(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】信号処理装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
H04R3/00
(21)【出願番号】P 2019521967
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2018010327
(87)【国際公開番号】W WO2018220947
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2017106005
(32)【優先日】2017-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】菊原 靖仁
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-239019(JP,A)
【文献】特開2003-099038(JP,A)
【文献】特開2012-209766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号が入力される入力部と、
前記入力信号の増幅に用いられるパラメータの1つ以上の設定値と、前記設定値の基準値と、が記憶される記憶部と、
前記設定値に基づいて、前記入力信号のレベルを増幅させて出力信号を生成する増幅部と、
前記出力信号を出力する出力部と、
前記設定値を調整する調整部と、
前記調整部により調整された前記設定値と、前記基準値と、に基づいて決定される表示結果を表示する表示部と、
を有してなり、
前記表示結果は、
前記設定値と前記基準値との関係が特定関係のときの特定表示結果と、
前記設定値と前記基準値との関係が前記特定関係とは異なるときの非特定表示結果と、
を含
み、
前記記憶部は、前記設定値を複数記憶し、
前記表示部は、複数の前記設定値それぞれに対応する複数の表示灯を備え、
前記複数の表示灯それぞれの表示態様は、前記各表示灯に対応する前記各設定値と、前記基準値と、の関係に応じて異なる、
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記パラメータの前記設定値は、前記増幅部のゲイン値であり、
前記調整部は、前記基準値に基づき、前記ゲイン値を調整する、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記特定表示結果は、前記設定値と前記基準値との差が所定範囲内のときにのみ表示される、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項4】
前記特定表示結果は、前記設定値が前記基準値に一致するときにのみ表示される、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記設定値に応じて異なる表示態様で表示する1つ以上の表示灯を備え、
前記表示態様は、
前記特定表示結果を表示する特定表示態様と、
前記非特定表示結果を表示する非特定表示態様と、
を含む、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記特定表示態様は、点灯で、
前記非特定表示態様は、点滅である、
請求項5記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記複数の表示灯のうち、前記非特定表示態様で表示する表示灯は特定表示灯のみである、
請求項5記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記設定値と、前記複数の表示灯それぞれの前記表示態様と、の関係を示す表示態様情報を記憶し、
前記表示部は、前記設定値と、前記表示態様情報と、に基づいて、前記複数の表示灯それぞれの前記表示態様を決定する、
請求項7記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記入力信号の音声信号レベルに基づいて、前記複数の表示灯それぞれの前記表示態様を決定する、
請求項8記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記パラメータは、少なくとも、ゲインと、入力レベルと、出力レベルと、のいずれかを含む、
請求項1記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記表示態様は、点灯と、点滅と、ディマー点灯と、を含む
請求項
1記載の信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の入力機器から入力される入力信号の混合、分配、バランス調整などを実行するミキサなどの信号処理装置は、信号のクリップやS/N比の劣化を防止するために、入力信号の信号レベルや出力信号の信号レベルが基準値に一致するように調整されて使用される。信号処理装置は、例えば、フロントパネルと、信号レベルを調整する調整ダイヤルと、調整された信号の信号レベルを表示する目盛と、を備える。信号処理装置のユーザは、目盛を見ながら調整ダイヤルを回して、信号レベルが基準レベルに一致するか否かを確認する。
【0003】
目盛は、1つの調整ダイヤルで調整される調整対象が増加すると、調整対象ごとに必要となる。フロントパネルに調整対象ごとの目盛が必要となると、フロントパネル上に全ての目盛を配置することが難しい。あるいは、全ての目盛をフロントパネル上に配置できたとしても、目盛の表示が煩雑となり、意匠性が損なわれる。その結果、信号処理装置のユーザにとって、調整結果の確認は、困難となり得る。
【0004】
