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特許7082819無線アクセスポイント、無線通信端末、無線通信方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】無線アクセスポイント、無線通信端末、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/38 20180101AFI20220602BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220602BHJP
   H04W 48/02 20090101ALI20220602BHJP
   H04W 72/12 20090101ALI20220602BHJP
【FI】
H04W76/38
H04W84/12
H04W48/02
H04W72/12 150
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019136140
(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公開番号】P2021022755
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】下地 龍二
(72)【発明者】
【氏名】辻 和輝
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-191984(JP,A)
【文献】国際公開第2013/125070(WO,A1)
【文献】特開2013-48464(JP,A)
【文献】特開2018-11093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末と通信可能な無線アクセスポイントであって、
前記無線通信端末と無線通信を行うアクセスポイント側送受信部と、
前記無線通信端末が無線信号を送信する時間を管理する端末送信時間管理部と、
を備え、
前記端末送信時間管理部は、
現時点から直近の所定時間の範囲内で前記無線通信端末が送信した総送信時間に基づいて、前記無線通信端末の送信を待機させるべきか否かを判定し、
前記無線通信端末の送信を待機させるべきと判定した場合、前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機時間を算出し、
前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信時間管理部により算出された前記端末送信待機時間を前記無線通信端末に送信することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項2】
請求項1に記載の無線アクセスポイントであって、
前記アクセスポイント側送受信部は、前記無線通信端末から、通知間隔毎に、直近の前記通知間隔で無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間を受信し、
前記端末送信時間管理部は、前記所定時間の範囲内での前記総送信時間を、当該所定時間に含まれる前記通知間隔での前記累積送信時間の総和に基づいて求めることを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項3】
請求項2に記載の無線アクセスポイントであって、
前記累積送信時間の通知と通知の間で前記無線通信端末が再起動した場合、前記端末送信時間管理部は、当該再起動のタイミングを含む前記所定時間の範囲内での前記総送信時間を算出するとき、前記再起動を挟んで前記累積送信時間が通知された時間差から、前記通知間隔を減算した時間を、送信有無不明期間として求め、
前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも長い場合は、前記端末送信時間管理部は、前記送信有無不明期間において無線信号の送信が前記通知間隔の長さだけ行われていたとみなして、前記総送信時間を求め、
前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも短い場合は、前記端末送信時間管理部は、前記送信有無不明期間の全てにわたって無線信号の送信が行われていたとみなして、前記総送信時間を求めることを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項4】
請求項1に記載の無線アクセスポイントであって、
前記端末送信時間管理部は、前記総送信時間を、前記アクセスポイント側送受信部を介して前記無線通信端末から無線信号を受信した時間に基づいて算出することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の無線アクセスポイントであって、
前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機時間を、IEEE802.11規格のActionフレーム又はBeaconフレームの何れかに記述して前記無線通信端末に送信することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の無線アクセスポイントであって、
前記アクセスポイント側送受信部により前記端末送信待機時間が送信された後に、前記端末送信時間管理部は、現時点から前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機残り時間を算出し、
前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機残り時間を前記無線通信端末に送信することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項7】
請求項6に記載の無線アクセスポイントであって、
前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機残り時間を、対象の前記無線通信端末から受信したフレームに対する応答フレームに記述して前記無線通信端末に送信することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項8】
請求項6に記載の無線アクセスポイントであって、
前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機残り時間を、IEEE802.11規格のBeaconフレームに記述して前記無線通信端末に送信することを特徴とする無線アクセスポイント。
【請求項9】
無線アクセスポイントと通信可能な無線通信端末であって、
前記無線アクセスポイントと無線通信を行う端末側送受信部と、
前記無線アクセスポイントから受信した端末送信待機時間が経過するまで前記無線アクセスポイントへの送信を待機させる送信管理部と、
を備え、
前記送信管理部は、通知間隔毎に、直近の前記通知間隔で前記無線通信端末が無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間を、前記端末側送受信部を介して前記無線アクセスポイントに送信することを特徴とする無線通信端末。
【請求項10】
請求項9に記載の無線通信端末であって、
前記端末側送受信部は、前記累積送信時間を、IEEE802.11規格のActionフレームに記述して前記無線アクセスポイントに送信することを特徴とする無線通信端末。
【請求項11】
無線アクセスポイントと無線通信端末との無線通信方法であって、
前記無線アクセスポイントが、前記無線通信端末から受信した信号に基づいて、現時点から直近の所定時間の範囲内で前記無線通信端末が無線信号を送信した総送信時間を算出する端末総送信時間算出ステップと、
算出された前記総送信時間が閾値より大きい場合に、前記無線アクセスポイントが、前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機時間を算出する端末送信待機時間算出ステップと、
