(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】タンク底版の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04H 7/18 20060101AFI20220602BHJP
E04G 3/24 20060101ALI20220602BHJP
E04G 21/14 20060101ALI20220602BHJP
E02D 29/045 20060101ALI20220602BHJP
B65D 88/06 20060101ALI20220602BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20220602BHJP
F17C 13/08 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
E04H7/18 303
E04G3/24 301A
E04G21/14
E02D29/045 Z
B65D88/06 B
B65D90/00 P
F17C13/08 302Z
(21)【出願番号】P 2018046155
(22)【出願日】2018-03-14
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁井田 将人
(72)【発明者】
【氏名】堀内 巌
(72)【発明者】
【氏名】池田 佑旭
(72)【発明者】
【氏名】林 雄志
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-126873(JP,A)
【文献】特開平08-145297(JP,A)
【文献】特開2014-193726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 7/00 - 7/32
B65D 88/06
B65D 90/00
E04G 3/24
E04G 21/14
F17C 13/08
E02D 29/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部鉄筋を配筋する下筋配筋工程と、
前記下部鉄筋の上方に底版架台を形成する架台形成工程と、
前記下部鉄筋の上方に底部ヒーターを形成するヒーター形成工程と、
前記底版架台上に上部鉄筋を配筋する上筋配筋工程と、
コンクリートを打設する打設工程と、を備えるタンク底版の施工方法であって、
前記架台形成工程では、足場と、前記足場の下方に配設されたヒーター部材とを備える複数の架台ブロックを配設することにより前記底版架台を形成し、
前記ヒーター形成工程では、前記ヒーター部材同士を連結することにより前記底部ヒーターを形成することを特徴とする、タンク底版の施工方法。
【請求項2】
架台形成工程の前に、タンク施工サイトとは異なる位置に設けられた仮設サイトにおいて底版架台を形成する仮組み立て工程を備えており、
架台形成工程では、仮組み立て工程で組み立てられた底版架台を移動させることを特徴とする、請求項1に記載のタンク底版の施工方法。
【請求項3】
タンク施工サイトと仮設サイトとの間に配設された揚重機を利用して、仮設サイトからタンク施工サイトに底版架台を構成する架台ブロックを移動させることを特徴とする、請求項2に記載のタンク底版の施工方法。
【請求項4】
架台形成工程では、ヒーター部材を所定の位置から横方向にずらした状態で架台ブロックに仮止めしておき、
ヒーター形成工程では、ヒーター部材を所定の位置にずらしてから他のヒーター部材と連結することを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタンク底版の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク底版の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上LNGタンクや地下LNGタンクでは、天然ガスを冷却し、液化した状態で貯蔵している。地上LNGタンクや地下LNGタンクの底版には、基礎地盤が凍結して膨張することを防止するために、底部ヒーターが埋設されている(例えば、特許文献1参照)。底部ヒーターは、底版内に配筋される鉄筋と接触することがないように配設する必要がある。底部ヒーターは、タンク底版内に配筋される下部鉄筋の上方において、ヒーター部材(例えば、電熱線やヒーター管)を配設することにより形成する。
