(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】スクレーパ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 45/16 20060101AFI20220602BHJP
B65G 45/12 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B65G45/16 Z
B65G45/12 B
(21)【出願番号】P 2018033188
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】浅井 友章
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-199217(JP,U)
【文献】特開2012-218856(JP,A)
【文献】特開2005-263407(JP,A)
【文献】特開昭64-013327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/16
B65G 45/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤのベルトに堆積もしくは付着している異物を除去するスクレーパ装置において、
前記ベルトに係合するスクレーパ本体と、
前記スクレーパ本体を支持しているスクレーパ支持体と、
前記スクレーパ支持体に回転自在に支持されており、前記ベルトに対してころがり対偶をなして係合するベルト係合ローラと、
を有
し、
前記スクレーパ本体と前記ベルト係合ローラとは、前記ベルトの上側に設けられており、前記スクレーパ支持体と前記スクレーパ本体と前記ベルト係合ローラとにかかる重力によって、前記スクレーパ本体と前記ベルト係合ローラとが前記ベルトの上面に係合するように構成されており、
前記ベルト係合ローラまわりの、前記スクレーパ支持体にかかっている重力で発生する回転モーメントによって、前記スクレーパ本体が、前記ベルトに係合するように構成されていることを特徴とするスクレーパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスクレーパ装置において、
前記ベルトコンベヤは、お互いが所定の距離だけ離れている2つのベルトローラを備えて構成されており、前記ベルトは、平ベルト状に形成されていて、前記2つのベルトローラに巻き掛けられており、
前記スクレーパ本体は、前記ベルトの、前記2つのベルトローラのうちの少なくとも一方のベルトローラの外周に接する面で前記ベルトに堆積もしくは付着している異物を除去するように構成されていることを特徴とするスクレーパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクレーパ装置に係り、特に、ベルトコンベヤに使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図9で示すような、ベルトコンベヤ301に使用されるスクレーパ装置303が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
ベルトコンベヤ301は、ベルトローラ305に巻き掛けられているベルト307にスクレーパ(スクレーパ本体)309を係合させて、ベルト307に堆積もしくは付着している異物(骨材、砂、ゴミ等)を除去するようになっている。
【0004】
そして、ベルト307に付着等している異物が、ベルトローラ305に巻き込まれてしまうことを防止している。なお、ベルトコンベヤ301では、スクレーパ309が、スクレーパ支持体311を介して、コンベヤフレーム313に一体的に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のベルトコンベヤ301では、スクレーパ309がコンベヤフレーム313に一体的に支持されているので、スクレーパ309が少しでも摩耗すると、スクレーパ309とベルト307との間に隙間が空いてしまい、ベルト307に堆積もしくは付着している異物を十分に除去することができない場合があるという問題がある。
【0007】
そこで、スクレーパ309とスクレーパ支持体311とが、コンベヤフレーム313に対して若干動くようにし、バネ等の付勢手段を用いて、スクレーパ309がベルト307に所定の付勢力をもって接するようにすることが考えられる。
【0008】