これまでにも、目盛を見ながら調整することなく、信号レベルを基準レベルに調整させることができる信号処理装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された信号処理装置は、信号レベルと基準レベルとの差が、所定の範囲内になったときにのみ、インジケータを点灯・点滅させる。すなわち、ユーザは、インジケータが点灯・点滅することで、信号レベルと基準値との差が、所定の範囲内の値になったことを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された信号処理装置では、ユーザは、インジケータの消灯時には、信号レベルと基準レベルとの差がどの程度あるのかを確認することができない。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、基準レベルに一致するように信号レベルを調整するユーザが、信号レベルと基準レベルとの差がどの程度あるのかを確認しながら調整することができる信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる信号処理装置は、入力信号が入力される入力部と、入力信号の増幅に用いられるパラメータの設定値と、設定値の基準値と、が記憶される記憶部と、設定値に基づいて、入力信号のレベルを増幅させて出力信号を生成する増幅部と、出力信号を出力する出力部と、設定値を調整する調整部と、調整部により調整された設定値と、基準値と、に基づいて決定される表示結果を表示する表示部と、を有してなり、表示結果は、設定値と基準値との関係が特定関係のときの特定表示結果と、設定値と基準値との関係が特定関係とは異なるときの非特定表示結果と、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基準レベルに一致するように信号レベルを調整するユーザが、信号レベルと基準レベルとの差がどの程度あるのかを確認しながら信号レベルを調整することができる信号処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる信号処理装置の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1の信号処理装置が備える増幅部による入力信号の増幅の様子を示す模式図である。
【
図4】
図1の信号処理装置が実行する設定値の調整処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図4の調整処理に含まれるゲイン調整処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図5のゲイン調整処理に含まれる第1ゲイン調整処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図6の第1ゲイン調整処理で使用される表示態様情報の例を示す模式図である。
【
図8】
図6の第1ゲイン調整処理中に、
図1の信号処理装置が備える表示部に表示される表示結果の例を示す模式図である。
【
図9】
図6の第1ゲイン調整処理中に、
図1の信号処理装置が備える表示部に表示される表示結果の別の例を示す模式図である。
【
図10】
図6の第1ゲイン調整処理中に、
図1の信号処理装置が備える表示部に表示される表示結果のさらに別の例を示す模式図である。
【
図11】
図6の第1ゲイン調整処理中に、
図1の信号処理装置が備える表示部に表示される表示結果のさらに別の例を示す模式図である。
【
図12】
図5のゲイン調整処理に含まれる第2ゲイン調整処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図12の第2ゲイン調整処理で使用される表示態様情報の例を示す模式図である。
【
図14】
図13の第2ゲイン調整処理中に、
図1の信号処理装置が備える表示部に表示される表示結果の例を示す模式図である。
【
図15】
図13の第2ゲイン調整処理中に、
図1の信号処理装置が備える表示部に表示される表示結果の別の例を示す模式図である。
【
図16】
図4の調整処理に含まれるレベル調整処理を示すフローチャートである。
【
図17】
図16のレベル調整処理に含まれる入力レベル調整処理を示すフローチャートである。
【
図18】
図17の入力レベル調整処理で使用される表示態様情報の例を示す模式図である。
【
図19】
図16のレベル調整処理に含まれる出力レベル調整処理を示すフローチャートである。
【
図20】
図18の出力レベル調整処理で使用される表示態様情報の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる信号処理装置の実施の形態について説明する。
【0012】
●信号処理装置の構成●
図1は、本発明にかかる信号処理装置(以下「本装置」という。)の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【0013】
以下の説明は、入力機器が接続される複数の入力チャンネルと、出力機器が接続される複数の出力チャンネルと、を備え、入力チャンネルから入力される音声信号を増幅させて出力チャンネルから出力するデジタルミキサの場合を例に説明する。すなわち、デジタルミキサは、本装置の例である。
【0014】
本装置1は、入力部20と、増幅部30と、記憶部40と、調整部50と、表示部60と、出力部70と、を有してなる。
【0015】
入力部20は、例えば、マイクロホンなどの入力機器(不図示)からの入力信号を受信する。
【0016】
増幅部30は、入力部20からの入力信号をパラメータごとの設定値に基づいて増幅して出力信号を生成する。
【0017】
パラメータごとの設定値は、本装置1が入力信号を増幅する際に用いるパラメータごとの値である。本装置1が入力信号の増幅に用いるパラメータは、入力チャンネルごとに設定される入力レベルと、出力チャンネルごとに設定される出力レベルと、ゲインと、を含む。すなわち、本装置1が入力信号の増幅に用いるパラメータの設定値は、入力レベル値と、出力レベル値と、ゲイン値と、である。本装置1は、後述する方法により調整されて設定されたパラメータごとの設定値に基づいて、入力信号を増幅する。
【0018】
図2は、増幅部30による入力信号の増幅の様子を示す模式図である。
