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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】マスク温度可変器具
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020141082
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036724
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2020-09-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520322886
【氏名又は名称】北野 誠満
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北野 誠満
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-185277(JP,A)
【文献】特開2006-102145(JP,A)
【文献】中国実用新案第208446674(CN,U)
【文献】中国実用新案第206650486(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106900088(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクに装着して当該マスクの温度を変化させるマスク温度可変器具であって、
ペルチェ素子と、ペルチェ素子を密着固定するフレームと
前記フレーム及びペルチェ素子をマスク表面との間に挟んで、マスク面上への装着を補助するマスクカバーと、を有し、
前記フレームは、ペルチェ素子が固定されていない側の面を、温度変化の対象とするマスク面に着脱可能に接触して、温度変化を伝えることを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項2】
マスクに装着して当該マスクの温度を変化させるマスク温度可変器具であって、
ペルチェ素子と、ペルチェ素子を密着固定するフレームとを有し、
前記フレームは、ペルチェ素子が固定されていない側の面を、温度変化の対象とするマスク面に着脱可能に接触して、温度変化を伝え、
前記フレームは、マスク装着時に左右の頬に対応する一対の素子取付部と、これらの素子取付部を連結する連結部とを有し、
前記ペルチェ素子を一対有し、それぞれのペルチェ素子をフレームの各素子取付部に密着固定し、
前記フレームの左右端に、装着紐を接続することを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項3】
請求項1に記載のマスク温度可変器具において、
前記フレームは、マスク装着時に左右の頬に対応する一対の素子取付部と、これらの素子取付部を連結する連結部とを有し、
前記ペルチェ素子を一対有し、それぞれのペルチェ素子をフレームの各素子取付部に密着固定することを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項4】
請求項に記載のマスク温度可変器具において
前記マスクカバーは、前記フレーム及びペルチェ素子を覆うカバー本体と、カバー本体を使用者の頭部に装着する装着紐とを有することを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項5】
請求項1、2、3及びのいずれか一項に記載のマスク温度可変器具において、
前記ペルチェ素子の、フレームに密着固定されていない面に、ヒートシンクを密着固定することを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項6】
請求項に記載のマスク温度可変器具において、
前記ペルチェ素子の、フレームに密着固定されていない面に、ヒートシンクを密着固定し、
前記カバー本体のペルチェ素子を覆う位置に孔を開口し、当該孔に前記ヒートシンクを挿入することを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5及び6のいずれか一項に記載のマスク温度可変器具において、
前記ペルチェ素子のフレーム密着面側を吸熱側として、マスク冷却具を構成することを特徴とするマスク温度可変器具。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6及びのいずれか一項に記載のマスク温度可変器具において、
