(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-01
(45)【発行日】2022-06-09
(54)【発明の名称】無機繊維製品用バインダー及びその製造方法、無機繊維製品の製造方法、繊維製品用バインダー
(51)【国際特許分類】
D06M 15/41 20060101AFI20220602BHJP
C03C 25/34 20060101ALI20220602BHJP
D06M 13/328 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
D06M15/41
C03C25/34
D06M13/328
(21)【出願番号】P 2018065146
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000165000
【氏名又は名称】群栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】石井 慧
(72)【発明者】
【氏名】長壁 勘二
【審査官】荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-291332(JP,A)
【文献】特表2009-517514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00-15/715
D04H 1/00-18/04
C03C 25/00-25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状レゾール型フェノール樹脂と、モノアミンとを含み、
前記モノアミンの含有量が、前記
液状レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部である無機繊維製品用バインダー。
【請求項2】
pHが7.0~13.0である、請求項1に記載の無機繊維製品用バインダー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無機繊維製品用バインダーを無機繊維に付着させ、前記無機繊維を成形して無機繊維製品を得る、無機繊維製品の製造方法。
【請求項4】
50℃未満で
液状レゾール型フェノール樹脂にモノアミンを添加し、前記モノアミンの添加量が、前記
液状レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部である、無機繊維製品用バインダーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機繊維製品用バインダー及びその製造方法、無機繊維製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グラスウール、ロックウール、又はセラミック繊維等の無機繊維をバインダーで結合することにより成形した無機繊維製品が、断熱材、吸音材、又はその他各種成型品(自動車の屋根、ボンネットのライナー等)に用いられている。
無機繊維製品は、一般的に、無機繊維にバインダーを付着させ、集積して目的の無機繊維製品の形状の集積体とした後、加熱し、バインダーを硬化することにより製造されている。バインダーとしては、フェノール類とホルムアルデヒド類との反応により得られるフェノール樹脂を主成分としたもの(以下、フェノール樹脂系バインダーということがある。)が、比較的安価で、機械的強度等の性能に優れた製品が得られることから汎用されている。
【0003】
しかし、フェノール樹脂系バインダーを用いた場合、製造工程でホルムアルデヒドが揮散する問題や、得られる無機繊維製品からホルムアルデヒドが放散する問題がある。ホルムアルデヒドは人体に悪影響を及ぼす物質で、例えば建材から放散するアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質の一つとされている。そのため、日本国では2003年にホルムアルデヒドの放散量を規制する改正建築基準法が施行されている。改正建築基準法においては、ホルムアルデヒド放散量が、JIS A1901により測定されるホルムアルデヒド放散速度として5μg/m2・hr以下のものは規制対象となっていないため、無機繊維製品としてもホルムアルデヒド放散速度が5μg/m2・hr以下のものが要望される。
【0004】
無機繊維製品の製造工程(バインダーの吹きつけ時等)でホルムアルデヒドが揮散する問題の対応策の一つとして、フェノール樹脂を尿素で変性させることが行われている。この場合、フェノール樹脂に導入された尿素によってフェノール樹脂中の遊離ホルムアルデヒドが捕捉され、製造工程中のホルムアルデヒド揮散量が低減し、作業環境が改善する。
無機繊維製品からホルムアルデヒドが放散する問題の対応策としては、現在、エチレン尿素、又はアジピン酸ジヒドラジド等のホルムアルデヒド捕捉剤を併用することが一般的になっている(例えば特許文献1参照)。ホルムアルデヒド捕捉剤は、発生したホルムアルデヒドと反応し、固定化することでホルムアルデヒド放散量を低減する。
しかし、従来の方法では、ホルムアルデヒド放散量が少なく、性能も良好な無機繊維製品を低コストで製造することは難しい。
