(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】行動情報提供にあたりポジティブ情報を提供可能な装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220602BHJP
G06F 16/335 20190101ALI20220602BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/335
(21)【出願番号】P 2019069673
(22)【出願日】2019-04-01
【審査請求日】2021-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【氏名又は名称】早原 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141313
【氏名又は名称】辰巳 富彦
(72)【発明者】
【氏名】多屋 優人
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-106698(JP,A)
【文献】国際公開第2008/099441(WO,A1)
【文献】特許第6480556(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0132604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
G06F 16/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに係るユーザ情報
であって、取得されたユーザの行動ログ又は性格特性情報から所定の判定モデル又は算定式を用いて決定されたユーザ情報に応じた内容の情報を提供する装置であって、
当該ユーザに係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得する目標取得手段と、
当該ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、当該目標の達成度を決定する達成度決定手段と、
当該ユーザ情報に基づいて、当該ユーザが当該目標を達成するための行動をとる心理状態になることを促すポジティブ情報を決定するポジティブ情報決定手段と、
取得された事物又は事象に係る情報、決定された達成度、及び当該目標に係る情報のうちの少なくとも1つを含む、当該目標に向けての当該ユーザによる行動に係る行動情報を決定する行動情報決定手段と、
当該ポジティブ情報を提供し
、その後
、設定された待ち時間が経過してから当該行動情報を提供する情報提供手段と
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記情報提供手段は、当該ユーザ情報が所定条件を満たす場合に、当該ポジティブ情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記情報提供手段は、当該ユーザ情報が、感情・気分について正若しくは良好であることを示す情報である場合に、または、感情・気分について負若しくは不良であることを示す情報であることが連続してN回(Nは所定の自然数)未満である場合に、当該ポジティブ情報を提供することを特徴とする請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記情報提供手段は、当該ユーザ情報が、受け取った情報・意見を受容する傾向にあることを示す情報である場合に、当該ポジティブ情報を提供し、一方、当該ユーザ情報が、受け取った情報・意見を受容する傾向にないことを示す情報である場合、所定の遷移確率P(0≦P<1)の下で当該ポジティブ情報を提供することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記情報提供手段は、当該所定の遷移確率Pを、決定された達成度に基づいて設定することを特徴とする請求項4に記載の情報提供装置。
【請求項6】
他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度を取得する他ユーザ達成情報取得手段を更に有し、
前記ポジティブ情報決定手段は、取得された当該他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度にも基づいて、当該ポジティブ情報を決定し、
前記情報提供手段は、当該ユーザ情報が、競争心が高い傾向にある、または、他人の状況に影響を受けやすい傾向にあることを示す情報である場合に、当該ポジティブ情報を提供する
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記ポジティブ情報決定手段は、取得された事物若しくは事象に係る情報、及び/又は決定された達成度にも基づいて、当該ポジティブ情報を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項8】
他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度を取得する他ユーザ達成情報取得手段を更に有し、
前記ポジティブ情報決定手段は、取得された当該他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度にも基づいて、当該ポジティブ情報を決定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記ポジティブ情報決定手段は、当該ユーザ情報が、感情・気分について正若しくは良好であることを示す情報である場合、当該ユーザに対する称賛に係る内容のポジティブ情報を生成し、一方、当該ユーザ情報が、感情・気分について負若しくは不良であることを示す情報である場合、当該ユーザに対する共感若しくは励ましに係る内容のポジティブ情報を生成することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記情報提供手段は、当該ユーザ情報及び/又は決定された達成度に基づいて
当該待ち時間を決
定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項11】
ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに係るユーザ情報
であって、取得されたユーザの行動ログ又は性格特性情報から所定の判定モデル又は算定式を用いて決定されたユーザ情報に応じた内容の情報を提供する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該ユーザに係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得する目標取得手段と、
