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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】作業指示装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220602BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220602BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017205338
(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2019079245
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000233169
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日向野 智裕
(72)【発明者】
【氏名】林 義生
(72)【発明者】
【氏名】早川 豊
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-142521(JP,A)
【文献】特開2013-238914(JP,A)
【文献】特開2006-309577(JP,A)
【文献】特開2017-097604(JP,A)
【文献】特開2000-156398(JP,A)
【文献】実開平04-023232(JP,U)
【文献】特開2016-146381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の設計情報と、前記製品の生産工程の設計情報と、生産に用いる設備の使用予定と、前記設備の使用態様に応じて予め定められた段取り作業およびその予測作業時間と、作業者の作業状態と、を格納する記憶部と、
所定の設備について、該設備において未処理の工程の開始時刻と、該設備における該工程の直前に実施する工程に係る製品の属性との組み合わせに応じて必要となる段取り作業を前記製品の生産工程の設計情報を用いて特定し、特定した前記段取り作業のうち前記設備の占有を要しない外段取り作業およびその予測作業時間と、を特定し、前記予測作業時間を用いて前記未処理の工程の開始時刻以前に前記外段取り作業の作業開始時刻を特定する作業検出部と、
前記外段取り作業に担当可能な作業者を割り当てて作業指示を作成する作業指示作成部と、
前記外段取り作業の作業開始時刻の所定時間前に前記作業者へ前記作業指示を配信する作業指示配信部と、
を備えることを特徴とする作業指示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業指示装置であって、
前記作業検出部は、前記外段取り作業を、前記未処理の工程の開始前に行う必要がある前段取り作業と前記未処理の工程の終了後に行う必要がある後段取り作業とに区別し、
前記作業指示配信部は、前記後段取り作業については前記未処理の工程の前記開始時刻の前後を問わず配信する、
ことを特徴とする作業指示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の作業指示装置であって、
前記作業検出部は、前記外段取り作業を、前記未処理の工程の開始前に行う必要がある前段取り作業と前記未処理の工程の終了後に行う必要がある後段取り作業とに区別し、前記前段取り作業において前記未処理の工程にて用いる部品を搬送する時間を含める、
ことを特徴とする作業指示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の作業指示装置であって、
前記作業検出部は、前記設備の空き状況に応じて、前記未処理の工程にて用いる部品の生産を行う設備からの該部品の搬送先を、前記設備とするか、所定の仮置き場とするか特定し、前記作業者へ前記搬送先を含めて前記作業指示とする、
ことを特徴とする作業指示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の作業指示装置であって、
前記記憶部には、前記作業者について担当作業ごとに担当する優先度が対応付けられて格納され、
前記作業指示作成部は、前記作業者の割り当て処理において、前記外段取り作業について、より高い優先度が対応付けられた前記作業者を割り当てる、
ことを特徴とする作業指示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の作業指示装置であって、
前記記憶部には、前記製品の生産工程の実績情報が格納され、
前記作業指示配信部は、前記実績情報において前記作業者が担当する作業の終了が格納されると、前記作業指示を配信する、
ことを特徴とする作業指示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業指示装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業完了報告を取得する毎に、状態情報取得部によって取得した状態情報に基づいて、手動工程を完了させた作業者が次に行なうべき手動工程を次作業工程として決定し、手動工程を完了させた作業者に対して、次作業工程を通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4935898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、製造設備が実施する工程に付随する段取り作業等の考慮がなされておらず、大規模な工場や、多品種を生産する工場では、準備作業に適切性を欠くことが多くなってしまう。また、対象とする設備における前工程の製品および作業内容に応じて必要な作業要素が変動することがあり、待ち時間の短い作業指示を適時に行うことは難しい。