【0005】
例えばフェノール樹脂を尿素変性させる方法は、製造工程でのホルムアルデヒド揮散量の低減には有効であるものの、得られた無機繊維製品からのホルムアルデヒド放散量は逆に多くなる傾向がある。これは、ホルムアルデヒド源が無機繊維製品中に固定されて潜在ホルムアルデヒドとして滞在し、加水分解等により再放出されるためと考えられる。また、バインダーとして尿素で変性させたフェノール樹脂を用いた場合、尿素変性していないフェノール樹脂を用いた場合に比べて、得られた無機繊維製品の耐水強度等の性能が低くなる等の問題もある。
【0006】
また、ホルムアルデヒド捕捉剤の使用は、ホルムアルデヒド放散量の低減には有効であるものの、従来のホルムアルデヒド捕捉剤がフェノール樹脂に比べて高価である。しかもホルムアルデヒド放散速度が5μg/m2・hr以下の無機繊維製品を得ようとすると、ホルムアルデヒド捕捉剤の使用量も多くなることからコストアップにつながり、フェノール樹脂系バインダーのコストメリットが損なわれる。また、ホルムアルデヒド捕捉剤は、通常、特許文献1に記載されるように、硬化後に添加されるため、工程の煩雑化にもつながる。そのため、前記ホルムアルデヒド捕捉剤を併用しなくても、ホルムアルデヒド放散速度が5μg/m2・hr以下の無機繊維製品を得ることが可能なフェノール樹脂系バインダーが求められる。
【0007】
このような状況のなか、近年、無機繊維製品の製造工程でホルムアルデヒドが揮散する問題の対応策の一つとして、ホルムアルデヒドとフェノールを反応させてレゾール型フェノール樹脂を得た後に50~65℃でアミンを添加し、未反応のホルムアルデヒド及びフェノールをアミンと反応させて縮合物を形成させる方法が提案されている(特許文献2~4)。また、ホルムアルデヒドの放散量を低減する方法としては、レゾール型フェノール樹脂に糖を添加した無機繊維製品用バインダーも知られている(特許文献5、6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2001-178805号公報
【文献】特表2011-516389号公報
【文献】特表2011-516748号公報
【文献】特表2010-506025号公報
【文献】特開2014-148422号公報
【文献】特許第5328988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2~4のように、未反応のホルムアルデヒド及びフェノールにアミンを反応させて縮合物を形成させると、無機繊維製品用バインダーの水希釈性が悪くなる。そのため、無機繊維製品用バインダーを無機繊維に付着させることが困難になる。特許文献2~4の無機繊維製品用バインダーは、pHを酸性に調整することで水希釈性がある程度改善するが、無機繊維製品用バインダーを酸性にすると、設備が腐食する等、設備負荷が増大する。
また、特許文献5、6のような無機繊維製品用バインダーは、水希釈性は優れるが、製造される無機繊維製品の色味が茶系色となり、従来の色味と異なるため、一部の顧客からは外観上好ましくないと指摘される場合がある。また、高密度のボード製品では、既存のフェノール樹脂を使用した製品に比べ、タワミ量が大きくなる等の強度低下を招く場合がある。
【0010】
本発明は、水希釈性に優れ、かつホルムアルデヒド放散量が低減され、強度を充分に有し、外観に優れた無機繊維製品を製造できる無機繊維製品用バインダー、前記無機繊維製品用バインダーの製造方法、及び前記無機繊維製品用バインダーを用いた無機繊維製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]液状レゾール型フェノール樹脂と、モノアミンとを含み、前記モノアミンの含有量が、前記液状レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部である無機繊維製品用バインダー。
[2]pHが7.0~13.0である、[1]に記載の無機繊維製品用バインダー。
[3][1]又は[2]に記載の無機繊維製品用バインダーを無機繊維に付着させ、前記無機繊維を成形して無機繊維製品を得る、無機繊維製品の製造方法。
[4]50℃未満で液状レゾール型フェノール樹脂にモノアミンを添加し、前記モノアミンの添加量が、前記液状レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部である、無機繊維製品用バインダーの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水希釈性に優れた無機繊維製品用バインダーにより、ホルムアルデヒド放散量が低減され、強度を充分に有し、外観に優れた無機繊維製品を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1~6及び比較例1の無機繊維製品用バインダーA-1~A-6、A-8について、モノエタノールアミンの添加量を横軸に、常態強度を縦軸にとったグラフである。
【
図2】実施例1~6及び比較例1の無機繊維製品用バインダーA-1~A-6、A-8について、モノエタノールアミンの添加量を横軸に、耐湿強度を縦軸にとったグラフである。
【