同図は、入力部20からの入力信号のレベルAが、入力チャンネルに設定された入力レベル値ILに基づいて「A×IL」に増幅され、さらにゲイン値Gに基づいて「A×IL×G」に増幅され、さらに、出力チャンネルに設定された出力レベル値OLに基づいて「A×IL×G×OL」に増幅されて出力されることを示す。「A×IL×G×OL」は、本装置1が入力信号を増幅して生成した出力信号のレベルである。
【0019】
図1に戻る。
記憶部40は、本装置1が動作する際に必要となる情報、例えば、パラメータごとの、設定値と、設定値の基準値と、表示態様情報と、を記憶する。
【0020】
パラメータごとの設定値の基準値は、本装置1が設定値の調整の際に用いるパラメータごとの値である。本装置1は、第1ゲイン調整処理で参照する第1基準値と、第2ゲイン調整処理で参照する第2基準値と、入力レベル調整処理で参照する第3基準値と、出力レベル調整処理で参照する第4基準値と、を用いる。各調整処理や基準値については、後述する。
【0021】
パラメータごとの表示態様情報は、パラメータごとの、設定値と、基準値と、設定値と基準値との関係に基づいて表示部60に表示される表示結果と、の組み合せを示す情報である。
【0022】
調整部50は、パラメータごとの設定値を調整する。
【0023】
表示部60は、パラメータごとに、調整部50により調整された設定値と、基準値と、表示態様情報と、に基づいて決定される表示結果を表示する。
【0024】
表示結果は、設定値と基準値との関係が特定関係のときの特定表示結果と、設定値と基準値との関係が特定関係とは異なるときの非特定表示結果と、を含む。本実施の形態において、特定関係は、設定値が基準値に一致する関係をいい、特定表示結果は、基準値に対応する表示灯が点灯した表示態様(特定表示態様)により表示される表示結果をいい、非特定表示結果は、基準値に対応する表示灯が点滅した表示態様(非特定表示態様)により表示される表示結果をいう。
【0025】
なお、本発明において、特定関係は、設定値と基準値との差が所定範囲内の関係でもよく、このような場合にのみ、特定表示結果が表示されてもよい。
【0026】
出力部70は、増幅部30で生成された出力信号を、例えば、スピーカなどの外部機器(不図示)に出力する。
【0027】
図3は、本装置1の正面図である。
本装置1は、モードボタン11と、入力チャンネルごとの入力チャンネルボタン21(21a,21b,21c,21d,21e,21f)と、出力チャンネルごとの出力チャンネルボタン71(71a,71b)と、調整部50を構成する調整ダイヤル51と、表示部60を構成する表示灯61(61a,61b,61c,61d,61e,61f,61g,61h,61i,61j,61k,61l,61m)と、を備える。同図は、本装置1が6個の入力チャンネルボタン21と、2個の出力チャンネルボタン71と、13個の表示灯61と、を備えることを示す。
【0028】
複数の表示灯61のうち、非特定表示態様で点滅するのは、後述するとおり、基準値に対応する表示灯61gである。すなわち、基準値に対応する表示灯61gは、特定表示灯である。
【0029】
モードボタン11は、本装置1のユーザが本装置1の動作モードを切り替える際に押下操作するボタンである。本装置1の動作モードは、運用モードと調整モードとを含む。調整モードは、ゲイン調整モードとレベル調整モードとを含む。
【0030】
運用モードで動作中の本装置1は、入力チャンネルを介して入力機器から入力される入力信号を、調整済の(設定された)パラメータごとの設定値に基づいて増幅して出力信号を生成し、同出力信号を出力チャンネルを介して出力する。入力チャンネルと、出力信号が出力される出力チャンネルと、の組合せは、あらかじめ本装置1のユーザが本装置1の入力手段(不図示)を操作することにより設定されて、記憶部40に記憶されている。
【0031】
調整モードで動作中の本装置1は、後述するゲイン調整処理とレベル調整処理とを実行する。
【0032】
本装置1は、調整モードで動作中に、ユーザによりモードボタン11が押下操作されると、ゲイン調整処理とレベル調整処理とを切り替える。すなわち、例えば、本装置1は、電源が投入されると運用モードで動作する。運用モードで動作中に、ユーザによりモードボタン11が押下操作されると、本装置1の動作モードは、調整モードに切り替わり、ゲイン調整処理に含まれる第1ゲイン調整処理を実行可能となる。第1ゲイン調整処理を実行可能な状態(第1ゲイン調整処理の実行中を含む。以下、同じ。)で、ユーザによりモードボタン11が押下操作されると、本装置1は、ゲイン調整処理に含まれる第2ゲイン調整処理を実行可能となる。第2ゲイン調整処理を実行可能な状態で、ユーザによりモードボタン11が押下操作されると、本装置1は、レベル調整処理に含まれる入力レベル調整処理を実行可能となる。入力レベル調整処理を実行可能な状態で、ユーザによりモードボタン11が押下操作されると、本装置1は、出力レベル調整処理を実行可能となる。出力レベル調整処理が実行可能な状態で、ユーザによりモードボタン11が押下操作されると、本装置1の動作モードは、運用モードに切り替わる。
【0033】
このように、モードボタン11が押下操作されるごとに、本装置1の動作モードは、「運用モード」→「調整モード」(「第1ゲイン調整処理」→「第2ゲイン調整処理」→「入力レベル調整処理」→「出力レベル調整処理」)→「運用モード」に切り替わる。各調整処理の具体的な内容は、後述する。
【0034】
入力チャンネルボタン21は、本装置1のユーザが、本装置1に接続されている入力機器のうち、調整の対象となる入力機器が接続されている入力チャンネルを選択するために押下操作するボタンである。
【0035】
出力チャンネルボタン71は、本装置1のユーザが、本装置1に接続されている外部機器のうち、調整の対象となる外部機器が接続されている出力チャンネルを選択するために押下操作するボタンである。
【0036】
調整ダイヤル51は、本装置1のユーザが、パラメータの設定値を調整するために回転操作するダイヤルである。調整ダイヤル51が回転操作されると、本装置1に内蔵された可変抵抗器(不図示)の抵抗値が変化する。本装置1は、この抵抗値の大きさに基づいて、調整中のパラメータの設定値を測定する。抵抗値とパラメータの設定値との対応関係など、本装置1が調整ダイヤル51の回転操作後のパラメータの設定値を特定するために必要な情報は、記憶部40に記憶されている。調整ダイヤル51により調整された設定値は、可変抵抗器の抵抗値の大きさに対応する。
