが、現在の天然ガスハイドレート貯留層の熱補充は、主に地層熱伝導又は坑井熱媒体注入に依存し、地層熱伝導速率が低く、坑井熱媒体注入の熱交換効率が低く、熱補充効率が低いため、ガス生成速度が制限されると考えられる。しかも、海域における天然ガスハイドレートは、堆積物の空隙に存在し、天然ガスハイドレートの分解により堆積物の骨格の結着力が低下し、有効応力が増加し、大規模な採掘は、貯留層構造の不安定につながり、竪坑の破壊ひいては海底地すべりを引き起こすとともに、垂直坑井による貯留層の採掘の接触体積が不十分であり、天然ガスハイドレート圧力低下領域が小さく、天然ガスハイドレートの分解量が少ない。
【0014】
本発明は、特殊な天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造を独創的に設計し、高濃度の酸化カルシウム粉末を、ガスを介してフラクチャリング割れ目に運び、フラクチャリング割れ目を満たし、井戸減圧後、フラクチャリング割れ目の天然ガスハイドレートの分解により生成された水が酸化カルシウムと反応して大量の熱を放出し、天然ガスハイドレートの分解に必要な熱を提供し、分解速度を向上させ、反応後、水酸化カルシウムが生成し、堆積物と混合され、高空隙率の水酸化カルシウム填充物を形成することもでき、フラクチャリング割れ目をサポートするだけでなく、良い浸透性もあるため、天然ガスのガス生成速度を向上させている。
【0015】
しかも、本発明で提供される天然ガスハイドレートの採掘方法は、圧力低下領域を増大させ、天然ガスハイドレートの分解熱を補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させることができ、天然ガスハイドレート採掘過程において、天然ガスハイドレートの分解に大量の熱を吸収する必要があるという問題を効果的に解決しているが、現在の天然ガスハイドレート貯留層の熱補充は、主に地層熱伝導又は坑井熱媒体注入に依頼し、地層熱伝導速率が低く、坑井熱媒体注入の熱交換効率が低く、熱補充効率が低く、従来の採掘においてガス生成速度が低い欠点及び欠陥につながる。同時に、本発明で提供される採掘構造及び採掘方法は、海域における天然ガスハイドレートが堆積物の空隙に堆積し、天然ガスハイドレートの分解により堆積物の骨格の結着力が低下し、有効応力が増加し、大規模な採掘は、貯留層構造の不安定につながり、竪坑の破壊ひいては海底地すべりを引き起こす問題を解決することもできる。本発明で提供される天然ガスハイドレート採掘方法は、操作が簡単であり、採掘コストが低く、天然ガスハイドレートの大規模開発のための新たなアイデアを提供し、大規模な商業的プロモーション及び応用に適する。
【0016】
理論的分析及び実験的シミュレーションの結果は、0.84molの酸化カルシウムと水との反応により発生する熱は、1molの純粋な天然ガスハイドレートの分解熱を提供できることを示した。南シナ海の神狐海域における天然ガスハイドレート貯留層は、空隙率33%、天然ガスハイドレート飽和度76%であり、90.11kg(0.027m)の酸化カルシウムと水との反応熱は、1m貯留層の天然ガスハイドレートの分解熱を提供でき、42.81m天然ガスを生成する分解熱を提供でき、酸化カルシウムと水との反応により0.053mの水酸化カルシウムの固体填充物を生成し、水酸化カルシウムは天然ガスハイドレート貯留層中の粘土鉱物、長石石英とセメンティング材を形成し、天然ガスハイドレートの分解後の貯留層の安定性を向上させるとともに、浸透性が向上する(55.7~269mD)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明で提供されるガス破砕による酸化カルシウム注入の天然ガスハイドレートの採掘方法を示す概略図である。
図2図2は、本発明で提供される水平坑井の水平部の横断面の模式図である。
図3図3は、本発明で提供される天然ガスハイドレート貯留層及び対応する採掘構造を模擬する模擬試験の実物図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明をさらに理解するために、以下、実施例と組み合わせて本発明の好ましい実施形態を説明するが、これらの説明は、本発明の特徴および利点をさらに示すためだけであり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
