(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】運搬台車及び運搬台車用の蓋
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20220602BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B62B5/00 F
B62B3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018112927
(22)【出願日】2018-06-13
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-250692(JP,A)
【文献】特開2008-120282(JP,A)
【文献】実開平05-056728(JP,U)
【文献】実開平03-112108(JP,U)
【文献】特開2001-336511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B62B 3/00
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠型の荷台を有する運搬台車であって、
前記荷台は、
前記荷台の周縁に沿って延設し、先端部に第1方向に切欠いた係止溝を形成した複数の連結バーと、
キャスターが取着され、隣り合う前記連結バーの各々の前記先端部を前記第1方向と交差する第2方向に挿入した連結バー挿入凹部を形成した支持ブロックと、
前記第1方向に前記支持ブロックに挿入した、前記係止溝に係止して前記連結バーを抜け止めする係止突部を有するとともに、前記支持ブロックに抜け止めするために前記支持ブロックと係合した係合部を有するロック部材とを備えた、運搬台車。
【請求項2】
前記支持ブロックに、前記第1方向に連通する係合孔を形成しており、
前記ロック部材に、前記係合孔に挿入した係合突部を突設した、請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
運搬台車に載せる荷物の上部を保持可能な枠型の保持部を有する運搬台車用の蓋であって、
前記保持部は、
前記保持部の周縁に沿って延設し、先端部に第1方向に切欠いた係止溝を形成した複数の連結バーと、
隣り合う前記連結バーの各々の前記先端部を前記第1方向と交差する第2方向に挿入した連結バー挿入凹部を形成した支持ブロックと、
前記第1方向に前記支持ブロックに挿入した、前記係止溝に係止して前記連結バーを抜け止めする係止突部を有するとともに、前記支持ブロックに抜け止めするために前記支持ブロックと係合した係合部を有するロック部材とを備えた、運搬台車用の蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬台車及び運搬台車用の蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうした運搬台車としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この運搬台車の荷台は、その周縁に沿って延設した複数の連結バー(連結部材)と、隣り合う連結バーの各々の先端部が結合した支持ブロック(コーナー部材)とを備えている。支持ブロックにはキャスターが取着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、連結バーと支持ブロックがボルトによる締結にて結合している。従って、連結バーと支持ブロックの結合に要する部品点数(ナット等)が多かったり、連結バーと支持ブロックを結合又は分解する際に専用の工具(スパナ等)が必要となって作業工数が多かったりする。例えば連結バー又は支持ブロックが破損した場合、その交換に専用の工具(スパナ等)が必要となる。
【0005】