前記無線アクセスポイントが、算出された前記端末送信待機時間を前記無線通信端末に送信する端末送信待機時間通知ステップと、
前記無線アクセスポイントが前記端末送信待機時間を送信した後、当該無線アクセスポイントと前記無線通信端末との無線接続が切断される無線接続切断ステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項12】
請求項11に記載の無線通信方法であって、
前記無線通信端末が、通知間隔毎に、直近の前記通知間隔で当該無線通信端末が無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間を前記無線アクセスポイントに送信する累積送信時間通知ステップを更に含み、
前記端末総送信時間算出ステップでは、前記所定時間の範囲内での前記総送信時間が、当該所定時間に含まれる前記通知間隔での前記累積送信時間の総和に基づいて求められることを特徴とする無線通信方法。
【請求項13】
請求項12に記載の無線通信方法であって、
前記累積送信時間の通知と通知の間で前記無線通信端末が再起動した場合、前記端末総送信時間算出ステップでは、当該再起動のタイミングを含む前記所定時間の範囲内での前記総送信時間を算出するとき、前記再起動を挟んで前記累積送信時間が通知された時間差から、前記通知間隔を減算した時間を、送信有無不明期間として求め、
前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも長い場合は、前記送信有無不明期間において電波の送信が前記通知間隔の長さだけ行われていたとみなして、前記総送信時間を求め、
前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも短い場合は、前記送信有無不明期間の全てにわたって電波の送信が行われていたとみなして、前記総送信時間を求めることを特徴とする無線通信方法。
【請求項14】
請求項11に記載の無線通信方法であって、
前記端末総送信時間算出ステップでは、前記総送信時間を、前記無線アクセスポイントが前記無線通信端末から無線信号を受信した時間に基づいて算出することを特徴とする無線通信方法。
【請求項15】
無線通信端末と通信可能な無線アクセスポイントを、
前記無線通信端末と無線通信を行うアクセスポイント側送受信部と、
前記無線通信端末が無線信号を送信する時間を管理する端末送信時間管理部と、
として機能させ、
前記端末送信時間管理部は、
現時点から直近の所定時間の範囲内で前記無線通信端末が送信した総送信時間に基づいて、前記無線通信端末の送信を待機させるべきか否かを判定し、
前記無線通信端末の送信を待機させるべきと判定した場合、前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機時間を算出し、
前記アクセスポイント側送受信部は、算出された前記端末送信待機時間を前記無線通信端末に送信することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスポイントと無線通信端末との無線通信に関する。詳細には、所定時間当たりにおける無線通信端末の総送信時間への管理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば法律の規制等により、無線通信端末の所定時間当たりの最大送信時間を制限することが求められている。特許文献1は、この種の制限を実現するための無線通信システムを開示する。
【0003】
特許文献1の無線通信システムにおいては、スレーブ局無線通信装置が電波送信時間制御部を備える。所定時間当たりに電波を送信する累積時間の上限を最大送信時間としたときに、スレーブ局無線通信装置は、現時点あるいは指定された時点から所定時間前までの間に電波送信を行った累積送信時間を計時し、累積送信時間が最大送信時間を超過した場合に電波送信停止を指示する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-90281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成においては、スレーブ局無線通信装置の電波送信時間制御部により計時された累積送信時間が、スレーブ局無線通信装置のリセット等によって失われた場合、スレーブ局無線通信装置のリセット後、累積送信時間をゼロから計時し直して、マスタ局無線通信装置への電波送信を行う。従って、所定時間当たりの最大送信時間の制限を遵守できない可能性がある。
【0006】
一方、計時された累積送信時間が失われないように、計時された累積送信時間を不揮発性メモリに記憶する構成とすることも考えられる。しかしながら、この構成は、コストが増加する原因となる。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的の1つは、所定時間当たりの最大送信時間の制限を遵守できる、簡素な構成の無線アクセスポイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の無線アクセスポイントが提供される。即ち、この無線アクセスポイントは、無線通信端末と通信可能である。前記無線アクセスポイントは、アクセスポイント側送受信部と、端末送信時間管理部と、を備える。前記アクセスポイント側送受信部は、前記無線通信端末と無線通信を行う。前記端末送信時間管理部は、前記無線通信端末が無線信号を送信する時間を管理する。前記端末送信時間管理部は、現時点から直近の所定時間の範囲内で前記無線通信端末が送信した総送信時間に基づいて、前記無線通信端末の送信を待機させるべきか否かを判定する。前記端末送信時間管理部は、前記無線通信端末の送信を待機させるべきと判定した場合、前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機時間を算出する。前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信時間管理部により算出された前記端末送信待機時間を前記無線通信端末に送信する。
【0010】
これにより、無線通信端末の所定時間当たりの総送信時間を、無線アクセスポイント側で管理することができる。従って、無線通信端末の過去の送信時間の推移に関する情報が無線通信端末側で仮に失われても、無線通信端末の所定時間当たりの最大送信時間の制限に確実に適合させることができる。
【0011】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることができる。即ち、前記アクセスポイント側送受信部は、前記無線通信端末から、通知間隔毎に、直近の前記通知間隔で無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間を受信する。前記端末送信時間管理部は、前記所定時間の範囲内での前記総送信時間を、当該所定時間に含まれる前記通知間隔での前記累積送信時間の総和に基づいて求める。
【0012】
この場合、無線通信端末の過去の送信時間の推移に関する情報を、無線アクセスポイント側で簡単に取得することができる。
【0013】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記累積送信時間の通知と通知の間で前記無線通信端末が再起動した場合、前記端末送信時間管理部は、当該再起動のタイミングを含む前記所定時間の範囲内での前記総送信時間を算出するとき、前記再起動を挟んで前記累積送信時間が通知された時間差から、前記通知間隔を減算した時間を、送信有無不明期間として求める。前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも長い場合は、前記端末送信時間管理部は、前記送信有無不明期間において無線信号の送信が前記通知間隔の長さだけ行われていたとみなして、前記総送信時間を求める。前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも短い場合は、前記端末送信時間管理部は、前記送信有無不明期間の全てにわたって無線信号の送信が行われていたとみなして、前記総送信時間を求める。
