(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】識別部材、識別部材集合体、識別部材付ケーブルおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220602BHJP
H01B 7/36 20060101ALI20220602BHJP
H02G 1/06 20060101ALN20220602BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H01B7/36 B
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2022025438
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399028078
【氏名又は名称】ハイソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 康修
【審査官】須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211928915(CN,U)
【文献】実開昭48-017675(JP,U)
【文献】米国特許第05115586(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0214705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/36
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルに取付可能な識別部材が複数連結されている識別部材集合体であって、
複数の前記識別部材は、底部の両側に側壁が延在するものであり、
両側の前記側壁の表面は、色彩
、文字および形状の内、色彩のみが両側で異なっており、
前記識別部材の両側の前記側壁には、
同一形状の凹部と、連結される他の識別部材の凹部に嵌合可能な凸部が形成されて
おり、
前記識別部材の各々は、前記ケーブルの軸回りに180度回転させた状態でも、他の前記識別部材に連結可能である
ことを特徴とする識別部材集合体。
【請求項2】
請求項1に記載の識別部材集合体であって、
連結された複数の前記識別部材の側面は、前記両側で異なる色彩が組み合わされて、二進数を表現している
ことを特徴とする識別部材集合体。
【請求項3】
請求項1に記載の識別部材
集合体であって、
両側の前記側壁の表面は、白および黒で二値化可能な明度の相違と、互いの色相が補色の関係との何れか一方または双方を具備している
ことを特徴とする識別部材
集合体。
【請求項4】
ケーブルと、
前記ケーブルの端部に取り付けられた複数の識別部材とを備え、
前記複数の識別部材は、底部の両側に側壁が延在するものであり、
両側の前記側壁の表面は、色彩、文字
および形状
の内、色彩のみが両側で異なっており、
前記識別部材の両側の前記側壁には、
同一形状の凹部と、連結される他の識別部材の凹部に嵌合可能な凸部が形成されて
おり、
前記識別部材の各々は、任意の識別部材の一方の側壁と、連結されている他の識別部材の一方の側壁とが隣接可能に形成されているだけでなく、他方の側壁とにも隣接可能に形成されている
ことを特徴とする識別部材付ケーブル。
【請求項5】
ケーブルに連結して取付可能な識別部材であって、
前記識別部材は、底部の両側に側壁が延在するものであり、
両側の前記側壁の表面は
、色彩、文字
および形状
の内、色彩のみが両側で異なっており、
両側の前記側壁には、
同一形状の凹部と、連結される他の識別部材の凹部に嵌合可能な凸部が形成されて
おり、
前記識別部材の各々は、任意の識別部材の一方の側壁と、連結されている他の識別部材の一方の側壁とが隣接可能に形成されているだけでなく、他方の側壁とにも隣接可能に形成されている
ことを特徴とする識別部材。
【請求項6】
ケーブルに連結して取付可能な識別部材であって、
前記識別部材は、底部の両側に側壁が延在するものであり、
前記側壁には、一方の表面に数字「0」が表記されており、他方の表面に数字「1」が表記されており、
両側の前記側壁には、同一形状の凹部と、連結される他の識別部材の凹部に嵌合可能な凸部が形成されており、
前記識別部材の各々は、任意の識別部材の一方の側壁と、連結されている他の識別部材の一方の側壁とが隣接可能に形成されているだけでなく、他方の側壁とにも隣接可能に形成されている