本発明のすべての原料は、その来源が特に限定されず、市場で購入するか、又は当業者に周知の従来の方法に従って調製すればよい。
【0019】
本発明のすべての原料は、それらの純度が特に限定されないが、本発明は、好ましくは、工業的純度又は鉱業の通常純度を採用する。
本発明のすべての原料は、その型番及び略語がいずれも当該分野で通常の型番及び略語に属し、各々の型番及び略語がそれらの関連用途の分野において明らかであり、当業者は、型番、略語及び関連用途に従って、市販として入手するか、または従来の方法で調製することができる。
【0020】
本発明のすべてのプロセスでは、それらの略語はいずれも当該分野で通常の略語に属し、各々の略語は、いずれも関連用途の分野において明らかであり、当業者は、略語に基づいてその通常のプロセス手順を理解すべきである。
【0021】
本発明は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸と、前記井戸に連通されているフラクチャリング割れ目とを含む天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造において、
前記フラクチャリング割れ目は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置し、
前記フラクチャリング割れ目には、酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられている、天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造を開示している。
【0022】
本発明は、前記天然ガスハイドレート貯留層の定義に特に制限はなく、当業者に周知である天然ガスハイドレート貯留層の定義であればよく、当業者は、水和物リッチ領域又は貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行い、本発明に係る天然ガスハイドレート貯留層は、海域における天然ガスハイドレート貯留層を例とし、その上が地表上地層であり、地表上地層の上が海水である。
【0023】
本発明に係る天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸を含む。本発明は、原則として前記井戸の具体的な種類を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記井戸は、好ましくは、垂直坑井及び/又は水平坑井を含み、より好ましくは、垂直坑井又は水平坑井である。本発明では、他の任意の角度の掘削井も適用することができる。
【0024】
本発明は、原則として前記井戸の具体的なパラメータを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記井戸の直径は、100~800mmであることが好ましく、200~700mmであることがより好ましく、300~600mmであることがさらに好ましく、400~500mmであることが更により好ましい。
【0025】
本発明に係る天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造は、前記井戸に連通されているフラクチャリング割れ目を含み、前記フラクチャリング割れ目は、天然ガスハイドレート貯留層中に位置する。即ち、天然ガスハイドレート貯留層に形成フラクチャリング割れ目を人工的に形成し、且つ、フラクチャリング割れ目は井戸の竪坑に接続されている。
【0026】
本発明は、原則として前記フラクチャリング割れ目の具体的なパラメータを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やしるために、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高め、前記フラクチャリング割れ目の幅は、0.1~100mmであることが好ましく、0.5~50mmであることがより好ましく、1~10mmであることがさらに好ましく、3~8mmであることが更により好ましい。前記フラクチャリング割れ目の長さは、10~300mであることが好ましく、50~250mであることがより好ましく、100~200mであることが更に好ましい。
【0027】
本発明は、原則として前記フラクチャリング割れ目の数を特に限定しなく、当業者水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記フラクチャリング割れ目の数は、1つ又は複数を含むことが好ましく、複数であることがより好ましい。