【0014】
これにより、無線通信端末の再起動により電波の送信の有無が不明な時間が発生した場合に、所定時間当たりの送信時間の制限に確実に適合させつつ、無線通信を効率良く行うことができる。
【0015】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記端末送信時間管理部は、前記総送信時間を、前記アクセスポイント側送受信部を介して前記無線通信端末から無線信号を受信した時間に基づいて算出することができる。
【0016】
この場合、簡素な処理で、総送信時間を無線アクセスポイント側で得ることができる。
【0017】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機時間を、IEEE802.11規格のActionフレーム又はBeaconフレームの何れかに記述して前記無線通信端末に送信することができる。
【0018】
この場合、簡単な処理で、端末送信待機時間を無線通信端末に通知することができる。
【0019】
前記の無線アクセスポイントにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記アクセスポイント側送受信部により前記端末送信待機時間が送信された後に、前記端末送信時間管理部は、現時点から前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機残り時間を算出する。前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機残り時間を前記無線通信端末に送信する。
【0020】
これにより、複数の機会にわたって、送信を待機すべき時間を無線アクセスポイントから無線通信端末に通知することができる。
【0021】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機残り時間を、対象の前記無線通信端末から受信したフレームに対する応答フレームに記述して前記無線通信端末に送信することができる。
【0022】
この場合、例えば無線通信端末が無線アクセスポイントへの接続を試みようとする機会を利用して、送信を待機するように無線通信端末に通知することができる。
【0023】
前記の無線アクセスポイントにおいては、前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信待機残り時間を、IEEE802.11規格のBeaconフレームに記述して前記無線通信端末に送信することができる。
【0024】
この場合、簡単な処理で、無線通信端末の送信を待機させることができる。
【0025】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の無線通信端末が提供される。即ち、この無線通信端末は、無線アクセスポイントと通信可能である。前記無線通信端末は、端末側送受信部と、送信管理部と、を備える。前記端末側送受信部は、前記無線アクセスポイントと無線通信を行う。前記送信管理部は、前記無線アクセスポイントから受信した端末送信待機時間が経過するまで前記無線アクセスポイントへの送信を待機させる。前記送信管理部は、通知間隔毎に、直近の前記通知間隔で前記無線通信端末が無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間を、前記端末側送受信部を介して前記無線アクセスポイントに送信する。
【0026】
これにより、無線アクセスポイント側で無線通信端末の送信時間を管理することが可能になる。
【0027】
前記の無線通信端末においては、前記端末側送受信部は、前記累積送信時間を、IEEE802.11規格のActionフレームに記述して前記無線アクセスポイントに送信することが好ましい。
【0028】
これにより、簡単な処理で、無線アクセスポイントに累積送信時間を通知することができる。
【0029】
本発明の第3の観点によれば、以下のような、無線アクセスポイントと無線通信端末との無線通信方法が提供される。即ち、この無線通信方法は、端末総送信時間算出ステップと、端末送信待機時間算出ステップと、端末送信待機時間通知ステップと、無線接続切断ステップと、を含む。前記端末総送信時間算出ステップでは、前記無線アクセスポイントが、前記無線通信端末から受信した信号に基づいて、現時点から直近の所定時間の範囲内で前記無線通信端末が無線信号を送信した総送信時間を算出する。前記端末送信待機時間算出ステップでは、算出された前記総送信時間が閾値より大きい場合に、前記無線アクセスポイントが、前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機時間を算出する。前記端末送信待機時間通知ステップでは、前記無線アクセスポイントが、算出された前記端末送信待機時間を前記無線通信端末に送信する。前記無線接続切断ステップでは、前記無線アクセスポイントが前記端末送信待機時間を送信した後、当該無線アクセスポイントと前記無線通信端末との無線接続が切断される。
【0030】
これにより、無線通信端末の所定時間当たりの総送信時間を、無線アクセスポイント側で管理することができる。従って、無線通信端末の過去の送信時間の推移に関する情報が無線通信端末側で仮に失われても、無線通信端末の所定時間当たりの最大送信時間の制限に確実に適合させることができる。
【0031】
前記の無線通信方法においては、以下のようにすることができる。即ち、この無線通信方法は、累積送信時間通知ステップを更に含む。前記累積送信時間通知ステップでは、前記無線通信端末が、通知間隔毎に、直近の前記通知間隔で当該無線通信端末が無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間を前記無線アクセスポイントに送信する。前記端末総送信時間算出ステップでは、前記所定時間の範囲内での前記総送信時間が、当該所定時間に含まれる前記通知間隔での前記累積送信時間の総和に基づいて求められる。
【0032】
この場合、無線通信端末の過去の送信時間の推移に関する情報を、無線アクセスポイント側で簡単に取得することができる。
【0033】
前記の無線通信方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記累積送信時間の通知と通知の間で前記無線通信端末が再起動した場合、前記端末総送信時間算出ステップでは、当該再起動のタイミングを含む前記所定時間の範囲内での前記総送信時間を算出するとき、前記再起動を挟んで前記累積送信時間が通知された時間差から、前記通知間隔を減算した時間を、送信有無不明期間として求める。前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも長い場合は、前記送信有無不明期間において電波の送信が前記通知間隔の長さだけ行われていたとみなして、前記総送信時間を求める。前記送信有無不明期間が前記通知間隔よりも短い場合は、前記送信有無不明期間の全てにわたって電波の送信が行われていたとみなして、前記総送信時間を求める。
【0034】
これにより、無線通信端末の再起動により電波の送信の有無が不明な時間が発生した場合に、所定時間当たりの送信時間の制限に確実に適合させつつ、無線通信を効率良く行うことができる。
【0035】
前記の無線通信方法においては、前記端末総送信時間算出ステップでは、前記総送信時間を、前記無線アクセスポイントが前記無線通信端末から無線信号を受信した時間に基づいて算出することができる。
【0036】
この場合、簡素な処理で、総送信時間を無線アクセスポイント側で得ることができる。
【0037】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成のプログラムが提供される。即ち、このプログラムは、無線通信端末と通信可能な無線アクセスポイントを、アクセスポイント側送受信部と、端末送信時間管理部と、として機能させる。前記アクセスポイント側送受信部は、前記無線通信端末と無線通信を行う。前記端末送信時間管理部は、前記無線通信端末が無線信号を送信する時間を管理する。前記端末送信時間管理部は、現時点から直近の所定時間の範囲内で前記無線通信端末が送信した総送信時間に基づいて、前記無線通信端末の送信を待機させるべきか否かを判定する。前記端末送信時間管理部は、前記無線通信端末の送信を待機させるべきと判定した場合、前記無線通信端末の送信を待機させる時間である端末送信待機時間を算出する。前記アクセスポイント側送受信部は、前記端末送信時間管理部により算出された前記端末送信待機時間を前記無線通信端末に送信する。