前記ペルチェ素子への給電を制御する制御部を備え、温度を可変とすることを特徴とするマスク温度可変器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク上に装着して当該マスクの温度を変化させる技術、特にマスク冷却に適した技術に関する。
【背景技術】
【0002】
感染予防に、着用者の鼻及び口を覆うマスクの着用が推奨される。新型コロナウィルスのような夏季にも流行する感染症予防においても、マスク着用が推奨されている。しかし、高温下でマスクすることは熱中症発症のリスクが高くなる。そのため、暑い時期でも使用できるマスクが望まれている。
【0003】
これに対して、特表2003-500178号公報には、着用者の少なくとも鼻及び口を覆う形状を有し、周縁部により輪郭が定められ、更に、外表面と、着用者の鼻及び口に隣接する内部空間を形成する内表面とを備えるフィルタ本体と、前記フィルタ本体に取り付けられ、前記フィルタ本体を着用者の皮膚に保持するよう構成される固定手段と、作動したとき前記フィルタ本体を直接通る空気流の少なくとも一部を吸引するように、前記フィルタ本体の前記外表面に形成されるファンと、を備えるフェースマスクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2003-500178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献記載のマスクは、フィルタ本体の外表面にファンが形成され、外部からマスク内に空気が取り込まれる構造となっている。しかし、気温が高い場合、温風を取り込んでしまうため、冷却性能に問題がある。また、マスクの構造上、高価なものとならざるを得ない。そのため、マスク本体を使い捨てすることには向いていない。
【0006】
本発明は、一般的なマスクを着用していても、涼しく過すことが可能となる、マスクの温度を変化させるマスク温度可変技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願によれば、マスクに装着して当該マスクの温度を変化させるマスク温度可変器具が提供される。すなわち、ペルチェ素子と、ペルチェ素子を密着固定するフレームとを有し、フレームは、ペルチェ素子が固定されていない側の面を、温度変化の対象とするマスク面に着脱可能に接触して、温度変化を伝えることを特徴とするマスク温度可変器具が提供される。
【0008】
提供される温度可変器具において、フレーム及びペルチェ素子をマスク表面との間に挟んで、マスク面上への装着を補助するマスクカバーをさらに備えることができる。マスクカバーは、フレーム及びペルチェ素子を覆うカバー本体と、カバー本体を使用者の頭部に装着する装着紐とを有する構成とすることができる。
【0009】
マスク温度可変器具において、ペルチェ素子の、フレームに密着固定されていない面に、ヒートシンクを密着固定することができる。また、カバー本体のペルチェ素子を覆う位置に孔を開口し、当該孔に前記ヒートシンクを挿入する構成とすることもできる。
【0010】
提供されるマスク温度可変器具において、フレームの左右端に、装着紐を接続する構成とすることもできる。
【0011】
また、マスク温度可変器具において、ペルチェ素子のフレーム密着面側を吸熱側として、マスク冷却具を構成することができる。
【0012】
さらに、マスク温度可変器具において、ペルチェ素子への給電を制御する制御部を備え、温度を可変とすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、マスクに装着して、当該マスクの温度を変化させることができ、例えば、冷却することができて、涼しく過すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態のマスク温度可変器具の装着状態の一例を示す説明図である。
図2図2は、マスク温度可変器具をマスクに装着する際に用いることができるマスクカバーの一例を示す正面図である。
図3図3は、図2に示すマスクカバーにマスク温度可変器具を重ねた状態の一例を示す正面図である。
図4図4は、図2に示すマスクカバーにマスク温度可変器具を重ねた状態の一例を示す背面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態のマスク温度可変器具の一部を示す正面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態のマスク温度可変器具の一部を示す平面図である。
図7図7は、本発明の実施形態において用いられるマスクカバーの一例の一部を示す断面図である。
図8図8は、カバー本体の孔に、図6に示すマスク温度可変器具のヒートシンクを挿入した状態を示す断面図である。
図9図9は、マスクカバーとマスク温度可変器具とを重ねた状態の一例をマスクカバーの外側から見た側面図である。