当該ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、当該目標の達成度を決定する達成度決定手段と、
当該ユーザ情報に基づいて、当該ユーザが当該目標を達成するための行動をとる心理状態になることを促すポジティブ情報を決定するポジティブ情報決定手段と、
取得された事物又は事象に係る情報、決定された達成度、及び当該目標に係る情報のうちの少なくとも1つを含む、当該目標に向けての当該ユーザによる行動に係る行動情報を決定する行動情報決定手段と、
当該ポジティブ情報を提供し
、その後
、設定された待ち時間が経過してから当該行動情報を提供する情報提供手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする情報提供プログラム。
【請求項12】
ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに係るユーザ情報
であって、取得されたユーザの行動ログ又は性格特性情報から所定の判定モデル又は算定式を用いて決定されたユーザ情報に応じた内容の情報を提供する装置に搭載されたコンピュータにおける情報提供方法であって、
当該ユーザに係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得するステップと、
当該ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、当該目標の達成度を決定するステップと、
当該ユーザ情報に基づいて、当該ユーザが当該目標を達成するための行動をとる心理状態になることを促すポジティブ情報を決定するステップと、
取得された事物又は事象に係る情報、決定された達成度、及び当該目標に係る情報のうちの少なくとも1つを含む、当該目標に向けての当該ユーザによる行動に係る行動情報を決定するステップと、
当該ポジティブ情報を提供し
、その後
、設定された待ち時間が経過してから当該行動情報を提供するステップと
を有することを特徴とする情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末のユーザに対する行動支援や、当該ユーザにおける行動変容・態度変容に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能・高性能の情報端末が広く普及しており、ユーザは当該端末を利用して種々様々なサービスを享受することが可能となっている。また、その中で現在、ユーザに対する行動支援サービスが注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ユーザが行動目標を達成する可能性を高めることを目的とした行動目標達成支援システムが開示されている。具体的には、達成が困難な行動目標に対し、行動完了後に撮影された画像を利用して達成レベルを決定し、この達成レベルに応じて決定された提示用情報をユーザに提示することによって、ユーザに対する目標達成支援を実施している。
【0004】
また、例えば特許文献2では、予め計画された行動が実行されない場合に、行動が阻害された要因を推定し、その要因を考慮した情報提供を実施することによって行動支援を実施する介入情報提供装置が開示されている。具体的には、対象者に関する行動の計画情報と、対象者の行動の実績情報とを取得して、これらの情報に基づいて行動の阻害要因を推定し、推定された阻害要因に応じた介入情報を出力部に出力させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-49360号公報
【文献】特開2016-189059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術を含めた従来技術においては、行動支援用の情報がユーザに届いたとしても、このユーザ自身の感情状態や心理的特性によっては、意図したユーザの行動に結びつかず行動支援が奏功しない可能性が存在する。
【0007】
例えば、特許文献1に記載された行動目標達成支援システムでは、ユーザの画像から決定された達成レベル、すなわち目標に対する客観的状況を考慮して提示用情報を決定している。また、特許文献2に記載された介入情報提供装置では、単純な達成状況に留まらず、ユーザの行動計画情報及び行動実績情報に基づいて推定された行動の阻害要因を考慮して、ユーザへ出力する介入情報を決定している。
【0008】
このように特許文献1及び2に係る両技術とも、目標に対する客観的な状況や行動阻害要因をたしかに考慮してはいるが、例えばユーザ自身の感情状態や心理的特性といったユーザ側の情報をも考慮している技術とは言えない。すなわち、ユーザが、提供された情報を意図通りに受け入れるか否かについては対処がなされておらず、結果的に、一方的な行動支援を実施してしまう場合の生じることが懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、ユーザが行動支援のための情報をより受け入れやすい状況を生成可能な情報提供装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに係るユーザ情報あって、取得されたユーザの行動ログ又は性格特性情報から所定の判定モデル又は算定式を用いて決定されたユーザ情報に応じた内容の情報を提供する装置であって、
当該ユーザに係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得する目標取得手段と、
当該ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、当該目標の達成度を決定する達成度決定手段と、
当該ユーザ情報に基づいて、当該ユーザが当該目標を達成するための行動をとる心理状態になることを促すポジティブ情報を決定するポジティブ情報決定手段と、
取得された事物又は事象に係る情報、決定された達成度、及び当該目標に係る情報のうちの少なくとも1つを含む、当該目標に向けての当該ユーザによる行動に係る行動情報を決定する行動情報決定手段と、
当該ポジティブ情報を提供し、その後、設定された待ち時間が経過してから当該行動情報を提供する情報提供手段と
を有する情報提供装置が提供される。
【0011】
この本発明による情報提供装置の一実施形態として、情報提供手段は、当該ユーザ情報が所定条件を満たす場合に、当該ポジティブ情報を提供することも好ましい。ここで、具体的に、情報提供手段は、
(a)当該ユーザ情報が、感情・気分について正若しくは良好であることを示す情報である場合に、または、
(b)感情・気分について負若しくは不良であることを示す情報であることが連続してN回(Nは所定の自然数)未満である場合に、
当該ポジティブ情報を提供することも好ましい。
【0012】
さらに、情報提供手段は、