なお、部品点数の多くなることを抑制するため、ボルト(とナット)に代えてリベットを使用することも考えられる。しかしながら、この場合には連結バーと支持ブロックが分解できなくなる。このため、例えば連結バーが破損したとしてもその交換ができないことから、台車自体の交換を余儀なくされる。また、リベットを使用する際に、頭部が脱落してしまい、異物混入が起きる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、連結バーと支持ブロックの結合等に要する部品点数と作業工数の多くなることを抑制できる運搬台車及び運搬台車用の蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する運搬台車は、枠型の荷台を有する運搬台車であって、前記荷台は、前記荷台の周縁に沿って延設し、先端部に第1方向に切欠いた係止溝を形成した複数の連結バーと、キャスターが取着され、隣り合う前記連結バーの各々の前記先端部を前記第1方向と交差する第2方向に挿入した連結バー挿入凹部を形成した支持ブロックと、前記第1方向に前記支持ブロックに挿入した、前記係止溝に係止して前記連結バーを抜け止めする係止突部を有するとともに、前記支持ブロックに抜け止めするために前記支持ブロックと係合した係合部を有するロック部材とを備える。
【0008】
この構成によれば、前記支持ブロックの前記連結バー挿入凹部に前記先端部を挿入した前記連結バーは、前記ロック部材を前記第1方向に前記支持ブロックに挿入すると、前記係止突部が前記係止溝に係止することで抜け止めされる。そして、前記ロック部材自体は、前記係合部が前記支持ブロックに係合することで抜け止めされる。これにより、前記連結バーと前記支持ブロックが結合される。一方、前記係合部と前記支持ブロックとの係合を解除して前記ロック部材を抜き取れば、前記係止突部が前記係止溝から外れる。この状態で、前記支持ブロックの前記連結バー挿入凹部から前記先端部を抜き取れば、前記連結バーと前記支持ブロックが分解される。このように、前記支持ブロックに対して前記ロック部材を挿脱することで、前記連結バーと前記支持ブロックを結合・分解できることで、結合等に要する部品点数と作業工数の多くなることを抑制できる。
【0009】
上記運搬台車について、前記支持ブロックに、前記第1方向に連通する係合孔を形成しており、前記ロック部材に、前記係合孔に挿入した係合突部を突設することが好ましい。
この構成によれば、前記係合孔に前記係合突部を挿入することで、前記支持ブロックに対して前記ロック部材を前記第1方向に直交する任意の方向で位置決めできる。
【0010】
上記課題を解決する運搬台車用の蓋は、運搬台車に載せる荷物の上部を保持可能な枠型の保持部を有する運搬台車用の蓋であって、前記保持部は、前記保持部の周縁に沿って延設し、先端部に第1方向に切欠いた係止溝を形成した複数の連結バーと、隣り合う前記連結バーの各々の前記先端部を前記第1方向と交差する第2方向に挿入した連結バー挿入凹部を形成した支持ブロックと、前記第1方向に前記支持ブロックに挿入した、前記係止溝に係止して前記連結バーを抜け止めする係止突部を有するとともに、前記支持ブロックに抜け止めするために前記支持ブロックと係合した係合部を有するロック部材とを備える。
【0011】
この構成によれば、前記支持ブロックの前記連結バー挿入凹部に前記先端部を挿入した前記連結バーは、前記ロック部材を前記第1方向に前記支持ブロックに挿入すると、前記係止突部が前記係止溝に係止することで抜け止めされる。そして、前記ロック部材自体は、前記係合部が前記支持ブロックに係合することで抜け止めされる。これにより、前記連結バーと前記支持ブロックが結合される。一方、前記係合部と前記支持ブロックとの係合を解除して前記ロック部材を抜き取れば、前記係止突部が前記係止溝から外れる。この状態で、前記支持ブロックの前記連結バー挿入凹部から前記先端部を抜き取れば、前記連結バーと前記支持ブロックが分解される。このように、前記支持ブロックに対して前記ロック部材を挿脱することで、前記連結バーと前記支持ブロックを結合・分解できることで、結合等に要する部品点数と作業工数の多くなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、連結バーと支持ブロックの結合等に要する部品点数と作業工数の多くなることを抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】運搬台車の一実施形態についてその構造を示す上方から見た斜視図。
【
図2】同実施形態の運搬台車についてその構造を示す上方から見た斜視図。