【0037】
表示灯61は、調整ダイヤル51により調整された設定値と、基準値と、表示態様情報と、に基づいて決定される表示結果を表示する。
【0038】
●本装置の調整処理●
次に、本装置1が実行するパラメータごとの設定値の調整処理について説明する。
【0039】
図4は、設定値の調整処理を示すフローチャートである。
【0040】
先ず、本装置1は、ゲイン調整処理(S1)を実行する。ゲイン調整処理(S1)の具体的な処理内容は、後述する。
【0041】
次いで、本装置1は、レベル調整処理(S2)を実行する。レベル調整処理(S2)の具体的な処理内容は、後述する。
【0042】
●ゲイン調整処理
次に、ゲイン調整処理(S1)について説明する。
ゲイン調整処理(S1)は、入力チャンネルごとの増幅率(ゲイン値)を調整する処理である。
【0043】
図5は、ゲイン調整処理(S1)を示すフローチャートである。
【0044】
先ず、本装置1は、第1ゲイン調整処理(S11)を実行する。第1ゲイン調整処理(S11)の具体的な処理内容は、後述する。
【0045】
次いで、本装置1は、第2ゲイン調整処理(S12)を実行する。第2ゲイン調整処理(S12)の具体的な処理内容は、後述する。
【0046】
●第1ゲイン調整処理
次に、第1ゲイン調整処理(S11)について説明する。
第1ゲイン調整処理(S11)は、入力チャンネルごとに設定されて記憶部40に記憶されているゲイン値(現ゲイン値)が第1基準値に一致するように現ゲイン値を調整する処理である。入力チャンネルごとの現ゲイン値は、記憶部40に記憶されている。
【0047】
図6は、第1ゲイン調整処理(S11)を示すフローチャートである。
【0048】
先ず、本装置1は、調整の対象の入力チャンネルを選択する(S111)。すなわち、本装置1は、ユーザにより押下操作された入力チャンネルボタン21に対応する入力チャンネルを調整の対象の入力チャンネルとして選択する。
【0049】
次いで、本装置1は、第1基準値に対応する表示灯61を点滅させる(S112)。また、同時に、本装置1は、選択された入力チャンネルの現ゲイン値に対応する表示灯61を点灯させる(S113)。
【0050】
図7は、第1ゲイン調整処理(S11)で使用される表示態様情報を示す模式図である。
同図は、ゲイン値と、表示灯61を特定する情報と、表示灯61の表示態様と、が記憶部40に関連付けて記憶されていることを示す。
【0051】
ここで、
図3に示されるように、表示灯61を特定する情報は、「1」が第1表示灯61a、「2」が第2表示灯61b、「3」が第3表示灯61c、「4」が第4表示灯61d、「5」が第5表示灯61e、「6」が第6表示灯61f、「7」が第7表示灯61g、「8」が第8表示灯61h、「9」が第9表示灯61i、「10」が第10表示灯61j、「11」が第11表示灯61k、「12」が第12表示灯61l、「13」が第13表示灯61m、を示す。以下、特に特定の表示灯を説明するものではない場合、同表示灯は、単に「表示灯61」と示す。
【0052】
また、同図は、1個の表示灯61に、複数のゲイン値(13個の表示灯61a,・・・,61mのうち、第1表示灯61aは4つのゲイン値、その他の表示灯61b,・・・,61mは3つのゲイン値)と、各ゲイン値に応じた表示態様と、が対応することを示す。すなわち、例えば、第5表示灯61e(
図7の表示灯「5」)の表示態様は、ゲイン値が「+34dB」のとき「ディマー1点灯」で、ゲイン値が「+35dB」のとき「ディマー2点灯」で、ゲイン値が「+36dB」のとき「点灯」である。ディマーは、表示灯61の調光された明るさである。「ディマー1点灯」では表示灯61が調光された明るさb1で点灯し、「ディマー2点灯」では調光された明るさb2で点灯し、「点灯」では調光されない明るさb3で点灯する。各明るさb1-b3の関係は、b1<b2<b3の関係である。つまり、表示灯61の表示態様は、対応するゲイン値(設定値)に応じて異なる。
【0053】
なお、1個の表示灯に対応する複数のゲイン値と各ゲイン値に応じた表示態様とは、ディマー点灯に限られない。すなわち、例えば、1個の表示灯に対応する複数のゲイン値と各ゲイン値に応じた表示態様とは、表示灯の点灯色をゲイン値に応じてそれぞれ異なる色に点灯させてもよい。
【0054】
さらに、同図は、第1基準値が「+40dB」であることを示す。また、同図は、第1基準値「+40dB」に対応する「第7表示灯61g」の表示態様が、現ゲイン値が第1基準値に一致するときは「点灯」であり、現ゲイン値が第1基準値以外のときは「点滅」であることを示す。すなわち、第1基準値に対応する第7表示灯61gの表示態様は、後述するように、現ゲイン値が第1基準値に一致するまで「点滅」を繰り返し、現ゲイン値が第1基準値に一致すると「点灯」に変わる。本装置1のユーザは、複数の表示灯61a,・・・,61mのうち、点滅している第7表示灯61gが点灯に変わることで、現ゲイン値が第1基準値に一致したこと、つまり、第1ゲイン調整処理におけるゲイン値の調整が完了したことを把握することができる。
【0055】
ここで、例えば、現ゲイン値に対応する表示灯61が「第5表示灯61e」のとき、13個の表示灯61のうち現ゲイン値より小さいゲイン値に対応する「第1表示灯61a」「第2表示灯61b」「第3表示灯61c」「第4表示灯61d」それぞれの表示態様も「点灯」である。現ゲイン値に対応する第5表示灯61eの表示態様は、現ゲイン値の値に応じて、ディマー1点灯、ディマー2点灯、点灯、のいずれかである。
【0056】
また、13個の表示灯61のうち、現ゲイン値に対応する表示灯61と、現ゲイン値より小さいゲイン値に対応する表示灯61と、第1基準値に対応する表示灯61と、を除くその他の表示灯61の表示態様は、「消灯」である。すなわち、例えば、現ゲイン値に対応する表示灯61が「第5表示灯61e」で、第1基準値に対応する表示灯61が「第7表示灯61g」のとき、「第6表示灯61f」「第8表示灯61h」「第9表示灯61i」「第10表示灯61j」「第11表示灯61k」「第12表示灯61l」「第13表示灯61m」それぞれの表示態様は、「消灯」である。