図10図10は、マスクカバーとマスク温度可変器具とを重ねた状態の一例をマスクカバーの内側から見た側面図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態のマスク温度可変器具とマスクカバーとを重ねた状態の一例をマスクカバーの内側から見た側面図である。
図12図12は、マスク温度可変器具をマスクに装着する際に用いることができるマスクカバーの他の例を示す正面図である。
図13図13は、マスク温度可変器具をマスクに装着する際に用いることができるマスクカバーの他の例を示す正面図である。
図14図14は、マスク温度可変器具をマスクに装着する際に用いることができるマスクカバーの他の例を示す正面図である。
図15図15は、マスク温度可変器具をマスクに装着する際に用いることができるマスクカバーの他の例を示す正面図である。
図16図16は、本発明の実施形態のマスク温度可変器具の他の例の構成を正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願が提案する発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の例では、マスク温度可変器具によりマスクを冷却する(マスク冷却具として機能する)場合を例として説明する。なお、本発明は以下に説明される各実施形態に限定されるものではない。
【0016】
始めに、本発明の実施形態のマスク温度可変器具をどのように装着するかについて、図1を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態のマスク温度可変器具の装着状態の一例を示す説明図である。図1においては、人頭模型90に、サージカルマスク等の一般的なマスク10を装着し、その上に、マスク温度可変器具20をマスクカバー40と共に装着した状態を示している。
【0017】
図1に示すように、マスク10は、フィルタとして機能するマスク本体11と、人の顔の口元及び鼻部分を覆うために、マスク本体11に固定されている装着紐12、13とを有する。マスク本体11は、装着紐12、13を用いて、人頭90に固定される。この例では、装着紐12、13としてオーバーヘッドタイプを示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、耳に掛ける耳紐であってもよい。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のマスク温度可変器具20(図中点線にて外形を示す)を、マスクカバー40(図中二点鎖線にて外形を示す)を装着補助具として、マスク本体11の外側に装着している。マスクカバー40は、マスク本体11を覆うカバー本体41と、装着紐45,46とにより構成される。カバー本体41は、装着紐45,46により人頭90に装着される。図1の例では、カバー本体41がマスク本体11をほぼ覆った状態となっている。この状態で、マスク温度可変器具20のフレーム23に固着されたペルチェ素子21に通電して、マスク本体11の外側を冷却する。カバー本体41には、通気部44が設けてあり、使用者の呼吸を妨げないように配慮してある。
【0019】
次に、図2から図4を参照して、マスクカバー40の構成の一例について説明する。カバー本体41は、装着する対象となるマスク本体11の様々な形状に対応する構造となっている。具体的には図1から図4に示すように、中央部が凸に膨らんだ形態としてある。これにより、一般的なサージカルマスク、3D構造マスク等をカバーすることができる。図2及び図3では、正面側から見て、山折線MFにより示す方向に、緩やかに山折りとなるように立体的に形成されている。一方、図4に示すように、背面側から見ると、谷折線VFにより示す方向に、緩やかに谷折りとなるように立体的に形成されている。
【0020】
マスクカバー40は、前述したように、マスク温度可変器具20をマスク本体11表面上に装着するための補助具として機能する。そのため、カバー本体41は、マスク温度可変器具20と共にマスク本体11を覆うことができる構造を有する。本実施形態では、一定の形態を維持できる素材により形成する。素材は、軽量なものが好ましい。本実施形態では、例えば、ポリエチレン等のプラスチック成型により製作している。また、クラフト紙等の紙材を使って、製作してもよい。使用態様によっては、金属材を用いることもあり得る。
【0021】
図2に示すように、カバー本体41には、正面から背面に貫通する孔42及び43が設けてある。これらの孔42,43は、マスク本体11に装着した際に、使用者の左右の頬部に相当する位置に開口するように設けてある。形状は、この例では、四辺形状である。もちろん、これに限定されない。また、中央下方部分には、マスク着用時の呼吸を楽にするための通気部44が設けてある。通気部44は、後述するように様々な形態とすることが可能である。