【
図3】同実施形態の運搬台車についてその構造を示す下方から見た斜視図。
【
図4】同実施形態の運搬台車についてその構造を示す分解斜視図。
【
図6】(a)~(c)は、
図5の6A-6A線、6B-6B線、6C-6C線に沿った断面図。
【
図7】(a)、(b)は、ロック部材についてその構造を示す斜視図。
【
図8】(a)、(b)は、運搬台車の変形形態について、その支持ブロックの構造を示す斜視図と断面図。
【
図9】運搬台車用の蓋の一実施形態についてその構造を示す上方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、運搬台車の一実施形態について説明する。
図1に示すように、運搬台車10は、上下方向に開口する略長方形の枠型の荷台20と、荷台20の四隅に配設した4個のキャスター50とを備えている。そして、荷台20は、その周縁に沿って延設した4個の連結バー21と、四隅に配設した4個の支持ブロック31と、これら支持ブロック31の各々に設けた一対のロック部材41とを備えている。4個の連結バー21は、枠型をなす略長方形の4辺を形成しており、4個の支持ブロック31は、枠型をなす略長方形の4頂点(4角)を形成している。以下では、各辺における連結バー21の長手方向を「連結バー21の延在方向」という。
【0015】
なお、キャスター50は、支持ブロック31に取着されている。そして、荷台20上の荷物(例えばコンテナなど、図示略)は、基本的にその四隅が4個の支持ブロック31に載せられた状態で運搬される。
【0016】
図2~
図4に示すように、連結バー21は、例えば合成樹脂材からなり、略水平に広がる長尺状の底壁22と底壁22の外側縁(荷台20の中心から離間する側の端縁)と接続して略垂直に起立する長尺状の側壁23を有する。つまり、連結バー21は、断面略L字形状を呈している(いわゆるLアングル)。そして、底壁22において連結バー21の両先端部21aの各々に、第1方向としての外側方向(連結バー21の延在方向に直交する方向であって、荷台20の中心から離間する方向)に切欠いた略U字状の係止溝24を形成している。
【0017】
支持ブロック31は、例えば合成樹脂材からなり、枠型をなす略長方形の頂点における内角に合わせて略直角の頂角を有する平面視略二等辺三角形の底壁32を有するとともに、頂角をなす底壁32の外側縁(荷台20の中心から離間する側の端縁)と接続して略垂直に起立する側壁33を有する。つまり、側壁33は、平面視で略直角の頂角をなす隣り合う2辺を形成する一対の長尺状の側壁部33aを有して略L字形状を呈する。
【0018】
底壁32は、平面視における略二等辺三角形の底辺の両端の各々を連結バー21の延在方向に対して直交するように突出させたガイド部32aを有する。また、底壁32は、その上部と下部をそれぞれ構成する上壁38と下壁39を有する。下壁39に、ガイド部32aに隣接するその内側の部位を連結バー21の延在方向に対して直交するように切欠き39aを形成している。従って、上壁38は、切欠き39aの分だけ下壁39に対して突出する庇部38aを有する。
【0019】
支持ブロック31に、底壁32と両側壁部33aの各々の間に亘るようにガイド部32aの配置に合わせて略L字の連結バー挿入凹部34を形成している。この連結バー挿入凹部34は、該当の連結バー21の延在方向に開口している。連結バー挿入凹部34の内壁面を連結バー21の外壁面に合わせて成形しており、連結バー21の延在方向(第1方向と交差する第2方向)にその先端部21aを連結バー挿入凹部34に嵌合状態で挿入している。
【0020】
なお、連結バー挿入凹部34は、厳密には成形後の金型の抜きのために拡開している。ただし、連結バー21が押出成形によりストレートでしか成形できないため、連結バー21のがたつきを小さくするために連結バー挿入凹部34の拡開の角度を小さくしている。
【0021】
また、底壁32に、切欠き39aの配置に合わせてロック部材挿入凹部35を形成している。
図5と