(c)当該ユーザ情報が、受け取った情報・意見を受容する傾向にあることを示す情報である場合に、当該ポジティブ情報を提供し、一方、当該ユーザ情報が、受け取った情報・意見を受容する傾向にないことを示す情報である場合、所定の遷移確率P(0≦P<1)の下で当該ポジティブ情報を提供することも好ましい。
【0013】
また、上記(c)に関し、情報提供手段は、所定の遷移確率Pを、決定された達成度に基づいて設定することも好ましい。
【0014】
さらに、本発明による情報提供装置の他の実施形態として、本情報適用装置は、他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度を取得する他ユーザ達成情報取得手段を更に有し、
ポジティブ情報決定手段は、取得された当該他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度にも基づいて、当該ポジティブ情報を決定し、
情報提供手段は、当該ユーザ情報が、競争心が高い傾向にある、または、他人の状況に影響を受けやすい傾向にあることを示す情報である場合に、当該ポジティブ情報を提供することも好ましい。
【0015】
さらにまた、ポジティブ情報決定手段は、取得された事物若しくは事象に係る情報、及び/又は決定された達成度にも基づいて、当該ポジティブ情報を決定することも好ましい。
【0016】
また、本発明による情報提供装置の更なる他の実施形態として、本情報提供装置は、他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度を取得する他ユーザ達成情報取得手段を更に有し、
ポジティブ情報決定手段は、取得された当該他のユーザに係る事物若しくは事象に係る情報、及び/又は当該他のユーザにおける目標の達成度にも基づいて、当該ポジティブ情報を決定することも好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係るポジティブ情報決定手段についての一実施形態として、当該ユーザ情報が、感情・気分について正若しくは良好であることを示す情報である場合、当該ユーザに対する称賛に係る内容のポジティブ情報を生成し、一方、当該ユーザ情報が、感情・気分について負若しくは不良であることを示す情報である場合、当該ユーザに対する共感若しくは励ましに係る内容のポジティブ情報を生成することも好ましい。
【0018】
さらにまた、本発明による情報提供装置において、情報提供手段は、当該ユーザ情報及び/又は決定された達成度に基づいて当該待ち時間を決定することも好ましい。
【0019】
本発明によれば、また、ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに係るユーザ情報であって、取得されたユーザの行動ログ又は性格特性情報から所定の判定モデル又は算定式を用いて決定されたユーザ情報に応じた内容の情報を提供する装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
当該ユーザに係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得する目標取得手段と、
当該ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、当該目標の達成度を決定する達成度決定手段と、
当該ユーザ情報に基づいて、当該ユーザが当該目標を達成するための行動をとる心理状態になることを促すポジティブ情報を決定するポジティブ情報決定手段と、
取得された事物又は事象に係る情報、決定された達成度、及び当該目標に係る情報のうちの少なくとも1つを含む、当該目標に向けての当該ユーザによる行動に係る行動情報を決定する行動情報決定手段と、
当該ポジティブ情報を提供し、その後、設定された待ち時間が経過してから当該行動情報を提供する情報提供手段と
してコンピュータを機能させる情報提供プログラムが提供される。
【0020】
本発明によれば、さらに、ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに係るユーザ情報であって、取得されたユーザの行動ログ又は性格特性情報から所定の判定モデル又は算定式を用いて決定されたユーザ情報に応じた内容の情報を提供する装置に搭載されたコンピュータにおける情報提供方法であって、
当該ユーザに係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得するステップと、
当該ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、当該目標の達成度を決定するステップと、
当該ユーザ情報に基づいて、当該ユーザが当該目標を達成するための行動をとる心理状態になることを促すポジティブ情報を決定するステップと、
取得された事物又は事象に係る情報、決定された達成度、及び当該目標に係る情報のうちの少なくとも1つを含む、当該目標に向けての当該ユーザによる行動に係る行動情報を決定するステップと、
当該ポジティブ情報を提供し、その後、設定された待ち時間が経過してから当該行動情報を提供するステップと
を有する情報提供方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の情報提供装置、プログラム及び方法によれば、ユーザが行動支援のための情報をより受け入れやすい状況を生成してから、当該情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による情報提供装置を含む情報提供システムの一実施形態を示す模式図である。
【
図2】本発明による情報提供装置を含む情報提供システムの他の実施形態を示す模式図である。
【
図3】本発明による情報提供方法の一実施形態を概略的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
[情報提供システム]
図1は、本発明による情報提供装置を含む情報提供システムの一実施形態を示す模式図である。
【0025】
図1に示した本実施形態の情報提供システムは、
(a)所定の「目標」を掲げたユーザに対し、「ユーザ情報」に応じた内容の「行動情報」を提供可能な、本発明による情報提供装置としての情報提供サーバ1と、
(b)情報提供サーバ1から通信ネットワークを介して「行動情報」を受信し、この「行動情報」をユーザへ提示するユーザ端末2と、
(c)「ユーザ情報」を決定するためのユーザ基本情報を管理し、当該ユーザ基本情報を、通信ネットワークを介して情報提供サーバ1へ提供可能なユーザ基本情報管理サーバ3と
を備えている。
【0026】
ここで、上記(a)の「ユーザ情報」は、ユーザの感情・気分、心理及び性格の少なくとも1つに関係する情報であり、本実施形態では、所定の「目標」を掲げたユーザにおける
(a1)「感情」、及び