しかし、スクレーパ309がベルト307に付勢力をもって接するようにした場合、付勢力の調整がうまくいかず、付勢力が大きくなりすぎると、ゴム等で構成されているスクレーパ309の摩耗が早まってしまい、付勢力が小さすぎると、ベルト307に堆積もしくは付着している異物を十分に除去することができなくなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ベルトコンベヤのベルトに堆積もしくは付着している異物を除去するスクレーパ装置において、スクレーパの摩耗を極力少なくすることができるスクレーパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、ベルトコンベヤのベルトに堆積もしくは付着している異物を除去するスクレーパ装置において、前記ベルトに係合するスクレーパ本体と、前記スクレーパ本体を支持しているスクレーパ支持体と、前記スクレーパ支持体に回転自在に支持されており、前記ベルトに対してころがり対偶をなして係合するベルト係合ローラとを有し、前記スクレーパ本体と前記ベルト係合ローラとは、前記ベルトの上側に設けられており、前記スクレーパ支持体と前記スクレーパ本体と前記ベルト係合ローラとにかかる重力によって、前記スクレーパ本体と前記ベルト係合ローラとが前記ベルトの上面に係合するように構成されており、前記ベルト係合ローラまわりの、前記スクレーパ支持体にかかっている重力で発生する回転モーメントによって、前記スクレーパ本体が、前記ベルトに係合するように構成されているスクレーパ装置である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクレーパ装置において、前記ベルトコンベヤは、お互いが所定の距離だけ離れている2つのベルトローラを備えて構成されており、前記ベルトは、平ベルト状に形成されていて、前記2つのベルトローラに巻き掛けられており、前記スクレーパ本体は、前記ベルトの、前記2つのベルトローラのうちの少なくとも一方のベルトローラの外周に接する面で前記ベルトに堆積もしくは付着している異物を除去するように構成されているスクレーパ装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ベルトコンベヤのベルトに堆積もしくは付着している異物を除去するスクレーパ装置において、スクレーパの摩耗を極力少なくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るスクレーパ装置とこのスクレーパ装置が設置されているベルトコンベヤとの概略構成を示す図である。
【
図3】ベルトコンベヤのベルトの図示を省略した
図2の拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るスクレーパ装置の機構を示す図である。
【
図8】変形例に係るスクレーパ装置の機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係るスクレーパ装置1は、
図1~
図6で示すように、ベルトコンベヤ3のベルト5に堆積もしくは付着している異物(骨材、砂、ゴミ等)7を掻き取って除去するものであり、スクレーパ本体9とスクレーパ支持体11とベルト係合ローラ13とを備えて構成されている。
【0017】
スクレーパ本体9は、たとえば、ワイパーとして機能するゴム等の弾性体で構成されており、ベルト5に所定の押圧力をもって係合するようになっている(付勢されて接するように構成されている)。スクレーパ支持体11は、スクレーパ本体9を一体的に支持している。
【0018】
ベルト係合ローラ13は、スクレーパ支持体11に回転自在に支持されており、スクレーパ本体9のベルト5に対する押圧力を調整してスクレーパ本体9やベルト5の摩耗を抑制するために、ベルト5に対してころがり対偶をなして係合する(接する)ように構成されている。
【0019】
ここで、説明の便宜のために、水平な所定の一方向を前後方向とし、水平な所定の他の一方向であって前後方向に対して直交する方向を幅方向とし、前後方向と幅方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0020】
スクレーパ本体9とスクレーパ支持体11とベルト係合ローラ13とは、ベルト5(異物7が除去されるベルト5の部位)の上側に設けられている。そして、スクレーパ支持体11とスクレーパ本体9とベルト係合ローラ13とにかかる重力(スクレーパ支持体11の質量×重力加速度+スクレーパ本体9の質量×重力加速度+ベルト係合ローラ13の質量×重力加速度)によって、スクレーパ本体9とベルト係合ローラ13とが、ベルト5の上面に押圧力をもって係合するように構成されている。
【0021】
これにより、ベルト5の上側でベルト5の上面5Aに付着している異物7をスクレーパ本体9が除去するようになっている。
【0022】
また、スクレーパ装置1では、回転モーメント(下側に向かう回転モーメント;