図6(a)~(c)に示すように、ロック部材挿入凹部35は、連結バー挿入凹部34の底壁32に位置する部位でこれに連通している。つまり、連結バー挿入凹部34とロック部材挿入凹部35は、一部の空間を互いに共有している。また、ロック部材挿入凹部35は、内側方向(連結バー21の延在方向に直交する方向であって、荷台20の中心に近付く方向)に略四角形に開口するとともに、内側方向に向かうに従ってロック部材41の挿入方向に直交する水平方向両側に空間が徐々に拡開している。また、ロック部材挿入凹部35は、連結バー21の底壁22上面よりも下方で側壁23の外側面まで外側方向に凹む第1挿入凹部35aを有するとともに、連結バー21の底壁22上面よりも上方で側壁部33aの近傍まで外側方向に凹む第2挿入凹部35bを有する。つまり、ロック部材挿入凹部35は、側壁部33aの近傍よりも内側で上方に空間がスロープ状に拡開している。
【0022】
係止溝24よりも外側寄りで、支持ブロック31の底壁32に、略四角形の係止孔36を形成している。ロック部材挿入凹部35(第1挿入凹部35a)は、係止孔36において下方に連通している。係止孔36の内側寄りの内壁面は係止部36aを形成する。また、ロック部材41の挿入方向に直交する水平方向における第1挿入凹部35aの両側で、支持ブロック31の底壁32に、一対の略四角形の係合孔37を形成している。第1挿入凹部35a(ロック部材挿入凹部35)は、両係合孔37において外側方向に連通している。
【0023】
なお、底壁32の上壁38に、下方に向かってリブ状のガイド凸部38bを突設している。このガイド凸部38bは、ロック部材41の挿入方向に直交する水平方向における第2挿入凹部35bの中央部で、該当挿入方向に延びている。ロック部材挿入凹部35に合わせて上壁38の下方にガイド凸部38bを設けたことで、上壁38の強度アップや変形抑制をしている。
【0024】
また、各側壁部33aに孔33bを形成している(
図3参照)。この孔33bは、連結バー挿入凹部34を金型で成形する際に、樹脂の圧力により金型がずれて連結バー挿入凹部34の外周の樹脂の部分が肉薄になることを抑制するために、ピンを立てて金型にタッチさせたことでできる孔である。
【0025】
ロック部材41は、例えば合成樹脂材からなり、連結バー21の底壁22下面よりも下方でロック部材挿入凹部35(即ち第1挿入凹部35a)に位置する第1挿入部42、連結バー21の底壁22上面よりも上方でロック部材挿入凹部35(即ち第2挿入凹部35b)に位置する第2挿入部43、並びにこれら第1、第2挿入部42,43を上下方向に接続する係止突部としての凸部44を有する。従って、凸部44は、上下方向における位置が連結バー21の底壁22(係止溝24)に一致している。
【0026】
第1挿入部42は、第1挿入凹部35aと嵌合するように第1挿入凹部35aに合わせて、内側方向に向かうに従いロック部材41の挿入方向に直交する水平方向両側に徐々に拡幅するように平面視略等脚台形状を呈している。そして、第1挿入部42を先端から内側方向に向かって略W字状に切欠くかたちで、第1挿入部42の先端部に、ロック部材41の挿入方向に直交する水平方向両側で外側方向に一対の略四角棒状の係合突部45を突設しているとともに、それら両係合突部45の間で外側方向に係合部としての略四角板状の係合片46を突設している。
【0027】
なお、
図7(a)、(b)に示すように、係合片46は、その上面が両係合突部45の上面よりも下方に位置しているとともに、下面が両係合突部45の下面に面一に繋がっている。つまり、係合片46は、可撓性を有するように両係合突部45に比べて薄肉となっている。
【0028】
図6に示すように、両係合突部45は、外側方向で両係合孔37に対向しており、両係合突部45の先端部を両係合孔37に嵌合状態で挿入している。これにより、ロック部材41は、支持ブロック31に対してその挿脱方向に直交する任意の方向で位置決めされる。また、
図5に示すように、係合片46は、その先端部から下方に向かって突出する略三角爪状の係止爪46aを有する。ロック部材41は、係止爪46aが係止部36aに引っ掛かるかたちで係合片46が係止孔36と係合することで支持ブロック31に対して抜け止めされる。なお、係止爪46aは、係止孔36を通じて下方に露出している。
【0029】
図6に示すように、第2挿入部43は、第2挿入凹部35bと嵌合するように第2挿入凹部35bに合わせて、内側方向に向かうに従いロック部材41の挿入方向に直交する水平方向両側に徐々に拡幅するように平面視略等脚台形状を呈している。