底版の施工は、下部鉄筋の配筋、底部ヒーター用架台の設置、底部ヒーター用架台を利用した底部ヒーターの設置、配筋用架台の設置、および配筋用架台を利用した上部鉄筋の配筋を順に行った後、コンクリートを打設することにより行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のタンク底版の施工では、下部鉄筋を配筋した後、上部鉄筋の配筋完了までに多数の作業工程を順番に実施する必要があったため、工期短縮化に限界があった。すなわち、底部ヒーターの施工は、底部ヒーター用架台の設置が完了するまで作業を開始することができなかった。また、上部鉄筋の配筋作業は、底部ヒーターを設置した後、配筋用架台の設置が完了するまで作業を開始することができなかった。さらに、底部ヒーターは、複数のヒーター部材を連結することにより形成するが、ヒーター部材の位置決めには手間がかかる。例えば、渦巻き状に配管されたヒーター管で底部ヒーターを構成する場合には、中間部における管材の位置決めが困難であった。そのため、管材を片押し施工により連結する必要があり、作業に手間がかかっていた。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、従来に比べて工期短縮化を図ることを可能としたタンク底版の施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明のタンク底版の施工方法は、下部鉄筋を配筋する下筋配筋工程と、前記下部鉄筋の上方に底版架台を形成する架台形成工程と、前記下部鉄筋の上方に底部ヒーターを形成するヒーター形成工程と、前記底版架台上に上部鉄筋を配筋する上筋配筋工程と、コンクリートを打設する打設工程とを備えている。
前記架台形成工程では、足場と、前記足場の下方に配設されたヒーター部材とを備える複数の架台ブロックを配設することにより前記底版架台を形成する。また、前記ヒーター形成工程では、前記ヒーター部材同士を連結することにより前記底部ヒーターを形成する。
かかるタンク底版の施工方法によれば、底版架台がヒーター部材の上方に足場を備えているため、底部ヒーターの施工(ヒーター形成工程)と並行して、底版架台の上で上部鉄筋の配筋(上筋配筋工程)を行うことができる。そのため、工期短縮が可能である。また、底版架台は、予め足場とヒーター部材とを備える架台ブロックを配設することにより形成されているため、底部ヒーター用の架台と、上部鉄筋用の架台とを個別に形成する従来の施工方法に比べて、手間を大幅に削減することができる。底部ヒーターの施工は、架台ブロックの設置に伴い配設されたヒーター部材同士を連結することにより行えばよいため、ヒーター部材を搬入してからヒーター部材の位置決めおよび連結を行う従来の施工方法に比べて、作業性に優れている。なお、ヒーター部材としては、例えば、ヒーター管を構成する管材や、電熱線等がある。
【0006】
前記タンク底版の施工方法は、架台形成工程の前にタンク施工サイトとは異なる位置に設けられた仮設サイトにおいて底版架台を形成する仮組み立て工程を備えているのが望ましい。この場合、架台形成工程では、仮組み立て工程で組み立てられた底版架台を移動させればよい。また、仮設サイトにおいて、一旦、底部架台を形成しておくことで、ヒーター部材の位置が定まり、本設時には、微調整のみで底部ヒーターの施工ができる。また、ヒーター部材の連結箇所を、架台ブロック同士の接合部に配置することできるため、施工性が向上する。
また、架台形成工程では、タンク施工サイトと仮設サイトとの間に配設された揚重機を利用して、仮設サイトからタンク施工サイトに底版架台を構成する架台ブロックを移動させるのが望ましい。このようにすることで、架台ブロックの配置の間違いを減らすことができる。そのため、ヒーター部材の位置決めが容易である。
さらに、架台形成工程ではヒーター部材を所定の位置から横方向にずらした状態で底版架台に仮止めしておき、ヒーター形成工程ではヒーター部材を所定の位置にずらしてから他のヒーター部材と連結するのが望ましい。このようにすることで、架台ブロックを設置する際にヒーター部材が他の部材に接触することを防止することができるとともに、ヒーター部材をずらすのみで位置決めが完了するため施工性に優れている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタンク底版の施工方法によれば、従来の施工方法に比べて工期短縮化を図ることを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るタンクを示す断面図である。
【
図4】(a)は架台ブロックを示す斜視図、(b)は架台ブロックの支柱の脚部を示す拡大側面図である。
【