図4や
図5の矢印A1を参照)によって、スクレーパ本体9が、ベルト5に所定の押圧力をもって係合するように構成されている。
【0023】
上記回転モーメントは、ベルト係合ローラ13(ベルト係合ローラ13の中心軸C3)まわりの回転モーメントであり、スクレーパ支持体11とスクレーパ本体9とにかかっている重力で発生する回転モーメントである。
【0024】
上記回転モーメントは、ベルト係合ローラ13がスクレーパ支持体11の後側(ベルト5の移動方向におけるスクレーパ支持体11の一方の側)でスクレーパ支持体11に支持されていることで発生するようになっている。
【0025】
また、ベルトコンベヤ3は、お互いが所定の距離だけ離れている2つのベルトローラ15(15A、15B)を備えて構成されている。ベルト5は、平ベルト状に形成されており、2つのベルトローラ15に巻き掛けられている。これにより、ベルトコンベヤ3は、ベルト伝動装置と同様な構成になっている。
【0026】
スクレーパ装置1では、スクレーパ本体9が、ベルト5の、2つのベルトローラ15のうちの一方のベルトローラ15Bの外周に接する面(内側の面)5Aで、ベルト5に堆積もしくは付着している異物7を除去するように構成されている。
【0027】
さらに説明すると、ベルトコンベヤ3のベルトローラ15が
図1に矢印で示すように回転することでベルト5が移動してベルトコンベヤ3が稼働している状態で、スクレーパ本体9で異物7が除去されたベルト5の面(上面)5Aが、ただちに、ベルトローラ15Bの外周に接するようになっている(他のベルトローラ15A等に巻き掛けられることなくいきなり短い距離の移動でベルトローラ15Bの外周に接するようになっている)。
【0028】
これにより、ベルト5とベルトローラ15Bやベルトローラ15Aとによる異物7の噛み込みが防止される。ベルト5とベルトローラ15Aとによる異物7の噛み込みの防止は、ベルトローラ15Aの外周には、ベルト5の下面(ベルトローラ15Bからベルトローラ15Aに向かうベルト5の部位の、異物7が付着等しにくい下面)が接するようになっているからである。
【0029】
なお、スクレーパ装置1において、スクレーパ本体9が、一方のベルトローラ15Bの外周に接する面の異物7を除去するように構成することに代えてもしくは加えて、他方のベルトローラ15Aの外周に接する面の異物7を除去するように構成されていてもよい。
【0030】
ベルトコンベヤ3やスクレーパ装置1についてさらに詳しく説明すると、ベルトコンベヤ3は、コンベヤフレーム17を備えて構成されている。一方のベルトローラ15Aは、円柱状に形成されており、中心軸C1を回転中心にして、コンベヤフレーム17に回転(自転)自在に支持されている。
【0031】
他方のベルトローラ15Bも、ベルトローラ15Aと同様な円柱状に形成されており、中心軸C2を回転中心にして、コンベヤフレーム17に回転(自転)自在に支持されている。中心軸C1、C2は、幅方向に延伸している。
【0032】
ベルトローラ15Aとベルトローラ15Bは、高さ方向および幅ではお互いが同じところに位置しており、前後方向では、お互いが所定の距離だけ離れている、
ベルト5は、ベルトローラ15Aとベルトローラ15Bとに巻き掛けられている。幅方向で見ると、
図1で示すように、ベルト5が長円状になっている。また、ベルト5の幅寸法は、ベルトローラ15Aやベルトローラ15Bの幅寸法と等しいか小さくなっており、幅方向では、ベルトローラ15Aやベルトローラ15Bの中心の位置と、ベルト5の中心の位置とがお互いに一致している。
【0033】
ベルトローラ15Aとベルトローラ15Bとが回転することで、ベルト5の上側の平板状部位がベルトローラ15Bからベルトローラ15Aに向かう側に移動し、ベルト5の下側の平板状部位がベルトローラ15Aからベルトローラ15Bに向かう側に移動するようになっている(
図1の矢印参照)。
【0034】
スクレーパ支持体11は、平面視すると、「V」字状部位と、この「V」字状部位の屈曲部から突出している「I」字状部位とを備えて、
図2や
図3で示すように、「Y」字状に形成されている。
【0035】
さらに説明すると、スクレーパ支持体11は、スクレーパ支持体本体19と、スクレーパ支持体本体19と協働してスクレーパ本体9を挟み込んでいる一対のスクレーパ本体挟持体21(21A、21B)とを備えて構成されている。
【0036】
スクレーパ支持体本体19は、細長い矩形な板状の素材をこの長手方向の中央で所定の角度(たとえば90°)曲げた形状に形成されていることで「V」字状に形成されている。
【0037】