【0038】
これにより、無線通信端末の所定時間当たりの総送信時間を、無線アクセスポイント側で管理することができる。従って、無線通信端末の過去の送信時間の推移に関する情報が無線通信端末側で仮に失われても、無線通信端末の所定時間当たりの最大送信時間の制限に確実に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】無線通信システムの構成を示す模式図。
図2】第1実施形態の無線アクセスポイント及び無線通信端末の間で行われる通信処理を示す図。
図3】無線通信でやり取りされるActionフレームの例を示す図。
図4】送信有無不明期間を説明するグラフ。
図5】第2実施形態の無線アクセスポイント及び無線通信端末の間で行われる通信処理を示す図。
図6】Beaconフレームの例を示す図。
図7】第3実施形態の無線アクセスポイント及び無線通信端末の間で行われる通信処理を示す図。
図8】第4実施形態の無線アクセスポイント及び無線通信端末の間で行われる通信処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、無線通信システム100の構成を示す模式図である。
【0041】
図1に示す無線通信システム100は、無線アクセスポイント1及び複数の無線通信端末2から構成されている。無線アクセスポイント1は、IEEE802.11に規定するインフラストラクチャモードでのアクセスポイントとして機能する。この無線通信システム100においては、例えば、920MHz帯を使用するLPWA(Low Power Wide Area)通信方式を用いるネットワークが構築されている。
【0042】
無線アクセスポイント1は、自身を中心とした無線ネットワークを形成する。無線アクセスポイント1は、無線通信可能エリアに存在する無線通信端末2のそれぞれとの間で、無線信号(電波)による通信を行う。この無線ネットワークは、例えば、無線LANのために用いられる。
【0043】
無線アクセスポイント1は、図1に示すように、AP無線通信部(アクセスポイント側送受信部)11と、AP制御部(端末送信時間管理部)12と、を備える。ここで、APは、アクセスポイントの略称である。
【0044】
具体的に説明すると、無線アクセスポイント1には、公知のコンピュータが内蔵されている。このコンピュータは、CPU、ROM、RAM等を備える。ROM及びRAMは、無線通信に関する各種の情報を記憶する記憶部を構成している。記憶部は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリからなる。不揮発性メモリには、本発明の無線通信方法を実現するためのプログラム等が記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、当該コンピュータを、AP無線通信部11及びAP制御部12として動作させることができる。
【0045】
上記の不揮発性メモリには、無線アクセスポイント1自身のAP識別番号(例えばMACアドレス)等、上記のプログラムを動作させるために必要な情報が記憶される。MACとは、Media Access Controlの略称である。揮発性メモリには、主として、プログラムを動作させるための一時的なデータが記憶される。
【0046】
AP無線通信部11は、所定の無線通信規格に準拠して、無線通信端末2と無線通信を行う。無線通信規格としては、例えば、IEEE802.11ah、IEEE802.15.4g、及びARIB STD-108等が考えられるが、これに限定されない。
【0047】
AP制御部12は、AP無線通信部11における無線通信を制御する。また、AP制御部12は、無線通信相手である無線通信端末2の所定時間TS当たりの総送信時間TSTAが、電波法により規定された最大送信可能時間Tmaxを超えないように管理する。この所定時間TSは、上述のLPWAに関する日本国の電波法に基づいて定められ、本実施形態では1時間(3600秒)である。最大送信可能時間Tmaxも同様に電波法に基づいて定められ、本実施形態では360秒である。
【0048】
無線通信端末2は、いわゆる無線通信ステーションである。図2のSTAとは、ステーションの略称である。無線通信端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等で構成される。無線通信端末2は、例えば、端末に無線通信モジュールを備えることで実現することができる。
【0049】
無線通信端末2は、図1に示すように、端末無線通信部(端末側送受信部)21と、端末制御部(送信管理部)22と、を備える。
【0050】
具体的に説明すると、無線通信端末2には、公知のコンピュータが内蔵されている。このコンピュータは、CPU、ROM、RAM等を備える。ROM及びRAMは、無線通信に関する各種の情報を記憶する記憶部を構成している。記憶部は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリからなる。不揮発性メモリには、本発明の無線通信方法を実現するためのプログラム等が記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、当該コンピュータを、端末無線通信部21及び端末制御部22として動作させることができる。
【0051】
不揮発性メモリには、無線通信端末2自身の端末識別番号(例えばMACアドレス)等、上記のプログラムを動作させるために必要な情報が記憶される。揮発性メモリには、主として、プログラムを動作させるための一時的なデータが記憶される。揮発性メモリの記憶内容には、無線通信端末2が無線送信を待機すべき時間である送信待機時間Twait等が含まれる。送信待機時間Twaitの詳細については後述する。
【0052】
端末無線通信部21は、上述の無線通信規格に準拠した方式で、AP無線通信部11との間で無線通信を行う。
【0053】
端末制御部22は、端末無線通信部21における無線通信を制御する。また、端末制御部22は、端末無線通信部21が無線信号を送信している時間を、所定の時間間隔毎に集計する。この集計結果は、無線アクセスポイント1に通知される。以下では、この時間間隔に相当する長さの時間を、集計単位時間と呼ぶことがある。
【0054】
詳細に説明すると、本実施形態の端末制御部22は、端末無線通信部21が通信のために電波を送信している時間を、一定の長さの時間である集計単位時間毎に計測する。集計単位時間が経過すると、端末制御部22は、当該集計単位時間における電波送信時間の累積値である累積送信時間TACCを計算する。端末制御部22は、算出された累積送信時間TACCを、端末無線通信部21を介して、無線アクセスポイント1に送信する。
【0055】
集計単位時間は、無線通信端末2が無線アクセスポイント1に累積送信時間TACCを通知する時間間隔に実質的に相当する。従って、集計単位時間は、通知間隔Tnotifyと呼ぶこともできる。計算処理を簡素化するため、集計単位時間(通知間隔Tnotify)は、整数秒であって、上記の所定時間TSの整数分の1となるように設定することが好ましい。本実施形態では、通知間隔Tnotifyは60秒に設定されている。
【0056】
続いて、図2を参照しながら、本発明の第1実施形態における無線アクセスポイント1及び無線通信端末2の間で行う無線通信について説明する。図2は、第1実施形態の無線アクセスポイント1及び無線通信端末2の間で行われる通信処理を示す図である。説明を簡単にするために、以下では、1つの無線通信端末2だけが無線アクセスポイント1に接続している例で説明する。
【0057】
図2に示すように、無線アクセスポイント1と無線通信端末2とが、通常の手順で接続処理を実行した後、互いに電波を送受信して無線通信を行う。