【0030】
ここで、ロック部材41(第1、第2挿入部42,43)を挿入するロック部材挿入凹部35は、内側方向に向かうに従って空間が徐々に拡開している。これは、成形後の金型の抜きのためである。そして、ロック部材挿入凹部35の拡開の角度を、連結バー挿入凹部34の前述の拡開の角度に比べて十分に大きく設定している。これは、ロック部材41を射出成形によりロック部材挿入凹部35に合わせて十分に拡幅するように成形できるためである。これにより、ロック部材挿入凹部35にロック部材41をより円滑に挿入できる。
【0031】
凸部44は、外側方向で係止溝24に対向しており、係止溝24に合わせて平面視略U字形状を呈している。凸部44を係止溝24に挿入・係止することで連結バー21を抜け止めする。
【0032】
ロック部材41は、庇部38aの下方に収まるかたちでロック部材挿入凹部35から内側方向に露出する平面視略三角形の頭部47を有する。この頭部47に第1挿入部42と、第2挿入部43と凸部44の内側端を接続している。
【0033】
なお、ロック部材41に、上壁38のガイド凸部38bに対向して下方に凹むガイド凹部41aを形成している。従って、ガイド凹部41aは、ロック部材41の挿入方向に直交する水平方向におけるロック部材41の中央部で、該当挿入方向に第2挿入部43と頭部47の間に亘って延びている。このガイド凹部41aにガイド凸部38bを挿入している。これにより、例えばロック部材挿入凹部35へのロック部材41の挿入が案内される。
【0034】
次に、本実施形態の荷台20の結合・分解時の作用について説明する。なお、荷台20の四隅の構造は互いに同等であるため、一隅を代表して説明する。また、該当一隅の支持ブロック31と結合する一対の連結バー21は、挿入方向が直交することを除けば互いに同等であるため、一方の連結バー21を代表して説明する。
【0035】
図4~
図6に示すように、荷台20を結合する(組立てる)際、作業者は、まず、連結バー21の延在方向を支持ブロック31の該当の連結バー挿入凹部34の開口方向に一致させて、連結バー21を連結バー挿入凹部34にスライドしつつ挿入する。このとき、連結バー21の係止溝24は、該当のロック部材挿入凹部35内で内側方向に開口している。
【0036】
この状態で、ロック部材41の両係合突部45の突出方向をロック部材挿入凹部35の開口方向に一致させて、内側方向からロック部材挿入凹部35にロック部材41を挿入する。すなわち、第1、第2挿入部42,43を第1、第2挿入凹部35a,35bにそれぞれ挿入する。そして、両係合突部45の先端部を両係合孔37に挿入するとともに、係止孔36に到達した係止爪46aが係止部36aに引っ掛かる状態で係合片46を係止孔36と係合する。これらにより、ロック部材41が支持ブロック31に対してその挿脱方向に直交する任意の方向で位置決めされるとともに、支持ブロック31に対して抜け止めされる。また、凸部44を係止溝24に係止することで、連結バー21が支持ブロック31に対して抜け止め・固定される。
【0037】
以上により、該当の連結バー21と支持ブロック31が結合する。そして、同様に全ての連結バー21と支持ブロック31をロック部材41を介して結合することで荷台20が完成する。
【0038】
一方、荷台20を分解する際、作業者は、まず、係止孔36を通じて下方に露出している係止爪46aを係合片46の弾性復帰力に抗して上方に押圧する。このとき、係止爪46aが係止部36aから外れて係合片46が係止孔36との係合を解除する。係止爪46aは、係止孔36から挿入した指又は適宜の工具(例えばマイナスドライバー)によって押圧することが可能である。ただし、作業性を考慮すれば、工具を使用しないで指で押圧することがより好ましい。
【0039】
この状態で、ロック部材41を内側方向にスライドしつつロック部材挿入凹部35から抜き取ると、連結バー21の係止溝24から凸部44が外れて係止溝24の係止を解除する。従って、連結バー挿入凹部34から連結バー21を引き抜くことで、該当の連結バー21と支持ブロック31が分解する。これにより、例えば修理のために必要な荷台20の一部の分解が完了する。なお、ロック部材41を抜き取る際、作業者は、頭部47を把持することで円滑に行うことができる。