【0005】
本発明の目的は、より待ち時間の短い作業指示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る作業指示装置は、製品の設計情報と、製品の生産工程の設計情報と、生産に用いる設備の使用予定と、設備の使用態様に応じて予め定められた段取り作業およびその予測作業時間と、作業者の作業状態と、を格納する記憶部と、所定の設備について、該設備において未処理の工程の開始時刻と、該設備における該工程の直前に実施する工程に係る製品の属性との組み合わせに応じて必要となる段取り作業を前記製品の生産工程の設計情報を用いて特定し、特定した前記段取り作業のうち設備の占有を要しない外段取り作業およびその予測作業時間と、を特定し、予測作業時間を用いて未処理の工程の開始時刻以前に外段取り作業の作業開始時刻を特定する作業検出部と、外段取り作業に担当可能な作業者を割り当てて作業指示を作成する作業指示作成部と、外段取り作業の作業開始時刻の所定時間前に作業者へ作業指示を配信する作業指示配信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より待ち時間の短い作業指示装置を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】作業環境の例を示す図である。
図2】作業指示システムの構成例を示す図である。
図3】設備状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図4】主体状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図5】製造物状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図6】在庫状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図7】作業マスタに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図8】指示マスタに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図9】配信マスタに格納されるデータ構造の例を示す図である。
図10】生産計画のデータ構造の例を示す図である。
図11】作業指示装置のハードウェア構成例を示す図である。
図12】段取作業抽出処理の例を示すフローチャートである。
図13】作業指示作成処理の例を示すフローチャートである。
図14】作業指示配信処理(周期実行)の例を示すフローチャートである。
図15】作業指示配信処理(イベント実行)の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一の実施の形態] 以下、本発明に係る第一の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0010】
図1は、作業環境の例を示す図である。作業環境には、作業指示装置100と、倉庫600と、製造ライン700と、が含まれる。作業指示装置100は、作業の指示を行う装置である。倉庫600は、作業環境において生産する製造物の部品(ファン、ファンガード、バッテリー、音楽プレーヤー、ライト等)や、原料となる資材(塗料等)を格納する。図では倉庫600は製造ライン700の遠隔にあるが、これに限られず、例えば製造ライン700と近接していてもよいし、製造ライン700の中に中央集積所のように設けられていても良い。
【0011】
製造ライン700は、製造物を生産する工場等の環境である。製造ラインは、図のように塗装工程と組立・検査工程のように工程別に内部が区切られていても良いし、そうでなくともよい。なお、本製造ラインは音楽プレーヤー付き(モデルにより、明かり付き)多機能扇風機を製造物とする例を挙げるが、これは理解のための例示であり、これに限定されるものでないことは言うまでも無い。
【0012】
例えば、塗装工程では、塗装対象のファンを取り付けるマガジン710、ファンに塗布する塗料を供給する塗料タンク720、ファンに塗料を塗布する塗装設備730、塗料が塗布されたファンを乾燥させる乾燥設備740、塗料タンク720と、塗装設備730と、乾燥設備740と、を操作する操作パネル750、乾燥が完了したファンを溜めおくためのラック760、ラックが満杯になった場合や次工程である組立・検査工程の処理が遅延している場合等に一時的にファンを退避させるための仮置き場770、等の設備と、設備を用いて塗装工程を担当する作業者A800、作業者B810、あるいは図示されないが自動作業や遠隔作業を可能なロボットやフォークリフト等の運搬設備等が配備されている。
【0013】