【0058】
接続処理は、周知の無線LAN関連規格である802.11に従って行われる。接続の手順の一例について簡単に説明すると、無線通信端末2は、周囲に存在する無線通信機器を知るために、プローブ要求と呼ばれるMACフレームを周囲に無線送信する。これを受信した無線アクセスポイント1は、返信として、プローブ応答と呼ばれるMACフレームを無線送信する。その後、無線通信端末2と無線アクセスポイント1との間で、認証及びアソシエーションのためのMACフレームのやり取りが無線によって行われ、接続が確立される。
【0059】
接続が確立した後、無線通信端末2と無線アクセスポイント1との間で、例えばユーザデータの通信が行われる。この通信と並行して、無線通信端末2は、図2に示すように、一定の通知間隔Tnotify毎に、直近の当該通知間隔Tnotifyにおいて自身が電波を送信した時間の累積値である累積送信時間TACCを、無線アクセスポイント1に通知する(累積送信時間通知ステップ)。上述したとおり、Tnotifyは60秒である。
【0060】
この通知には、MACフレームの一種であるActionフレームが用いられる。このActionフレームは、例えば、IEEE Std.802.11-2012(8.5.6)で定義されている、ベンダ特有のActionフレームとすることができる。
【0061】
図3(a)には、無線通信端末2が生成するActionフレームのフォーマットが示されている。このActionフレームにおいて、Categoryフィールドの値は、例えば、ベンダ特有の情報であることを示す126又は127とすることができる。Organization Identifierフィールドには、ベンダを一意に識別する値が記述される。Vendor Specific Contentフィールドには、上記の累積送信時間TACC、自身のMACアドレス、及び、無線通信端末2が起動してから何番目の通知であるかを示す通知番号等の情報が、値として記述される。
【0062】
無線アクセスポイント1は、無線通信端末2から累積送信時間TACCを定期的に受信して記憶する。無線アクセスポイント1は、無線通信端末2から直近に受信した累積送信時間TACCを、複数回分記憶することができる。最新の累積送信時間TACCを取得する毎に、無線アクセスポイント1のAP制御部12は、現時点から所定時間TSだけ遡った時点までの間に得られた累積送信時間TACCの総和を計算する。上述のとおり、所定時間TSは3600秒である。以下の説明では、現時点から所定時間TSだけ遡った時点までの時間区間を、直近監視対象時間TS0と呼ぶことがある。無線アクセスポイント1は、上記の計算により、直近監視対象時間TS0において無線通信端末2が送信した時間の総和である総送信時間TSTAを取得する(端末総送信時間算出ステップ)。通知間隔Tnotifyは60秒であるから、直近監視対象時間TS0には、約60回分の通知間隔Tnotifyが含まれる。総送信時間TSTAは、原則的には、直近監視対象時間TS0に含まれる通知間隔Tnotifyに対応する累積送信時間TACCの総和として得ることができる。
【0063】
AP制御部12は、算出された総送信時間TSTAに基づいて、無線通信端末2の送信を待機させるべきか否かを判定する。
【0064】
以下、具体的に説明する。AP制御部12は、算出された総送信時間TSTAを、予め設定された閾値(所定閾値)thと比較する。この閾値thは、前記の最大送信可能時間Tmaxに基づいて設定される。上述のとおり、本実施形態において、最大送信可能時間Tmaxは360秒である。閾値thは、最大送信可能時間Tmaxに対してマージンを考慮して設定することが好ましい。閾値thは、例えば5%のマージンを見込んで、342秒とすることができる(360×0.95=342)。
【0065】
上記の判定の結果、算出された総送信時間TSTAが閾値th以下である場合、AP制御部12は、無線通信端末2との無線通信を通常どおり行わせる。
【0066】
一方、上記の判定の結果、算出された総送信時間TSTAが閾値thより大きい場合、このまま無線通信を継続すると最大送信可能時間Tmaxを超過してしまう可能性が高くなる。そこで、AP制御部12は、当該無線通信端末2に対しては更なる送信を行わせず、送信を当面待機させる。
【0067】
具体的には、AP制御部12は先ず、無線通信端末2の送信を待機させる時間である送信待機時間Twaitを算出する。待機が頻繁に繰り返されるのを回避するために、送信待機時間Twaitは、ある程度長い時間(本実施形態では、60秒)の連続送信が可能となるまでの時間とすることが好ましい。本実施形態のAP制御部12は、無線通信端末2が送信を行わない状態を現在からどのくらいの時間だけ継続すれば、その後に60秒の連続送信を行うことが可能になるかを、送信待機時間Twaitとして算出する(端末送信待機時間算出ステップ)。送信待機時間Twaitの計算は、現在までに取得した累積送信時間TACCの推移と、閾値thと、に基づいて行うことができる。
【0068】
無線アクセスポイント1のAP制御部12は、算出された送信待機時間Twaitを無線通信端末2に通知する。この通知は、Actionフレームを用いて行うことができる。無線アクセスポイント1が生成するActionフレームのデータフォーマットが図3(b)に示されている。算出された送信待機時間Twait、及び対象の無線通信端末2のMACアドレスは、Vendor Specific Contentフィールドの値として記述される。他のフィールドの内容は、無線通信端末2側で生成するActionフレームと同様であるため、説明を省略する。無線通信端末2は、このActionフレームを受信すると、通知された送信待機時間Twaitを揮発性のメモリに記憶する。
【0069】
図2に戻って、無線アクセスポイント1は、算出された送信待機時間Twaitを、図3(b)に示すActionフレームにより無線通信端末2に送信する(端末送信待機時間通知ステップ)。その後、無線アクセスポイント1は、直ちに無線接続の切断処理を行う(無線接続切断ステップ)。この切断処理は、例えば、無線アクセスポイント1が無線通信端末2に認証解除のMACフレームを送信することにより実現される。
【0070】
無線接続が切断された後、無線通信端末2は、無線アクセスポイント1から通知された送信待機時間Twaitが経過するまで、電波の送信を行わずに待機する。送信待機時間Twaitを経過した後、無線通信端末2は、上述と同様の手順で無線アクセスポイント1との間で接続処理を行い、無線アクセスポイント1との無線通信を再開する。
【0071】
本実施形態の無線アクセスポイント1は、送信待機時間Twaitを算出して無線通信端末2に通知してから、当該送信待機時間Twaitを経過するまでの間に、当該無線通信端末2との無線接続を行わないように構成されている。具体的には、無線アクセスポイント1は、図2に示すように、送信待機時間Twaitが終わっていないのに当該無線通信端末2から接続のためのフレームを受信した場合は、通常とは異なる応答を返す。このとき、無線アクセスポイント1は、接続が可能となるまで現時点から待機しなければならない送信待機残り時間TwaitRを無線通信端末2に通知する。
【0072】
送信待機時間Twaitが終わっていないのに当該無線通信端末2から接続を行う背景として想定されるケースとしては、無線通信端末2が無線アクセスポイント1から通知された送信待機時間Twaitに従って送信を行わずに待機している途中で、無線通信端末2が再起動する場合が考えられる。再起動の原因としては様々に考えられ、例えば、障害の発生、図略のリセットスイッチの操作、短時間の停電等である。自機が待機している旨の情報が再起動により失われるので、無線通信端末2は、起動されると、通常どおり無線アクセスポイント1に接続を試みる。このために、無線通信端末2は、上述のプローブ要求を送信する。
【0073】
無線アクセスポイント1は、図2に示すように、無線通信端末2からプローブ要求を受信したとき、当該無線通信端末2について送信待機時間Twaitが終わっているか否かを判定する。送信待機時間Twaitが終わっている場合、無線アクセスポイント1は、プローブ要求に対して通常のプローブ応答を送信する。その後、無線アクセスポイント1は、無線通信端末2との間で認証及びアソシエーションのためにMACフレームをやり取りし、接続が確立される。