【0057】
図8は、第1ゲイン調整処理(S11)中に、表示部60に表示される表示結果の模式図である。同図において、表示灯61の表示態様のうち、「点灯」は、黒表示、「消灯」は、白抜き表示、「点滅」は、黒表示の周縁のみ白抜きにした表示としてある(以下、同じ。)。
同図は、現ゲイン値が+36dBで、第1表示灯61aから第5表示灯61eまでが点灯し、第1基準値に対応する第7表示灯61gが点滅していることを示す。すなわち、同図は、現ゲイン値と第1基準値とが一致していないこと、具体的には、現ゲイン値が第1基準値に達していないことを示す。
【0058】
図6に戻る。
次いで、本装置1は、ユーザによる調整ダイヤル51の調整操作に応じて現ゲイン値を調整(変更)する(S114)。このとき、ユーザは、調整ダイヤル51を
図3において時計回り(以下、同じ。)に回転させて現ゲイン値を調整する。
【0059】
次いで、本装置1は、調整後の現ゲイン値に対応する表示灯61を点灯させる(S115)。
【0060】
次いで、本装置1は、現ゲイン値と第1基準値とが一致したか否かを判断する(S116)。
【0061】
図9は、第1ゲイン調整処理(S11)中に、表示部60に表示される表示結果の別の模式図である。
同図は、現ゲイン値が+39dBで、第1表示灯61aから第6表示灯61fまでが点灯し、第1基準値に対応する第7表示灯61gが点滅していることを示す。すなわち、同図は、現ゲイン値と第1基準値とが一致していないこと、具体的には、未だ現ゲイン値が第1基準値に達していないことを示す。
【0062】
図6に戻る。
現ゲイン値と第1基準値とが一致していないと判断されたとき(S116の「No」)、本装置1は、現ゲイン値と第1基準値とが一致するまでユーザの調整操作に応じて現ゲイン値を再度調整する(S114)。このとき、ユーザは、調整ダイヤル51を時計回りに回転させて現ゲイン値を調整する。
【0063】
図10は、第1ゲイン調整処理(S11)中に、表示部60に表示される表示結果のさらに別の模式図である。
同図は、現ゲイン値が+45dBで、第1表示灯61aから第6表示灯61fまでと、第8表示灯61hと、が点灯し、第1基準値に対応する第7表示灯61gが点滅していることを示す。すなわち、同図は、現ゲイン値と第1基準値とが一致していないことを示し、具体的には、現ゲイン値が第1基準値を超えていることを示す。
【0064】
図6に戻る。
現ゲイン値と第1基準値とが一致していないと判断されたとき(S116の「No」)、本装置1は、一致するまでユーザの調整操作に応じて現ゲイン値を再度調整する(S114)。このとき、ユーザは、調整ダイヤル51を反時計回りに回転させて現ゲイン値を調整する。
【0065】
図11は、第1ゲイン調整処理
(S11)中に、表示部60に表示される表示結果のさらに別の模式図である。
同図は、現ゲイン値が+40dBであり、第1表示灯61aから第7表示灯61gまでが点灯していることを示す。すなわち、同図は、現ゲイン値と第1基準値とが一致していることを示す。
【0066】
図6に戻る。
現ゲイン値と第1基準値とが一致していると判断されたとき(S116の「Yes」)、本装置1は、点滅していた第1基準値に対応する第7表示灯61gを点灯させる(S117)。第1基準値に一致した現ゲイン値は、ユーザによる確定操作、例えば、調整ダイヤル51の押下操作に基づいて、選択された入力チャンネルのゲイン値として記憶部40に記憶される。
【0067】
●第2ゲイン調整処理
次に、第2ゲイン調整処理(S12)について説明する。
第2ゲイン調整処理(S12)は、設定対象の入力チャンネルに接続された入力機器からの音声信号レベルが第2基準値に一致するように第1ゲイン調整処理(S11)で調整されて記憶部40に記憶された入力チャンネルごとのゲイン値を調整する処理である。
【0068】
図12は、第2ゲイン調整処理(S12)を示すフローチャートである。
【0069】
先ず、本装置1は、調整の対象の入力チャンネルを選択する(S121)。すなわち、本装置1は、ユーザにより押下操作された入力チャンネルボタン21に対応する入力チャンネルを調整の対象の入力チャンネルとして選択する。
【0070】
なお、入力チャンネルの選択は、第1ゲイン調整処理の後に続けて同じ入力チャンネルに対する第2ゲイン調整処理が実行される場合、省略される。
【0071】
次いで、本装置1は、第2基準値に対応する表示灯61を点滅させる(S122)。また、同時に、本装置1は、選択された入力チャンネルに接続された入力機器からの入力信号の音声信号レベル(現音声信号レベル)に対応する表示灯61を点灯させる(S123)。ここで、本装置1は、入力機器からの入力信号がないとき、第1表示灯61aのみ点灯させる。
【0072】
図13は、第2ゲイン調整処理(S12)で使用される表示態様情報を示す模式図である。
同図は、音声信号レベルと、表示灯61を特定する情報と、表示灯61の表示態様と、が記憶部40に関連付けて記憶されていることを示す。
【0073】
また、同図は、1個の表示灯61に、複数の範囲の音声信号レベル(ただし、13個の表示灯61a,・・・,61mのうち、第1表示灯61aと第7表示灯61gと第13表示灯61mとは、1つの範囲の音声信号レベル)と、各音声信号レベルの範囲に応じた表示態様と、が対応することを示す。すなわち、例えば、第5表示灯61e(
図13の表示灯「5」)の表示態様は、音声信号レベルが「-29dBFS~-28dBFS」のとき「ディマー1点灯」で、音声信号レベルが「-28dBFS~-26dBFS」のとき「ディマー2点灯」で、音声信号レベルが「-26dBFS~-25dBFS」のとき「点灯」である。つまり、表示灯61の表示態様は、対応する音声信号レベル(設定値)に応じて異なる。
【0074】
なお、1個の表示灯に対応する複数の範囲の音声信号レベルと各音声信号レベルの範囲に応じた表示態様とは、ディマー点灯に限られない。すなわち、1個の表示灯に対応する複数の範囲の音声信号レベルと各音声信号レベルの範囲に応じた表示態様とは、表示灯の点灯色を音声信号レベルに応じてそれぞれ異なる色に点灯させてもよい。