また、例えば、組立・検査工程では、塗装工程を終えたファンが陳列される部品棚780、ファンとファンガード、バッテリー、音楽プレーヤーを組み付ける作業を行う作業台790、不用品を廃棄するためのゴミ箱795等の設備と、設備を用いて組立・検査工程を担当する作業者C820、作業者D830、あるいは図示されないが自動作業や遠隔作業を可能なロボットやフォークリフト等の運搬設備等が配備されている。また、組立・検査工程を終えた多機能扇風機は、作業者D830により搬出口から搬出され、出荷等の後工程の実施場所へと搬出される。
【0014】
本例において、作業指示装置100は、作業者A800、作業者B810に対して塗装工程に関する作業指示を行い、作業者C820、作業者D830に対して組立・検査工程に関する作業指示を行う。これらの作業指示には、例えば、塗装を開始する指示や、多機能扇風機を組み立てるいわゆる工程作業の主たる作業指示が含まれる。あるいは、塗料タンク720の塗料の色を変更する指示や、マガジン710にファンを取り付けるためにファンを並べる指示、ラック760から仮置き場770へファンを退避する指示、作業台790を片付ける指示等の段取りに関する作業指示も含まれる。
【0015】
ここで、本明細書における用語の定義を示す。特別な例を示した場合や意味が異なることを説明した場合を除き、基本的に用語の意味は当該定義に従うものとする。
【0016】
設備:製造物を処理するための機器(例:製造機械、作業台等)。部品置場:部品を格納する倉庫や棚のこと。部品は設備にロードして使用する場合もある。製品置場:製品を配置する倉庫や棚のこと。設備に製品の搬入場所、搬出場所がある場合もある。製造ライン:複数の設備、部品置場、製品置場を含む、製造物を生産するためのエリアのこと。
【0017】
段取り:設備で製造物を処理する際に発生する前段取り作業および後片付け作業等の後段取り作業。部品や製品をある場所から別の場所へ運ぶ作業も段取りに含まれる。内段取りの段取り作業:設備が前の製造工程を終えていないとできない段取り。設備の占有を伴う。外段取りの段取り作業:設備が前の製造工程を終えていなくてもできる段取り。設備が前の製造工程中であっても段取り作業が可能である。前段取り作業:製造物に対する作業の前に行う段取り。内段取りと外段取りがある。後段取り作業:製造物に対する作業の後に行う段取り。内段取りと外段取りがある。
【0018】
部品配膳作業:部品を格納場所から使用する場所へ運ぶ搬送作業。製造物搬送作業:製品を設備から別の設備や製品置場へ、また、製品置場から設備へ運ぶ搬送作業。
【0019】
図2は、本発明の第一の実施形態に係る作業指示システムの構成例を示す図である。作業指示システム10は、作業指示装置100と、生産計画管理装置200と、製造実績管理装置210と、作業者装置220と、を備え、これらはインターネットやイントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の情報通信ネットワーク50を介して相互に情報の送受信を行うことができる。
【0020】
作業指示装置100は、生産計画管理装置200、製造実績管理装置210からそれぞれ取得した生産計画201、実績情報211の情報に基づいて作業指示221を作業者装置220に配信する。作業指示装置100については、のちに詳述する。
【0021】
生産計画管理装置200は、予め定められたとき又は作業指示装置100からの要求に応じて、生産計画201を作業指示装置100に送信する。生産計画201については、後述するが、設備ごとの製造物の投入予定日時と、処理順を特定する情報が含まれれば足りる。なお、生産計画管理装置200は、1台で全ての作業環境の生産計画201の情報を管理する形態のみならず、作業環境の数だけ設置し、作業環境毎に区分して生産計画201を管理する形態であってもよい。
【0022】
製造実績管理装置210は、予め定められたとき又は作業指示装置100からの要求に応じて、製造に関する実績(ログ)情報211を作業指示装置100に送信する。また、製造実績管理装置210は、実績情報を生産計画管理装置200へ実績情報211として送信する。また、製造実績管理装置210は、作業者装置220から作業者の作業についての状況222を受信する。なお、製造実績管理装置210は、1台で全ての作業環境の実績情報を管理する形態のみならず、作業環境の数だけ設置し、作業環境毎に区分して実績情報を管理する形態であってもよい。
【0023】
作業者装置220は、作業環境において作業者が作業指示を受け取ることができる装置である。作業者装置220は、作業指示装置100からの作業指示221の配信に応じて、作業者に作業指示221の内容を伝達する。また、作業者装置220は、作業の開始終了等の状況を特定する情報を製造実績管理装置210へ状況222として送信する。
【0024】
生産計画管理装置200と、製造実績管理装置210と、作業者装置220とは、対象とする製造現場を管理するMES(Manufacturing Executing System)より得られる生産実績情報データ、工程経路情報データ、生産設備情報データ、工程設計情報データなどを抽出して、作業指示装置100の制御部120(図2参照)に、情報通信ネットワーク50を介して送信する形態をとることも可能である。
【0025】
作業指示装置100は、図示するように、記憶部110と、制御部120と、通信部130と、を備える。
【0026】
記憶部110は、動的情報、すなわち実績値として、設備状態テーブル111と、主体状態テーブル112と、製造物状態テーブル113と、在庫状態テーブル114と、を格納する。また、記憶部110は、静的情報、すなわち設計情報として、作業マスタ115と、指示マスタ116と、配信マスタ117と、を格納する。