【0074】
無線通信端末2の送信待機時間Twaitが終わっていない場合、無線アクセスポイント1は、プローブ要求への返信であるプローブ応答に、無線通信端末2が待機しなければならない時間を含める。プローブ応答のMACフレームにはVendor Specific Elementフィールドが含まれており、無線通信端末2の待機時間は当該フィールドに記述することができる。プローブ応答には、当初に無線通信端末2に通知した送信待機時間Twaitではなく、現時点からの送信待機残り時間(端末送信待機残り時間)TwaitRが記述される。送信待機残り時間TwaitRが通知されると、無線通信端末2は、当該時間が経過するまで、電波の送信を行わずに待機する。
【0075】
上記では無線アクセスポイント1が無線通信端末2からプローブ要求を受信した場合について説明したが、当該無線通信端末2から他のMACフレームを受信した場合も、無線アクセスポイント1の動作は同様である。例えば、送信待機時間Twaitを経過していない無線通信端末2から、接続要求を意味するMACフレーム(例えば、認証又はアソシエーションのMACフレーム)を受信した場合でも、無線アクセスポイント1は、送信待機残り時間TwaitRを含むプローブ応答を返すだけである。認証及びアソシエーションのMACフレームは、プローブ要求のMACフレームと同様に、無線通信端末2が無線接続を行うためのフレームであると考えることができる。送信待機時間Twaitが経過しない限り、無線通信端末2と無線アクセスポイント1との間では無線接続が行われない。
【0076】
上述のとおり、閾値thは、最大送信可能時間Tmaxに対してマージンを考慮した値となっている。従って、総送信時間TSTAが閾値thを上回ったために送信待機状態となり、待機途中で再起動した無線通信端末2がプローブ要求等のMACフレームを送信した場合でも、マージンを適切に設定すれば、送信時間が最大送信可能時間Tmaxを超過することはない。この結果、電波法の規定を確実に遵守することができる。
【0077】
ここで、無線アクセスポイント1に対して複数の無線通信端末2が接続される場合、無線アクセスポイント1における累積送信時間TACCの記憶、総送信時間TSTAの計算、及び、送信を待機すべきか否かの判断等は、無線通信端末2毎(言い換えれば、MACアドレス毎)に行われる。従って、無線通信端末2毎に、無線信号を送信する時間が最大送信可能時間Tmaxを上回らないように管理することができる。
【0078】
続いて、無線アクセスポイント1と無線通信端末2とが無線接続されている間に無線通信端末2が再起動した場合の総送信時間TSTAの計算について説明する。
【0079】
上記で説明したように、無線通信端末2が定期的に累積送信時間TACCを通知するActionフレームには、無線通信端末2が起動してから何番目の通知であるかを示す通知番号が含まれている。通知番号は、起動直後の通知では1であり、通知が行われる毎に1ずつ増加していく。無線通信端末2が再起動すると、通知番号は1に戻る。従って、無線アクセスポイント1は、受信した通知番号に基づいて、無線通信端末2が再起動したことを容易に知ることができる。
【0080】
ところで、無線通信端末2において無線信号の送信時間を集計している過程のデータは、無線通信端末2の揮発性メモリに記憶される。従って、無線通信端末2が通常どおり無線アクセスポイント1と無線信号の送受信を行っているときに再起動した場合は、無線通信端末2が最後に累積送信時間TACCを通知してから再起動までの間に無線通信端末2が電波を送信していた時間に関する情報は、無線アクセスポイント1に通知されずに失われてしまう。
【0081】
このような状況を考慮して、本実施形態の無線アクセスポイント1は、無線通信端末2が通常どおり無線信号の送受信を行っているときに再起動した場合は、この再起動のタイミングを含む所定時間TSにおける無線通信端末2の総送信時間TSTAを算出するときに、無線通信端末2から取得した累積送信時間TACCの総和に対して、後述のみなし送信時間TCTを加算している。これにより、電波が送信されていたか否かが不明な部分を適切に考慮した取扱いを実現でき、電波法の規定を確実に遵守することができる。
【0082】
みなし送信時間TCTについて具体的に説明する。無線アクセスポイント1のAP制御部12は、無線通信端末2が再起動した後の最初に無線アクセスポイント1に累積送信時間TACCを通知したタイミングと、無線通信端末2が再起動する直前に無線アクセスポイント1に累積送信時間TACCを通知したタイミングと、の間の時間差である通知時間差ΔTnotifyを求める。図4には、通知時間差ΔTnotifyと各タイミングの関係が示されている。AP制御部12は、この通知時間差ΔTnotifyに基づいて、無線通信端末2が電波を送信していたか否かが不明な期間である送信有無不明期間を求める。
【0083】
無線通信端末2は、起動すると、電波を送信可能になったタイミングを基準として累積送信時間TACCの計測を開始する。従って、無線通信端末2は、再起動後に最初に累積送信時間TACCを通知したタイミングから、通知間隔Tnotifyだけ過去に遡ったタイミングで、電波を送信可能になったと考えることができる。送信有無不明期間は、無線通信端末2が再起動する直前に累積送信時間TACCを送信したタイミングから、再起動後に無線通信端末2が電波を送信可能になったタイミングまでの期間である。従って、送信有無不明期間は、通知時間差ΔTnotifyから通知間隔Tnotifyを減算することにより求めることができる。
【0084】
その後、無線アクセスポイント1のAP制御部12は、上記のように求められた送信有無不明期間において、無線通信端末2が送信を行ったとみなす時間であるみなし送信時間TCTを決定する。
【0085】
具体的には、無線アクセスポイント1のAP制御部12は、送信有無不明期間(ΔTnotify-Tnotify)と、通知間隔Tnotifyと、を比較する。式の変形により、この比較は、通知間隔Tnotifyを2倍した値と、通知時間差ΔTnotifyと、を比較することと等価である。送信有無不明期間(ΔTnotify-Tnotify)が通知間隔Tnotifyより大きい場合、AP制御部12は、みなし送信時間TCTを、通知間隔Tnotifyと等しい値とする。
【0086】
これは以下の理由による。即ち、無線通信端末2が正常であれば、通知間隔Tnotify毎に、累積送信時間TACCが反復して通知される。従って、無線通信端末2においては、最後に累積送信時間TACCを無線アクセスポイント1に通知してから、最長でも通知間隔Tnotifyが経過するまでの間に、電波を送信できなくなる事象(例えば、障害)が発生したと考えられる。従って、最大送信可能時間Tmaxを遵守する観点では、送信有無不明期間において、最大でも通知間隔Tnotifyの間だけ電波の送信があったと考えれば十分である。
【0087】
一方、送信有無不明期間(ΔTnotify-Tnotify)が通知間隔Tnotifyより小さい場合、AP制御部12は、送信有無不明期間(ΔTnotify-Tnotify)の全てにわたって、無線通信端末2が送信していたとみなす。即ち、AP制御部12は、みなし送信時間TCTを、通知時間差ΔTnotifyから通知間隔Tnotifyを減算した値(ΔTnotify-Tnotify)とする。
【0088】
以上の計算により、無線接続中において無線通信端末2が再起動したために、電波の送信がされていたか否かが不明な期間が発生したとしても、この期間を過大にも過少にも評価することなく、無線通信端末2の総送信時間TSTAを計算することができる。この結果、電波法に規定された最大送信可能時間Tmaxを遵守しつつ、無線通信を効率良く行うことができる。
【0089】