(a2)「(取得した情報に対する捉え方を含む)ユーザ特性」
を含む情報となっている。
【0027】
また、上記(a)及び(b)の「行動情報」は、
(b1)「目標」に関して取得された事物又は事象に係る情報、
(b2)「目標」について決定された達成度、及び
(b3)「目標」に係る情報
のうちの少なくとも1つを含む情報であり、「目標」に向けてのユーザによる行動に係る情報のことである。
【0028】
例えば、「目標」が「1日あたりの歩数を8000歩以上にする」であれば、「行動情報」として例えば「今週は水曜日以外、8000歩以上歩きましたね。」を採用することができる。また、「体重を5kg減らす」が「目標」であれば、例えば「今、ダイエットの停滞期ですね。」を「行動情報」とすることも可能である。
【0029】
同じく
図1に示したように、上記(a)の情報提供サーバ1は、
(A)ユーザに係る事物又は事象についての、ユーザにとっての「目標」を取得する目標取得・設定部111と、
(B)ユーザに係る事物又は事象に係る情報を取得し、「目標」の達成度を決定する達成度決定部112と、
(C)「ユーザ情報」に基づいて、ユーザが「目標」を達成するための行動をとる心理状態になることを促す「ポジティブ情報」を決定するポジティブ情報決定部115と、
(D)提供する「行動情報」を決定する行動情報決定部116と、
(E)決定された「ポジティブ情報」を提供し、それと同時期に又はその後に、決定された「行動情報」を提供する支援情報提供部117と
を有している。
【0030】
このように、情報提供サーバ1は、ユーザが「目標」を達成するための行動をとる心理状態になることを促す「ポジティブ情報」を、「行動情報」に先立って(又は同時期に)提供する。その結果、この「ポジティブ情報」の提供によって、ユーザが行動支援のための情報をより受け入れやすい状況・態勢が形成可能となり、ユーザはより確実に、決定された「行動情報」を受け入れることが期待されるのである。
【0031】
ここで、「ポジティブ情報」の具体的内容は後に詳細に説明するが、例えば、「目標」を設定したユーザにおける内発的な意識づけを強化するような情報であって、ユーザに正の感情を想起させ自発的な行動を促したり誘発したりするような情報とすることも好ましい。具体的には、ユーザに対する賞賛、激励や共感に係る情報を含んでいてもよい。
【0032】
また、上記(C)で規定されているように、「ポジティブ情報」は、「ユーザ情報(本実施形態では感情やユーザ特性)」に応じて決定されるのであり、例えばユーザにおいて提供情報の受容度が高い状態を作り出し、より効率的に、ユーザによる「目標」達成に向けての行動を促すことも可能となるのである。
【0033】
すなわち言い換えれば、情報提供サーバ1によれば、「ユーザ情報(本実施形態では感情やユーザ特性)」を考慮することによって、対象ユーザに適合したより効率的な行動支援を実施することが可能となるのである。
【0034】
[情報提供サーバ]
図1の機能ブロック図に示すように、情報提供サーバ1は、通信インタフェース101と、ユーザ行動ログ保存部102と、ユーザ基本情報保存部103と、プロセッサ・メモリとを有する。
【0035】
ここで、このプロセッサ・メモリは、本発明による情報提供プログラムの一実施形態を保存しており、また、コンピュータ機能を有していて、この情報提供プログラムを実行することによって、情報提供処理を実施する。このことから、情報提供サーバ1は、情報提供用の専用装置であってもよいが、本発明による情報提供プログラムを搭載した、例えばパーソナルコンピュータ(PC)、ノート型若しくはタブレット型コンピュータ等とすることも可能である。
【0036】
さらに、プロセッサ・メモリは、目標取得・設定部111と、達成度決定部112と、他ユーザ達成情報取得部113と、感情判定部114a及びユーザ特性判定部114bを有するユーザ情報決定部114と、ポジティブ情報決定部115と、行動情報決定部116と、情報提供判定部117aを有する支援情報提供部117と、通信制御部121とを有する。なお、これらの機能構成部は、プロセッサ・メモリに保存された情報提供プログラムの機能と捉えることができる。また、
図1における情報提供サーバ1の機能構成部間を矢印で接続して示した処理の流れは、本発明による情報提供方法の一実施形態としても理解される。
【0037】
同じく
図1の機能ブロック図において、目標取得・設定部111は、行動支援対象のユーザ(本実施形態ではユーザ端末2のユーザ)に係る事物又は事象についての当該ユーザにとっての目標を取得する。ここで、この目標は、この目標取得・設定部111で予め設定されたり外部からの指定・指示によって与えられたりしたものであってもよいが、本実施形態では、当該ユーザが自ら設定し、自身の目標として認知しているものとする。
【0038】
具体的には、ユーザがユーザ端末2のUI(User Interface)を介して、例えば「1日あたりの歩数を8000歩以上にする」、「体重を70Kgから5kg減らす(ダイエットする)」や、「(エコのために)自動車ではなく公共交通機関を利用する」等の目標情報を入力し、目標取得・設定部111は、通信インタフェース101及び通信制御部121を介し、ユーザ端末2から送信されてきた目標情報を取得してもよい。
【0039】
また、通信制御部121は本実施形態において、通信インタフェース101を介し、
(a)ユーザの行動ログを収集可能なユーザ端末2や他の機器から、「ユーザ行動ログ」を収集し、ユーザIDと紐づけてユーザ行動ログ保存部102に保存・管理させ、さらに、
(b)ユーザ基本情報管理サーバ3(のAPI(Application Programming Interface))から、ユーザ情報を決定するための「ユーザ基本情報」を取得し、ユーザIDと紐づけてユーザ基本情報保存部103に保存・管理させる。
【0040】
ここで、上記(a)の「ユーザ行動ログ」は、例えば、体重計による所定期間の体重測定結果(例えば日時情報の紐づけられた体重データ列)や、ユーザ端末2に内蔵された歩数計測計による所定期間の歩数計測結果(例えば日時情報の紐づけられた歩数データ列)、さらにはユーザ端末2に内蔵されたGPS(Global Positioning System)測位部による所定期間の位置情報(例えば地図情報及び日時情報の紐づけられた緯度・経度・高度データ列)等とすることができる。
【0041】
また、このような「ユーザ行動ログ」は、体重計やユーザ端末2の内蔵機能部等から直接、情報提供サーバ1宛てに送信されてもよく、または、ユーザがユーザ端末2のUIを介して入力し、情報提供サーバ1宛てに送信してもよい。
【0042】
さらに、「ユーザ行動ログ」として、ユーザ端末2におけるブラウザ・ソフトウェアの起動時間(ウェブページの閲覧時間)等、ユーザ端末2から取得可能な種々様々な時系列情報を採用することも可能である。
【0043】