【0027】
設備状態テーブル111は、設備ごとに、その設備の状態や状況を示す情報である。例えば、「状態」としては「処理中」、「スタンバイ中」、「メンテナンス中」、「停止中」等の設備の状態を特定する情報が含まれる。また、処理中の製造物のシリアルや、搬入場所の空き状態を特定する情報も設備状態テーブル111に含まれる。
【0028】
主体状態テーブル112は、作業者や作業ロボット等の作業工程の担当主体ごとに、その状態や状況を示す情報である。例えば、「状態」としては「作業中」、「手空き中」等の主体の状態を特定する情報が含まれる。また、実施中の作業内容や、位置を特定する情報も主体状態テーブル112に含まれる。
【0029】
製造物状態テーブル113は、製造物ごとに、その状態や状況を示す情報である。例えば、「状態」としては「処理中」、「施設空き待ち中」、「廃棄済み」、「出荷待ち」、「出荷済み」等の製造物の状態を特定する情報が含まれる。また、仕掛工程や、工程開始時刻、位置を特定する情報も製造物状態テーブル113に含まれる。
【0030】
在庫状態テーブル114は、部品ごとに、その置き場所や数量を示す情報である。例えば、「置き場所」としては「倉庫」等の在庫物の管理場所を特定する情報が含まれる。
【0031】
作業マスタ115は、各種の作業に係る予め定められた情報である。例えば、製造物の属性情報等の製品の設計情報、製品の生産工程の設計情報である工程ごとの使用設備や作業主体(たとえば、作業者や自動搬送車やロボットである)に求められる能力、工程のデフォルトの標準作業時間、子部品とその数、部品の搬送手段と搬送速度、設備ごとの段取り条件(使用態様)ごとの段取りの標準作業時間等が含まれる。
【0032】
指示マスタ116は、作業指示に係る予め定められた情報である。例えば、主体ごとの担当可能作業とその主体内での担当作業の優先度、段取り作業の作業条件に応じた主体割付のためのソートルール、作業指示に含めるテンプレート文章等が含まれる。
【0033】
配信マスタ117は、作業指示の配信に係る予め定められた情報である。例えば、作業種類と作業条件、作業指示の配信先、コンピュータにおける配信の処理方法を特定する情報が含まれる。
【0034】
制御部120には、生産計画取得部121と、動的情報すなわち実績値を取得する処理部として、設備状態取得部122、作業主体状態取得部123、製造物状態取得部124、部品在庫情報取得部125の各状態取得部と、作業検出部126と、作業指示作成部127と、作業指示配信部128と、が含まれる。
【0035】
生産計画取得部121は、所定のタイミングで、生産計画管理装置200から生産計画201を取得する。生産計画201は、図10に示すデータ構造を有する。
【0036】
図10は、生産計画のデータ構造の例を示す図である。生産計画201には、製造物201aと、投入日時201bと、設備201cと、工程主体201dと、段取主体201eと、設備ごとの処理順201fと、が対応付けられて格納される。製造物201aは、製造物を特定する情報である。投入日時201bは、当該製造物を製造するために原料等を投入する日時を特定する情報である。設備201cは、製造物を製造するために用いる設備を特定する情報である。工程主体201dは、製造物を製造する工程を担当する主体の指定がある場合にその主体を特定する情報である。段取主体201eは、製造物を製造する工程の段取を担当する主体の指定がある場合にその主体を特定する情報である。設備ごとの処理順201fは、設備201cにより特定される設備において当該製造物201aが処理される順を特定する情報である。つまり、生産計画201は、生産に用いる設備の使用予定の情報を含むといえる。
【0037】
図2の説明に戻る。設備状態取得部122は、設備状態の情報を製造実績管理装置210から実績情報211として取得し、設備状態テーブル111へ格納する。作業主体状態取得部123は、作業主体状態の情報を製造実績管理装置210から実績情報211として取得し、主体状態テーブル112へ格納する。製造物状態取得部124は、製造物状態の情報を製造実績管理装置210から実績情報211として取得し、製造物状態テーブル113へ格納する。部品在庫情報取得部125は、部品在庫の情報を製造実績管理装置210から実績情報211として取得し、在庫状態テーブル114へ格納する。
【0038】
作業検出部126は、生産計画201を解析して、作業指示を行うべき段取り作業を検出する。具体的には、作業検出部126は、所定の設備について、該設備において未処理の工程の開始時刻と、該設備における該工程の直前の工程との関係に応じた使用態様において必要な段取り作業のうち、外段取り作業およびその予測作業時間を特定し、予測作業時間を用いて未処理の工程の開始時刻以前に外段取り作業の作業開始時刻を特定することにより、段取り作業を検出する。
【0039】
作業指示作成部127は、外段取り作業に担当可能な作業者を割り当てて作業指示を作成する。具体的には、作業指示作成部127は、作業検出部126が検出した段取り作業について、その開始時刻に作業空きのある作業者を割り当てて作業指示を完成させる。必要な作業者数よりも割り当て可能な作業者が多い場合には、作業指示作成部127は、作業割り当てルールに従って作業者に優先順位を設け、作業者を割り当てる。
【0040】