ことを特徴とする識別部材。
【請求項7】
ケーブルと該ケーブルに連結して取り付けられた複数の識別部材とを備えた識別部材付ケーブルが複数本配列されて構成されている電子機器であって、
前記識別部材は、底部の両側に側壁が延在するものであり、
前記側壁の表面は、色彩、文字および形状の内、色彩のみが両側で異なっており、
両側の前記側壁には、同一形状の凹部と、連結される他の識別部材の凹部に嵌合可能な凸部が形成されており、
前記識別部材の各々は、任意の識別部材の一方の側壁と、連結されている他の識別部材の一方の側壁とが隣接可能に形成されているだけでなく、他方の側壁とにも隣接可能に形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器であって、
前記複数の識別部材は、連結された複数の前記識別部材の側面が前記両側で異なる色彩が組み合わされて、二進数を表現しており、
複数本の前記識別部材付ケーブルは、表現され
る前記二進数の値が一方向に変化するように配列されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器内部の配線に使用される識別部材、識別部材集合体、識別部材付ケーブルおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器では、複数の端子の各々にケーブル(電線)が接続されることが多い。このとき、ケーブルを識別するために、カラーケーブルを用いたり、ラベルをケーブルの端部に付したりすることが多い。例えば、特許文献1,2には、ケーブルに挿入可能な文字付きラベルが開示されている。特に、特許文献1には、シート状に連結された複数の文字付きラベルが開示されている。また、12芯の光ファイバケーブルの配色は、JIS X 5152「情報配線システムの計画及び施工」付属書Aに規定されている。また、数字および配色を利用したケーブルマーカーが知られている。このケーブルマーカーの配色は、JIS C 60062「抵抗器及びコンデンサの表示記号」に規定されている抵抗器の表示色(カラーコード)を転用している。
【0003】
また、非特許文献1の「単相2線式」の項目には、L(Live)を黒色の電線、N(Neutral)を白色の電線で接続する旨が記載されている。ここで、単相2線式とは、一般家庭に配電される配電方式の一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012―037853号公報(
図1,12)
【非特許文献】
【0005】
【文献】電線の色規格まとめ!どのように色分けしているの?[online],[検索日2022.01.26],インターネット<URL: https://detail-infomation.com/color-of-electric-wire/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ケーブルマーカーは、0~9の数字が付された10種類のラベルを1セットとして販売されている。したがって、使用頻度の高い数字の個数に合わせて、複数セットのケーブルマーカーを準備しておく必要があるため、使用頻度の低い数字が多数余ってしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、2種類以下の識別部材で、ケーブルを識別することできる識別部材、識別部材集合体、識別部材付ケーブルおよび電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、第1発明は、「ケーブル(200)に連結して取付可能な識別部材(103)であって、前記識別部材(103)は、底部の両側に側壁(41,42)が延在するものであり、両側の前記側壁(41,42)の表面(41a,42a)は、色彩、文字および形状の内、色彩のみが両側で異なっており、両側の前記側壁には、凹部(60)と、連結される他の識別部材の凹部(60)に嵌合可能な凸部(70)が形成されている」ことを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。以下同様。
【0009】
これによれば、予め、1種類の識別部材を準備すればよいので、使用頻度の低いラベルが多数余るようなことがない。
【0010】