【0022】
カバー本体41には、左右両辺に、装着紐45及び46が設けられている。装着紐45は上部側に、装着紐46は下部側に取り付けられている。装着紐45及び46は、それぞれ一端から他端側につながっており、人頭90に嵌め込めるように形成されている。装着紐45及び46は、例えば、弾性を有する部材により構成され、伸縮可能に形成される。これにより、カバー本体41により、マスク温度可変器具20をマスク本体11に密着固定させることができる。なお、装着紐45及び46は、結ぶことができる構造であってもよい。また、バンド状の形態であってもよい。
【0023】
カバー本体41の孔42、43には、マスク温度可変器具20のペルチェ素子21に取り付けられているヒートシンク22が、カバー本体41の背面側から挿入される。ペルチェ素子21とヒートシンク22とは、フレーム23(図3において破線にて示す)に搭載されている。ヒートシンク22は、左右一対設けられ、それぞれ対応する孔42及び43に挿入され、この結果、ヒートシンク22は、孔42及び43において、反対側の面(カバー本体41の正面側)において、冷却が可能となる。また、マスク温度可変器具20がカバー本体41に固定される。これにより、マスク温度可変器具20は、カバー本体41に固定されて、マスクカバー40の装着紐45及び46により、マスク本体11と密着保持される。
【0024】
マスク温度可変器具20は、図3及び4に示すように、ペルチェ素子21とヒートシンク22とが一対をなして、フレーム23に取り付けられて構成される。図5及び図6に、マスク温度可変器具20の構成の一部(対の一方側)について示す。図示を省略したが、同様の構成が反対側に設けられている。フレーム23は、熱伝導性のよい材料で構成される。例えば、アルミニウム等の金属板により、左右に一対の素子取付部23aと、これらを結ぶ連結部23bとが一体的に設けられる。連結部23bは、装着時に使用者の一方の頬部から鼻梁を跨いで他方の頬部まで延在するので、予めの顔表面(特に鼻梁)に沿った曲がり部を有する形状で形成されていてもよいし、装着時に調整可能にフレキシブルに折り曲げ可能な素材で形成されていてよいし、折り曲げた状態を維持可能な素材で形成されていてもよい。連結部23bのマスク本体11側の面に緩衝材23cが貼り付けられる。緩衝材23cは、熱伝導性がよく、衝撃吸収性のよい素材、例えば、シリコンラバー等により構成される。一方、連結部23bのカバー本体41側の面に、例えば、断熱塗料により構成される断熱被覆23dが設けられる。断熱被覆23dは、一例を挙げれば、微小ビーズを含む樹脂塗料、例えば、アクリル樹脂塗料を塗布ことにより形成される。
【0025】
図6に示すように、マスク温度可変器具20は、ペルチェ素子21が配置される位置において、マスク本体11側から見て、緩衝材23cと、フレーム23(素子取付部23a及び連結部23b)と、ペルチェ素子21と、ヒートシンク22とが重なるように設けられる。ペルチェ素子21と素子取付部23a、及び、ペルチェ素子21とヒートシンク22は、それぞれ熱伝導性接着剤により固着する。これにより、それぞれの間での熱的損失を減らすことができる。熱伝導性接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂に、アルミナ、アルミニウム粉末等の熱伝導性フィラーを混入したものを用いることができる。
【0026】
図7に、カバー本体41の一部の断面を示す。このカバー本体41には、前述したように、孔42が設けられている。この孔42に、図6に示すような、マスク温度可変器具20のヒートシンク22を挿入する。図8に、挿入した状態を示す。この例では、マスク温度可変器具20は、図8に示すように、ヒートシンク22が、孔42を介して、カバー本体41の外側を臨む状態となっている。この例では、突出している。従って、ペルチェ素子21からの放熱を、ヒートシンク22を介して外部に放出することができる。
【0027】
なお、図3及び図8に示す例では、ヒートシンク22が外部にむき出しとなる。そのため、デザイン性を考慮して、孔42の外側において、ルーバー等によりヒートシンク22を覆う構成としてもよい。また、孔42の外側において、小型送風機を追加して排熱を効果的に行うようにしてもよい。
【0028】
次に、実施形態のマスク温度可変器具の作動に関わる構成について、図9及び図10を参照して説明する。マスクカバー40とマスク温度可変器具20とを重ねた状態の一例をマスクカバーの外側から見ると、図9に示すように見える。これは、正面側から見たカバー本体41の右外側を示している。一方、マスクカバー40とマスク温度可変器具20とを重ねた状態の一例をマスクカバーの内側から見ると、図10に示すように見える。これは、背面側から見たカバー本体41の右内側を示している。
