(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】キャブ
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20220602BHJP
B62D 33/06 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
E02F9/16 A
B62D33/06 A
(21)【出願番号】P 2018027305
(22)【出願日】2018-02-19
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北荘 正人
(72)【発明者】
【氏名】竜田 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】和田 啓史
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼口 正彦
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-313364(JP,A)
【文献】特開2004-306893(JP,A)
【文献】実開平04-134569(JP,U)
【文献】特開2008-106606(JP,A)
【文献】特開2002-054179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00- 9/16
B62D 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のキャブであって、
窓と、
前記窓が固定されたフレーム部と、
前記窓の上端と前記フレーム部との間に形成された溝部と、を備え
、
前記窓は、後面窓であり、
前記フレーム部には、前記後面窓が固定されており、
前記溝部は、前記後面窓の上端と前記フレーム部との間に形成された後面溝部であり、
前記フレーム部に固定され、前記後面窓に隣接して配置された後側面窓と、
前記後側面窓の上端と前記フレーム部との間に形成された後側面溝部と、を更に備え、
前記後側面溝部の高さは、前記後面溝部の高さ以下である、
キャブ。
【請求項2】
前記後側面溝部は、前方に向かうに従って下方に傾斜している、
請求項
1に記載のキャブ。
【請求項3】
前記後側面窓の前縁が固定されたピラーを更に備え、
前記後側面溝部は、前記ピラーまで形成されている、
請求項
1または2に記載のキャブ。
【請求項4】
前記後面窓と前記後側面窓の間に設けられたシーリング部を更に備えた、
請求項
1に記載のキャブ。
【請求項5】
前記シーリング部は、前記後側面溝部と前記後面溝部の間に配置されている、
請求項4に記載のキャブ。
【請求項6】
作業機械のキャブであって、
窓と、
前記窓が固定されたフレーム部と、
前記窓の上端と前記フレーム部との間に形成された溝部と、を備え、
前記窓は、後面窓であり、
前記フレーム部には、前記後面窓が固定されており、
前記溝部は、前記後面窓の上端と前記フレーム部との間に形成された後面溝部であり、
前記後面窓と前記フレーム部の間に配置された第1ゴム部と、
前記第1ゴム部の上側に設けられ、前記後面窓と前記フレーム部を接着する第1接着剤と、を更に備え、
前記後面溝部は、前記第1接着剤と前記フレーム部と前記後面窓に囲まれて形成されている、
キャブ。
【請求項7】
前記後面窓と前記フレーム部の間に配置された第1ゴム部と、
前記第1ゴム部の上側に設けられ、前記後面窓と前記フレーム部を接着する第1接着剤と、
前記後側面窓と前記フレーム部の間に配置された第2ゴム部と、
前記第2ゴム部の上側に設けられ、前記後側面窓と前記フレーム部を接着する第2接着剤と、を更に備え、
前記後面溝部は、前記第1接着剤と前記フレーム部と前記後面窓に囲まれて形成されており、
前記後側面溝部は、前記第2接着剤と前記フレーム部と前記後側面窓に囲まれて形成されている、
請求項
1に記載のキャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホイールローダやブルドーザ、油圧ショベルなどの建設機械には、オペレータの居住空間となるキャブが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に示すキャブには窓が設けられており、視界が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のキャブでは、窓の上端までシーリングが施されていたので、窓の上側に落下した雨水が窓の表面側に廻り込んでいた。このため、雨水が窓の表面を伝って落下し、オペレータが後方を確認し難くなっていた。