【0040】
なお、荷台20を破棄する場合は、同様に全てのロック部材41を抜き取って連結バー21と支持ブロック31を分解することで荷台20の分解が完了する。
本実施形態の効果について説明する。
【0041】
(1)本実施形態では、支持ブロック31の連結バー挿入凹部34に先端部21aを挿入した連結バー21は、ロック部材41を支持ブロック31に挿入すると、凸部44が係止溝24に係止することで抜け止めされる。そして、ロック部材41自体は、係合片46が支持ブロック31と係合することで抜け止めされる。これにより、連結バー21と支持ブロック31が結合される。一方、係合片46と支持ブロック31との係合を解除してロック部材41を抜き取れば、凸部44が係止溝24から外れる。この状態で、支持ブロック31の連結バー挿入凹部34から先端部21aを抜き取れば、連結バー21と支持ブロック31が分解される。このように、支持ブロック31に対してロック部材41を挿脱することで、連結バー21と支持ブロック31を結合・分解できることで、結合等に要する部品点数と作業工数の多くなることを抑制できる。
【0042】
(2)本実施形態では、両係合孔37に両係合突部45を挿入することで、支持ブロック31に対してロック部材41をその挿脱方向に直交する任意の方向で位置決めできる。
(3)本実施形態では、ロック部材41を内側方向からロック部材挿入凹部35に挿入したことで、頭部47が内側方向に露出する。このため、荷台20に対し外部からの衝突等があったとしても、ロック部材41の破損を抑制できる。
【0043】
(4)本実施形態では、ロック部材41の頭部47を平面視略三角形にしたことで、方向性を考慮することなく任意のロック部材挿入凹部35にロック部材41を挿入しても、支持ブロック31との干渉を回避できる。加えて、ロック部材41自体が左右対称であることで、上下を除いて方向性を考慮することなく任意のロック部材挿入凹部35に挿入できる。
【0044】
(5)本実施形態では、ボルトとナット等を使用する際と異なり、荷台20の構成部品(連結バー21等)の全てが樹脂製であることで、破損時にリサイクルしやすい。また、荷台20を分解することで、その構成部品をリサイクルできる。
【0045】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態と以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図3に示すように、各側壁部33aに略四角形の開口部33cを形成している。この開口部33cは、下からの金型の抜きを短くするために、上部側については、金型を横から抜くために形成される。金型の抜きの長さを短くするのは、金型強度を確保するためにより好ましいためである。この開口部33cの角部側の位置にリブや面(図示略)を設けて、連結バー21の先端部21aを当接させることで連結バー21のがたつきを防止してもよい。このがたつきは、開口部33cの隅に金型が破損しないようにRが形成されているのに対し、連結バー21が直線状に形成されている(押出成形品をカットしているのでRが形成されていない)ことで隙間が生じ、奥まで挿入しようとすると斜めになってしまうことで生じる。従って、開口部33cにリブを設けて隙間をなくすことで、がたつきを抑えることができる。
【0046】
・前記実施形態において、キャスター50は、自在キャスターであってもよいし、固定キャスターであってもよい。
・前記実施形態において、連結バー21の係止溝24を切欠く方向は内側方向(連結バー21の延在方向に直交する方向であって、荷台20の中心に近付く方向)であってもよい。この場合、内側方向にロック部材41を挿入可能なロック部材挿入凹部を支持ブロック31に形成すればよい。
【0047】
・前記実施形態において、連結バー21の側壁23に係止溝24を形成してもよい。すなわち、例えば連結バー21の係止溝24を切欠く方向は上方又は下方であってもよい。この場合、上方又は下方にロック部材41を挿入可能なロック部材挿入凹部を支持ブロック31に形成すればよい。
【0048】
・前記実施形態において、連結バー21の挿入方向に交差するのであれば、連結バー21の係止溝24を切欠く方向は連結バー21の挿入方向に直交していなくてもよい。要は、係止溝24を切欠く方向にロック部材41を挿入可能なロック部材挿入凹部を支持ブロック31に形成すればよい。