図3】実施例1~6及び比較例1の無機繊維製品用バインダーB-1~B-6、B-8について、モノエタノールアミンの添加量を横軸に、放散F量を縦軸にとったグラフである。
【
図4】実施例1~6及び比較例1の無機繊維製品用バインダーB-1~B-6、B-8について、モノエタノールアミンの添加量を横軸に、引っ張り強度(常態強度、耐湿強度)を縦軸にとったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[無機繊維製品用バインダー]
本発明の無機繊維製品用バインダー(以下、「本バインダー」とも記す。)は、無機繊維製品において、グラスウール、ロックウール、セラミック繊維等の無機繊維を結合するためのバインダーである。本バインダーは、レゾール型フェノール樹脂と、モノアミンとを含む。
本バインダーは、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、レゾール型フェノール樹脂及びモノアミン以外の他の成分をさらに含んでもよい。
【0015】
(レゾール型フェノール樹脂)
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とのアルカリ触媒存在下での反応生成物である。
フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させると、フェノール類の芳香環にアルデヒド類が付加する付加反応が起き、その後縮合反応を経て高分子化する。
【0016】
フェノール類は、芳香環及び芳香環に結合した水酸基を有する化合物である。フェノール類としては、例えば、フェノール、アルキルフェノール類(o,m,pの各クレゾール、o,m,pの各エチルフェノール、キシレノールの各異性体等)、多芳香環フェノール類(α,βの各ナフトール等)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ピロガロール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等)等が挙げられる。これらのフェノール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、フェノール、o,m,pの各クレゾール、キシレノールの各異性体、レゾルシン、カテコールである。
【0017】
アルデヒド類は、ホルミル基を有する化合物及びその多量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、グリオキザール等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、実用的な物質は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドである。
【0018】
レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、水希釈性、経時安定性の点から、800以下が好ましく、600以下がより好ましく、400以下がさらに好ましい。レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、150未満の場合は、無機繊維製品におけるバインダーの歩留まり低下や、強度低下等の恐れがあり好ましくない。
なお、レゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
【0019】
レゾール型フェノール樹脂は、液状が好ましい。
レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分は、輸送コストの点から、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
なお、レゾール型フェノール樹脂の「樹脂固形分」とは、レゾール型フェノール樹脂の不揮発分を示す。不揮発分は、JIS K6910の5.6の規定に準じて測定される値を示す。
【0020】
(モノアミン)
モノアミンは、鎖状であってもよく、環状であってもよい。
モノアミンとしては、ホルムアルデヒド放散量を低減する効果が得られやすい点から、1級アミン又は2級アミンが好ましく、1級アミンがより好ましい。
【0021】
アミンが有する炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
【0022】
モノアミンの分子量は、放散ホルムアルデヒドの低減効果と水希釈性低下抑制の点から、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、150以下がさらに好ましい。
【0023】
モノアミンとしては、脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。
脂肪族モノアミンとしては、例えば、モノアルカノールアミン(モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン等)、アルキルアミン(モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等)等が挙げられる。