図5】(a)は架台ブロックの足場を示す平面図、(b)同管サポートを示す平面図である。
【
図6】
図4に示す架台ブロックであって、(a)はA-A矢視図(b)はB-B矢視図である。
【
図7】タンク施工サイトと仮設サイトを示す平面図である。
【
図8】タンク底版の施工方法の施工工程を示す断面図であって、(a)は下筋配筋工程、(b)は架台形成工程、(c)はヒーター形成工程である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態では、地下LNGタンク(以下、「タンク1」という。)のタンク底版(以下、「底版10」という。)を施工する場合について説明する。本実施形態のタンク1は、いわゆるメンブレン方式により形成されており、
図1に示すように、底版10と、底版10に立設された側壁11と、側壁11により囲まれた空間の頂部を遮蔽する屋根12と、側壁11の周囲に形成された連続地中壁13と、底版10および側壁11の内面に取り付けられたメンブレン14とを備えている。 なお、タンク1の構成は限定されるものではなく、タンク方式に応じて適宜決定すればよい。
【0011】
側壁11は、底版10の周縁部に立設されたコンクリート構造体である。本実施形態の側壁11は、平面視円形(円筒状)を呈している。なお、側壁11の壁厚、壁高および平面形状は適宜決定すればよい。
屋根12は、側壁11の上端に形成されていて、メンブレン14の上面を覆っている。屋根12の周縁部は、側壁11の上端部に固定されている。本実施形態の屋根12は鋼製部材により形成されている。なお、屋根12を構成する材料は限定されるものではなく、例えばコンクリート部材により形成してもよい。また、屋根12の断面寸法は、適宜決定すればよい。
連続地中壁13は、側壁11の外周囲を囲うように円筒状に形成されている。連続地中壁13は、立坑15を形成するための土留壁であって、連続地中壁13の内側には、タンク1を形成するための空間が形成されている。なお、連続地中壁13の深さや壁厚等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
【0012】
底版10は、メンブレン14の下面を覆うように形成されたコンクリート構造体である。底版10の内部には、
図2に示すように、上下二段の鉄筋2(下部鉄筋21および上部鉄筋22)と、底部ヒーター3とが埋設されている。また、底版10には、上部鉄筋22および底部ヒーター3を支持する底版架台4が埋設されている。
底版架台4は、
図3に示すように、複数の架台ブロック5,5,…を並設することにより形成されている。本実施形態の底版架台4は、中央部に配設される平面視円形状(多角形状)の第一架台ブロック51と、第一架台ブロック51の周囲を囲うように配設される平面視弧状の第二架台ブロック52とを備えている。架台ブロック5と隣接する他の架台ブロック5との間には隙間が確保されている。なお、架台ブロック5の形状、配置および数量等は、底版10の形状に応じて適宜決定すればよい。
【0013】
架台ブロック5は、
図4(a)に示すように、上下二段の足場6,6と、足場6同士の間(上側の足場6aの下方)に配管された管材(ヒーター部材)31と、管材31を支持する管サポート7と、足場6および管サポート7を支持する複数本の支柱8とを備えている。
足場6は、
図5(a)に示すように、複数の溝形鋼を組み合わせることにより形成された骨組61と、骨組61の開口部分のを覆うメッシュ材(いわゆるメッシュ足場)62とを備えている。なお、足場6の構成は限定されるものではなく、例えば、鋼板であってもよいし、枠材により支持されたメッシュ材62であってもよい。また、骨組61を形成する鋼材は溝形鋼に限定されるものではなく、例えば、H形鋼や山型鋼であってもよい。さらに、架台ブロック5は、少なくとも上部鉄筋22を配筋する際に使用する上側の足場6aを備えていればよく、架台ブロック5に設ける足場6の段数は限定されるものではない。例えば、底版10の厚さが大きい場合には、架台ブロック5に三段以上の足場6,6,…を設けてもよい。
管サポート7は、
図5(b)に示すように、山型鋼を組み合わせることにより形成されている。なお、管サポート7を構成する材料は限定されるものではない。
図6(a)および(b)に示すように、管サポート7は、上下の足場6の間において、両足場6と間隔をあけた状態で支柱8に支持されている。管サポート7は、底部ヒーター3(管材31)の配置に応じて、段差を有している。上下の足場6同士の間、足場6と管サポート7との間には、必要に応じて斜材を設置する。
支柱8は、下部鉄筋21の上方に立設する。支柱8の下端には、