本発明は、雨天においても視認性が高いキャブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明にかかるキャブは、作業機械のキャブであって、窓と、フレーム部と、溝部と、を備える。フレーム部は、窓が固定されている。溝部は、窓の上端とフレーム部との間に形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、雨天においても視認性が高いキャブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明にかかる実施の形態におけるホイールローダを示す側面図。
【
図3】
図1のホイールローダのキャブを示す側面図。
【
図7】
図3のキャブの天井部およびカバー部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明にかかる実施の形態のホイールローダについて図面を参照しながら以下に説明する。
<1.構成>
(1-1.ホイールローダ1の構成の概要)
図1は、本実施の形態のホイールローダ1の構成を示す模式図である。
図2は、本実施の形態のホイールローダ1の平面図である。本実施の形態のホイールローダ1は、
図1及び
図2に示すように、車体フレーム2と、作業機3と、一対のフロントタイヤ4、キャブ5、エンジンルーム6、および一対のリアタイヤ7と、を備えている。なお、以下の説明における「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、及び「下」とは運転席から前方を見た状態を基準とする方向を示す。「車幅方向」と「左右方向」は同義である。前後方向Xと車幅方向Yが、図示されている。「車幅方向の外側」とは作業機械の車幅方向の中心から離れる側を示す。
【0009】
ホイールローダ1は、作業機3を用いて土砂積み込み作業などを行う。
車体フレーム2は、いわゆるアーティキュレート式であり、フロントフレーム11とリアフレーム12と、連結軸部13と、を有している。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置されている。連結軸部13は、車幅方向Yの中央に設けられており、フロントフレーム11とリアフレーム12を互いに揺動可能に連結する。一対のフロントタイヤ4は、フロントフレーム11の左右に取り付けられている。また、一対のリアタイヤ7は、リアフレーム12の左右に取り付けられている。
【0010】
作業機3は、図示しない作業機ポンプからの作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム14と、バケット15と、リフトシリンダ16と、バケットシリンダ17と、を有する。ブーム14は、フロントフレーム11に装着されている。バケット15は、ブーム14の先端に取り付けられている。
リフトシリンダ16およびバケットシリンダ17は、油圧シリンダである。リフトシリンダ16の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、リフトシリンダ16の他端はブーム14に取り付けられている。リフトシリンダ16の伸縮により、ブーム14が上下に揺動する。バケットシリンダ17の一端はフロントフレーム11に取り付けられており、バケットシリンダ17の他端はベルクランク18を介してバケット15に取り付けられている。バケットシリンダ17が伸縮することによって、バケット15が上下に揺動する。
【0011】
キャブ5は、リアフレーム12上に載置されている。エンジンルーム6は、キャブ5の後側であってリアフレーム12上に配置されており、カバー6aによって覆われている。エンジンルーム6には、作動油タンクおよびエンジンなどが収納されている。
【0012】
(1-2.キャブ5)
図3は、キャブ5の側面図である。
図4は、キャブ5の平面図である。
図5は、キャブ5の背面図である。
図6は、
図4のVV´間の矢示断面図である。
図6では、キャブ5の運転席、ドアなどは省略されている。
キャブ5は、
図3に示すように、内部に空間Sを有し、その空間Sには、運転席やステアリング操作のためのハンドルやジョイスティックレバー、作業機3を操作するためのレバー、各種の表示装置等が配置されている。
キャブ5は、
図3に示すように、床部21と、天井部22と、左右一対の前方ピラー23と、左右一対の後方ピラー24と、前方窓25と、後方窓26と、前方パネル部27と、後方パネル部28と、ドア29と、カバー部材32と、フレーム部33と、を有する。
【0013】