脂環式モノアミンとしては、例えば、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピロール、ピリジン等が挙げられる。
芳香族モノアミンとしては、例えば、アニリン、アミノフェノール、トルイジン等が挙げられる。
【0024】
モノアミンとしては、ホルムアルデヒド放散量を低減する効果が得られやすい点から、脂肪族モノアミンが好ましく、1級又は2級のアミンがさらに好ましく、モノエタノールアミン、モノエチルアミンが特に好ましい。
モノアミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
本バインダー中のモノアミンの含有量は、レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部が好ましく、5~25質量部がより好ましい。モノアミンの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、ホルムアルデヒド放散量が充分に低減され、常態強度及び耐湿強度が高い無機繊維製品が得られやすい。モノアミンの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、経済性に優れる。
なお、常態強度とは、乾燥状態での機械的強度(引っ張り強度、曲げ強度等)を示す。耐湿強度とは、湿潤状態での機械的強度を示す。
【0026】
(他の成分)
他の成分としては、本バインダーに配合し得る成分として公知のもののなかから適宜選択して使用できる。例えば、尿素、エチレン尿素、レゾルシン、メラミン、ジシアンジアミド、アンモニア、硬化促進剤、シランカップリング剤、公知のホルムアルデヒド捕捉剤、撥水剤、発塵防止オイル、水等が挙げられる。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本バインダーが尿素、メラミン、エチレン尿素、レゾルシン、ジシアンジアミド(DCDA)から選ばれる少なくとも1種を含むことで、無機繊維製品の製造工程時に揮散の原因となる、本バインダー中の遊離ホルムアルデヒドの量をさらに低減できる。
本バインダーが尿素を含む場合、尿素の含有量は、レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、5~100質量部が好ましく、10~70質量部がより好ましい。メラミン、エチレン尿素、レゾルシン、DCDAの含有量の好ましい範囲は、尿素の含有量の好ましい範囲と同じである。
【0028】
本バインダーがアンモニアを含むことで、本バインダー中の遊離ホルムアルデヒドと反応し、ヘキサミンに転換することにより、作業環境を改善する。また、アンモニアを配合することで、本バインダーのpHが高まり、水希釈性が向上する。水希釈性の向上は、配管への本バインダーの付着やスプレーノズルの詰まりを防止する点から好ましい。
アンモニアの配合量は、フェノール樹脂の樹脂固形分に対し、0~20質量%が好ましい。
【0029】
本バインダーには、さらに、硬化促進剤を用いてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。
本バインダー中の硬化促進剤の含有量は、レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0~10質量部が好ましく、3~5質量部がより好ましい。
【0030】
本バインダーがシランカップリング剤を含むことで、無機繊維製品の耐水性、機械的強度が向上する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が挙げられる。
本バインダー中のシランカップリング剤の含有量は、レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0~1質量部が好ましい。
【0031】
ホルムアルデヒド捕捉剤としては、例えば、特開2001-178805号公報に記載のホルムアルデヒド捕捉剤等が挙げられる。
撥水剤としては、シリコーン系撥水剤、フッ素系撥水剤等が挙げられる。
発塵防止オイルとしては、鉱物油ベースのオイルエマルジョン等が挙げられる。
【0032】
本バインダーのpHは、7.0~13.0が好ましく、7.5~12.0がより好ましく、8.0~11.0がさらに好ましく、8.0~10.0が特に好ましい。pHが前記範囲の下限以上であれば、設備を傷めない。また、水への溶解性がより良好になる。
pHが前記範囲の上限以下であれば、触媒及び添加剤等の使用量の点から経済的である。pHは、25℃における値である。
【0033】
[無機繊維製品用バインダーの製造方法]
本バインダーは、50℃未満でレゾール型フェノール樹脂にモノアミンを添加することで得られる。例えば、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒の存在下に反応させてレゾール型フェノール樹脂を得た後、50℃未満でモノアミンを添加する方法が挙げられる。
【0034】