さらに、上記(b)の「ユーザ基本情報」は、例えば、ユーザにおけるビッグファイブ(Big Five)等の性格特性診断の結果情報や、ユーザによる性格特性に関する自己申告情報・アンケート回答情報とすることができる。なお勿論、情報提供サーバ1は、このような「ユーザ基本情報」を、ユーザ基本情報サーバ3からではなく、例えばユーザ端末2から直接取得してもよい。
【0044】
同じく
図1の機能ブロック図において、達成度決定部112は、ユーザに係る事物又は事象に係る情報としての「ユーザ行動ログ」をユーザ行動ログ保存部102から取得し、目標取得・設定部111で取得・設定された目標を受けて、当該目標の達成度を決定する。ここで、決定される達成度は、ユーザに係る事物又は事象に係る進捗状況を示す値であってもよく、当該事物又は事象に係る量の累積値であってもよい。
【0045】
例えば、「1日あたりの歩数を8000歩以上にする」との目標に対し、最近の所定期間(例えば30日間)における、取得した歩数データ列(ユーザ行動ログ)から決定された「目標達成日数(8000歩以上の歩数である日の累積数)」を達成度としてもよく、「達成した日の割合(例えば目標達成日数が24日ならば80%)」を達成度とすることも可能である。
【0046】
また例えば、「体重を70kgから5kg減らす(ダイエットする)」との目標に対し、達成度決定時点における、取得した体重データ列(ユーザ行動ログ)から決定された「70kgからの体重減少分(例えば3kg)」を達成度としてもよく、「体重減少分の目標減少分に対する割合(例えば60%(=3/5))」を達成度とすることも可能である。
【0047】
さらに例えば、「自動車ではなく公共交通機関を利用する」との目標に対し、最近の所定期間(例えば30日間)における、「公共交通機関の利用累積回数」及び「自動車の利用累積回数」の組を達成度としてもよく、両利用累積回数の差又は比を達成度とすることも可能である。
【0048】
ここで、「公共交通機関」の利用は、公共交通機関の路線情報を含む地図情報の紐づけられた位置データ列(ユーザ行動ログ)から決定することができる。また、「自動車」の利用は、例えば自動車に設置された搭乗センサから搭乗情報を受信したユーザ端末2から取得された当該搭乗情報と、道路情報を含む地図情報の紐づけられた位置データ列(ユーザ行動ログ)とから決定することができる。また、当該搭乗情報が無くても、位置データ列(ユーザ行動ログ)から、道路の位置上を所定速度範囲の速度で移動していることが分かれば、「自動車」を利用していると判定することも可能である。
【0049】
なお、達成度決定部112は、決定した達成度から目標が達成されたと判断した場合、行動支援が完了したものとして、支援情報提供部117に対しポジティブ情報及び行動情報の提供を停止するように指示を行うことも好ましい。
【0050】
他ユーザ達成情報取得部113は、他のユーザのユーザ端末2から、
(a)当該他のユーザに係る「目標」、
(b)当該他のユーザに係る事物又は事象に係る情報としての「ユーザ行動ログ」、及び
(c)当該他のユーザにおける目標の達成度
のうちの少なくとも1つを取得する。例えば、他のユーザにおける「目標」、当該目標に係る「ユーザ行動ログ」及び「達成度」に対し当該他のユーザのユーザIDが紐づけられたデータを取得することができる。
【0051】
また、他ユーザ達成情報取得部113は、取得したこれらの情報から、「同一の目標に取り組んでいる人の数」や「類似する目標(例えば歩数に関する目標)に取り組んでいる人の数」を算出することもできる。また、他のユーザにおける「ユーザ行動ログ」から、当該他のユーザの「達成度」を決定することも可能である。さらに、同一の「目標」を設定している複数の他のユーザにおける「達成度」の平均値を算出することも好ましい。
【0052】
同じく
図1の機能ブロック図において、ユーザ情報決定部114は、ユーザ行動ログ保存部201に保存・管理された「ユーザ行動ログ」やユーザ基本情報保存部103に保存・管理された「ユーザ基本情報」から、行動支援対象のユーザにおける気分・感情や心理学的な特性・性格(パーソナリティ)を決定する。
【0053】
具体的に本実施形態では、ユーザ情報決定部114の感情判定部114aが、「ユーザ行動ログ」として取得された「ウェブページの閲覧時間」や「GPS位置情報」等に基づき、これらの情報と「気分」正解データとによって予め構築された気分判定モデルを用いて、ユーザの「気分」を判定する。ここで本実施形態では、「気分」は、「正の気分」と「負の気分」の2値で表現され、当該判定時のリアルタイムの判定結果として取り扱われる。
【0054】
ちなみに、上記の気分判定モデルは、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)や、ニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムをもって構築することができる。また、学習データとして、ユーザの性格特性に関する自己申告結果やアンケート回答結果(ユーザ基本情報)から生成した情報をも用いることも好ましい。
【0055】
さらに本実施形態では、ユーザ情報決定部114のユーザ特性判定部114bが、「ユーザ基本情報」としての(Big Five等の)性格特性診断結果情報(例えばパーソナリティ情報)や、ユーザによる性格特性に関する自己申告情報・アンケート回答情報(例えば、流されやすいタイプか否か、譲らないタイプか否か、頑固なタイプか否か等についての回答情報)から、ユーザの受容性スコアを決定する。ここで、受容性スコアは、その数値が高いほど、(周囲の人の意見等の)取得した情報を受け入れて自身の行動に取り入れる高受容性タイプであることを示す指標となっている。
【0056】
ちなみに、このような受容性スコアも、ランダムフォレスト、SVMや、ニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムをもって構築された受容性スコア判定モデルを用いて決定されてもよく、または、数値化した診断結果等を所定の算定式に当てはめて算出されてもよい。さらに、感情判定部114aと同様、「ユーザ行動ログ」も含めた教師データをもってこの受容性スコア判定モデルを構築することも可能である。
【0057】
また、本実施形態では以後、受容性スコアが所定閾値以上であるユーザを「高受容性」ユーザとし、一方、所定閾値未満であるユーザを「低受容性」ユーザとして、ユーザ特性を2値で表現する。
【0058】
ポジティブ情報決定部115は、決定された「達成度」が「目標」の達成を示していない場合、
(a)決定された「ユーザ情報」、
(b)取得された「ユーザ行動ログ」、及び
(c)決定された「達成度」
のうちの少なくとも1つに基づいて、ユーザが「目標」を達成するための行動をとる心理状態になることを促す「ポジティブ情報」を決定する。
【0059】