ベルト係合ローラ13は、円柱状に形成されており、スクレーパ支持体本体19の「V」字の間に設けられている。さらに説明すると、スクレーパ支持体本体19の「V」字の内側には、幅方向で突出している一対の突出部23が設けられており、これらの一対の突出部23の間には、軸部材25が設けられている。軸部材25は、スクレーパ支持体本体19と一体化している。
【0038】
ベルト係合ローラ13は、ベアリング27を介して軸部材25に回転自在に支持されている。ベルト係合ローラ13が、幅方向に延伸している中心軸C3を回転中心にして、スクレーパ支持体本体19に回転(自転)自在に支持されている。
【0039】
なお、ベルト係合ローラ13の下端は、ベルト5の上面5Aに接しており、上下方向で、ベルト係合ローラ13の下端は、スクレーパ支持体本体19の下端よりも下側に位置している。これにより、上下方向で、スクレーパ支持体本体19は、ベルト5の上面5Aから離れてベルト5の上面5Aの上側(ベルト5の平板状の下側部位の上側)に位置している。
【0040】
ベルト係合ローラ13として、たとえば、市販のコンベヤのローラ(スチール等の金属製のローラ)が使用される。
【0041】
一方のスクレーパ本体挟持体21Aは、細長い矩形な板状の素材をこの長手方向の所定の箇所で所定の角度(たとえば45°)曲げた形状に形成されている。他方のスクレーパ本体挟持体21Bも、細長い矩形な板状の素材をこの長手方向の所定の箇所で所定の角度(たとえば45°)曲げた形状に形成されている。
【0042】
スクレーパ本体9は、細長い矩形な板状に形成されており、スクレーパ支持体本体19とスクレーパ本体挟持体21(21A、21B)とによって挟まれていることで、スクレーパ支持体本体19と同様な「V」字状に変形している。
【0043】
スクレーパ支持体本体19とスクレーパ本体挟持体21とによるスクレーパ本体9の挟み込みは、たとえば、図示しないボルトやナット等の締結具を用いて、スクレーパ支持体本体19とスクレーパ本体挟持体21とをお互いに近づけるように構成することでなされる。
【0044】
なお、幅方向では、
図2や
図3で示すように、スクレーパ支持体本体19の一端と、一方のスクレーパ本体挟持体21Aの端と、スクレーパ本体9の一端とがほぼ同じところに位置している。また、幅方向では、スクレーパ支持体本体19の他端と、他方のスクレーパ本体挟持体21Bの端と、スクレーパ本体9の他端とがほぼ同じところに位置している。
【0045】
さらに、幅方向では、スクレーパ本体9の内側にベルト5が位置しており、スクレーパ本体9の中央の位置と、ベルト5の中央の位置とはお互いが一致している。
【0046】
スクレーパ本体挟持体21A、21Bの前側の部位29(29A、29B)は、スクレーパ支持体本体19やスクレーパ本体9から前側に突出している。部位29は、スクレーパ支持体11の上述した「I」字状部位に相当する。
【0047】
スクレーパ本体挟持体21Aの部位29Aと、スクレーパ本体挟持体21Bの部位29Bとが、幅方向で僅かに離れていることで、部位29Aと部位29Bとの間には、間隙31が形成されている。
【0048】
上下方向で、スクレーパ本体9の下端は、ベルト5の上面5Aに接しており、上下方向で、スクレーパ本体挟持体21の下端は、スクレーパ本体9の下端よりも上側に位置している。これにより、上下方向で、スクレーパ本体挟持体21は、スクレーパ支持体本体19と同様にしてベルト5の上面5Aから離れてベルト5の上面5Aの上側に位置している。
【0049】
スクレーパ本体9は、ベルト係合ローラ13の概ね前側に位置している。これにより、スクレーパ本体9で異物7が除去された直後のベルト5の部位に、ベルト係合ローラ13が係合するようになっている。そして、ベルト5とベルト係合ローラ13とによる異物7の噛み込みが防止されるようになっている。
【0050】
また、スクレーパ装置1には、連結部材33が設けられている。連結部材33は細長い矩形な板状に形成されており、長手方向の一端部(後端部)が、一対の部位29A、29Bの間の間隙31に入り込み、幅方向に延びた軸C4を回動中心にして、一対の部位29A、29Bに対して回動自在になっている。
【0051】
コンベヤフレーム17には、連結部材支持部35が一体的に設けられており、連結部材33の長手方向の他端部(前端部)が、幅方向に延びた軸C5を回動中心にして、連結部材支持部35に対して回動自在になっている。
【0052】
これにより、スクレーパ本体9とスクレーパ支持体11とベルト係合ローラ13とが、上下方向で移動することができるようになっており、また、上述した回転モーメントが発生するようになっている。
【0053】