【0029】
図9及び図10に示すように、本実施形態のマスク温度可変器具20は、電源部60に接続するUSB端子28と、このUSB端子28とケーブル27を介して接続されるUSBコネクタ26と、USBコネクタ26の分岐ポート(図示せず)に接続され、左右一対の対応するペルチェ素子21の接続部24に接続されるケーブル25とを有する。接続部24は、ペルチェ素子21の電極と接続され、かつ、例えば、ハンダ付け等により外部のケーブル25の一端と接続する構成となっている。ケーブル25は、本実施形態では、カバー本体41の上部両端に取り付けられる装着紐45に沿って引き出される。
【0030】
電源部60は、USBの規格に対応して電力が供給できるものが用いられる。例えば、専用電源装置のほか、モバイルバッテリ、電池ボックス、コンピュータ等を電源として利用することができる。
【0031】
前述したように、マスク本体11に密着された本実施形態のマスク温度可変器具20を使用するには、図9又は図10に示すUSB端子28を電源部60に接続する。これにより、例えば、1Aから1.5A程度の電流を、ケーブル25及び接続部24を介して、一対のペルチェ素子21に給電する。その結果、ペルチェ素子21のマスク側の面が吸熱面となって、フレーム23の素子取付部23aを介してマスク本体11を冷却する。また、一体となっている連結部23bを介して使用者の鼻梁付近に位置するマスク本体11を冷却する。一方、ペルチェ素子21の反対側の面は、放熱面となり、この面から放出される熱を、ヒートシンク22を介して、カバー本体41の外部に放熱する。
【0032】
図11に、本発明の他の実施形態を示す。図11は、本発明の他の実施形態のマスク温度可変器具とマスクカバーとを重ねた状態の一例をマスクカバーの内側から見た側面図である。図11に示す実施施形態は、電源部60からの電力を制御して、ペルチェ素子21に供給する電流を増減変化させて、温度変化を可変とした例である。電流を増加すると吸熱量が増加し、電流を減少させると吸熱量が減少する。なお、極性を反転する機能を設けることにより、ペルチェ素子21での吸熱面と放熱面とを切り替えることができる。これにより、マスク本体に対する温度可変を、冷却モードから加熱モードに切り替えることが可能となる。なお、制御部29は、電源部60を内蔵していてもよい。
【0033】
図12から図15に、マスクカバー40の変形例、特に、通気部の形態の変形例を示す。図12に示す例は、下方を開けた状態とした通気部47を設けたもので、通気量を増やすことが可能である。図13に示す例は、カバー本体41の高さを少なくして、下方側が大きく空くようにして通気部48としたものである。図14に示す例は、カバー本体41の下部側に、スリット孔を複数本設けて通気部49としたものである。図15に示す例は、カバー本体41の下部側に、貫通孔を複数設けて通気部50としたものである。
【0034】
図16は、マスク温度可変器具20の他の実施形態を示す。この実施形態では、マスクカバー40を用いずに、マスク本体11上に、ペルチェ素子を、フレームを介して装着することができる構成となっている。基本的な構造は、図5から図8に示すマスク温度可変器具と同様の構造である。また、図示していないが、接続部24にケーブル25を介して給電する点についても、同様である。相違点は、フレーム23の両端部に装着紐45及び46を取り付けて、直接頭に装着できるようにした点である。
【0035】
なお、左右の孔42の距離及び連結部23bの長さは、図示した例に限られない。また、左右の孔42の高さ位置も、図示した例に限られない。例えば、装着時に左右のペルチェ素子21が眼窩の下方かつ鼻の横に位置するように構成されてもよい。
【0036】
以上に述べたように、本発明の各実施形態は、ペルチェ素子によりマスクを冷却することができるので、マスクを介して人の頬部分が冷却され、暑い時期でも蒸れにくく、マスクを快適に装着することができる。また、ファンのような可動部がなく、軽量であり、静音である。
【符号の説明】
【0037】
10…マスク、11…マスク本体、12,13…装着紐、
20…マスク温度可変器具、21…ペルチェ素子、22…ヒートシンク、23…フレーム、23a…素子取付部、23b…連結部、23c…緩衝材、23d…断熱被覆、24…接続部、25…ケーブル、
26…USBコネクタ、27…ケーブル、28…USB端子、29…制御部、
40…マスクカバー、41…カバー本体、42,43…孔、44,47,48,49,50…通気部、45,46…装着紐、
60…電源部、
90…人頭模型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16