図4(b)に示すように、支柱ベース81として鋼板が固定されている。支柱ベース81は、立坑15の底面に立設させた4本のコンクリートブロック82上に載置する。コンクリートブロック82は、下部鉄筋21同士の間に配置されており、下部鉄筋21の上方に突出している。4本のコンクリートブロック82上には、敷板83が上載されていて、支柱ベース81は、敷板83の上面に載置されている。なお、支柱ベース81と敷板83との間には、必要に応じてモルタルを介設して高さ調整を行う。なお、高さ調整に使用する材料はモルタルに限定されるものではなく、例えば、鋼板を支柱ベース81と敷板83との間に介設してもよい。また、支柱8(架台ブロック5)の据付方法は、コンクリートブロック82を利用した方法に限定されるものではない。また、支柱8を支持する土台(コンクリートブロック82および敷板83)の構成は限定されるものではない。例えば、コンクリートブロック82の本数は必ずしも4本である必要はない。
【0014】
底部ヒーター3は、底版10内に配設された管路であって、内部に熱媒(例えば、不凍液等)を循環させることにより、タンク1内の温度により基礎地盤が凍結することを防止する。底部ヒーター3は、管材(ヒーター部材)31を連結することにより形成されている。本実施形態の底部ヒーター3は、コイル状に配設されている。なお、底部ヒーター3の構成は限定されるものではなく、例えば、電熱線により構成してもよい。
【0015】
次に、タンク底版の施工方法について説明する。本実施形態のタンク底版の施工方法は、仮組み立て工程と、下筋配筋工程と、架台形成工程と、ヒーター形成工程と、上筋配筋工程と、打設工程とを備えている。
仮組み立て工程では、タンク施工サイトS1(立坑15の底部)とは異なる位置に設けられた仮設サイトS2において底版架台4の仮組み立てを行う。仮設サイトS2は、
図7に示すように、タンク施工サイトS1の近傍に設けられていて、タンク施工サイトS1(立坑15の平面積)と同等以上の広さを有している。
底版架台4の仮組み立ては、底版架台4を構成する複数の架台ブロック5を配置することにより行う。なお、架台ブロック5は、仮設サイトS2で組み立てても良いし、仮設サイトS2とは別のサイトや工場で等で組み立ててもよい。
仮組み立て工程では、各架台ブロック5の配置が、タンク施工サイトS1において底版架台4を組み立てる際と同じ配置となるように組み立てる。
【0016】
下筋配筋工程では、
図8(a)に示すように、タンク施工サイトS1(立坑15の底部)に下部鉄筋21を配筋する。下部鉄筋21は、立坑15の底部において、格子状に組み立てる。下部鉄筋21は、スペーサにより、立坑15の底面から隙間をあけて配筋する。本実施形態では、下筋配筋工程を仮組み立て工程と並行して行う。なお、下筋配筋工程を実施するタイミングは、架台形成工程の前であれば限定されるものではなく、仮組み立て工程の前または後に実施してもよい。
下部鉄筋21を配筋したら、所定の位置にコンクリートブロック82を配置する。コンクリートブロック82は、格子状の下部鉄筋21の隙間を挿通させることで、立坑15の底部に立設する。本実施形態では、架台ブロック5の支柱8の直下に対応する位置に、それぞれ4本のコンクリートブロック82を配設する。なお、コンクリートブロック82は、架台形成工程において、架台ブロック5を配置する際に、所定の位置に立設させてもよい。
【0017】
架台形成工程では、
図8(b)に示すように、仮組み立て工程で組み立てられた底版架台4を移動させることで下部鉄筋21の上方に底版架台4を形成する。本実施形態では、
図7に示すように、タンク施工サイトS1と仮設サイトS2との間に配設された揚重機Mを利用して、仮設サイトS2からタンク施工サイトS1に底版架台4を移動する。底版架台4の移動は、底版架台4を構成する架台ブロック5を個々に移動させることにより行う。架台ブロック5は、仮設サイトS2と同じ配置になるように、タンク施工サイトS1に移動する。このとき、タンク施工サイトS1と仮設サイトS2との両方を視認しながら、架台ブロック5を所定の位置に配置する。なお、架台ブロック5を吊持する揚重機Mは、クローラークレーンやラフタークレーン等であってもよいし、タワークレーン等であってもよい。また、複数台の揚重機Mを使用してもよい。架台ブロック5は、
図8(b)に示すように、支柱ベース81をコンクリートブロック82に載置することにより、下部鉄筋21の上方に配置する。このとき、コンクリートブロック82の上面には、敷板83が配置されている。また、架台ブロック5の水平性を確保するために、高さ調整を行う場合には、支柱ベース81と敷板83との間に、モルタル等の高さ調整材を介設する。