【0028】
本発明は、原則として前記フラクチャリング割れ目の方向を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記フラクチャリング割れ目の長さ方向と前記井戸の長さ方向の角度は、45°~140°であることが好ましく、60°~120°であることがより好ましく、75°~105°であることがさらに好ましい。
【0029】
本発明は、原則として前記フラクチャリング割れ目の形成方式を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記フラクチャリング割れ目は、穿孔及び高圧ガス破砕によって得られたものであることが好ましい。
【0030】
本発明に係る天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造は、フラクチャリング割れ目に設けられている酸化カルシウム粉末を含有するガスを含む。
本発明は、原則として前記酸化カルシウムの選択を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記酸化カルシウムは、水硬性石灰を含むことが好ましく、本発明では、前記水硬性石灰、即ち、水硬性酸化カルシウムは、酸化カルシウムを主成分として一定量の水硬性鉱物を含むセメンティング材であり、粘土鉱物を8%超え含む泥灰質石灰岩を900~1250℃で焼成して微細に研磨して得られたものであり、水硬性を持つ。
【0031】
本発明は、原則として前記酸化カルシウムの大きさを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記酸化カルシウム粉末の粒度は、0.001~10mmであることが好ましく、0.01~9mmであることがより好ましく、0.125~8mmであることが更に好ましく、2~5mmであることが更により好ましい。
【0032】
本発明は、原則として前記酸化カルシウム粉末を含有するガスのパラメータを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記酸化カルシウム粉末を含有するガスの酸化カルシウムの濃度は、5~90kg/kgであることが好ましく、15~80kg/kgであることがより好ましく、25~70kg/kgであることが更に好ましく、35~60kg/kgであることが更により好ましい。前記ガスの圧力は、1~60MPaであることが好ましく、5~55MPaであることがより好ましく、15~45MPaであることが更に好ましく、25~35MPaであることが更により好ましい。本発明では、前記ガスは、空気を含むことが好ましい。
【0033】
本発明は、技術的態様を完全で詳細させ、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をよりよく補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記井戸にはさらに酸化カルシウム粉末を含有するガスが設けられている。
【0034】
本発明は、技術的態様を完全で詳細させ、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をよりよく補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記井戸が減圧された後、前記フラクチャリング割れ目において、前記天然ガスハイドレート貯留層の酸化カルシウム水和物は、水酸化カルシウムを形成することができる。さらに、前記井戸が減圧された後、前記フラクチャリング割れ目において、前記水酸化カルシウムは、さらに前記天然ガスハイドレート貯留層の堆積物と硬質充填物を形成することもできる。
【0035】
本発明は
1)天然ガスハイドレートの埋蔵領域に掘削プラットフォームを配設し、井戸が天然ガスハイドレート貯留層に入るように掘削作業を行うステップと、
2)天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸に穿孔作業を行い、井戸周囲の天然ガスハイドレート貯留層中に穿孔割れ目を形成するステップと、
3)井戸より天然ガスハイドレート貯留層へ酸化カルシウム粉末を含有するガスのフラクチャリングを行うことにより、酸化カルシウム粉末を含有するガスが穿孔割れ目に入るようにするステップと、