床部21は、内部空間Sの下方に位置し、運転席の床を構成する。床部21は、リアフレーム12に固定されている。天井部22は、内部空間Sの上方に位置し、床部21に対向する。前方ピラー23および後方ピラー24は、それぞれ左右一対で構成されている。前方ピラー23は、左前方ピラーと右前方ピラーを有する。後方ピラー24は、左後方ピラーと右後方ピラーを有する。前方ピラー23および後方ピラー24は、上下方向に配置されている。前方窓25は、運転席の前側に位置する。後方窓26は、運転席の後側に位置する。前方パネル部27は、前方窓25の中央の前面窓251の下側に配置されている。後方パネル部28は、後方窓26の下側に配置されている。ドア29は、キャブ5の左側面側および右側面側に配置されている。カバー部材32は、天井部22の後端に取り付けられている。フレーム部33は、天井部22の周縁に沿って下側に設けられており、前方ピラー23、後方ピラー24、前方窓25、後方窓26等が固定されている。
【0014】
(1-3.天井部22、カバー部材32)
図7は、天井部22およびカバー部材32を示す斜視図である。天井部22は、
図7に示すように、天板41と、側板43と、側板44と、を有する。
天板41は、一枚の板をプレス加工することによって形成されている。天板41は、
図4および
図7に示すように、平面視において概ね四角形状であり、対向する一方の縁の組(前縁41aおよび後縁41b)が前後方向Xに配置されており、他方の縁の組(左縁41cおよび右縁41d)が車幅方向Yに配置されている。
【0015】
側板43は、天板41の左縁41cの後部であって天板41の下側に固定されている。側板43は、天板41に対して概ね垂直に、前後方向Xに沿って配置されている。側板44は、
図7に示すように、右縁41dの後部であって天板41の下側に固定されている。側板44は、天板41に対して概ね垂直に、前後方向Xに沿って配置されている。側板43と側板44は、車幅方向Yにおいて対向して配置されている。
【0016】
天板41は、前縁41aよりも後縁41bの方が低くなるように湾曲している。これによって天板41に落下した雨水は後方へと流れる。
カバー部材32は、天井部22の後側に配置されている。カバー部材32は、
図7に示すように、上部81と、左側部82と、右側部83とを有する。
上部81は、天板41の後縁41bに沿うように車幅方向Yに長く形成されている。
左側部82は、上部81の左端から下方に向かって形成されている。左側部82は、側板43の後側に配置されている。
右側部83は、
図7に示すように、上部81の右端から下方に向かって形成されている。右側部83は、側板44の後側に配置されている。
【0017】
(1-4.フレーム部33)
フレーム部33は、天井部22の天板41の下側であって天板41の周縁(前縁41a、後縁41b、左縁41cおよび右縁41d)に沿って配置されている。フレーム部33は、天板41の周縁に沿って配置された複数のフレーム部材331、332、333、334を主に有している。フレーム部材331、332、333、334は梁の機能を有する。
【0018】
フレーム部材331は、
図3に示すように、天板41の前縁41aに沿って形成されている。フレーム部材331には、前方窓25の前面窓251(後述する)が固定される。フレーム部材332は、
図5および
図6に示すように、後縁41bに沿って形成されている。フレーム部材332には、後方窓26の後面窓261(後述する)が固定される。
フレーム部材333は、天板41の左縁41cに沿って形成されている。フレーム部材333は、
図3および
図5に示すように、フレーム部材332の左端から前方に向かって形成されている。フレーム部材333の後方ピラー24より後側の部分は、前方に向かうに従って左方向(外側)に向かうように傾斜して形成されている(
図3および
図4参照)。フレーム部材333の後方ピラー24より後側の後部分には、左側の後側面窓262(後述する)が固定される。
【0019】
フレーム部材334は、天板41の右縁41dに沿って形成されている。フレーム部材334は、
図5および
図6に示すように、フレーム部材332の右端から前方に向かって形成されている。フレーム部材334の後方ピラー24より後側の部分は、前方に向かうに従って右方向(外側)に向かうように傾斜して形成されている(
図4および
図6参照)。フレーム部材334の後方ピラー24より後側の部分には、左側の後側面窓262(後述する)が固定される。
【0020】
(1-5.前方ピラー23、後方ピラー24)
前方ピラー23は、キャブ5の車幅方向Yにおける左右の双方に配置されている。
左側の前方ピラー23は、
図3に示すように、床部21とフレーム部材333を繋ぐように上下方向に沿って配置されており、右側の前方ピラー23は、
図6に示すように、床部21とフレーム部材334を繋ぐように上下方向に沿って配置されている。左右の前方ピラー23は、フレーム部材333、334を介して天井部22を支持している。
【0021】
後方ピラー24は、キャブ5の車幅方向Yにおける左右の双方に配置されている。左側の後方ピラー24は、床部21とフレーム部材333を繋ぐように上下方向に沿って配置されており、右側の後方ピラー24は、床部21とフレーム部材334を繋ぐように上下方向に沿って配置されている。左右の後方ピラー24は、フレーム部33を介して天井部22を支持している。後方ピラー24は、前方ピラー23の後方に所定の間隔を空けて配置されている。