【0075】
さらに、同図は、第2基準値が「-22dBFS~-18dBFS」であることを示す。また、第2基準値「-22dBFS~-18dBFS」に対応する「第7表示灯61g」の表示態様は、調整中の音声信号レベル(現音声信号レベル)が第2基準値に一致するときは「点灯」であり、現音声信号レベルが第2基準値以外のときは「点滅」であることを示す。すなわち、第2基準値に対応する第7表示灯61gの表示態様は、後述するように、現音声信号レベルが第2基準値に一致するまで「点滅」を繰り返し、現音声信号レベルが第2基準値に一致すると「点灯」に変わる。本装置1のユーザは、複数の表示灯61a,・・・,61mのうち、点滅している第7表示灯61gが点灯に変わることで、現音声信号レベルが第2基準値に一致したこと、つまり、第2ゲイン調整処理におけるゲイン値の調整が完了したことを把握することができる。
【0076】
ここで、例えば、現音声信号レベルに対応する表示灯61が「第5表示灯61e」のとき、13個の表示灯61のうち現音声信号レベルより小さい音声信号レベルに対応する「第1表示灯61a」「第2表示灯61b」「第3表示灯61c」「第4表示灯61d」それぞれの表示態様も「点灯」である。現音声信号レベルに対応する第5表示灯61eの表示態様は、現音声信号レベルに応じて、ディマー1点灯、ディマー2点灯、点灯、のいずれかである。
【0077】
また、13個の表示灯61のうち、現音声信号レベルに対応する表示灯61と、現音声信号レベルより小さい音声信号レベルに対応する表示灯61と、第2基準値に対応する表示灯61と、を除くその他の表示灯61の表示態様は、「消灯」である。すなわち、例えば、現音声信号レベルに対応する表示灯61が「第5表示灯61e」で、第2基準値に対応する表示灯61が「第7表示灯61g」のとき、「第6表示灯61f」「第8表示灯61h」「第9表示灯61i」「第10表示灯61j」「第11表示灯61k」「第12表示灯61l」「第13表示灯61m」それぞれの表示態様は、「消灯」である。
【0078】
図12に戻る。
次いで、本装置1には、入力機器から音声信号が入力される(S124)。
【0079】
次いで、本装置1は、入力された音声信号の現音声信号レベルに対応する表示灯61を点灯させる(S125)。
【0080】
次いで、本装置1は、ユーザの調整操作に応じて現ゲイン値を調整する(S126)。
【0081】
次いで、本装置1は、調整後の現ゲイン値の音声信号の現音声信号レベルに対応する表示灯61を点灯させる(S127)。
【0082】
次いで、本装置1は、現音声信号レベルと第2基準値とが一致したか否かを判断する(S128)。
【0083】
図14は、第2ゲイン調整処理(S12)中に、表示部60に表示される表示結果の模式図である。
同図は、現音声信号レベルが-23dBFS~-22dBFSの範囲内で、第1表示灯61aから第6表示灯61fまでが点灯し、第2基準値に対応する第7表示灯61gが点滅していることを示す。すなわち、同図は、現音声信号レベルと第2基準値とが一致していないこと、具体的には、現音声信号レベルが第2基準値に達していないことを示す。
【0084】
図12に戻る。
現音声信号レベルと第2基準値とが一致していないと判断されたとき(S128の「No」)、本装置1は、現音声信号レベルと第2基準値とが一致するまでユーザの調整操作に応じて現ゲイン値を再度調整する(S126)。このとき、ユーザは、調整ダイヤル51を時計回りに回転させて現音声信号レベルを調整する。
【0085】
図15は、第2ゲイン調整処理
(S12)中に、表示部60に表示される表示結果の別の模式図である。
同図は、現音声信号レベルが-22dBFS~-18dBFSの範囲内で、第1表示灯61aから第7表示灯61gまでが点灯していることを示す。すなわち、同図は、現音声信号レベルと第2基準値とが一致していることを示す。
【0086】
図12に戻る。
現音声信号レベルと第2基準値とが一致していると判断されたとき(S128の「Yes」)、本装置1は、点滅していた第2基準値に対応する第7表示灯61gを点灯させる(S129)。調整された現ゲイン値は、ユーザによる確定操作、例えば、調整ダイヤル51の押下操作に基づいて、選択された入力チャンネルのゲイン値として記憶部40に記憶される。
【0087】
●レベル調整処理
次に、レベル調整処理(S2)について説明する。
レベル調整処理(S2)は、入力チャンネルごと、および、出力チャンネルごとのボリューム値(音声信号のレベル値)を調整する処理である。
【0088】
図16は、レベル調整処理(S2)を示すフローチャートである。
【0089】
先ず、本装置1は、入力レベル調整処理(S21)を実行する。入力レベル調整処理の具体的な処理内容は、後述する。
【0090】
次いで、本装置1は、出力レベル調整処理(S22)を実行する。出力レベル調整処理の具体的な処理内容は、後述する。
【0091】
●入力レベル調整処理
次に、入力レベル調整処理(S21)について説明する。
入力レベル調整処理(S21)は、入力レベル値が第3基準値に一致するように、入力チャンネルごとに設定されて記憶部40に記憶されているボリューム値(現入力レベル値)を調整する処理である。
【0092】
図17は、入力レベル調整処理(S21)を示すフローチャートである。
【0093】
先ず、本装置1は、調整の対象の入力チャンネルを選択する(S211)。すなわち、本装置1は、ユーザにより押下された入力チャンネルボタン21に対応する入力チャンネルを調整の対象の入力チャンネルとして選択する。
【0094】
次いで、本装置1は、第3基準値に対応する表示灯61を点滅させる(S212)。また、同時に、本装置1は、選択された入力チャンネルの現入力レベル値に対応する表示灯61を点灯させる(S213)。
【0095】
図18は、入力レベル調整処理(S21)で使用される表示態様情報を示す模式図である。
同図は、入力レベル値と、表示灯61を特定する情報と、表示灯61の表示態様と、が記憶部40に関連付けて記憶されていることを示す。
【0096】