また、第2発明は、ケーブル(200)に取付可能な識別部材(103)が複数連結されている識別部材集合体(160)であって、複数の前記識別部材(103)は、底部の両側に側壁(41,42)が延在するものであり、両側の前記側壁(41,42)の表面(41a,42a)は、互いに異なる色彩、文字および形状の内、色彩のみが両側で異なっており、両側の前記側壁(41,42)には、凹部(60)と、連結される他の識別部材の凹部(60)に嵌合可能な凸部(70)が形成されており、前記識別部材の各々は、前記ケーブルの軸回りに180度回転させた状態でも、他の前記識別部材に連結可能であることを特徴とする。
【0011】
また、第3発明の識別部材付ケーブル(1100)は、ケーブル(200)と、前記ケーブル(200)の端部に取り付けられた複数の識別部材(103)とを備え、前記複数の識別部材(103)は、底部の両側に側壁(41,42)が延在するものであり、両側の前記側壁(41,42)の表面(41a,42a)は、色彩、文字および形状の内、色彩のみが両側で異なっており、両側の前記側壁には、凹部(60)と、連結される他の識別部材の凹部(60)に嵌合可能な凸部(70)が形成されており、連結された複数の前記識別部材の側面は、前記互いに異なる色彩が組み合わされて、二進数を表現していることを特徴とする。
【0012】
なお、ケーブル(200)に取付可能な第1識別部材(101)と第2識別部材(102)とが連結されている識別部材集合体(150)であって、第1識別部材(101)と第2識別部材(102)とは、互いに異なる色彩、文字、または形状を具備していることを特徴とする。前記第1識別部材(101)および前記第2識別部材(102)の一方には、凹部(60)が形成されており、他方には該凹部(60)に嵌合可能な凸部(70)が形成されているようにすることもできる。
【0013】
これによれば、予め、2種類の第1識別部材および第2識別部材を準備すればよいので、使用頻度の低いラベルが多数余るようなことがない。
【0014】
また、識別部材付ケーブル(1000)は、ケーブル(200)と、前記ケーブル(200)の端部に取り付けられた複数の識別部材(101,102)とを備え、前記複数の識別部材(101,102)は、第1識別部材(101)と、該第1識別部材(101)と異なる色彩の第2識別部材(102)との何れか一方または双方を用いて構成されているようにすることもできる。
【0015】
また、本発明の電子機器(2000)は、ケーブル(200)と、該ケーブル(200)の端部に取り付けられた複数の識別部材とを備えた識別部材付ケーブルが複数本配列されて構成されている電子機器(2000)であって、前記複数の識別部材は、底部の両側に側壁が延在するものであり、前記側壁の表面は、色彩、文字および形状の内、色彩のみが両側で異なっており、前記複数の識別部材は、連結された複数の前記識別部材の側面が前記互いに異なる色彩が組み合わされて、二進数を表現しており、複数本の前記識別部材付ケーブル(1001,1002,1003)は、表現される前記二進数の値が一方向に変化するように配列されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2種類以下の識別部材で、ケーブルを識別することできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態である識別部材付きケーブルの斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態である識別部材の構造図である。
【
図3】本発明の第1実施形態である識別部材集合体の配色を示す表である。
【
図4】本発明の第2実施形態であって、識別部材付きケーブルで配線した電子機器の概念図である。
【
図5】本発明の第3実施形態である識別部材の構造図である。
【
図6】本発明の第3実施形態である識別部材付ケーブルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である識別部材付ケーブル斜視図である。X,Y,Zの方向は、矢視に従う。本実施形態では、ケーブル200の軸方向(延長方向)をY方向としている。
識別部材付ケーブル1000は、ケーブル200と、ケーブル200の端部に取り付けた識別部材集合体150とを備えている。識別部材集合体150は、二種類の識別部材(第1識別部材101,第2識別部材102)が連結されたものである。言い換えれば、識別部材付ケーブル1000は、二種類の識別部材(第1識別部材101,第2識別部材102)がケーブル200に連結挿入されたものである。なお、識別部材付ケーブル1000には、ケーブル200の先端に圧着端子300が固定されている。圧着端子300は、取付部320に圧着部330が延在するように構成されている。なお、取付部320には、取付孔310が開口しており、圧着部330には、ろう付け部335が形成されている(JIS C 2805参照)。