無線アクセスポイント1と比較して、無線通信端末2は携帯しながら使用されるため、電源が不安定である場合が多い。従って、無線通信端末2は、無線アクセスポイント1と異なり、再起動の機会が多い。この点、本実施形態では、無線通信端末2における過去の送信時間の推移に関する情報が再起動により失われても、無線アクセスポイント1側で送信時間を問題なく管理することができる。従って、電波法の規定に確実に適合させることができる。また、無線通信端末2において過去の送信時間の推移を不揮発性のメモリに記憶しないで良いので、不揮発性のメモリの容量を少なくすることができる。この結果、コストを低減することができる。
【0090】
以上に説明したように、本実施形態の無線アクセスポイント1は、無線通信端末2と通信可能である。無線アクセスポイント1は、AP無線通信部11と、AP制御部12と、を備える。AP無線通信部11は、無線通信端末2と無線通信を行う。AP制御部12は、無線通信端末2が無線信号を送信する時間を管理する。AP制御部12は、現時点から直近の所定時間TSの範囲内で無線通信端末2が送信した総送信時間TSTAに基づいて、無線通信端末2の送信を待機させるべきか否かを判定する。AP制御部12は、無線通信端末2の送信を待機させるべきと判定した場合、無線通信端末2の送信を待機させる時間である送信待機時間Twaitを算出する。AP無線通信部11は、AP制御部12により算出された送信待機時間Twaitを無線通信端末2に送信する。
【0091】
これにより、無線通信端末2の所定時間TS当たりの総送信時間TSTAを、無線アクセスポイント1側で管理することができる。従って、無線通信端末2が例えば再起動して、過去の送信時間の推移に関する情報が失われても、所定時間TS当たりの最大送信可能時間Tmaxの制限に確実に適合させることができる。
【0092】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1において、AP無線通信部11は、無線通信端末2から、通知間隔Tnotify毎に、直近の通知間隔Tnotifyで無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間TACCを受信する。AP制御部12は、所定時間TSの範囲内での総送信時間TSTAを、所定時間TSに含まれる通知間隔Tnotifyでの累積送信時間TACCの総和に基づいて求める。
【0093】
これにより、無線通信端末2の過去の送信時間の推移に関する情報を、無線アクセスポイント1側で簡単に取得することができる。
【0094】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1において、累積送信時間TACCの通知と通知の間で無線通信端末2が再起動した場合、AP制御部12は、再起動のタイミングを含む所定時間TSの範囲内での総送信時間TSTAを算出するとき、再起動を挟んで累積送信時間TACCが通知された通知時間差ΔTnotifyから、通知間隔Tnotifyを減算した時間を、送信有無不明期間として求める。送信有無不明期間が通知間隔Tnotifyよりも長い場合は、AP制御部12は、送信有無不明期間において無線信号の送信が通知間隔Tnotifyの長さだけ行われていたとみなして、総送信時間TSTAを求める。送信有無不明期間が通知間隔Tnotifyよりも短い場合は、AP制御部12は、送信有無不明期間の全てにわたって無線信号の送信が行われていたとみなして、総送信時間TSTAを求める。
【0095】
これにより、無線通信端末2の再起動により電波の送信の有無が不明な時間が発生した場合に、最大送信可能時間Tmaxの超過を回避しつつ無線通信を効率良く行うことができる。
【0096】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1において、AP無線通信部11は、送信待機時間Twaitを、Actionフレームに記述して無線通信端末2に送信する。
【0097】
これにより、簡単な処理で、送信待機時間Twaitを無線通信端末2に通知することができる。
【0098】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1において、AP無線通信部11により送信待機時間Twaitが送信された後に、AP制御部12は、現時点から無線通信端末2の送信を待機させる時間である送信待機残り時間TwaitRを算出する。AP無線通信部11は、送信待機残り時間TwaitRを無線通信端末2に送信する。
【0099】
これにより、複数の機会にわたって、送信を待機すべき時間を無線アクセスポイント1から無線通信端末2に通知することができる。
【0100】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1において、AP無線通信部11は、送信待機残り時間TwaitRを、対象の無線通信端末2から受信したフレームに対する応答フレーム(例えば、プローブ要求に対するプローブ応答)に記述して、無線通信端末2に送信する。
【0101】
これにより、例えば無線通信端末2が無線アクセスポイント1への接続を試みようとする機会を利用して、送信を待機するように無線通信端末2に通知することができる。
【0102】
また、本実施形態の無線通信端末2は、無線アクセスポイント1と通信可能である。無線通信端末2は、端末無線通信部21と、端末制御部22と、を備える。端末無線通信部21は、無線アクセスポイント1と無線通信を行う。端末制御部22は、無線アクセスポイント1から受信した送信待機時間Twaitが経過するまで無線アクセスポイント1への送信を待機させる。端末制御部22は、通知間隔Tnotify毎に、直近の通知間隔Tnotifyで無線通信端末2が無線信号を送信した時間の累積値である累積送信時間TACCを、端末無線通信部21を介して無線アクセスポイント1に送信する。
【0103】
これにより、無線アクセスポイント1側で無線通信端末2の送信時間を管理することが可能になる。
【0104】
また、本実施形態の無線通信端末2において、端末無線通信部21は、累積送信時間TACCを、Actionフレームに記述して無線アクセスポイント1に送信する。
【0105】
これにより、簡単な処理で、無線アクセスポイント1に累積送信時間TACCを通知することができる。
【0106】
次に、第2実施形態を説明する。図5は、第2実施形態の無線アクセスポイント1a及び無線通信端末2aの間で行われる通信処理を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0107】
本実施形態の無線アクセスポイント1aにおいては、第1実施形態と同じように、無線通信端末2aから受信した累積送信時間TACCに基づいて、無線通信端末2の総送信時間TSTAを算出する。そして、この総送信時間TSTAが閾値thより大きい場合、無線アクセスポイント1aは、当該無線通信端末2aの送信を待機させるべき送信待機時間Twaitを算出する。
【0108】
その後、無線アクセスポイント1aは、無線通信端末2aの送信待機に関する情報を、プローブ応答のMACフレームに代えて、Beaconフレームに記述して無線通信端末2aに通知する。Beaconフレームは、MACフレームの一種である。無線アクセスポイント1aは、自身の存在を周囲に知らせるために、Beaconフレームを一定周期(例えば100ミリ秒間隔)で繰り返して送信する。Beaconフレームには、無線アクセスポイント1a自身のMACアドレス等の情報が記述される。
【0109】
具体的に説明すると、無線アクセスポイント1aは、IEEE Std.802.11-2012(8.3.3.2)で定められるBeaconフレームの末尾に、IEEE Std.802.11-2012(8.4.2.28)で定義されるVendor Specific elementを付加する。図6には、このようにして拡張されたBeaconフレームが示されている。Element IDフィールドの値は、例えば、ベンダ特有の情報であることを示す221とすることができる。そして、無線アクセスポイント1aは、図6に示すVendor Specific Contentフィールドの値として、送信を待機させる対象の無線通信端末2のMACアドレス、及び、送信待機時間Twaitを記述する。
【0110】