作業指示配信部128は、外段取り作業の作業開始時刻の所定時間前に作業者へ作業指示を配信する。具体的には、作業指示配信部128は、作業指示作成部127が作成した作業指示について、その作業の開始時刻以前に作業者装置220へ配信する。なお、この配信のタイミングは、その作業の開始時刻直前のタイミングが望ましく、さらには、作業者の位置から設備位置への移動時間を開始時刻から前倒したタイミングが望ましい。
【0041】
通信部130は、情報通信ネットワーク50を介した他の装置との情報の送受信を行う。
【0042】
図3は、設備状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。設備状態テーブル111には、設備ID111aと、状態111bと、処理中製造物シリアル111c、搬入場所空き状態111dが含まれる。設備ID111aは、設備を特定する情報である。状態111bは、設備の状態を特定する情報である。処理中製造物シリアル111cは、設備において処理中の製造物の個体を識別するシリアルの情報である。搬入場所空き状態111dは、設備にて処理する部品の搬入場所の空き状態を特定する情報である。
【0043】
図4は、主体状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。主体状態テーブル112には、主体ID112aと、状態112bと、実施中作業112cと、現在位置112dとが含まれる。主体ID112aは、主体を特定する情報である。状態112bは、主体の状態を特定する情報である。実施中作業112cは、主体が実施中の作業工程あるいは段取り作業を特定する情報である。現在位置112dは、主体のいる(ある)位置を特定する情報である。
【0044】
図5は、製造物状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。製造物状態テーブル113には、製造物シリアル113aと、数量113bと、状態113c、仕掛工程113dと、工程開始時刻113eと、現在位置113fとが含まれる。製造物シリアル113aは、製造物を特定する情報である。数量113bは、製造物の製造対象の数量を特定する情報である。状態113cは、製造物の処理状態を特定する情報である。仕掛工程113dは、製造物に施されている処理中の作業工程あるいは段取り作業を特定する情報である。工程開始時刻113eは、仕掛工程が開始された時刻を特定する情報である。現在位置113fは、製造物の存在する位置を特定する情報である。
【0045】
図6は、在庫状態テーブルに格納されるデータ構造の例を示す図である。在庫状態テーブル114には、部品ID114aと、置き場所114bと、数量114cと、が含まれる。部品ID114aは、在庫管理対象の部品を特定する情報である。置き場所114bは、部品の保管場所を特定する情報である。この置き場所114bは、部品の個体の場所を特定するものであることが望ましいが、これに限られず、例えば国、地方、県等の地域や、A工場、B工場等の管理単位、あるいは倉庫番号等の一定の範囲を特定するものであっても良い。数量114cは、部品の在庫数を特定する情報である。
【0046】
図7は、作業マスタに格納されるデータ構造の例を示す図である。作業マスタ115には、製造物シリアル115aと、初期数量115bと、属性115cと、工程フロー115dと、工程115eと、使用可能設備115fと、作業主体要求能力と数115gと、標準作業時間115hと、子部品と数115iと、段取り作業115jと、設備ID115kと、段取115mと、搬出先と優先度115nと、搬入場所容量115pと、部品115rと、種類115sと、搬送手段と搬送速度115tと、段取条件115uと、属性タイプ115vと、前処理属性115wと、属性115xと、標準作業時間115yと、作業主体要求能力と数115zと、を含む。
【0047】
製造物シリアル115aは、製造物の個体を特定する情報である。初期数量115bは、製造開始前に既に製造された状態にある量を特定する情報である。属性115cは、製造物の特徴となり、製造工程に影響のある属性(塗装の色や、付加部品の有無、あるいは材質やサイズ、重さ等のバリエーション)を特定する情報である。工程フロー115dは、製造物を製造する工程の流れを特定する情報である。工程115eは、工程を特定する情報である。使用可能設備115fは、工程を実施するのに使用可能な設備を特定する情報である。作業主体要求能力と数115gは、工程作業を担当する主体に求められる能力とその数を特定する情報である。標準作業時間115hは、工程の標準作業時間である。子部品と数115iは、子部品とその部品ごとの数を特定する情報である。段取り作業115jは、工程の前後、内外の段取り作業が付随する場合には、その段取作業を特定する情報である。
【0048】
設備ID115kは、設備を特定する情報である。段取115mは、設備ごとの段取条件の総体を特定する情報である。搬出先と優先度115nは、設備から工程を終えた製造物の搬出先の場所とその搬出場所の優先度を特定する情報である。搬入場所容量115pは、設備において工程の対象となる部品を搬入する場所の容量を特定する情報である。部品115rは、部品を特定する情報である。種類115sは、部品の種類を特定する情報である。搬送手段と搬送速度115tは、該部品を搬送するのに用いる手段とその手段による搬送速度を特定する情報である。
【0049】