【0020】
第1識別部材101と第2識別部材102とは、同一形状であるが、色彩が異なることにより区別可能である。第1識別部材101の表面の少なくとも一部は、特定色(例えば、白色)を呈しており、第2識別部材102の表面の少なくとも一部は、特定色と異なる色(例えば、黒色)を呈している。なお、色彩は、色相、彩度、明度の何れかが異なれば構わないが、目視で容易に区別できることが好ましい。例えば、色相の相違であれば、補色の関係(例えば、赤と青緑、オレンジと青、黄色と紫、赤紫と緑、水色と朱色)で区別するのが好ましい。また、明度の相違であれば、黒と白とで二値化可能な程度に相違するのが好ましい。また、彩度では、純色を用いることが好ましい。ここで、純色とは、彩度が最も高い色のことであり、白色や黒色が混ざっていない純度の最も高い色のことである。なお、純色(例えば、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫)では、黄色が、明度が高く、青色が、明度が低い。
【0021】
図2は、本発明の実施形態である識別部材の構造図である。
識別部材101,102は、断面視コ字状(略U字状)を呈する樹脂製の部材であり、矩形の板状の底部50と、底部50の両側部からZ方向に立ち上がる2つの側壁40,40とを備えている。対向する側壁40,40のZ方向端部には、ケーブル200(
図1)を係止する係止部21が互いに内向きに形成されている。2つの係止部21,21は、離間しており、軸方向(Y方向)の割れ目が形成されている。この割れ目は、ケーブル200を内部に挿入する際の挿入部20として機能する。2つの係止部21,21のXY面側には、傾斜面30が形成されており、ケーブル200の側周面が挿入し易くなっている。ケーブル200の外周面を傾斜面30,30に押し当てて挿入部20に挿入するとき、樹脂製である識別部材101,102は、弾性変形し、2つの係止部21,21の間隔が拡がる。そして、ケーブル200が識別部材101,102の内部に挿入されると、2つの係止部21,21の間隔が元に戻る。
【0022】
また、2つの側壁40,40のY方向の一端部には、凹部60が形成されており、Y方向の他端部には凸部70が形成されている。識別部材101,102は、一方の識別部材101の凹部60と、他方の識別部材102の凸部70とが嵌合することにより連結される。
【0023】
図3は、本発明の実施形態である識別部材集合体の配色を示す表である。
この表は、白色の第1識別部材101および黒色の第2識別部材102の何れか一方または双方を用いて、n(例えば、n=4)個連結した識別部材集合体の配色を示している。2種類の識別部材101,102を4個連結しているので、2進法の表現に従い、2
n=2
4=16種類のケーブルの識別が可能である。
図3の横軸は、ケーブル200(
図1)の先端(圧着端子300側)の識別部材を1桁目とし、先端から2番目の識別部材を2桁目とし、先端から3番目の識別部材を3桁目とし、先端から4番目の識別部材を4桁目としている。例えば、識別部材集合体150(
図1)では、4桁目が黒色の識別部材102、3桁目が白色の識別部材101、2桁目が黒色の識別部材102、1桁目が白色の識別部材101である。したがって、識別部材付ケーブル1000は、十進数で「5」番目のケーブルであると識別される。
【0024】
図4は、識別部材付ケーブルで配線した電子機器の概念図である。
電子機器2000は、筐体500の内部に、複数の端子を有する端子台600が配設されたものである。電子機器2000は、さらに複数の識別部材付ケーブル1001,1002,1003,・・・が端子台600に取り付けられている。つまり、識別部材付ケーブル1001,1002,1003,・・・の圧着端子300の取付孔310に挿入した締結部材400によって、圧着端子300が締め付けられる。
【0025】