また、管材(ヒーター部材)31は、所定の位置から横方向(既設の架台ブロック5から離れる方向)にずらした状態で架台ブロック5に仮止めしておく。こうすることで、架台ブロック5を移動する際に、管材31が、既設の架台ブロック5に接触することを防止する。
【0018】
ヒーター形成工程では、下部鉄筋21の上方に底部ヒーター3を形成する。底部ヒーター3は、架台ブロック5に仮止めされた管材31同士を連結することにより形成する。管材31同士の連結は、管材31の端面同士を突き合わせた状態で溶接することにより行う。管材31は、既設の架台ブロック5方向(
図8において右方向)にずらすことで、既設の架台ブロック5に取り付けられた管材31と突き合わせる。なお、管材31同士の連結は、底版架台4の下側の足場6b上の作業員が行う。管材31の接続作業は、タンク施工サイトS1に架台ブロック5が配置されたら、順次行うものとする。すなわち、ヒーター形成工程は、架台形成工程と並行して行うものとする。なお、ヒーター形成工程は、架台形成工程によって底版架台4が形成されてから実施してもよい。
【0019】
上筋配筋工程では、
図8(c)に示すように、底版架台4上に上部鉄筋22を配筋する。上部鉄筋22の配筋作業は、底版架台4(架台ブロック5)の上側の足場6a上において行う。上部鉄筋22の配筋は、架台ブロック5が配設された箇所から順次行う。すなわち、上筋配筋工程は、架台形成工程およびヒーター形成工程と並行して行えばよい。なお、上筋配筋工程を実施するタイミングは、架台形成工程と打設工程との間であれば限定されるものではなく、架台形成工程によって底版架台4が形成されてから実施してもよい。
打設工程では、下部鉄筋21、上部鉄筋22および底部ヒーター3が配設された立坑15の底部にコンクリートを打設する。
【0020】
本実施形態のタンク底版の施工方法および底版架台4によれば、仮設サイトS2において一旦形成された底版架台4をタンク施工サイトS1を移動させることで底版架台4の施工が完了するため、施工性に優れている。仮設サイトS2において、管材31の位置が定まっているため、本設時には、微調整のみで底部ヒーター3を施工することができる。すなわち、定尺で搬入される管材31を、溶接個所が架台ブロック5同士の間になるように長さを調整し、架台ブロック5毎ナンバリングした状態でタンク施工サイトS1搬入するため、管材31の配管作業の手間を大幅に削減することができる。また、管材31同士の連結箇所を、架台ブロック5同士の接合部(隙間)に配置しているため、施工性しやすい。すなわち、タンク施工サイトS1における作業を極力減らすことで、工期短縮化が可能となる。
架台ブロック5の移動は、タンク施工サイトS1と仮設サイトS2との間に配設された揚重機Mを利用して行うため、移動時の手間が少ない。また、両サイト(タンク施工サイトS1と仮設サイトS2)を視認しながら作業を行えば、架台ブロック5の配置の間違いを減らすことができる。
また、底部ヒーター3の施工(ヒーター形成工程)と並行して、底版架台4の上で上部鉄筋22の配筋(上筋配筋工程)を行うことができため、工期短縮が可能である。また、架台形成工程では、予め上下二段の足場6,6と管材31とを備える架台ブロック5を配設することにより底版架台4を形成するため、底部ヒーター3用の架台と、上部鉄筋22用の架台とを個別に形成する従来の施工方法に比べて、手間を大幅に削減することができる。底部ヒーター3の施工は、架台ブロック5の設置に伴い配設された管材31同士を連結することにより行えばよいため、架台とは別に管材31を搬入し、架台上において管材31の位置決めおよび連結を行う従来の施工方法に比べて、作業性に優れている。
【0021】
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、タンク施工サイトS1とは異なる仮設サイトS2において底版架台4を一旦形成するものとしたが、底版架台4は、必ずしも事前に形成する必要はない。
また、仮設サイトS2は、必ずしもタンク施工サイトS1に隣接している必要はなく、離れた位置に設けられていてもよい。この場合には、トラック等の搬送車を利用して、架台ブロック5を輸送すればよい。
【符号の説明】
【0022】
1 タンク
10 底版(タンク底版)
2 鉄筋
21 下部鉄筋
22 上部鉄筋
3 底部ヒーター
31 管材(ヒーター部材)
4 底版架台
5 架台ブロック
6 足場
6a 上側の足場
7 管サポート
8 支柱
M 揚重機
S1 タンク施工サイト
S2 仮設サイト