段取条件115uは、所定の設備における前後の工程の属性の関係の組み合わせを特定する情報である。属性タイプ115vは、属性の組み合わせの基準とする属性タイプを特定する情報である。前処理属性115wは、先に実施する工程の属性を特定する情報である。属性115xは、後に実施する工程の属性を特定する情報である。標準作業時間115yは、段取り条件が成立する場合の段取り作業の標準作業時間を特定する情報である。作業主体要求能力と数115zは、段取り作業を担当する主体に求められる能力とその数を特定する情報である。
【0050】
図8は、指示マスタに格納されるデータ構造の例を示す図である。指示マスタ116には、主体ID116aと、担当可能能力と優先度116bと、作業種類116cと、作業条件116dと、第一ソートキー116eと、第二ソートキー116fと、第nソートキー116gと、作業指示テンプレート116hと、作業指示付加情報116kと、を含む。
【0051】
主体ID116aは、工程作業を担う作業者やロボット等の主体を特定する情報である。担当可能能力と優先度116bは、工程作業を担当する主体が実行可能な能力(作業)とその主体における作業担当の優先度とを特定する情報である。
【0052】
作業種類116cは、工程作業であるのか段取りであるのか、段取りであれば内段取りか外段取りか、前段取りか後段取りか、を特定する情報である。作業条件116dは、作業の内容を特定する情報である。第一ソートキー116eと、第二ソートキー116fと、第nソートキー116gとは、当該作業に作業主体を割り当てる処理において作業主体の候補数が超過する場合、いずれの作業主体に作業を優先して割り当てるかを特定するルールとなる情報である。作業指示テンプレート116hは、自然言語による作業指示に用いる文章のテンプレートである。作業指示付加情報116kは、自然言語以外の作業指示に用いる情報、例えば制御情報や映像情報等の情報である。
【0053】
図9は、配信マスタに格納されるデータ構造の例を示す図である。配信マスタ117には、作業種類117aと、主体ID117bと、作業条件117cと、配信先アドレス117dと、配信方法117eと、を含む。
【0054】
作業種類117aは、工程作業であるのか段取りであるのか、段取りであれば内段取りか外段取りか、前段取りか後段取りか、を特定する情報である。主体ID117bは、指示対象の作業主体を特定する情報である。作業条件117cは、作業の内容を特定する情報である。配信先アドレス117dは、作業主体に対して作業指示を配信する際に用いるあて先となる情報であり、例えばIP(Internet Protocol)アドレス、あるいは電子メールアドレス、その他SNS(Social Networking Service)のアカウント等の情報が含まれる。配信方法117eは、作業指示を配信する際に行うべきコンピュータ上の手続き(ローカルコマンドの実行やリモートコマンドの呼び出し等)を特定する情報である。
【0055】
図11は、作業指示装置のハードウェア構成例を示す図である。作業指示装置100は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)901と、メモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。
【0056】
例えば、制御部120は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、通信部130は、CPU901が通信装置908を利用することで実現可能であり、記憶部110は、CPU901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
【0057】
この所定のプログラムは、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。
【0058】
また、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
【0059】
なお、生産計画管理装置200と、製造実績管理装置210と、作業者装置220も、図11に示すような一般的なコンピュータ900で実現可能である。なお、作業者装置220は、これに限られず、例えばヘッドセットやゴーグル、眼鏡、インカム等の、作業者が身に着けられるウェアラブルコンピュータであってもよい。
【0060】
図12は、段取作業抽出処理の例を示すフローチャートである。まず、作業検出部126は、設備Xの処理中の作業工程Y1と終了時刻T1を特定する(ステップS001)。具体的には、作業検出部126は、作業指示を行う対象とする設備を、生産計画201に含まれる設備から一つ特定して設備Xとする。そして、作業検出部126は、当該設備Xの処理現在の時刻において作業中の作業工程Y1を設備状態テーブル111および製造物状態テーブル113を参照して特定する。そして、作業検出部126は、作業工程Y1の工程開始時刻について製造物状態テーブル113を参照して特定し、作業マスタ115の標準作業時間115hを工程開始時刻に足して終了時刻T1とする。
【0061】
次に、作業検出部126は、設備Xの次工程である作業工程Y2を選択する(ステップS002)。具体的には、作業検出部126は、生産計画201を参照して、設備Xについて、設備ごとの処理順201fが処理中の作業工程Y1の次にあたる製造物の工程を次工程である作業工程Y2として選択する。