識別部材付ケーブル1001は、黒色の識別部材102のみが4個連結されたものであるので、二進数「0000」=十進数「0」で識別されたケーブルである。識別部材付ケーブル1002は、先端側(圧着端子300側)から白色の識別部材101と、黒色の識別部材102が3個連結されたものであるので、二進数「0001」=十進数「1」で識別されたケーブルである。識別部材付ケーブル1003は、先端側(圧着端子300側)から黒色の識別部材102と、白色の識別部材101と、黒色の識別部材102が2個連結されたものであるので、二進数「0010」=十進数「2」で識別されたケーブルである。つまり、端子台600に固定された識別部材付ケーブル1001,1002,1003,・・・は、二進数「0000」,「0001」,「0010」,・・・で識別されている。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の識別部材101,102によれば、形状は同一であるが、色彩(例えば、明度の相違)で区別することができる。識別部材101,102は、何れか一方をケーブル200の端部に取り付けることにより、ケーブル200を二種類に識別することができる。ここで、識別部材101,102の何れか一方を複数個(例えば、4個)用いれば、二進数「0000」,「1111」で識別することができる。また、識別部材101,102の双方を用いれば、取付位置に応じて、二進数「0001」,「0010」等で識別することができる。例えば、識別部材付ケーブル1000(
図1)は、
図3の表に基づいて、二進数「0101」=十進数「5」と識別される。
【0027】
また、電子機器2000(
図4)のように、複数の識別部材付ケーブル1001,1002,1003,・・・が順次配列されているときには、各々のケーブル200,200,200,・・・は、二進数「0000」,「0001」,「0010」,・・・=十進数「0」,「1」,「2」,・・・で識別されており、二進数の値が一方向に変化(増加または減少)していることがわかる。つまり、N(0以上の整数)番目のケーブルに取り付けられている複数の識別部材は、二進数でNを表現している。
【0028】
そして、本実施形態によれば、2種類のラベルとして識別部材101,102を準備すればよいので、使用頻度の低いラベルが多数余るようなこともない。
【0029】
(第3実施形態)
前記第1実施形態の識別部材集合体150は、2種類の識別部材(白色の識別部材101,黒色の識別部材102)で構成されていた、1種類の識別部材で構成することもできる。
【0030】
図5は、本発明の第3実施形態である識別部材の構造図である。
識別部材103は、前記第1実施形態の識別部材101,102と同一形状であって、表面の色彩が異なる。識別部材103は、矩形の板状の底部50と、底部50の両側部からZ方向に延在する2つの側壁41,42とを備えている。側壁41,42の形状は、前記第1実施形態の側壁40と同一であるが、側壁41の表面41aの色彩と、側壁42の表面42aの色彩とが異なる。
【0031】
側壁41の長さと側壁42の長さとは等しい。また、側壁41,42のZ方向中間点に、凹部60および凸部70が形成されている。そのため、識別部材103は、X-Z面内で180°回転させた状態でも、他の識別部材103と連結することができる。この場合、一方の識別部材103の側壁41は、他方の識別部材103の側壁42と連結される。また、側壁41,42の表面41a,42aは、互いに異なる色彩、文字または形状を具備しており、例えば、表面41aの色彩は、白であり、表面42aの色彩は黒である。なお、表面41aの色彩と表面42aの色彩とは、色相が補色であったり、明度が白または黒に二値化可能な程度に異なったりしていても構わない。なお、色相は、原色であることが好ましい。
【0032】
図6は、本発明の第3実施形態である識別部材付ケーブルの斜視図である。左右前後上下は、矢視に従う。
識別部材付ケーブル1100は、ケーブル200と、ケーブル200の端部に取り付けた識別部材集合体160とを備えている。ケーブル200の先端には、圧着端子300が固定されている。ここでは、圧着端子300のろう付け部335の側を上側にしている。また、側壁41,42は、上側または下側になっている。
【0033】
識別部材集合体160は、複数(例えば、6個)の識別部材103が連結されて構成されている。異なる側壁41と側壁42とが連結されても構わない点で前記第1実施形態と異なる。つまり、上面では、同一の側壁41,41または同一の側壁42,42が連結されたり、異なる側壁41と側壁42とが連結されたりする。例えば、
図6の上面では、左側から側壁41,側壁42,側壁41,側壁42,側壁41,側壁41の順番で連結している。なお、下面では、逆に、左側から側壁42,側壁41,側壁42,側壁41,側壁42,側壁42の順番で連結している。