また、同図は、1個の表示灯61に、複数の入力レベル値(13個の表示灯61a,・・・,61mのうち、第1表示灯61aは4つの入力レベル値、その他の表示灯61b,・・・,61mは3つの入力レベル値)と、各入力レベル値に応じた表示態様と、が対応することを示す。すなわち、例えば、第5表示灯61e(
図18の表示灯「5」)の表示態様は、入力レベル値が「-26dBu」のとき「ディマー1点灯」で、入力レベル値が「-24dBu」のとき「ディマー2点灯」で、入力レベル値が「-22dBu」のとき「点灯」である。つまり、表示灯61の表示態様は、対応する入力レベル値(設定値)に応じて異なる。
【0097】
なお、1個の表示灯に対応する複数の入力レベル値と各入力レベル値に応じた表示態様とは、ディマー点灯に限られない。すなわち、1個の表示灯に対する複数の入力レベル値と各入力レベル値に応じた表示態様とは、表示灯の点灯色を入力レベル値に応じてそれぞれ異なる色に点灯させてもよい。
【0098】
さらに、同図は、第3基準値が「0dBu」であることを示す。また、第3基準値「0dBu」に対応する「第7表示灯61g」の表示態様は、調整中の入力レベル値(現入力レベル値)が第3基準値に一致するときは「点灯」であり、現入力レベル値が第3基準値以外のときは「点滅」であることを示す。すなわち、第3基準値に対応する第7表示灯61gの表示態様は、後述するように、現入力レベル値が第3基準値に一致するまで「点滅」を繰り返し、現入力レベル値が第3基準値に一致すると「点灯」に変わる。本装置1のユーザは、複数の表示灯61a,・・・,61mのうち、点滅している第7表示灯61gが点灯に変わることで、現入力レベル値が第3基準値に一致したこと、つまり、入力レベル調整処理における入力レベル値の調整が完了したことを把握することができる。
【0099】
ここで、例えば、現入力レベル値に対応する表示灯61が「第5表示灯61e」のとき、13個の表示灯61のうち現入力レベル値より小さい入力レベル値に対応する「第1表示灯61a」「第2表示灯61b」「第3表示灯61c」「第4表示灯61d」それぞれの表示態様も「点灯」である。現入力レベル値に対応する第5表示灯61eの表示態様は、現入力レベル値に応じて、ディマー1点灯、ディマー2点灯、点灯、のいずれかである。
【0100】
また、13個の表示灯61のうち、現入力レベル値に対応する表示灯61と、現入力レベル値より小さい入力レベル値に対応する表示灯61と、第3基準値に対応する表示灯61と、を除くその他の表示灯61の表示態様は、「消灯」である。すなわち、例えば、現入力レベル値に対応する表示灯61が「第5表示灯61e」で、第3基準値に対応する表示灯61が「第7表示灯61g」のとき、「第6表示灯61f」「第8表示灯61h」「第9表示灯61i」「第10表示灯61j」「第11表示灯61k」「第12表示灯61l」「第13表示灯61m」それぞれの表示態様は、「消灯」である。
【0101】
図17に戻る。
次いで、本装置1は、ユーザの調整操作に応じて現入力レベル値を調整する(S214)。
【0102】
次いで、本装置1は、調整後の現入力レベル値に対応する表示灯61を点灯させる(S215)。
【0103】
次いで、本装置1は、現入力レベル値と第3基準値とが一致したか否かを判断する(S216)。
【0104】
現入力レベル値と第3基準値とが一致していないと判断されたとき(S216の「No」)、本装置1は、一致するまでユーザの調整操作に応じて現入力レベル値を再度調整する(S214)。
【0105】
現入力レベル値と第3基準値とが一致していると判断されたとき(S216の「Yes」)、本装置1は、点滅していた第3基準値に対応する第7表示灯61gを点灯させる(S217)。第3基準値に一致した現入力レベル値は、ユーザによる確定操作、例えば、調整ダイヤル51の押下操作に基づいて、選択された入力チャンネルの入力レベル値として記憶部40に記憶される。
【0106】
●出力レベル調整処理
次に、出力レベル調整処理(S22)について説明する。
出力レベル調整処理(S22)は、出力レベル値が第4基準値に一致するように、出力チャンネルごとに設定されて記憶部40に記憶されているボリューム値(現出力レベル値)を調整する処理である。
【0107】
図19は、出力レベル調整処理(S22)を示すフローチャートである。
【0108】
先ず、本装置1は、調整の対象の出力チャンネルを選択する(S221)。すなわち、本装置1は、ユーザにより押下された出力チャンネルボタン71に対応する出力チャンネルを調整の対象の出力チャンネルとして選択する。
【0109】
次いで、本装置1は、第4基準値に対応する表示灯61を点滅させる(S222)。また、同時に、本装置1は、選択された出力チャンネルの現出力レベル値に対応する表示灯61を点灯させる(S223)。
【0110】
図20は、出力レベル調整処理(S21)で使用される表示態様情報を示す模式図である。
同図は、出力レベル値と、表示灯61を特定する情報と、表示灯61の表示態様と、が記憶部40に関連付けて記憶されていることを示す。
【0111】
また、同図は、1個の表示灯61に、複数の出力レベル値(13個の表示灯61a,・・・,61mのうち、第1表示灯61aは4つの出力レベル値、その他の表示灯61b,・・・,61mは3つの出力レベル値)と、各出力レベル値に応じた表示態様と、が対応することを示す。すなわち、例えば、第5表示灯61e(
図20の表示灯「5」)の表示態様は、出力レベル値が「-26dBu」のとき「ディマー1点灯」で、出力レベル値が「-24dBu」のとき「ディマー2点灯」で、出力レベル値が「-22dBu」のとき「点灯」である。つまり、表示灯61の表示態様は、対応する出力レベル値(設定値)に応じて異なる。
【0112】
なお、1個の表示灯に対応する複数の出力レベル値と各出力レベル値に応じた表示態様とは、ディマー点灯に限られない。すなわち、1個の表示灯に対する複数の出力レベル値と各出力レベル値に応じた表示態様とは、表示灯の点灯色を出力レベル値に応じてそれぞれ異なる色に点灯させてもよい。
【0113】