【0049】
・前記実施形態において、係止溝24は、断面略L字状に成形した連結バー21の素材からその後の工程で切欠いたものであってもよいし、連結バー21の成形段階で形成するもの(一体成形品)であってもよい。
【0050】
・前記実施形態において、連結バー21は、円柱状や円筒状、多角筒状であってもよい。そして、支持ブロック31の連結バー挿入凹部34は、連結バー21に合わせて円形、多角形であってもよい。
【0051】
・前記実施形態において、連結バー21は、例えばアルミニウム合金などの金属製であってもよい。連結バー21がアルミニウム合金などの金属製であっても、分解してリサイクルできる。
【0052】
・前記実施形態において、支持ブロック31の第1、第2挿入凹部35a,35b(ロック部材挿入凹部35)は、ロック部材41の挿入方向に直交する水平方向における開口幅が一定であってもよい。この場合、第1、第2挿入部42,43は、ロック部材41の挿入方向に直交する水平方向における幅寸法が一定であればよい。
【0053】
・前記実施形態において、支持ブロック31の係合孔37は、1個や3個以上であってもよい。この場合、係合孔37の個数と同数の係合突部45をロック部材41に設けて係合孔37に挿入すればよい。
【0054】
・前記実施形態において、支持ブロック31の係合孔37とこれに挿入する係合突部45を省略してもよい。
・前記実施形態において、係合片46をロック部材41の側面に設けて、第1挿入凹部35aの側面に係止させてもよい。
【0055】
・前記実施形態において、荷台20を構成する連結バー21と支持ブロック31の個数は、互いに同数となる複数であれば任意に変更してもよい。そして、連結バー21等の個数に応じてそれらを任意に配置してもよい。例えば荷台20において、枠型をなす略長方形の1辺を複数の連結バー21で形成してもよい。そして、隣り合う連結バー21間に支持ブロック31に準じた構造の支持ブロックを配置してそれら連結バー21を結合してもよい。
【0056】
・前記実施形態において、支持ブロック31に、その要求される強度や質量を考慮して、外壁面又は内壁面に適宜のリブを突設してもよい。ただし、荷物に支持ブロック31が接触する底壁32(上壁38)上面や側壁33(側壁部33a)の内側端面にはリブを突設しないことがより好ましい。同様に、ロック部材41に、その要求される強度や質量を考慮して、外壁面又は内壁面に適宜のリブを突設してもよい。
【0057】
・
図8(a)、(b)に示すように、連結バー挿入凹部34に挿入された連結バー21の先端に隣接する側壁部33aの角部寄りの部位に二重壁61を設けてもよい。この二重壁61により、連結バー21の先端に合わせて支持ブロック31の強度アップや上下方向の変形抑制をできる。
【0058】
また、二重壁61の上部に、外側方向に向かうに従って下方に向かう傾斜部61aを形成してもよい。これにより、支持ブロック31に付着した水を円滑に流すことができる。
なお、二重壁61に代えて、その配置部位に横リブを設けてもよい。
【0059】
・
図9に示すように、運搬台車に載せる荷物Bの上部を保持可能な枠型の保持部120を有する運搬台車用の蓋110でもよい。この保持部120は、その周縁に沿って延設した4個の連結バー121と、四隅に配設した4個の支持ブロック131と、これら支持ブロック131の各々に設けた一対のロック部材141とを備えている。これら連結バー121等は、支持ブロック131にキャスター50が取着されていないことを除けば、上下を逆転させることで前記実施形態と同様である。このため、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、荷物Bを載せる運搬台車の構造は任意である。
【符号の説明】
【0060】
B…荷物、10…運搬台車、20…荷台、21,121…連結バー、21a…先端部、24…係止溝、31,131…支持ブロック、34…連結バー挿入凹部、37…係合孔、41,141…ロック部材、44…凸部(係止突部)、45…係合突部、46…係合片(係合部)、50…キャスター、110…運搬台車用の蓋、120…保持部。