【0034】
例えば、最も先端側(つまり、圧着端子300側、右側)の識別部材103の上面を20の桁の表示面とし、右側から2番目の識別部材103の上面を21の桁の表示面とし、右側から3番目の識別部材103の上面を22の桁の表示面とし、右から(N-1)番目の識別部材103の上面を2Nの桁の表示面とする。ここでは、圧着端子300のろう付け部335の側を上側(上面側)にしているので、圧着端子300は、上面を表示面として特定する表示面特定部材として機能している。また、白色を二進数の数値「1」とし、黒色を二進数の数値「0」と定義する。本実施形態では、上面色は、左側から「白」,「黒」,「白」,「黒」,「白」,「白」になっている。したがって、本実施形態の識別部材付ケーブル1100は、1×25+0×24+1×23+0×22+1×21+1×20=32+0+8+0+2+1=43番目のケーブル200を意味する。
【0035】
なお、上面が側壁41であるとき、前側が挿入部20(
図5C)になっており、後ろ側が底部51(
図5(a))になっている。また、上面が側壁42であるとき、手前側が底部51になっており、後ろ側が挿入部20(
図5C)になっている。また、前記第2実施形態と同様に、端子台600に配列した複数本の識別部材付ケーブル1100を筐体内部に配設して、電子機器を構成しても構わない。
【0036】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態の識別部材101,102は、色彩の相違(例えば、明度の相違(具体的には、白と黒)で区別していたが、文字(例えば、数字の「0」と「1」)でも区別可能である。
【0037】
(2)前記実施形態の識別部材101,102は、側面に割れ目(挿入部20)が形成されていたが、割れ目が形成されていないチューブ状であっても構わない。圧着端子300を圧着する前であれば、チューブ状の識別部材をケーブル200の先端に挿入することができるからである。また、識別部材101,102は、同一形状であったが、形状が異なっても構わない。
【0038】
(3)前記実施形態の識別部材101,102は、凹部60及び凸部70が形成されており、互いに連結していたが、これらが形成されていなくても構わない。このときは、複数の識別部材101,102,101,102は、互いに当接ないし近接した状態でケーブル200に挿入される。なお、このように当接ないし近接した状態の識別部材101,102,101,102を識別部材集合物と称する。
【0039】
(4)前記実施形態の識別部材101,102は、断面視コ字状(略U字状)であったが、断面視V字、C字や円弧状であっても構わない。
【0040】
(5)前記第3実施形態では、圧着端子300のろう付け部335の側を上側(上面側)と定義し、識別部材103の上面側を表示面としていた。つまり、圧着端子300を、表示面を特定する表示面特定部材として機能させていた。しかしながら、表示面特定部材は、例えば、必要な桁数N(例えば、前記第3実施形態の場合では,N=6桁)を超える(N+1)個の識別部材103を、側壁41,42を同一面にして連結させた物であっても構わない。つまり、この変形例の識別部材集合体は、例えば、ケーブル200を識別する、N個の識別部材集合体160と、(N+1)個の識別部材103を連結した表示面特定部材とをさらに連結した物になる。また、部材の種類が一つ増えるが、表示面であることを示す文字列や記号を表面に記載した部材を表示面特定部材としても構わない。
【符号の説明】
【0041】
20 挿入部
21 係止部
40,41,42 側壁
41a,42a 表面
50,51 底部
60 凹部
70 凸部
101 第1識別部材
102 第2識別部材
103 識別部材
150,160 識別部材集合体(識別部材集合物)
200 ケーブル
400 締結部材
300 圧着端子(表示面特定部材)
310 取付孔
320 取付部
330 圧着部
335 ろう付け部
1000,1001,1002,1003,1100 識別部材付ケーブル
2000 電子機器
【要約】
【課題】1種類の識別部材で、ケーブルを識別する。
【解決手段】ケーブル200に取付可能な識別部材103が複数連結されている識別部材集合体160であって、識別部材103は、底部51の両側に側壁41,42が延在するものであり、両側の側壁41,42の表面は、互いに異なる色彩を有し、両側の側壁41,42には、凹部と、連結される他の識別部材103の凹部に嵌合可能な凸部が形成されている。
【選択図】
図6