【0062】
次に、作業検出部126は、設備Xにおける作業工程Y1の後内段取り作業Y11と後外段取り作業Y12を特定する(ステップS003)。具体的には、作業検出部126は、作業マスタ115を参照して、設備Xの段取り作業115jの後内段取り作業Y11と後外段取り作業Y12を特定する。
【0063】
次に、作業検出部126は、設備Xにおける作業工程Y1後から次作業工程Y2へ続ける場合の作業工程Y1の後内段取りの作業時間YT11を特定し、設備Xが使用可能となる時刻T2をT1+YT11により算出する(ステップS004)。具体的には、作業検出部126は、ステップS003で特定した後内段取り作業Y11について、生産計画201と作業マスタ115を参照して、作業工程Y1の製造物の属性を前処理属性115w、作業工程Y2の製造物の属性を属性115xに対応付けて組み合わせに合致する段取条件を特定し、その組み合わせに係る標準作業時間115yを後内段取りの作業時間YT11として特定する。そして、作業検出部126は、設備Xが使用可能となる時刻T2をT1+YT11により算出する。
【0064】
次に、作業検出部126は、設備Xにおける作業工程Y1後から次作業工程Y2へ続ける場合の作業工程Y2の前内段取りの作業Y21と、前外段取の作業Y22および前外段取の作業Y22の作業時間YT22を特定する(ステップS005)。具体的には、作業検出部126は、作業マスタ115を参照して、設備Xの段取り作業115jの前内段取り作業Y21と前外段取り作業Y22を特定する。そして、作業検出部126は、前外段取り作業Y22について、生産計画201と作業マスタ115を参照して、作業工程Y1の製造物の属性を前処理属性115w、作業工程Y2の製造物の属性を属性115xに対応付けて組み合わせに合致する段取条件を特定し、その組み合わせに係る標準作業時間115yを前外段取りの作業時間YT22として特定する。なお、作業検出部126は、段取り作業において部品や原料の在庫が不足する場合には、その保管場所から設備への搬送に係る時間をその搬送速度と搬送距離に応じて算出し、前外段取りの作業時間YT22に加えてもよい。
【0065】
次に、作業検出部126は、設備Xにおける次作業工程Y2の前外段取り作業の開始予定時刻T3を、T2-YT22により算出する(ステップS006)。具体的には、作業検出部126は、設備Xの次作業工程Y2の前外段取り作業の開始予定時刻T3をT2-YT22により算出する。
【0066】
次に、作業検出部126は、設備Xにおける後内段取り作業Y11、後外段取り作業Y12、前内段取り作業Y21、前外段取り作業Y22を作業リストへ追加する(ステップS007)。
【0067】
以上が、段取作業抽出処理の流れである。段取作業抽出処理によれば、前後の工程の属性の組み合わせに応じて、段取り作業に必要な時間を詳細に決定することができるため、より待ち時間の短い作業指示装置を提供することができる。
【0068】
図13は、作業指示作成処理の例を示すフローチャートである。まず、作業指示作成部127は、作業主体ごとの空き時間帯を特定する(ステップS101)。具体的には、作業指示作成部127は、生産計画201と、主体状態テーブル112と、を参照して、作業主体ごとに、作業を担当する時間帯と担当しない時間帯とを特定する。
【0069】
そして、作業指示作成部127は、作業リスト内の作業主体が未割当の段取作業のそれぞれについて、後述のステップS102とステップS103の処理を行う。
【0070】
作業指示作成部127は、空き時間帯の作業主体を段取作業の要求能力の優先度に従いソートし割り当てる(ステップS102)。具体的には、作業指示作成部127は、作業主体が未割当の段取作業の時間帯が作業を担当しない時間帯にあたる作業主体を抽出し、段取作業の要求能力を満たす作業主体について優先度に従いソートし、作業主体として要求数だけ順に割り当てる。例えば、担当可能能力と優先度116bの塗料交換の優先度が「1」、切断の優先度が「2」、塗装機操作の優先度が「3」、搬送の優先度が「4」の作業者A800と、組立作業の優先度が「1」、塗装機操作の優先度が「2」、塗料交換の優先度が「3」の作業者C820とが空き時間帯の作業主体である場合に、塗料交換の段取作業を割り当てる処理においては、作業指示作成部127は、塗料交換の優先度がより高い「1」である作業者A800を当該段取作業の担当に割り当てる。
【0071】
なお、これに限られず、作業指示作成部127は、指示マスタ116を参照して、第二ソートキー116f~第nソートキー116gを用いて、作業主体の優先付けを行い、作業の担当に割り当てても良い。例えば、第一ソートキー116eの「優先度」では優先順に差が出ない場合に、第二ソートキー116f「設備からの距離」を用いて、作業主体の現在位置が作業の設備から近い順に作業主体の割り当てを優先するようにしても良い。
【0072】
作業指示作成部127は、指示マスタ116の作業指示テンプレート116hを用いて作業指示を作成する(作業主体、配信方法特定)(ステップS103)。具体的には作業指示作成部127は、段取作業に係る指示マスタ116の作業指示テンプレート116hを読み込み、設備、時刻、作業内容に係るパラメータを動的に文章に埋め込んで、作業主体および配信方法を特定して作業指示を作成する。なお、作業指示作成部127は、設備の空き状況に応じて、未処理の工程にて用いる部品の生産を行う設備からの該部品の搬送先を、次工程の設備とするか、所定の仮置き場とするか特定し、作業者へ搬送先を含めて作業指示とする。