具体的に本実施形態では、「目標」の達成に向け、進捗状況(例えば達成度、優位か否か、中間成果)や、達成に向けての努力(行動の度合い)に対する称賛、励ましや、共感を表す情報を「ポジティブ情報」とすることができる。例えば、
成果に対する称賛:「順調にダイエットが進んでるね!目標まであと1.5kgだよ。」
優位に対する称賛:「Aグループの中で最も達成度が高いよ!」
努力に対する称賛:「毎日少なくとも5000歩は歩いているね。素晴らしい!」
励まし:「Bグループの平均達成度6割を上回っているから頑張ろう!」
共感:「忙しいこの時期、歩く時間をつくるだけでも大変だよね。」
といった会話音声・テキスト情報を「ポジティブ情報」としてもよい。
【0060】
ちなみに、このような会話音声・テキスト情報は、例えば空欄に適切な「ユーザ情報」、「ユーザ行動ログ」や、「達成度」を当て嵌めれば文として完成するようなテンプレートを予めタイプ別に準備しておき、それらを適宜、例えば「目標」及び「達成度」に基づき、選択して使用することによって作成することができる。
【0061】
ポジティブ情報決定部115は、さらに、他ユーザ達成情報取得部113から取得した他のユーザに係る「ユーザ行動ログ」及び/又は「達成度」にも基づいて「ポジティブ情報」を決定することも好ましい。例えば、上記の「Aグループの中で最も達成度が高いよ!」や「Bグループの平均達成度6割を上回っているから頑張ろう!」といった「ポジディブ情報」は、他のユーザの「目標」及び「達成度」に基づいて決定されている。
【0062】
さらにまた、ポジティブ情報決定部115は、
(a)「ユーザ情報」が、感情・気分について正若しくは良好であることを示す情報(本実施形態では「正の気分」)である場合、ユーザに対する称賛に係る内容の「ポジティブ情報」を生成し、一方、
(b)「ユーザ情報」が、感情・気分について負若しくは不良であることを示す情報(本実施形態では「負の気分」)である場合、ユーザに対する共感若しくは励ましに係る内容の「ポジティブ情報」を生成する
ことも好ましい。
【0063】
ちなみに、ポジティブ情報決定部115は、後に詳述する情報提供判定部117aから、情報を提供する旨の判定結果を受け取った場合に、「ポジティブ情報」を生成することも好ましく、または、当該判定結果にかかわらず、予め「ポジティブ情報」を生成しておく態様をとることも可能である。
【0064】
同じく
図1の機能ブロック図において、行動情報決定部116は、
(a)決定された「ユーザ情報」、
(b)決定された「達成度」、及び
(c)設定された「目標」に係る情報
のうちの少なくとも1つを含む、当該「目標」に向けてのユーザによる行動に係る「行動情報」、好ましくはユーザが取るべき行動を示す「行動情報」を決定する。
【0065】
具体的に本実施形態では、「行動情報」として、
「順調です、あと1.5kg。このままいけば、あと1ヶ月で達成できるかも!?」
「停滞期かも。1ヶ月くらい我慢して継続すれば変化があるかも!?」
「昨日の歩数は、12,325名の中で、364番目でした!」
「1週間続けて、たくさん歩きましたね!」
といった会話音声・テキスト情報を採用することができる。
【0066】
ちなみに、このような会話音声・テキスト情報も、例えば空欄に適切な「ユーザ情報」、「達成度」や、「目標」を当て嵌めれば文として完成するようなテンプレートを予めタイプ別に準備しておき、それらを適宜、例えば「目標」及び「達成度」に基づき、選択して使用することによって作成することができる。
【0067】
また、1つの好適な実施態様として、「行動情報」を、
(a)提示対象ユーザにおける「目標」の「達成度」に係る情報、及び
(b)他ユーザにおける「目標」の「達成度」との比較(又は差分)に係る情報
のいずれか一方又は両方とすることも可能である。
【0068】
ちなみに、行動情報決定部116も、後に詳述する情報提供判定部117aから、情報を提供する旨の判定結果を受け取った場合に、「行動情報」を生成することも好ましく、または、当該判定結果にかかわらず、予め「行動情報」を生成しておく態様をとることも可能である。
【0069】
支援情報提供部117は、生成された「ポジティブ情報」をユーザ(ユーザ端末2)に向けて提供させ、それと同時期に又はその後に、生成された「行動情報」をユーザ(ユーザ端末2)に向けて提供させる。具体的に本実施形態では、これらの情報を、通信制御部121及び通信インタフェース101を介し、通信ネットワークを通してユーザ端末2へ送信し、ユーザ端末2の画面にテキスト情報として表示させる(又はユーザ端末2のスピーカから音声情報として出力させる)ことも好ましい。またその際、このテキスト情報は、メール配信、ウェブページ掲載又はプッシュ通知として送信され、表示されることも好ましい。
【0070】
ここで、この支援情報提供部117の情報提供判定部117aは、上述したような「ポジティブ情報」や「行動情報」の提供を実施するか否かを、「ユーザ情報」に基づいて判定する。すなわち、支援情報提供部117は、「ユーザ情報」が所定条件を満たす場合に、「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供するのである。
【0071】
例えば、情報提供判定部117aは、
(判定a)「ユーザ情報」が、感情・気分について正若しくは良好であることを示す情報(本実施形態では「正の気分」)である場合に、「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供するとの判定を行ってもよい。または、
(判定b)「ユーザ情報」が、感情・気分について負若しくは不良であることを示す情報(本実施形態では「負の気分」)であることが(以上に述べた処理ループの中で)連続してN回(Nは所定の自然数)未満である場合に、「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供するとの判定を行ってもよい。
【0072】
さらに、情報提供判定部117aは、
(判定c)「ユーザ情報」が、受け取った情報・意見を受容する傾向にあることを示す情報(本実施形態では「高受容性」)である場合に「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供し、一方、「ユーザ情報」が、受け取った情報・意見を受容する傾向にないことを示す情報(本実施形態では「低受容性」)である場合、所定の遷移確率P(0≦P<1)の下で「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供するとの判定を行うことも好ましい。
【0073】