4)井戸に減圧作業を行った後、水を汲み上げて天然ガスを採収するステップと、を含む天然ガスハイドレート貯留層の採掘方法を提供する。
【0036】
本発明は、上記採掘方法における天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造のパラメータ、形態及び位置関係、ならびに対応する最適化原則は、前記天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造に対応するパラメータ、形態及び位置関係、ならびに対応する最適化原則といずれも対応してもよく、ここでは贅言しない。
本発明は、まず、天然ガスハイドレートの埋蔵領域に掘削プラットフォームを配設し、掘削作業を行うことにより、井戸が天然ガスハイドレート貯留層に入る。
【0037】
本発明は、原則として前記天然ガスハイドレートの埋蔵領域の具体的な選択を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記天然ガスハイドレートの埋蔵領域は、海域における天然ガスハイドレートの埋蔵領域を含むことが好ましい。
【0038】
本発明は、原則として前記掘削プラットフォームの具体的な選択を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記掘削プラットフォームは、海洋掘削プラットフォームを含むことが好ましい。
【0039】
本発明は、原則として前記井戸の具体的な種類を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記井戸は、水平坑井及び/又は垂直坑井を含むことが好ましく、水平坑井又は垂直坑井であることがより好ましく、水平坑井であることが更に好ましい。具体的には、本発明に係る水平坑井は、垂直部及び水平部を含むことが好ましい。
本発明は、天然ガスハイドレートの採掘圧力低下領域が天然ガスの生産量に影響を与えるために、水平坑井の均一穿孔技術を利用することが好ましく、天然ガスハイドレート貯留層の圧力低下領域を大幅に向上させ、現在の垂直坑井の減圧採掘の圧力低下領域が小さい欠点を克服する。
【0040】
本発明は、原則として前記の掘削作業の具体ステップを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記井戸が垂直坑井である場合には、その掘削作業手順は、井戸をそれぞれ海水及び地表上地層を通った後、天然ガスハイドレート貯留層に入ることが好ましい。当前記井戸が水平坑井である場合には、その掘削作業手順は、井戸の垂直部をそれぞれ海水及び地表上地層を通った後、天然ガスハイドレート貯留層に入った後、天然ガスハイドレート貯留層に水平部の掘削を行うことが好ましい。
本発明は、次に、天然ガスハイドレート貯留層中に位置する井戸に穿孔作業を行い、井戸周囲の天然ガスハイドレート貯留層中に穿孔割れ目を形成する。具体的には、そのステップは、坑井仕上げを行った後さらに行うことができる。
【0041】
本発明は、原則として前記穿孔作業の具体的な態様を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記穿孔は、均一穿孔、スパイラル位相穿孔及びウォータージェット穿孔のうちの1つ又は複数を含むことが好ましく、均一穿孔、スパイラル位相穿孔又はウォータージェット穿孔であることがより好ましく、均一穿孔であることが更に好ましい。
本発明は、原則として前記穿孔割れ目の具体的な態様を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記穿孔割れ目は、複数の穿孔割れ目であることが好ましく、均一に分布した複数の穿孔割れ目であることがより好ましい。
【0042】
本発明は、原則として前記穿孔割れ目の具体的な位置を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記穿孔割れ目は、前記水平坑井の垂直部及び/又は水平部に分布することが好ましく、前記水平坑井の水平部に分布することがより好ましい。
本発明は、井戸より天然ガスハイドレート貯留層へ酸化カルシウム粉末を含有するガスのフラクチャリングを行うことにより、酸化カルシウム粉末を含有するガスが穿孔割れ目に入る。
【0043】