フェノール類とアルデヒド類との反応は、公知の方法で行える。例えば、撹拌機、還流器及び温度制御機構を有する反応容器にフェノール類、アルデヒド類、アルカリ触媒、水等を仕込み、任意の反応温度で任意の反応時間保持する方法が挙げられる。反応の開始後、必要に応じて、追加のアルカリ触媒及び任意の添加剤等を添加してもよい。
【0035】
フェノール類に対するアルデヒド類のモル比(アルデヒド類/フェノール類)は、1.0~4.0が好ましく、1.5~2.5がより好ましい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が前記範囲の下限値以上であれば、未反応のフェノール類の揮散による臭気発生、又は歩留低下を抑制しやすい。フェノール類に対するアルデヒド類のモル比が前記範囲の上限値以下であれば、未反応のアルデヒド類が多量に残留することなく、製造工程中の作業環境雰囲気下にホルムアルデヒドが揮発せず、作業員の健康を害さない。また、本バインダーを用いて得られる無機繊維製品からのアルデヒド類の放散量がより少なくなる。
【0036】
アルカリ触媒としては、フェノール類とアルデヒド類との反応を進行させ得るものであれば特に制限はなく、種々のアルカリ性物質を用いることができる。具体例としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等)、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ性物質;トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン)等の環式アミン等の有機アルカリ性物質;等が挙げられる。通常、アルカリ土類金属を使用した場合、アルカリ金属を使用した場合よりも、樹脂の水希釈性や経時安定性は低下するが、耐水特性は向上する。これはアルカリ金属に比べアルカリ土類金属やその塩が、水に対して溶解性が低いためである。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
アルカリ触媒の使用量は、フェノール類100質量部に対して、1~30質量部が好ましい。アルカリ触媒の使用量が前記範囲の下限値以上であれば、反応が充分に進行する。アルカリ触媒の使用量が前記範囲の上限値以下であれば、反応の制御が容易である。
【0038】
フェノール類とアルデヒド類の反応の反応温度は、50~90℃が好ましく、60~80℃がより好ましい。反応温度が前記範囲の下限値以上であれば、充分な反応速度が得られる。反応温度が前記範囲の上限値以下であれば、反応の制御が容易である。
反応時間は、例えば2~8時間とすることができる。
【0039】
フェノール類とアルデヒド類を前記範囲のような50℃以上の反応温度で反応させた後、レゾール型フェノール樹脂の温度を50℃未満まで降温させてからモノアミンを添加する。50℃未満でモノアミンを添加することで、レゾール型フェノール樹脂中に含まれる遊離のフェノール及び遊離のホルムアルデヒドとモノアミンが反応して縮合物が形成されることを抑制できる。これにより、得られる本バインダーの水希釈性が低下することが抑制される。
なお、遊離のフェノール類とは、JIS K6910の5.16の規定に準じて測定される未反応のフェノール類である。遊離のアルデヒド類とは、JIS K6910の5.17の規定に準じて測定される未反応のアルデヒド類である。
【0040】
モノアミンを添加する際のレゾール型フェノール樹脂の温度は、50℃未満であり、10~40℃が好ましく、20~35℃がより好ましい。モノアミン添加時のレゾール型フェノール樹脂の温度が前記範囲の上限値以下であれば、水希釈性に優れた本バインダーが得られやすい。モノアミン添加時のレゾール型フェノール樹脂の温度が前記範囲の下限値以上であれば、アミンが樹脂に溶解しやすく、アミン添加時の溶解熱を緩和し、温度管理が容易にできる。
【0041】
モノアミンの添加量は、レゾール型フェノール樹脂の樹脂固形分100質量部に対して、0.5~40質量部が好ましく、5~25質量部がより好ましい。モノアミンの添加量が前記範囲内であれば、無機繊維製品のホルムアルデヒド放散量を充分に低減でき、かつ水希釈性に優れた本バインダーが得られやすい。
【0042】
本発明では、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させた後、又はモノアミンを添加した後に、必要に応じて酸による中和や、水による希釈等の処理を行ってもよい。
中和に用いる酸としては、ホウ酸、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、スルファニル酸、安息香酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ラウリン酸等の有機酸が挙げられる。酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
また、本発明では、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒存在下で反応させた後、又はモノアミンを添加した後に、必要に応じて他の成分を添加する。
他の成分を添加する際のレゾール型フェノール樹脂の温度は、50℃未満が好ましく、10~40℃が好ましく、20~35℃がより好ましい。