【0073】
以上が、作業指示作成処理の流れである。段取作業抽出処理によれば、段取り作業に必要な作業主体について、作業の優先度を用いて適切に決定することができるため、より効率よく作業を作業主体へ指示することができる。
【0074】
図14は、作業指示配信処理(周期実行)の例を示すフローチャートである。作業指示配信処理(周期実行)は、例えば30分ごと等、周期的に実行される。まず、作業指示配信部128は、未配信の作業指示のそれぞれについて、後述のステップS201~ステップS203の処理を行う。
【0075】
作業指示配信部128は、作業指示配信日時が処理現在の日時以前であるか否かを判定する(ステップS201)。作業指示配信日時が処理現在の日時以前でない場合(ステップS201にて「No」の場合)には、作業指示配信部128は、次の未配信の作業指示へ制御を進める。
【0076】
作業指示配信日時が処理現在の日時以前の場合(ステップS201にて「Yes」の場合)には、作業指示配信部128は、作業指示を作業主体へ配信方法に従い配信する(ステップS202)。そして、作業指示配信部128は、作業指示を配信済みとする(ステップS203)。つまり、作業指示配信部128は、後段取り作業については未処理の工程の開始時刻の前後を問わず配信することとなる。
【0077】
以上が、作業指示配信処理(周期実行)の流れである。作業指示配信処理(周期実行)によれば、作業指示配信日時が処理現在の日時以前の作業について周期的に作業指示を配信することができる。
【0078】
図15は、作業指示配信処理(イベント実行)の例を示すフローチャートである。作業指示配信処理(イベント実行)は、例えば作業者のいずれかが作業者端末220から作業完了の状況を製造実績管理装置210に通知した場合に、実績情報211として作業指示装置100が製造実績管理装置210から受け渡されると実行される。まず、作業指示配信部128は、未配信の作業指示のそれぞれについて、後述のステップS301~ステップS305の処理を行う。
【0079】
まず、作業指示配信部128は、作業主体の未配信作業指示のうち、最小日時のものを特定する(ステップS301)。
【0080】
そして、作業指示配信部128は、未配信作業指示が特定できたか否かを判定する(ステップS302)。作業指示が特定できない場合(ステップS302にて「No」の場合)には、作業指示配信部128は、作業指示作成部127に作業指示を再作成させ(ステップS303)、ステップS301へ制御を戻す。
【0081】
作業指示が特定できた場合(ステップS302にて「Yes」の場合)には、作業指示配信部128は、作業指示を作業主体へ配信方法に従い配信する(ステップS304)。そして、作業指示配信部128は、作業指示を配信済みとする(ステップS305)。
【0082】
以上が、作業指示配信処理(イベント実行)の流れである。作業指示配信処理(イベント実行)によれば、作業指示配信日時が処理現在の日時以前の作業について、作業の状態が変更されるタイミングにあわせて、作業指示を配信することができる。つまり、より待ち時間の短い作業指示装置を提供することができる。
【0083】
[第二の実施の形態] 次に、本発明の第二の実施形態に係る作業指示システムについて説明する。第二の実施形態では、作業指示装置100は、作業者装置220へ作業指示を配信後に、作業者装置220から作業の拒絶を受け付けると、作業指示作成部127は、当該作業指示を取り消し、拒絶した作業主体を除外して作業主体を改めて割り当て、作業指示配信部128が都度配信する。
【0084】
このように、第二の実施形態に係る作業指示装置100によれば、作業を開始できない状態にある作業主体に作業指示を行った場合等に発生する作業を開始できる状態になるまでの待ち時間を減らし、実態に合わせた柔軟な作業指示を行うことができるため、より待ち時間の短い作業指示装置を提供することができる。
【0085】
上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
【0086】
また、上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0087】
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0088】
10・・・作業指示システム、50・・・情報通信ネットワーク、100・・・作業指示装置、110・・・記憶部、111・・・設備状態テーブル、112・・・主体状態テーブル、113・・・製造物状態テーブル、114・・・在庫状態テーブル、115・・・作業マスタ、116・・・指示マスタ、117・・・配信マスタ、120・・・制御部、121・・・生産計画取得部、122・・・設備状態取得部、123・・・作業主体状態取得部、124・・・製造物状態取得部、125・・・部品在庫情報取得部、126・・・作業検出部、127・・・作業指示作成部、128・・・作業指示配信部、130・・・通信部、200・・・生産計画管理装置、210・・・製造実績管理装置、220・・・作業者装置、600・・・倉庫、700・・・製造ライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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