本発明は、原則として前記フラクチャリングの具体的なパラメータを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記フラクチャリングの圧力は、1~60MPaであることが好ましく、5~55MPaであることがより好ましく、15~45MPaであることが更に好ましく、25~35MPaであることが更により好ましい。本発明では、前記ガスは、空気を含むことが好ましい。
本発明は、原則として前記穿孔及びフラクチャリングの作業方式を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記穿孔及びフラクチャリングは、マルチクラスター穿孔及び多段階フラクチャリング作業であることが好ましく、マルチクラスター穿孔又は多段階フラクチャリング作業であることがより好ましい。
【0044】
本発明は、原則として前記減圧の手順及びパラメータを特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記減圧作業は、フラクチャリングを停止した後、井戸の坑口圧力を低減させることが好ましい。前記減圧後、井戸の坑口圧力は、1MPa以上であることが好ましく、2MPaであることがより好ましく、3MPaであることが更に好ましい。
本発明は、最後に井戸に減圧作業を行った後、水を汲み上げて天然ガスを採収する。
【0045】
本発明は、原則として前記の水を汲み上げるのは、具体的な過程を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をより良く補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記の水を汲み上げるのは、井戸の竪坑内での天然ガスハイドレートの分解により生成された水を汲み上げることが好ましく、井戸の竪坑内での天然ガスハイドレート貯留層中の水及び天然ガスハイドレートの分解により生成された水を汲み上げることがより好ましい。
【0046】
本発明は、原則として前記天然ガス採掘の具体的な過程を特に限定しなく、当業者は、水和物リッチ領域及び貯留層の状況、採掘要求及びガス生産要求に応じて選択及び調整を行うことができ、本発明は、技術的態様を完全で詳細させ、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をよりよく補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記天然ガスハイドレートが分解によって生成された天然ガスは、井戸の竪坑から坑口に輸送されてガス生産を行うことが好ましい。
本発明は、技術的態様を完全で詳細させ、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をよりよく補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記採掘方法は、さらにフラクチャリングステップの繰り返し及び/又は坑口圧力を引き続き低減し、ガス生成速度を増加又は維持する方法を含むことが好ましい。
【0047】
本発明に記載の手順は、In-situ 熱補充-圧力低下式充填による天然ガスハイドレート貯留層の採掘方法を提供し、その方法は、現在の天然ガスハイドレートが圧力低下で採掘されることによりガス生成速度が低い欠点及び不足を克服することができ、圧力低下領域を高め、天然ガスハイドレートの分解熱を補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させることができる。本発明は、技術的態様を完全で詳細させ、採掘の圧力低下領域をより良く増やし、天然ガスハイドレートの分解熱をよりよく補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させ、さらに、ガス生成速度を高めるために、前記天然ガスハイドレート貯留層の採掘方法は、具体的には、以下のステップを含むことができる。
即ち、本発明で提供されるガス破砕による水硬性石灰の注入の天然ガスハイドレートの採掘方法は、主に水平坑井の均一穿孔技術を利用し、高濃度の水硬性石灰粉末を含む高圧ガス破砕を行い、坑口減圧採掘プロセスを使用し、穿孔及びフラクチャリングを繰り返す。その主な技術的態様は、4つの部分で構成される。
【0048】
水平坑井均一穿孔技術:海域における天然ガスハイドレートの埋蔵領域で海洋掘削プラットフォーム6を配置し、井戸7の掘削作業を行い、井戸の垂直部8をそれぞれ海水3及び地表上地層4を通り、天然ガスハイドレート貯留層5に井戸の水平部9の掘削作業を行い、井戸7が坑井仕上げを行った後、井戸の水平部9に穿孔作業を行い、天然ガスハイドレート貯留層5に均一な穿孔割れ目10を形成する。