【0022】
(1-6.前方窓25、前方パネル部27)
前方窓25は、左右の前方ピラー23の間に設けられており、運転席の前方に配置されている。前方窓25は、
図4に示すように、前面窓251と、一対の前側面窓252と、を有する。前方窓25は、運転席の正面に配置されている。前側面窓252は、前面窓251の車幅方向Yの両側に配置されている。
【0023】
左側の前側面窓252は、前面窓251と左側の前方ピラー23の間に配置されており、右側の前側面窓252は、前面窓251と右側の前方ピラー23の間に配置されている。前面窓251は、その上端部において天井部22の下側のフレーム部材331(
図3参照)に固定されている。前方パネル部27は、前方窓25の下側に配置されている。
左右の前側面窓252は、それぞれの側の前方ピラー23に固定されている。前面窓251と、その両側の前側面窓252の間にはシーリングが施されている。
【0024】
(1-7.ドア29)
ドア29は、
図3に示すように、左側面側の前方ピラー23と左側面側の後方ピラー24の間に設けられており、後方ピラー24に設けられたヒンジ部291を中心に回動する。
ドア29は、キャブの右側面側も、左側面側と同様に右側面側の前方ピラー23と右側面側の後方ピラー24の間に設けられている。キャブ左側面側のドア29とキャブ右側面側のドア29は、互いに対向するように配置されている。
【0025】
(1-8.後方窓26、後方パネル部28)
後方窓26は、
図5に示すように、左右の後方ピラー24の間に設けられており、運転席の後方に配置されている。
後方窓26は、後面窓261と、一対の後側面窓262と、を有する。後面窓261は、キャブ5の後面(背面)に配置されている。後面窓261は、
図3に示すように、上方に向かうに従って後方に向かうように傾斜している。
【0026】
後側面窓262は、後面窓261の車幅方向Yの両側に配置されている。左側の後側面窓262は、後面窓261と左側の後方ピラー24の間に配置されており、右側の後側面窓262は、後面窓261と右側の後方ピラー24の間に配置されている。左側の後側面窓262は、前方に向かうに従って左方向(外側)に向かうように傾斜している。右側の後側面窓262は、前方に向かうに従って左方向(外側)に向かうように傾斜している。
【0027】
後面窓261は、その上端部において天井部22の下側のフレーム部材332に固定されている。左側の後側面窓262は、その上端部において天井部22の下側のフレーム部材333に固定されており、右側の後側面窓262は、その上端部において天井部22の下側のフレーム部材334に固定されている。後方パネル部28は、後面窓261および2つの後側面窓262の下側と床部21の間に設けられている。
【0028】
後面窓261と、その両側の後側面窓262の間にはシリコン等の透明なシーリング材によってシーリング部90が形成されている。
後面窓261の上端261aとフレーム部材332の間には後面溝部93が形成されている。後側面窓262の上端262aとフレーム部材333の間、および後側面窓262の上端262aとフレーム部材334の間には、後側面溝部94が形成されている。
【0029】
(1-8-1.後面溝部93)
図8は、
図5のT部拡大図である。
図8に示すように、後面窓261は、フレーム部材332に固定されている。フレーム部材332の下端は332aとして図示されている。後面窓261の上端261aは、水平に形成されている水平部261bと、幅方向Yの両端において下方に向かって傾斜している傾斜部261cとを有する。傾斜部261cは、後面窓261と後側面窓262を繋ぐシーリング部90において、後面窓261の上端261aの高さと後側面窓262の上端262aの高さを同じ高さにするために形成されている。
【0030】
図8に示すように、後面窓261の上端261a、後側面窓262の上端262aおよび前縁262fに沿って後面窓261および後側面窓262とフレーム部33(フレーム部材332、333、334)との間にダムゴム91が配置されている。
ダムゴム91は、後面窓261の上端261aに沿った後面部分91aと、後側面窓262の上端262aに沿った後側面部分91bと、後側面窓262の前縁262fに沿った前部分91cと、を有する。
【0031】
図9は、フレーム部材332と後面窓261の左側面側から視た
図8のWW´間の矢示断面図である。
ダムゴム91の後面部分91aは、
図9に示すように、後面窓261とフレーム部材332の間において、後面窓261の上端261aから下方に所定の間隔を空けて配置されている。ダムゴム91の後面部分91aは、