さらに、同図は、第4基準値が「0dBu」であることを示す。また、同図は、第4基準値「0dBu」に対応する「第7表示灯61g」の表示態様が、調整中の出力レベル値(現出力レベル値)が第4基準値に一致するときは「点灯」であり、現出力レベル値が第4基準値以外のときは「点滅」であることを示す。すなわち、第4基準値に対応する第7表示灯61gの表示態様は、後述するように、現出力レベル値が第3基準値に一致するまで「点滅」を繰り返し、現出力レベル値が第4基準値に一致すると「点灯」に変わる。本装置1のユーザは、複数の表示灯61a,・・・,61mのうち、点滅している第7表示灯61gが点灯に変わることで、現出力レベル値が第4基準値に一致したこと、つまり、出力レベル調整処理における出力レベル値の調整が完了したことを把握することができる。
【0114】
ここで、例えば、現出力レベル値に対応する表示灯61が「第5表示灯61e」のとき、13個の表示灯61のうち現出力レベル値より小さい出力レベル値に対応する「第1表示灯61a」「第2表示灯61b」「第3表示灯61c」「第4表示灯61d」それぞれの表示態様も「点灯」である。現出力レベル値に対応する第5表示灯61eの表示態様は、現出力レベル値に応じて、ディマー1点灯、ディマー2点灯、点灯、のいずれかである。
【0115】
また、13個の表示灯61のうち、現出力レベル値に対応する表示灯61と、現出力レベル値より小さい出力レベル値に対応する表示灯61と、第4基準値に対応する表示灯61と、を除くその他の表示灯61の表示態様は、「消灯」である。すなわち、例えば、現出力レベル値に対応する表示灯61が「第5表示灯61e」で、第4基準値に対応する表示灯61が「第7表示灯61g」のとき、「第6表示灯61f」「第8表示灯61h」「第9表示灯61i」「第10表示灯61j」「第11表示灯61k」「第12表示灯61l」「第13表示灯61m」それぞれの表示態様は、「消灯」である。
【0116】
図19に戻る。
次いで、本装置1は、ユーザの調整操作に応じて現出力レベル値を調整する(S224)。
【0117】
次いで、本装置1は、調整後の現出力レベル値に対応する表示灯61を点灯させる(S225)。
【0118】
次いで、本装置1は、現出力レベル値と第4基準値とが一致したか否かを判断する(S226)。
【0119】
現出力レベル値と第4基準値とが一致していないと判断されたとき(S226の「No」)、本装置1は、一致するまでユーザの調整操作に応じて現出力レベル値を再度調整する(S224)。
【0120】
現出力レベル値と第4基準値とが一致していると判断されたとき(S226の「Yes」)、本装置1は、点滅していた第4基準値に対応する第7表示灯61gを点灯させる(S227)。第4基準値に一致した現出力レベル値は、ユーザによる確定操作、例えば、調整ダイヤル51の押下操作に基づいて、選択された出力チャンネルの出力レベル値として記憶部40に記憶される。
【0121】
このように、設定値と基準値とが一致していないとき、基準値に対応する表示灯61の表示態様は「点滅」であり、同表示灯61以外の表示灯の表示態様は「消灯」「ディマー1点灯」「ディマー2点灯」「点灯」のいずれかである。一方、設定値と基準値とが一致しているとき、基準値に対応する表示灯61の表示態様は「点灯」であり、基準値よりも低い値(設定値)に対応する表示灯61の表示態様は「点灯」であり、基準値よりも高い値(設定値)に対応する表示灯61の表示態様は「消灯」である。つまり、各表示灯61それぞれの表示態様は、各表示灯61に対応する設定値と、基準値と、の関係に応じて異なる。
【0122】
●まとめ●
以上説明した実施の形態によれば、本装置1は、調整中のパラメータの設定値と、同設定値の基準値と、を同時に表示部60に表示する。そのため、本装置1は、調整中のパラメータの設定値と、同設定値の基準値と、の差がどの程度あるのかをユーザに確認させながらパラメータの設定値を調整することができる。
【0123】
また、本装置1は、調整中のパラメータの設定値が基準値に一致するまで非特定表示態様の表示結果を表示し、調整中のパラメータの設定値が基準値に一致したときのみ、特定表示態様の表示結果を表示する。そのため、本装置1のユーザは、本装置1の表示結果が非特定表示態様から特定表示態様に変わることで、パラメータの設定値の調整が完了したことを把握することができる。
【0124】
さらに、本装置1は、「ゲイン調整処理(第1ゲイン調整処理、第2ゲイン調整処理)」と「レベル調整処理(入力レベル調整処理、出力レベル調整処理)」のいずれの調整処理対象においても、共通の表示部60を使用する。そのため、本装置1は、調整処理の対象ごとに異なる目盛などの表示手段を備える必要がない。その結果、本装置1は、視認性や意匠性に優れる。
【0125】
なお、以上説明した実施の形態において、調整処理の対象は、「ゲイン調整処理(第1ゲイン調整処理、第2ゲイン調整処理)」と「レベル調整処理(入力レベル調整処理、出力レベル調整処理)」である。しかし、本装置において、調整処理の対象は、これらに限られず、例えば、イコライザの調整処理を行うようにしてもよい。この場合、本装置は、イコライザの調整処理においても、「ゲイン調整処理」や「レベル調整処理」と共通の表示灯61を有する表示部60を使用することができる。
【0126】
また、以上説明した実施の形態において、表示部60は、13個の表示灯で構成される。しかし、これに代えて、表示部は、12個以下の表示灯、または、14個以上の表示灯で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 信号処理装置
11 モードボタン
20 入力部
21 入力チャンネルボタン
30 増幅部
40 記憶部
50 調整部
51 調整ダイヤル
60 表示部
61 表示灯
61a 第1表示灯
61b 第2表示灯
61c 第3表示灯
61d 第4表示灯
61e 第5表示灯
61f 第6表示灯
61g 第7表示灯
61h 第8表示灯
61i 第9表示灯
61j 第10表示灯
61k 第11表示灯
61l 第12表示灯
61m 第13表示灯
70 出力部
71 出力チャンネルボタン
A 入力部からの入力信号のレベル
G ゲイン値
IL 入力チャンネルに設定された入力レベル値
OL 出力チャンネルに設定された出力レベル値