高濃度の水硬性石灰粉末を含有する高圧ガス:水硬性石灰粉末と高圧ガスを混合し、高濃度の水硬性石灰粉末を含有する高圧ガス11を形成し、天然ガスハイドレート貯留層5にフラクチャリングを行い、高濃度の水硬性石灰粉末を含有する高圧ガス11は穿孔割れ目10を伸ばし、水硬性石灰粉末をフラクチャリング割れ目までに運び、井戸の水平部9に多段階穿孔及びフラクチャリング作業を行う。
【0049】
坑口減圧採掘:フラクチャリング作業を停止した後、井戸7の坑口圧力を低減させ、井戸7の竪坑の水を汲み上げ、天然ガスハイドレート貯留層5のフラクチャリング割れ目の圧力が低下し、天然ガスハイドレートが天然ガス及び水として分解され、天然ガスを井戸7の竪坑から坑口に運び、水は割れ目の水硬性石灰と反応して水酸化カルシウムを生成し、大量の熱を放出し、天然ガスハイドレートの迅速な分解を促進し、反応後に生成された水酸化カルシウムは堆積物と混合して高空隙率の水酸化カルシウム填充物を形成し、フラクチャリング割れ目をサポートするだけでなく、良い浸透性もある、竪坑の水汲み上げ及びガス採収に寄与する。
穿孔フラクチャリングの繰り返し:井戸7の坑口のガス生成速度が低下する場合には、高濃度の水硬性石灰粉末を含有する高圧ガス破砕を繰り返すことができ、坑口減圧採掘プロセスを使用して高圧ガス生成速度を維持する。
【0050】
図1に示すように、図1は、本発明で提供されるガス破砕による酸化カルシウム注入の天然ガスハイドレートの採掘方法を示す概略図である。ここで、1:海面、2:海底、3:海水、4:地表上地層、5:天然ガスハイドレート貯留層、6:海洋掘削プラットフォーム、7:井戸、8:井戸垂直部、9:井戸水平部、10:穿孔割れ目、11:高濃度の水硬性石灰粉末を含有する高圧ガス、12:水酸化カルシウム充填。
図2に示すように、図2は、本発明で提供される水平坑井の水平部を示す模式的な横断面図である。
【0051】
本発明は、天然ガスハイドレートの分解に大量の熱を吸収する必要があるが、現在の天然ガスハイドレート貯留層の熱補充は、主に層熱伝導又は坑井熱媒体注入に依存し、地層熱伝導速率が低く、坑井熱媒体注入の熱交換効率が低く、熱補充効率が低いため、ガス生成速度を制限し、また、海域における天然ガスハイドレートは、堆積物の空隙に付着され、天然ガスハイドレートの分解により堆積物の骨格の結着力が低下し、有効応力が増加し、大規模な採掘は、貯留層構造の不安定につながり、竪坑の破壊ひいては海底地すべりを引き起こすなどの多くの実際的な要因を総合的に分析している。本発明は、高濃度の酸化カルシウム粉末を含有する高圧ガス破砕を利用し、天然ガスハイドレートの低熱補充効率及び採掘による貯留層構造の不安定という問題を解決できる。酸化カルシウムを地層に持ち込み、ここで、酸化カルシウムは水と反応して水酸化カルシウムを生成し、熱を放出し、その熱化学方程式は、下式を参照する。
【0052】
【化1】
【0053】
該反応で放出される熱により、地層水和物の分解によって消費される熱を効果的に補うことができ、高濃度の酸化カルシウム粉末をフラクチャリング割れ目に持ち込み、減圧後にフラクチャリング割れ目中の天然ガスハイドレートの分解により生成された水が酸化カルシウムと反応して大量の熱を放出し、天然ガスハイドレートの分解に必要な熱を提供し、分解速度を高めるが、水硬性石灰の反応後に生じた水酸化カルシウムが堆積物と混合されて高空隙率の水酸化カルシウム填充物を形成し、フラクチャリング割れ目をサポートするだけでなく、良い浸透性もあるため、天然ガスのガス生成速度を向上させる。
【0054】
本発明で提供される天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレートの採掘方法は、特殊な天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造を設計し、高濃度の酸化カルシウム粉末をガスと伴ってフラクチャリング割れ目に運び、フラクチャリング割れ目を満たし、井戸減圧後に、フラクチャリング割れ目の天然ガスハイドレートの分解により生成された水が酸化カルシウムと反応して大量の熱を放出し、天然ガスハイドレートの分解に必要な熱を提供し、分解速度を高め、反応後、生じた水酸化カルシウムが堆積物と混合することで、高空隙率の水酸化カルシウム填充物を形成することもでき、フラクチャリング割れ目をサポートするだけでなく、良い浸透性もあるため、天然ガスのガス生成速度を向上させている。