図8に示すように、水平部261bに沿った水平部分91a1と、傾斜部261cに沿った傾斜部分91a2とを有する。このように、後面窓261の上端261aの形状に沿ってダムゴム91が取り付けられている。
【0032】
ダムゴム91の後面部分91aの上側には、ガラス用の接着剤92が充填されている。ここで、
図8および
図9に示すように、接着剤92は、後面窓261の面方向において後面窓261の上端261aから所定の距離h1を空けた位置まで充填されている。
すなわち、接着剤92は、後面窓261の上端261aまでは充填されておらず、接着剤92の上側には、溝状の後面溝部93が形成されている。後面溝部93は、充填された接着剤92の上面92aを底面とし、後面窓261の内表面261iとフレーム部材332の外表面332oを対向する側壁とする溝状である。後面溝部93は、後面窓261の上端261aに沿って車幅方向Yに形成されている。後面溝部93は、後面窓261と左側の後側面窓262とのシーリング部90から後面窓261と右側の後側面窓262とのシーリング部90まで形成されている。
後面溝部93は、
図8に示すように、水平部分91a1に沿った水平部93bと、傾斜部分91a2に沿った傾斜部93cとを有する。傾斜部93cは、
図5に示すように、水平部93bの両端に形成されており、車幅方向Yにおける外側に向かうに従って下方に向かって傾斜している。
【0033】
(1-8-2.後側面溝部94)
左側の後側面窓262は、
図3に示すように、フレーム部材333および後方ピラー24に固定されている。
図8には、フレーム部材333の下端333aが示されている。また、右側の後側面窓262は、
図6に示すように、フレーム部材334および後方ピラーに固定されている。左側の後側面窓262と右側の後側面窓262のフレーム部33および後方ピラー24への取り付け構造は同様であるため、左側の構造を例に挙げて説明し、右側の構造の説明は省略する。
【0034】
後側面窓262の上端262aは、
図3および
図8に示すように、前方に向かうに従って高さが低くなるように傾斜して形成されている。
図10は、フレーム部材333と後側面窓262の後方側から視た
図8のQQ´間の矢示断面図である。ダムゴム91の後側面部分91bは、
図10に示すように、後側面窓262とフレーム部材333の間において、後側面窓262の上端262aから下方に所定の間隔を空けて配置されている。ダムゴム91の後側面部分91bは、
図8に示すように、上端262aの傾斜に沿って、前方に向かうに従って高さが低くなるように傾斜して形成されている。
【0035】
ダムゴム91の後側面部分91bの上側には、ガラス用の接着剤92が充填されている。ここで、
図8および
図10に示すように、接着剤92は、後側面窓262の面方向において後側面窓262の上端262aから所定の距離h2を空けた位置まで充填されている。h2は、h1と概ね同じ長さに設定されている。
接着剤92は、後側面窓262の上端262aまでは充填されておらず、接着剤92の上側には、溝状の後側面溝部94が形成されている。後側面溝部94は、充填された接着剤92の上面92aを底面とし、後側面窓262の内表面262iとフレーム部材333の外表面333oを対向する側壁とする溝状である。後側面溝部94は、
図3および
図8に示すように、後側面窓262の上端262aに沿って前方に向かうに従って高さが低くなるように傾斜して形成されている。後側面溝部94は、後面窓261と左側の後側面窓262とのシーリング部90から後側面窓262の前縁262fまで形成されている。
【0036】
ダムゴム91の前部分91cは、
図8に示すように、後側面窓262の前縁262fおよび後方ピラー24に沿って上下方向に設けられている。前部分91cの前側には、接着剤92が充填されている。本実施の形態では、
図8に示すように、接着剤92は、前縁262fまで充填されているため、接着剤92の前側であって後側面窓262と後方ピラー24の間には溝部が形成されていないが、形成されていてもよい。
【0037】
なお、上述したシーリング部90は、その上端90aが後面窓261の上端261aと後側面窓262の上端262aと同じ高さになるまで後面窓261と後側面窓262の間に形成されている。
また、右側の後側面窓262とフレーム部材334の間にも、左側の後側面窓262とフレーム部材333の間と同様に、ダムゴム91の後側面部分91bおよび接着剤92が配置され、後側面溝部94が形成されている。右側の後側面溝部94も、後面窓261と右側の後側面窓262とのシーリング部90から後側面窓262の前縁262fまで形成されている。
【0038】
<2.作用>
キャブ5の天板41に落下した雨水は、湾曲して形成された天板41によって後方へと流れ、雨水の一部は、後縁41bの下側のフレーム部材332、333、334の表面を伝って後面窓261および後側面窓262の上側へと流れ落ちる。