そして、スクレーパ本体9とスクレーパ支持体11の、ベルト係合ローラ13よりも前側の部位の質量と、スクレーパ本体9とスクレーパ支持体11の、ベルト係合ローラ13よりも後側の部位の質量と差を変えれば、スクレーパ本体9がベルト5を付勢する力が変化するようになっている。上記差の値(正の値)が大きいほど、スクレーパ本体9がベルト5を付勢する力が大きくなる。
【0054】
また、スクレーパ本体9がベルト5を付勢する力を調整するために、スクレーパ支持体11の、ベルト係合ローラ13よりも前側の部位の質量を調整自在にしてもよい。たとえば、ベルト係合ローラ13よりも前側に設けられている補強部37の上に錘を着脱自在に設置することができるよう構成し、錘の質量を適宜変えることができるように構成してもよい。
【0055】
次に、スクレーパ装置1やベルトコンベヤ3の動作について説明する。
【0056】
ベルトコンベヤ3は、ベルト5に載せられた砂等の被搬送物(図示せず)を、ベルトローラ15Bからベルトローラ15Aに向け(後側から前側に向け)、ベルト5の平板状の上側部位に載置して搬送している。また、スクレーパ装置1のスクレーパ本体9やベルト係合ローラ13は、ベルト5の下側の平面状部位の上面5Aに接している。
【0057】
ここで、ベルト5の下側の平面状部位であって、ベルトローラ15Aとスクレーパ本体9との間に位置している部位(ベルト5の上面5Aの部位)に異物7が載ると、
図2で示すように、スクレーパ本体9によって、異物7が除去され、除去された異物7が、ベルト5の両側(幅方向の両側)に落下する。
【0058】
スクレーパ装置1によれば、ベルト係合ローラ13が、スクレーパ本体9を支持しているスクレーパ支持体11に回転自在に支持されており、ベルト5に対してころがり対偶をなして係合するので、ベルトコンベヤ3のベルト5に対するスクレーパ本体9の位置(高さ位置)を一定なものにすることができ、ベルトコンベヤ3のベルト5に滑り対偶をなして接しているスクレーパ本体9のベルト5への付勢力の大きさを適切なものにすることができ、スクレーパ本体9やベルト5の摩耗を極力少なくする(遅らせる)ことができる。
【0059】
そして、ベルト5に付着等している異物7を確実に除去することができ、ベルトローラ15やベルト5で異物7を噛み込むことが回避され、ベルトコンベヤ3を長い間健全な状態に保つことができる。
【0060】
また、ベルトコンベヤ3のベルト5に対するスクレーパ本体9の位置(高さ位置)を水平なものにすることができるので、スクレーパ本体9がベルト5にほぼ均一に接し、スクレーパ本体9での偏摩耗の発生を極力少なくすることができる。
【0061】
また、スクレーパ装置1によれば、スクレーパ支持体11とスクレーパ本体9とベルト係合ローラ13とにかかる重力によってスクレーパ本体9がベルト5の上面5Aに付勢されて接するように構成されているので、スクレーパ本体9のベルト5を付勢する力を簡素な構成で一定にすることができるとともに、ベルト係合ローラ13を設けたことで(ベルト係合ローラ13の重量により)、スクレーパ本体9やベルト係合ローラ13のベルト5を付勢する力を容易に大きくすることができ、スクレーパ本体9のベルト5からの跳ね上げりを防止することができ、ベルト5に付着等している異物7を一層確実に除去することができる。
【0062】
また、スクレーパ装置1によれば、ベルト係合ローラ13まわりの、スクレーパ支持体11にかかっている重力で発生する回転モーメントによって、スクレーパ本体9がベルト5に所定の押圧力(付勢力)をもって係合するように構成されているので、スクレーパ本体9の跳ね上がりを一層確実に防止することができる。
【0063】
ところで、上記説明では、
図7で示すように、スクレーパ支持体11(スクレーパ本体9、ベルト係合ローラ13)を、連結部材33を用いて、コンベヤフレーム17(連結部材支持部35)で支持しているが、
図8で示すように、平行リンク機構39を用いて、スクレーパ支持体11(スクレーパ本体9、ベルト係合ローラ13)をコンベヤフレーム17(連結部材支持部35)で支持してもよい。
【0064】
平行リンク機構39を用いることで、上述した回転モーメントの発生を無くして、上下方向で、スクレーパ本体9の下端位置と、ベルト係合ローラ13の下端位置とをお互いに一致させることができる。
【0065】
また、上記説明では、ベルトローラ15Aとベルトローラ15Bとの間でベルト5が水平方向に延伸(展開)しているが、ベルトローラ15Aに対するベルトローラ15Bの高さ位置を若干変えることで、ベルトローラ15Aとベルトローラ15Bとの間でベルト5を斜め方向に延伸させてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 スクレーパ装置
3 ベルトコンベヤ
5 ベルト
5A ベルトの上面
7 異物
9 スクレーパ本体
11 スクレーパ支持体
13 ベルト係合ローラ
15 ベルトローラ