【0055】
しかも、本発明で提供される天然ガスハイドレートの採掘方法は、圧力低下領域を増大させ、天然ガスハイドレートの分解熱を補い、天然ガスハイドレート貯留層の安定性を向上させ、浸透性を増加させることができ、天然ガスハイドレート採掘過程において、天然ガスハイドレートの分解に大量の熱を吸収する必要があるという問題を効果的に解決しているが、現在の天然ガスハイドレート貯留層の熱補充は、主に地層熱伝導又は坑井熱媒体注入に依頼し、地層熱伝導速率が低く、坑井熱媒体注入の熱交換効率が低く、熱補充効率が低く、従来の採掘でガス生成速度が低い欠点及び欠陥につながる。同時に、本発明で提供される採掘構造及び採掘方法は、海域における天然ガスハイドレートが堆積物の空隙に付着され、天然ガスハイドレートの分解により堆積物の骨格の結着力が低下し、有効応力が増加し、大規模な採掘は、貯留層構造の不安定につながり、竪坑の破壊ひいては海底地すべりを引き起こす問題を解決することもできる。本発明で提供される天然ガスハイドレート採掘方法は、操作が簡単で、採掘コストが低く、天然ガスハイドレートの大規模開発のための新たなアイデアを提供し、大規模な商業的プロモーション及び応用に適する。
【0056】
理論的分析及び実験的シミュレーションの結果より、0.84molの酸化カルシウムと水の反応により発生する熱は、1molの純粋な天然ガスハイドレートの分解熱を提供できることを示した。南シナ海の神狐海域における天然ガスハイドレート貯留層は、空隙率33%、天然ガスハイドレート飽和度76%であり、90.11kg(0.027m)の酸化カルシウムと水の反応熱は、1m貯留層の天然ガスハイドレートの分解熱を提供でき、42.81m天然ガスを生成する分解熱を提供でき、酸化カルシウムと水の反応により0.053mの水酸化カルシウムの固体填充物を生成し、水酸化カルシウムと天然ガスハイドレート貯留層中の粘土鉱物、長石石英がセメンティング材を形成し、天然ガスハイドレートの分解後の貯留層の安定性を向上させるとともに、浸透性が向上する(55.7~269mD)。
本発明をさらに説明するために、以下、実施例と組み合わせて本発明で提供される天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及び天然ガスハイドレートの採掘方法を詳しく説明するが、これらの実施例は本発明の技術形態を前提として施され、詳細な実施形態及び具体的な操作過程が挙げられ、本発明の特徴及び利点をさらに説明するだけであるが、本発明の請求項の範囲を限定するのではなく、本発明の保護範囲は、以下の実施例に限定されないことを理解するべきである。
【0057】
実施例1
図3を参照すると、図3は、本発明で提供される天然ガスハイドレート貯留層及び対応する採掘構造を模擬する模擬試験の実物図である。
図3に示される装置を使用し、模擬用堆積物を充填し、高圧10~15MPaの条件下で堆積物に天然ガスハイドレートをIn-situで合成し、水飽和法により天然ガスハイドレートを合成した。南シナ海の神狐海域における天然ガスハイドレート貯留層を模擬し、実験装置では、人工的に合成された天然ガスハイドレートの貯留層中的の空隙率を40%~60%に設定し、天然ガスハイドレート飽和度を40%~70%に設定した。
【0058】
模擬試験は、主に、試料合成、採掘模擬などの工程を含み、用いられる試料合成の方法は、水飽和法、即ち、固体堆積物と水の混合物にメタンガスを導入し、昇圧、降温などの操作により水和物を堆積物の空隙に形成させ、その過程は、自然条件下で水和物貯留層の形成過程を模擬している。
採掘模擬は、それぞれ、従来の減圧法及び本発明の採掘方法に従って設定され、対照試験を行った。従来の減圧法の試験過程は、贅言しなく、ここで、本発明の採掘模擬方法のみを説明する。
【0059】
本発明で提供される採掘方法を模擬する場合には、前記実施形態に従って、それぞれ試料に管路配置、フラクチャリング、酸化カルシウムの注入を行い貯留層中の竪坑、フラクチャリング割れ目、酸化カルシウム粉末などの要素を模擬した。試料内での管路配置又は穿孔により実際の採掘の竪坑を模擬し、流体採収用チャネルを提供した。模擬試験では、ガス破砕により実施形態の地層フラクチャリング挙動を模擬し、フラクチャリングと同時に、フラクチャリングガスにより酸化カルシウム粉末をフラクチャリング割れ目に送った。上記ステップを実施した後、採掘端圧力を低減させ、実際の減圧挙動を模擬し、試料内部のシステム圧力を変更し、堆積物中の水和物を変態し分解させ、採掘端でメタンガスを得、流量のモニタリングを行い、水和物の採掘過程を模擬した。