図8の矢印Aに示すように、後面窓261の上側に流れ落ちた雨水は、後面溝部93に流れ込み、左方向(矢印B)または右方向(矢印C)(車幅方向Yにおける外側ともいえる)に移動する。
【0039】
左方向に移動した雨水は、後面溝部93内を伝って、後面窓261と左側面側の後側面窓262とのシーリング部90まで移動する。シーリング部90まで移動した雨水は、シーリング部90の上端90aを乗越えて、後側面溝部94へと流れ込む(矢印D参照)。
後側面溝部94に流れ込んだ雨水は、後側面溝部94の傾斜に沿って前方へと移動(矢印E参照)し、後方ピラー24を伝って下方に落下する(矢印F参照)。なお、
図3にも、矢印Eおよび矢印Fによって雨水の流れを示す。
【0040】
また、後面溝部93に流れ込んで右方向(矢印C方向)に移動した雨水は、左側面側と同様に、シーリング部90の上端90aを越えて右側面側の後側面溝部94へと流れ込んで、その傾斜に従って前方へと移動し、
図6に示す右側の後方ピラー24に沿って落下する。
なお、フレーム部材333、334を伝って後側面窓262の上側に落下してきた雨水も後側面溝部94に流れ込み、後側面溝部94の傾斜に沿って前方へと移動し、左右各々の後方ピラー24を伝って下方に落下する。
このように、後面溝部93および後側面溝部94を形成することによって、後面窓261および後側面窓262の表面への雨水の廻り込みを抑制することができるため、後方の視認性を向上することができる。
【0041】
<3.特徴など>
(3-1)
本実施の形態にかかるキャブ5は、ホイールローダ1(作業機械の一例)のキャブ5であって、後面窓261(窓の一例)または後側面窓262(窓の一例)と、フレーム部33と、後面溝部93(溝部の一例)または後側面溝部94(溝部の一例)と、を備える。フレーム部33には、後面窓261または後側面窓262が固定されている。後面溝部93は、後面窓261の上端261aとフレーム部33との間に形成され、後側面溝部94は、後側面窓262の上端262aとフレーム部33との間に形成される。
これにより、後面窓261または後側面窓262の上側に落下した雨水は、後面溝部93または後側面溝部94を伝って左右方向に案内される。このため、後面窓261または後側面窓262の表面側に雨水が廻り込むことを低減することができ、後方の視認性を向上することができる。
【0042】
(3-2)
本実施の形態にかかるキャブ5は、後面窓261と、フレーム部33と、後面溝部93と、を備える。フレーム部33には、後面窓261が固定されている。後面溝部93は、後面窓261の上端261aとフレーム部33との間に形成されている。
これにより、後面窓261の上側に落下した雨水は、後面溝部93を伝って左右方向に案内される。このため、後面窓261の表面側に雨水が廻り込むことを低減することができ、後方の視認性を向上することができる。
【0043】
(3-3)
本実施の形態にかかるキャブ5は、後側面窓262と、フレーム部33と、後側面溝部94と、を備える。フレーム部33には、後側面窓262が固定されている。後側面溝部94は、後側面窓262の上端262aとフレーム部33との間に形成されている。
これにより、後側面窓262の上側に落下した雨水は、後側面溝部94を伝って案内される。このため、後側面窓262の表面側に雨水が廻り込むことを低減することができ、後方の視認性を向上することができる。
【0044】
(3-4)
本実施の形態にかかるキャブ5は、後側面窓262と、後側面溝部94と、を更に備える。後側面窓262は、フレーム部33に固定され、後面窓261に隣接して配置されている。後側面溝部94は、後側面窓262の上端262aとフレーム部33との間に形成されている。後側面溝部94の高さは、後面溝部93の高さ以下である。
これにより、後面溝部93内を流れて左右方向に移動した雨水が、後側面溝部94へ流れ込んで、前側に移動するため、後面窓261および後側面窓262の表面側に雨水が廻り込むことを低減することができる。
【0045】
(3-5)
本実施の形態にかかるキャブ5では、後側面溝部94は、前方に向かうに従って下方に傾斜している。
これにより、後側面溝部94に流れ込んだ雨水が前側に移動しやすくなり、後面溝部93および後側面溝部94から雨水が溢れて表面側に移動することを低減することができる。
【0046】
(3-6)
本実施の形態にかかるキャブ5は、後方ピラー24(ピラーの一例)を更に備える。後方ピラー24は、後側面窓262の前縁262fが固定されている。後側面溝部94は、後方ピラー24まで形成されている。
これにより、後方ピラー24を伝って後側面溝部94に流れ込んだ雨水を落下させることができる。
【0047】
(3-7)
本実施の形態にかかるキャブ5は、シーリング部90を更に備える。シーリング部90は、後面窓261と後側面窓262の間に設けられている。