【0044】
なお、本バインダーの製造方法は、前記した方法には限定されない。例えば、50℃未満で市販のレゾール型フェノール樹脂にモノアミンを添加してもよい。
使用前の本バインダーの温度は、50℃未満が好ましく、10~40℃が好ましく、20~35℃がより好ましい。
【0045】
以上説明したように、本発明では、レゾール型フェノール樹脂と、モノアミンとを含む無機繊維製品用バインダーとする。本バインダーは、モノアミンを、遊離のフェノール類やアルデヒド類と反応させて縮合物とせずに含ませるため、水希釈性に優れている。また、本バインダーは、酸性にしなくても水希釈性に優れているため、設備負荷が増大することも防げる。
【0046】
また、本バインダーは、無機繊維に付着させ、焼成して硬化する際に、バインダー中の遊離のフェノール類やアルデヒド類とモノアミンとがマンニッヒ反応により縮合物を形成する。このマンニッヒ縮合物が放散ホルムアルデヒドを捕捉すると考えられるため、本バインダーを用いて製造した無機繊維製品においては、ホルムアルデヒド放散量は充分に低減される。
また、モノアミンを含む本バインダーを用いて製造した無機繊維製品は、従来品と同様に黄色い発色になり、また常態強度及び耐湿強度も向上する。
本バインダーは、断熱材の製造に特に有用である。
【0047】
[無機繊維製品の製造方法]
本発明の無機繊維製品の製造方法は、本バインダーを無機繊維に付着させ、前記無機繊維を成形することで、無機繊維製品を得る方法である。必要に応じて、本バインダーを無機繊維に付着させた後に焼成することで本バインダーを硬化させてもよい。
本発明の製造方法で製造する無機繊維製品としては、断熱材、吸音材や、自動車の屋根、ボンネット等のライナー等が挙げられる。本発明は、断熱材の製造に特に有用である。本発明の製造方法で製造する無機繊維製品は、成形体からなるものでもよく、梱包のための表皮材等の成形体以外の他の部材をさらに備えるものであってもよい。
【0048】
無機繊維としては、特に限定されず、グラスウール、ロックウール、セラミック繊維等が挙げられる。無機繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
本バインダーを無機繊維に付着させる方法としては、例えば、無機繊維に対し、スプレー装置等を用いて本バインダーを吹き付ける方法、無機繊維を本バインダーに浸漬して含浸させる方法等が挙げられる。
本バインダーは、水希釈性に優れるため、必要に応じて水により適度な濃度まで希釈することで、容易に無機繊維に均一に付着させることができる。
【0050】
無機繊維への本バインダーの付着量は、特に限定されず、例えば、無機繊維(100質量%)に対し、本バインダーの樹脂固形分として0.5~20質量%とすることができる。
【0051】
本バインダーを付着させた無機繊維の成形は、公知の方法で行える。例えば、板状の断熱材の場合、本バインダーを付着させた無機繊維をコンベア上に堆積し、この堆積物をコンベアの上下方向から押圧して圧縮して集積体とし、これを加熱炉(硬化炉)に送って焼成して本バインダーを硬化させる方法が挙げられる。
【0052】
焼成温度は、本バインダーが硬化する温度範囲であればよく、180~270℃が好ましい。焼成温度が前記範囲の下限値以上であれば、バインダーの硬化が充分に進行しやすく、またホルムアルデヒド放散量が充分に低減されやすい。焼成温度が前記範囲の上限値以下であれば、本バインダーが分解しにくく、歩留りの低下及び機械的強度の低下が抑制されやすい。
焼成時間は、集積体の大きさ、焼成温度等によって適宜設定できる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。以下の説明において、「部」は、特に言及がない場合は「質量部」を示す。
[実施例1]
コンデンサー、温度計、撹拌装置を備えた反応装置にフェノール1350部、50%ホルムアルデヒド水溶液1893.7部、水酸化バリウム8水和物135部をそれぞれ仕込み、60℃にて360分間反応させた後、35℃に冷却し、レゾール型フェノール樹脂を合成した。ホルムアルデヒド/フェノール[F/P]のモル比は2.2であり、得られた樹脂の特性は、重量平均分子量=340、遊離フェノール=5.0質量%、遊離ホルムアルデヒド=3.8質量%であった。
上記レゾール型フェノール樹脂固形分100部に対して0.7部の割合でモノエタノールアミンを35℃以下に溶解熱を抑えて添加した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えて無機繊維製品用バインダーA-1を得た。
さらに、35℃の無機繊維製品用バインダーA-1の固形分100部に対して、尿素43部、硫酸アンモニウム3部、アミノシラン1部、25質量%アンモニア水10部を混合して無機繊維製品用バインダーB-1を得た。
【0054】
[実施例2~6]
モノエタノールアミンの添加量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして無機繊維製品用バインダーA-2~A-6を調製した。さらに、無機繊維製品用バインダーA-2~A-6に、実施例1と同様に他の成分を添加して無機繊維製品用バインダーB-2~B-6を得た。