ここで、上記の遷移確率Pは、ユーザの情報受容度が低い状況にあるので、0.5未満の値とする、すなわち情報提供しない確率を、情報提供する確率よりも高くすることも好ましい。また、遷移確率Pは、決定された「達成度」に基づいて設定されてもよい。例えば、「達成度」が低いほど遷移確率Pをより高い値に設定することも好ましい。これにより、「達成度」がより低く、「行動情報」をより積極的に受け入れるべきであるユーザであるほど、「ポジティブ情報」をより高い頻度で提示して受け入れ態勢を整えさせることも可能となる。
【0074】
なお、上記の(判定a)~(判定c)は、情報提供判定としてそれぞれ単独で実施されてもよく、または、いずれか2つ又は3つ全てにおける判定結果のOR条件をもって情報提供判定を実施することも可能である(例えば、判定a及び判定cの少なくとも一方が情報提供するとの結果であれば情報提供を実施すると判定することも可能である)。さらに、いずれか2つ又は3つ全てにおける判定結果のAND条件をもって情報提供判定を実施してもよい(例えば、判定a及び判定cの両方が情報提供するとの結果であれば情報提供を実施すると判定してもよい)。
【0075】
具体的にこのような情報提供判定の1つの好適な実施態様として、
・「正の気分」及び「高受容性」である場合に、称賛に係る「ポジティブ情報」と「行動情報」とを提供することを判定し、
・「負の気分」及び「高受容性」である場合に、励まし又は共感に係る「ポジティブ情報」と「行動情報」とを提供することを判定し、ただし、以上に述べた処理ループの中で「負の気分」が連続してN回(Nは所定の自然数)以上となった場合には情報提供しないと判定する
ことも好ましい。
【0076】
いずれにしても、以上に説明したような情報提供判定処理を実施することによって、「ポジティブ情報」がより受け入れられやすい状況を見極め、そのような状況において効率的に「ポジティブ情報」をユーザに提示することが可能となる。すなわち、「行動情報」をより受け入れやすい状況・態勢を形成するための「ポジティブ情報」自体を、受け入れ可能な状況・態勢であるか否かを見極め、より高い効果が見込まれる場合にのみ提示し、そうでない場合には、無駄又は逆効果となりかねない「ポジティブ情報」提示を回避することも可能となるのである。
【0077】
また、情報提供判定部117aは、「ユーザ情報」が、競争心の高い傾向にある、または、他人の状況に影響を受けやすい傾向にあることを示す情報である場合に、「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供するとの判定を行うことも好ましい。またこの場合、提供する「ポジティブ情報」は、
(a)取得された他のユーザに係る「ユーザ情報」、及び
(b)当該他のユーザにおける「達成度」
のいずれか一方又は両方にも基づいて決定された内容を有する情報とすることも好ましい。例えば、「Cさんの達成度は7割。まだ負けてないから頑張ろう!」をこの場合の「ポジティブ情報」とすることができる。
【0078】
ちなみに、支援情報提供部117は、情報提供判定部117aが情報提供を行うとの判定を行ってから所定時間(例えば1時間)以内に「ポジティブ情報」を提供する(表示させる)ことも好ましい。また、「ポジティブ情報」を提供してから(表示させてから)所定時間経過後に「行動情報」を提供してもよい(表示させてもよい)。ここで、この所定時間としては、例えば5~30分の間からランダムに選択された時間とすることができる。
【0079】
また好適な変更態様として、支援情報提供部117は、「ユーザ情報」及び「達成度」のいずれか一方又は両方に基づいて待ち時間を決定し、「ポジティブ情報」を提供した後、当該待ち時間が経過してから、「行動情報」を提供することも好ましい。例えば「高受容性」ユーザであって「目標」達成まであとわずか(「達成度」が所定閾値以上)であるならば、最後の行動を促すべく当該待ち時間をより短時間に設定してもよい。
【0080】
[情報提供端末]
図2は、本発明による情報提供装置を含む情報提供システムの他の実施形態を示す模式図である。
【0081】
図2に示した情報提供システムは、本発明による情報提供装置として情報提供端末5を含むことを特徴とする。すなわち、情報提供端末5は、
図1に示した情報提供サーバ1と同じく「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供可能な装置となっている。
【0082】
この情報提供端末5は、具体的に
図2の機能ブロック図に示すように、通信インタフェース501と、ユーザ行動ログ保存部502と、ユーザ基本情報保存部503と、GPS測位部504と、加速度センサ505と、タッチパネル・ディスプレイ(TP・DP)506と、スピーカ507と、プロセッサ・メモリとを有する。
【0083】
ここで、このプロセッサ・メモリは、本発明による情報提供プログラムの一実施形態を保存しており、また、コンピュータ機能を有していて、この情報提供プログラムを実行することによって、情報提供処理を実施する。このことから、情報提供端末5は、情報提供用の専用端末であってもよいが、本発明による情報提供プログラムを搭載した、例えばスマートフォン、ノート型若しくはタブレット型コンピュータや、パーソナルコンピュータ(PC)等とすることも可能である。
【0084】
さらに、プロセッサ・メモリは、目標取得・設定部511と、達成度決定部512と、他ユーザ達成情報取得部513と、感情判定部514a及びユーザ特性判定部514bを有するユーザ情報決定部514と、ポジティブ情報決定部515と、行動情報決定部516と、情報提供判定部517aを有する支援情報提供部517と、通信制御部521とを有する。なお、これらの機能構成部は、プロセッサ・メモリに保存された情報提供プログラムの機能と捉えることができる。また、
図2における情報提供端末5の機能構成部間を矢印で接続して示した処理の流れは、本発明による情報提供方法の一実施形態としても理解される。
【0085】
ここで、以上に述べた機能構成部のうち、
図1の情報提供サーバ1の機能構成部の中に同名のものがある機能構成部は、当該同名の機能構成部と概ね同様の機能を有しており、ここでは説明を省略する。以下、情報提供端末5において特徴的な役割を果たす機能構成部について説明を行う。
【0086】
GPS測位部504は、GPSの測位電波を用いて情報提供端末5の現在位置情報(緯度,経度及び高度情報)を生成する。また、加速度センサ505は、情報提供端末5自体の受ける加速度の情報を生成する。さらに、ウェブ閲覧履歴解析部522は、様々なウェブサーバ7から通信インタフェース501及び通信制御部521を介して受信されたウェブページ情報を解析し、情報提供端末5(のユーザ)におけるウェブ閲覧履歴(閲覧ログ)情報を生成する。
【0087】
行動ログ生成部523は、情報提供端末5(のユーザ)に係る「ユーザ行動ログ」を生成して、ユーザ行動ログ保存部502に保存・管理させる。例えば、加速度センサ505から取得した加速度情報を用いて、日時情報の紐づけられたユーザの歩数情報を生成してもよい。また、ウェブ閲覧履歴解析部522から取得したウェブ閲覧履歴情報から、情報提供端末5(のユーザ)に係るウェブページの閲覧時間情報や閲覧ウェブページの種別傾向情報を生成することも好ましい。さらに、GPS測位部504から取得した現在位置情報から日時情報の紐づけられたユーザ位置履歴情報を生成してもよい。