ガス生産量をモニタリングし、貯留層の浸透性及び安定性の変化を調査することにより、単純な減圧採掘と本発明で提供される酸化カルシウム注入の採掘方法とを比較し、本方法の実現可能性及び有効性を検証することができる。
【0060】
堆積物に充填されるガスの質量から合成される天然ガスハイドレートの質量を計算し、それぞれ減圧法及び酸化カルシウム粉末注入後の減圧法によりガス生成速度を測定した。酸化カルシウムの注入は、酸化カルシウムと水の反応による発熱効果のおかげで、水和物の分解及びガス生産効率を顕著に増加させ、試験で測定されたデータより、酸化カルシウム注入の採掘方法は、単純な減圧法よりもガス生成速度が12.3倍向上することを示し、ガス生成速度向上の点で、本発明で設計される貯留層構造及び採掘方法は、有意な效果があることが分かった。
水和物の採掘過程では、初期ガス生成速度に注意を払うことに加えて、採掘過程に伴う貯留層の物性変化を観察することも必要があり、中でも、最も重要なのは、貯留層の浸透性及び安定性の変化であり、これらの両方の要因は、採掘方法の長期的な有効性及び安全性を決定している。
【0061】
模擬試験では、酸化カルシウム粉末注入の減圧法における試験後のサンプルをX線CTスキャンし、空隙径に基づいて浸透率を計算したところ、貯留層の浸透率が47倍向上した。これは、主に、フラクチャリングによる割れ、貯留層への水酸化カルシウムの充填及び支持効果によるものであり、高浸透性流体移動チャネルへの安定な付着を保証しているのは、水和物の長期的且つ効率的な採掘に非常に重要なものである。
貯留層の安定性の点から、水和物の採掘過程において、貯留層は水和物の結着作用の消失により機械的特性の劣化を徐々に発生し、また、流体の浸食により固体粒子の移動が発生し、これらの挙動は、地層の圧縮ひいてはさらに深刻な地層の不安定をもたらし、これは、水和物の安全な採掘に解決しなければならない問題である。本発明で提供される採掘方法において、酸化カルシウムと水との反応は、水和物の分解に必要とする熱を提供するとともに、このプロセスで生成された水酸化カルシウムは地層を充填する作用を奏した。水和物採掘過程において、地層に岩や砂を生じるのは、ガス採掘に影響を与えるとともに、地層の不安定を引き起こしやすいため、適切な固体成分の補給は地層の不安定のリスクを効果的に低減できる。模擬試験では、酸化カルシウムの注入後、採掘後期でも試料の完全性が良好に保たれ、試料の崩壊、破壊は顕著に低下したことを示し、これは、水和物の安全な採掘に重要である。
【0062】
本実施例では、本発明で提供される採掘方法的工程を屋内で模擬するプロセスについて説明した。各手順の操作及び様々なパラメータの例を説明するとともに、ガス生成速度、貯留層の浸透性、貯留層の安定性などの点から新たな方法の実現可能性、有効性を検証した。
【0063】
以上、本発明で提供される天然ガスハイドレート貯留層の採掘構造及びガス破砕による水硬性石灰注入の天然ガスハイドレート採掘方法について詳しく説明し、本明細書では具体例により本発明に係る原理及び実施形態を説明しており、以上の実施例の説明は、本発明に係る方法及び主旨(最適形態を含む)の理解のみに役立ち、且つ、当業者は本発明を実施でき、任意のデバイスまたはシステムの作成及び使用、並びに任意の組み合わせで実施する方法を含む。当業者にとっては、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に若干の改良及び修飾を加えることもでき、これらの改良及び修飾も本発明に係る請求項の範囲に記載の保護の範囲内にあることを指摘すべきである。本発明に係る特許保護の範囲は、請求項の範囲によって限定され、当業者によって想到され得る他の実施形態を含むことができる。これらの他の実施形態が請求項の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが請求項の文言と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合には、これらの他の実施形態も請求項の範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3