【0055】
[実施例7]
実施例1と同様にしてレゾール型フェノール樹脂を合成し、樹脂固形分100部に対して6部の割合でモノエチルアミンを35℃以下に溶解熱を抑えて添加した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えて無機繊維製品用バインダーA-7を得た。さらに、無機繊維製品用バインダーA-7に、実施例1と同様に他の成分を添加して無機繊維製品用バインダーB-7を得た。
【0056】
[比較例1]
実施例1と同様にしてレゾール型フェノール樹脂を合成し、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーA-8とした。さらに、無機繊維製品用バインダーA-8に、実施例1と同様に他の成分を添加して無機繊維製品用バインダーB-8を得た。
【0057】
[比較例2]
実施例1と同様にしてレゾール型フェノール樹脂を合成し、35℃まで冷却後にpH7.3になるように30%硫酸を加えて中和した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーA-9とした。さらに、無機繊維製品用バインダーA-9に、実施例1と同様に他の成分を添加して無機繊維製品用バインダーB-9を得た。
【0058】
[比較例3]
実施例1と同様にしてレゾール型フェノール樹脂を合成し、35℃まで冷却後にpH7.3になるように30%硫酸を加えて中和し、樹脂固形分100部に対して30部の割合でぶどう糖果糖液糖(異性化糖、製品名:スリーシュガー75FG、固形分濃度75質量%、群栄化学工業社製)を添加し、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーA-10とした。さらに、無機繊維製品用バインダーA-10に、実施例1と同様に他の成分を添加して無機繊維製品用バインダーB-10を得た。
【0059】
[比較例4]
モノエタノールアミンを添加する際のレゾール型フェノール樹脂の温度を70℃に変更し、遊離のフェノール及びホルムアルデヒドとモノエタノールアミンを反応させて縮合物とした以外は、実施例1と同様にして無機繊維製品用バインダーA-11を得た。さらに、無機繊維製品用バインダーA-11に、実施例1と同様に他の成分を添加して無機繊維製品用バインダーB-11を得た。
【0060】
[水希釈性(混和性)]
JIS K6910:2007の5.5の規定に準じて、水に対する混和性(質量分率%)を測定し、水希釈性を評価した。なお、混和性の算出における試料の質量には、樹脂固形分を用いた。混和性の測定において、混和性4000%に相当する量の水を添加しても濁りが見られない場合は、その時点で測定を終了し、混和性は4000%超である、と判定した。
なお、試料の樹脂固形分の質量を用いて算出した混和性が4000%以上であれば、無機繊維製品用バインダーとして問題なく使用できる。
【0061】
[pH]
無機繊維製品用バインダーのpHは、JIS K6910:2007の5.4の規定に準じて測定した。
【0062】
[FP(遊離フェノール量)]
無機繊維製品用バインダーのFP(遊離フェノール量)は、JIS K6910:2007の5.16の規定に準じて測定した。
【0063】
[FF(遊離ホルムアルデヒド量)]
無機繊維製品用バインダーのFF(遊離ホルムアルデヒド量)は、JIS K6910:2007の5.17の規定に準じて測定した。
【0064】
[引っ張り強度]
各例における無機繊維製品用バインダーを、樹脂固形分の濃度が35質量%となるように水で希釈した後に、ガラスビーズ(平均粒径100μm)25gに、樹脂固形分が3質量%になるように添加混合した。得られた混合物をドッグボーン型の金型(長さ75mm、最小幅(長さ方向の中央部)25mm、最大幅42mm、厚さ7mm)に均一充填し、190℃で30分間焼成してテストピースを作製した。テストピースは同じ条件で合計6個作製した。
3つのテストピースを用いて引っ張り強度(常態強度)を測定し、残り3つのテストピースは温度65℃、湿度95%の恒温恒湿機中で24時間放置後に引っ張り強度(耐湿強度)を測定した。
引っ張り強度は、JIS K6911:2006の5.18の規定に準拠して、荷重速度5mm/分の条件で実施した。引っ張り強度(N/mm2)は、測定値(N)/破断面積(25×7=175mm2)で計算されるが、破断面積は175(mm2)で一定としたため、測定値(N)のみで比較した。
【0065】
[ホルムアルデヒド放散量]
ホルムアルデヒド放散量(放散F量)の測定は、JIS A 1902-4:2015の7に準拠して行った。