【0088】
いずれにしてもこれらの生成された情報(ユーザ行動ログ)は、ユーザ情報決定部514の感情判定部514aにおけるユーザの「気分」判定処理に使用されることも好ましい。また、このように情報提供端末5においては、「ユーザ行動ログ」を自らの装置内で生成し利用することができるので、ユーザの「気分」のような「ユーザ情報」をより速やかに且つ確実に決定することも可能となるのである。
【0089】
さらに、情報提供端末5は、目標取得・設定部511で取得・設定された「目標」や達成度決定部512で決定された「達成度」を、ユーザ達成情報管理サーバ6に送信することも好ましい。これにより、情報提供端末5の他ユーザ達成情報取得部513は、他のユーザの情報提供端末5の「目標」や「達成度」を、ユーザ達成情報管理サーバ6から取得することができる。
【0090】
以上説明したように、情報提供端末5においても、
図1に示した情報提供サーバ1と同様、「ポジティブ情報」の提供によって、ユーザが行動支援のための情報をより受け入れやすい状況・態勢を形成してから、決定された「行動情報」をユーザに提供することが可能となる。なお、情報提供端末5は、このような「ポジティブ情報」及び「行動情報」の提供を、タッチパネル・ディスプレイ506に該当テキスト情報を表示することによって、またはスピーカから該当音声情報を出力することによって、ユーザに対し直接的に実施するのである。
【0091】
[情報提供方法]
図3は、本発明による情報提供方法の一実施形態を概略的に示す模式図である。ちなみに以下、
図1に示した情報提供サーバ1における処理として各ステップを説明しているが、当然、
図2に示した情報提供端末5における処理として捉えることも可能となっている。
【0092】
(ステップS1)達成度決定部112及びユーザ情報決定部114は、「目標」、「ユーザ行動ログ」及び「ユーザ基準情報」から、情報提供対象ユーザにおける「達成度」、「気分」及び「(受けた情報に対する)受容性」を決定する。なお、決定した「達成度」が「目標」達成を示すものである場合、この段階で本情報提供処理を終了してもよい。
【0093】
(ステップS2)情報提供判定部117aは、ステップS1の決定処理後であって所定時間が経過した際、又は所定のトリガ事項(例えば装置1の起動やスリープモードの解除)が発生した際、「ポジティブ情報」及び「行動情報」を提供するか否かの判定を行う。ここで、この判定は、ステップS1で決定された「達成度」、「気分」及び「受容性」のうちの少なくとも1つを判定条件として実施される。
【0094】
ここで、このステップS2の判定において、所定条件の下、遷移確率Pで情報提供を行う設定となっている場合におけるこの遷移確率Pも、ステップS1で決定された「達成度」、「気分」及び「受容性」、並びに他ユーザ達成情報取得部113で取得された他のユーザの「達成度」のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0095】
(ステップS3)ステップS2で情報提供を行うとの判定が行われた場合、支援情報提供部117は、ランダムに選択された待ち時間の経過後、情報提供対象ユーザに対し、「ポジティブ情報」をまず提示させ(ユーザ端末2に表示させ)、その後、さらにランダムに選択された待ち時間の経過後、「行動情報」を提示させる(ユーザ端末2に表示させる)。
【0096】
ここで、提示する「ポジティブ情報」は、ステップS1で決定された「達成度」、「気分」及び「受容性」、並びに他ユーザ達成情報取得部113で取得された他のユーザの「達成度」のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。また、提示する「行動情報」は、ステップS1で決定された「達成度」及び他ユーザ達成情報取得部113で取得された他のユーザの「達成度」のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0097】
なお、1つの好適な実施形態として、提示した「ポジティブ情報」とその後の「達成度」の増分とのログをとっておき、新たに提供する「ポジティブ情報」を選択する際、「達成度」の増分の過去所定期間における平均値が最も多いものを選択することも好ましい。
【0098】
(ステップS4)一方、ステップS2で情報提供を行わないとの判定が行われた場合、次の情報提供処理のタイミングまでウィイトとすべく、所定時間の経過後、再度ステップS1に戻って、以上説明した処理を繰り返す。なお、ユーザより本情報提供処理の終了の指示を受けた場合、この段階で又はステップS3の処理実施後に本処理を終了してもよい。
【0099】
このように本実施形態の情報提供方法によれば、少なくとも設定された「目標」が達成されるまで、ユーザの感情やユーザ特性に応じて適宜(定期的に、所定のトリガによって又は所定のタイミングで)、「ポジティブ情報」及びそれに続く「行動情報」を、行動支援対象のユーザに繰り返し提供することも可能となる。
【0100】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ユーザが「目標」を達成するための行動をとる心理状態になることを促す「ポジティブ情報」を、「行動情報」に先立って(又は同時期に)提供する。その結果、この「ポジティブ情報」の提供によって、ユーザが行動支援のための情報をより受け入れやすい状況・態勢が形成可能となり、ユーザはより確実に、決定された「行動情報」を受け入れることが期待されるのである。
【0101】
以上に述べた本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0102】
1 情報提供サーバ(情報提供装置)
101、501 通信インタフェース
102、502 ユーザ行動ログ保存部
103、503 ユーザ基本情報保存部
111、511 目標取得・設定部
112、512 達成度決定部
113、513 他ユーザ達成情報取得部
114、514 ユーザ情報決定部
114a、514a 感情判定部
114b、514b ユーザ特性判定部
115、515 ポジティブ情報決定部
116、516 行動情報決定部
117、517 支援情報提供部
117a、517a 情報提供判定部
121、521 通信制御部
2 ユーザ端末2
3 ユーザ基本情報管理サーバ
5 情報提供端末(情報提供装置)
504 GPS測位部
505 加速度センサ
506 タッチパネル・ディスプレイ(TP・DP)
507 スピーカ
522 ウェブ閲覧履歴解析部
523 行動ログ生成部
6 ユーザ達成情報管理サーバ
7 ウェブサーバ