これにより、後面窓261と後側面窓262の間の視認性を向上することができる。
【0048】
(3-8)
本実施の形態にかかるキャブ5は、ダムゴム91の後面部分91a(第1ゴム部の一例)と、接着剤92(第1接着剤の一例)と、を更に備える。後面部分91aは、後面窓261とフレーム部33の間に配置されている。接着剤92は、後面部分91aの上側に設けられ、後面窓261とフレーム部33を接着する。後面溝部93は、接着剤92とフレーム部33と後面窓261に囲まれて形成されている。
これにより、後面溝部93を形成して雨水を左右方向に誘導することができる。
【0049】
(3-9)
本実施の形態にかかるキャブ5は、ダムゴム91の後面部分91a(第1ゴム部の一例)と、接着剤92(第1接着剤の一例)と、ダムゴム91の後側面部分91b(第2ゴム部の一例)と、接着剤92(第2接着剤の一例)と、を更に備える。後面部分91aは、後面窓261とフレーム部33の間に配置されている。接着剤92は、後面部分91aの上側に設けられ、後面窓261とフレーム部33を接着する。後側面部分91bは、後側面窓262とフレーム部33の間に配置されている。接着剤92は、後側面部分91bの上側に設けられ、後側面窓262とフレーム部33を接着する。後面溝部93は、接着剤92とフレーム部33と後面窓261に囲まれて形成されている。後側面溝部94は、接着剤92とフレーム部33と後側面窓262に囲まれて形成されている。
これにより、後面溝部93および後側面溝部94を形成して雨水を左右方向に誘導することができる。
【0050】
<4.他の実施の形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
(A)
上記実施の形態では、後面窓261の上端261aとフレーム部材332の間に後面溝部93が形成されており、後側面窓262の上端262aとフレーム部材333の間、および後側面窓262の上端262aとフレーム部材334の間の各々には後側面溝部94が形成されているが、このような構成に限られるものではない。他の窓とフレーム部33の間に溝部が形成されていてもよく、例えば、フレーム部材331と前面窓251との間に溝部が形成されていてもよい。また、キャブ5に設けられている窓のうち少なくとも1つの窓とフレーム部33の間に溝部が設けられていればよく、溝部が形成されている窓の表面側への雨水の廻り込みを抑制することができる。
【0052】
(B)
上記実施の形態では、シーリング部90は、後面窓261の上端261aと後側面窓262の上端262aまで形成されているが、これに限らず、例えば後面窓261の上端261aと後側面窓262の上端262aよりも低くしてもよい。後面溝部93と後側面溝部94の間を塞ぐようにシーリング部90が形成されているため、雨水は、シーリング部90の上端90aを乗越えて、後面溝部93から後側面溝部94へと移動しているが、シーリング部90の上端90aを低くすることによって雨水が後側面溝部94へと流れ込みやすくなる。
【0053】
(C)
上記実施の形態では、後側面窓262の上端262aが前後方向Xに傾斜しているが、後側面溝部94が前方に向かうに従って下方に傾斜していればよく、後側面窓262の上端262aが傾斜していなくてもよい。
(D)
上記実施の形態では、後面溝部93は、水平部93bと、その両端の傾斜部93cを有しているが、これに限らなくても良い。例えば、水平部93bが形成されておらず、後面溝部93は、中央から車幅方向Yの外側に向かうに従って高さが低くなるように傾斜していてもよい。また、後面溝部93に、傾斜部93cが設けられておらず、後面溝部93の全部が水平であってもよい。
【0054】
(E)
上記実施の形態では、フレーム部33が、フレーム部材332、333、334等を有し、後面窓261がフレーム部材332に固定され、後側面窓262がフレーム部材333、334に固定されていると記載しているが、フレーム部材332、フレーム部材333とフレーム部材334は別々の部材であってもよく、1つの部材であってもよい。
ようするに、後面窓261と後側面窓262がキャブ5のフレームに固定されていればよい。
【0055】
(F)
上記実施の形態では、作業機械の一例としてホイールローダ1を用いて説明したが、これに限られるものではなく、油圧ショベル、ブルドーザ、モータグレーダなどであってもよく、キャブを有している機械に対して適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のキャブは、雨天においても視認性を高くすることが可能な効果を有し、例えば作業機械などに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 :ホイールローダ
5 :キャブ
33 :フレーム部
93 :後面溝部
261 :後面窓
261a :上端