無機繊維製品用バインダーを樹脂固形分の濃度が10質量%となるように水で希釈し、15cm角に裁断したガラスろ紙(ADVANTEC製GA-100)に含浸させた。バインダーの付着量は、約40質量%であった。次いで、無機繊維製品用バインダーを付着させたガラスろ紙を200℃で10分間焼成した。焼成後、ろ紙の中心部を5cm角に切り出し(表面の面積25cm2)、1L容量のポリ容器に入れた(ろ紙表面の面積/ポリ容器体積=2.2m2/m3。)。穴の開いた内蓋をポリ容器の開口部に嵌め、アルデヒド/ケトン補修用パッシブサンプラーDSD-DNPH(Supelco製)を差し込み、シールテープを巻いて密閉した。温度28℃、湿度50%で24時間放置し、ホルムアルデヒドを捕集した。捕集後のサンプラーで補修したホルムアルデヒドは、アセトニトリルにて抽出液が5mLになるよう抽出した。抽出液中のホルムアルデヒド濃度を、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて以下の条件で分析した。放散F量が5μg/L以下のものは、放散等級F☆☆☆☆を達成するものであることを示している。
(HPLC測定条件)
使用機器及び型式:東ソー社製PD8020、
カラム:InertSustainC18 3.0×150、
溶離液:アセトニトリル:水(体積比)=55:45、
流速:0.45mL/分、
注入量:20μL、
検出器条件:UV360nm。
【0066】
各例の無機繊維製品用バインダーの条件、各種の評価結果を表1、表2、及び
図1~4に示す。
【0067】
【0068】
【0069】
表1に示すように、レゾール型フェノール樹脂に35℃以下でモノエタノールアミン、モノエチルアミンを添加した実施例1~7の無機繊維製品用バインダーA-1~A-7は、水希釈性に優れていた。また、表2及び
図3に示すように、実施例1~7においてさらに他の成分を添加した無機繊維製品用バインダーB-1~B-7は、ホルムアルデヒド放散量が低減されており、テストピースが黄色で外観が良好であった。
また、表1、表2、
図1、
図2及び
図4に示すように、モノエタノールアミンの添加量が多くなるにつれて、常態強度及び耐湿強度が高くなった。
【0070】
一方、モノエタノールアミンを添加していない比較例1、2では、ホルムアルデヒド放散量が充分に低減されなかった。また、異性化糖を添加した比較例3では、放散ホルムアルデヒド量は低減されるものの、常態強度及び耐湿強度は低くなり、テストピースが茶系の発色となった。また、70℃でモノエタノールアミンを添加し、フェノール、ホルムアルデヒド及びモノエタノールアミンの縮合物を形成させた比較例4の無機繊維製品用バインダーA-11は、水希釈性が著しく劣っていた。
【0071】
[実施例8]
コンデンサー、温度計、撹拌装置を備えた反応装置にフェノール1350部、50%ホルムアルデヒド水溶液2065.9部、50%水酸化ナトリウム108部をそれぞれ仕込み、65℃にて300分間反応させた後、35℃に冷却し、レゾール型フェノール樹脂を合成した。ホルムアルデヒド/フェノール[F/P]のモル比は2.4であり、得られた樹脂の特性は、重量平均分子量=380、遊離フェノール=1.5質量%、遊離ホルムアルデヒド=3.0質量%であった。
上記レゾール型フェノール樹脂固形分100部に対して6部の割合でモノエタノールアミンを35℃以下に溶解熱を抑えて添加した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えて無機繊維製品用バインダーC-1を得た。
【0072】
[比較例5]
実施例8と同様にしてレゾール型フェノール樹脂を合成し、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーC-2とした。
【0073】
[比較例6]
実施例8と同様にしてレゾール型フェノール樹脂を合成し、50℃まで冷却後にpH7.3になるようにホウ酸を加えて中和した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーC-3とした。
【0074】
[比較例7]
モノエタノールアミンを添加する際のレゾール型フェノール樹脂の温度を70℃に変更し、遊離のフェノール及びホルムアルデヒドとモノエタノールアミンを反応させて縮合物とした以外は、実施例8と同様にして無機繊維製品用バインダーC-4を得た。
【0075】
[比較例8]
比較例7と同様にしてレゾール型フェノール樹脂にモノエタノールアミンを反応させ、50℃まで冷却後にpH7.3になるようにホウ酸を加えて中和した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーC-5とした。
【0076】
[比較例9]
比較例7と同様にしてレゾール型フェノール樹脂にモノエタノールアミンを反応させ、50℃まで冷却後にpH5になるようにホウ酸を加えて中和した後、樹脂固形分が50質量%となるように調整水を加えたものを無機繊維製品用バインダーC-6とした。
【0077】
各例の無機繊維製品用バインダーの条件、各種の評価結果を表3に示す。
【0078】
【0079】
表3に示すように、触媒に水酸化ナトリウムを使用したレゾール型フェノール樹脂に35℃以下でモノエタノールアミンを添加した実施例8の無機繊維製品用バインダーC-1や、モノエタノールアミンを添加していない比較例5、6のC-2、C-3は、水希釈性に優れていた。
【0080】
一方、70℃でモノエタノールアミンを添加し、フェノール、ホルムアルデヒド及びモノエタノールアミンの縮合物を形成させた比較例7~9の無機繊維製品用バインダーC-4、C-5、C-6は、水希釈性が著しく劣っていた。またpHを酸性にしても水希釈性は改善しなかった。