このBeaconフレームを送信するのとほぼ同じタイミングで、無線アクセスポイント1aは無線通信端末2aとの接続を切断する。切断処理は、前述の第1実施形態と同様に行うことができる。無線通信端末2aは、当該Beaconフレームを受信すると、送信待機時間Twaitが経過するまで送信を待機する。
【0111】
Beaconフレームは、無線アクセスポイント1自身の送信可能時間を超えない限り、一定の時間間隔で無線アクセスポイント1aから繰返し送信される。送信待機時間Twaitを送信した後のBeaconフレームには、送信待機時間Twaitの代わりに、無線通信端末2が現時点から送信を待機する時間(送信待機残り時間TwaitR)が記述される。送信待機残り時間TwaitRの値は、Beaconフレームの送信毎に、最新の値に更新される。この更新は、直前の送信待機残り時間TwaitRから、Beaconフレームの送信時間間隔を都度減じる簡単な計算で実現することができる。
【0112】
無線通信端末2aが待機中に何らかの理由で再起動した場合、自機が待機している旨の情報は失われる。しかし、再起動後の無線通信端末2aが再起動後に初めて受信するBeaconフレームの上記のフィールドの内容を調べることで、自機が送信を待機すべきこと、及び待機すべき時間を得ることができる。
【0113】
無線通信端末2aが再起動した後、Beaconフレームを受信していない段階で、無線アクセスポイント1aに接続するためにプローブ要求を送信することも考えられる。この場合の無線アクセスポイント1aの動作は、上述の第1実施形態と同様である。
【0114】
無線通信端末2aに対する送信待機時間Twaitが経過した後は、無線アクセスポイント1aが送信するBeaconフレームには、無線通信端末2aの送信待機に関する情報が含まれなくなる。その後、無線アクセスポイント1aは、通常の手順で接続処理を実行して、無線通信端末2aとの無線通信を行う。
【0115】
以上に説明したように、本実施形態の無線アクセスポイント1aにおいて、AP無線通信部11は、送信待機時間TwaitをBeaconフレームに記述して無線通信端末2aに送信する。
【0116】
これにより、無線通信端末2aの送信を待機させるための通知を、簡単な処理で行うことができる。
【0117】
また、本実施形態の無線アクセスポイント1aにおいて、AP無線通信部11は、送信待機残り時間TwaitRをBeaconフレームに記述して無線通信端末2bに送信する。
【0118】
これにより、送信待機時間Twaitをいったん通知した後も、無線通信端末2aの送信を待機させるための通知を、簡単な処理で行うことができる。
【0119】
また、第1実施形態及び第2実施形態において、無線通信端末2が起動して電波を送信可能になってから通知間隔Tnotifyが経過しているが、無線アクセスポイント1と無線通信端末2との間で接続状態が確立していない場合が考えられる。この場合、無線通信端末2はActionフレームを無線アクセスポイント1に送信できないので、他のMACフレームを用いて累積送信時間TACCを無線アクセスポイント1に通知することが考えられる。例えば、無線通信端末2が送信するプローブ要求に、累積送信時間TACCの情報を含めることができる。
【0120】
次に、第3実施形態を説明する。図7は、第3実施形態の無線アクセスポイント1b及び無線通信端末2bの間で行われる通信処理を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0121】
本実施形態において、無線通信端末2bは、無線アクセスポイント1bに対して、累積送信時間TACCが記述されたActionフレームを定期的に送信しない。無線信号の送信時間は無線信号の受信時間と実質的に等しいと考えられるので、無線アクセスポイント1bは、無線通信端末2が無線信号を送信した時間を、無線アクセスポイント1bが無線通信端末2bから無線信号を受信した時間の長さに基づいて取得する。受信時間の長さは、送信レート、変調方式等の情報、及び受信したフレームの長さ等の情報を用いて得ることができる。
【0122】
無線アクセスポイント1bは、細かい時間間隔(例えば、100ミリ秒)毎に上記の送信時間を取得する。無線アクセスポイント1bは、取得した送信時間を、直近の36000回分(言い換えれば、所定時間TSである3600秒分)について記憶することができる。記憶は、例えば公知のリングバッファ形式で行われ、各回の送信時間は、記憶されてから3600秒を経過すると、最新回の送信時間によって上書きされる。リングバッファに記憶された送信時間の総和を求めることで、直近監視対象時間TS0における総送信時間TSTAを得ることができる。ただし、無線通信端末2bの送信時間の推移を記憶する形式は、上記に限定されない。
【0123】
本実施形態では、上述の第1実施形態及び第2形態とは異なり、通知と通知の間で無線通信端末2が再起動する場合を考えなくて良い。従って、処理を簡素化することができる。なお、図7における「リセット(再起動)」は、送信待機時間Twaitが終わらないうちに無線通信端末2から接続を行う場合の無線アクセスポイント1の動作を示しているが、第1実施形態と同じ動作であり、説明は省略する。(図5及び図8においても同様である。)
【0124】
以上に説明したように、本実施形態の無線アクセスポイント1bにおいて、AP制御部12は、総送信時間TSTAを、AP無線通信部11を介して無線通信端末2bから無線信号を受信した時間に基づいて算出する。
【0125】
これにより、簡素な処理で、総送信時間TSTAを無線アクセスポイント1b側で推定することができる。
【0126】
次に、第4実施形態を説明する。図8は、第4実施形態の無線アクセスポイント1c及び無線通信端末2cの間で行われる通信処理を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0127】
本実施形態は、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせたものに相当する。図8に示すように、無線アクセスポイント1cは、第3実施形態と同様に、上述の総送信時間TSTAを、当該無線アクセスポイント1cが無線通信端末2cから無線信号を受信した時間の長さに基づいて取得する。また、無線アクセスポイント1cは、第2実施形態と同様に、無線通信端末2cの送信待機に関する情報を、プローブ応答のMACフレームに代えて、Beaconフレームに記述して周囲に通知する。
【0128】
以上に本発明の好適な実施の形態を4例挙げて説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0129】
送信待機時間Twaitの代わりに、無線アクセスポイント1,1a,1b,1cは、自身の送信可能時間を超えない限り、送信待機時間Twaitが経過する時点での時刻(即ち、送信が再開可能となる予定時刻)を無線通信端末2,2a,2b,2cに通知しても良い。ただし、上記の実施形態のように送信待機時間Twaitを通知する形式は、無線アクセスポイント1,1a,1b,1cと無線通信端末2,2a,2b,2cとの間で内部時計の時刻ズレの影響を受けない点で、送信が再開可能となる予定時刻を通知する形式より優れている。
【0130】
無線アクセスポイント1,1a,1b,1cは、無線通信端末2,2a,2b,2cの総送信時間TSTAの代わりに、送信可能残り時間を算出しても良い。この場合、AP制御部12は、送信可能残り時間が所定閾値以下になった場合に送信待機時間Twaitを算出し、AP無線通信部11により送信待機時間Twaitを無線通信端末2,2a,2b,2cに通知する。送信可能残り時間は、最大送信可能時間Tmaxから総送信時間TSTAを減算したものである。従って、送信可能残り時間を求めることは、総送信時間TSTAを求めることと等価である。
【符号の説明】
【0131】
1,1a,1b,1c 無線アクセスポイント
11 AP無線通信部(アクセスポイント側送受信部)
12 AP制御部(端末送信時間管理部)
2,2a,2b,2c 無線通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8